説明

スイッチング可能光学要素

スイッチング可能光学要素は光軸を有する。その光学要素は、チャンバと、チャンバの内側表面を規定する面(その面は前記光軸を横切って広がっている)を有する波面変化器と、第1流体及び第2流体とを有する。その光学要素は、第1流体が波面変化器の面を実質的に覆う第1離散状態と、第2流体が波面変化器の面を実質的に覆う第2離散状態との間でスイッチング可能であり、チャンバは、第1及び第2離散状態の両方において第1及び第2流体の両方を囲み、界面は第1離散状態において前記光軸を横切って広がっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング可能光学要素、スイッチング可能光学要素を有する装置並びにその装置及び要素の製造方法及び動作方法に関する。スイッチング可能光学要素の実施形態は、光記録担体の種々の種類の情報層を走査するための光走査装置で用いるために特に適する。
【背景技術】
【0002】
光記録担体は、特定の波長の放射線ビームにより走査されるように一般にデザインされている各々のフォーマットを有する、多様な異なるフォーマットにおいて存在する。例えば、CDはそれ自体、CD−A(CD−オーディオ)、CD−ROM(CD−読み出し専用メモリ)及びCD−R(CD−読み出し可能)として利用可能であり、約785nmの波長を有する放射線ビームにより走査されるようにデザインされている。他方、DVDは、約650nmの波長を有する放射線ビームにより走査されるようにデザインされ、BDは、約405nmの波長を有する放射線ビームにより走査されるようにデザインされている。一般に、波長が短くなればなる程、光ディスクの対応する容量は大きくなり、例えば、BDフォーマットのディスクは、DVDフォーマットのディスクに比べて大きい記憶容量を有する。
【0003】
光走査装置が、例えば、1つの対物レンズ系を好適に用いて、異なる波長を有する放射線ビームに対応する異なるフォーマットの光記録担体を走査するように、光記録担体の種々のフォーマットと互換性のあることは好ましい。例えば、大きい記憶容量を有する新しい光記憶担体が導入されるときに、用いられる対応する新しい光走査装置は、下位互換性のある新しい光記録担体から情報を読み出す及び/又はそれに情報を書き込むように用いられることは好ましい。
【0004】
光走査装置の光学特性を光記録担体の異なるフォーマットについて調整することを可能にするために、多様な可変又はスイッチング可能光学要素が知られている。スイッチング可能光学要素は、各々の状態において異なる光学特性を有する光学要素を有する2つ又はそれ以上の異なる状態間でスイッチングされることが可能である光学要素である。
【0005】
例えば、米国特許第6,288,846号明細書においては、異なる波面変化を与えるように2つの異なる離散状態間でスイッチングされるシステムについて記載されている。 約0の屈折率差が、放射線ビームが変化しないまま保たれるように、システムがそれらの状態の一にあるとき、流体と波面変化器との間に確立される。システムの他の状態においては、この屈折率差は、放射線ビームの経路が変化されるような十分な値を有する。流体処理システムは、状態間で流体システムをスイッチングするように用いられる。流体処理システムの例には、皮下注射シリンジ、蠕動ポンプ、圧縮バルブ及び圧電、油圧又は空気圧アクチュエータがある。
【0006】
Philops Electronics社による国際公開第2004/027490号パンフレットにおいて、第1離散状態及び異なる第2離散状態を有する改善されたスイッチング可能光学要素について記載されている。その要素は、第1流体と、異なる第2流体と、面を有する波面変化器と、その要素の第1離散状態と第2離散状態との間で切り替えるように流体システムにおいて作用するための流体システムスイッチとを有する流体システムを有する。波面変化器はチャンバ内に位置付けられる。導管が、そのチャンバの向かい合った側の間に伸びている。その要素が第1離散状態にあるとき、波面変化器の面は、導管において位置付けられている第2流体と共に、第1流体により実質的にカバーされている。第3システムスイッチは、チャンバ(波面変化器をカバーする)と導管との間においてそれらの流体を移動させるようにエレクトロウェッティング効果を利用する。
【0007】
そのような既知のシステムは、光学要素の複雑度及び全体的な大きさの両方を増大させる関連ポンプ、シリンジ又は導管により、製造を複雑にする。
【特許文献1】米国特許第6,288,846号明細書
【特許文献2】国際公開第2004/027490号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上記の又はそれ以外の、先行技術における少なくとも1つの課題を解決するスイッチング可能光学要素を提供することである。本発明の特定の実施形態の目的は、製造を容易にするスイッチング可能光学要素を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の特徴にしたがって、光軸を有するスイッチング可能光学要素であって、その要素は、チャンバと、そのチャンバの内側表面を規定する面を有する波面変化器であって、その面はその光軸を横断して広がっている、波面変化器と、第1流体と、第2流体とを有する、スイッチング可能光学要素であり、それらの流体は非混合性であり、界面に亘って接触していて、その光学要素は、第1流体が波面変化器の面を実質的に覆っている第1状態と、第2流体が波面変化器の面を実質的に覆っている第2離散状態との間でスイッチング可能であり、チャンバは両方の離散的状態にある両方の流体を囲んでいて、界面は第1離散状態における光軸を横断して広がっている、スイッチング可能光学要素を提供する。
