スイッチング電源回路
【課題】スイッチング素子耐圧を超えずゼロ電圧スイッチングを実現し高効率なスイッチング電源回路。
【解決手段】巻線L1-1と巻線L1-2とが直列に接続された第1リアクトルに直列に接続された第2リアクトルLr、直流電源Vinの一端と他端との間に接続され第1リアクトルとリアクトルLrとコンデンサC1とダイオードD1と出力コンデンサCoとの直列回路、巻線L1-1と巻線L1-2との接続点と直流電源の一端との間に接続されたスイッチング素子Q1、一端が巻線L1-1と巻線L1-2との接続点に接続され他端がコンデンサC1とダイオードD1との接続点に接続されスイッチング素子Q2とコンデンサC2との直列回路、コンデンサC1とダイオードD1との接続点と直流電源の一端との間に接続されたリアクトルL2、スイッチング素子Q1のターンオンがゼロ電圧スイッチングとなるようにスイッチング素子Q2のオンオフを制御する制御回路10を有する。
【解決手段】巻線L1-1と巻線L1-2とが直列に接続された第1リアクトルに直列に接続された第2リアクトルLr、直流電源Vinの一端と他端との間に接続され第1リアクトルとリアクトルLrとコンデンサC1とダイオードD1と出力コンデンサCoとの直列回路、巻線L1-1と巻線L1-2との接続点と直流電源の一端との間に接続されたスイッチング素子Q1、一端が巻線L1-1と巻線L1-2との接続点に接続され他端がコンデンサC1とダイオードD1との接続点に接続されスイッチング素子Q2とコンデンサC2との直列回路、コンデンサC1とダイオードD1との接続点と直流電源の一端との間に接続されたリアクトルL2、スイッチング素子Q1のターンオンがゼロ電圧スイッチングとなるようにスイッチング素子Q2のオンオフを制御する制御回路10を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング素子のスイッチング損失を低減することができるスイッチング電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
図12に従来の昇降圧型のスイッチング電源回路の一例を示す。図12に示すスイッチング電源回路は、シングルエンド型一次インダクタンス・コンバータ(SEPIC)と呼ばれるもので、2つのリアクトルを用いて入力電圧に対して昇圧又は降圧した出力電圧を得るものである。図12において、直流電源Vinの両端にはリアクトルL1aとMOSFETからなるスイッチング素子Q1と電流検出抵抗R1との直列回路が接続されている。
【0003】
スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間にはダイオードDaとコンデンサCaとの並列回路が接続されている。ダイオードDaはスイッチング素子Q1の寄生ダイオードでも良く、コンデンサCaはスイッチング素子Q1の寄生コンデンサでも良い。
【0004】
スイッチング素子Q1と電流検出抵抗R1との直列回路の両端にはコンデンサC1とリアクトルL2との直列回路が接続され、リアクトルL2の両端にはダイオードD1と出力コンデンサCoとの直列回路が接続されている。制御回路100は、出力コンデンサCoからの電圧と電流検出抵抗R1からの電圧とに基づいてスイッチング素子Q1をオン/オフさせ、出力電圧Voの制御を行う。
【0005】
このようなSEPICタイプのスイッチング電源回路は、特に、直流カット用のコンデンサC1が直流電源ラインに挿入され、このコンデンサC1により出力短絡が保護されるという利点があるため注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−66017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された従来のスイッチング電源回路では、PWM制御などにより直流電流が重畳されるために、ダイオードD1にリカバリ電流が発生する。このリカバリ電流とスイッチング素子Q1に印加される電圧とによりスイッチング素子Q1にスイッチング損失を発生してしまう。このため、直流電源Vinの利用効率が低下してしまう。
【0008】
本発明の課題は、スイッチング素子の耐圧を超えないように電圧上昇を抑制するとともに、ゼロ電圧スイッチングを実現し、高効率なスイッチング電源回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のスイッチング電源回路は、第1巻線とこの第1巻線に磁気結合する第2巻線とが直列に接続された第1リアクトルと前記第1リアクトルに直列に接続された第2リアクトルとからなるリアクトル回路と、直流電源の一端と他端との間に接続され、前記第1リアクトルと前記第2リアクトルと第1コンデンサと第1ダイオードと出力コンデンサとが直列に接続された第1直列回路と、前記第1巻線と前記第2巻線との接続点と前記直流電源の一端との間に接続された第1スイッチング素子と、一端が前記第1巻線と前記第2巻線との接続点に接続され且つ他端が前記第1コンデンサと前記第1ダイオードとの接続点又は前記第1ダイオードと前記出力コンデンサとの接続点に接続され、第2スイッチング素子と第2コンデンサとが直列に接続された第2直列回路と、前記第1コンデンサと前記第1ダイオードとの接続点と前記直流電源の一端との間に接続された第3リアクトルと、前記第1スイッチング素子のターンオンがゼロ電圧スイッチングとなるように、前記第2スイッチング素子のオンオフを制御する制御回路とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1スイッチング素子がオフすると第1リアクトルの励磁エネルギーは、第1巻線から第2スイッチング素子と第2コンデンサとを介して出力コンデンサに放出され、第2コンデンサは充電されるが、同時に第2巻線からもエネルギーが放出され、第2巻線、第2リアクトル、第1コンデンサ、第2コンデンサ、第2スイッチング素子の経路又は第2巻線、第2リアクトル、第1コンデンサ、第1ダイオード、第2コンデンサ、第2スイッチング素子の経路で第2コンデンサが放電されるので、第2コンデンサの充電電圧が低く抑えられ、第1及び第2スイッチング素子の耐圧を超えず、第1及び第2スイッチング素子のゼロ電圧スイッチングを実現し、高効率なスイッチング電源回路を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例1のスイッチング電源回路の構成図である。
【図2】本発明の実施例1のスイッチング電源回路の各部の動作を示す波形図である。
