説明

スイッチ装置及びこれを用いたリモコン送信機

【課題】主に各種電子機器の操作に用いられるスイッチ装置及びこれを用いたリモコン送信機に関し、誤操作がなく、多様な操作が可能なものを提供することを目的とする。
【解決手段】操作体12が回転及び傾倒操作可能に突出したケース11の開口孔11A内に、上下面が略円弧状の保持部11Dを設けると共に、操作体12中央下面、及びこの下面に係合した押圧体13中央上面に、保持部11Dに当接する略円弧状の摺動部12Aと13Aを設けることによって、操作体12および押圧体13がケース11開口孔11A内の保持部11Dを摺動して傾倒操作が行われるため、操作方向以外のスイッチ接点を接離させることがなくなり、誤操作がなく、多様な操作が可能なスイッチ装置及びこれを用いたリモコン送信機を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に各種電子機器の操作に用いられるスイッチ装置、及びこれを用いたリモコン送信機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、映像や音響、空調等の各種電子機器の高機能化が進むなか、これらを操作するスイッチ装置やリモコン送信機においても、多様な操作が可能で、かつ確実に操作を行えるものが求められている。
【0003】
このような従来のスイッチ装置及びこれを用いたリモコン送信機について、図4及び図5を用いて説明する。
【0004】
図4は従来のリモコン送信機の断面図であり、同図において、1は絶縁樹脂製で略箱状のケース、2は略円盤状の操作体、3は絶縁樹脂製の押圧体で、ケース1上面に形成された開口孔1Aから、操作体2が回転及び傾倒操作可能に突出すると共に、操作体2下面には押圧体3が係合している。
【0005】
そして、4はゴム等のシート状の弾性体で、略ドーム状の薄肉部を有する四つのキー5A、5B、5C、5Dが左右前後に設けられ、この各キーの上面が押圧体3下面に当接すると共に、各キーの下面にはカーボン等によって可動接点4Aが設けられている。
【0006】
また、6は上下面に複数の配線パターン(図示せず)が形成された配線基板で、この上面に弾性体4が載置されると共に、配線基板6上面には、可動接点4Aと所定の間隙を空けて対向する複数の固定接点6Aが、カーボン等によって設けられて、複数のスイッチ接点が形成されている。
【0007】
さらに、7はレバー7Aが揺動可能に上方ヘ突出した検知スイッチで、この検知スイッチ7が配線基板6上面に実装され、所定の配線パターンに接続されると共に、レバー7Aが操作体2下面内周のカム部2Aに当接して、スイッチ装置が構成されている。
【0008】
そして、配線基板6上下面には、発光ダイオード等の電子部品によってリモコン信号を送信する送信手段8や、配線パターンを介して固定接点6Aや検知スイッチ7に接続された、マイコン等の制御手段9が形成されてリモコン送信機が構成されている。
【0009】
以上の構成において、スイッチ装置の操作体2を時計方向または反時計方向へ回転操作すると、操作体2下面内周のカム部2Aが検知スイッチ7のレバー7Aに当接し、レバー7Aが揺動して検知スイッチ7の電気的接離が行われ、この電気信号が制御手段9へ出力される。
【0010】
そして、この検知スイッチ7の電気的接離に応じて、制御手段9が送信手段8から赤外線のリモコン信号を、テレビやビデオ、エアコン等の電子機器へ送信し、例えば、回転操作が時計方向である場合にはビデオテープの早送りが、反時計方向である場合には巻き戻し等が行われる。
【0011】
また、操作体2上面の前後左右の端部を押圧して、例えば、図5の断面図に示すように、左方向へ傾倒操作すると、操作体2がケース1下面に当接した右端部を支点として左方向へ傾き、操作体2下面に係合した押圧体3の下面左端が左側のキー5Aの上面を押圧し、略ドーム状の薄肉部が弾性変形して可動接点4Aが下方へ移動し、固定接点6Aと接触してスイッチ接点の電気的接離が行われる。
【0012】
そして、この左側の固定接点6Aの電気的接離に応じて、制御手段9が送信手段8から赤外線のリモコン信号を電子機器へ送信し、例えば、機器の音量や温度の増加が遠隔操作によって行われる。
