説明

スイッチ装置

【課題】 ノブの操作フィーリングを高めること。
【解決手段】 プッシャガイド22には節度部26を挟んで対向する壁部31が形成されている。これら両壁部31には溝部32が形成されており、両溝部32内にはプッシャ23の両突部33がスライド可能に係合している。この構成の場合、プッシャ23の上半部がプッシャガイド22によってガイドされるだけではなく、両突部33の外周面が両溝部32の内面に接触することに基いてプッシャ23の下半部がガイドされる。このため、プッシャ23の長手方向全域がノブ18の回動方向からガイドされることになるので、ノブ18の回動時にプッシャ23がプッシャガイド22に対してがたつくことが抑えられ、ノブ18の操作フィーリングが高まる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作部材が回動することに連動してプッシャを摺動面に沿ってスライドさせる構成のスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記スイッチ装置の従来構成を図4に基いて説明する。操作部材100には筒部101が形成されており、筒部101内にはプッシャ102の上端部が挿入されている。このプッシャ102はスプリング103のばね力で逆三角形状の摺動面104に押付けられたものであり、操作部材100はプッシャ102が摺動面104の谷部に係合することに基いて初期状態に保持される。この操作部材100は軸105を中心に回動可能にされたものであり、操作部材100が初期状態から回動操作されたときにはプッシャ102が摺動面104によって押圧され、スプリング103のばね力に抗して筒部101内に退避する。この状態で操作部材100から操作力が除去されたときにはプッシャ102がスプリング103の復元力で摺動面104に沿って下降し、操作部材100が初期状態に復帰する。
【特許文献1】実開平7−22435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来構成の場合、プッシャ102の下半部を筒部101から突出させ、プッシャ102の上半部だけを筒部101によって限定的にガイドしている。このため、プッシャ102の筒部101に対するがたつき度合が大きく、操作部材100の操作フィーリングがプッシャ102の相対的ながたつきの影響で低下する傾向にあった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、操作部材の操作フィーリングを高めることができるスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のスイッチ装置は、回動可能に設けられた操作部材と、前記操作部材に設けられた筒部と、前記筒部内にスライド可能に挿入されたプッシャと、前記プッシャを摺動面に押付けるばね部材と、前記筒部に設けられ前記摺動面を挟んで対向する一対の壁部と、前記一対の壁部に設けられ前記プッシャの前記筒部に対するスライド方向に沿って延びる一対のガイド部と、前記プッシャに設けられ前記一対のガイド部にスライド可能に係合された一対の被ガイド部とを備えたところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0005】
操作部材の筒部に摺動面を挟んで対向する壁部を設け、プッシャの両被ガイド部を両壁部の両ガイド部にスライド可能に係合している。このため、プッシャのうち摺動面と反対側の基端部が筒部によってガイドされるだけではなく、プッシャのうち摺動面と同一側の先端部が筒部の両壁部によってガイドされる。従って、プッシャの全域が操作部材の回動方向からガイドされるようになるので、操作部材の回動時にプッシャが筒部に対してがたつくことが抑えられ、操作部材の操作フィーリングが高まる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の一実施例を図1〜図3に基いて説明する。尚、本実施例は本発明を車両用のパワーウィンドスイッチ装置に適用したものである。スイッチボディ1は、図1の(a)に示すように、下面が開口する箱状をなすものであり、スイッチボディ1にはプリント配線基板2が固定されている。このプリント配線基板2はスイッチボディ1の下面を塞ぐカバーとして機能するものであり、プリント配線基板2にはスイッチケース3が固定されている。このスイッチケース3は、図2に示すように、後面が開口する箱状をなすものであり、スイッチケース3にはスイッチ基板4が固定されている。このスイッチ基板4はスイッチケース3の後面を塞ぐカバーとして機能するものであり、スイッチ基板4には固定コンタクト5〜9が横一列に固定されている。
【0007】
スイッチケース3内にはコンタクトホルダ10が収納されている。このコンタクトホルダ10は固定コンタクト5〜9の配列方向に沿ってスライド可能にされたものであり、コンタクトホルダ10にはピン状の操作部11が形成されている。この操作部11は長孔12を通してスイッチケース3内から突出している。この長孔12はスイッチケース3に形成されたものであり、コンタクトホルダ10は操作部11がスイッチケース3の外部から操作されることに基いてスライドする。
【0008】
