スイッチング電源装置
【課題】
交流入力100〜200Vおよび直流高圧入力(400V程度)のどちらにも対応でき、それぞれの入力方式に対応した最適な回路構成に切換えが可能なスイッチング電源を提供する。
【解決手段】
エネルギーを入力する入力端子と、交流を直流に変換する整流回路と、前記整流回路の出力電圧を昇圧する昇圧回路と、前記昇圧回路の出力電圧を所望の直流電圧に変換するDCDCコンバータと、前記DCDCコンバータの出力電圧を出力する出力端子を有するスイッチング電源装置において、前記整流回路または前記昇圧回路の少なくとも1つの電流経路をバイパスするバイパス電流経路と、前記バイパス電流経路へ接続を開閉する第1のスイッチと、前記整流回路及び前記昇圧回路を切り離す第2のスイッチと、前記入力端子の電圧により入力方式を判定して前記第1及び第2のスイッチを開閉する制御回路を備える。
交流入力100〜200Vおよび直流高圧入力(400V程度)のどちらにも対応でき、それぞれの入力方式に対応した最適な回路構成に切換えが可能なスイッチング電源を提供する。
【解決手段】
エネルギーを入力する入力端子と、交流を直流に変換する整流回路と、前記整流回路の出力電圧を昇圧する昇圧回路と、前記昇圧回路の出力電圧を所望の直流電圧に変換するDCDCコンバータと、前記DCDCコンバータの出力電圧を出力する出力端子を有するスイッチング電源装置において、前記整流回路または前記昇圧回路の少なくとも1つの電流経路をバイパスするバイパス電流経路と、前記バイパス電流経路へ接続を開閉する第1のスイッチと、前記整流回路及び前記昇圧回路を切り離す第2のスイッチと、前記入力端子の電圧により入力方式を判定して前記第1及び第2のスイッチを開閉する制御回路を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流入力と直流入力のどちらにも対応できるスイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スイッチング電源装置への入力方式は、市場や顧客により交流または直流があって、これらの入力方式および入力電圧値に対応した交流入力用や直流入力用といったスイッチング電源装置が個々に設計、製造されている。この背景には市場分野において電源設備から交流電力を主に給電している場合(主にサーバなどに使用)と直流電力を主に給電している場合(主に通信システムに使用)が対象となる市場、顧客分野により分かれていたことから、交流入力と直流入力に対応したスイッチング電源をそれぞれ個々に開発してきた背景がある。特開2010−178433(特許文献1)には、交流入力と直流入力のスイッチング電源での共通的に使用が可能である技術として、昇圧コンバータ部、DCDCコンバータ部の効率の向上に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−178433
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記背景技術に示したように、従来は市場、顧客によりスイッチング電源に給電される方式(交流または直流)はほぼ決まっていたが、近年は省エネルギーが重要な課題となっていて、サーバやネットワークルータ等の装置の給電を効率良く行う目的で、交流給電が一般的であったデータセンタなどにおいても400V程度の直流高圧給電方式にするケースがある。よって、今後開発する電子装置に使用するスイッチング電源の市場においては、従来の交流入力と直流高圧入力の両方式のスイッチング電源が必要とされている。しかし、従来のように交流入力と直流入力用を個々に設計開発、製造した場合は開発工数及びコストの増加、保守用交換部品の在庫増加といった問題がある。また、従来から一般的に開発されている交流入力用のスイッチング電源に直流高圧入力電圧を給電して動作するように開発することは可能であるが、その場合は交流入力専用に具備した回路による損失が発生してしまうことから、直流高圧給電方式の目的である高効率給電が実現できない。
【0005】
本発明の目的は、交流入力100〜200Vおよび直流高圧入力(400V程度)のどちらにも対応でき、それぞれの入力方式に対応した最適な回路構成に切換えが可能なスイッチング電源を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、エネルギーを入力する入力端子と、交流を直流に変換する整流回路と、前記整流回路の出力電圧を昇圧する昇圧回路と、前記昇圧回路の出力電圧を所望の直流電圧に変換するDCDCコンバータと、前記DCDCコンバータの出力電圧を出力する出力端子を有するスイッチング電源装置において、前記整流回路または前記昇圧回路の少なくとも1つの電流経路をバイパスするバイパス電流経路と、前記バイパス電流経路へ接続を開閉する第1のスイッチと、前記整流回路及び前記昇圧回路を切り離す第2のスイッチと、前記入力端子の電圧により入力方式を判定して前記第1及び第2のスイッチを開閉する制御回路を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、スイッチング電源の入力電圧が交流100〜200Vおよび直流高圧400V程度のどちらにも対応でき、それぞれの入力方式に対応した最適な回路構成に切換えを行う機能を持つことでスイッチング電源の共通化および高効率な給電が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るスイッチング電源装置の構成例を示したブロック図である。
【図2】図1に示した本発明スイッチング電源の入力方式判定を行う詳細部の一例を示す回路図である。
【図3】図2に示した入力方式判定回路であるゼロクロス検出回路の入力電圧波形と出力電圧波形である。
【図4】図2に示したコントローラ動作用での電源を生成するダイオードブリッジ回路に交流電圧が入力された場合の全波整流、分圧および平滑を行った波形を示す。
