説明

スイッチ装置

【課題】操作部材の周囲部にあるプッシュ操作部により押し込み操作されるプッシャやスイッチ要素と干渉することのないようにライトガイド部材を設けるものにおいて、ライトガイド部材がスイッチ要素の操作機能をも奏するようにする。
【解決手段】ライトガイド部材35は、操作部材2の周囲部にプッシュ操作部8,9と共に存在する透光標示部12,13に対し共通のものとなっており、この関係上、主体部35aが操作部材2の中央部の裏側に位置している。それに対して、ライトガイド部材35には、主体部35aから各透光標示部12,13の裏側に位置する張出部35d,35eを延出させて設け、この張出部35d,35eにより、光源66の発した光を透過させて各透光標示部12,13を照明すると共に、プッシャ56,57がスイッチ要素84,85に向かって押し込まれるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作部材が、周囲の4か所にプッシュ操作部を有すると共に、その各プッシュ操作部に透光標示部を有するスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば自動車など車両用のスイッチ装置として、操作部材が、周囲の4か所にプッシュ操作部を有すると共に、その各プッシュ操作部に透光標示部を有するものが供されている。このものにおいては、操作部材の裏側にライトガイド部材が設けられ、このライトガイド部材を、案内部材により上記操作部材の各プッシュ操作部のプッシュ操作に応動する4方向に案内するようになっている。
【0003】
又、操作部材の各プッシュ操作部の裏側には、その各プッシュ操作部によって押し込まれるプッシャが設けられ、この各プッシャによりそれぞれスイッチ要素が押し込み操作されるようになっている。
そして、ライトガイド部材の先方には光源が設けられ、図示しないライトコントロールスイッチの操作に基づき、この光源の発する光をライトガイド部材を透過させて前記操作部材の各透光標示部を照明するようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のものの場合、ライトガイド部材は、操作部材の4つある透光標示部に対し共通のものとなっており、この関係上、操作部材の裏側の中でも、主として該操作部材の中央部の裏側に位置している。これは、操作部材の各プッシュ操作部を押し込んだときの操作荷重がそれぞれにプッシャを介して各スイッチ要素にロスなく伝わるべく、各プッシュ操作部の操作方向先にそれぞれ各スイッチ要素を配置するためであり、且つ、その各位置を避けて各スイッチ要素を配置するスペースの余裕がないからでもあって、それらと干渉することのないようにライトガイド部材を設ける必要からである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のスイッチ装置においては、周囲部にプッシュ操作部を有すると共に、そのプッシュ操作部に透光標示部を有する操作部材と、この操作部材の中央部の裏側に位置する主体部から前記透光標示部の裏側に位置する張出部を延出させて有する、透明材から成るライトガイド部材と、このライトガイド部材を前記操作部材のプッシュ操作部のプッシュ操作に応動する方向に案内する案内部材と、前記ライトガイド部材の張出部の裏側に設けられ、前記操作部材のプッシュ操作部のプッシュ操作によって前記ライトガイド部材の張出部を介し押し込まれるプッシャと、このプッシャによって押し込み操作されるスイッチ要素と、前記ライトガイド部材の主体部の先方に設けられた光源とを具備し、その光源の発する光を前記ライトガイド部材の主体部から張出部に透過させて前記操作部材の透光標示部を照明するようにしたことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明を車両、特には自動車のステアリングホイールに組み付けるクルーズコントロール及びラジオコントロール用のスイッチ装置に適用した一実施例につき、図面を参照して説明する。
まず図2には、ボデー1と、これに組み付けた操作部材2,3,4とを示している。
操作部材2はクルーズコントロール用であり、上面の中央部一帯に凹部5を有し、周囲部の4か所(図で上下左右の各部)にプッシュ操作部6,7,8,9を有すると共に、このプッシュ操作部6〜9にそれぞれ透光標示部10,11,12,13を有している。
操作部材3もクルーズコントロール用であり、中央部に透光標示部14を有し、図で上下の2か所にプッシュ操作部15,16を有すると共に、このプッシュ操作部15,16にそれぞれ透光標示部17,18を有している。
