説明

スイッチ構造

【課題】 透明カバー30を着脱する際における外力を受けた場合においても、押し釦10が筐体20より外れることなく、かつ押し釦10を容易に筐体20に取り付けることができるスイッチ構造1を提供するものである。
【解決手段】 スイッチ50が実装された基板40を内部に有した筐体20と、筐体20に設けた開口部24の表面側から挿入されて裏面側に係合する係合爪12を有した係合片11を設けて使用者に押されることによりスイッチ50を切り換える押し釦10と、押し釦10の表面側に着脱自在に取り付けられた透明カバー30と、を備えたスイッチ構造1において、前記筐体20は、係合片11の挿入方向に向って傾斜し、係合片11を係合爪12の係合する方向へ押圧する押圧片25が設けられているものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、押し釦によってスイッチを操作するスイッチ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、スイッチが実装された基板を内部に有した筐体と、筐体に設けた開口部の表面側から挿入されて裏面側に係合する係合爪を有した係合片を設けて使用者に押されることによりスイッチを切り換える押し釦と、を備えたスイッチ構造が提供されている。(例えば、特許文献1参照)。そして、図4に示すように、この種のスイッチ構造101は、使用者から押されることにより筐体120の裏面方向に平行移動した押し釦10を、押力が除去された後に、前の位置に復帰させるための圧縮バネ60等の復帰手段を有して、係合片11に設けられた係合爪12と筐体120の裏面とが係合して押力を受ける前の位置に復帰するようになっている。
【特許文献1】特開2000−315436号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記のような構造を備えたスイッチ構造101では、押し釦10を押すことによりどのような機能が実行されるのか等を表示する名札80を入れ替え可能にするために、着脱自在に取り付けられた透明カバー30を押し釦10の表面側に設けた場合には、透明カバー30の着脱時に押し釦10に回転モーメント等の普段の使用とは異なる方向の外力を受ける。そのため、主に透明カバー30を着脱する際の外力を受けた場合において、押し釦10が筐体120より外れてしまうという不具合があった。そこで、本願発明は、透明カバーを着脱する際における外力を受けた場合においても、押し釦が筐体より外れることなく、かつ押し釦を容易に筐体に取り付けることができるスイッチ構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本願発明のスイッチ構造は、スイッチが実装された基板を内部に有した筐体と、筐体に設けた開口部の表面側から挿入されて裏面側に係合する係合爪を有した係合片を設けて使用者に押されることによりスイッチを切り換える押し釦と、押し釦の表面側に着脱自在に取り付けられた透明カバーと、を備えたスイッチ構造において、前記筐体は、係合片の挿入方向に向って傾斜し、係合片を係合爪の係合する方向へ押圧する押圧片が設けられているものである。
【発明の効果】
【0005】
本願発明のスイッチ構造においては、係合片の挿入方向に向って傾斜し、係合片を係合爪の係合する方向へ押圧する押圧片が設けられたので、押し釦の係合片が筐体の開口部に挿入される際に押圧片が係合片のガイドとなり容易に筐体に挿入可能となり、かつ透明カバーを外す際に回転モーメントが負荷されても係合片が押圧片により押圧されているので、押し釦を容易に筐体に取り付けることができ、かつ押し釦が筐体より外れてしまう不具合が生じ難い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本願発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。
【0007】
本実施形態は、図1・2に示すインターホン副親機90に適用したものである。但し、本願発明はこれに限られず種々の電子機器に適用可能である。
【0008】
このインターホン副親機90は、例えば、玄関先などに配設された子機や、室内に配設された親機及び他の副親機ととともにインターホンシステムを構成し、これら子機及び親機及び他の副親機との通話や、電気錠の施錠及び解錠の機能を有するものである。以下、上下左右は図1(a)を基準とし、図1(a)の紙面手前側を表面側として説明する。このインターホン副親機90は、上述した通話や施解錠といった機能を実現するための電子回路およびこれらの機能の開始及び終了のトリガとなるスイッチ50を実装した基板40(図示せず)が内蔵された筐体20を備えているものである。
【0009】
そして、筐体20の表面下部には通話の開始及び終了のトリガとなるスイッチ50を操作するための大型の押ボタン91が、筐体20の表面中央部には玄関に設けられた電気錠等の玄関扉を解錠するトリガとなるスイッチ50を操作するための丸型の押しボタン92および他の部屋に設けられた親機または副親機に呼出し音を鳴動させるトリガとなるスイッチ50を操作するための2個の楕円型の押し釦10が、各々設けられているものである。また、大型の押ボタン91の上側には、筐体20に内蔵されたスピーカの音を出すための音穴93が設けられている。さらに、筐体20の下側面には、通話の音量調整と電源のオンオフとを行うためのスライドスイッチ94が設けられているものである。
【0010】