【図5】図2に示したコントローラ動作用での電源を生成するダイオードブリッジ回路に直流高圧電圧が入力された場合の全波整流、分圧および平滑を行った波形を示す。
【図6】図1に示した本発明スイッチング電源の給電経路の切換えを行う詳細部の一例を示す回路図である。
【図7】本発明の第二の実施形態に係るスイッチング電源装置の構成例を示したブロック図である。
【図8】入力方式選択スイッチと制御回路のスイッチ状態検出部の詳細の一例を示した図である。
【図9】本発明の第三の実施形態に係るスイッチング電源装置の構成例を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態を図を用いて説明する。
【実施例1】
【0010】
本実施例では、入力方式が交流か直流高圧のどちらかを自動的に判定し、それぞれの入力方式に最適な回路構成に切換えを行う機能を持つスイッチング電源100の例を説明する。ここで直流高圧入力とは内部のDCDCコンバータの動作が可能な下限電圧である350V程度から400V程度の電圧値のことを指す。
【0011】
図1は、本実施例のスイッチング電源の構成図の例である。図1において、100は本発明による交流直流高圧入力スッチング電源装置の全体を示す。このスイッチング電源装置100は、一般的な交流入力のスイッチング電源装置と同様に、出力コネクタ1、入力コネクタ2、入力保護ヒューズ3、ラインフィルタ回路4、突入抑制回路5、整流回路6、昇圧回路7、DCDCコンバータ8を備えている。また、本発明の特徴である入力方式判定回路9、バイパス回路10、切り離し回路18を備える。ここで、入力コネクタ2、入力保護ヒューズ3、ラインフィルタ4、突入抑制回路5は交流および直流高圧の両方に適用可能な部品を選定することが可能である。昇圧回路7は電圧定格値が満足できれば、交流と直流高圧で共用が可能であるが、昇圧回路7は直流高圧入力の場合において入力電圧が400V程度とすると、その電圧値は昇圧回路7で昇圧した後の電圧と同程度であることから不必要な回路である。また、本昇圧回路7を経由した場合は本回路内での損失が発生し、スイッチング電源全体での変換効率が必要以上に低下することとなる。
【0012】
よって、本発明ではスイッチング電源に直流高圧入力が給電された場合においては、昇圧回路7は経由せず、DCDCコンバータ8に給電するように給電経路を切換える入力方式判定回路9、バイパス回路10を備える。また、直流高圧入力時に整流回路6および昇圧回路7への給電を遮断するための切り離し回路18を備える。整流回路6は交流を入力し、全波整流された直流電圧を出力する回路であるため、直流高圧入力が給電された場合においては不必要な回路である。よって、直流高圧入力が給電された場合においては、昇圧回路7と同様に整流回路6は経由しないようにする。
【0013】
ここでDCDCコンバータ8は、昇圧回路7で400V程度に昇圧された電圧を入力し、12V程度の所望の低電圧に降圧して出力する回路であり、直流高圧をそのまま入力可能な回路である。逆に、スイッチング電源に一般的な交流の電圧100〜200Vが入力された場合には、必ず内部の整流回路6、昇圧回路7を経由し、400V程度に昇圧した後にDCDCコンバータ8に入力される必要がある。
【0014】
入力方式が交流であると判定した場合は、入力方式判回路9およびバイパス回路10による給電経路の切換えは動作せず、交流入力用の給電経路で動作をする。直流高圧入力と判定した場合はバイパス回路10を動作させ、直流高圧入力用の給電経路に切換える、またバイパス回路10を動作させるバイパス制御信号を用いて、同時に切り離し回路18を動作させることで整流回路6および昇圧回路7への不要な給電を遮断する。
【0015】
図2は本発明の特徴である入力方式判定回路9の詳細部の一例を示した図である。また図3は、図2に示した回路におけるゼロクロス回路部の入出力電圧波形を示す。図4は交流を入力したときの図2に示した回路におけるコントローラの動作用電源であるVCC電圧を生成するためのダイオードブリッジ回路21および分圧平滑回路22の出力電圧波形を示す。図5は直流を入力したときのダイオードブリッジ回路21および分圧平滑回路22の出力電圧波形を示す。
【0016】
入力方式判定回路9はゼロクロス検出回路200とコントローラ201で構成され、交流または直流が入力されるとダイオードブリッジ回路21、分圧平滑回路22により低電圧にした後、コントローラ201動作用の電源Vccが給電される。ゼロクロス検出回路出力200のフォトカプラ23からの出力はコントローラ201に入力され、入力方式が交流か直流かを判定する。スイッチング電源100に入力電圧が印加されるとゼロクロス検出回路200に入力電圧が入力される。図3に示すように、ゼロクロス検出回路200に正弦波の交流電圧が入力されると、2つのフォトカプラ23で整流、ロジックレベル電圧への変換を行い、ゼロボルトを経過したタイミングでフォトカプラの出力電圧が立上り、それがコントローラ201に入力されると、本フォトカプラ出力の立上りエッジを検出することで交流入力であると判断する。20ms以上の期間、ゼロクロス検出しない場合は直流高圧入力と判定する。
【0017】
また、コントローラ201には、入力方式判定を行うか行わないかを判定するために、スイッチング電源の出力電圧を監視する。スイッチング電源が動作中に、給電経路の切替えを防止するため、出力電圧がある場合には入力方式判定を行わないようにコントローラ201で制御する。出力電圧が無い場合のみコントローラ201による切換え制御は行われる。この出力電圧監視とバイパス制御のコントロールはソフトウェアにより、実現することが可能である。
【0018】
また、コントローラ201の動作用電源を生成する回路であるダイオードブリッジ回路21、分圧平滑回路22の動作を図4を用いて説明する。電源ユニットに交流が入力された場合は図4に示すように全波整流を行った後、分圧平滑回路22により低電圧への変換と平滑を行った後、コントローラ201の動作用電源として給電する。直流高圧が入力された場合は、図5のように元々直流であることからダイオードブリッジ回路21による整流は行われずに入力と同じ波形が出力され、分圧平滑回路による低電圧への変換だけを行い、コントローラ201に動作用電源を入力する。ここで分圧部の分圧比は、コントローラ210のVCCの入力電圧範囲を考慮して決定すれば良い。