【図3】本発明の実施例1のスイッチング電源回路の各部が各期間毎に動作したときの電流経路を太線で示した図である。
【図4】本発明の実施例1のスイッチング電源回路の各部が各期間毎に動作したときの電流経路を太線で示した図である。
【図5】本発明の実施例2のスイッチング電源回路の構成図である。
【図6】本発明の実施例2のスイッチング電源回路の各部の動作を示す波形図である。
【図7】本発明の実施例3のスイッチング電源回路の構成図である。
【図8】本発明の実施例4のスイッチング電源回路の構成図である。
【図9】本発明の実施例5のスイッチング電源回路の構成図である。
【図10】本発明の実施例6のスイッチング電源回路の構成図である。
【図11】本発明の実施例7のスイッチング電源回路の構成図である。
【図12】従来の昇降圧型のスイッチング電源回路の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態のスイッチング電源回路を図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は本発明の実施例1のスイッチング電源回路の構成図である。図1に示す実施例1のスイッチング電源回路は、図12に示す従来のスイッチング電源回路の構成に対して、第1巻線L1−1とこの第1巻線L1−1に磁気結合する第2巻線L1−2とを有する第1リアクトルと、第2リアクトルLrとからなるリアクトルL1(リアクトル回路)を有している。
【0014】
また、第1巻線L1−1と第2巻線L1−2との接続点と、コンデンサC1(第1コンデンサ)とダイオードD1(第1ダイオード)のアノードとの接続点との間には、MOSFETからなるスイッチング素子Q2(第2スイッチング素子)とコンデンサC2(第2コンデンサ)との直列回路が接続されている。スイッチング素子Q2とコンデンサC2とはアクティブクランプ回路を構成している。
【0015】
スイッチング素子Q2のドレイン−ソース間にはダイオードDbとコンデンサCbとの並列回路が接続されている。ダイオードDbはスイッチング素子Q2の寄生ダイオードでも良く、コンデンサCbはスイッチング素子Q2の寄生コンデンサでも良い。
【0016】
なお、その他の構成は、図12の構成と同じであるので、同一部分には同一符号を付けている。
【0017】
第2リアクトルLrは、第1リアクトルの第1巻線L1−1と第2巻線L1−2との間の漏れ磁束によるリーケージインダクタンスからなる。なお、第2リアクトルLrは、前記リーケージインダクタンスではなく、個別に設けても良い。また、第1巻線L1−1と第2巻線L1−2との巻数比は、10:1程度で良い。リアクトルL2は第3リアクトルに対応する。
【0018】
制御回路10は、出力コンデンサCoからの電圧と電流検出抵抗R1からの電圧とに基づいてゲート信号Q1gを生成してスイッチング素子Q1のゲートに出力しスイッチング素子Q1(第1スイッチング素子)をオンオフさせる。
【0019】
制御回路10は、スイッチング素子Q1をオンオフさせるゲート信号Q1gを反転させたゲート信号Q2gを生成し、スイッチング素子Q2のゲートに出力しスイッチング素子Q2をオンオフさせる。
【0020】
また、制御回路10は、スイッチング素子Q1のターンオンがゼロ電圧スイッチングとなるように、スイッチング素子Q2のオンオフを制御する。
【0021】
なお、スイッチング素子Q1,Q2に印加される電圧は、出力コンデンサCoの両端電圧とコンデンサC2の両端電圧との和である。
【0022】
図2は本発明の実施例1のスイッチング電源回路の各部の動作を示す波形図である。図3及び図4は本発明の実施例1のスイッチング電源回路の各部が各期間毎に動作したときの電流経路を太線で示した図である。
【0023】
なお、図2において、コンデンサC2の電圧C2vは、スイッチング素子Q2のドレイン側電位を正とし、+Vo側電位を0ボルトと定義する。
【0024】
次に、図1乃至図4を参照しながら、実施例1のスイッチング電源回路の各部の動作を説明する。なお、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2とは所定のデッドタイムtdを有し、交互にオン/オフするようになっている。図3(a)は初期状態を示している。
【0025】
まず、図3(b)の期間t3において、直流電源Vinの電圧により励磁されたリアクトルL1のエネルギーにより、L1−1→Q1(Ca)→R1→Vinの負極の経路で、スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間のコンデンサCaが充電される。このため、スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間の電圧Q1vが上昇する。
【0026】
また、これと同時に、リアクトルL1のエネルギーは、L1−1→Q2(Cb)→C2→D1→Co→Vinの負極の経路にも流れるため、スイッチング素子Q2のドレイン−ソース間の電圧Q2vも下がり始める。コンデンサCa,Cbの電圧変化率dv/dtは、第1巻線L1−1とコンデンサCa,Cbとの時定数からなる傾きで変化する。また、これと同時に、コンデンサC1、第2リアクトルLr、第2巻線L1−2を介してスイッチング素子Q1によって励磁されていたリアクトルL2も励磁エネルギーを放出し始める。
【0027】
図3(c)の期間t4において、スイッチング素子Q2のダイオードDbに第1巻線L1−1の放出エネルギーが流れ始める。図2に示す負の電流Q2iは、ダイオードDbに電流が流れることを示す。この負の電流Q2iが流れている期間に、ゲート信号Q2gによりスイッチング素子Q2をオンさせることで、スイッチング素子Q2のゼロ電圧スイッチングを実現することができる。
【0028】
また、Vinの正極→L1−1→L1−2→Lr→C1→D1→Co→Vinの負極の第1の経路と、Vinの正極→L1−1→Q2→C2→D1→Co→Vinの負極の第2の経路と、L2→D1→Co→L2の第3の経路とにより、出力コンデンサCoへエネルギーが放出される。
【0029】
図3(d)の期間t5において、スイッチング素子Q1がオフで、スイッチング素子Q2がオンである。このとき、リアクトルL1のエネルギーにより、スイッチング素子Q2を介してコンデンサC2が充電される。これと同時に、第2巻線L1−2のエネルギーが放出され始め、L1−2→Lr→C1→C2→Q2→L1−2の経路でコンデンサC2が放電される。
【0030】