【0010】
そのような光学要素は、状態間のスイッチングの間に単一のチャンバ内に両方の流体を
保持するために、付加導管又は別個の機械式ポンプを必要とする従来技術の装置に比べて複雑ではない。それ故、そのような光学要素の構造は製造することが容易であり、比較的コンパクトにすることが可能であり、即ち、それ故、何れかの装置又は機器における要素により(占められる)占有領域を低減する。
【0011】
光学要素は、エレクトロウェッティング効果を利用して流体を移動させることにより第1離散状態と第2離散状態との間で光学要素を切り替えるように備えられている流体切り替えシステムを更に有することが可能である。
【0012】
流体切り替えシステムは、第2流体に結合されている第1電極と、波面変化器の面に適合されるように位置付けられている第2電極とを有する。
【0013】
波面変化器の面は、第2電極とチャンバ内の流体との間の絶縁性バリアを構成する第1コンタクト層を有する。
【0014】
第2電極は、波面変化器の面から固定された所定距離において、波面変化器の面に隣接して伸びている。
【0015】
第2電極は、複数の独立したアドレス可能部分を有することが可能である。
【0016】
波面変化器の面は平面的でないことが可能である。
【0017】
波面変化器の面は少なくとも1つの凸部を規定することが可能である。
【0018】
少なくとも1つの凸部は高さが50μm以下であることが可能である。
【0019】
少なくとも1つの凸部は回折格子を構成することが可能である。
【0020】
チャンバは、界面が第1離散状態において広がっている少なくとも1つの側壁を有することが可能である。
【0021】
前記側壁の濡れ性は、第1離散状態にあるときに、その界面が、面において光軸を横断するようになっていることが可能である。
【0022】
前記側壁の濡れ性は、第1離散状態にあるときに、その界面が覆われるようになっていることが可能である。
【0023】
本発明の第2の特徴にしたがって、上記のスイッチング可能光学要素を有する装置を備える。
【0024】
その装置は光走査装置であることが可能である。
【0025】
本発明の第3の特徴にしたがって、光軸を有するスイッチング可能光学要素であって、その光学要素はチャンバを有する、スイッチング可能光学要素と、チャンバの内側表面を規定する面を有する波面変化器であって、その面は光軸を横断して広がっている、波面変化器と、第1流体及び第2流体であって、それらの流体は非混和性であり、第1流体が波面変化器の面を覆う第1離散状態と、第2流体が波面変化器の面を実質的に覆う第2離散状態との間でスイッチング可能である、第1流体及び第2流体と、を有するスイッチング可能光学要素を動作させる方法であり、チャンバは両方の離散状態における両方の流体を囲んでいて、それらの界面は第1離散状態における光軸を横断して広がり、その方法は、第1離散状態と第2離散状態との間で光学要素をスイッチングする段階を有する、方法を提供する。
【0026】
その装置は、動作の第1モードにある放射線の第1ビームと、動作の第2モードにある放射線の第2ビームとを供給するように備えられている放射線源であって、その方法は、放射線源の動作のモードを表す信号に応じてそれらの離散状態間で光学要素を切り替える段階を有する、放射線源を更に有する。
【0027】
本発明の第4の特徴にしたがって、光軸を有するスイッチング可能光学要素を製造する方法であって、チャンバを備える段階と、チャンバの内側面を規定する面を有する波面変化器を備える段階であって、その面は光軸を横断して広がっている、段階と、第1流体及び第2流体を備える段階であって、それらの流体は非混和性であり、界面に亘って接触している、段階と、第1流体が波面変化器の面を実質的に覆う第1離散状態と、第2流体が波面変化器の面を実質的に覆う第2離散状態との間で光学要素をスイッチングするための流体スイッチングシステムを備える段階と、を有する方法であり、チャンバは両方の離散状態における両方の流体を囲んでいて、それらの界面は第1離散状態における光軸を横断して広がっている、方法を提供する。
【0028】
以下、本発明の好ましい実施形態について、例示として、添付図を参照して詳述する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1A乃至2Bは、本発明の第1実施形態にしたがったスイッチング可能光学要素100を示している。図1A及び1Bは、第1離散状態にある光学要素100を示し、図2A及び2Bは、第2離散状態の光学要素を示している。
【0030】
スイッチング可能要素100は、チャンバを通して伸びている光軸119を有するチャンバ102を有する。チャンバ102は、光軸119を横断して伸びている端壁104、106を有する。この特定の実施形態においては、端壁104、106は、一般に、光軸119に対して垂直に伸びている。要素100は。光軸119に沿って入射する放射線ビームを制御するように備えられている。端壁104、106は、それ故、透明な固い材料、例えば、ガラスから成る。
【0031】
この特定の実施形態においては、チャンバは円筒形である。チャンバは、光軸119について対称的な円筒形である。チャンバの側部は、それ故、光軸119に対して平行に伸びている単一の連続的な側壁110により規定される。
【0032】
