説明

スイッチング回路装置及び方法

【課題】電力供給装置に接続可能である負荷を実用するための回路を提供する。
【解決手段】本回路(200)は複数の三端子スイッチ(215)と1つの制御供給装置(252)とを含む。複数の三端子スイッチ(215)は電力供給装置(210)と負荷(205)との間に接続可能な直列の導電路(250)を規定する。複数の三端子スイッチ(215)の各々はソース端子(235)、ドレイン端子(240)及びゲート端子(245)を含む。制御供給装置(252)は制御電圧を生成するものであり且つ複数の三端子スイッチの各々のゲート端子とソース端子との間に電力接続関係にある。複数の三端子スイッチ(215)の各々はそのそれぞれのゲート端子(245)における制御電圧に応答して、複数の三端子スイッチの各々のそれぞれのソース端子(235)とそれぞれのドレイン端子(240)との間の接続部(255)を閉成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の様々な実施形態は、一般的に云えば、導電路の電流を制御するための三端子スイッチング素子に関するものであり、より具体的には、導電路内に直列接続した複数のスイッチング素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
普通の三端子スイッチ(例えば、金属酸化物半導体型電界効果トランジスタ(MOSFET)、絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT)、超小型電気機械システム(MEMS)スイッチなど)は、典型的には、ソース、ドレイン及びゲート端子を含んでいる。ソース端子は、典型的には、ソース端子とドレイン端子との間の導電路を閉じるためにソース端子の電位に対するゲート端子の制御電圧の印加に応答する接続部を含む。三端子スイッチは、典型的には、開放したソース端子とドレイン端子との間に印加することのできる最大推奨電圧定格を含む。最大推奨電圧定格よりも大きい電圧が印加されると、スイッチの絶縁耐力の破壊が生じるか、或いは開放したスイッチの一端子から該開放したスイッチの他の端子へのアークが生じる虞があり、これによって意図しない電流が導電路を通過し、該スイッチを損傷する可能性がある。
【0003】
複数の三端子スイッチを利用して任意の1つのスイッチの最大推奨電圧定格よりも大きい電位のかかる導電路を制御するために、1つのスイッチのドレインが別のスイッチのソースに直列接続されるように直列に配置した複数のスイッチを含むスイッチング回路を設けることができる。このような直列の配置構成は、典型的には、各スイッチと並列な抵抗を持つ抵抗分圧回路網を含んでおり、それらの抵抗は、複数のスイッチの全てが開放しているときに電流を減少させ且つ全開放回路電位を該複数のスイッチの各々にわたって分配するように選択された高い抵抗値を持つ。
【0004】
しかしながら、このような直列の構成では、アースのような基準に接続されていない各スイッチに浮遊ソース電圧が生じる。従って、ソースとドレインとの間の接続部を閉成するのに必要とされる各スイッチの(そのソースに対する)ゲートの電圧が、分圧回路網によって供給される電圧分配量だけ異なる。これを解決するために、典型的には、複数の三端子スイッチの各々に対応する複数の隔離された制御電圧供給装置を使用して、各三端子スイッチのゲート及びソースに、それぞれのソースとドレインとの間の接続部を閉成するための適切な電圧を供給している。このような複数の隔離された供給装置とそれらの関連した制御装置を使用することは、スイッチング回路の全体の複雑さ及びコストを増大させる。
【特許文献1】米国特許出願公開第2006078944号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、これらの欠点を克服するスイッチング装置が当該技術分野において必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、電力供給装置に接続可能である負荷を実用するための回路を含む。本回路は複数の三端子スイッチと1つの制御供給装置とを含む。複数の三端子スイッチは電力供給装置と負荷との間に接続可能な直列の導電路を規定する。複数の三端子スイッチの各々はソース端子、ドレイン端子及びゲート端子を含む。制御供給装置は制御電圧を生成するものであり且つ複数の三端子スイッチの各々のゲート端子とソース端子との間に電力接続関係にある。複数の三端子スイッチの各々はそのそれぞれのゲート端子の制御電圧に応答して、複数の三端子スイッチの各々のそれぞれのソース端子とそれぞれのドレイン端子との間の接続部を閉成する。
【0007】
本発明の別の実施形態は、電力供給装置に接続可能である負荷をスイッチングする方法を含む。本方法は、電力供給装置と負荷との間に接続可能である直列導電路を規定する段階を含み、該直列導電路は複数の三端子スイッチの各々のソース端子及びドレイン端子を含む。本方法は更に、複数の三端子スイッチの各々のゲート端子及びソース端子並びに複数の三端子スイッチの内の1つのスイッチのソース端子の間に電力接続関係にある1つの制御供給装置から、複数の三端子スイッチの各々のゲート端子で制御電圧を利用できるようにする段階を含む。本方法は、複数の三端子スイッチの各々のそれぞれのゲート端子に受け取った制御電圧に応答して、複数の三端子スイッチの各々のそれぞれのソース端子とそれぞれのドレイン端子との接続部を閉成する段階を含む。
【0008】
これらの及び他の利点及び特徴は、添付の図面に関連して提供する本発明の好ましい実施形態についての以下の詳細な説明から一層容易に理解されよう。
【0009】
模範的な図面を参照して説明するが、添付の図面では同様な要素には同じ番号を付している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の一実施形態では直列三端子スイッチング回路装置を提供し、これはその直列スイッチング回路内の複数の三端子スイッチを制御するために1つの制御電圧供給装置を利用する。隔離回路を設けることにより、この1つの制御電圧供給装置の使用を可能にする。一実施形態では、アーク抑圧回路により、スイッチの状態の変更の際に電流をスイッチから迂回させる。別の実施形態では、ソフト・スイッチング回路により、スイッチの状態の変更を、交流電流及び交流電圧の内の少なくとも一方のゼロ交差と同期させる。
【0011】
ここで図1について説明すると、電力供給装置210に接続可能な負荷205を実用するための回路200(これはまた、「スイッチング回路」とも呼ぶ)の回路図を示している。回路200は、複数の三端子スイッチ215(図示例では、三端子スイッチ220、225及び230)を含む。本書で使用する場合、参照数字215は、一般的に任意の1つの三端子スイッチを表すか又は複数の三端子スイッチを表し、他方、参照数字220、225及び230は指示された特定の三端子スイッチを表す。
【0012】