ダイオードD1には第2巻線L1−2と第2リアクトルLrとが接続されているため、第2巻線L1−2の放出エネルギーは、第2リアクトルLrを励磁しながらコンデンサC1に出力される。やがて、コンデンサC2の充電電圧C2vが上昇してくると、今度は、コンデンサC2が放電して、C2→Q2→L1−2→Lr→C1→C2の経路で電流が流れ出す。このことは、スイッチング素子Q2の電流Q2iが正に極性反転していることからもわかる。
【0031】
図4(a)の期間t6において、ゲート信号Q2gによりスイッチング素子Q2がオフし、これと同時に、第2リアクトルLrは励磁エネルギーを放出し始める。Lr→C1→D1→Co→R1→Ca→L1−2→Lrの経路に電流が流れ、第2リアクトルLrとコンデンサCaとの時定数による傾きdv/dtで、コンデンサCbは徐々に充電されて、コンデンサCbの電圧、即ちスイッチング素子Q2のドレイン−ソース間の電圧Q2vが上昇する。
【0032】
さらに、Lr→C1→C2→Cb→L1−2→Lrの経路で、第2リアクトルLrの励磁エネルギーが放出し始める。このとき、スイッチング素子Q1のコンデンサCaの電荷は引き抜かれて、スイッチング素子Q1の電圧Q1vは下がる。
【0033】
図4(b)の期間t7において、期間t6と同じ電流経路で電流が流れるため、スイッチング素子Q1のダイオードDaに第2リアクトルLrの放出エネルギーが流れる。図2に示す負の電流Q1iは、ダイオードDaに電流が流れることを示す。負の電流Q1iが流れている期間に、ゲート信号Q1gによりスイッチング素子Q1をオンさせることで、スイッチング素子Q1のゼロ電圧スイッチングを実現することができる。
【0034】
図4(c)の期間t1において、スイッチング素子Q1がオンし、スイッチング素子Q1には、直流電源Vinにより第1巻線L1−1に流れる励磁電流と、第2リアクトルLrのエネルギー放出により流れる電流との差分の電流が流れる。
【0035】
図4(d)の期間t2において、第2リアクトルLrのエネルギー放出が終了し、スイッチング素子Q1の電流Q1iは、直流電源Vinにより励磁される電流の傾きで流れる。
【0036】
このとき、リアクトルL2もスイッチング素子Q1によりコンデンサC1の電荷により励磁される。
【0037】
このように、実施例1のスイッチング電源回路によれば、スイッチング素子Q1がオフすることによりリアクトルL1の励磁エネルギーは、まず、第1巻線L1−1からスイッチング素子Q2とコンデンサC2とを介して出力コンデンサCoあるいは負荷に放出され、コンデンサC2は充電されるが、同時に第2巻線L1−2からもエネルギーが放出され、第2巻線L1−2、第2リアクトルLr、コンデンサC1、コンデンサC2、スイッチング素子Q2の経路でコンデンサC2が放電される。
【0038】
従って、コンデンサC2の充電電圧が低く抑えられ、スイッチング素子Q1,Q2のドレイン−ソース間電圧Vdsは耐圧を超えることがなくなる。即ち、第2巻線L1−2を設けることにより、積極的にコンデンサC2の放電を行い、コンデンサC2の電圧の上昇によるスイッチング素子耐圧を超えることがなくなり、また、スイッチング素子Q1,Q2のゼロ電圧スイッチングを実現し、高効率なスイッチング電源回路を提供できる。
【0039】
また、第2巻線L1−2の巻数を増やしていくと、コンデンサC2の電圧C2vは、負電圧となる場合もあり、スイッチング素子Q1,Q2の電圧Q1v,Q2vを出力電圧(出力コンデンサCoの電圧)よりも低くすることができる。また、直流カット用のコンデンサC1は、通常、電圧(直流電源電圧Vin+出力電圧Vo)に充電され、この電圧がスイッチング素子の耐圧となる。
【実施例2】
【0040】
図5は、本発明の実施例2のスイッチング電源回路の構成図である。図5に示す実施例2では、第2巻線L1−2と第2リアクトルLrとコンデンサC1とダイオードD1とコンデンサC2とスイッチング素子Q2とを閉回路に接続して構成したことを特徴とする。
【0041】
なお、図5は、図1のコンデンサC2の接続を変えている。その他の構成は、図1の構成と同じであるので、同一部分には同一符号を付けている。
【0042】
このような構成であっても、図1に示す実施例1のスイッチング電源回路の動作及び効果と同様な動作及び効果が得られる。図6に実施例2のスイッチング電源回路の各部の動作波形図を示した。
【実施例3】
【0043】
図7は、本発明の実施例3のスイッチング電源回路の構成図である。図1に示す実施例1では、第1巻線L1−1とこの第1巻線L1−1に磁気結合する第2巻線L1−2とを有する第1リアクトルと第2リアクトルLrとからなるリアクトルL1は、コンデンサC1よりも入力側(直流電源Vin側)に設けたが、図7に示す実施例3では、第1巻線L2−1とこの第1巻線L2−1に磁気結合する第2巻線L2−2とを有する第1リアクトルと第2リアクトルLrとからなるリアクトルL2a(リアクトル回路)は、コンデンサC1よりも出力側に設けたことを特徴とする。
【0044】
図7において、直流電源Vinの両端には、リアクトルL1a(第3リアクトル)とコンデンサC1と第2巻線L2−2と第2リアクトルLrとダイオードD1と出力コンデンサCoとが直列に接続されている。リアクトルL1aと出力コンデンサC1との接続点と直流電源Vinの負極との間には、スイッチング素子Q1と電流検出抵抗R1との直列回路が接続されている。
【0045】
第1巻線L2−1と第2巻線L2−2との接続点とダイオードD1と出力コンデンサCoとの接続点には、スイッチング素子Q2とコンデンサC2との直列回路が接続されている。
【0046】
なお、その他の構成は、図1の構成と同じであるので、同一部分には同一符号を付けている。
【0047】
このように構成された実施例3のスイッチング電源回路であっても、実施例1のスイッチング電源回路と同様に動作し、同様の効果が得られる。
【実施例4】
【0048】
図8は、本発明の実施例4のスイッチング電源回路の構成図である。図1に示す実施例1のスイッチング電源回路は、リアクトルL1とリアクトルL2とを用いていたが、図8に示す実施例4のスイッチング電源回路は、第1巻線L1−1と第2巻線L1−2とリアクトルL2に相当する第3巻線L1−3とが互いに磁気結合されたリアクトルL1b(リアクトル回路)を用いたことを特徴とする。
【0049】
このような実施例4のスイッチング電源回路によれば、第1巻線L1−1と第2巻線L1−2と第3巻線L1−3とが互いに磁気結合されたリアクトルL1bを用いたので、図1に示す実施例1のスイッチング電源回路よりも部品点数を削減することができる。
【実施例5】
【0050】