【0007】
操作部材4はラジオコントロール用であり、上面の中央部一帯に凹部19を有すると共に、この凹部19の中央に透光標示部20を有し、周囲部の4か所(図で上下左右の各部)にプッシュ操作部21,22,23,24を有すると共に、このプッシュ操作部21〜24にそれぞれ透光標示部25,26,27,28を有している。
【0008】
これら操作部材2〜4の透光標示部10〜13、14、17,18、20、25〜28は、乳白色の合成樹脂など、半透明材により形成しており、それらを除いて操作部材2〜4の各本体2a,3a,4aは、遮光性を有する合成樹脂など、遮光材により形成している。
ここで、操作部材2と操作部材4は酷似しており、内部構造も同様であるので、以下、操作部材2で代表して述べる(操作部材3についても省略)。
【0009】
図3に示すように、操作部材2の裏側には、リブ29、30,31,32を設けている。このリブ29〜32は、透光標示部10〜13をそれぞれに挟んで2つずつ存在するもので、そのうちの前後のリブ29,30より長い左右のリブ31,32には、それぞれ下部に係合孔33,34を形成している。
【0010】
35はライトガイド部材を示している。このライトガイド部材35は、操作部材2、中でもそれの各透光標示部10〜13とは別体で、透明の合成樹脂など、透明材により形成しており、主体部35aと、張出部35b,35c,35d,35eを有している。このうち、主体部35aは四角柱状で、下面部に膨らみのある曲面36,37を並べて形成している。この曲面36,37は、ともに、前後に曲面を成すと共に、左右にも曲面を成している。
【0011】
主体部35aの上部の左右両側には、短円柱状の軸突起38を設けており、それより上方の主体部35a最上部に、上記張出部35b〜35eを前後及び左右に延出させて形成している。更に、そのうち前後の張出部35b、35cの裏側には、それぞれ操作突起39,40を形成しており、左右の張出部35d,35eの裏側には、それぞれ操作突起41,42と係合爪43,44とを形成している。
【0012】
この構成で、張出部35b〜35eを下方より操作部材2の前記リブ29〜32の各間に挿入し、係合爪43,44を前記係合孔33,34に係合させることにより、ライトガイド部材35を操作部材2に結合している。この結果、ライトガイド部材35の主体部35aは、操作部材2の中央部の裏側に位置し、張出部35b〜35eが、透光標示部10〜13(プッシュ操作部6〜9)の各裏側に位置している。
【0013】
これに対して、45はホルダを示している。このホルダ45は、矩形の枠状を成すもので、前後と左右の各側壁部にそれぞれ軸受孔46,47を有している。このホルダ45を下方より上記ライトガイド部材35の主体部35aに嵌装し、軸受孔47を前記軸突起38に回動可能に嵌合している。
【0014】
ボデー1は、図3及び図4に示すボデー上部1aと、図5に示すボデー下部1bとから成るもので、そのうちの図3に示すボデー上部1aの左側部の上面部にほゞ矩形の囲い壁48を形成し、この囲い壁48で囲った部分の中央部に矩形の穴49を形成している。更に、穴49の前後の両縁部には、支持片50を形成し、この支持片50の内側部に短円柱状の軸突起51を形成している。加えて、穴49の周囲4か所(上下左右の各部)には、それぞれ孔52を形成し、穴49の底部には、図4に示すように、十字状の開口53を形成している。
【0015】
この構成で、上方より穴49から開口53に前記ライトガイド部材35の主体部35aを揺動可能に挿通し、軸突起51に上記ホルダ45の前後の軸受孔46を回動可能に嵌合している。又、孔52には、図4に示すように、それぞれ円棒状のプッシャ54,55,56,57を、下方より上下に摺動可能に挿通しており、これらのプッシャ54〜57は、ライトガイド部材35における前記張出部35b〜35eの操作突起39〜42の直下、ひいては前記操作部材2のプッシュ操作部21〜24の直下にそれぞれ位置している。なお、図4には、そのほか、前記操作部材3,4用のプッシャ58,59、60,61,62,63を示している。
【0016】
しかして、図5中、64はカバー、65はカバー64により上面部が覆われる回路基板を示している。このうち、回路基板65には、光源である発光ダイオード(以下、LEDと略称する)66を2個左右に並べて左側に実装し、LED67を3個前後に並べて中央部に実装し、LED68を2個左右に並べて右側に実装している。
【0017】