各々の三端子スイッチ215はソース端子235、ドレイン端子240及びゲート端子245を含む。スイッチ220及び225のソース端子235は、隣接するスイッチ225及び230のドレイン端子240にそれぞれ接続される。従って、図示のように、スイッチ230のドレイン端子240がスイッチ225のソース端子235と同じ電位になると云うようになることが理解されよう。複数の三端子スイッチ215は電力供給装置210と負荷205との間に接続可能である直列導電路250を規定し、該直列導電路250が複数の三端子スイッチ215の各々のソース端子235及びドレイン端子240を含むようにする。
【0013】
制御供給装置252が制御装置253と信号連通関係にあり且つ複数の三端子スイッチ215の各々のゲート端子245とスイッチ230のソース端子235との間に電力接続関係にある。制御供給装置252は制御装置253に応答して制御電圧を発生する。各々のスイッチ215のソース235とドレイン240との間の接続部255は、それぞれのソース235に対するゲート245での制御電圧の印加に応答して閉成し、これによって、各々のそれぞれのスイッチ215のそれぞれのソース235及びドレイン240を通る電流Iの流れを導くように状態を変更する。
【0014】
模範的な三端子スイッチ215、例えば、金属酸化物半導体型電界効果トランジスタ(MOSFET)、絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT)、超小型電気機械システム(MEMS)スイッチは、最大推奨開放スイッチ電圧を含むことができることが理解されよう。このようなスイッチ215は、抵抗分圧回路網260を設けることによって、最大推奨開放スイッチ電圧を越える電力供給装置210と共に利用することが可能である。抵抗分圧回路網260は、互いに直列に且つスイッチ220、225及び230の各々と並列にそれぞれ接続された抵抗R1、R2及びR3を含む。抵抗分圧回路網260は、複数のスイッチ215が開放状態にあるとき、複数のスイッチ215にかかる電位、すなわち、供給装置210の電圧を分布させて、任意の1つのスイッチ215にかかる電位がその最大推奨開放スイッチ電圧を越えないにする。
【0015】
理解のためのほんの一例として、各スイッチ215が105ボルトの最大推奨開放スイッチ電圧を持ち且つ電力供給装置210が300ボルトの電位を供給する場合、各々の抵抗値が等しいR1、R2及びR3を持つ抵抗分圧回路網260を設けることにより、各々のスイッチ220、225及び230にかかる開放スイッチ電位は100ボルトになる。従って、ソース235が浮遊ソースであって、回路ノード265、270及び275における各々のソース235が、アースのような基準277に対してそれぞれ0ボルト、100ボルト及び200ボルトの開放スイッチ電位を持つようになることが理解されよう。抵抗値の選択により、スイッチ215が開放している間に抵抗分圧回路網260を流れる全電流Iが規定される。用途によっては、R1、R2及びR3の抵抗値は、負荷205と供給装置210との間の開放回路を近似できるほどに電流Iの流れを低くできるように充分に大きく選択することができることが理解されよう。
【0016】
前に述べたように、各々の接続部255は、それぞれのソース235の電圧に対してそれぞれのゲート245に印加される制御電圧に応答する。従って、前に述べたように、各々の浮遊ソース235に対してゲート245に印加される(基準277に対する)異なる制御電圧が、複数のスイッチ215の各々の接続部255を閉成するのに必要である。例えば、接続部255を閉成するために50ボルトの相対電圧が必要である場合、スイッチ230、225及び220の接続部を閉成するための制御電圧がそれぞれ50ボルト、150ボルト及び250ボルトになることが理解されよう。従って、複数のスイッチにかかる電位を分布させるための抵抗分圧回路網を含む本例の回路は、複数の隔離された制御電力供給装置を用い、これらの複数の隔離された制御電力供給装置の各々は(基準277に対して)異なる電圧を供給する。
【0017】
回路200の一実施形態は、制御装置253と信号連通関係にあり且つ制御装置253に応答して、スイッチ215の状態の変更の際にノード265、270及び275の各々の相対電位の差を有意に低減する電位制御回路280(後で更に詳しく説明する)を含んでいる。従って、スイッチ215の状態の変更の際、電位制御回路280は異なるスイッチ220、225及び235の各々のゲート245とソース235との間の相対電位の差を低減する。従って、電位制御回路280は、(1つの制御電圧を発生する)1つの制御供給装置252を、スイッチ230の1つのソース235及び各スイッチ215のゲート245と接続して使用することを可能にする。
【0018】
また更に、電位制御回路280は、最大推奨開放スイッチ電圧を越える電圧を供給するような電力供給装置210及び制御供給装置252の内の少なくとも一方の使用に応答して、スイッチ215の降伏特性、すなわち、ソース235−ドレイン240間及びゲート245−ドレイン240間の両方の降伏特性から生じることのある2つの起こり得る問題を解決する。前に述べたように、抵抗分圧回路網260と関連したスイッチ215の直列の配置構成により、スイッチ215が開放状態にある間、各スイッチ215のソース235とドレイン240との間に供給装置210及び252の全電位が印加されるのを防止する。電位制御回路280は、以下に詳しく説明するように、スイッチ215の状態の変更の際に供給装置210及び252の全電位がスイッチ215へ印加されるのを防止する。例えば、電位制御回路280は、閉成すべき最後のスイッチ215へ供給装置210及び252の全電位が印加されるのを防止して、回路200が、各スイッチ215の最大推奨開放スイッチ電圧よりも大きい動作電圧を持つ供給装置210及び252に対処できるようにする。
【0019】
更に、閉成すべき最後のスイッチ215のゲート245とドレイン240との間に大きな電位が存在することもあることに注意する。例として示すと、スイッチ215が105ボルトの最大推奨開放スイッチ電圧を持ち、制御供給装置252によってソース235に対してゲート245に印加される制御電圧が直流100ボルトであり、且つ交流のピーク300ボルトの印加電圧が電力供給装置210によって供給されると仮定する。−300ボルトの負のピーク交流電圧のときに、閉成すべき最後のスイッチ215のゲート245とドレイン240との間に印加される電圧は500V(交流線路からの300Vとゲート制御装置からの200ボルトとの和)になる。以下に更に詳しく述べるように、電位制御回路280はまた、ゲート245とドレイン240の間の最大推奨開放スイッチ電圧を越える上記のような損傷生起電圧の印加を防止する。
【0020】
電位制御回路が制御装置から離隔していて、制御装置と信号連通関係にある場合について本発明の一実施形態を説明するが、本発明の範囲がそのような場合に制限されないこと、及び本発明が制御装置253及び電位制御回路280の機能及び構成部品を一体化したスイッチング回路の実施形態にも適用されることを理解されたい。
【0021】
