説明

スイッチ装置及びスイッチ装置用部品

【課題】接点部分に対する優れた防塵機能を確保できると共に、粘着シートをスイッチ基板に接着した際に、この粘着シートとスイッチ基板を含む部分の幅寸法を、スイッチ基板の幅寸法と略同等に設定できる。
【解決手段】カバーシート34及びスペーサシート33を、フレキシブルプリント基板30の一側端30cを介して、その表面30a側から裏面30b側にわたって折り返して、表面30a及び裏面30bに貼り付け可能な長さ寸法に設定すると共に、スペーサシート33に、フレキシブルプリント基板30の表面30aに対向する位置から裏面30bに対向する位置まで延設される非粘着部33bを設け、フレキシブルプリント基板30の表面30a及び裏面30bと、非粘着部33bとによって、ドーム状可動接点35に連通する空気逃げ部40を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器に備えられ、粘着シートに、押圧操作されるドーム状可動接点等の接点板を貼り付けて成るスイッチ装置、及びこのスイッチ装置の製作に際して用いられるスイッチ装置用部品に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術として特許文献1に示されるものがある。図9は、この特許文献1に示される従来のドーム接点スイッチ、すなわちスイッチ装置を示す分解斜視図である。
【0003】
この図9に示す従来技術は、スイッチ基板すなわち基板11上に、外側リング状固定接点12と、内側リング状固定接点13とが備えられている。これらの外側リング状固定接点12には突出部21を設けてあり、この突出部21には溝23が形成されている。固定接点12,13の上方には、接点板すなわちドーム接点14が配置され、このドーム接点14の周縁部は常時、外側リング状固定接点12に接触している。内側リング状固定接点13には、このドーム接点14の押圧操作によってドーム接点14が接触可能になっている。また、このドーム接点14は、基板11に接着される粘着シート、すなわち接着剤層15を有するシート16に接着されるようになっている。このシート16には、上述した溝23に対向する位置に空気抜け用穴17が形成されている。
【0004】
この従来技術は、ドーム接点14が接着されているシート16部分を押圧すると、ドーム接点14が内側リング状固定接点13に接触する。これにより、内側リング状固定接点13と外側リング状固定接点12とが、ドーム接点14を介して導通しスイッチオンとなる。ドーム接点14に加えられていた押圧力が除去されると、ドーム接点14が内側リング状固定接点13から離れ、内側リング状固定接点13と外側リング状固定接点12間は遮断されスイッチオフとなる。
【0005】
上述の動作の間、ドーム接点14の押圧に伴うドーム接点14の下方部分の空気は、ドーム接点14と外側リング状固定接点12との間に形成される隙間から、溝23へと流れ、さらにシート16の空気抜け用穴17から外部へと逃がされる。逆に、ドーム接点14の押圧解除操作に伴って、外部の空気が、シート16の空気抜け用穴17から流入し、溝23、及びドーム接点14と外側リング状固定接点12との間に形成される隙間から、ドーム接点14の下方部分へと導かれる。このような空気の流出入によって、ドーム接点14の円滑な操作を実現できる。
【特許文献1】特開2000−149707公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した従来技術では、シート16に外部と内部を連通させる空気抜け用穴17を形成してあることから、ドーム接点14の押圧解除操作等に伴って、外部のゴミやガス等の塵埃が接点部分に侵入し、これらの接点部分に腐蝕を生じる懸念があり、耐久性の点で問題がある。
【0007】
このような問題を解決するために、例えば図10に示すように、上述したドーム接点14等の接点板が貼り付けられる粘着シート25の裏面28において、接点板が接着される接着部26の周囲に、粘着剤が塗布されない環状の非粘着部27を形成することが考えられる。
【0008】
このように構成したものでは、接点板の押圧操作、及び押圧解除操作に伴う接点板の下方部分の空気の流出入は、粘着シート25の非粘着部27とスイッチ基板の固定接点が配置される面部との間に形成される空気逃げ部を介して行なわれるので、接点板の円滑な操作を実現できる。また、粘着シート25と、この粘着シート25が貼り付けられるスイッチ基板とによって密閉構造が形成されるので、外部から塵埃が侵入する虞のない優れた防塵機能を確保できる。
【0009】
しかしながら、図10に示すように粘着シート25を構成したものでは、接点板の押圧操作、及び押圧解除操作に伴う空気の流出入を許容させるために、環状の非粘着部27の径方向の幅寸法を比較的大きく設定しなければならない。したがって、非粘着部27の外径が大きくなり、スイッチ基板に接着させるための十分な接着代、すなわち粘着剤の塗布領域を確保するように粘着シート25を形成すると、この粘着シート25の形状寸法が大きくなり、結局、装置の大型化を招いてしまう。
【0010】
本発明は、上述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、接点部分に対する優れた防塵機能を確保できると共に、粘着シートをスイッチ基板に接着した際に、この粘着シートとスイッチ基板を含む部分の幅寸法を、スイッチ基板の幅寸法と略同等に設定できるスイッチ装置及びスイッチ装置用部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明のスイッチ装置は、固定接点を有するスイッチ基板に、上記固定接点に接離可能な接点板を設けた粘着シートを貼り付けて成るスイッチ装置であって、上記粘着シートを、上記スイッチ基板の一側端を介して、上記スイッチ基板の上記固定接点が配置される表面側から裏面側にわたって折り返して、上記スイッチ基板の上記表面及び上記裏面に貼り付け可能な長さ寸法に設定すると共に、上記粘着シートに、上記接点板に連通し、上記スイッチ基板の上記表面に対向する位置から上記スイッチ基板の上記裏面に対向する位置まで延設され、粘着剤が塗布されない非粘着部を設け、上記スイッチ基板の上記表面及び上記裏面と、上記粘着シートの上記非粘着部とによって、上記接点板に連通する空気逃げ部を形成したことを特徴としている。
【0012】