【0013】
同様に、操作体2上面の右端部を押圧して右方向へ傾倒操作した場合には、右側のキー5Bが、前後端部を押圧して前後方向へ傾倒操作した場合には、キー5Cや5Dが各々押圧されて、これらの電気的接離が行われ、例えば、機器の音量・温度の減少や、受像している選局の切換え等が行われるように構成されているものであった。
【0014】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2001−273838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上記従来のスイッチ装置及びこれを用いたリモコン送信機においては、操作体2を前後左右へ傾倒操作、例えば図5に示したように、左方向へ傾倒操作した際、操作体2及び押圧体3の全体が、右端部を支点として左方向へ傾き、押圧体3の下面左端が左側のキー5Aの上面を押圧すると同時に、前後端がキー5Cや5Dも押圧してしまうため、操作時の力の加え方次第では、操作方向とは異なるキー5Cや5Dの電気的接離も行われてしまい、誤操作が生じ易いという課題があった。
【0016】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、誤操作がなく、多様な操作が可能なスイッチ装置、及びこれを用いたリモコン送信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【0018】
本発明の請求項1に記載の発明は、操作体が回転及び傾倒操作可能に突出したケースの開口孔内に、上下面が略円弧状の保持部を設けると共に、操作体中央下面、及びこの下面に係合した押圧体中央上面に、保持部に当接する略円弧状の摺動部を設けてスイッチ装置を構成したものであり、操作体および押圧体がケース開口孔内の保持部を摺動して傾倒操作が行われるため、操作方向以外のスイッチ接点を接離させることがなくなり、誤操作がなく、多様な操作が可能なスイッチ装置を得ることができるという作用を有する。
【0019】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載のスイッチ装置のスイッチ接点に制御手段を接続し、スイッチ接点の電気的接離に応じて、制御手段が送信手段からリモコン信号を送信するようにしてリモコン送信機を構成したものであり、誤操作がなく、多様な操作が可能なリモコン送信機を実現することができるという作用を有する。
【発明の効果】
【0020】
以上のように本発明によれば、誤操作がなく、多様な操作が可能なスイッチ装置、及びこれを用いたリモコン送信機を実現できるという有利な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図3を用いて説明する。
【0022】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態によるリモコン送信機の断面図、図2は同分解斜視図であり、同図において、11は略箱状でポリスチレンやABS等の絶縁樹脂製のケースで、上面には開口孔11Aや複数の貫通孔11Bが形成されると共に、開口孔11A内の中央には、複数の桟部11Cによって本体と連結された、上下面が略円弧状の保持部11Dが設けられている。
【0023】
そして、12は略円盤状で絶縁樹脂製の操作体で、上面がケース11の開口孔11Aから回転及び傾倒操作可能に突出すると共に、操作体12中央下面には、下方へ突出し下端が略円弧状の摺動部12Aが設けられ、この摺動部12Aが開口孔11A内の保持部11D上面に当接している。
【0024】
また、13は絶縁樹脂製の押圧体で、中央上面の略円弧状の摺動部13Aが開口孔11A内の保持部11D下面に当接すると共に、前後左右に延出したアーム部13B先端の爪部13Cが、ケース11の複数の開口部11Eを挿通し、操作体12下面に係合して、ケース11に対し押圧体13が、傾倒は可能だが回転はしないように係止されている。
【0025】