図9は、本発明の実施例5のスイッチング電源回路の構成図である。図9に示す実施例5のスイッチング電源回路は、図1に示す実施例1のスイッチング電源回路に対して、さらに、コンデンサC1とダイオードD1のアノードとの接続点にカソードが接続され且つリアクトルL2の一端にアノードが接続されたダイオードD2(第2ダイオード)を設けたことを特徴とする。
【0051】
実施例5のスイッチング電源回路によれば、ダイオードD2をリアクトルL2に直列に接続したので、コンデンサC1が短絡故障時には、ダイオードD2が逆バイバス状態となる。このため、Vin→L1→L2という地絡(電源短絡)を防止することができる。
【実施例6】
【0052】
図10は、本発明の実施例6のスイッチング電源回路の構成図である。図10に示す実施例6のスイッチング電源回路は、図8に示す実施例4のスイッチング電源回路に対して、コンデンサC2の一端をダイオードD1と出力コンデンサCoとの接続点に接続したことを特徴とする。
【0053】
このように実施例6のスイッチング電源回路によれば、図8に示す実施例4のスイッチング電源回路の動作及び効果と同様な動作及び効果が得られる。
【実施例7】
【0054】
図11は、本発明の実施例7のスイッチング電源回路の構成図である。図11に示す実施例7のスイッチング電源回路は、図12に示すスイッチング電源回路に対して、さらに、コンデンサC1とダイオードD1との接続点にカソードが接続され且つリアクトルL2の一端にアノードが接続されたダイオードD2(第2ダイオード)を設けたことを特徴とする。
【0055】
このように構成された実施例7のスイッチング電源回路によれば、コンデンサC1が短絡故障時には、ダイオードD2が逆バイバス状態となるため、Vin→L1a→L2という地絡を防止することができる。
【0056】
なお、本発明は、実施例1乃至7のスイッチング電源回路に限定されるものではない。例えば、図5又は図8又は図10に示すスイッチング電源回路に対して、さらに、コンデンサC1とダイオードD1との接続点にカソードが接続され且つリアクトルL2の一端にアノードが接続されたダイオードD2を設けても良い。このようにすれば、コンデンサC1が短絡故障時には、ダイオードD2が逆バイバス状態となるため、地絡を防止することができる。
【0057】
また、図7に示すスイッチング電源回路の構成に対して、さらに、カソードがコンデンサC1と第2巻線L2−2との接続点に接続され且つアノードが第1巻線L2−1の一端に接続されたダイオードD2を設けても良い。この場合にも、コンデンサC1が短絡故障時には、ダイオードD2が逆バイバス状態となるため、Vin→L1a→L2−1という地絡を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、DC−DCコンバータ、力率改善回路やAC−DCコンバータに適用可能である。
【符号の説明】
【0059】
Vin 直流電源
L1,L1a,L1b,L2,L2a リアクトル
L1−1,L2−1 第1巻線
L1−2,L2−2 第2巻線
L1−3 第3巻線
Lr 第2リアクトル
Q1,Q2 スイッチング素子
D1,D2 ダイオード
R1 電流検出抵抗
Co〜C3 コンデンサ
10,100 制御回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング素子のスイッチング損失を低減することができるスイッチング電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
図12に従来の昇降圧型のスイッチング電源回路の一例を示す。図12に示すスイッチング電源回路は、シングルエンド型一次インダクタンス・コンバータ(SEPIC)と呼ばれるもので、2つのリアクトルを用いて入力電圧に対して昇圧又は降圧した出力電圧を得るものである。図12において、直流電源Vinの両端にはリアクトルL1aとMOSFETからなるスイッチング素子Q1と電流検出抵抗R1との直列回路が接続されている。
【0003】
スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間にはダイオードDaとコンデンサCaとの並列回路が接続されている。ダイオードDaはスイッチング素子Q1の寄生ダイオードでも良く、コンデンサCaはスイッチング素子Q1の寄生コンデンサでも良い。
【0004】
スイッチング素子Q1と電流検出抵抗R1との直列回路の両端にはコンデンサC1とリアクトルL2との直列回路が接続され、リアクトルL2の両端にはダイオードD1と出力コンデンサCoとの直列回路が接続されている。制御回路100は、出力コンデンサCoからの電圧と電流検出抵抗R1からの電圧とに基づいてスイッチング素子Q1をオン/オフさせ、出力電圧Voの制御を行う。
【0005】
このようなSEPICタイプのスイッチング電源回路は、特に、直流カット用のコンデンサC1が直流電源ラインに挿入され、このコンデンサC1により出力短絡が保護されるという利点があるため注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−66017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された従来のスイッチング電源回路では、PWM制御などにより直流電流が重畳されるために、ダイオードD1にリカバリ電流が発生する。このリカバリ電流とスイッチング素子Q1に印加される電圧とによりスイッチング素子Q1にスイッチング損失を発生してしまう。このため、直流電源Vinの利用効率が低下してしまう。
【0008】