以下、本願発明の要点であるスイッチ構造1について説明する。本実施形態のスイッチ構造1は、スイッチ50が実装された基板40を内部に有した筐体20と、筐体20に設けた開口部24の表面側から挿入されて裏面側に係合する係合爪12を有した係合片11を設けて使用者に押されることによりスイッチ50を切り換える押し釦10と、押し釦10の表面側に着脱自在に取り付けられた透明カバー30と、を備えたスイッチ構造1において、筐体20は、係合片11の挿入方向に向って傾斜し、係合片11を係合爪12の係合する方向へ押圧する押圧片25が設けられているものである。
【0011】
また、本実施形態のスイッチ構造1は、係合片11が押圧片25で押圧される側と反対側に位置する筐体20の面との間に隙間70を有するように取り付けられているものである。
【0012】
また、本実施形態のスイッチ構造1は、押し釦10が係合爪12の係合する方向が各々異なるように設けられた複数の係合片11を備えて、各係合片11の係合爪12が筐体20に設けた複数の開口部24の裏面側にそれぞれ係合されているものである。
【0013】
また、本実施形態のスイッチ構造1は、筐体20が複数の開口部24が位置する部位の略中心の位置に周辺部位よりも厚い厚肉部26を備えて、押し釦10が厚肉部26に設けられた案内孔27に表面側から挿入されて裏面側に摺動可能に案内される案内片13を備えているものである。
【0014】
さらに、詳しく説明すると、本実施形態のスイッチ構造1は、図3に示すように、押し釦10の表面にスイッチ50の機能を表示する紙である名札80を挟んで透明カバー30が着脱自在に取り付けられた押し釦10の裏面に設けられて、この係合片11および案内片13が、筐体20に設けられた押し釦10を収納するための収納溝23の底に設けられた開口部24および案内孔27に、圧縮バネ60を挟んで挿入されて取り付けられるものとなっている。また、押し釦10の取り付けに際しては、案内孔27の表面はテーパ形状となっており、かつ開口部24の案内孔27が存在する側の周縁からは係合片11の挿入方向、つまり裏面方向に向って傾斜して延出させた押圧片25があるので、押し釦10の筐体20への円滑な取り付けが可能なものとなっている。さらに、筐体20の案内孔27の裏面側には基板40に実装されたスイッチ50が固定されており、押し釦10が使用者からの押力を受けて裏面方向に移動し、押し釦10の案内片13の先端がスイッチ50を切り替えるものとなっているものである。
【0015】
筐体20は、壁面等の取付面に取り付けられる前面が開放されたボディ21と、後面が開放された直方体形状に形成されボディ21の前側に被着されるカバー22と、からなっており、ボディ21及びカバー22は例えば合成樹脂成形品からなっているものである。そして、ボディ21には、図2に示すように、押し釦10を表裏面方向に摺動可能に収納するための断面楕円形状の収納溝23を備えているものである。また、その収納溝23の底部の中央には他の底部の厚みよりも厚い厚肉部26を備えて、その厚肉部26には押し釦10を案内するための丸孔である案内孔27が設けられているものである。さらには、収納溝23の底部の案内孔27を挟んで対称の位置には断面四角形状の1対(2個)の開口部24を備えており、各開口部24の案内孔27が存在する側の周縁からは係合片11の挿入方向に向って傾斜して延出させた押し釦10の抜けを防止する押圧片25が形成されているものである。そのため、この押圧片25は押し釦10を筐体20に挿入する際には押し釦10の係合片11の先端を案内し、かつ挿入後には押し釦10の係合片11を収納溝23の底部の外側に、つまり係合爪12の係合する方向へ押圧するようになっているものである。さらには、この開口部24は、押し釦10の係合片11が取り付けられた際に、係合片11の外側壁(係合爪12を除く)と開口部24の側壁とは擦れることがないような位置および大きさで形成されているものである。このため、押し釦10の係合片11は、表裏方向に摺動する際に、主に筐体20に設けられた押圧片25の先端と係合片11の側面とが擦れ合うようになっているものである。
【0016】
押し釦10は、楕円形平板状の平板片14と、平板片14の周縁から裏面側に突出させた1対の係合片11と、平板片14の中央から裏面方向に突設させた案内片13と、を備えているものである。そして、平板片14は、押し釦10が筐体20に取り付けられた際に、筐体20の収納溝23内で回転を規制しつつ表裏方向に摺動できるように、筐体20の収納溝23よりも若干小さい断面楕円形状となっており、かつその表面の周縁には段差15を備えて、透明カバー30を着脱自在に嵌合することが可能なものとなっている。また、一対の係合片11は、押し釦10の外側方向の側面の端部に各々係合爪12を備えており、係合爪12が筐体20の裏面側に係合することで、筐体20と押し釦10の間に介在する圧縮バネ60のバネ力により押し釦10が筐体20から外れるのを防止するものである。さらに、案内片13は、筐体20の案内孔27よりも若干小さい円筒形状を備えており、案内孔27に挿入されて押し釦10が筐体20に対して上下左右方向には移動せず表裏面方向にのみ移動するように、押し釦10の移動方向を規制しているものとなっている。
【0017】
透明カバー30は、アクリル等の透明な樹脂材料で形成された有底楕円筒形状を備えており、押し釦10の平板片14に設けられた段差15にその周壁31を勘合させることにより、押し釦10に着脱自在に取り付けられるものとなっているものである。
【0018】