前の例で述べたように、ソース端子235は浮遊しており、回路ノード265、270及び275におけるソース235の各々が、アースのような基準277に対して、それぞれ0ボルト、100ボルト及び200ボルトの開放スイッチ電位を持つ。
【0022】
一実施形態では、本発明による回路は更に、制御供給装置252と各スイッチ215のゲート245との間に配置された隔離回路285を含む。隔離回路285は制御供給装置252及び制御装置253と関連して動作して、各スイッチのゲート端子245に隔離された電圧を供給して、任意のスイッチ215のソース235とゲート245との間の開放スイッチ電位が、以下に更に詳しく説明するように、接続部255を閉成するために必要とされる制御電圧を越えないようにする。
【0023】
図2は、制御供給装置252の一実施形態の回路図を示す。図2に示されている制御供給装置252の実施形態では、制御供給装置252は矩形波発生器252である。矩形波発生器 252は発振回路289及びフリップフロップ回路293を含む。
【0024】
一実施形態では、発振回路は2つのNANDゲート297及び301と、2つの抵抗305及び309と、コンデンサ313とを含む。抵抗305はNANDゲート301と直列に接続される。抵抗309は抵抗305及びNANDゲート301と並列に接続されると共に、コンデンサ313及びNANDゲート297と並列に接続される。抵抗305,309の抵抗値及びコンデンサ313のキャパシタンス値の選択により、発振回路289の動作周波が決定される。発振回路289の出力は、接続部375を介してフリップフロップ293の入力と信号連通関係にある。フリップフロップ293の動作を可能にするために制御装置253によってイネーブル入力380が供給される。フリップフロップ293のS入力がアースに接続され、且つD入力384が出力390に接続される。従って、発振回路289が変化するとき、フリップフロップ293が変化して、接続部385及び390を介してフリップフロップ293の出力に矩形波を生成し、この矩形波は隔離回路285に供給される。
【0025】
図3は、隔離回路285の一実施形態の回路図を示す。隔離回路285は接続部385及び390を介して制御供給装置の出力を受け取り且つ制御装置253からイネーブル入力395を受け取って、各スイッチの各々のゲート245及びソース235へそれぞれ接続部400及び405を介して出力を供給する。制御供給装置252からの接続部385及び390は電力を供給し、他方、入力395は接続部400及び405における出力を制御する。例えば、隔離回路285が入力395から「高」(又は「1」)信号を受け取ったとき、接続部400及び405における出力はそれぞれのソース235とゲート245との間に制御電圧を供給して、スイッチ215の接続部255を閉成する。この代わりに、隔離回路が入力395から「低」(又は「0」)信号を受け取ったとき、接続部400及び405における出力(従って、それぞれのスイッチ215のソース235及びゲート245)は、スイッチ215の誤った閉成を防止するように、同じ電位に保持される。
【0026】
図3に示された隔離回路285の実施形態は、論理回路410、変圧器415、整流器420及び調整回路425を含んでいる。論理回路410は、入力395からの「高」信号に応答して、接続部385及び390において制御供給装置252によって供給された矩形波信号が変圧器415へ送られるように、イネーブル入力395に応答する。この代わりに、イネーブル入力395が「低」である場合、変圧器415へは何も送られない。一実施形態では、論理回路410は、図示のように、接続部385及び390を介して制御供給装置252の出力に接続され且つイネーブル入力395に接続された4つのNANDゲート430を含む。
【0027】
接続部385及び390からの矩形波信号は変圧器415を通過する。変圧器415は隔離を行うと共に、接続部385及び390によって供給されされた電圧を、接続部255を閉成するためにスイッチ215のゲート245とソース235との間に印加するのに適した制御電圧まで(適切な巻数比によって決定されるように)適切に昇圧する。
【0028】
一実施形態では、整流器420は全波ブリッジ整流器420であり、図示のようにブリッジ回路に接続された4つのダイオード432を含む。ブリッジ整流器420は出力接続部400及び405の間の所望の電位に調整され、変圧器415によって増大した矩形波電圧を整流して直流電圧信号を生成する。ノイズの伝達を低減するために、随意選択により、ブリッジ整流器420の出力に並列に接続されるコンデンサ435を設けることができる。
【0029】
調整回路425は、出力接続部400及び405の間の電圧の上昇(スイッチ・オン)及び電圧の低下(スイッチ・オフ)に関連した時間に依存した挙動を制御する。一実施形態では、調整回路425は、整流器420の出力と並列に接続された抵抗450、及び抵抗450とゲート出力接続部400との間に接続された別の抵抗440を含む。更に別の抵抗445が、トランジスタ455を介して抵抗450(及び整流器420出力)と並列に接続される。ダイオード460がトランジスタ455のベース462とエミッタ464との間に直列に接続される。トランジスタ455のエミッタ464はソース出力接続部405に接続される。
【0030】
一実施形態では、抵抗440の抵抗値は、接続部400及び405の間に印加される制御電圧のターンオン時間に関連した遅延を制御する。同様に、抵抗445の抵抗値は、接続部400及び405の間に印加される制御電圧のターンオフ時間に関連した遅延を制御する。
【0031】
抵抗450はコンデンサ435の放電路を提供する。ダイオード・ブリッジ420からの出力が除かれたとき、ダイオード460が導通を停止し、コンデンサ435が抵抗450を介して放電する。従って、接続部400におけるゲート245の電圧は、抵抗440及び450を介してトランジスタ455にベース電流を供給する。これは、トランジスタ455が流すことのできる電流の値がベース電流とトランジスタ利得(例えば、トランジスタ455が飽和に近づいているとき10の利得が使用される)との積であるとき、ターンオフ時間に影響を及ぼす。トランジスタ455が(コレクタからエミッタへ)導通する電流は抵抗445によって更に制限され、この抵抗445はターンオフ時間を設定するために使用される。ターンオンするとき、ダイオード460が導通して、コンデンサ435の頂部から抵抗440を通り、次いで接続部400及び405を通って、コンデンサ435の底部へ戻る経路を完成する。ダイオード460がこのように導通しているとき、それは逆ベース−エミッタ間電圧を上昇させて、確実にトランジスタ455がターンオフされるようにする。随意選択により、接続部400及び405の間の電位を制限するために接続部400及び405に並列に接続するツェナー・ダイオード465を設けることができる。
【0032】
従って、制御供給装置252に関連して隔離回路285を使用することにより、各々の三端子スイッチ215のソース端子235に対してゲート端子245で制御電圧を利用可能にして、各々のゲート端子245とソース端子235との間の制御電圧がその他のどの三端子スイッチ215のソース235の電位に対しても隔離されるようにする。