本発明の課題は、スイッチング素子の耐圧を超えないように電圧上昇を抑制するとともに、ゼロ電圧スイッチングを実現し、高効率なスイッチング電源回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のスイッチング電源回路は、第1巻線とこの第1巻線に磁気結合する第2巻線とが直列に接続された第1リアクトルと前記第1リアクトルに直列に接続された第2リアクトルとからなるリアクトル回路と、直流電源の一端と他端との間に接続され、前記第1リアクトルと前記第2リアクトルと第1コンデンサと第1ダイオードと出力コンデンサとが直列に接続された第1直列回路と、前記第1巻線と前記第2巻線との接続点と前記直流電源の一端との間に接続された第1スイッチング素子と、一端が前記第1巻線と前記第2巻線との接続点に接続され且つ他端が前記第1コンデンサと前記第1ダイオードとの接続点又は前記第1ダイオードと前記出力コンデンサとの接続点に接続され、第2スイッチング素子と第2コンデンサとが直列に接続された第2直列回路と、前記第1コンデンサと前記第1ダイオードとの接続点と前記直流電源の一端との間に接続された第3リアクトルと、前記第1スイッチング素子のターンオンがゼロ電圧スイッチングとなるように、前記第2スイッチング素子のオンオフを制御する制御回路とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1スイッチング素子がオフすると第1リアクトルの励磁エネルギーは、第1巻線から第2スイッチング素子と第2コンデンサとを介して出力コンデンサに放出され、第2コンデンサは充電されるが、同時に第2巻線からもエネルギーが放出され、第2巻線、第2リアクトル、第1コンデンサ、第2コンデンサ、第2スイッチング素子の経路又は第2巻線、第2リアクトル、第1コンデンサ、第1ダイオード、第2コンデンサ、第2スイッチング素子の経路で第2コンデンサが放電されるので、第2コンデンサの充電電圧が低く抑えられ、第1及び第2スイッチング素子の耐圧を超えず、第1及び第2スイッチング素子のゼロ電圧スイッチングを実現し、高効率なスイッチング電源回路を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例1のスイッチング電源回路の構成図である。
【図2】本発明の実施例1のスイッチング電源回路の各部の動作を示す波形図である。
【図3】本発明の実施例1のスイッチング電源回路の各部が各期間毎に動作したときの電流経路を太線で示した図である。
【図4】本発明の実施例1のスイッチング電源回路の各部が各期間毎に動作したときの電流経路を太線で示した図である。
【図5】本発明の実施例2のスイッチング電源回路の構成図である。
【図6】本発明の実施例2のスイッチング電源回路の各部の動作を示す波形図である。
【図7】本発明の実施例3のスイッチング電源回路の構成図である。
【図8】本発明の実施例4のスイッチング電源回路の構成図である。
【図9】本発明の実施例5のスイッチング電源回路の構成図である。
【図10】本発明の実施例6のスイッチング電源回路の構成図である。
【図11】本発明の実施例7のスイッチング電源回路の構成図である。
【図12】従来の昇降圧型のスイッチング電源回路の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態のスイッチング電源回路を図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は本発明の実施例1のスイッチング電源回路の構成図である。図1に示す実施例1のスイッチング電源回路は、図12に示す従来のスイッチング電源回路の構成に対して、第1巻線L1−1とこの第1巻線L1−1に磁気結合する第2巻線L1−2とを有する第1リアクトルと、第2リアクトルLrとからなるリアクトルL1(リアクトル回路)を有している。
【0014】
また、第1巻線L1−1と第2巻線L1−2との接続点と、コンデンサC1(第1コンデンサ)とダイオードD1(第1ダイオード)のアノードとの接続点との間には、MOSFETからなるスイッチング素子Q2(第2スイッチング素子)とコンデンサC2(第2コンデンサ)との直列回路が接続されている。スイッチング素子Q2とコンデンサC2とはアクティブクランプ回路を構成している。
【0015】
スイッチング素子Q2のドレイン−ソース間にはダイオードDbとコンデンサCbとの並列回路が接続されている。ダイオードDbはスイッチング素子Q2の寄生ダイオードでも良く、コンデンサCbはスイッチング素子Q2の寄生コンデンサでも良い。
【0016】
なお、その他の構成は、図12の構成と同じであるので、同一部分には同一符号を付けている。
【0017】
第2リアクトルLrは、第1リアクトルの第1巻線L1−1と第2巻線L1−2との間の漏れ磁束によるリーケージインダクタンスからなる。なお、第2リアクトルLrは、前記リーケージインダクタンスではなく、個別に設けても良い。また、第1巻線L1−1と第2巻線L1−2との巻数比は、10:1程度で良い。リアクトルL2は第3リアクトルに対応する。
【0018】
制御回路10は、出力コンデンサCoからの電圧と電流検出抵抗R1からの電圧とに基づいてゲート信号Q1gを生成してスイッチング素子Q1のゲートに出力しスイッチング素子Q1(第1スイッチング素子)をオンオフさせる。
【0019】
制御回路10は、スイッチング素子Q1をオンオフさせるゲート信号Q1gを反転させたゲート信号Q2gを生成し、スイッチング素子Q2のゲートに出力しスイッチング素子Q2をオンオフさせる。
【0020】
また、制御回路10は、スイッチング素子Q1のターンオンがゼロ電圧スイッチングとなるように、スイッチング素子Q2のオンオフを制御する。
【0021】
なお、スイッチング素子Q1,Q2に印加される電圧は、出力コンデンサCoの両端電圧とコンデンサC2の両端電圧との和である。
【0022】
図2は本発明の実施例1のスイッチング電源回路の各部の動作を示す波形図である。図3及び図4は本発明の実施例1のスイッチング電源回路の各部が各期間毎に動作したときの電流経路を太線で示した図である。
【0023】
なお、図2において、コンデンサC2の電圧C2vは、スイッチング素子Q2のドレイン側電位を正とし、+Vo側電位を0ボルトと定義する。
【0024】
次に、図1乃至図4を参照しながら、実施例1のスイッチング電源回路の各部の動作を説明する。なお、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2とは所定のデッドタイムtdを有し、交互にオン/オフするようになっている。図3(a)は初期状態を示している。
【0025】
まず、図3(b)の期間t3において、直流電源Vinの電圧により励磁されたリアクトルL1のエネルギーにより、L1−1→Q1(Ca)→R1→Vinの負極の経路で、スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間のコンデンサCaが充電される。このため、スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間の電圧Q1vが上昇する。
【0026】
また、これと同時に、リアクトルL1のエネルギーは、L1−1→Q2(Cb)→C2→D1→Co→Vinの負極の経路にも流れるため、スイッチング素子Q2のドレイン−ソース間の電圧Q2vも下がり始める。コンデンサCa,Cbの電圧変化率dv/dtは、第1巻線L1−1とコンデンサCa,Cbとの時定数からなる傾きで変化する。また、これと同時に、コンデンサC1、第2リアクトルLr、第2巻線L1−2を介してスイッチング素子Q1によって励磁されていたリアクトルL2も励磁エネルギーを放出し始める。