要素100は、チャンバの内側表面を規定する面を有する波面変化器を有する。波面変化器は、光学要素が離散状態の少なくとも1つにあるとき、入射放射線ビームの波面を変化させるように備えられている。波面変化器の面は非平面的である。その面は、光学的パワーを与える(例えば、レンズのような機能に対して)ように局面的であることが可能である。この特定の実施形態においては、その面は複数の凸部(107a乃至107d)を有する。それらの凸部は、一連の所定の高さの段差を成す。この特定の実施形態においては、各々の段差は所定の高さhに等しく、光軸119について円筒状に対称的である。中央の段差107aは円筒形である。段差107b乃至107dは輪状段差であり、光軸119と同心円状である。光学要素は、光学要素の光学的に活性な部分を通って透過する放射線ビームを制御するように備えられている。波面変化器の面は、光学要素100の光学的に活性な部分において広がっている。
【0033】
チャンバ102は2つの流体120、122を囲んでいる。それら2つの流体は非混和性であり、少なくとも1つの異なる光学的特性を有する。例えば、流体の屈折率、色、吸収度、反射率又は光学的不透明度が異なっている。好適には、それらの流体122は同じ密度を有し、それ故、装置の動作は、機械的影響又は重力により過度に影響されない。この特定の実施形態においては、各々の流体は異なる屈折率を有する。それらの流体は、界面124において接触している。
【0034】
スイッチング可能光学要素100は2つの離散状態間でスイッチング可能である。第1離散状態(図1A及び1Bに示す)において、第1流体120は波面変化器の面(この実施形態においては、凸部107a乃至107dにより規定される)を覆っている。両方の流体120、122の本体は光軸119を横断して広がっている。第1流体120と第2流体122との間の界面124はその光軸を横断して広がっている。界面124の外周は側壁110と接している。側壁110は、両方の流体120、122に対して等しい濡れ性(少なくとも界面124が側壁110と交差する位置において)を有する。それ故、三相接触角(2つの流体と側壁との間の角度)は側壁に対して直角に伸びている。波面変化器の面における第1流体の厚さは、界面124の形状がその面の形状により影響されないようなものである。それ故、界面124は平面的である。
【0035】
他の実施形態においては、側壁は光軸119に対して垂直に伸びていないことが可能であることを理解する必要がある。しかしながら、正しい三相接触角を規定するように、側壁の濡れ性を適切に選択することにより、2つの流体間の界面124は第1離散状態において平面として形成されることが可能である。
【0036】
図2A及び2Bは、第2状態にあるスイッチング可能光学要素を示している。第2離散状態において、第2流体122は波面変化器の面を覆っている。第2離散状態において、第1流体120は、チャンバ102の光学的に活性な部分の外側に位置付けられている。第1流体120は光軸119を通って伸びていない。第1流体120はチャンバ102の外周に配置されている。この特定な実施形態においては、第1流体は、要素100の第2離散状態にあり、輪状に広がっていて、光軸119と同心円状にある。第1流体120は、波面変化器の面に隣接する端壁106の表面を覆っているが、その面の外側にある。第2流体120は、第1流体と異なる光学特性(この実施形態においては、異なる屈折率)を有するため、光要素100が第1離散状態に対して第2離散状態にあるときに、波面変化器の面の動作は異なる。好適には、前記流体の一の屈折率は、波面変化器の面を規定する材料の屈折率に等しい。そのような状態においては、波面変化器により与えられる光学的機能は打ち消される、即ち、波面変化器は入射放射線(又は、少なくとも屈折率が同じである波長における入射放射線)に対して不可視的になる。
【0037】
要素100は、エレクトロウェッティング効果を利用して、第1離散状態(図1A、1B)と第2離散状態(図2A、2B)との間でスイッチング可能である。前記流体の一は、電気的に影響を受け易い流体、例えば、塩水のような極性又は導電性流体である。他の流体は、電気的に影響を受け難い流体(即ち、電場の印加により影響されない流体)、例えば、シリコーン油のような電気的に絶縁性の流体である。
【0038】
上記の図に示している本発明の実施形態においては、第1流体120は油であり、第2流体は塩水である。
【0039】
疎水性の絶縁体は第1カバー層108を規定し、その第1カバー層は、チャンバ102の一端部において、チャンバの内側表面において広がっている。カバー層108は、ガラス106により形成された凸部(107a乃至107d)において広がっている。カバー層108は、それ故、波面変化器の面を規定する。更に、カバー層108は、波面変化器の面に隣接するチャンバ102の内側面の領域を覆う。図示している特定の実施例においては、カバー層108は、端壁106により規定される内側表面の全てに亘って広がっている連続的なカバー層である。チャンバ102の反対側の内側表面は、水のような電気的に影響を受け易い流体に影響を与えるように、親水性であり、例えば、端壁104の内側表面はガラスから成る。
【0040】
光学要素100は、波面変化器の面の濡れ性を変えるようにエレクトロウェッティング効果を利用することにより、その面を覆うように電気的に影響を受け易い第2流体122を引き寄せるように、第2離散状態(図2A及び2B)にスイッチングする。第1流体120は、その場合、疎水性を保っている領域、即ち、波面変化器の面に隣接している領域における端壁106の内側面のみを覆うように、第2流体で置き換えられる。第1流体120は、それ故、光学要素の光学的に活性な領域の外側の位置に対して第2離散状態で置き換えられる。
【0041】