このように構成した本発明は、接点板が貼り付けられている粘着シートの部分を押圧すると、接点板がスイッチ基板の固定接点に接触してスイッチオンとなる。また、接点板に加えられていた押圧力を解除すると、接点板が固定接点から離れてスイッチオフとなる。
【0013】
このような接点板の押圧操作、及び押圧解除操作の間、接点板の下方部分の空気は、スイッチ基板の表面及び裏面と、非粘着部とによって形成される空気逃げ部に流出入する。これにより、接点板の円滑な操作を実現できる。また、スイッチ基板の固定接点を含む接点部分は密閉構造となるので、この接点部分に対する優れた防塵機能を確保できる。
【0014】
そして特に、粘着シートに、スイッチ基板の一側端で折り返して、このスイッチ基板の表面から裏面にわたって延設される非粘着部を設けたことから、スイッチ基板の裏面を空気逃げ部を形成する領域として活用できる。これにより、粘着シートをスイッチ基板に接着した際に、この粘着シートとスイッチ基板を含む部分の幅寸法を、スイッチ基板の幅寸法と略同等に設定できる。
【0015】
また、本発明のスイッチ装置は、上記スイッチ装置において、上記粘着シートの非粘着部を、上記スイッチ基板の上記一側端に対向する部分が、他の非粘着部の部分よりも形状が小さくなるように形成したことを特徴としている。
【0016】
このように構成した本発明は、スイッチ基板の一側端における粘着シートの粘着剤塗布領域を大きく設定でき、これにより粘着シートをスイッチ基板の表面側から裏面側に折り返した状態でスイッチ基板の一側端部分に強固に接着できる。
【0017】
また、本発明のスイッチ装置は、上記スイッチ装置において、上記スイッチ基板がフレキシブルプリント基板から成ると共に、このフレキシブルプリント基板を、上記一側端とは異なる方向から外部への端子接続部が引き出されるように設けたことを特徴としている。
【0018】
このように構成した本発明は、粘着シートをスイッチ基板の表面側から裏面側に折り返す際に端子接続部が邪魔にならず、組み込み作業性を向上させることができる。
【0019】
また、本発明のスイッチ装置は、固定接点を有するスイッチ基板に、上記固定接点に接離可能な接点板を設けた粘着シートを貼り付けて成るスイッチ装置であって、上記粘着シートを、上記スイッチ基板の一側端を介して、上記スイッチ基板の上記固定接点が配置される表面側から裏面側にわたって折り返して、上記スイッチ基板の上記表面及び上記裏面に貼り付け可能な長さ寸法に設定すると共に、上記粘着シートの上記スイッチ基板の上記裏面に対向する位置に、上記接点板から隔絶して形成され、粘着剤が塗布されない非粘着部を設け、上記スイッチ基板に、上記非粘着部を上記接点板に連通させる空気孔を設け、上記スイッチ基板の上記裏面と、上記粘着シートの上記非粘着部とによって、上記空気孔を介して上記接点板に連通する空気逃げ部を形成したことを特徴としている。
【0020】
このように構成した本発明は、接点板が貼り付けられている粘着シートの部分を押圧すると、接点板がスイッチ基板の固定接点に接触してスイッチオンとなる。また、接点板に加えられていた押圧力を除去すると、接点板が固定接点から離れてスイッチオフとなる。
【0021】
このような接点板の押圧操作、及び押圧解除操作の間、接点板の下方部分の空気は、スイッチ基板に形成した空気孔を介して、スイッチ基板の裏面と非粘着部とによって形成される空気逃げ部に流出入する。これにより、接点板の円滑な操作を実現できる。また、スイッチ基板の固定接点を含む接点部分は密閉構造となるので、この接点部分に対する優れた防塵機能を確保できる。
【0022】
そして特に、スイッチ基板の一側端で折り返される粘着シートの、スイッチ基板の裏面に対向する部分に非粘着部を設け、スイッチ基板に非粘着部を接点板に連通させる空気孔を設けたことから、スイッチ基板の裏面を、空気逃げ部を形成する領域として活用できる。これにより、粘着シートをスイッチ基板に接着した際に、この粘着シートとスイッチ基板を含む部分の幅寸法を、スイッチ基板の幅寸法と略同等に設定できる。
【0023】
また、本発明のスイッチ装置は、上記スイッチ装置において、上記粘着シートが、接点部分を覆うカバーシートと、このカバーシートに接着されるスペーサシートとから成り、上記スペーサシートが、上記接点板が収容される収容部と、この収容部に連通して形成される上記非粘着部とを備えたことを特徴としている。
【0024】
このように構成した本発明は、接点板がスペーサシートの収容部に収容されるので、接点板の押圧操作、及び押圧解除操作に際してカバーシートによって接点板の周縁が拘束されることがなく、良好な操作フィーリングが得られる。
【0025】
また、本発明のスイッチ装置は、上記スイッチ装置において、上記粘着シートが、接点部分を覆うカバーシートから成り、このカバーシートに上記非粘着部を設けたことを特徴としている。
【0026】
このように構成した本発明は、カバーシートと、スイッチ基板とによって、接点板の円滑な操作を実現させる密閉構造を形成できるので、装置の薄型化を実現できる。
【0027】
また、上記目的を達成するために、本発明のスイッチ装置用部品は、固定接点を有するスイッチ装置のスイッチ基板に接触可能な接点板を有し、上記スイッチ基板に貼り付けられる粘着シートを備え、この粘着シートを、上記スイッチ基板の一側端を介して、上記スイッチ基板の上記固定接点が配置される表面側から裏面側にわたって折り返して、上記スイッチ基板の上記表面及び上記裏面に貼り付け可能な長さ寸法に設定すると共に、上記粘着シートに、上記接点板に連通し、上記スイッチ基板の上記表面に対向する位置から上記スイッチ基板の上記裏面に対向する位置まで延設され、粘着剤が塗布されない非粘着部を設けたことを特徴としている。
【0028】
このように構成した本発明は、粘着シートを、固定接点を有するスイッチ基板に貼り付けることにより、スイッチ基板の表面及び裏面と、粘着シートの非粘着部とによって、接点板に連通する空気逃げ部を形成することができる。このように、本発明をスイッチ基板に貼り付けた際には、接点板の押圧操作及び押圧解除操作に伴って、接点板の下方の空気を上述の空気逃げ部に流出入させることができる。すなわち、スイッチ基板に備えられる固定接点を含む接点部分は密閉状態となるので、この接点部分に対する優れた防塵機能の確保に貢献する。
【0029】