【0019】
図6はバイパス回路10の詳細部の一例を示した図である。直流高圧入力であると判定した場合には、入力方式判定回路9からのバイパス制御信号により、バイパス回路10のバイパスMOSFET20をオンすることで、整流回路6、昇圧回路7を経由しない直流高圧用の給電経路に切換える。また同時にバイパス制御信号を反転した信号を生成し、バイパスと同時に切り離し回路18を動作させ、整流回路6および昇圧回路7への不要な給電を遮断する。
【0020】
以上のように、本発明のスイッチング電源によれば、入力方式判定回路9にて入力方式を判定し、バイパス回路10にてスイッチング電源内の給電経路を切換え、不要な回路への給電を切り離すことで、一つのスイッチング電源内でそれぞれの入力方式に最適な回路構成に切換えを行うことが出来、スイッチング電源の共通化および高効率な給電が可能である。
【実施例2】
【0021】
本実施例では、入力電圧が交流か直流高圧のどちらかを外部スイッチにて選択し、それぞれの入力方式に最適な回路構成に切換えを行う機能を持つスイッチング電源100の例を説明する。ここで直流高圧入力とは内部のDCDCコンバータの動作が可能な下限電圧である350V程度から400V程度の電圧値のことを指す。
【0022】
図7は、本実施例のスイッチング電源の構成図の例である。スイッチング電源100は本発明による交流直流高圧入力スッチング電源装置の全体を示す。この交流直流高圧入力電源装置100は、一般的な交流入力のスイッチング電源装置と同様に、出力コネクタ1、入力コネクタ2、入力保護ヒューズ3、ラインフィルタ4、突入抑制回路5、整流回路6、昇圧回路7、DCDCコンバータ8を備えている。また、本発明の特徴である入力方式選択スイッチ11、入力方式判定、入力電圧監視、切換え制御を行う制御回路12、バイパス回路10、切り離し回路18を備える。ここで、入力コネクタ2、入力保護ヒューズ3、ラインフィルタ4、突入抑制回路5は交流および直流高圧の両方に適用可能な部品を選定することが可能である。昇圧回路7は電圧定格値が満足できれば、交流と直流高圧で共用が可能である。ただし、昇圧回路7は直流高圧入力の場合において入力電圧が400V程度とすると、その電圧値は昇圧回路7で昇圧した後の電圧と同程度であるため、不必要な回路である。また、本昇圧回路7を経由した場合は本回路内での損失が発生し、スイッチング電源全体での変換効率が必要以上に低下することとなる。
【0023】
よって、本発明ではスイッチング電源に直流高圧入力が給電された場合においては、昇圧回路7は経由せず、DCDCコンバータ8に給電するように給電経路を切換える機能を備える。整流回路6は交流を入力し、全波整流された直流電圧を出力する回路であるため、直流高圧入力が給電された場合においては不必要な回路である。よって、直流高圧入力が給電された場合においては、昇圧回路7と同様に整流回路6は経由しないようにする。ここでDCDCコンバータ8は、昇圧回路7で400V程度に昇圧された電圧を入力し、12V程度の所望の低電圧に降圧して出力する回路であり、直流高圧をそのまま入力可能な回路である。逆に、スイッチング電源に一般的な交流の電圧100〜200Vが入力された場合には、必ず内部の整流回路6、昇圧回路7を経由し、400V程度に昇圧した後にDCDCコンバータ8に入力される必要がある。
【0024】
入力方式選択スイッチ11で交流入力に設定した場合は、制御回路12による給電経路切換えは動作せず、交流入力用に整流回路6および昇圧回路7を経由し、DCDCコンバータ8に給電する。直流高圧入力に設定した場合は制御回路12を動作させ、バイパス回路10による給電直流高圧入力用の給電経路に切換わって動作する。また同時にバイパス制御信号を反転した信号を生成し、バイパスと同時に切り離し回路18を動作させ、整流回路6および昇圧回路7への不要な給電を遮断する。
【0025】
また、入力方式判定回路9により交流入力、直流入力のいずれかを判定することで、入力方式選択スイッチ11の設定と一致しているかどうかを確認する。一致していない場合は電源がオンしないように制御すると共に、LEDによる表示や上位装置への報告を行う。また、入力方式選択スイッチ11による給電経路の切換えは、入力電圧が無い状態から、あらたに給電が開始された場合にのみ有効になるようにする。例えば、一旦入力電圧を交流または直流高圧を設定した後は入力電圧が60V以下に一旦低下しない限りは初期に決定した給電経路から変わらないように制御回路12内で制御することで動作中の給電経路の変更を防止することが可能である。また、制御回路12はスイッチング電源100の出力電圧有無を監視しておき、出力電圧がある場合には入力方式選択スイッチが切換えられても、その操作は無効とする。出力電圧が無い場合のみ切換え制御は行われる。
【0026】
図8は入力方式選択スイッチ11と制御回路12のスイッチ状態検出部の詳細の一例を示した図である。入力方式選択スイッチ11は一般的な接点を持ったトグルスイッチやロッカースイッチである。制御回路12には入力方式選択スイッチの状態を検出するためのフォトカプラとコントローラ201を備える。交流入力の場合スイッチはOFFと定義する。入力方式選択スイッチがOFFの場合は、制御回路12のフォトカプラのダイオードには電流が流れないため、フォトカプラのトランジスタはOFF状態である。このとき、コントローラの端子はH(ハイ)になり、コントローラ201は交流入力と認識し、給電経路の切換えは行わない。入力方式選択スイッチ11がONの場合は、制御回路12のフォトカプラのダイオードに電流が流れ、フォトカプラのトランジスタがON状態になる。このとき、コントローラの端子はL(ロー)になり、コントローラ201は直流高圧入力と認識し、給電経路の切換えおよび整流回路6、昇圧回路7の切り離しを行う。