波面変化器の面の濡れ性は、流体スイッチングシステムを用いて制御される。流体スイッチングシステムは、波面変化器の面に隣接して位置している透明電極134を有する。好適には、電極134は、波面変化器の面から固定された所定距離の範囲内で、波面変化器の面に隣接して伸びている。好適には、電極134は、波面変化器の面に対して平行に伸びている。例えば、波面変化器の面が凸部を規定する場合、電極134は、波面変化器の面から所定の距離において、凸部内に伸びている。好適には、電極134は、波面変化器の面の表面領域と同じ表面領域において伸びている、即ち、電極134は、波面変化器の面の表面領域の全ての下地である。
【0042】
他の電極132は、電気的に影響を受け易い流体122と電気的に接している。電極132、134間に電圧電源130から電圧を印加することにより、波面変化器の面の濡れ性を変化することが可能である。それ故、スイッチング可能光学要素100は、波面変化器の面の濡れ性を変えるように適切な電圧を印加することにより第1離散状態から第2離散状態にスイッチングされることが可能である。同様に、電圧を除去することにより、その面の濡れ性はその公称の疎水性の性質に戻り、光学要素は第2離散状態から第1離散状態に戻るようにスイッチングされる。
【0043】
上記の実施形態は、単に例示として説明されていることを理解する必要がある。
【0044】
例えば、波面変化器の面は、何れかの形状に局面化される、又は非周期的な位相構造を規定することが可能である。何れかの凸部の高さ(光学要素の光軸に沿った凸部の寸法である高さ)は、スイッチング可能光学要素の特定のアプリケーションのために適切である何れかの特定の大きさであることが可能である。好適には、そのような凸部の高さhは50μm以下であり、より好適には、その高さは5μm乃至20μmの範囲内にあるが、実質的には、5μmに等しい又はそれ以下であることが可能である。それらの寸法は、流体によりその面を覆うこと及び露呈することを容易にするときに、好ましい。用語、流体は、流れることができ、何れかの材料を囲むことができ、気体、蒸気、液体及び液晶を含むが、それらに限定されるものではない。
【0045】
スイッチング可能光学要素は何れかの装置において用いられることが可能である。光学要素は、2つ又はそれ以上の放射線ビームが用いられる装置内に位置付けられ、波面変化器は、入射放射線の偏向か又は放射線の波長のどちらかのために、異なる放射線ビームの波面に対して異なる変化を与えるように備えられることが可能である。
【0046】
例えば、波面変化器の面は、複屈折材料、例えば、液晶から成ることが可能である。液晶の主軸は、光軸119を横断する(例えば、光軸に直交する)方向に備えられる。液晶の分子は、それ故、第1偏向の放射線ビームが第2の異なる偏向の放射線ビームとは異なる波面変化器の屈折率を現す。それ故、放射線の入射ビームの異なる偏向は、光学要素により異なる波面変化を現すことが可能である。
【0047】
同様に、波面変化器の面が回折格子を規定する場合、その回折格子のステップは所定の高さを有し、それ故、少なくとも1つの離散ステップにおいて、ステップは、所定の波長の放射線の入射ビームに対して実質的に2πの整数倍である位相変化を導入するように備えられる。それ故、光学要素がその特定の離散状態にあるときに、波面変化器に入射するその特定の波長の放射線ビームは、その回折格子により変化されることはない。しかしながら、波面変化器がその特定の離散状態にあるときに、回折格子のステップに入射する他の波長の放射線ビームは、波面変化器により構成される回折格子により回折される。
【0048】
上記の実施形態におけるチャンバについては、円筒状であるとして説明している。しかしながら、チャンバは、例えば、立方系又は他の何れかの所定の形状に形成されることが可能であることが理解できるであろう。全ての実施形態において、チャンバは2つの流体を囲んでいる(即ち、内側にそれらを全部収容している)。
【0049】
図1A乃至2Bに示す実施形態に関連して、第1流体120と第2流体122との間の界面124については、動作の第1離散モード(図1A及び1B)において平面状であるとして説明している。界面124は、第1流体120について、第2流体122と同じ濡れ性を有する側壁110のために、平坦である。それ故、界面124は側壁110に対して垂直に伸びている。しかしながら、側壁110の濡れ性は、それらの流体のどちらかに対して大きいことが可能である。このことは、界面又はメニスカス124の角度を変える。界面124は、可及的に最小エネルギーになろうとするため、表面124は、側壁表面124が流体の一により好適に濡れる場合(光学要素が第1離散状態にあるとき)に、局面化される(側壁が光軸に対して平行に伸びていることを前提として)。代替として、側壁の濡れ性は、変化した流体のスイッチングシステムを用いて、連続的な所定領域に亘って動的に制御されることが可能である。
【0050】
図3は、第1離散状態におけるスイッチング可能光学要素200を示している。光学要素200は、一般に、図1A乃至2Bに示している光学要素100に相当する。光学要素200の第2離散状態は、図2A及び2Bに示すのと同じ位置にある流体120、122を有する。
【0051】
しかしながら、図3に示す実施形態においては、側壁110点の濡れ性は動的に制御される。側壁110′の濡れ性を変えることにより、変化される流体120、122間の界面124′の形状(即ち、曲率)が変わる。流体120、122は異なる屈折率を有するため、界面の凹状の、複雑な及び平坦な界面124′の曲がり及び/又は系面124′の曲率を変えることにより、入射する放射線に対する界面により与えられる有効な光パワーが変わる。このことは、光学要素200の付加的な機能性を与える。