また特に、スイッチ基板の一側端で折り返される粘着シートの、スイッチ基板の裏面に対向する部分を空気逃げ部を作るための非粘着部の形成領域として活用できることから、粘着シートをスイッチ基板に接着した際に、この粘着シートとスイッチ基板を含む部分の幅寸法を、スイッチ基板の幅寸法と略同等に設定できる。
【0030】
また、本発明のスイッチ装置用部品は、上記スイッチ装置用部品において、上記粘着シートに接着され、この粘着シートとの間で上記接点板を封止するハクリシートを備えたことを特徴としている。
【0031】
このように構成した本発明は、粘着シートをスイッチ基板に貼り付ける際にハクリシートが剥がされる。したがって、粘着シートをスイッチ基板に貼り付けるまでの間は、ハクリシートが接点板を含む粘着シートに対する保護部材として機能する。また、このハクリシートによって取扱いの利便性を確保できる。
【0032】
また、本発明のスイッチ装置用部品は、上記スイッチ装置用部品において、上記粘着シートの上記非粘着部を、上記スイッチ基板の上記一側端に対向する部分が、他の非粘着部の部分よりも形状が小さくなるように形成したことを特徴としている。
【0033】
このように構成した本発明は、スイッチ基板の一側端に対向する粘着シートの部分の粘着剤塗布領域を大きく設定でき、これにより粘着シートをスイッチ基板の一側端部分に強固に接着させることができ、安定した構造の確保に貢献する。
【0034】
また、本発明のスイッチ装置用部品は、固定接点を有するスイッチ装置のスイッチ基板に接触可能な接点板を有し、上記スイッチ基板に貼り付けられる粘着シートを備え、この粘着シートを、上記スイッチ基板の一側端を介して、上記スイッチ基板の上記固定接点が配置される表面側から裏面側にわたって折り返して、上記スイッチ基板の上記表面及び上記裏面に貼り付け可能な長さ寸法に設定すると共に、この粘着シートの上記スイッチ基板の上記裏面に対向する位置に、上記接点板から隔絶して形成され、粘着剤が塗布されない非粘着部を設けたことを特徴としている。
【0035】
このように構成した本発明は、表面と裏面を連通させるように形成された空気孔を有するスイッチ基板に貼り付けられることにより、スイッチ基板の裏面と、粘着シートの非粘着部との間に、上述の空気孔を介して接点板に連通する空気逃げ部を形成することができる。このように、本発明を、上述の空気孔を有するスイッチ基板に貼り付けた際には、接点板の押圧操作及び押圧解除操作に伴って、接点板の下方の空気をスイッチ基板の空気孔を介して上述の空気逃げ部に流出入させることができる。すなわち、スイッチ基板に備えられる固定接点を含む接点部分は密閉状態となるので、この接点部分に対する防塵機能の確保に貢献する。
【0036】
また特に、粘着シートが貼り付けられるスイッチ基板の裏面を空気逃げ部を作るための非粘着部の形成領域として活用できることから、粘着シートをスイッチ基板に接着した際に、この粘着シートとスイッチ基板を含む部分の幅寸法を、スイッチ基板の幅寸法と略同等に設定できる。
【0037】
また、本発明のスイッチ装置用部品は、上記スイッチ装置用部品において、上記粘着シートに接着され、この粘着シートとの間で上記接点板を封止するハクリシートを備えたことを特徴としている。
【0038】
このように構成した本発明は、粘着シートをスイッチ基板に貼り付ける際にハクリシートが剥がされる。したがって、粘着シートをスイッチ基板に貼り付けるまでの間、ハクリシートが接点板を含む粘着シートに対する保護部材として機能する。また、このハクリシートによって取扱いの利便性を確保できる。
【0039】
また、本発明のスイッチ装置用部品は、上記スイッチ装置用部品において、上記粘着シートが、上記スイッチ装置に備えられる固定接点を含む接点部分を覆うカバーシートと、このカバーシートに接着されるスペーサシートとから成り、上記スペーサシートが、上記接点板が収容される収容部と、この収容部に連通して形成される上記非粘着部とを備えたことを特徴としている。
【0040】
このように構成した本発明は、接点板がスペーサシートの収容部に収容されるので、接点板の押圧操作、及び押圧解除操作に際してカバーシートによって接点板の周縁が拘束されることがなく、良好な操作フィーリングの確保に貢献する。
【0041】
また、本発明のスイッチ装置用部品は、上記スイッチ装置用部品において、上記粘着シートが、上記スイッチ装置が備えられる固定接点を含む接点部分を覆うカバーシートから成り、このカバーシートに上記非粘着部を設けたことを特徴としている。
【0042】
このように構成した本発明は、カバーシートと、スイッチ基板とによって、接点板の円滑な操作を実現させる密閉構造を形成できるので、装置の薄型化を実現できる。
【発明の効果】
【0043】
本発明のスイッチ装置は、スイッチ基板の一側端で折り返された粘着シートに、スイッチ基板の一側端で折り返され、このスイッチ基板の表面に対向する位置からスイッチ基板の裏面に対向する位置まで延設される非粘着部を設け、この非粘着部とスイッチ基板の表面及び裏面とによって、接点板に連通する空気逃げ部を形成したことから、接点部分に対する優れた防塵機能を確保できる。また特に、スイッチ基板の裏面を、空気逃げ部を形成する領域として活用できることから、粘着シートをスイッチ基板に接着した際に、この粘着シートとスイッチ基板を含む部分の幅寸法を、スイッチ基板の幅寸法と略同等に設定できる。これにより、装置の小型化を実現させることができる。
【0044】
また、本発明のスイッチ装置は、粘着シートの、スイッチ基板の裏面に対向する位置に接点板から隔絶された非粘着部を設け、この非粘着部とスイッチ基板の裏面とによって、スイッチ基板に設けた空気孔を介して、接点板に連通する空気逃げ部を形成したことから、接点部分に対する優れた防塵機能を確保できる。また特に、スイッチ基板の裏面を、空気逃げ部を形成する領域として活用できることから、粘着シートをスイッチ基板に接着した際に、この粘着シートとスイッチ基板を含む部分の幅寸法を、スイッチ基板の幅寸法と略同等に設定できる。これにより、装置の小型化を実現させることができる。
【0045】
