説明

スイッチ装置

【課題】スイッチON状態の検出時に第1接点部の位置ずれを許容して第2接点部と第3接点部とを導通させることができ、スイッチON状態の検出を確実に行うことができるスイッチ装置を提供する。
【解決手段】第1接点部315を有し、プッシュ操作によってプッシュ方向に変位する操作キー3と、操作キー3のプッシュ方向への変位による第1接点部315の接触によって導通する第2接点部41と第3接点部42を有するベース部材4とを備え、ベース部材4は、第2接点部41及び第3接点部42が互いに並列して配置され、第2接点部41には第3接点部42に向かって突出する導電片410が、また第3接点部42には第2接点部41に向かって突出する導電片420がそれぞれ先端部をベース部材4内に埋没させて接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置に関し、特にプッシュ操作によってスイッチON(プッシュ操作)状態とするスイッチ操作部材(プッシュスイッチ部材)を備えたスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスイッチ装置として、例えば操作者によってプッシュスイッチ部材がプッシュ操作されたときにその操作状態を検出するものがある(特許文献1)。
【0003】
このスイッチ装置は、ケース内外に開口するキートップ挿通孔を有するケースと、ケースのキートップ挿通孔を進退可能に挿通するプッシュスイッチ部材としてのキートップを有する弾性変形可能なラバーシートと、ラバーシートにおけるキートップの第1接点部形成面に対応する第2接点部・第3接点部形成面を有するプリント基板とを備えている。
【0004】
ケースは、内部にラバーシートの一部及びプリント基板等を収容する空間が形成されている。
【0005】
ラバーシートは、キートップの第1接点部形成面に第1接点部が形成されている。そして、操作者によるキートップのプッシュ操作によって弾性変形し、第2接点部及び第3接点部に第1接点部を接触させてスイッチON状態とするように構成されている。また、ラバーシートは、操作者によるキートップのプッシュ操作解除によって弾性復帰し、第2接点部及び第3接点部のうち少なくとも一方の接点部から第1接点部を離間させてスイッチOFF状態とするように構成されている。
【0006】
プリント基板は、所定の間隔(1.5mm程度)をもって並列し、かつ第1接点部の接触によって導通する第2接点部と第3接点部(接点部の幅方向寸法:0.7mm程度)が第2接点部・第3接点部形成面に形成されている。
【0007】
以上の構成により、キートップがプッシュ操作されると、ラバーシートが弾性変形し、キートップをプッシュ方向に移動させる。このため、第1接点部がキートップの移動方向に変位して第2接点部と第3接点部とに接触し、これに伴い第2接点部と第3接点部とが導通してスイッチON状態が検出される。
【0008】
一方、キートップのプッシュ操作が解除されると、ラバーシートが弾性復帰し、キートップをプッシュ方向と反対の方向に移動させる。このため、第1接点部がキートップの移動方向に変位して第2接点部及び第3接点部のうち少なくとも一方の接点部から離間し、これに伴い第2接点部と第3接点部との導通を解除してスイッチOFF状態が検出される。
【特許文献1】特開平9−92073号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1のスイッチ装置によると、プッシュ操作時にキートップのプッシュ方向が第2接点部及び第3接点部の並列方向にずれると、第1接点部の変位方向もずれ、第1接点部が第2接点部又は第3接点部に接触しないことがある。これは、第2接点部と第3接点部との間における製造誤差に基づく高さ方向の寸法差(0.05mm)による導通不良の発生を防止する必要から、第2接点部と第3接点部との間の寸法(並列方向寸法)が比較的広い寸法(1.5mm)に設定されており、このため第1接点部の変位方向が第2接点部及び第3接点部の並列方向にずれると、それだけ第2接点部及び第3接点部のうちいずれか一方の接点部と第1接点部との接触不良が起こり易くなるからである。この結果、スイッチON状態の検出時に第2接点部と第3接点部とが導通せず、スイッチON状態の検出を確実に行うことができないという問題があった。
【0010】