【0033】
一実施形態では、回路200は、閉成された導電路250を提供するために、複数のスイッチ215の接続部255の閉成を容易にする。(接続部255を閉成するために)制御装置253によって指令信号が供給された後、制御供給装置252は制御電圧を生成する。各々の隔離回路285内の抵抗440の適切な抵抗値を選択することにより、接続部400及び405の間のターンオン電圧の遅延に影響を与て、制御電圧が先ずスイッチ230のソース235に対してスイッチ230のゲート245に印加されて、スイッチ230の接続部255を閉成して、スイッチ230のドレイン240とソース235とを接続するようにする。従って、スイッチ230のドレイン240がノード270でスイッチ225のソース235に接続されるので、スイッチ225のソース235はスイッチ230のソース235と同じ電位になり、スイッチ230のソース235には制御供給装置252が接続される。従って、スイッチ230の接続部255の閉成後に、制御供給装置252がスイッチ230を介してノード270でスイッチ225のソース235と電力接続状態になる。従って、制御供給装置252は、スイッチ230のソース235に対してスイッチ225のゲート245に制御電圧を印加することによりスイッチ225の接続部255を閉成することができる。前と同様な態様で、スイッチ225の閉成後に、制御供給装置252がノード275でスイッチ220のソース235と電力接続状態になり、そして同様にスイッチ220の接続部255を閉成することができることが理解されよう。従って、抵抗440の適切な抵抗値を選択することにより、複数のスイッチ215の接点255をスタガ式に相次いで閉成することができ、これは、電位制御回路280と共同して、基準277に対して単一の制御電圧を発生する単一の制御供給装置252の使用を可能にする。以上のことから、スイッチ215の既知の又は決定された閉成又は反応時間を考慮して、適切な抵抗値を選択することにより、複数のスイッチ215の各々のゲート245に、そのソース235が制御供給装置252と電力接続状態にあるスイッチ230から始めてスタガ式に相次ぐ態様で、制御電圧を印加できるようにすることができる。同様に、ターンオフは抵抗445の抵抗値の選択によって調時することができる。
【0034】
図1及び上記の説明は3つの三端子スイッチ220、225及び230を持つ回路200に関するものであるが、本発明の範囲はそれに限定されず、本発明は、供給装置210によって供給される全電位を分配するのに適しているような任意の数のスイッチ215を用いることのできる様々な実施形態の回路200にも適用されることが理解されよう。
【0035】
更に、回路200の別の配置構成により本書に述べる機能を提供することができることも理解されよう。例えば、一実施形態では、スイッチ230に関連した隔離回路286は、スイッチ230のソース235が制御供給装置252と直接電力接続状態にあるとき、隔離変圧器415を必要としないことがある。このような実施形態の場合、隔離回路286は、例えば、論理回路410及び調整回路425の存在しない整流器回路420を含むように構成することができる。
【0036】
スイッチング回路200は、以下に述べるMEMSをベースとしたスイッチである三端子スイッチ215を使用するのが特に実用的であると考えられる。
【0037】
図4は、無アーク・スイッチング・システム10を利用する模範的な回路200のブロック図を示し、無アーク・スイッチング・システム10は本発明の様々な面に従って、MEMSをベースとしたスイッチ215を利用することができる。現在では、MEMSは一般に、例えば、多数の機能的に相異なる素子、例えば、機械的素子、電気機械的素子、センサ、アクチュエータ及び電子装置を、微細加工技術により共通の基板上に集積化することのできるミクロン規模の構造を表す。しかしながら、MEMS装置で現在利用できる多くの技術及び構造が、ナノ技術に基づく装置、例えば、100ナノメートル未満の大きさであるような構造により数年以内に利用可能になると考えられる。従って、たとえ以下の例示の実施形態がMEMSをベースとしたスイッチング装置に言及していても、本発明の独創的な面は広義に解釈されるべきであり、またミクロン・サイズの装置に制限されるべきではないことを申し添えたい。
【0038】
図4に示されているように、無アーク・スイッチング・システム10を利用する回路200の一実施形態は、スイッチング回路12と、アーク抑圧回路14を含む一実施形態の電位制御回路280とを有するものとして示されており、アーク抑圧回路14は、ハイブリッド無アーク制限技術(HALT)とも呼ばれ、スイッチング回路12に動作上結合される。特定の実施形態では、スイッチング回路12は、例えば、その全体を単一のパッケージ16内にアーク抑圧回路14と一体化することができる。他の実施形態では、スイッチング回路12の特定の部分又は部品のみをアーク抑圧回路14と一体化することができる。
【0039】
図5は、複数のスイッチ215を含むスイッチング回路315の現在考えられる構成を、複数のスイッチ215とアーク抑圧回路14との相互作用に特に注目して示している。図1に関して前に述べたような抵抗分圧回路網260及び制御供給装置252は図5の回路315の一部分であるが、図を簡潔にするために図示していないことを理解されたい。また、アーク抑圧回路14は平衡ダイオード・ブリッジ及びパルス回路を含むことができる。更に、アーク抑圧回路14は、スイッチ215の接点間のアーク形成の抑圧を容易にするように構成することができる。また、アーク抑圧回路14は交流(AC)又は直流(DC)に応答してアーク形成の抑圧を容易にするように構成することができることを指摘することができる。
【0040】
図4に示した模範的なスイッチング・システムの回路図18が一実施形態に従って図5に示されている。一実施形態では、複数のスイッチ215は第1のMEMSスイッチ20及び第2のMEMSスイッチ21を含み、これらのスイッチは、各々が第1の接点22、第2の接点24及び第3の接点26を持つものとして示されている。一実施形態では、第1の接点22はドレインとして構成することができ、第2の接点24はソースとして構成することができ、また第3の接点26はゲートとして構成することができる。更にまた、図5に示されているように、電圧スナッバ回路33をMEMSスイッチ20及び21と並列に結合し、且つ以下により詳しく説明するように高速接点開離の際に電圧オーバーシュートを制御するように構成することができる。ある特定の実施形態では、スナッバ回路33は、スナッバ抵抗(図7の78参照)と直列に結合されたスナッバ・コンデンサ(図7の76参照)を含むことができる。スナッバ・コンデンサは、MEMSスイッチ20及び21の順次の開放動作の際の過渡電圧分担の改善に役立つことができる。更にまた、スナッバ抵抗は、MEMSスイッチ20及び21の閉成動作の際にスナッバ・コンデンサによって発生されることのある電流パルスを抑圧することができる。特定の他の実施形態では、電圧スナッバ回路33は金属酸化物バリスタ(MOV)(図示せず)を含むことができる。
