説明

スイッチ装置

【課題】 既存のスイッチの任意のスイッチユニットから信号を取り出すことができ、制御盤の中の並列配線長を著しく減少させることが出来るスイッチ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 操作機構部分と、スイッチユニットとを備えたスイッチ装置において、操作機構部分の反対側のスイッチユニットの最終端に隣接して、伝送素子を収納した着脱自在のアダプターを取付けたスイッチ装置とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスイッチ装置に関し、特に、開閉器信号の伝送技術についてのものである。
【背景技術】
【0002】
この種の開閉器の信号を伝送信号として送信する場合、専用の伝送端子台を設置し、複数のスイッチや複数のスイッチユニットからその開閉情報を伝送端子台に並列に送り、伝送端子台からシリアルな伝送信号に変換して伝送していた。
【0003】
また、接点毎にその近傍に伝送素子を組み込み伝送専用スイッチとして完成させている製品が実在する。
【特許文献1】特開2002−42600
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、いったん伝送端子台に各接点開閉情報を送る場合には、その端子台まで並列に必要な長さの電線を敷設するため電線数が多くなり、長い電線が盤内を占有し、伝送するメリットである省配線の効果が著しく損なわれる。
【0005】
また、これを避けるために、1接点毎に伝送素子を組み込んだ伝送用スイッチでは専用のスイッチしか使えないという不便さがある。
【0006】
すなわち、解決すべき課題としては、制御盤内の並列配線長をできるだけ短くし、専用の伝送スイッチのみでなく、あらゆるスイッチに伝送を適用できる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明は、上記の課題を解決し、既存のスイッチの任意のスイッチユニットから信号を取り出すことができ、制御盤の中の並列配線長を著しく減少させることが出来るスイッチ装置を提供する。
【0008】
その手段は、スイッチ本体に伝送素子を組み込むことなく、スイッチに対して着脱自在なアダプター内に伝送素子を組み込み、必要に応じてこれを取り付けると共に、多数の接点ユニットの必要な部分にアダプターから短い線で並列接続するという手段を提案する。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、上記課題を解決し、操作機構部分と、スイッチユニットとを備えたスイッチ装置において、操作機構部分の反対側のスイッチユニットの最終端に隣接して、伝送素子を収納した着脱自在のアダプターを取付けたスイッチ装置であるので、既存のスイッチの任意のスイッチユニットから信号を取り出すことができ、制御盤の中の並列配線長を著しく減少させることが出来るスイッチ装置を提供できる。
【0010】
また、本発明は、アダプターに収納した伝送素子の並列入力部分と任意の接点ユニットを電線により接続したスイッチ装置であるので、スイッチ本体に伝送素子を組み込むことなく、スイッチに対して着脱自在なアダプター内に伝送素子を組み込み、必要に応じてこれを取付けると共に、多数の接点ユニットの必要な部分にアダプターから短い線で並列するという手段を提案することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明のスイッチ装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、押しボタンスイッチに本発明を適用した事例であり、右側に示したのはその接続の説明図である。
【0013】
押しボタンスイッチは操作機構部分1と、接点を含んだスイッチユニット2に分けられる。操作機構部分1は押しボタン操作や捻回操作に対して一定の接点開閉動作を行う機構部分を含んでいる。この接点開閉動作は、通常押し引き方向と一致した前後動作であって、後に隣接するスイッチユニット2に伝達され、接点を開閉する。
【0014】
スイッチユニットが複数個の場合は、順次後に嵌め込んでいくことにより後続のスイッチユニットが所要の開閉動作をすることが可能となっている。
【0015】
本発明に関わる伝送用アダプター3は、上記スイッチユニットの最終段の後部に、上記スイッチユニットと同様の構造であるワンタッチで取付けられる繋合方式で取付けられている。伝送用アダプター3の内部には、パラレル−シリアル変換をして2本線で伝送する電送素子5を搭載した伝送回路基板4が設置されており、パラレル端子9はスイッチ側の必要な端子に接続され接点入力を取込むことができる。図には2個の取り込み端子を示しているがこれに限定されず、端子は出力端子であって、例えばスイッチにLEDがある場合にはこれに接続して出力することも出来るのは言うまでもない。
【0016】
伝送基板にはシリアル信号と電源を供給する2本の電線6が接続され、このバスラインは例えば隣接するスイッチアダプターやその他の通信素子内蔵の機器にマルチドロップで渡り配線することができるため、制御盤内の配線が著しく少なくなるという本来の効果を発揮することが出来る。