また、スイッチ装置の製作に際して用いられる本発明のスイッチ装置用部品は、粘着シートに、接点板に連通し、スイッチ基板の一側端で折り返され、このスイッチ基板の表面に対向する位置からスイッチ基板の裏面に対向する位置まで延設される非粘着部を設けたことから、この粘着シートを、固定接点を備えたスイッチ基板に貼り付けた際に、この非粘着部とスイッチ基板の表面及び裏面とによって、接点板に連通する空気逃げ部を形成させることができ、スイッチ基板の固定接点が含まれる接点部分に対する優れた防塵機能の確保に貢献する。また特に、粘着シートが貼り付けられるスイッチ基板の裏面を、空気逃げ部を形成する領域として活用できることから、粘着シートをスイッチ基板に接着した際に、この粘着シートとスイッチ基板を含む部分の幅寸法を、スイッチ基板の幅寸法と略同等に設定できる。これにより、粘着シートを貼り付けて製作されるスイッチ装置の小型化の実現に貢献する。
【0046】
また、スイッチ装置の製作に際して用いられる本発明のスイッチ装置用部品は、粘着シートの、スイッチ基板の裏面に対向する位置に接点板から隔絶された非粘着部を設けたことから、粘着シートを、非粘着部と接点板とを連通させるように形成される空気孔を有するスイッチ基板に貼り付けた際に、非粘着部とスイッチ基板の裏面とによって、スイッチ基板に設けた空気孔を介して、接点板に連通する空気逃げ部を形成させることができ、スイッチ基板の固定接点が含まれる接点部分に対する優れた防塵機能の確保に貢献する。また特に、粘着シートが貼り付けられるスイッチ基板の裏面を、空気逃げ部を形成する領域として活用できることから、粘着シートをスイッチ基板に接着した際に、この粘着シートとスイッチ基板を含む部分の幅寸法を、スイッチ基板の幅寸法と略同等に設定できる。これにより、粘着シートを貼り付けて製作されるスイッチ装置の小型化の実現に貢献する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下,本発明に係るスイッチ装置及びスイッチ装置用部品を実施するための最良の形態を図に基づいて説明する。
【0048】
[本発明に係るスイッチ装置の第1実施形態の構成]
図1は本発明に係るスイッチ装置の第1実施形態の構成を示す縦断面図、図2は図1に示すスイッチ装置の第1実施形態に備えられる粘着シートの裏面図、図3は図1に示すスイッチ装置の第1実施形態に備えられるスイッチ基板、すなわちフレキシブルプリント基板を示す平面図である。
【0049】
本発明のスイッチ装置の第1実施形態は、図1に示すように、スイッチ基板、例えばフレキシブルプリント基板30を備え、このフレキシブルプリント基板30は、図3にも示すように、中央固定接点31と、この中央固定接点31の外側に配置される周辺固定接点32とを備えている。また、中央固定接点31には、外部への端子接続部31aが連設され、周辺固定接点32にも、外部への端子接続部32a,32bが連設されている。
【0050】
図1に示すように、フレキシブルプリント基板30の中央固定接点31、周辺固定接点32の上方には、接点板、例えばドーム状可動接点35を配置してある。このドーム状可動接点35の周縁は、周辺固定接点32に常時接触させるようにしてある。また、このドーム状可動接点35の押圧によって、このドーム状可動接点35が反転して中央固定接点31に接触し、押圧力を解くことによって、ドーム状可動接点35が中央固定接点31から離れるようになっている。
【0051】
ドーム状可動接点35は、カバーシート34の裏面に接着されている。また、このカバーシート34の裏面には全面にわたって粘着剤が塗布されており、図2に展開して示したスペーサシート33が接着されている。
【0052】
図2にも示すように、スペーサシート33は、上述したドーム状可動接点35が収容される収容部33aと、この収容部33aに連通し、粘着剤が塗布されない非粘着部33bとを備えている。このスペーサシート33は、図1,3に示すフレキシブルプリント基板30の一側端30cにおいて折り返されるようにして、このフレキシブルプリント基板30に接着されるが、上述した非粘着部33bのフレキシブルプリント基板30の一側端30cに対向する部分33b1は、他の非粘着部33bの部分よりも形状が小さくなるように形成してある。
【0053】
このスペーサシート33の、収容部33a、及び形状の小さな部分33b1を含む非粘着部33bは、例えば打ち抜き加工によって形成されており、このスペーサシート33の、収容部33a、及び形状の小さな部分33b1を含む非粘着部33bを除く残りの裏面部分には、粘着剤が塗布されている。
【0054】
このスイッチ装置の第1実施形態では、フレキシブルプリント基板30の中央固定接点31、周辺固定接点32、及びドーム状可動接点35を覆うカバーシート34と、このカバーシート34の裏面に接着されるスペーサシート33とによって、ドーム状可動接点35を有する粘着シートが構成されている。
【0055】
この粘着シート、すなわちカバーシート34及びスペーサシート33の長さ寸法は、フレキシブルプリント基板30の一側端30cを介して、フレキシブルプリント基板30の中央固定接点31、周辺固定接点32が配置される表面30a側から裏面30b側にわたって折り返して、フレキシブルプリント基板30の表面30a及び裏面30bに貼り付け可能な長さ寸法に設定してある。
【0056】
フレキシブルプリント基板30は、図3に示すように、端子接続部31a,32a,32bが、カバーシート34及びスペーサシート33の折り返し部を形成する一側端30cとは異なる方向から引き出されるように設けてある。
【0057】
また特に、このスイッチ装置の第1実施形態は、フレキシブルプリント基板30の表面30a及び裏面30bと、粘着シートを構成するスペーサシート33の形状の小さな部分33b1を含む非粘着部33bとによって、ドーム状可動接点35に連通する空気逃げ部40が形成されている。
【0058】
[本発明のスイッチ装置用部品の第1実施形態の構成]
図4は図1に示すスイッチ装置の第1実施形態の製作に際し用いられるスイッチ装置用部品の第1実施形態を示す分解斜視図である。
【0059】
この図4に示すように、本発明のスイッチ装置用部品の第1実施形態は、最上部に配置され、裏面の全面に粘着剤が塗布され、例えば矩形形状のカバーシート34を備えている。また、このカバーシート34の裏面に接着され、収容部33aと、この収容部33aに連通し、形状の小さな部分33b1を有し粘着剤が塗布されない非粘着部33bとが、打ち抜き加工されたスペーサシート33を備えている。このスペーサシート33は、例えばカバーシート34の外形と同じ形状寸法に設定してあり、裏面の、収容部33a及び部分33b1を含む非粘着部33bを除く残りの部分には粘着剤が塗布されている。
【0060】
また、ドーム状可動接点35を備え、このドーム状可動接点35は、スペーサシート33の収容部33aに収容された状態で、カバーシート34の裏面に接着される。