【0041】
本発明技術の更に別の面によれば、負荷回路40をMEMSスイッチ20及び21と直列に結合することができる。負荷回路40は電圧源(VBUS )44を含むことができる。更に、負荷回路40は負荷インダクタンス(LLOAD)46も含むことができ、この負荷インダクタンス(LLOAD)46は、複合負荷インダクタンスと、負荷回路40から見た母線インダクタンスとを表す。負荷回路40はまた、負荷回路40から見た複合負荷抵抗を表す負荷抵抗(RLOAD)48も含むことができる。参照数字50は、負荷回路40とMEMSスイッチ20及び21とを通って流れることのできる負荷回路電流(ILOAD)を表す。
【0042】
更に、図4に関して述べたように、アーク抑圧回路14は平衡ダイオード・ブリッジを含むことができる。図示の実施形態では、平衡ダイオード・ブリッジ28が第1の枝路29及び第2の枝路31を持つものとして示されている。本書で用いる用語「平衡ダイオード・ブリッジ」は、第1及び第2の枝路29及び31の両方の両端間の電圧降下が実質的に等しくなり、これによって、前に述べたように、スイッチ20のゲート26とスイッチ21のソース24との間の相対電位の差を有意に低減するように構成されているダイオード・ブリッジを表すために使用される。平衡ダイオード・ブリッジ28の第1の枝路29は、第1の直列回路を形成するように結合された第1のダイオード(D1)30及び第2のダイオード(D2)32を含むことができる。同様な態様で、平衡ダイオード・ブリッジ28の第2の枝路31は、第2の直列回路を形成するように動作上結合された第3のダイオード(D3)34及び第4のダイオード(D4)36を含むことができる。
【0043】
一実施形態では、MEMSスイッチ20及び21は平衡ダイオード・ブリッジ28の中間点同士の間に並列に結合することができる。平衡ダイオード・ブリッジの中間点は、第1及び第2のダイオード30及び32の間に位置する第1の中間点と、第3及び第4のダイオード34及び36の間に位置する第2の中間点とを含むことができる。更にまた、MEMSスイッチ20及び21並びに平衡ダイオード・ブリッジ28は、平衡ダイオード・ブリッジ28、特にMEMSスイッチ20及び21に対する接続部によって生じる寄生インダクタンスを最小にすることを容易にするために堅固にパッケージ化することができる。本発明技術の模範的な面によれば、MEMSスイッチ20及び21並びに平衡ダイオード・ブリッジ28は、(後でより詳しく説明するように)MEMSスイッチ20及び21のターンオフの際に負荷電流をダイオード・ブリッジ28へ転送するときに、MEMSスイッチ20及び21と平衡ダイオード・ブリッジ28との間の固有のインダクタンスがMEMSスイッチ20のドレイン22とMEMSスイッチ21のソース24との間の電圧の数パーセント未満のdi/dt電圧を生成するように、互いに対して配置されることを指摘することができる。一実施形態では、MEMSスイッチ20及び21は単一のパッケージ38内で、又は随意選択により、MEMSスイッチ20及び21とダイオード・ブリッジ28とを相互接続するインダクタンスを最小にすることを意図して同じダイで、平衡ダイオード・ブリッジ28と一体化することができる。
【0044】
また、アーク抑圧回路14は平衡ダイオード・ブリッジ28と動作上関連して結合されたパルス回路52を含むことができる。パルス回路52は制御装置253(図1参照)に応答して、スイッチ条件を検出し、そしてこのスイッチ条件に応答して、前に述べたようにMEMSスイッチ20及び21のスタガ式の相次ぐ開放を開始することができる。本書で用いられる用語「スイッチ条件」とは、MEMSスイッチ20及び21の現在の動作状態の変更をトリガする条件を表す。例えば、スイッチ条件はMEMSスイッチ20及び21の第1の閉成状態を第2の開放状態へ又はMEMSスイッチ20及び21の第1の開放状態を第2の閉成状態へ変更させることができる。スイッチ条件は、限定するものではないが、回路故障又はスイッチのオン/オフ要求を含む多数の行為に応答して生じることができる。
【0045】
パルス回路52は、パルス・スイッチ54、及び該パルス・スイッチ54に直列結合されたパルス・コンデンサ(CPULSE )56を含むことができる。更に、パルス回路はまた、パルス・スイッチ54と直列に結合されたパルス・インダクタンス(LPULSE )58及び第1のダイオード(D)60を含むことができる。パルス・インダクタンス(LPULSE )58、ダイオード(D)60、パルス・スイッチ54及びパルス・コンデンサ(CPULSE )56は直列に結合されて、パルス回路52の第1の枝路を形成することができ、この第1の枝路の構成部品はパルス電流の成形及びタイミングを容易にするように構成することができる。また、参照数字62は、パルス回路52を通って流れることのできるパルス回路電流(IPULSE )を表す。
【0046】
本発明の様々な面によれば、MEMSスイッチ20及び21は、電位制御回路280のアーク抑圧回路14によって供給されるようなほぼゼロの電圧にも拘わらず電流を通しなら、第1の閉成状態から第2の開放状態へ急速に(例えば、ピコ秒又はナノ秒の程度で)切り換えることができる。これは、MEMSスイッチ20及び21の接点間に並列に結合された平衡ダイオード・ブリッジ28を含むパルス回路52との組み合わさった動作により達成することができる。
【0047】
次に図6について説明すると、図6は本発明の様々な面に従った模範的なソフト・スイッチング・システム11のブロック図を示す。図6に示されているように、ソフト・スイッチング・システム11は、検出回路70及び制御回路72を含んでいる別の実施形態の電位制御回路280と動作上結合されたスイッチング回路12を含む。検出回路70はスイッチング回路12に結合して、負荷回路における交流電源電圧(以後、「電源電圧」とも呼ぶ)又は負荷回路における交流電流(以後、「負荷回路電流」とも呼ぶ)のゼロ交差の発生を検出するように構成することができる。制御回路72はスイッチング回路12及び検出回路70に結合することができ、また、(前に述べたように、図5を参照すると最も良く理解されるように)スイッチ20のゲート26とスイッチ21のソース24との間の相対電位の差が減じるように交流電源電圧又は交流負荷回路電流の検出されたゼロ交差に応答してスイッチング回路12内の1つ以上のスイッチの無アーク・スイッチングを促進するように構成することができる。一実施形態では、制御回路72は、スイッチング回路12の少なくとも一部分を構成する複数のスイッチ215の無アーク・スイッチングを容易にするように構成することができる。
【0048】