従って、本発明の目的は、スイッチON状態の検出時に第1接点部の位置ずれを許容して第2接点部と第3接点部とを導通させることができ、もってスイッチON状態の検出を確実に行うことができるスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記目的を達成するために、第1接点部を有し、プッシュ操作によってプッシュ方向に変位するプッシュスイッチ部材と、前記プッシュスイッチ部材の前記プッシュ方向への変位による前記第1接点部の接触によって導通する第2接点部と第3接点部を有するベース部材とを備え、前記ベース部材は、前記第2接点部及び前記第3接点部が互いに並列して配置され、前記第2接点部及び前記第3接点部のうち少なくとも一方の接点部に他方の接点部に向かって突出する導電片がその先端部を前記ベース部材内に埋没させて接続されていることを特徴とするスイッチ装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、スイッチON状態の検出時に第1接点部の位置ずれを許容して第2接点部と第3接点部とを導通させることができ、スイッチON状態を確実に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の全体を説明するために示す断面図である。図2は、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の要部を説明するために示す平面図である。図3は、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の要部を拡大して示す断面図である。
【0014】
〔スイッチ装置の全体構成〕
図1において、符号1で示すスイッチ装置は、装置本体2と、プッシュスイッチ部材としての操作キー3と、操作キー3のプッシュ操作状態を検出するためのベース部材4とから大略構成されている。
【0015】
(装置本体2の構成)
装置本体2は、図1に示すように、下方に開口する凹部20、及びこの凹部20の内外に開口するキートップ挿通孔21を有し、全体が例えばPBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂等のプラスチック材料からなる箱体によって形成されている。
【0016】
(操作キー3の構成)
操作キー3は、図1に示すように、キートップ30及びラバーシート31からなり、装置本体2内に収容されている。
【0017】
キートップ30は、外部に露呈するプッシュ操作面300、及びラバーシート31(後述するスイッチ機能子311)にプッシュ操作力を伝達するプッシュ操作力伝達面301を有し、スイッチ機能子311上に載置され、かつ装置本体2の凹部20及びキートップ挿通孔21内に遊嵌されている。そして、プッシュ操作によってプッシュ方向に、またプッシュ操作解除によってプッシュ方向と反対の方向にそれぞれ変位するように構成されている。
【0018】
ラバーシート31は、シート本体310及びスイッチ機能子311を有し、キートップ30の下方に配置されている。そして、全体が例えばシリコーンなど軟質の絶縁性ゴムからなるプラスチック材料によって形成されている。
【0019】
シート本体310は、キートップ挿通孔21の軸線に沿って開口する平面円形状の貫通孔312を有し、ベース部材4のキートップ操作側面(上面)に配設されている。
【0020】
スイッチ機能子311は、プッシュ操作力伝達面301に対応するプッシュ操作力受面313を有し、シート本体310における貫通孔312の上側開口周縁にスカート状の連結部(薄肉部)314を介して一体に設けられている。そして、キートップ30のプッシュ操作による連結部314の弾性変形によってスイッチON状態となる位置に変位し、そのプッシュ操作解除による連結部314の弾性変形によってスイッチOFF状態となる位置(初期位置)に復帰するように構成されている。スイッチ機能子311の下方端面(プッシュ操作力受面313と反対側の面)には、導電性ゴムからなる第1接点部315が配設されている。
【0021】
(ベース部材4の構成)
ベース部材4は、図1に示すように、貫通孔312の軸線に沿って開口する平面円形状の凹部40を有し、操作キー3の下方に配置され、かつ装置本体2内に収容されている。そして、全体が例えば装置本体2の材料と同一のプラスチック材料(PBT樹脂等)によって形成されている。ベース部材4には、操作キー3(キートップ30)のプッシュ方向への変位による第1接点部315の接触によって導通する第2接点部41と第3接点部42がインサート成形によって取り付けられている。また、ベース部材4には、第2接点部41及び第3接点部42に接続するスイッチON・OFF状態の検出回路(図示せず)が形成されている。
【0022】
第2接点部41及び第3接点部42は、図2に示すように、それぞれが互いに所定の間隔(1.5mm程度)をもって並設され、全体が例えば銅(Cu)等の金属材料によって形成されている。
【0023】
第2接点部41は、一部を凹部40の開口面内に露出させてベース部材4内に埋設されている。第2接点部41の露出側部には、第3接点部42に向かって突出する導電片410がキートップ30と反対側に折曲した状態で接続されている。