【0027】
以上のように、本発明のスイッチング電源によれば、入力方式選択スイッチにて入力方式を選択することで、一つのスイッチング電源内でそれぞれの入力方式に最適な回路構成に切換えを行うことが出来、スイッチング電源の共通化および高効率な給電が可能である。
【実施例3】
【0028】
図9は、本発明の第三の実施形態に係るスイッチング電源装置の構成例を示した図である。交流入力モジュール101には、交流入力時に必要な入力保護ヒューズ(交流用)3、ラインフィルタ回路(交流用)4、突入抑制回路(交流用)5および整流回路6を備える。共通DCDC部102には昇圧回路7およびDCDCコンバータ8を備える。
【0029】
直流高圧入力モジュール103には、入力保護ヒューズ(直流高圧用)13、ラインフィルタ回路(直流高圧用)14および突入抑制回路(直流高圧用)15を備える。ここで直流高圧入力とは直流300〜400V程度の電圧値のことを指す。交流入力モジュール101と共通DCDC部102はコネクタで接続でき、それらを接続した場合は交流入力スイッチング電源として動作する。直流高圧入力モジュール103とDCDC部102も同様に接続することが可能であり、接続した場合は直流高圧入力スイッチング電源として動作する。よって、共通DCDC部102は共通化ができ、接続する入力モジュールの種類を選択することで、交流入力用と直流高圧入力用を切り替えることが出来る。
【0030】
また、直流高圧入力モジュール103内には、入力電圧監視回路16を備えており、入力コネクタ2を経由して給電される電圧値を測定する。この測定結果を共通DCDC部102の昇圧回路7の経由の要否判定に用いる。実施例1にも記述したように直流高圧入力で入力電圧値が400V程度の場合は、入力電圧そのものが昇圧回路7で昇圧した後の電圧と同程度の電圧であるため、昇圧回路7は不要であり、本昇圧回路7を経由した場合は本回路内での損失が発生し、スイッチング電源全体での変換効率が必要以上に低下する。よって、入力電圧監視回路16の測定結果が400V程度であった場合は昇圧回路7を経由しないようにバイパス回路10を経由した給電経路に切換える。また同時にバイパス制御信号を反転した信号を生成し、バイパスと同時に切り離し回路18を動作させ、整流回路6および昇圧回路7への不要な給電を遮断し、不要な損失を削減する。一方、DCDCコンバータ8には正常動作することが可能な下限電圧があり、その下限電圧を下回ると正常動作が不可能になる。直流高圧モジュール103への入力電圧がDCDCコンバータ8の正常動作が可能な下限電圧を下回った場合は、昇圧回路7で400V程度に昇圧した後にDCDCコンバータ8に給電するように切換える。このように、顧客の電源設備から給電される電圧の変動範囲が大きい場合や、顧客ごとに給電される電圧が様々な電圧値である場合には特に有効である。
【0031】
以上のように、本発明のスイッチング電源によれば、入力モジュールを切換えることで、それぞれの入力方式に最適な回路構成にすることが出来、また直流高圧入力モジュールの場合は昇圧回路経由の要否を判定することで、DCDC部の共通化および入力電圧値に対応した高効率な給電が可能となる。
【0032】
以上、実施例を用いて詳細に説明したが、本発明の技術による実施の形態は他にも多数考えられる。例えば、入力電圧監視と切換え動作を行う回路は共通DCDC部103側にもたせても良い。よって、交流入力と直流高圧入力で給電経路切換えを行う機能が具備されていれば、本発明になる技術が実施されていると言える。
【符号の説明】
【0033】
100 スイッチング電源装置
101 交流入力モジュール部
102 共通DCDC部
103 直流入力モジュール部
1 出力コネクタ
2 入力コネクタ
3 入力保護ヒューズ
4 ラインフィルタ回路
5 突入抑制回路
6 整流回路
7 昇圧回路
8 DCDCコンバータ
9 入力方式判定回路
10 バイパス制御回路
11 入力方式選択スイッチ
12 制御回路
13 入力保護ヒューズ(直流高圧用)
14 ラインフィルタ回路(直流高圧用)
15 突入抑制回路回路(直流高圧用)
16 入力電圧監視回路
17 切換え制御回路
18 切り離し回路
20 バイパスMOSFET
21 ダイオードブリッジ回路
22 分圧平滑回路
201 コントローラ(CPU)
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流入力と直流入力のどちらにも対応できるスイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スイッチング電源装置への入力方式は、市場や顧客により交流または直流があって、これらの入力方式および入力電圧値に対応した交流入力用や直流入力用といったスイッチング電源装置が個々に設計、製造されている。この背景には市場分野において電源設備から交流電力を主に給電している場合(主にサーバなどに使用)と直流電力を主に給電している場合(主に通信システムに使用)が対象となる市場、顧客分野により分かれていたことから、交流入力と直流入力に対応したスイッチング電源をそれぞれ個々に開発してきた背景がある。特開2010−178433(特許文献1)には、交流入力と直流入力のスイッチング電源での共通的に使用が可能である技術として、昇圧コンバータ部、DCDCコンバータ部の効率の向上に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−178433