本発明の一面によれば、ソフト・スイッチング・システム11はソフト又はポイント−オン−ウェーブ(point-on-wave(PoW))スイッチングを行うことができ、これによって、スイッチング回路12内の複数のスイッチ215は、(例えば、図1に示されているノード265、270、275を含む)スイッチング回路12の両端間の電圧がゼロであるか又はゼロに非常に近い時に閉成し、且つスイッチング回路12を通る電流がゼロであるか又はゼロに非常に近い時に開放することができる。スイッチング回路12の両端間の電圧がゼロであるか又はゼロに非常に近い時にスイッチを閉成することによって、前に述べたように、単一の制御電源252によって供給される単一の制御電圧を各スイッチで使用して、各スイッチのそれぞれの接続部255を閉成することができる。更に、たとえ複数のスイッチが全て同時に閉成しない場合でも、複数のスイッチが閉成するとき、複数のスイッチ215の接点の間の電界を低く保つことによってプリストライク(pre-strike)アーク放電を防止することができる。同様に、ソフト・スイッチング・システム11は、スイッチング回路12を通る電流がゼロ又はゼロに近い時にスイッチを開放することによって、最後のスイッチの電流が該スイッチの設計上の能力の範囲内に入るように設計することができる。制御回路72は、スイッチング回路12の複数のスイッチ215の開放及び閉成を、交流電源電圧又は交流負荷回路電流のゼロ交差の発生と同期させるように構成することができる。
【0049】
次に図7を見ると、図6のソフト・スイッチング・システム11を含むスイッチング回路320の一実施形態の回路図19を示している。図示の実施形態では、回路図19は、スイッチング回路12、検出回路70及び制御回路72の一例を含む。図1に関して前に述べたような、隔離回路285を含めて、抵抗分圧回路網260及び制御供給装置252が図7の回路320の一部分であるが、図を簡潔にするために除去していることが理解されよう。
【0050】
説明のために、図7にはスイッチング回路12内のMEMSスイッチ20のような単一の三端子スイッチ20のみを図示しているが、本発明の様々な実施形態では、スイッチング回路12が、例えば、ソフト・スイッチング・システム11の電流及び電圧処理要件に基づいて、複数のスイッチ20を含むことが理解されよう。一実施形態では、スイッチング回路12は、図1に関して前に述べたように、複数のMEMSスイッチの間で電圧を分割するように直列構成に結合した複数のMEMSスイッチより成るアレイ(配列)を含むことができる。
【0051】
別の実施形態では、スイッチング回路12は、複数のMEMSスイッチの間で電流を分割するように並列構成に結合した複数のMEMSスイッチを持つスイッチ・モジュールを含むことができる。更に別の実施形態では、スイッチング回路12は、複数のMEMSスイッチ・モジュールの間で電圧を同時に分割し且つ各モジュール内の複数のMEMSスイッチの間で電流を分割するように直列構成に結合した複数のMEMSスイッチ・モジュールより成るアレイを含むことができる。一実施形態では、スイッチング回路12の1つ以上のMEMSスイッチは単一のパッケージ74内に集積化することができる。
【0052】
前に述べたように、模範的なMEMSスイッチ20は3つの接点を含むことができる。一実施形態では、第1の接点はドレイン22として構成することができ、第2の接点はソース24として構成することができ、また第3の接点はゲート26として構成することができる。一実施形態では、制御回路72は、MEMSスイッチ20の電流状態のスイッチングを容易にするためにゲート接点26に結合することができる。またある特定の実施形態では、MEMSスイッチ20の両端間での電圧の出現を遅延させるためにMEMSスイッチ20と並列に減衰回路(スナッバ回路)33を結合することができる。図示のように、減衰回路33は、例えば、スナッバ抵抗78と直列に結合されたスナッバ・コンデンサ76を含むことができる。
【0053】
また、MEMSスイッチ20は、図7に更に示されているように負荷回路40と直列に結合することができる。現在考えられる構成では、負荷回路40は電圧源(VSOURCE)44を含むことができ、また典型的な負荷インダクタンス(LLOAD)46及び負荷抵抗(RLOAD)48を有することができる。一実施形態では、電圧源(VSOURCE)44(AC電圧源とも呼ぶ)は、交流電源電圧及び交流負荷電流(ILOAD)50を生じるように構成することができる。
【0054】
前に指摘したように、検出回路70は負荷回路40内の交流電源電圧又は交流負荷電流(ILOAD)50のゼロ交差の発生を検出するように構成することができる。交流電源電圧は電圧検知回路80により検知することができ、また交流負荷電流(ILOAD)50は電流検知回路82により検知することができる。交流電源電圧及び交流負荷電流は、連続的に又は離散的な周期で検知することができる。
【0055】
電源電圧のゼロ交差は、例えば、図示のゼロ電圧比較器84のような比較器を使用することにより検出することができる。電圧検知回路80によって検知された電圧及びゼロ電圧基準86を、ゼロ電圧比較器84に対する入力として用いることができる。次に、負荷回路40の電源電圧のゼロ交差を表す出力信号88を生成することができる。同様に、負荷電流(ILOAD)50のゼロ交差もまた、図示のゼロ電流比較器92のような比較器を使用することにより検出することができる。電流検知回路82によって検知された電流及びゼロ電流基準90を、ゼロ電流比較器92に対する入力として用いることができる。次に、負荷電流(ILOAD)50のゼロ交差を表す出力信号94を生成することができる。
【0056】
次いで、制御回路72が出力信号88及び94を利用して、MEMSスイッチ20(又は、MEMSスイッチのアレイ)の現在の動作状態を変更(例えば、開放又は閉成)すべき時を決定することができる。より詳しく述べると、制御回路72は、交流負荷電流(ILOAD)50の検出されたゼロ交差に応答して負荷回路40を遮断すなわち開放するために(図1に示した複数のスイッチ215及び図5に示したスイッチ20及び21のような)MEMSスイッチ20のアレイをスタガ式に相次いでアークの無い態様で開放するのを容易にするように構成することができる。更に、制御回路72は、交流電源電圧の検出されたゼロ交差の応答して負荷回路40を完成するためにMEMSスイッチ20のアレイをスタガ式に相次いでアークの無い態様で閉成するのを容易にするように構成することができる。
【0057】
一実施形態では、制御回路72は、少なくとも部分的にイネーブル信号96の状態に基づいてMEMSスイッチ20の現在の動作状態を第2の動作状態へ切り換えるべきかどうか決定することができる。イネーブル信号96は、例えば、接触器用途における電源オフ指令の結果として発生することができる。一実施形態では、イネーブル信号96並びに出力信号88及び94は、図示のように二重D型フリップフロップ98に対する入力として使用することができる。これらの信号は、イネーブル信号96が活性化された(例えば、立上りでトリガされた)後の最初の電源電圧ゼロでMEMSスイッチ20を閉成し、またイネーブル信号96が不活性化された(例えば、立下がりでトリガされた)後の最初の負荷電流ゼロでMEMSスイッチ20を開放するために使用することができる。図7の回路図19に関して説明すると、イネーブル信号96が活性であり(特定の具現化手段に依存して高又は低のいずれかである)且ついずれかの出力信号88又は94が検知された電圧又は電流ゼロを表している度毎に、トリガ信号102を発生することができる。一実施形態では、トリガ信号102は、例えば、NORゲート100により発生することができる。次いで、トリガ信号102はMEMSゲート駆動装置104に送られて、ゲート作動信号106を発生させる。ゲート作動信号106は、MEMSスイッチ20のゲート26(又は、MEMSアレイの場合には複数のゲート)に制御電圧を印加するために使用することができる。