コンタクトホルダ10には可動コンタクト13および14が装着されている。これら各可動コンタクト13および14にはコンタクトスプリング15の一端部が装着されており、各コンタクトスプリング15の他端部はコンタクトホルダ10に装着されている。これら各コンタクトスプリング15は圧縮コイルスプリングからなるものであり、可動コンタクト13および14はコンタクトスプリング15のばね力でスイッチ基板4に押付けられている。
【0009】
固定コンタクト5および9はプリント配線基板2を介して車載のバッテリのマイナス端子に接続され、固定コンタクト7はプリント配線基板2を介して車載のバッテリのプラス端子に接続されている。残りの固定コンタクト6および8はプリント配線基板2を介して車載のパワーウィンドモータ16の両端子に接続されており、固定コンタクト5〜9は、下記1)〜3)に示すように、コンタクトホルダ10がニュートラル位置と上昇位置と下降位置との間で移動することに基いて可動コンタクト13および14を介して選択的に導通する。
1)コンタクトホルダ10のニュートラル位置
ニュートラル位置とは操作部11が長孔12内の長手方向中央部に位置する状態を称するものである。このコンタクトホルダ10のニュートラル位置では可動コンタクト13が固定コンタクト5および6に接触し、可動コンタクト14が固定コンタクト8および9に接触する。このため、パワーウィンドモータ16の給電路が開放され、パワーウィンドモータ16がオフされる。
2)コンタクトホルダ10の上昇位置
上昇位置とは操作部11が長孔12内の矢印B方向端部に位置する状態を称するものである。このコンタクトホルダ10の上昇位置では可動コンタクト13が固定コンタクト5および6に接触し、可動コンタクト14が固定コンタクト7および8に接触する。このため、パワーウィンドモータ16に正方向の電力が供給され、パワーウィンドモータ16が正転することに基いてパワーウィンドが上昇する。
3)コンタクトホルダ10の下降位置
下降位置とは操作部11が長孔12内の反矢印B方向端部に位置する状態を称するものである。このコンタクトホルダ10の下降位置では可動コンタクト13が固定コンタクト6および7に接触し、可動コンタクト14が固定コンタクト8および9に接触する。このため、パワーウィンドモータ16に逆方向の電力が供給され、パワーウィンドモータ16が逆転することに基いてパワーウィンドが下降する。
【0010】
スイッチボディ1には、図1の(a)に示すように、ノブベース17が形成されており、ノブベース17には操作部材に相当するノブ18が軸19を中心に回動可能に装着されている。このノブ18にはアーム20が形成されており、アーム20の下端部には切欠状の溝部21が形成されている。この溝部21内にはコンタクトホルダ10の操作部11がスライド可能に係合されており、コンタクトホルダ10は、下記11)〜13)に示すように、ノブ18の回動操作に連動してスライドする。
11)ノブ18のニュートラル位置
ニュートラル位置とはノブ18の水平な非操作状態を称するものである。このノブ18のニュートラル位置ではアーム20が垂直な起立状態になることに基いてコンタクトホルダ10がニュートラル位置に停止する。この状態ではパワーウィンドモータ16がオフされ、パワーウィンドが現在位置で停止する。
12)ノブ18の上昇位置
上昇位置とはノブ18が矢印A方向へ傾倒した操作状態を称するものである。このノブ18の上昇位置ではアーム20が矢印A方向へ回動し、コンタクトホルダ10が矢印B方向へスライドすることに基いて上昇位置へ移動する。この状態ではパワーウィンドモータ16が正転し、パワーウィンドが上昇する。
13)ノブ18の下降位置
下降位置とはノブ18が反矢印A方向へ傾倒した操作状態を称するものである。このノブ18の下降位置ではアーム20が反矢印A方向へ回動し、コンタクトホルダ10が反矢印B方向へスライドすることに基いて下降位置へ移動する。この状態ではパワーウィンドモータ16が逆転し、パワーウィンドが下降する。
【0011】
ノブ18には、図1の(a)に示すように、筒部に相当するプッシャガイド22が形成されている。このプッシャガイド22はアーム20に沿って延びる四角筒状をなすものであり、プッシャガイド22内にはプッシャ23がスライド可能に挿入されている。このプッシャ23は、図3に示すように、四角柱状をなすものであり、プッシャ23の上面には突状のスプリングガイド24が形成されている。このスプリングガイド24の外周面には、図1の(a)に示すように、ばね部材に相当するプッシャスプリング25が嵌合されている。このプッシャスプリング25は圧縮コイルスプリングからなるものであり、プッシャガイド22内に収納されている。
【0012】
スイッチボディ1には、図1の(a)に示すように、節度部26が形成されている。この節度部26は相手側に向って下降傾斜する摺動面27および28を有する逆三角形状をなすものであり、節度部26には係合部に相当する谷部29が形成されている。この谷部29は摺動面27および28の交差部分を称するものであり、ノブ18がニュートラル位置にあるときにはプッシャ23の面取部30が谷部29にプッシャスプリング25のばね力で係合する。この面取部30は、図3に示すように、プッシャ23の下端に形成された半円弧面状の成形部を称するものであり、ノブ18は谷部29および面取部30間の係合力でニュートラル位置に保持される。尚、面取部30は円弧面部に相当するものである。