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記背景技術に示したように、従来は市場、顧客によりスイッチング電源に給電される方式(交流または直流)はほぼ決まっていたが、近年は省エネルギーが重要な課題となっていて、サーバやネットワークルータ等の装置の給電を効率良く行う目的で、交流給電が一般的であったデータセンタなどにおいても400V程度の直流高圧給電方式にするケースがある。よって、今後開発する電子装置に使用するスイッチング電源の市場においては、従来の交流入力と直流高圧入力の両方式のスイッチング電源が必要とされている。しかし、従来のように交流入力と直流入力用を個々に設計開発、製造した場合は開発工数及びコストの増加、保守用交換部品の在庫増加といった問題がある。また、従来から一般的に開発されている交流入力用のスイッチング電源に直流高圧入力電圧を給電して動作するように開発することは可能であるが、その場合は交流入力専用に具備した回路による損失が発生してしまうことから、直流高圧給電方式の目的である高効率給電が実現できない。
【0005】
本発明の目的は、交流入力100〜200Vおよび直流高圧入力(400V程度)のどちらにも対応でき、それぞれの入力方式に対応した最適な回路構成に切換えが可能なスイッチング電源を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、エネルギーを入力する入力端子と、交流を直流に変換する整流回路と、前記整流回路の出力電圧を昇圧する昇圧回路と、前記昇圧回路の出力電圧を所望の直流電圧に変換するDCDCコンバータと、前記DCDCコンバータの出力電圧を出力する出力端子を有するスイッチング電源装置において、前記整流回路または前記昇圧回路の少なくとも1つの電流経路をバイパスするバイパス電流経路と、前記バイパス電流経路へ接続を開閉する第1のスイッチと、前記整流回路及び前記昇圧回路を切り離す第2のスイッチと、前記入力端子の電圧により入力方式を判定して前記第1及び第2のスイッチを開閉する制御回路を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、スイッチング電源の入力電圧が交流100〜200Vおよび直流高圧400V程度のどちらにも対応でき、それぞれの入力方式に対応した最適な回路構成に切換えを行う機能を持つことでスイッチング電源の共通化および高効率な給電が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るスイッチング電源装置の構成例を示したブロック図である。
【図2】図1に示した本発明スイッチング電源の入力方式判定を行う詳細部の一例を示す回路図である。
【図3】図2に示した入力方式判定回路であるゼロクロス検出回路の入力電圧波形と出力電圧波形である。
【図4】図2に示したコントローラ動作用での電源を生成するダイオードブリッジ回路に交流電圧が入力された場合の全波整流、分圧および平滑を行った波形を示す。
【図5】図2に示したコントローラ動作用での電源を生成するダイオードブリッジ回路に直流高圧電圧が入力された場合の全波整流、分圧および平滑を行った波形を示す。
【図6】図1に示した本発明スイッチング電源の給電経路の切換えを行う詳細部の一例を示す回路図である。
【図7】本発明の第二の実施形態に係るスイッチング電源装置の構成例を示したブロック図である。
【図8】入力方式選択スイッチと制御回路のスイッチ状態検出部の詳細の一例を示した図である。
【図9】本発明の第三の実施形態に係るスイッチング電源装置の構成例を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態を図を用いて説明する。
【実施例1】
【0010】
本実施例では、入力方式が交流か直流高圧のどちらかを自動的に判定し、それぞれの入力方式に最適な回路構成に切換えを行う機能を持つスイッチング電源100の例を説明する。ここで直流高圧入力とは内部のDCDCコンバータの動作が可能な下限電圧である350V程度から400V程度の電圧値のことを指す。
【0011】
図1は、本実施例のスイッチング電源の構成図の例である。図1において、100は本発明による交流直流高圧入力スッチング電源装置の全体を示す。このスイッチング電源装置100は、一般的な交流入力のスイッチング電源装置と同様に、出力コネクタ1、入力コネクタ2、入力保護ヒューズ3、ラインフィルタ回路4、突入抑制回路5、整流回路6、昇圧回路7、DCDCコンバータ8を備えている。また、本発明の特徴である入力方式判定回路9、バイパス回路10、切り離し回路18を備える。ここで、入力コネクタ2、入力保護ヒューズ3、ラインフィルタ4、突入抑制回路5は交流および直流高圧の両方に適用可能な部品を選定することが可能である。昇圧回路7は電圧定格値が満足できれば、交流と直流高圧で共用が可能であるが、昇圧回路7は直流高圧入力の場合において入力電圧が400V程度とすると、その電圧値は昇圧回路7で昇圧した後の電圧と同程度であることから不必要な回路である。また、本昇圧回路7を経由した場合は本回路内での損失が発生し、スイッチング電源全体での変換効率が必要以上に低下することとなる。
【0012】
よって、本発明ではスイッチング電源に直流高圧入力が給電された場合においては、昇圧回路7は経由せず、DCDCコンバータ8に給電するように給電経路を切換える入力方式判定回路9、バイパス回路10を備える。また、直流高圧入力時に整流回路6および昇圧回路7への給電を遮断するための切り離し回路18を備える。整流回路6は交流を入力し、全波整流された直流電圧を出力する回路であるため、直流高圧入力が給電された場合においては不必要な回路である。よって、直流高圧入力が給電された場合においては、昇圧回路7と同様に整流回路6は経由しないようにする。
【0013】
ここでDCDCコンバータ8は、昇圧回路7で400V程度に昇圧された電圧を入力し、12V程度の所望の低電圧に降圧して出力する回路であり、直流高圧をそのまま入力可能な回路である。逆に、スイッチング電源に一般的な交流の電圧100〜200Vが入力された場合には、必ず内部の整流回路6、昇圧回路7を経由し、400V程度に昇圧した後にDCDCコンバータ8に入力される必要がある。
【0014】
入力方式が交流であると判定した場合は、入力方式判回路9およびバイパス回路10による給電経路の切換えは動作せず、交流入力用の給電経路で動作をする。直流高圧入力と判定した場合はバイパス回路10を動作させ、直流高圧入力用の給電経路に切換える、またバイパス回路10を動作させるバイパス制御信号を用いて、同時に切り離し回路18を動作させることで整流回路6および昇圧回路7への不要な給電を遮断する。