【0024】
導電片410は、図3に示すように、基端部が凹部40の開口面内(第1接点部側)に露出し、先端部がベース部材4内に埋没する傾斜片によって形成されている。これにより、プッシュ操作時に第1接点部315の変位方向が第3接点部42に接近する側にずれても、導電片410を第3接点部42に接近する側で第1接点部315に接触させることができる。また、導電片410のキートップ側への反り変形を阻止することができる。
【0025】
第3接点部42は、第2接点部41と同様に、一部を凹部40の開口面内に露出させてベース部材4内に埋設されている。第3接点部42の露出側部には、第2接点部41に向かって突出する導電片420がキートップ30と反対側に折曲した状態で接続されている。
【0026】
導電片420は、導電片410と同様に、図3に示すように、基端部が凹部40の開口面内(第1接点部側)に露出し、先端部がベース部材4内に埋没する傾斜片によって形成されている。これにより、プッシュ操作時に第1接点部315の変位方向が第2接点部41に接近する側にずれても、導電片420を第2接点部41に接近する側で第1接点部315に接触させることができる。また、導電片420のキートップ側への反り変形を阻止することができる。
【0027】
導電片410,420は、図2に示すように、第2接点部41及び第3接点部42の並列方向と直角な方向に所定の間隔をもって互いに並列し、かつ第1接点部側に露出する各部位の突出方向寸法a,bを加算した寸法(a+b)が第2接点部41及び第3接点部42との間の寸法(並列方向寸法)cより大きい寸法(a+b>c)に設定されている。これにより、プッシュ操作時にキートップ30のプッシュ方向が第2接点部41及び第3接点部42の並列方向にずれても、その位置ずれを効果的に許容して図2に1点鎖線で示す第1接点部315を第2接点部41と導電片420とに、又は図2に2点鎖線で示す第1接点部315を第3接点部42と導電片410とに跨って接触させることができる。
【0028】
なお、第2接点部41及び第3接点部42の幅方向寸法は、導電片410,420に折り曲げ加工を施したことによる捩れ変形の発生を防止するために、可能な限り大きい寸法(0.7mmより大きい寸法)に設定されていることが望ましい。
【0029】
〔スイッチ装置1の動作〕
図4は、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の動作を説明するために示す断面図である。図4(a)はプッシュ操作状態を、図4(b)はプッシュ操作解除状態をそれぞれ示す。
【0030】
「プッシュ操作」
図4(a)に示すように、スイッチOFF状態においてキートップ30のプッシュ操作面300が操作者の手指によってプッシュ操作されると、キートップ30が下方(第2接点部41及び第3接点部42に接近する方向)に移動してスイッチ機能子311を押圧し、これに伴い連結部314が屈曲した状態に弾性変形し、スイッチ機能子311が下方に移動して第1接点部315が第2接点部41及び第3接点部42に跨って接触する。この際、キートップ30のプッシュ方向が第2接点部41及び第3接点部42の並列方向にずれ、第1接点部315の変位方向がずれても、第1接点部315が第2接点部41と導電片420とに、又は第3接点部42と導電片410とに跨って接触する。このため、第2接点部41と第3接点部42とが導通してスイッチON・OFF状態の検出回路がスイッチON状態を検出する。
【0031】
「プッシュ操作解除」
図4(b)に示すように、スイッチON状態においてキートップ30のプッシュ操作面300に対する操作者の手指によるプッシュ操作が解除されると、キートップ30によるスイッチ機能子311に対する押圧状態を解除し、これに伴い連結部314が伸張した状態(初期状態)に弾性変形(復帰)し、スイッチ機能子311が上方(第2接点部41及び第3接点部42から離間する方向)に移動して第1接点部315の第2接点部41及び第3接点部42に対する接触状態を解除する。このため、第2接点部41と第3接点部42との導通が解除され、スイッチON・OFF状態の検出回路がスイッチOFF状態を検出する。
【0032】
[実施の形態の効果]
以上説明した実施の形態によれば、次に示す効果が得られる。
【0033】
(1)プッシュ操作時にキートップ30のプッシュ方向が第2接点部41及び第3接点部42の並列方向にずれ、第1接点部315の変位方向がずれても、その位置ずれを許容して第1接点部315を第2接点部41と導電片420とに、又は第3接点部42と導電片410とに跨って接触させることができる。これにより、スイッチON状態の検出時に第2接点部41と第3接点部42とを導通させることができ、スイッチON状態の検出を確実に行うことができる。