【0061】
上述したカバーシート34とスペーサシート33とによって、ドーム状可動接点35が設けられる粘着シートが構成されている。この粘着シートは、図1,3に示すフレキシブルプリント基板30の一側端30cを介して、フレキシブルプリント基板30の中央固定接点31、周辺固定接点32が配置される表面30a側から裏面30b側にわたって折り返して、フレキシブルプリント基板30の表面30a及び裏面30bに貼り付け可能な長さ寸法に設定してある。
【0062】
上述したように、これらのカバーシート34、スペーサシート33、及びドーム状可動接点35が、図1に示すスイッチ装置の第1実施形態の構成部品として用いられる。
【0063】
さらに、本発明のスイッチ装置用部品の第1実施形態は、図4に示すように、スペーサシート33の裏面33bが接着され、カバーシート34及びスペーサシート33との間でドーム状可動接点を封止するハクリシート36を備えている。
【0064】
このスイッチ装置用部品の第1実施形態は、スペーサシート33の収容部33aにドーム状可動接点35が収容され、そのドーム状可動接点35がカバーシート34に貼り付けられた状態で、このカバーシート34にスペーサシート33が接着され、このスペーサシート33にハクリシート36が接着されることによって一体構造物として構成される。搬送時等にあっては、この一体構造物のまま搬送等が行なわれる。また、スイッチ装置の製作時には、ハクリシート36が剥がされ、カバーシート34及びスペーサシート33から成る粘着シートが、フレキシブルプリント基板30に接着される。
【0065】
[本発明に係るスイッチ装置の第1実施形態の組み込み]
図5は図1に示すスイッチ装置の第1実施形態が製作される途中の状態を示す平面図である。
【0066】
上述した本発明のスイッチ装置の第1実施形態の組み込みに際しては、上述したように、図4に示すスイッチ装置用部品の第1実施形態からハクリシート36が剥がされ、ドーム状可動接点35が接着されたカバーシート34と、スペーサシート33とから成る粘着シートが、図5に示すように、フレキシブルプリント基板30に対して配置される。すなわち、カバーシート34に接着されたドーム状可動接点35が、フレキシブルプリント基板30の中央固定接点31の直上に位置し、また、周辺固定接点32に接触するように配置される。さらに、折り返し部となるスペーサシート33の部分33b1が、フレキシブルプリント基板30の一側端30c上に位置するように配置する。この状態において、スペーサシート33をフレキシブルプリント基板30の表面30aに接着する。
【0067】
そして、カバーシート34及びスペーサシート33を、フレキシブルプリント基板30の裏面30b側に折り返し、スペーサシート33をフレキシブルプリント基板30の裏面30bに接着する。このようにして、図1に示すスイッチ装置の第1実施形態が完成し、フレキシブルプリント基板30の表面30a及び裏面30bと、粘着シートを構成するスペーサシート33の形状の小さな部分33b1を含む非粘着部33bとによって、ドーム状可動接点35に連通する空気逃げ部40が形成される。
【0068】
[本発明に係るスイッチ装置の第1実施形態の動作]
図1に示すように構成されるスイッチ装置の第1実施形態にあっては、ドーム状可動接点35が貼り付けられているカバーシート34の部分を押圧すると、ドーム状可動接点35がフレキシブルプリント基板30の中央固定接点31に接触する。これによって、中央固定接点31と周辺固定接点32とがドーム状可動接点35を介して導通し、スイッチオンとなる。また、ドーム状可動接点35に加えられていた押圧力を解除すると、ドーム状可動接点35が中央固定接点31から離れ、中央固定接点31と周辺固定接点32とは遮断され、スイッチオフとなる。
【0069】
このようなドーム状可動接点35の押圧操作、及び押圧解除操作の間、ドーム状可動接点35の下方部分の空気は、フレキシブルプリント基板30の表面30a及び裏面30bと、スペーサシート33の形状の小さな部分33b1を含む非粘着部33bとによって形成される空気逃げ部40に流出入する。これにより、ドーム状可動接点35の円滑な操作を実現できる。
【0070】
[本発明に係るスイッチ装置の第1実施形態の効果]
このスイッチ装置の第1実施形態によれば、フレキシブルプリント基板30の中央固定接点31、周辺固定接点32、及びドーム状可動接点35から成る接点部分は、カバーシート34によって覆われた密閉構造となるので、この接点部分に対する優れた防塵機能を確保できる。
【0071】
また特に、粘着シートを構成するスペーサシート33は、フレキシブルプリント基板30の一側端30cで折り返され、その表面30aから裏面30bにわたって延設される非粘着部33bを設けたことから、フレキシブルプリント基板30の裏面30bを空気逃げ部40を形成する領域として活用できる。これにより、この第1実施形態のカバーシート34及びスペーサシート33から成る粘着シートが貼り付けられたフレキシブルプリント基板30の部分の幅寸法、すなわちフレキシブルプリント基板30の端子接続部31a,32a,32bが延設される部分を除く部分の幅寸法を、フレキシブルプリント基板30の幅寸法と略同等に設定、装置の小型化を実現させることができる。
【0072】
また、スペーサシート33の非粘着部33bを、フレキシブルプリント基板30の一側端30cに対向する部分33b1が他の非粘着部33bの部分よりも形状が小さくなるように形成したことから、フレキシブルプリント基板30の一側端30cにおけるスペーサシート33の粘着剤塗布領域を大きく設定できる。これにより、カバーシート34及びスペーサシート33を、フレキシブルプリント基板30の表面30a側から裏面30b側に折り返した状態で、フレキシブルプリント基板30の一側端30c部分に強固に接着でき、安定した構造を確保できる。
【0073】
また、フレキシブルプリント基板30を、その一側端30cとは異なる方向から外部への端子接続部31a,32a,32bが引き出されるように設けたことから、カバーシート34及びスペーサシート33をフレキシブルプリント基板30の一側端30cにおいて、その表面30a側から裏面30b側に折り返す際に、端子接続部31a,32a,32bが邪魔にならず、組み込み作業性を向上させることができる。
【0074】