【0027】
図3(c)の期間t4において、スイッチング素子Q2のダイオードDbに第1巻線L1−1の放出エネルギーが流れ始める。図2に示す負の電流Q2iは、ダイオードDbに電流が流れることを示す。この負の電流Q2iが流れている期間に、ゲート信号Q2gによりスイッチング素子Q2をオンさせることで、スイッチング素子Q2のゼロ電圧スイッチングを実現することができる。
【0028】
また、Vinの正極→L1−1→L1−2→Lr→C1→D1→Co→Vinの負極の第1の経路と、Vinの正極→L1−1→Q2→C2→D1→Co→Vinの負極の第2の経路と、L2→D1→Co→L2の第3の経路とにより、出力コンデンサCoへエネルギーが放出される。
【0029】
図3(d)の期間t5において、スイッチング素子Q1がオフで、スイッチング素子Q2がオンである。このとき、リアクトルL1のエネルギーにより、スイッチング素子Q2を介してコンデンサC2が充電される。これと同時に、第2巻線L1−2のエネルギーが放出され始め、L1−2→Lr→C1→C2→Q2→L1−2の経路でコンデンサC2が放電される。
【0030】
ダイオードD1には第2巻線L1−2と第2リアクトルLrとが接続されているため、第2巻線L1−2の放出エネルギーは、第2リアクトルLrを励磁しながらコンデンサC1に出力される。やがて、コンデンサC2の充電電圧C2vが上昇してくると、今度は、コンデンサC2が放電して、C2→Q2→L1−2→Lr→C1→C2の経路で電流が流れ出す。このことは、スイッチング素子Q2の電流Q2iが正に極性反転していることからもわかる。
【0031】
図4(a)の期間t6において、ゲート信号Q2gによりスイッチング素子Q2がオフし、これと同時に、第2リアクトルLrは励磁エネルギーを放出し始める。Lr→C1→D1→Co→R1→Ca→L1−2→Lrの経路に電流が流れ、第2リアクトルLrとコンデンサCaとの時定数による傾きdv/dtで、コンデンサCbは徐々に充電されて、コンデンサCbの電圧、即ちスイッチング素子Q2のドレイン−ソース間の電圧Q2vが上昇する。
【0032】
さらに、Lr→C1→C2→Cb→L1−2→Lrの経路で、第2リアクトルLrの励磁エネルギーが放出し始める。このとき、スイッチング素子Q1のコンデンサCaの電荷は引き抜かれて、スイッチング素子Q1の電圧Q1vは下がる。
【0033】
図4(b)の期間t7において、期間t6と同じ電流経路で電流が流れるため、スイッチング素子Q1のダイオードDaに第2リアクトルLrの放出エネルギーが流れる。図2に示す負の電流Q1iは、ダイオードDaに電流が流れることを示す。負の電流Q1iが流れている期間に、ゲート信号Q1gによりスイッチング素子Q1をオンさせることで、スイッチング素子Q1のゼロ電圧スイッチングを実現することができる。
【0034】
図4(c)の期間t1において、スイッチング素子Q1がオンし、スイッチング素子Q1には、直流電源Vinにより第1巻線L1−1に流れる励磁電流と、第2リアクトルLrのエネルギー放出により流れる電流との差分の電流が流れる。
【0035】
図4(d)の期間t2において、第2リアクトルLrのエネルギー放出が終了し、スイッチング素子Q1の電流Q1iは、直流電源Vinにより励磁される電流の傾きで流れる。
【0036】
このとき、リアクトルL2もスイッチング素子Q1によりコンデンサC1の電荷により励磁される。
【0037】
このように、実施例1のスイッチング電源回路によれば、スイッチング素子Q1がオフすることによりリアクトルL1の励磁エネルギーは、まず、第1巻線L1−1からスイッチング素子Q2とコンデンサC2とを介して出力コンデンサCoあるいは負荷に放出され、コンデンサC2は充電されるが、同時に第2巻線L1−2からもエネルギーが放出され、第2巻線L1−2、第2リアクトルLr、コンデンサC1、コンデンサC2、スイッチング素子Q2の経路でコンデンサC2が放電される。
【0038】
従って、コンデンサC2の充電電圧が低く抑えられ、スイッチング素子Q1,Q2のドレイン−ソース間電圧Vdsは耐圧を超えることがなくなる。即ち、第2巻線L1−2を設けることにより、積極的にコンデンサC2の放電を行い、コンデンサC2の電圧の上昇によるスイッチング素子耐圧を超えることがなくなり、また、スイッチング素子Q1,Q2のゼロ電圧スイッチングを実現し、高効率なスイッチング電源回路を提供できる。
【0039】
また、第2巻線L1−2の巻数を増やしていくと、コンデンサC2の電圧C2vは、負電圧となる場合もあり、スイッチング素子Q1,Q2の電圧Q1v,Q2vを出力電圧(出力コンデンサCoの電圧)よりも低くすることができる。また、直流カット用のコンデンサC1は、通常、電圧(直流電源電圧Vin+出力電圧Vo)に充電され、この電圧がスイッチング素子の耐圧となる。
【実施例2】
【0040】
図5は、本発明の実施例2のスイッチング電源回路の構成図である。図5に示す実施例2では、第2巻線L1−2と第2リアクトルLrとコンデンサC1とダイオードD1とコンデンサC2とスイッチング素子Q2とを閉回路に接続して構成したことを特徴とする。
【0041】
なお、図5は、図1のコンデンサC2の接続を変えている。その他の構成は、図1の構成と同じであるので、同一部分には同一符号を付けている。
【0042】
このような構成であっても、図1に示す実施例1のスイッチング電源回路の動作及び効果と同様な動作及び効果が得られる。図6に実施例2のスイッチング電源回路の各部の動作波形図を示した。
【実施例3】
【0043】
図7は、本発明の実施例3のスイッチング電源回路の構成図である。図1に示す実施例1では、第1巻線L1−1とこの第1巻線L1−1に磁気結合する第2巻線L1−2とを有する第1リアクトルと第2リアクトルLrとからなるリアクトルL1は、コンデンサC1よりも入力側(直流電源Vin側)に設けたが、図7に示す実施例3では、第1巻線L2−1とこの第1巻線L2−1に磁気結合する第2巻線L2−2とを有する第1リアクトルと第2リアクトルLrとからなるリアクトルL2a(リアクトル回路)は、コンデンサC1よりも出力側に設けたことを特徴とする。
【0044】