【0052】
例えば、光学要素200は、3つの異なる放射線ビームを用いる装置において用いられることが可能である。光学要素200は、その装置が第1放射線ビームか又は第2放射線ビームのどちらかを用いるときに一の離散状態にあるように、及び、その装置が第3放射線ビームを用いるときに他の離散状態にあるように制御される。界面124′の曲がりは、何れかの放射線ビームのフォーカシング又はデフォーカシングの必要な度合いを与えるように、用いられている放射線ビームに応じて変えられることが可能である。
【0053】
表面110′の濡れ性は、側壁110′の内側表面に隣接して位置付けられている付加電極136を用いることにより調整される。電極136は側壁110に対して平行に伸びている。この実施形態においては、電極136は輪状であり、光軸119と同心円状である。電極136は、チャンバの内側表面(即ち、チャンバ内の流体)とは電気的に絶縁されている。電極132と電極136との間に電圧電源130から電圧を印加することにより、電極136に隣接するチャンバの内側表面の濡れ性を変えることが可能である。その表面の濡れ性は印加電圧に依存する。
【0054】
そのようなシステムは、界面124′の光パワーを調整することを可能にする。
【0055】
更なる実施形態においては、波面変化器の面に隣接する電極134は、独立してアドレス指定可能である複数の部分から成る。換言すれば、異なる電圧を、電極134の異なる部分に印加することが可能である。それ故、波面変化器の面の異なる領域の濡れ性を独立して変えることが可能である。このことは、流体の移動を容易にするように、アドレス指定可能な部分の各々において時間の関数として印加電圧を変えることにより、動作の異なる離散モード間のスイッチングを容易にするように用いられることが可能である。同様に、異なる電圧が、電極部分の方にその電極部分を覆う第2流体の一部を選択的に引きつける(しかし、第1流体120が波面変化器の全体の面を尚も覆っているように、電圧は所定値である)ように、電極134の異なる部分に印加されることが可能である。それ故、界面124、124′の形状は、入射ビームに球面収差を与えるように(例えば、球面収差補償のために)、電極の、独立してアドレス指定可能な部分を用いて変形されることが可能である。メニスカスの周囲は、壁の形状又は濡れ性における急激な変化によりその壁に固定されることが可能である。そのような構成を用いて、メニスカスの形状は、電極134への電圧の適切な制御により、凸状、平坦及び凹状の間で変えられることが可能である。
【0056】
上記のスイッチング可能光学要素は種々の装置において利用可能である。
【0057】
例えば、図4は、第1放射線ビーム4により第1光記録担体3の第1情報層2を走査するための装置1であって、対物レンズ系8を有する、装置1を示す図である。
【0058】
光記録担体3は、情報層2が備えられている一の側において、透明層を有する。透明層5から離れて対向する情報層2の側は、保護層6により環境の影響から保護されている。装置に対向する透明層の側は入射面と呼ばれる。透明層5は、情報層2のために機械的支持を与えることにより光記録担体3のための基板としての役割を果たす。代替として、透明層5は、単に情報層を保護する機能を有することが可能である一方、機械的支持は、例えば、最上部の情報層に接続されている付加情報層及び透明層及びにより又は保護層6により、情報層2の他の側におけるある層により与えられる。情報層は、図1に示すようなこの実施形態においては、透明層5の厚さに相当する情報層の深さ27を有することを特記しておく。情報層2は担体3の表面である。
【0059】
情報は、実質的に平行な同心円状又は螺旋状のトラックにおいて配列された光学的に検出可能なマークの形で記録担体の情報層2に記憶される。トラックは、フォーカシングされる放射線ビームのスポットにより追跡されることが可能である経路である。それらのマークは、何れかの光学的に読み出し可能な形に、例えば、ピット、ある反射係数を有する領域、周囲と異なる磁化方向又はそれらの組み合せの形にあることが可能である。その場合、光記録担体3はディスクの形状を有する。
【0060】
図2に示すように、光走査装置1は、放射線源7、コリメータレンズ18、ビームスプリッタ9、光軸19aを有する対物レンズ系8、スイッチング可能光学要素30及び検出システム10を有する。更に、光走査装置1は、サーボ回路11、焦点アクチュエータ12、径方向アクチュエータ13及びエラー補正のための情報処理ユニット14を有する。
【0061】
この特定の実施形態においては、放射線源7は、第1放射線ビーム4、第2放射線ビーム4′及び第3放射線ビーム4′′を連続的に又は別個に供給するために備えられている。例えば、放射線源7は、第3ビームを供給する別個のレーザを有する放射線ビーム4、4′及び4′′の二を連続的に供給するための可変半導体レーザ、又はそれらの放射線ビームを別個に供給するための3つの半導体レーザを有することが可能である。
【0062】
放射線ビーム4は波長λ及び偏向pを有し、放射線ビーム4′は波長λ及び偏向pを有し、放射線ビーム4′′は波長λ及び偏向pを有する。波長λ、λ及びλは全て異なる。好適には、何れかの2つの波長の間の差分は20nmに等しい又は20nmより大きく、より好適には、50nmより大きい。偏向p、p及びpの少なくとも2つは互いに異なっていることが可能である。
【0063】
コリメータレンズ18は、発散放射線ビーム4を実質的にコリメートされたビーム20に変換するために光軸19aに備えられている。同様に、そのコリメータレンズは、放射線ビーム4′及び4′′を2つのそれぞれの実質的にコリメートされたビーム20′及び20′′に変換する(図4には示していない)。