また、ドーム状可動接点35がスペーサシート33の収容部33aに収容されるので、ドーム状可動接点35の押圧操作、及び押圧解除操作に際してカバーシート34によってドーム状可動接点35の周縁が拘束されることがなく、良好な操作フィーリングが得られる。
【0075】
[本発明に係るスイッチ装置用部品の第1実施形態の効果]
上述したように、カバーシート34及びスペーサシート33をフレキシブルプリント基板30の一側端30cで折り返して、このフレキシブルプリント基板30に貼り付けることにより、フレキシブルプリント基板30の表面30a及び裏面30bと、スペーサシート33の非粘着部33bとによって、ドーム状可動接点35に連通する空気逃げ部40を形成することができる。このように、このスイッチ装置用部品の第1実施形態をフレキシブルプリント基板30に貼り付けた際には、ドーム状可動接点35の押圧操作及び押圧解除操作に伴って、ドーム状可動接点35の下方の空気をフレキシブルプリント基板30との間に形成される空気逃げ部40に流出入させることができる。すなわち、フレキシブルプリント基板30の中央固定接点31、周辺固定接点32、及びドーム状可動接点35から成る接点部分は密閉状態となるので、この接点部分に対する防塵機能の確保に貢献する。
【0076】
また特に、カバーシート34及びスペーサシート33が一側端30cを介して貼り付けられるフレキシブルプリント基板30の裏面30bを、空気逃げ部40の形成領域として活用できることから、カバーシート34及びスペーサシート33から成る粘着シートを、フレキシブルプリント基板30に接着した際には、この粘着シートを接着した部分の幅寸法が、フレキシブルプリント基板30の幅寸法と略同等となり、このスイッチ装置用部品の第1実施形態が備えられるフレキシブルプリント基板30の小型化の実現に貢献する。
【0077】
また、図4に示すように、カバーシート34及びスペーサシート33との間でドーム状可動接点を封止するハクリシート36を備えたことから、カバーシート34及びスペーサシート33をフレキシブルプリント基板30に貼り付けるまでの間は、ハクリシート35がドーム状可動接点35を含むカバーシート34、及びスペーサシート33に対する保護部材として機能する。また、このハクリシート36によって取扱いの利便性を確保できる。
【0078】
また、スペーサシート34の非粘着部34bのフレキシブルプリント基板30の一側端30cに対向する部分33b1を他の非粘着部34bの部分よりも小さくなるように形成したことから、上述したように、フレキシブルプリント基板30の一側端30cに対向するスペーサシート34の部分の粘着剤塗布領域を大きく設定でき、これによりカバーシート34及びスペーサシート33をフレキシブルプリント基板30の一側端30c部分に強固に接着させることができ、安定した構造の確保に貢献する。
【0079】
また、粘着シートをカバーシート34とスペーサシート33とから構成してあり、ドーム状可動接点35はスペーサシート33の収容部33aに収容されるので、上述したように、ドーム状可動接点の押圧操作、及び押圧解除操作に際してカバーシート34によってドーム状可動接点35の周縁が拘束されることがなく、良好な操作フィーリングの確保に貢献する。
【0080】
[本発明に係るスイッチ装置用部品の第2実施形態]
図6は図1に示すスイッチ装置の第1実施形態の製作に際して用いられるスイッチ装置用部品の第2実施形態を示す分解斜視図である。
【0081】
この図6に示すように、本発明のスイッチ装置用部品の第2実施形態は、上述したスイッチ装置用部品の第1実施形態では備えられていたスペーサシート33を備えておらず、粘着シートがカバーシート34のみから構成されている。このカバーシート34に、ドーム状可動接点35が貼り付けられる接着部34aと、この接着部34aの近傍の粘着剤が塗布されない周縁部34bに連通する非粘着部34cとを形成してある。このカバーシート34の周縁部34bと、形状の小さな部分34c1を含む非粘着部34cを除く裏面部分には、粘着剤が塗布されている。
【0082】
非粘着部34cの形状の小さな部分34c1が、上述したフレキシブルプリント基板30の一側端30cで折り返される部分であり、この部分34c1に連設される形状の大きい部分が、カバーシート34がフレキシブルプリント基板30に貼り付けられた際に、フレキシブルプリント基板30の裏面30bに対向するように配置される。
【0083】
また、上述のスイッチ装置用部品の第1実施形態におけるのと同様のハクリシート36を備え、このハクリシート36は、ドーム状可動接点35が保持されたカバーシート34の裏面に接着される。
【0084】
このように構成されるスイッチ装置用部品の第2実施形態を、ハクリシート36を剥がして、例えば図3に示すフレキシブルプリント基板30に貼り付けた場合には、基本的には、図1に示すスイッチ装置の第1実施形態からスペーサシート33を除いた形態となり、カバーシート1の非粘着部23cがフレキシブルプリント基板30の裏面30bに対向するように位置する。また、この非粘着部34cの形状の小さな部分34c1がフレキシブルプリント基板30の一側端30cにおける折り返し部を形成する。
【0085】
したがって、フレキシブルプリント基板30の表面30a及び裏面30bと、カバーシート34の非粘着部34cとによって空気逃げ部が形成され、ドーム状可動接点35に対する押圧操作、及び押圧解除操作に伴って、ドーム状可動接点35の下方の空気が上述の空気逃げ部に流出入し、上述したスイッチ装置の第1実施形態におけるのと同様の円滑なスイッチオン・オフ操作を実現できる。
【0086】
このように構成したスイッチ装置用部品の第2実施形態を備えたスイッチ装置にあっても、カバーシート34の非粘着部34cがフレキシブルプリント基板30の裏面30bに対向するように位置するので、上述した図1に示すスイッチ装置の第1実施形態におけるのと同様に、粘着シートを構成するカバーシート34とフレキシブルプリント基板30とを含む部分の幅寸法を、フレキシブルプリント基板30の幅寸法と略同等に設定でき、装置の小型化を実現させることができる。
【0087】
また特に、カバーシート34と、フレキシブルプリント基板34とによって、ドーム状可動接点35の円滑な操作を実現させる密閉構造を形成できるので、装置の薄型化を実現できる。
【0088】
その他の作用効果については、図1に示したスイッチ装置の第1実施形態のスペーサシート33に係る作用効果を除いて、このスイッチ装置の第1実施形態と略同等の作用効果が得られる。