【0017】
以上は、押しボタンスイッチを取り上げて説明したが、既存の捻回形のスイッチに適用した例を図2に示す。捻回形のスイッチは、操作機構部分1のハンドルを回転させることにより、スイッチユニット2内の接点が開閉する装置である。この種のスイッチは、通常スイッチユニットの最終段に最終スイッチユニット2の蓋としてのエンドプレート10を備えている。
【0018】
本発明の実施形態としては、このエンドプレート10に備えたエンドプレート繋合部11に本発明に関わるアダプター3の繋合部12をスライドさせて繋合することによりワンタッチで取付けることができる。
【0019】
このように、本発明によると、既存の製品にそのまま、又は最終段の部品のみを若干の設計変更をしてアダプターとワンタッチで繋合させる実施形態をとるのが特徴である。
【0020】
本発明の特徴を図によって説明する。
【0021】
図3は、従来技術でスイッチなどの情報を集めて伝送する専用の伝送端子台を用いた場合の例である。この例は、3個のスイッチ13の接点6個に対するON/OFF情報を専用伝送端子台のパラレル端子9に取り込む為に、パラレル接続線7を6本と共通線3本を各スイッチ接点と伝送端子台のパラレル端子9の間に敷設している。これらのパラレル信号はシリアル−パラレル変換して2本の電線6で伝送される。この図で分かるように、パラレル接続線7は長くなり、本数も多く省配線とは言いがたいものになっている。
【0022】
一方、図4は究極の省配線を行うため、スイッチの内部に伝送素子を組み込んだ場合の配線である。伝送素子5内蔵型のスイッチ14には接点と伝送回路基板4が一体に組み込まれている。
【0023】
この場合の配線は、図のようにパラレル接続線7で、各々のスイッチをマルチドロップなどの渡り配線で接続することができ、極めてシンプルな省配線を実現できる。
【0024】
しかしながら、この為には、専用の素子組み込みスイッチを使用しなければならず、コスト高になる上に、既存の設備への伝送技術の適用などには対応できない。
【0025】
図5には、スイッチ4個が図示されている。その内3個のスイッチには本発明によるアダプター3が装備されており、1個には装備されていない場合が示してある。
【0026】
実際の装置では、このように情報をどのスイッチのどの接点から取り出すかは決まっておらず、ケースバイケースでフレキシブルに対応できるものでなければならない。
【0027】
本発明は、アダプター方式にして取付けるべきスイッチを選択できるばかりか、どの接点から取り出すかについても短い線でパラレル接続をするべき接点を任意に選択できるので、柔軟性に優れた制御スイッチを提供できる。
【0028】
また、このように既存のスイッチを使用するためコスト的にも有利であることはいうまでもない。既存の装置を伝送化する場合には特に大きな効果を発揮する。
【0029】
配線については、バラレル配線部分が存在するが極めて短く、スイッチに沿って配線するために図4に示したとおり図3と同様の省配線効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、スイッチ装置について述べたが、他の電子機器の省配線にも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】押しボタンスイッチに本発明を適用した図である。
【図2】既存の捻回形スイッチに本発明を適用した図である。
【図3】従来技術でスイッチなどの情報を集めて伝送する専用の伝送端子台を用いた場合の図である。
【図4】スイッチの内部に伝送素子を組み込んだ場合の本発明の図である。
【図5】4個のうちの3個のスイッチだけに本発明によるアダプタ3が装備されている本発明の図である。
【符号の説明】
【0032】
1…操作機構部分
2…スイッチユニット
3…伝送用アダプター
4…伝送回路基板
5…伝送素子
6…電線
7…パラレル接続線
8…接点端子
9…伝送基板パラレル端子
10…エンドプレート
11…エンドプレート繋合部
12…アダプター繋合部
13…スイッチ
14…スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作機構部分とスイッチユニットとを備えたスイッチ装置において、操作機構部分の反対側のスイッチユニットの最終端に隣接して、伝送素子を収納した着脱自在のアダプターを取付けたスイッチ装置。
【請求項2】
アダプターに収納した伝送素子の並列入力部分と任意の接点ユニットを電線により接続した請求項1記載のスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−128695(P2007−128695A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−318957(P2005−318957)
【出願日】平成17年11月2日(2005.11.2)
【出願人】(000236780)不二電機工業株式会社 (15)
【Fターム(参考)】