図7において、直流電源Vinの両端には、リアクトルL1a(第3リアクトル)とコンデンサC1と第2巻線L2−2と第2リアクトルLrとダイオードD1と出力コンデンサCoとが直列に接続されている。リアクトルL1aと出力コンデンサC1との接続点と直流電源Vinの負極との間には、スイッチング素子Q1と電流検出抵抗R1との直列回路が接続されている。
【0045】
第1巻線L2−1と第2巻線L2−2との接続点とダイオードD1と出力コンデンサCoとの接続点には、スイッチング素子Q2とコンデンサC2との直列回路が接続されている。
【0046】
なお、その他の構成は、図1の構成と同じであるので、同一部分には同一符号を付けている。
【0047】
このように構成された実施例3のスイッチング電源回路であっても、実施例1のスイッチング電源回路と同様に動作し、同様の効果が得られる。
【実施例4】
【0048】
図8は、本発明の実施例4のスイッチング電源回路の構成図である。図1に示す実施例1のスイッチング電源回路は、リアクトルL1とリアクトルL2とを用いていたが、図8に示す実施例4のスイッチング電源回路は、第1巻線L1−1と第2巻線L1−2とリアクトルL2に相当する第3巻線L1−3とが互いに磁気結合されたリアクトルL1b(リアクトル回路)を用いたことを特徴とする。
【0049】
このような実施例4のスイッチング電源回路によれば、第1巻線L1−1と第2巻線L1−2と第3巻線L1−3とが互いに磁気結合されたリアクトルL1bを用いたので、図1に示す実施例1のスイッチング電源回路よりも部品点数を削減することができる。
【実施例5】
【0050】
図9は、本発明の実施例5のスイッチング電源回路の構成図である。図9に示す実施例5のスイッチング電源回路は、図1に示す実施例1のスイッチング電源回路に対して、さらに、コンデンサC1とダイオードD1のアノードとの接続点にカソードが接続され且つリアクトルL2の一端にアノードが接続されたダイオードD2(第2ダイオード)を設けたことを特徴とする。
【0051】
実施例5のスイッチング電源回路によれば、ダイオードD2をリアクトルL2に直列に接続したので、コンデンサC1が短絡故障時には、ダイオードD2が逆バイバス状態となる。このため、Vin→L1→L2という地絡(電源短絡)を防止することができる。
【実施例6】
【0052】
図10は、本発明の実施例6のスイッチング電源回路の構成図である。図10に示す実施例6のスイッチング電源回路は、図8に示す実施例4のスイッチング電源回路に対して、コンデンサC2の一端をダイオードD1と出力コンデンサCoとの接続点に接続したことを特徴とする。
【0053】
このように実施例6のスイッチング電源回路によれば、図8に示す実施例4のスイッチング電源回路の動作及び効果と同様な動作及び効果が得られる。
【実施例7】
【0054】
図11は、本発明の実施例7のスイッチング電源回路の構成図である。図11に示す実施例7のスイッチング電源回路は、図12に示すスイッチング電源回路に対して、さらに、コンデンサC1とダイオードD1との接続点にカソードが接続され且つリアクトルL2の一端にアノードが接続されたダイオードD2(第2ダイオード)を設けたことを特徴とする。
【0055】
このように構成された実施例7のスイッチング電源回路によれば、コンデンサC1が短絡故障時には、ダイオードD2が逆バイバス状態となるため、Vin→L1a→L2という地絡を防止することができる。
【0056】
なお、本発明は、実施例1乃至7のスイッチング電源回路に限定されるものではない。例えば、図5又は図8又は図10に示すスイッチング電源回路に対して、さらに、コンデンサC1とダイオードD1との接続点にカソードが接続され且つリアクトルL2の一端にアノードが接続されたダイオードD2を設けても良い。このようにすれば、コンデンサC1が短絡故障時には、ダイオードD2が逆バイバス状態となるため、地絡を防止することができる。
【0057】
また、図7に示すスイッチング電源回路の構成に対して、さらに、カソードがコンデンサC1と第2巻線L2−2との接続点に接続され且つアノードが第1巻線L2−1の一端に接続されたダイオードD2を設けても良い。この場合にも、コンデンサC1が短絡故障時には、ダイオードD2が逆バイバス状態となるため、Vin→L1a→L2−1という地絡を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、DC−DCコンバータ、力率改善回路やAC−DCコンバータに適用可能である。
【符号の説明】
【0059】
Vin 直流電源
L1,L1a,L1b,L2,L2a リアクトル
L1−1,L2−1 第1巻線
L1−2,L2−2 第2巻線
L1−3 第3巻線
Lr 第2リアクトル
Q1,Q2 スイッチング素子
D1,D2 ダイオード
R1 電流検出抵抗
Co〜C3 コンデンサ
10,100 制御回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1巻線とこの第1巻線に磁気結合する第2巻線とが直列に接続された第1リアクトルと前記第1リアクトルに直列に接続された第2リアクトルとからなるリアクトル回路と、
直流電源の一端と他端との間に接続され、前記第1リアクトルと前記第2リアクトルと第1コンデンサと第1ダイオードと出力コンデンサとが直列に接続された第1直列回路と、
前記第1巻線と前記第2巻線との接続点と前記直流電源の一端との間に接続された第1スイッチング素子と、
一端が前記第1巻線と前記第2巻線との接続点に接続され且つ他端が前記第1コンデンサと前記第1ダイオードとの接続点又は前記第1ダイオードと前記出力コンデンサとの接続点に接続され、第2スイッチング素子と第2コンデンサとが直列に接続された第2直列回路と、
前記第1コンデンサと前記第1ダイオードとの接続点と前記直流電源の一端との間に接続された第3リアクトルと、
前記第1スイッチング素子のターンオンがゼロ電圧スイッチングとなるように、前記第2スイッチング素子のオンオフを制御する制御回路と、
を有することを特徴とするスイッチング電源回路。
【請求項2】
前記第3リアクトルは、前記第1コンデンサと前記第1ダイオードとの接続点と前記直流電源の一端との間に、第2ダイオードを介して接続されることを特徴とする請求項1記載のスイッチング電源回路。
【請求項3】
前記リアクトル回路の前記第1リアクトルと前記第3リアクトルとは、磁気結合されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のスイッチング電源回路。
【請求項4】
一端が直流電源の一端に接続された第1巻線とこの第1巻線に磁気結合する第2巻線とが直列に接続された第1リアクトルと前記第1リアクトルに直列に接続された第2リアクトルとからなるリアクトル回路と、