又、この回路基板65には、固定コンタクト69,70,71,72を前記操作部材2の透光標示部10〜13の配置に合わせてLED66の周囲に設け、固定コンタクト73,74を前記操作部材3の透光標示部17,18の配置に合わせてLED67の近辺に設け、固定コンタクト75,76,77,78を前記操作部材4の透光標示部25〜28の配置に合わせてLED68の周囲に設けている。
なお、回路基板65には、そのほか必要な電子部品を実装し、且つ必要な配線パターンを設けているが、これらについては図示並びに説明を省略する。
【0018】
これに対して、カバー64には、上述のLED66〜68をそれぞれに覆う位置に隆起部79,80,81を形成し、固定コンタクト69〜72をそれぞれに覆う位置に隆起部82,83,84,85を形成し、固定コンタクト73,74をそれぞれに覆う位置に隆起部86,87、及び固定コンタクト75〜78をそれぞれに覆う位置に隆起部88,89,90,91を形成している。
【0019】
このうち、隆起部79〜81はLED66〜68の発する光を透過するものであり、又、隆起部82〜91は固定コンタクト69〜78に接離する可動コンタクト(図示せず)を内部に有するもので、これらの固定コンタクト69〜78と可動コンタクト(隆起部82〜91)とにより、それぞれスイッチ要素が構成される。又、その固定コンタクト69〜78に対する可動コンタクトの接離は、隆起部82〜91の上下の弾力性によってなされるようになっている。これらの関係上、カバー64は透光性を有する弾性材、例えばほぼ透明のゴムから成っている。
【0020】
そして、これら回路基板65とカバー64の組を、前記ボデー上部1aの図4に示す開放した底部に組み付け、これによって、隆起部82〜91上に前記プッシャ54〜63がそれぞれ位置し、同時に、隆起部79〜81上(LED66〜68上)に、ライトガイド部材(図3にライトガイド部材35のみ図示)の主体部(同図に主体部35aのみ図示)が位置するようにしている(図1参照)。 この後、ボデー上部1aには、図5に示したボデー下部1bを結合している。従って、ボデー下部1bは、その結合のための係合爪92を有している。
【0021】
次に、上記構成のものの作用を、操作部材2で代表して述べる。
操作部材2のプッシュ操作部6をプッシュ操作すると、操作部材2とライトガイド部材35とが、ライトガイド部材35の軸突起38を中心に(ホルダ45を軸受部材として)回動し、張出部35bの操作突起39によってプッシャ54を押し込む。押し込まれたプッシャ54は下端部でカバー64の隆起部82を押し込み、該隆起部82の内部に有した可動コンタクトを固定コンタクト69に接触させる。かくして、それら隆起部82(可動コンタクト)と固定コンタクト69とから成るスイッチ要素が押し込み操作され、この場合、自動車のクルーズコントロールの一つがなされる。
【0022】
操作部材2のプッシュ操作部7をプッシュ操作すると、操作部材2とライトガイド部材35とが、ライトガイド部材35の軸突起38を中心に(ホルダ45を軸受部材として)上述とは反対の方向に回動し、張出部35cの操作突起40によってプッシャ55を押し込む。押し込まれたプッシャ55は下端部でカバー64の隆起部83を押し込み、該隆起部83の内部に有した可動コンタクトを固定コンタクト70に接触させる。かくして、それら隆起部83(可動コンタクト)と固定コンタクト70とから成るスイッチ要素が押し込み操作され、自動車のクルーズコントロールの他の一つがなされる。
【0023】
操作部材2のプッシュ操作部8をプッシュ操作すると、操作部材2とライトガイド部材35とが、ホルダ45を伴い、ボデー上部1aの軸突起51を中心に (支持片50を軸受部材として)回動し、張出部35dの操作突起41によってプッシャ56を押し込む。押し込まれたプッシャ56は下端部でカバー64の隆起部84を押し込み、該隆起部84の内部に有した可動コンタクトを固定コンタクト71に接触させる。かくして、それら隆起部84(可動コンタクト)と固定コンタクト71とから成るスイッチ要素が押し込み操作され、自動車のクルーズコントロールの更に他の一つがなされる。
【0024】
操作部材2のプッシュ操作部9をプッシュ操作すると、操作部材2とライトガイド部材35とが、ホルダ45を伴い、ボデー上部1aの軸突起51を中心に(支持片50を軸受部材として)上述とは反対の方向に回動し、張出部35eの操作突起42によってプッシャ57を押し込む。押し込まれたプッシャ57は下端部でカバー64の隆起部85を押し込み、該隆起部85の内部に有した可動コンタクトを固定コンタクト72に接触させる。かくして、それら隆起部85(可動コンタクト)と固定コンタクト72とから成るスイッチ要素が押し込み操作され、自動車のクルーズコントロールの更に又他の一つがなされる。