【0089】
[本発明に係るスイッチ装置の第2実施形態]
図7は本発明に係るスイッチ装置の第2実施形態の構成を示す縦断面図、図8は図7に示すスイッチ装置の第2実施形態に備えられる粘着シートの裏面図である。
【0090】
このスイッチ装置の第2実施形態は、カバーシート34と共に粘着シートを形成するスペーサシート37の構成、及びスイッチ基板であるフレキシブルプリント基板30の構成が、上述した図1に示すスイッチ装置の第1実施形態と異なっている。
【0091】
すなわち、このスイッチ装置の第2実施形態におけるスペーサシート37は、展開して示した図8にも示すように、フレキシブルプリント基板30の裏面30bに対向する位置に、ドーム状可動接点35が収容される収容部37aから隔絶して形成され、粘着剤が塗布されない非粘着部37bを設けてある。また、図7に示すように、フレキシブルプリント基板30の中央部分に、スペーサシート37の非粘着部37bをドーム状可動接点35の下方部分に連通させる空気孔30eを設けてある。
【0092】
このスイッチ装置の第2実施形態では、フレキシブルプリント基板30の裏面30bと、粘着シートを構成するスペーサシート37の非粘着部37bとによって、空気孔30eを介してドーム状可動接点35に連通する空気逃げ部41が形成されている。その他の構成は、例えば上述した図1に示すスイッチ装置の第1実施形態と同等である。
【0093】
このように構成したスイッチ装置の第2実施形態では、ドーム状可動接点35に対する押圧操作、及び押圧解除操作に伴って、ドーム状可動接点35の下方の空気が、フレキシブルプリント基板30の空気孔30eを介して空気逃げ部41に流出入し、上述したスイッチ装置の第1実施形態におけるのと同様の円滑なスイッチオン・オフ操作を実現できる。
【0094】
このスイッチ装置の第2実施形態にあっても、上述したスイッチ装置の第1実施形態におけるのと同様に、カバーシート34によって接点部分が覆われ、密閉構造を形成するので、この接点部分に対する優れた防塵機能を確保できる。また、カバーシート34及びスペーサシート37をフレキシブルプリント基板30の一側端30cで折り返した際に、スペーサシート37の非粘着部37bがフレキシブルプリント基板30の裏面30bに対向するように位置するので、粘着シートを構成するカバーシート34及びスペーサシート337とフレキシブルプリント基板30を含む部分の幅寸法を、フレキシブルプリント基板30の幅寸法と略同等の幅寸法に設定でき、装置の小型化を実現させることができる。
【0095】
また特に、フレキシブルプリント基板30の一側端30cに対応するスペーサシート37の部分の全領域を粘着剤形成領域とすることができるので、上述したスイッチ装置の第1実施形態におけるよりも強固に、カバーシート34及びスペーサシート37を、フレキシブルプリント基板30の一側端30c部分に固定でき、さらに安定した構造を実現できる。
【0096】
なお、このスイッチ装置の第2実施形態に用いられる粘着シート、すなわちカバーシート34及びスペーサシート37には、フレキシブルプリント基板30に貼り付けられる以前にあっては、図4,6に示したと同様のハクリシートが接着される。すなわち、スペーサシート37の裏面に塗布した粘着剤によって、ハクリシートがスペーサシート37の裏面に接着されるようになっている。
【0097】
また、このスイッチ装置の第2実施形態では、スペーサシート37に、ドーム状可動接点35が収容される収容部37aと、フレキシブルプリント基板30の裏面30bに対向するように配置される非粘着部37bとを設けた構成にしてあるが、本発明は、このような構成に限られない。例えば、スペーサシート37を除き、カバーシート34のみによって粘着シートを構成し、このカバーシート34に、ドーム状可動接点35が接着される接着部と、この接着部に隔絶して形成されると共に、フレキシブルプリント基板30の裏面30bに対向するように配置され、粘着剤が塗布されない非粘着部を設けた構成にしてもよい。
【0098】
このように構成したカバーシート34を、図7に示す空気孔30eを有するフレキシブルプリント基板30に貼り付けてスイッチ装置を製作した場合には、フレキシブルプリント基板30の裏面30bと、カバーシートの上述した非粘着部とによって、フレキシブルプリント基板30の空気孔30eを介してカバーシート34に接着されたドーム状可動接点35に連通する空気逃げ部が形成される。このように構成したものも、上述したスイッチ装置の第2実施形態と略同等の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明に係るスイッチ装置の第1実施形態の構成を示す縦断面図である。
【図2】図1に示すスイッチ装置の第1実施形態に備えられる粘着シートの裏面図である。
【図3】図1に示すスイッチ装置の第1実施形態に備えられるスイッチ基板、すなわちフレキシブルプリント基板を示す平面図である。
【図4】図1に示すスイッチ装置の第1実施形態の製作に際し用いられるスイッチ装置用部品の第1実施形態を示す分解斜視図である。
【図5】図1に示すスイッチ装置の第1実施形態が製作される途中の状態を示す平面図である。
【図6】図1に示すスイッチ装置の第1実施形態の製作に際して用いられるスイッチ装置用部品の第2実施形態を示す分解斜視図である。
【図7】本発明に係るスイッチ装置の第2実施形態の構成を示す縦断面図である。
【図8】図7に示すスイッチ装置の第2実施形態に備えられる粘着シートの裏面図である。
【図9】従来のスイッチ装置を示す分解斜視図である。
【図10】従来技術の実状から考えられる粘着シートの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0100】
30 フレキシブルプリント基板(スイッチ基板)
30a 表面
30b 裏面
30c 一側端
30e 空気孔
31 中央固定接点
31a 端子接続部
32 周辺固定接点
32a 端子接続部
32b 端子接続部
33 スペーサシート(粘着シート)
33a 収容部
33b 非粘着部
33b1 部分
34 カバーシート(粘着シート)
34a 接着部
34b 周縁部
34c 非粘着部
34c1 部分
35 ドーム状可動接点(接点板)
36 ハクリシート
37 スペーサシート(粘着シート)
37a 収容部
37b 非粘着部