直流電源の一端と他端との間に接続され、第3リアクトルと第1コンデンサと前記第2巻線と前記第2リアクトルと第1ダイオードと出力コンデンサとが直列に接続された第1直列回路と、
前記第3リアクトルと前記第1コンデンサとの接続点と前記直流電源の一端との間に接続された第1スイッチング素子と、
一端が前記第1巻線と前記第2巻線との接続点に接続され且つ他端が前記第1ダイオードと前記出力コンデンサとの接続点に接続され、第2スイッチング素子と第2コンデンサとが直列に接続された第2直列回路と、
前記第1スイッチング素子のターンオンがゼロ電圧スイッチングとなるように、前記第2スイッチング素子のオンオフを制御する制御回路と、
を有することを特徴とするスイッチング電源回路。
【請求項5】
前記第1リアクトルの前記第1巻線は、前記第1コンデンサと前記第1リアクトルの前記第2巻線との接続点と前記直流電源の一端との間に、第2ダイオードを介して接続されることを特徴とする請求項4記載のスイッチング電源回路。
【請求項6】
前記第2リアクトルは、前記第1リアクトルの前記第1巻線と前記第2巻線との間のリーケージインダクタンスであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載のスイッチング電源回路。
【請求項7】
直流電源の一端と他端との間に接続され、第1リアクトルと第1コンデンサと第1ダイオードと出力コンデンサとが直列に接続された第1直列回路と、
前記第1リアクトルと前記第1コンデンサとの接続点と前記直流電源の一端との間に接続された第1スイッチング素子と、
前記第1コンデンサと前記第1ダイオードとの接続点と前記直流電源の一端との間に接続され、第2ダイオードと第2リアクトルとが直列に接続された第2直列回路と、
前記第1スイッチング素子のターンオンがゼロ電圧スイッチングとなるように制御する制御回路と、
を有することを特徴とするスイッチング電源回路。
【請求項1】
第1巻線とこの第1巻線に磁気結合する第2巻線とが直列に接続された第1リアクトルと前記第1リアクトルに直列に接続された第2リアクトルとからなるリアクトル回路と、
直流電源の一端と他端との間に接続され、前記第1リアクトルと前記第2リアクトルと第1コンデンサと第1ダイオードと出力コンデンサとが直列に接続された第1直列回路と、
前記第1巻線と前記第2巻線との接続点と前記直流電源の一端との間に接続された第1スイッチング素子と、
一端が前記第1巻線と前記第2巻線との接続点に接続され且つ他端が前記第1コンデンサと前記第1ダイオードとの接続点又は前記第1ダイオードと前記出力コンデンサとの接続点に接続され、第2スイッチング素子と第2コンデンサとが直列に接続された第2直列回路と、
前記第1コンデンサと前記第1ダイオードとの接続点と前記直流電源の一端との間に接続された第3リアクトルと、
前記第1スイッチング素子のターンオンがゼロ電圧スイッチングとなるように、前記第2スイッチング素子のオンオフを制御する制御回路と、
を有することを特徴とするスイッチング電源回路。
【請求項2】
前記第3リアクトルは、前記第1コンデンサと前記第1ダイオードとの接続点と前記直流電源の一端との間に、第2ダイオードを介して接続されることを特徴とする請求項1記載のスイッチング電源回路。
【請求項3】
前記リアクトル回路の前記第1リアクトルと前記第3リアクトルとは、磁気結合されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のスイッチング電源回路。
【請求項4】
一端が直流電源の一端に接続された第1巻線とこの第1巻線に磁気結合する第2巻線とが直列に接続された第1リアクトルと前記第1リアクトルに直列に接続された第2リアクトルとからなるリアクトル回路と、
直流電源の一端と他端との間に接続され、第3リアクトルと第1コンデンサと前記第2巻線と前記第2リアクトルと第1ダイオードと出力コンデンサとが直列に接続された第1直列回路と、
前記第3リアクトルと前記第1コンデンサとの接続点と前記直流電源の一端との間に接続された第1スイッチング素子と、
一端が前記第1巻線と前記第2巻線との接続点に接続され且つ他端が前記第1ダイオードと前記出力コンデンサとの接続点に接続され、第2スイッチング素子と第2コンデンサとが直列に接続された第2直列回路と、
前記第1スイッチング素子のターンオンがゼロ電圧スイッチングとなるように、前記第2スイッチング素子のオンオフを制御する制御回路と、
を有することを特徴とするスイッチング電源回路。
【請求項5】
前記第1リアクトルの前記第1巻線は、前記第1コンデンサと前記第1リアクトルの前記第2巻線との接続点と前記直流電源の一端との間に、第2ダイオードを介して接続されることを特徴とする請求項4記載のスイッチング電源回路。
【請求項6】
前記第2リアクトルは、前記第1リアクトルの前記第1巻線と前記第2巻線との間のリーケージインダクタンスであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載のスイッチング電源回路。
【請求項7】
直流電源の一端と他端との間に接続され、第1リアクトルと第1コンデンサと第1ダイオードと出力コンデンサとが直列に接続された第1直列回路と、
前記第1リアクトルと前記第1コンデンサとの接続点と前記直流電源の一端との間に接続された第1スイッチング素子と、
前記第1コンデンサと前記第1ダイオードとの接続点と前記直流電源の一端との間に接続され、第2ダイオードと第2リアクトルとが直列に接続された第2直列回路と、
前記第1スイッチング素子のターンオンがゼロ電圧スイッチングとなるように制御する制御回路と、
を有することを特徴とするスイッチング電源回路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−27124(P2013−27124A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158944(P2011−158944)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000106276)サンケン電気株式会社 (982)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000106276)サンケン電気株式会社 (982)
【Fターム(参考)】
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