【0025】
しかして、このように各スイッチ要素が押し込み操作されるとき、ライトガイド部材35の主体部35aは、ボデー上部1aの穴49底部の十字状を成す開口53を該開口部53の周縁部53a(図4参照)に沿って動く。従って、開口53の周縁部53aは、ライトガイド部材35を操作部材2の各プッシュ操作部6〜9のプッシュ操作に応動する4方向に案内する案内部材として機能するものである。
【0026】
そして、図示しないライトコントロールスイッチの操作により、LED66〜68が発光すると、そのうち、LED66の発した光が、ライトガイド部材35の主体部35aから張出部35b〜35eを透過して操作部材2の透光標示部10〜13を照明する。
【0027】
ここで、ライトガイド部材35は、操作部材2の4つある透光標示部10〜13に対し共通のものとなっており、この関係上、主体部35aが操作部材2の中央部の裏側に位置している。これは、操作部材2の各プッシュ操作部6〜9を押し込んだときの操作荷重がプッシャ54〜57を介して各スイッチ要素にロスなく伝わるべく、各プッシュ操作部6〜9の操作方向先にそれぞれ各スイッチ要素を配置するためであり、且つ、その各位置を避けて各スイッチ要素を配置するスペースの余裕がないからでもあって、それらと干渉することのないようにライトガイド部材35を設ける必要からであり、従来と同様である。
【0028】
かかる事情下において、ライトガイド部材35は、本構成のものの場合、光を充分に透過する透明材から成っている。それでいて、このライトガイド部材35は、操作部材2の各透光標示部10〜13とは別体であり、従って、各透光標示部10〜13を、ライトガイド部材35の材質に関係なく半透明材から成るものに留めることができる。よって、透明材から成るライトガイド部材35で充分に透過させた光でもって、その各透光標示部10〜13を適度な輝度に光らすことができるものであり、従来考えられたもののような、照明不足、照明過多の問題を生じない。
【0029】
なお、本発明は、上述の車両、特には自動車のステアリングホイールに組み付けるクルーズコントロール及びラジオコントロール用のスイッチ装置に限られず、構成的に同様の事情を有するスイッチ装置一般として広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施例を示す、一部を破断した全体の正面図
【図2】全体の平面図
【図3】主要部分の分解斜視図
【図4】異なる主要部分の分解斜視図
【図5】更に異なる主要部分の分解斜視図
【符号の説明】
【0031】
2は操作部材、6〜9はプッシュ操作部、10〜13は透光標示部、35はライトガイド部材、35aは主体部、35b〜35eは張出部、53aはボデーの開口の周縁部(案内部材)、54〜57はプッシャ、66はLED(光源)、69〜72は固定コンタクト(スイッチ要素)、82〜85は隆起部(スイッチ要素)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲部にプッシュ操作部を有すると共に、そのプッシュ操作部に透光標示部を有する操作部材と、
この操作部材の中央部の裏側に位置する主体部から前記透光標示部の裏側に位置する張出部を延出させて有する、透明材から成るライトガイド部材と、
このライトガイド部材を前記操作部材のプッシュ操作部のプッシュ操作に応動する方向に案内する案内部材と、
前記ライトガイド部材の張出部の裏側に設けられ、前記操作部材のプッシュ操作部のプッシュ操作によって前記ライトガイド部材の張出部を介し押し込まれるプッシャと、
このプッシャによって押し込み操作されるスイッチ要素と、
前記ライトガイド部材の主体部の先方に設けられた光源とを具備し、
その光源の発する光を前記ライトガイド部材の主体部から張出部に透過させて前記操作部材の透光標示部を照明するようにしたことを特徴とするスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−112737(P2008−112737A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−327308(P2007−327308)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【分割の表示】特願2002−43613(P2002−43613)の分割
【原出願日】平成14年2月20日(2002.2.20)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】