【0064】
ビームスプリッタ9は、対物レンズ系8の方に光軸に沿って放射線ビームを搬送するために備えられている。図示している実施例においては、放射線ビームは、ビームスプリッタ9を通る搬送により対物レンズ系の方に搬送される。好適には、ビームスプリッタ9は、光軸に対して角度αで、より好適には、α=45°で傾けられた平行平面板により成る。この特定の実施形態においては、対物レンズ系8の光軸19aは放射線源7の光軸と共通である。
【0065】
対物レンズ系8は、情報層2の位置において第1走査スポット16を形成するように、第1フォーカシング放射線ビーム15にコリメート放射線ビーム20を変換するように備えられている。
【0066】
走査中、記録担体3はスピンドルにおいて回転し(図示せず)、情報層2は、その場合、透明層5を通って走査される。フォーカシング放射線ビーム15は情報層2において反射し、それにより、反射ビーム21が得られ、その反射ビームは、前方集束ビーム15の
光路を戻る。対物レンズ系8は、反射放射線ビーム21を反射コリメート放射線ビーム20に変換する。
【0067】
ビームスプリッタ9は、検出システム10の方に光路22に沿って反射放射線22の少なくとも一部を搬送することにより反射放射線ビーム22から前方放射線ビーム20を分離する。この例示としての実施例においては、反射放射線ビーム22は、ビームスプリッタ9におけるプレートからの反射により検出システム10の方に搬送される。図示している特定の実施形態においては、ビームスプリッタ9は偏向ビームスプリッタである。4分の1波長板9′は、ビームスプリッタ9と対物レンズ系8との間に光軸19aに沿って位置付けられている。4分の1波長板9′と偏光ビームスプリッタ9の組み合わせは、反射放射線ビーム22の大部分が検出システムの光軸19bに沿って検出システム10の方に搬送される。検出システムの光軸19bは、検出システム10の方に反射放射線22の少なくとも一部を搬送するビームスプリッタ9のために、光軸19aの延長である。それ故、対物レンズ系の光軸は、参照番号19a及び19bで現される軸を有する。
【0068】
検出システム10は、前記の反射放射線ビーム22の一部を捕捉するために備えられている検出器23と集束レンズ25とを有する。
【0069】
検出器は、前記の反射ビームの一部を少なくとも1つの電気信号に変換するように備えられている。
【0070】
それらの信号の位置は情報信号であり、その情報信号の値は情報増2において走査された情報を表す。情報信号は、エラー補正のために情報処理ユニット14により処理される。
【0071】
検出システム10からの他の信号は焦点エラー信号及び径方向トラッキングエラー信号である。焦点エラー信号は、走査スポット16と情報層2の位置との間のZ軸方向の高さにおける軸方向の差分を表す。好適には、この信号は、文献“Principles of Optical Disc System”,by G.Bouwhuis,J.Braat,A.Huijiser et al,pp.75−80(Adam Hilger 1985ISBN 0−85274−785−3)に記載されていて、それ自体既知である“非点収差方法”により生成される。径方向トラッキングエラー信号は、走査スポット16により追跡される情報層2におけるトラックの中心と走査スポット16との間の情報層2のXY平面における距離を表す。この信号は、上記のG.Bouwhuis等による文献の70乃至73ページにまた、記載されている“径方向プッシュプル方法”により生成される。
【0072】
サーボ回路11は、焦点及び径方向トラッキングエラー信号に応じて、焦点アクチュエータ12及び径方向アクチュエータ13のそれぞれを制御するためにサーボ制御信号を供給するために備えられている。焦点アクチュエータ12は、走査スポット16の位置が情報層2の平面と実質的に一致するように、Z軸に沿って対物レンズ8の位置を制御し、それにより、走査スポット16の位置を制御する。径方向アクチュエータ13は、対物レンズ8の位置を変えることにより情報層2において追跡されるトラックの中心線と走査スポット16の径方向位置が一致するように、走査スポット16の径方向位置を制御する。
【0073】
対物レンズ8は、走査スポット16を形成するように、第1開口率NAを有するフォーカシング放射線ビーム15にコリメート放射線ビーム20を変換するように備えられている。換言すれば、光走査装置1は、波長λ、偏向p及び開口率NAを有する放射線ビーム15により第1情報層を走査することができる。
【0074】
更に、この実施形態における光走査装置1はまた、放射線ビーム4′により第2光記録担体3′の第2情報層2′を、及び放射線ビーム4′′により第3光記録担体3′′の第3情報層2′′を走査することができる。それ故、対物レンズ系8は、情報層2′の位置において第2走査スポット16′を形成するように、第2開口率NAを有する第2フォーカシング放射線ビーム15′にコリメート放射線ビーム20′を変換する。対物レンズ8はまた、情報層2′′の位置において第3走査スポット16′′を形成するように、第3開口率NAを有する第3フォーカシング放射線ビーム15′′にコリメート放射線ビーム20′′を変換する。
【0075】