【0058】
これまで、MEMSスイッチに関連してアーク抑圧回路14及びソフト・スイッチング・システム11の内の少なくとも一方を含む電位制御回路280を有する本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲がそのようなものに制限されないこと、また、本発明が、例えばMOSFET及びIGBTスイッチのような複数の別の三端子スイッチに関連して電位制御回路280を含むスイッチング回路の実施形態に適用されることが理解されよう。
【0059】
図8は、電力供給装置210のような電力供給装置と接続可能である負荷205のような負荷をスイッチングするための方法の流れ図350を示す。
【0060】
図1に関連して図8について説明すると、本方法の一実施形態は、段階355で、電力供給装置210と負荷205との間に接続可能な直列導電路250を規定することから開始し、直列導電路250は複数の三端子スイッチ215の各々のソース端子235及びドレイン端子240を含む。本方法は次いで、段階360で、複数の三端子スイッチ215の各々のゲート端子245とソース端子235との間に電力接続関係にある制御供給装置252によって、複数の三端子スイッチ215の各々のゲート端子245に制御電圧を利用可能にする。本方法は最後に、段階365で、各々の三端子スイッチ215のそれぞれのゲート端子245で受け取った制御電圧に応答して、複数の三端子スイッチ215の各々のそれぞれのソース端子235とそれぞれのドレイン端子240との間の接続部255を閉成する。
【0061】
一実施形態は、複数の三端子スイッチ215の各々のソース端子235に対してゲート端子245で制御電圧を利用可能にすることを含み、複数の三端子スイッチ215の各々のそれぞれのゲート端子245とソース端子235との間のゲート電圧は、複数の三端子スイッチ215の内の他のどの三端子スイッチ215のソース235の電位に対しても隔離される。
【0062】
一実施形態では、段階360で制御電圧を利用可能にするには、複数の三端子スイッチ215の各々のゲート端子245と並列接続関係にある唯一つの制御供給装置252を利用する。段階360で制御電圧を利用可能にするには、更に、複数の三端子スイッチ215の各々の相次ぐゲート端子245で制御電圧を時間遅延させることを含む。
【0063】
本発明の一実施形態は更に、複数の三端子スイッチ215を第1の状態から第2の状態へ、例えば、開放状態から閉成状態へ又は閉成状態から開放状態へ変更すること、及びスイッチの状態の変更に応答して、直列導電路250から、複数の三端子スイッチ215と並列接続関係に配置された電位制御回路280のアーク抑圧回路14への電気エネルギの転送を迂回させ又は受け取ることを含む。別の実施形態は更に、複数の三端子スイッチ215の状態の変更を、直列導電路250を通る交流電流及び基準270に対する直列導電路250の交流電圧の内の少なくとも一方のゼロ交差の発生と同期させることを含む。本発明の別の実施形態は、制御供給装置252と複数の三端子スイッチ215の各々のゲート端子245との間に直列接続した複数のスイッチ305,310を制御することを含む。
【0064】
これまで開示したように、本発明の実施形態によっては、次の利点の幾つかを含むことができる。すなわち、(1)単一の電力供給装置の使用して、直列回路網内の複数の三端子スイッチに単一の制御電圧を供給すること、(2)コストを低減しながら回路電圧容量を増大したこと、及び(3)複雑さを低減しながら回路電圧容量を増大したことである。
【0065】
以上、本発明を模範的な実施形態に関して説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を為すことができ、且つ構成要素を等価物と置換することができることが理解されよう。更に、本発明の範囲から逸脱することなく、特定の状況又は材料を本発明の教示に適合させるように多数の修正をなすことができる。従って、本発明は、発明を実施するための最良の又は唯一の形態として開示した特定の実施形態に制限されず、本発明は特許請求の範囲内に入る全ての実施形態を含むものである。また、図面及び明細書に本発明の模範的な実施形態を開示した。また特定の用語を用いているが、それらは特記しない限り制限する目的ではなく一般的且つ記述的な意味でのみ使用しており、従って、本発明の範囲はそれに制限されるものではない。更に、第1、第2などの用語の使用は順序や重要性を表しているものではなく、むしろ第1、第2などの用語は一要素を別の要素から区別するために用いている。また更に、数を特記していない用語はその項目が1つであることを表しているのではなく、むしろその項目が少なくとも1つ存在していることを表す。また、図面の符号に対応する特許請求の範囲中の符号は、単に本願発明の理解をより容易にするために用いられているものであり、本願発明の範囲を狭める意図で用いられたものではない。そして、本願の特許請求の範囲に記載した事項は、明細書に組み込まれ、明細書の記載事項の一部となる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態によるスイッチング回路の回路図である。
【図2】本発明の一実施形態による制御供給装置回路の回路図である。
【図3】本発明の一実施形態による隔離回路の回路図である。
【図4】本発明の一実施形態による無アーク・スイッチング・システムのブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態によるアーク抑圧回路を含むスイッチング回路の回路図である。
【図6】本発明の一実施形態によるソフト・スイッチング・システムのブロック図である。
【図7】本発明の一実施形態によるソフト・スイッチング・システムを含むスイッチング回路の回路図である。
【図8】本発明の一実施形態に従った電力供給装置に接続可能な負荷をスイッチングするための方法の流れ図である。
【符号の説明】
【0067】
10 無アーク・スイッチング・システム
11 ソフト・スイッチング・システム
16 単一のパッケージ
18 スイッチング・システムの回路図
19 スイッチング回路の回路図
20 スイッチ
22 ドレイン
24 ソース
26 ゲート
28 ブリッジ
29 枝路
30 ダイオード
31 枝路
32 ダイオード
33 スナッバ回路/減衰回路
34 ダイオードD3
36 ダイオードD4
38 パッケージ