40 空気逃げ部
41 空気逃げ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定接点を有するスイッチ基板に、上記固定接点に接離可能な接点板を設けた粘着シートを貼り付けて成るスイッチ装置であって、
上記粘着シートを、上記スイッチ基板の一側端を介して、上記スイッチ基板の上記固定接点が配置される表面側から裏面側にわたって折り返して、上記スイッチ基板の上記表面及び上記裏面に貼り付け可能な長さ寸法に設定すると共に、
上記粘着シートに、上記接点板に連通し、上記スイッチ基板の上記表面に対向する位置から上記スイッチ基板の上記裏面に対向する位置まで延設され、粘着剤が塗布されない非粘着部を設け、
上記スイッチ基板の上記表面及び上記裏面と、上記粘着シートの上記非粘着部とによって、上記接点板に連通する空気逃げ部を形成したことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
上記請求項1記載のスイッチ装置において、
上記粘着シートの非粘着部を、上記スイッチ基板の上記一側端に対向する部分が、他の非粘着部の部分よりも形状が小さくなるように形成したことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項3】
上記請求項1記載のスイッチ装置において、
上記スイッチ基板がフレキシブルプリント基板から成ると共に、
このフレキシブルプリント基板を、上記一側端とは異なる方向から外部への端子接続部が引き出されるように設けたことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項4】
固定接点を有するスイッチ基板に、上記固定接点に接離可能な接点板を設けた粘着シートを貼り付けて成るスイッチ装置であって、
上記粘着シートを、上記スイッチ基板の一側端を介して、上記スイッチ基板の上記固定接点が配置される表面側から裏面側にわたって折り返して、上記スイッチ基板の上記表面及び上記裏面に貼り付け可能な長さ寸法に設定すると共に、
上記粘着シートの上記スイッチ基板の上記裏面に対向する位置に、上記接点板から隔絶して形成され、粘着剤が塗布されない非粘着部を設け、
上記スイッチ基板に、上記非粘着部を上記接点板に連通させる空気孔を設け、
上記スイッチ基板の上記裏面と、上記粘着シートの上記非粘着部とによって、上記空気孔を介して上記接点板に連通する空気逃げ部を形成したことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項5】
上記請求項1〜4のいずれか1項記載のスイッチ装置において、
上記粘着シートが、接点部分を覆うカバーシートと、このカバーシートに接着されるスペーサシートとから成り、
上記スペーサシートが、上記接点板が収容される収容部と、この収容部に連通して形成される上記非粘着部とを備えたことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項6】
上記請求項1〜4のいずれか1項記載のスイッチ装置において、
上記粘着シートが、接点部分を覆うカバーシートから成り、
このカバーシートに上記非粘着部を設けたことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項7】
固定接点を有するスイッチ装置のスイッチ基板に接触可能な接点板を有し、上記スイッチ基板に貼り付けられる粘着シートを備え、
この粘着シートを、上記スイッチ基板の一側端を介して、上記スイッチ基板の上記固定接点が配置される表面側から裏面側にわたって折り返して、上記スイッチ基板の上記表面及び上記裏面に貼り付け可能な長さ寸法に設定すると共に、
上記粘着シートに、上記接点板に連通し、上記スイッチ基板の上記表面に対向する位置から上記スイッチ基板の上記裏面に対向する位置まで延設され、粘着剤が塗布されない非粘着部を設けたことを特徴とするスイッチ装置用部品。
【請求項8】
上記請求項7記載のスイッチ装置用部品において、
上記粘着シートに接着され、この粘着シートとの間で上記接点板を封止するハクリシートを備えたことを特徴とするスイッチ装置用部品。
【請求項9】
上記請求項7記載のスイッチ装置用部品において、
上記粘着シートの上記非粘着部を、上記スイッチ基板の上記一側端に対向する部分が、他の非粘着部の部分よりも形状が小さくなるように形成したことを特徴とするスイッチ装置用部品。
【請求項10】
固定接点を有するスイッチ装置のスイッチ基板に接触可能な接点板を有し、上記スイッチ基板に貼り付けられる粘着シートを備え、
この粘着シートを、上記スイッチ基板の一側端を介して、上記スイッチ基板の上記固定接点が配置される表面側から裏面側にわたって折り返して、上記スイッチ基板の上記表面及び上記裏面に貼り付け可能な長さ寸法に設定すると共に、
この粘着シートの上記スイッチ基板の上記裏面に対向する位置に、上記接点板から隔絶して形成され、粘着剤が塗布されない非粘着部を設けたことを特徴とするスイッチ装置用部品。
【請求項11】
上記請求項10記載のスイッチ装置用部品において、
上記粘着シートに接着され、この粘着シートとの間で上記接点板を封止するハクリシートを備えたことを特徴とするスイッチ装置用部品。
【請求項12】
上記請求項7〜11のいずれか1項記載のスイッチ装置用部品において、
上記粘着シートが、上記スイッチ装置に備えられる固定接点を含む接点部分を覆うカバーシートと、このカバーシートに接着されるスペーサシートとから成り、
上記スペーサシートが、上記接点板が収容される収容部と、この収容部に連通して形成される上記非粘着部とを備えたことを特徴とするスイッチ装置用部品。
【請求項13】
上記請求項7〜11のいずれか1項記載のスイッチ装置用部品において、
上記粘着シートが、上記スイッチ装置が備えられる固定接点を含む接点部分を覆うカバーシートから成り、
このカバーシートに上記非粘着部を設けたことを特徴とするスイッチ装置用部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−139953(P2006−139953A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−326695(P2004−326695)
【出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】