走査スポット16、16′、16′′の何れか一又はそれ以上が、エラー信号の供給で用いる2つの付加スポットと共に形成されることが可能である。例えば、本発明の実施形態にしたがったスイッチング可能光学要素30は光ビーム20の経路に位置付けられている。そのスイッチング可能光学要素は、光走査装置が第1及び第2放射線ビームを用いて動作されるときに、第1離散モードで動作され、光走査装置が第3放射線ビームを用いて動作されるときに、第2離散モードで動作される。波面変化器の面は、エラー信号の供給で用いる2つの付加スポットを供給するように、回折格子として備えられる。回折要素の2つの流体は異なる屈折率を有する。それらの流体の一は、波面変化器の面の回折格子を規定する材料と同じ屈折率を有する。離散状態の一において、波面変化器は、エラー信号の供給で用いる2つの付加スポットを供給するように、入射放射線ビームを回折する。他の離散状態においては、スイッチング可能光学要素は入射する放射線を回折せず、それ故、それらの2つの付加スポットは形成されない。好適には、光学要素のメニスカスの形状は、図3に示す実施形態を参照して説明しているように、光パワーを与えるように変化されることが可能である。このことは、例えば、放射塩ビーム15、15′、15′′の一について、二層読み出しを容易にするように用いられることが可能である。
【0076】
光走査装置における要素30を使用する他の実施例は、少なくとも2つの異なるディスクフォーマット(例えば、単独の光ドライブにおける)の読み出し/書き込みを可能にする。その例は、国際公開第2004/027490号パンフレットに記載されていて、その文献の援用により本明細書の説明の一部を代替する。スイッチング可能光学要素は、光記録担体の異なるフォーマットを読み出すように光走査装置の互換性を可能にするように、放射線ビームの波面を変えるように用いられる。波面変化器は動作される記録担体の種類に限定的である。
【0077】
光記録担体3と同様に、光記録担体3′は、情報層2′が第2情報層深さ27′を有して備えられている一の側において第2透明層5′を有し、光記録担体3′′は、情報層2′′が第2情報層深さ27′′を有して備えられている一の側において第3透明層5′′を有する。
【0078】
この実施形態においては、光記録担体3、3′、3′′は、“ブルーレイディスク”フォーマットディスク、DVDフォーマットディスク及びCDフォーマットディスクのみを例としている。それ故、波長λは、365乃至445nmの範囲内にあり、好適には、405nmである。開口率NAは読み出しモード及び書き込みモードの両方において0.85に等しい。波長λは、620乃至700nmの範囲内にあり、好適には、650nmである。開口率NAは、読み出しモードにおいては約0.6に等しく、書き込みモードにおいては、約0.6であり、好適には、0.65である。波長λは、740乃至820nmの範囲内にあり、好適には、785nmである。開口率NAは0.5以下であり、好適には、CDフォーマットディスクからの情報の読み出しについては0.45であり、好適には、CDフォーマットディスクからの情報の書き込みについては0.5乃至0.55の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1A】第1離散状態における、第1実施形態にしたがってスイッチング可能光学要素の側部断面図である。
【図1B】第1離散状態における、第1実施形態にしたがってスイッチング可能光学要素の平面図である。
【図2A】第2離散状態における、第1実施形態にしたがってスイッチング可能光学要素の側部断面図である。
【図2B】第2離散状態における、第1実施形態にしたがってスイッチング可能光学要素の平面図である。
【図3】第1離散状態における、第2実施形態にしたがってスイッチング可能光学要素の側部断面図である。
【図4】本発明の実施形態にしたがったスイッチング可能光学要素を組み込んだ光走査装置の模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸を有するスイッチング可能光学要素であって、チャンバを有するスイッチング可能光学要素であり:
前記チャンバの内側表面を規定する面を有する波面変化器であって、前記面は前記光軸を横切って広がっている、波面変化器;並びに
第1流体及び第2流体であって、該第1流体及び第2流体は非混和性であり、界面において接している、第1流体及び第2流体;
を有するスイッチング可能光学要素であり、
前記スイッチング可能光学要素は、前記第1流体が前記波面変化器の前記面を実質的に覆っている第1離散状態と、前記第2流体が前記波面変化器の前記面を実質的に覆っている第2離散状態との間でスイッチング可能であり;
前記チャンバは、前記第1離散状態及び前記第2離散状態の両方において前記第1流体及び第2流体の両方を囲んでいて、前記界面は前記第1離散状態において前記光軸を横切って広がっている;
スイッチング可能光学要素。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチング可能光学要素であって、エレクトロウェッティング効果を用いて前記第1流体及び第2流体を移動させることにより前記第1離散状態と前記第2離散状態との間で前記光学要素を切り替えるように備えられている流体スイッチングシステムを更に有する、スイッチング可能光学要素。
【請求項3】
請求項2に記載のスイッチング可能光学要素であって、前記スイッチングシステムは、前記第2流体に結合されている第1電極と、前記波面変化器の前記面に隣接して位置付けられている第2電極とを有する、スイッチング可能光学要素。
【請求項4】
請求項3に記載のスイッチング可能光学要素であって、前記波面変化器の前記面は、前記チャンバ内で前記第2電極と前記第1流体及び第2流体との間に絶縁バリアを構成する第1接触層を有する、スイッチング可能光学要素。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のスイッチング可能光学要素であって、前記第2電極は前記波面変化器の前記面に隣接し、前記波面変化器の前記面から固定された所定距離で伸びている、スイッチング可能光学要素。