そして、4はゴムやエラストマー等のシート状の弾性体で、略ドーム状の薄肉部を有する四つのキー5A、5B、5C、5Dが左右前後に設けられ、この各キーの上面が押圧体13のアーム部13B下面に当接すると共に、これら各キーやケース11の貫通孔11Bから上方へ突出した複数のキー5Eの下面には、カーボン等によって可動接点4Aが設けられている。
【0026】
また、6は紙フェノールやガラス入りエポキシ等の配線基板で、上下面に銅箔等によって複数の配線パターン(図示せず)が形成され、この上面に弾性体4が載置されると共に、配線基板6上面には、可動接点4Aと所定の間隙を空けて対向する複数の固定接点6Aが、カーボン等によって設けられて、複数のスイッチ接点が形成されている。
【0027】
さらに、7はレバー7Aが揺動可能に上方ヘ突出した検知スイッチで、この検知スイッチ7が配線基板6上面に実装され、所定の配線パターンに接続されると共に、レバー7Aが貫通孔4Bや開口部11Fを挿通し、操作体12下面内周のカム部12Bに当接して、スイッチ装置が構成されている。
【0028】
そして、配線基板6上下面には、発光ダイオード等の電子部品によってリモコン信号を送信する送信手段8や、配線パターンを介して固定接点6Aや検知スイッチ7に接続された、マイコン等の制御手段9が形成されてリモコン送信機が構成されている。
【0029】
以上の構成において、スイッチ装置の操作体12を時計方向または反時計方向へ回転操作すると、操作体12下面内周のカム部12Bが検知スイッチ7のレバー7Aに当接し、レバー7Aが前後方向へ揺動して検知スイッチ7の電気的接離が行われ、この電気信号が制御手段9ヘ出力される。
【0030】
そして、この検知スイッチ7の電気的接離に応じて、制御手段9が送信手段8から赤外線のリモコン信号を、テレビやビデオ、エアコン等の電子機器へ送信し、例えば、回転操作が時計方向である場合にはビデオテープの早送りが、反時計方向である場合には巻き戻し等が行われる。
【0031】
なお、この時、操作体12下面に係合した押圧体13は、上述したように、アーム部13B先端の爪部13Cがケース11の複数の開口部11Eを挿通し、ケース11に係止されているため、操作体12と共に回転はしない。
【0032】
そして、回転操作される操作体12は、中央下面に突出した略円弧状の摺動部12Aが、ケース11の開口孔11A内の同じく略円弧状の保持部11D上面に当接し、互いに略円弧状の面同士で、滑らかに摺動して回転が行われるように構成されている。
【0033】
また、操作体12上面の前後左右の端部を押圧して、例えば、図3の断面図に示すように、左方向へ傾倒操作すると、操作体12は摺動部12Aが開口孔11A内の保持部11D上面を摺動し、押圧体13は中央上面の摺動部13Aが保持部11D下面を摺動して左方向へ傾き、操作体12下面に係合した押圧体13のアーム部13B下面左端が左側のキー5Aの上面を押圧する。
【0034】
そして、キー5Aの略ドーム状の薄肉部が弾性変形して可動接点4Aが下方へ移動し、左側の固定接点6Aと接触してスイッチ接点の電気的接離が行われ、この固定接点6Aの電気的接離に応じて、制御手段9が送信手段8から赤外線のリモコン信号を電子機器へ送信して、例えば、機器の音量や温度の増加が遠隔操作によって行われる。
【0035】
同様に、操作体12上面の右端部を押圧して右方向へ傾倒操作した場合には、右側のキー5Bが、前後端部を押圧して前後方向へ傾倒操作した場合には、キー5Cや5Dが各々押圧されて、これらの電気的接離が行われ、例えば、機器の音量・温度の減少や、受像している選局の切換え、画面に表示されたカーソルの移動等が行われる。
【0036】
また、この時、操作体12は中央下面の摺動部12Aが、ケース11の開口孔11A内の保持部11D上面に、押圧体13は中央上面の略円弧状の摺動部13Aが、開口孔11A内の同じく略円弧状の保持部11D下面に当接し、各々互いに略円弧状の面同士で、滑らかに摺動して傾倒操作が行われる。
【0037】
さらに、ケース11に対し傾倒は可能だが回転はしないように係止された押圧体13が、保持部11Dを支点として操作された方向にのみ傾倒し、前後左右に延出した各アーム部13Bの下面端部が、操作された方向のキーのみを押圧して、各スイッチ接点の電気的接離が行われるため、操作方向以外のスイッチ接点が接離する等の誤操作が生じないように構成されている。