【0015】
図2は本発明の特徴である入力方式判定回路9の詳細部の一例を示した図である。また図3は、図2に示した回路におけるゼロクロス回路部の入出力電圧波形を示す。図4は交流を入力したときの図2に示した回路におけるコントローラの動作用電源であるVCC電圧を生成するためのダイオードブリッジ回路21および分圧平滑回路22の出力電圧波形を示す。図5は直流を入力したときのダイオードブリッジ回路21および分圧平滑回路22の出力電圧波形を示す。
【0016】
入力方式判定回路9はゼロクロス検出回路200とコントローラ201で構成され、交流または直流が入力されるとダイオードブリッジ回路21、分圧平滑回路22により低電圧にした後、コントローラ201動作用の電源Vccが給電される。ゼロクロス検出回路出力200のフォトカプラ23からの出力はコントローラ201に入力され、入力方式が交流か直流かを判定する。スイッチング電源100に入力電圧が印加されるとゼロクロス検出回路200に入力電圧が入力される。図3に示すように、ゼロクロス検出回路200に正弦波の交流電圧が入力されると、2つのフォトカプラ23で整流、ロジックレベル電圧への変換を行い、ゼロボルトを経過したタイミングでフォトカプラの出力電圧が立上り、それがコントローラ201に入力されると、本フォトカプラ出力の立上りエッジを検出することで交流入力であると判断する。20ms以上の期間、ゼロクロス検出しない場合は直流高圧入力と判定する。
【0017】
また、コントローラ201には、入力方式判定を行うか行わないかを判定するために、スイッチング電源の出力電圧を監視する。スイッチング電源が動作中に、給電経路の切替えを防止するため、出力電圧がある場合には入力方式判定を行わないようにコントローラ201で制御する。出力電圧が無い場合のみコントローラ201による切換え制御は行われる。この出力電圧監視とバイパス制御のコントロールはソフトウェアにより、実現することが可能である。
【0018】
また、コントローラ201の動作用電源を生成する回路であるダイオードブリッジ回路21、分圧平滑回路22の動作を図4を用いて説明する。電源ユニットに交流が入力された場合は図4に示すように全波整流を行った後、分圧平滑回路22により低電圧への変換と平滑を行った後、コントローラ201の動作用電源として給電する。直流高圧が入力された場合は、図5のように元々直流であることからダイオードブリッジ回路21による整流は行われずに入力と同じ波形が出力され、分圧平滑回路による低電圧への変換だけを行い、コントローラ201に動作用電源を入力する。ここで分圧部の分圧比は、コントローラ210のVCCの入力電圧範囲を考慮して決定すれば良い。
【0019】
図6はバイパス回路10の詳細部の一例を示した図である。直流高圧入力であると判定した場合には、入力方式判定回路9からのバイパス制御信号により、バイパス回路10のバイパスMOSFET20をオンすることで、整流回路6、昇圧回路7を経由しない直流高圧用の給電経路に切換える。また同時にバイパス制御信号を反転した信号を生成し、バイパスと同時に切り離し回路18を動作させ、整流回路6および昇圧回路7への不要な給電を遮断する。
【0020】
以上のように、本発明のスイッチング電源によれば、入力方式判定回路9にて入力方式を判定し、バイパス回路10にてスイッチング電源内の給電経路を切換え、不要な回路への給電を切り離すことで、一つのスイッチング電源内でそれぞれの入力方式に最適な回路構成に切換えを行うことが出来、スイッチング電源の共通化および高効率な給電が可能である。
【実施例2】
【0021】
本実施例では、入力電圧が交流か直流高圧のどちらかを外部スイッチにて選択し、それぞれの入力方式に最適な回路構成に切換えを行う機能を持つスイッチング電源100の例を説明する。ここで直流高圧入力とは内部のDCDCコンバータの動作が可能な下限電圧である350V程度から400V程度の電圧値のことを指す。
【0022】
図7は、本実施例のスイッチング電源の構成図の例である。スイッチング電源100は本発明による交流直流高圧入力スッチング電源装置の全体を示す。この交流直流高圧入力電源装置100は、一般的な交流入力のスイッチング電源装置と同様に、出力コネクタ1、入力コネクタ2、入力保護ヒューズ3、ラインフィルタ4、突入抑制回路5、整流回路6、昇圧回路7、DCDCコンバータ8を備えている。また、本発明の特徴である入力方式選択スイッチ11、入力方式判定、入力電圧監視、切換え制御を行う制御回路12、バイパス回路10、切り離し回路18を備える。ここで、入力コネクタ2、入力保護ヒューズ3、ラインフィルタ4、突入抑制回路5は交流および直流高圧の両方に適用可能な部品を選定することが可能である。昇圧回路7は電圧定格値が満足できれば、交流と直流高圧で共用が可能である。ただし、昇圧回路7は直流高圧入力の場合において入力電圧が400V程度とすると、その電圧値は昇圧回路7で昇圧した後の電圧と同程度であるため、不必要な回路である。また、本昇圧回路7を経由した場合は本回路内での損失が発生し、スイッチング電源全体での変換効率が必要以上に低下することとなる。
【0023】
よって、本発明ではスイッチング電源に直流高圧入力が給電された場合においては、昇圧回路7は経由せず、DCDCコンバータ8に給電するように給電経路を切換える機能を備える。整流回路6は交流を入力し、全波整流された直流電圧を出力する回路であるため、直流高圧入力が給電された場合においては不必要な回路である。よって、直流高圧入力が給電された場合においては、昇圧回路7と同様に整流回路6は経由しないようにする。ここでDCDCコンバータ8は、昇圧回路7で400V程度に昇圧された電圧を入力し、12V程度の所望の低電圧に降圧して出力する回路であり、直流高圧をそのまま入力可能な回路である。逆に、スイッチング電源に一般的な交流の電圧100〜200Vが入力された場合には、必ず内部の整流回路6、昇圧回路7を経由し、400V程度に昇圧した後にDCDCコンバータ8に入力される必要がある。