【請求項6】
請求項3乃至5の何れか一項に記載のスイッチング可能光学要素であって、前記第2電極は複数の、独立してアドレス指定される部分を有する、スイッチング可能光学要素。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載のスイッチング可能光学要素であって、前記波面変化器の前記面は非平面である、スイッチング可能光学要素。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載のスイッチング可能光学要素であって、前記波面変化器の前記面は少なくとも1つの凸部を規定する、スイッチング可能光学要素。
【請求項9】
請求項7に記載のスイッチング可能光学要素であって、前記少なくとも1つの凸部は高さが50μm以下である、スイッチング可能光学要素。
【請求項10】
請求項7又は8に記載のスイッチング可能光学要素であって、前記少なくとも1つの凸部は回折格子を成す、スイッチング可能光学要素。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか一項に記載のスイッチング可能光学要素であって、前記チャンバは、前記界面が前記第1離散状態において広がっている少なくとも1つの側壁を有する、スイッチング可能光学要素。
【請求項12】
請求項11に記載のスイッチング可能光学要素であって、前記側壁の濡れ性は、前記第1離散状態にあるときに前記界面は前記光軸を横切る面内に広がっているようになっている、スイッチング可能光学要素。
【請求項13】
請求項11に記載のスイッチング可能光学要素であって、前記側壁の濡れ性は、前記第1離散状態にあるときに前記界面は局面化されるようになっている、スイッチング可能光学要素。
【請求項14】
請求項11乃至13の何れか一項に記載のスイッチング可能光学要素であって、前記側壁の前記濡れ性を制御するように前記少なくとも1つの側壁に隣接して位置している界面電極を更に有する、スイッチング可能光学要素。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れか一項に記載のスイッチング可能光学要素を有する装置。
【請求項16】
請求項15に記載の装置であって、光走査装置である、装置。
【請求項17】
光軸を有するスイッチング可能光学要素であって、チャンバを有するスイッチング可能光学要素;
前記チャンバの内側表面を規定する面を有する波面変化器であって、前記面は前記光軸を横切って広がっている、波面変化器;並びに
第1流体及び第2流体であって、該第1流体及び第2流体は非混和性であり、界面において接している、第1流体及び第2流体;
を有する装置を動作させる方法であって:
前記スイッチング可能光学要素は、前記第1流体が前記波面変化器の前記面を実質的に覆っている第1離散状態と、前記第2流体が前記波面変化器の前記面を実質的に覆っている第2離散状態との間でスイッチング可能であり;
前記チャンバは、前記第1離散状態及び前記第2離散状態の両方において前記第1流体及び第2流体の両方を囲んでいて、前記界面は前記第1離散状態において前記光軸を横切って広がっている;
方法であり、
前記第1離散状態と前記第2離散状態との間で前記スイッチング可能光学要素を切り替える段階;
を有する方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、前記装置は、動作の第1モードにおいて放射線の第1ビームを、動作の第2モードにおいて第2ビームを供給するように備えられている放射線源を更に有する、方法であり:
前記放射線源の前記の動作のモードを表す信号に応じて前記第1離散状態及び前記第2離散状態間で前記光学要素を切り替える段階;
を有する方法。
【請求項19】
光軸を有するスイッチング可能光学要素を製造する方法であって、該方法はチャンバを備える段階を有する方法であり:
前記チャンバの内側表面を規定する面を有する波面変化器を備える段階であって、前記面は前記光軸を横切って広がっている、段階;並びに
第1流体及び第2流体を備える段階であって、該第1流体及び第2流体は非混和性であり、界面において接している、段階;並びに
前記スイッチング可能光学要素は、前記第1流体が前記波面変化器の前記面を実質的に覆っている第1離散状態と、前記第2流体が前記波面変化器の前記面を実質的に覆っている第2離散状態との間で前記スイッチング可能光学要素を切り替えるために流体スイッチングシステムを備える段階であって、前記チャンバは、前記第1離散状態及び前記第2離散状態の両方において前記第1流体及び第2流体の両方を囲み、前記界面は前記第1離散状態において前記光軸を横切って広がっている、段階;
を有する方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−546032(P2008−546032A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515363(P2008−515363)
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【国際出願番号】PCT/IB2006/051811
【国際公開番号】WO2006/131888
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】