そして、使用者が透明カバー30を介して押し釦10を押した際には、押し釦10の案内片13が裏面方向に移動して、筐体20の内部にあるスイッチ50を案内片13の先端で押圧して切り換えるものとなっている。さらには、使用者からの押力が除去された後には、筐体20と押し釦10との間に介設された圧縮バネ60のバネ力により表面方向に押し釦10が移動し、係合片11に設けられた係合爪12と筐体20の裏面とが係合して押力を受ける前の位置に復帰するようになっているものである。また、押し釦10の表面より透明カバー30を外す際には、押し釦10を案内片13が挿入された案内孔27の周縁及び係合片11を係合爪12の係合する方向へ押圧する1対の押圧片25で支持して、押し釦10が回転して筐体20より外れることを防止しているものとなっている。
【0019】
以上の構成を備えることにより、この実施形態で用いるスイッチ構造1は、筐体20は、係合片11の挿入方向に向って傾斜し、係合片11を係合爪12の係合する方向へ押圧する押圧片25が設けられているので、押し釦10の係合片11が筐体20の開口部24に挿入される際に押圧片25が係合片11のガイドとなり容易に筐体20に挿入可能となり、かつ透明カバー30を外す際の外力を受けても係合片11が押圧片25により支持されているので、押し釦10を容易に筐体20に取り付けることができて、かつ押し釦10が筐体20より外れてしまう不具合が生じ難いものである。
【0020】
また、本実施形態のスイッチ構造1は、係合片11が押圧片25で押圧される側と反対側に位置する筐体20の面との間に隙間70を有するように取り付けられているので、押し釦10を押した際に係合片11は押圧片25と反対側に位置する筐体20の面に対しては摩擦力が働かないため、常に一定の摩擦力をもって押圧片25と係合片11が擦れることになり、操作感覚を一定に保つことができるものである。
【0021】
また、本実施形態のスイッチ構造1は、押し釦10が係合爪12の係合する方向が各々異なるように設けられた複数の係合片11を備えて、各係合片11の係合爪12が筐体20に設けた複数の開口部24の裏面側にそれぞれ係合されているので、透明カバー30を外す際に様々な方向の外力を受けても押し釦10が筐体20より外れてしまう不具合がより生じ難い。
【0022】
また、本実施形態のスイッチ構造1は、筐体20が複数の開口部24が位置する部位の略中心の位置に周辺部位よりも厚い厚肉部26を備えて、押し釦10が厚肉部26に設けられた案内孔27に表面側から挿入されて裏面側に摺動可能に案内される案内片13を備えているので、透明カバー30を外す際の外力を受けても開口部24の略中心に位置する案内孔27で支持して透明カバー30を外す際に押し釦10が筐体20より外れてしまう不具合がより生じ難い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本願発明が用いられるインターホン副親器を示す図であり、(a)は正面図(b)は下面図。
【図2】本願発明が用いられるインターホン副親器の筐体と押し釦とを分離した状態を示す展開斜視図。
【図3】本願発明の実施形態の要部であるスイッチ構造を示す断面図。
【図4】従来のスイッチ構造を示す断面図。
【符号の説明】
【0024】
1 スイッチ構造
10 押し釦
11 係合片
12 係合爪
13 案内片
14 平板片
15 段差
20 筐体
21 ボディ
22 カバー
23 収納溝
24 開口部
25 押圧片
26 厚肉部
27 案内孔
30 透明カバー
31 周壁
40 基板
50 スイッチ
60 圧縮バネ
70 隙間
80 名札
90 インターホン副親機
91 押ボタン
92 押しボタン
93 音穴
94 スライドスイッチ
101 スイッチ構造
120 筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチが実装された基板を内部に有した筐体と、筐体に設けた開口部の表面側から挿入されて裏面側に係合する係合爪を有した係合片を設けて使用者に押されることによりスイッチを切り換える押し釦と、押し釦の表面側に着脱自在に取り付けられた透明カバーと、を備えたスイッチ構造において、前記筐体は、係合片の挿入方向に向って傾斜し、係合片を係合爪の係合する方向へ押圧する押圧片が設けられたことを特徴とするスイッチ構造。
【請求項2】
前記係合片は、押圧片で押圧される側と反対側に位置する筐体の面との間に隙間を有するように取り付けられたことを特徴とする請求項1に記載のスイッチ構造。
【請求項3】
前記押し釦が、係合爪の係合する方向が各々異なるように設けられた複数の係合片を備えて、各係合片の係合爪が筐体に設けた複数の開口部の裏面側にそれぞれ係合されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のスイッチ構造。
【請求項4】
前記筐体が、前記複数の開口部が位置する部位の略中心の位置に周辺部位よりも厚い厚肉部を備えて、前記押し釦が厚肉部に設けられた案内孔に表面側から挿入されて裏面側に摺動可能に案内される案内片を備えていることを特徴とする請求項3に記載のスイッチ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−302847(P2006−302847A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−127087(P2005−127087)
【出願日】平成17年4月25日(2005.4.25)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】