【0024】
入力方式選択スイッチ11で交流入力に設定した場合は、制御回路12による給電経路切換えは動作せず、交流入力用に整流回路6および昇圧回路7を経由し、DCDCコンバータ8に給電する。直流高圧入力に設定した場合は制御回路12を動作させ、バイパス回路10による給電直流高圧入力用の給電経路に切換わって動作する。また同時にバイパス制御信号を反転した信号を生成し、バイパスと同時に切り離し回路18を動作させ、整流回路6および昇圧回路7への不要な給電を遮断する。
【0025】
また、入力方式判定回路9により交流入力、直流入力のいずれかを判定することで、入力方式選択スイッチ11の設定と一致しているかどうかを確認する。一致していない場合は電源がオンしないように制御すると共に、LEDによる表示や上位装置への報告を行う。また、入力方式選択スイッチ11による給電経路の切換えは、入力電圧が無い状態から、あらたに給電が開始された場合にのみ有効になるようにする。例えば、一旦入力電圧を交流または直流高圧を設定した後は入力電圧が60V以下に一旦低下しない限りは初期に決定した給電経路から変わらないように制御回路12内で制御することで動作中の給電経路の変更を防止することが可能である。また、制御回路12はスイッチング電源100の出力電圧有無を監視しておき、出力電圧がある場合には入力方式選択スイッチが切換えられても、その操作は無効とする。出力電圧が無い場合のみ切換え制御は行われる。
【0026】
図8は入力方式選択スイッチ11と制御回路12のスイッチ状態検出部の詳細の一例を示した図である。入力方式選択スイッチ11は一般的な接点を持ったトグルスイッチやロッカースイッチである。制御回路12には入力方式選択スイッチの状態を検出するためのフォトカプラとコントローラ201を備える。交流入力の場合スイッチはOFFと定義する。入力方式選択スイッチがOFFの場合は、制御回路12のフォトカプラのダイオードには電流が流れないため、フォトカプラのトランジスタはOFF状態である。このとき、コントローラの端子はH(ハイ)になり、コントローラ201は交流入力と認識し、給電経路の切換えは行わない。入力方式選択スイッチ11がONの場合は、制御回路12のフォトカプラのダイオードに電流が流れ、フォトカプラのトランジスタがON状態になる。このとき、コントローラの端子はL(ロー)になり、コントローラ201は直流高圧入力と認識し、給電経路の切換えおよび整流回路6、昇圧回路7の切り離しを行う。
【0027】
以上のように、本発明のスイッチング電源によれば、入力方式選択スイッチにて入力方式を選択することで、一つのスイッチング電源内でそれぞれの入力方式に最適な回路構成に切換えを行うことが出来、スイッチング電源の共通化および高効率な給電が可能である。
【実施例3】
【0028】
図9は、本発明の第三の実施形態に係るスイッチング電源装置の構成例を示した図である。交流入力モジュール101には、交流入力時に必要な入力保護ヒューズ(交流用)3、ラインフィルタ回路(交流用)4、突入抑制回路(交流用)5および整流回路6を備える。共通DCDC部102には昇圧回路7およびDCDCコンバータ8を備える。
【0029】
直流高圧入力モジュール103には、入力保護ヒューズ(直流高圧用)13、ラインフィルタ回路(直流高圧用)14および突入抑制回路(直流高圧用)15を備える。ここで直流高圧入力とは直流300〜400V程度の電圧値のことを指す。交流入力モジュール101と共通DCDC部102はコネクタで接続でき、それらを接続した場合は交流入力スイッチング電源として動作する。直流高圧入力モジュール103とDCDC部102も同様に接続することが可能であり、接続した場合は直流高圧入力スイッチング電源として動作する。よって、共通DCDC部102は共通化ができ、接続する入力モジュールの種類を選択することで、交流入力用と直流高圧入力用を切り替えることが出来る。
【0030】
また、直流高圧入力モジュール103内には、入力電圧監視回路16を備えており、入力コネクタ2を経由して給電される電圧値を測定する。この測定結果を共通DCDC部102の昇圧回路7の経由の要否判定に用いる。実施例1にも記述したように直流高圧入力で入力電圧値が400V程度の場合は、入力電圧そのものが昇圧回路7で昇圧した後の電圧と同程度の電圧であるため、昇圧回路7は不要であり、本昇圧回路7を経由した場合は本回路内での損失が発生し、スイッチング電源全体での変換効率が必要以上に低下する。よって、入力電圧監視回路16の測定結果が400V程度であった場合は昇圧回路7を経由しないようにバイパス回路10を経由した給電経路に切換える。また同時にバイパス制御信号を反転した信号を生成し、バイパスと同時に切り離し回路18を動作させ、整流回路6および昇圧回路7への不要な給電を遮断し、不要な損失を削減する。一方、DCDCコンバータ8には正常動作することが可能な下限電圧があり、その下限電圧を下回ると正常動作が不可能になる。直流高圧モジュール103への入力電圧がDCDCコンバータ8の正常動作が可能な下限電圧を下回った場合は、昇圧回路7で400V程度に昇圧した後にDCDCコンバータ8に給電するように切換える。このように、顧客の電源設備から給電される電圧の変動範囲が大きい場合や、顧客ごとに給電される電圧が様々な電圧値である場合には特に有効である。
【0031】
以上のように、本発明のスイッチング電源によれば、入力モジュールを切換えることで、それぞれの入力方式に最適な回路構成にすることが出来、また直流高圧入力モジュールの場合は昇圧回路経由の要否を判定することで、DCDC部の共通化および入力電圧値に対応した高効率な給電が可能となる。
【0032】
以上、実施例を用いて詳細に説明したが、本発明の技術による実施の形態は他にも多数考えられる。例えば、入力電圧監視と切換え動作を行う回路は共通DCDC部103側にもたせても良い。よって、交流入力と直流高圧入力で給電経路切換えを行う機能が具備されていれば、本発明になる技術が実施されていると言える。