【0038】
なお、キー5Eを押圧操作した場合には、同じく下面の可動接点4Aが各々の固定接点6Aと接触して電気的接離が行われ、これに応じて制御手段9がリモコン信号を電子機器へ送信して、例えば、機器の電源の入/切やテレビ/ビデオの入力切換え等が行われ、指を離すと、略ドーム状の薄肉部の弾性復帰力によって、キー5Eが元の状態に復帰する。
【0039】
このように本実施の形態によれば、操作体12が回転及び傾倒操作可能に突出したケース11の開口孔11A内に、上下面が略円弧状の保持部11Dを設けると共に、操作体12中央下面、及びこの下面に係合した押圧体13中央上面に、保持部11Dに当接する略円弧状の摺動部12Aと13Aを設けることによって、操作体12および押圧体13がケース11開口孔11A内の保持部11Dを摺動して傾倒操作が行われるため、操作方向以外のスイッチ接点を接離させることがなくなり、誤操作がなく、多様な操作が可能なスイッチ装置及びこれを用いたリモコン送信機を得ることができるものである。
【0040】
なお、以上の説明では、押圧体13下方に、シート状の弾性体4に一体形成された四つのキー5A、5B、5C、5Dを配置して、複数のスイッチ接点を形成した構成について説明したが、配線基板6上面の固定接点6A上に、略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点を載置したり、或いは配線基板6上に、複数の個別のプッシュスイッチを実装したもの等、様々なスイッチ接点を用いても本発明の実施は可能である。
【0041】
また、操作体12の回転操作によって電気的接離を行うスイッチも、上記のようなレバー7Aが前後方向へ揺動する検知スイッチ7の他、操作体12の回転操作に応じて、スイッチの電気的接離が繰返されるものであれば、様々な操作方式や形状のものにおいて実施が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明によるスイッチ装置及びこれを用いたリモコン送信機は、誤操作がなく、多様な操作が可能なものが得られ、主に各種電子機器の操作用として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施の形態によるリモコン送信機の断面図
【図2】同分解斜視図
【図3】同傾倒操作時の断面図
【図4】従来のリモコン送信機の断面図
【図5】同傾倒操作時の断面図
【符号の説明】
【0044】
4 弾性体
4A 可動接点
5A、5B、5C、5D、5E キー
6 配線基板
6A 固定接点
7 検知スイッチ
7A レバー
8 送信手段
9 制御手段
11 ケース
11A 開口孔
11B 貫通孔
11C 桟部
11D 保持部
11E、11F 開口部
12 操作体
12A 摺動部
12B カム部
13 押圧体
13A 摺動部
13B アーム部
13C 爪部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に開口孔が形成されたケースと、このケースの開口孔から回転及び傾倒操作可能に突出した操作体と、この操作体下面に係合した押圧体と、この押圧体の傾倒操作によって電気的接離を行う複数のスイッチ接点からなり、上記ケース開口孔内に上下面が略円弧状の保持部を設けると共に、上記操作体中央下面及び上記押圧体中央上面に、上記保持部に当接する略円弧状の摺動部を設けたスイッチ装置。
【請求項2】
請求項1記載のスイッチ装置と、このスイッチ接点に接続された制御手段からなり、上記制御手段が上記スイッチ接点の電気的接離に応じて、送信手段からリモコン信号を送信するリモコン送信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−196337(P2006−196337A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−7388(P2005−7388)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】