【0034】
(2)導電片410,420が第1接点部側に露出する各部位の突出方向寸法a,bを加算した寸法(a+b)より第2接点部41と第3接点部42との間の寸法cより大きい寸法(a+b>c)に設定されているため、第2接点部41及び第3接点部42の並列方向に対するキートップ30によるプッシュ方向の位置ずれの許容範囲を広げることができる。
【0035】
以上、本発明のスイッチ装置を上記の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能であり、例えば次に示すような変形も可能である。
【0036】
(1)本実施の形態では、第3接点部42に向かって突出する導電片410が第2接点部41に、また第2接点部41に向かって突出する導電片420が第3接点部42にそれぞれ接続されている場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、第3接点部に向かって突出する導電片を第2接点部に、又は第2接点部に向かって突出する導電片を第3接点部に接続してもよい。すなわち要するに、本発明は、第2接点部及び第3接点部のうち少なくとも一方の接点部に他方の接点部に向かって突出する導電片がその先端部をベース部材内に埋没させて接続されていればよい。
【0037】
(2)本実施の形態では、単一の操作キー3を備えたスイッチ装置に適用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、複数の操作キーを備えたスイッチ装置にも適用可能である。この場合、例えばスイッチ装置のベース部材には複数の操作キーに対応して複数のスイッチ部(複数の第2接点部と複数の第3接点部)が配設される。
【0038】
(3)本実施の形態では、ベース部材4等がPBT樹脂等のプラスチック材料によって形成されている場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、他のプラスチック材料であってもよく、プラスチック材料以外の材料であっても何等差し支えない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の全体を説明するために示す断面図。
【図2】本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の要部を説明するために示す平面図。
【図3】本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の要部を拡大して示す断面図。
【図4】(a)及び(b)は、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の動作を説明するために示す断面図。
【符号の説明】
【0040】
1…スイッチ装置
2…装置本体、20…凹部、21…キートップ挿通孔
3…操作キー、30…キートップ、31…ラバーシート、300…プッシュ操作面、301…プッシュ操作力伝達面、310…シート本体、311…スイッチ機能子、312…貫通孔、313…プッシュ操作力受面、314…連結部、315…第1接点部
4…ベース部材、40…凹部、41…第2接点部、42…第3接点部、410,420…導電片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1接点部を有し、プッシュ操作によってプッシュ方向に変位するプッシュスイッチ部材と、
前記プッシュスイッチ部材の前記プッシュ方向への変位による前記第1接点部の接触によって導通する第2接点部と第3接点部を有するベース部材とを備え、
前記ベース部材は、前記第2接点部及び前記第3接点部が互いに並列して配置され、前記第2接点部及び前記第3接点部のうち少なくとも一方の接点部に他方の接点部に向かって突出する導電片がその先端部を前記ベース部材内に埋没させて接続されている
ことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記導電片は、前記第2接点部及び前記第3接点部にそれぞれ接続されている場合、第1接点部側に露出する各部位の突出方向寸法を加算した寸法が前記第2接点部と前記第3接点部との間の寸法より大きい寸法に設定されている請求項1に記載のスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−269805(P2008−269805A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−107174(P2007−107174)
【出願日】平成19年4月16日(2007.4.16)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】