40 負荷回路
44 電圧源
46 負荷インダクタンス
48 負荷抵抗
50 負荷電流
52 パルス回路
54 パルス・スイッチ
56 パルス・コンデンサ
58 パルス・インダクタンス
60 第1のダイオード
62 パルス回路電流
74 単一のパッケージ
76 スナッバ・コンデンサ
78 スナッバ抵抗
80 電圧検知回路
82 電流検知回路
84 電圧比較器
86 電圧基準
88 出力信号
90 電流基準
92 ゼロ電流比較器
94 出力信号
96 イネーブル信号
98 二重D型フリップフロップ
100 NORゲート
102 トリガ信号
104 MEMSゲート駆動装置
106 ゲート作動信号
200 回路
215 複数の三端子スイッチ
220 三端子スイッチ
225 三端子スイッチ
230 三端子スイッチ
235 ソース端子
240 ドレイン端子
245 ゲート端子
250 導電路
252 制御供給装置
255 接続部
260 抵抗分圧回路網
265 回路ノード
270 回路ノード
275 回路ノード
277 基準
285 隔離回路
289 発振回路
293 フリップフロップ回路
297 NANDゲート
301 NANDゲート
305 抵抗
309 抵抗
313 コンデンサ
315 スイッチング回路
320 スイッチング回路
350 流れ図
375 接続部
380 イネーブル入力
385 接続部
390 接続部
395 イネーブル入力
400 ゲート出力接続部
405 ソース出力接続部
410 論理回路
415 変圧器
420 整流器
425 調整回路
430 NANDゲート
435 コンデンサ
440 抵抗
445 抵抗
450 抵抗
455 トランジスタ
460 ダイオード
462 ベース
464 エミッタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給装置(210)に接続可能である負荷(205)を実用するための回路(200)であって、
電力供給装置(210)と負荷(205)との間に接続可能な直列導電路(250)を規定する複数の三端子スイッチ(215)であって、前記直列導電路(250)が当該複数の三端子スイッチ(215)の各々のソース端子(235)及びドレイン端子(240)を有している、複数の三端子スイッチ(215)と、
前記複数の三端子スイッチ(215)の各々のゲート端子(245)と前記複数の三端子スイッチ(215)の各々のソース端子(235)との間に電力接続関係にあり、且つ制御電圧を生成する1つの制御供給装置(252)と、を有し、
前記複数の三端子スイッチ(215)の各々がそのそれぞれのゲート端子(245)における制御電圧に応答して、これにより前記複数の三端子スイッチの各々のそれぞれのソース端子(235)とそれぞれのドレイン端子(240)との間の接続部(255)を閉成すること、
を特徴とする回路(200)。
【請求項2】
前記1つの制御供給装置(252)は、前記複数の三端子スイッチ(215)の各々のゲート端子(245)と並列接続関係にある唯一つの制御供給装置(252)を有している、請求項1記載の回路(200)。
【請求項3】
前記1つの制御供給装置(252)は矩形波発生器(252)を有している、請求項1記載の回路(200)。
【請求項4】
更に、前記1つの制御供給装置(252)と前記複数の三端子スイッチ(215)の内の1つの三端子スイッチ(215)との間に前記1つの三端子スイッチ(215)のソース端子(235)及びゲート端子(245)を介して電力接続関係に配置された隔離回路(285)を有している請求項1記載の回路(200)。
【請求項5】
前記回路(200)は更に、前記制御供給装置(252)と信号連通関係にある制御装置(253)を有しており、
前記隔離回路(285)は、前記制御供給装置(252)と電力接続関係にあり且つ前記制御装置(253)と信号連通関係にある論理回路(410)と、前記論理回路(410)と電力接続関係にある変圧器(415)と、前記変圧器(415)と電力接続関係にある整流器(420)と、前記整流器(420)並びに前記三端子スイッチ(215)のソース端子(235)及びゲート端子(245)と電力接続関係にある調整回路(425)とを有している、請求項4記載の回路(200)。
【請求項6】
前記複数の三端子スイッチ(215)は複数の超小型電気機械システム(MEMS)スイッチ(215)を有している、請求項1記載の回路(200)。
【請求項7】
電力供給装置(210)に接続可能である負荷(205)をスイッチングする方法であって、
複数の三端子スイッチ(215)の各々のソース端子(235)及びドレイン端子(240)を有している直列導電路(250)であって、電力供給装置(210)と負荷(205)との間に接続可能である直列導電路(250)を規定する段階(355)と、
前記複数の三端子スイッチ(215)の各々のゲート端子(245)及びソース端子(235)の間に電力接続関係にある1つの制御供給装置(252)から、前記複数の三端子スイッチ(215)の各々のゲート端子(245)で制御電圧を利用可能にする段階(360)と、
前記複数の三端子スイッチ(215)の各々のそれぞれのゲート端子(245)に受け取った制御電圧に応答して、前記複数の三端子スイッチ(215)の各々のそれぞれのソース端子(235)とそれぞれのドレイン端子(240)との間の接続部(255)を閉成する段階(365)と、
を有している方法。
【請求項8】
前記利用可能にする段階(360)は、前記複数の三端子スイッチ(215)の各々のそれぞれのゲート端子(245)と並列接続関係にある唯一つの制御供給装置(252)によって前記複数の三端子スイッチ(215)の各々のそれぞれのゲート端子(245)で制御電圧を利用可能にする段階(360)を有している、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記利用可能にする段階(360)は、前記複数の三端子スイッチ(215)の各々の相次ぐゲート端子(245)で制御電圧を時間遅延させることを有している、請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記利用可能にする段階(360)は、前記複数の三端子スイッチ(215)の各々のソース端子(235)に対してゲート端子(245)で制御電圧を利用可能にする段階(360)を含み、前記複数の三端子スイッチ(215)の各々のそれぞれのゲート端子(245)とソース端子(235)との間の制御電圧は、前記複数の三端子スイッチ(215)の内の他のどの三端子スイッチ(215)のソース235の電位に対しても隔離される、請求項7記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−77628(P2009−77628A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238766(P2008−238766)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】