【0013】
節度部26の摺動面27はノブ18を上昇位置からニュートラル位置に自動的に復帰させるものである。即ち、ノブ18がニュートラル位置から上昇位置に操作されたときにはプッシャ23の面取部30が傾斜面27によって押圧され、プッシャ23がプッシャスプリング25のばね力に抗してプッシャガイド22内に退避する。この状態でノブ18から操作力が除去されたときには面取部30がプッシャスプリング25の復元力で摺動面27に沿って下降し、面取部30が谷部29に係合することに基いてノブ18が上昇位置からニュートラル位置に復帰する。
【0014】
節度部26の傾斜面28はノブ18を下降位置からニュートラル位置に自動的に復帰させるものである。即ち、ノブ18がニュートラル位置から下降位置に操作されたときにはプッシャ23の面取部30が傾斜面28によって押圧され、プッシャ23がプッシャスプリング25のばね力に抗してプッシャガイド22内に退避する。この状態でノブ18から操作力が除去されたときには面取部30がプッシャスプリング25の復元力で傾斜面28に沿って下降し、面取部30が谷部29に係合することに基いてノブ18が下降位置からニュートラル位置に復帰する。
【0015】
プッシャガイド22には、図3に示すように、一対の壁部31が形成されている。これら両壁部31は、図1の(b)に示すように、節度部26を挟んで対向するものであり、両壁部31には、図3に示すように、ガイド部に相当する溝部32が個別に形成されている。これら各溝部32はプッシャ23のプッシャガイド22に対するスライド方向に沿って延びる直状をなすものであり、図1の(b)に示すように、コ字状のガイド面34を有している。これら各ガイド面34は溝部32の内周面を称するものであり、各溝部32内には、図3に示すように、被ガイド部に相当する突部33がスライド可能に挿入されている。これら各突部33はプッシャ23の下端部に形成されたものであり、プッシャ23のうちノブ18の操作方向とは異なる両側面から突出している。これら各突部33はプッシャ23の面取部30と半径が同一な円柱状をなすものであり、面取部30に段差なく繋がっている。
【0016】
上記実施例によれば、プッシャガイド22に節度部26を挟んで対向する壁部31を設け、プッシャ23の両突部33を両壁部31の両溝部32内にスライド可能に係合した。このため、プッシャ23の上半部がプッシャガイド22によってガイドされるだけではなく、両突部33の外周面が両溝部32のガイド面34に接触することに基いてプッシャ23の下半部がガイドされる。従って、プッシャ23の長手方向全域がノブ18の回動方向からガイドされることになるので、ノブ18の回動時にプッシャ23がプッシャガイド22に対してがたつくことが抑えられ、ノブ18の操作フィーリングが高まる。
【0017】
プッシャ23に円弧面状の面取部30と同一半径で且つ円弧面状の面取部30に段差なく繋がる円柱状の両突部33を設けたので、ノブ18の回動時にプッシャ23が摺動面27および28に引掛かることなく円滑に摺動するようになる。
上記実施例においては、本発明を車両用のパワーウィンドスイッチ装置に適用したが、これに限定されるものではなく、例えば車両の方向指示器を操作するスイッチ装置・車両のライトを操作するスイッチ装置等に適用しても良い。要は適用範囲をパワーウィンドスイッチ装置に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施例を示す図(aは全体構成を示す断面図、bはX線に沿う断面図)
【図2】スイッチケースの内部構成を示す断面図
【図3】プッシャおよびプッシャガイドの外観を示す斜視図
【図4】従来例を示す図
【符号の説明】
【0019】
18はノブ(操作部材)、22はプッシャガイド(筒部)、23はプッシャ、25はプッシャスプリング(ばね部材)、27は摺動面、28は摺動面、30は面取部(円弧面部)、31は壁部、32は溝部(ガイド部)、33は突部(被ガイド部)を示している。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動可能に設けられた操作部材と、
前記操作部材に設けられた筒部と、
前記筒部内にスライド可能に挿入されたプッシャと、
前記プッシャを摺動面に押付けるばね部材と、
前記筒部に設けられ、前記摺動面を挟んで対向する一対の壁部と、
前記一対の壁部に設けられ、前記プッシャの前記筒部に対するスライド方向に沿って延びる一対のガイド部と、
前記プッシャに設けられ、前記一対のガイド部にスライド可能に係合された一対の被ガイド部と
を備えたことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記プッシャには、前記摺動面に押付けられた円弧面部が設けられ、
前記各被ガイド部は、前記円弧面部と同一半径で且つ前記円弧面部に段差なく繋がる突部からなり、
前記各ガイド部は、前記突部がスライド可能に係合された溝部からなる
ことを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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