【符号の説明】
【0033】
100 スイッチング電源装置
101 交流入力モジュール部
102 共通DCDC部
103 直流入力モジュール部
1 出力コネクタ
2 入力コネクタ
3 入力保護ヒューズ
4 ラインフィルタ回路
5 突入抑制回路
6 整流回路
7 昇圧回路
8 DCDCコンバータ
9 入力方式判定回路
10 バイパス制御回路
11 入力方式選択スイッチ
12 制御回路
13 入力保護ヒューズ(直流高圧用)
14 ラインフィルタ回路(直流高圧用)
15 突入抑制回路回路(直流高圧用)
16 入力電圧監視回路
17 切換え制御回路
18 切り離し回路
20 バイパスMOSFET
21 ダイオードブリッジ回路
22 分圧平滑回路
201 コントローラ(CPU)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギーを入力する入力端子と、交流を直流に変換する整流回路と、前記整流回路の出力電圧を昇圧する昇圧回路と、前記昇圧回路の出力電圧を所望の直流電圧に変換するDCDCコンバータと、前記DCDCコンバータの出力電圧を出力する出力端子を有するスイッチング電源装置において、前記整流回路または前記昇圧回路の少なくとも1つの電流経路をバイパスするバイパス電流経路と、前記バイパス電流経路へ接続を開閉する第1のスイッチと、前記整流回路及び前記昇圧回路を切り離す第2のスイッチと、前記入力端子の電圧により入力方式を判定して前記第1及び第2のスイッチを開閉する制御回路を備えたことを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記入力端子に接続された整流素子と、前記整流素子の出力電圧を検出して入力方式を判定する制御部から成ることを特徴とする請求項1記載のスイッチング電源装置。
【請求項3】
入力方式を選択する第3のスイッチを備え、前記制御回路は前記第3のスイッチのON/OFF状態に対応して前記第1及び第2のスイッチを開閉することを特徴とする請求項1記載のスイッチング電源装置。
【請求項4】
交流エネルギーを入力する入力端子と交流を直流に変換する整流回路と該整流回路の出力電圧を出力するコネクタを有する交流入力部と、入力電圧を入力するコネクタと該入力電圧を昇圧する昇圧回路と該昇圧回路の出力電圧を所望の直流電圧に変換するDCDCコンバータと該DCDCコンバータの出力電圧を出力する出力端子を有する共通出力部と、直流エネルギーを入力する入力端子と該入力端子の電圧を測定する電圧検出回路を有する直流入力部とを備えたスイッチング電源装置であって、前記共通出力部は前記交流入力部又は直流入力部のいずれか一方と接続可能に構成され、前記共通出力部は前記昇圧回路の電流経路をバイパスするバイパス電流経路と該バイパス電流経路への接続を開閉する第4のスイッチと前記昇圧回路を切り離す第5のスイッチを有し、前記直流入力部が前記共通出力部と接続された場合に、前記直流入力部は入力電圧の検出結果に基づいて前記共通出力部の前記第4及び第5のスイッチを開閉する制御回路を有することを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項1】
エネルギーを入力する入力端子と、交流を直流に変換する整流回路と、前記整流回路の出力電圧を昇圧する昇圧回路と、前記昇圧回路の出力電圧を所望の直流電圧に変換するDCDCコンバータと、前記DCDCコンバータの出力電圧を出力する出力端子を有するスイッチング電源装置において、前記整流回路または前記昇圧回路の少なくとも1つの電流経路をバイパスするバイパス電流経路と、前記バイパス電流経路へ接続を開閉する第1のスイッチと、前記整流回路及び前記昇圧回路を切り離す第2のスイッチと、前記入力端子の電圧により入力方式を判定して前記第1及び第2のスイッチを開閉する制御回路を備えたことを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記入力端子に接続された整流素子と、前記整流素子の出力電圧を検出して入力方式を判定する制御部から成ることを特徴とする請求項1記載のスイッチング電源装置。
【請求項3】
入力方式を選択する第3のスイッチを備え、前記制御回路は前記第3のスイッチのON/OFF状態に対応して前記第1及び第2のスイッチを開閉することを特徴とする請求項1記載のスイッチング電源装置。
【請求項4】
交流エネルギーを入力する入力端子と交流を直流に変換する整流回路と該整流回路の出力電圧を出力するコネクタを有する交流入力部と、入力電圧を入力するコネクタと該入力電圧を昇圧する昇圧回路と該昇圧回路の出力電圧を所望の直流電圧に変換するDCDCコンバータと該DCDCコンバータの出力電圧を出力する出力端子を有する共通出力部と、直流エネルギーを入力する入力端子と該入力端子の電圧を測定する電圧検出回路を有する直流入力部とを備えたスイッチング電源装置であって、前記共通出力部は前記交流入力部又は直流入力部のいずれか一方と接続可能に構成され、前記共通出力部は前記昇圧回路の電流経路をバイパスするバイパス電流経路と該バイパス電流経路への接続を開閉する第4のスイッチと前記昇圧回路を切り離す第5のスイッチを有し、前記直流入力部が前記共通出力部と接続された場合に、前記直流入力部は入力電圧の検出結果に基づいて前記共通出力部の前記第4及び第5のスイッチを開閉する制御回路を有することを特徴とするスイッチング電源装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2012−213263(P2012−213263A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77106(P2011−77106)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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