説明

スイッチ装置

【課題】スライダのストロークを良好な位置範囲に規制しつつ、作動時に良好な節度感を発生させて、良好な操作フィーリングや信頼性を確保することが、実用上容易に実現できるスイッチ装置を提供する。
【解決手段】スライダ16が押圧操作方向に挿入されて所定方向にのみ移動可能に第1ケース11内に組み付けられ、スライダ16のストロークを規制するストッパ部17bは、第1ケース11の下方から第1ケース11に装着されてスライダ16の下面側に配置される下部プレート17に形成され、スライダ16等を第1ケース11に組付けた状態で、この下部プレート17のみを着脱可能な構成であり、さらに作動時に節度感を発生させる節度感発生機構21が、下部プレート17とスライダ16の間に設けられた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両のエンジン始動用として好適なスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、四輪自動車などの車両においては、キーをキーシリンダに差し込んで回すという従来の操作ではなく、いわゆるイモビライザなどの認証システムの装備を前提として、適正な電子キーを携帯したユーザが運転席に設けられたエンジン始動用スイッチ装置の押ボタンを押すだけでエンジンが始動する車種が普及しつつある。
なお、上述したようなエンジン始動用スイッチ装置について開示した特許文献は見当たらないが、これに類するスイッチ装置として、特許文献1や特許文献2に見られるものがある。
【0003】
このうち特許文献1には、押ボタンが動く前後方向の奥側に二つのマイクロスイッチ(モジュールタイプのスイッチ本体)を上下に並べて設け、押ボタンの裏側に二股状に突出するように形成した一対の押圧部によって各マイクロスイッチの押圧操作部(出没するように進退移動可能で押し込まれるとスイッチ内部の接点がオン又はオフする部分)を押し込んで各マイクロスイッチを作動させる構造のスイッチ装置が開示されている。この特許文献1のスイッチ装置では、ケース5の前面側の壁(前面パネル5a)が、押ボタン14のバネ復帰方向への動きを規制するストッパとして機能しており、二股状の押圧部15a,15bを含む押ボタン14は、ケース5の側面の開口から横方向に移動させるようにしてケース5内に装着される。
また特許文献2には、ガイド金具にスライド可能に保持されたロッド棒と、ガイド金具におけるロッド棒の下方に固定されたスイッチ部(モジュールタイプのスイッチ本体)と、一端がスイッチ部に回動可能に保持されて他端がロッド棒の一側面に接するレバー(上下に揺動することによってスイッチ部内の接点をオン又はオフさせるもの)と、よりなるスイッチ装置が開示されている。この特許文献2のスイッチ装置では、非操作状態では、レバーの他端に取り付けられたローラがロッド棒の一側面に形成された切り欠き内に位置して前記スイッチ部の接点がオフとなり、ロッド棒が扉などによって操作状態に押されると、前記ローラが前記切り欠きの傾斜に押し下げられつつ当該切り欠きの外に移動してレバーが下方に揺動し前記スイッチ部の接点がオンとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−262871号公報
【特許文献2】特開平8−138483公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述したエンジン始動用スイッチ装置のようなスイッチ装置は、スイッチとしての信頼性や高級感が高く要求される。このため、このようなスイッチ装置は、内部にゴミや異物が侵入しないように周囲を覆うケースを設ける必要があるとともに、スイッチ本体を作動させるスライダ(押ボタンと一体に移動する部分)が確実かつ滑らかに所定方向にのみ移動可能にケース内に装着される必要がある。
また前記スイッチ装置としては、ユーザが押ボタンを押してエンジンを始動させる際の操作フィーリングが良好である必要があり、そのためには、押ボタン及びスライダのストローク(移動距離)を良好な位置範囲に規制しつつ、作動時に良好な節度感を発生させる必要がある。
ここで、「節度感」とは、いわゆるクリック感のことであり、押ボタンを押圧操作するのに必要な操作力が、特定の操作位置(ピーク位置)において増加して操作力のピークが形成され、その後、所定のエンド位置まで操作力が減少することにより、押ボタンを押圧操作するユーザに与えられる手ごたえ感であり、操作が実行されたことをユーザに実感させるとともに、押ボタンの操作時の動作を安定させ、これによって操作の確実性を担保するためのものである。
【0006】
ところが、特許文献1,2に示されたような従来のスイッチ装置の技術思想のみでは、上述した要求を実用的に満足させることができなかった。
というのは、特許文献2には、周囲を覆うケースや押ボタンの復帰方向のストロークを規制するストッパに関する記載が見当たらない。
また、特許文献1のスイッチ装置は、ケース5を有するものの、押ボタン14及びこれと一体のスライダ(フランジ部13や押圧部15a,15b)を、押ボタンを押圧操作する前後方向に沿って挿入して装着するのではなく、ケース5の側面の開口から横方向(押ボタンを押圧操作する前後方向と略直交する方向)に移動させつつケース5内に挿入して装着する構成である。
このため、特許文献1のスイッチ装置は、スライダとケースとの間に十分な長さの案内機構(例えば、直線移動を案内するレールのような機構)を設けることができず、スライダが確実かつ滑らかに所定方向にのみ移動可能にケース内に装着された構成とすることができない。特許文献1のスイッチ装置は、スライダとケース5との間に相当なガタ(隙間による動きの自由度)があるために、スライダがガイド板11に対してずれて操作不良になるのを防止しようとして、フランジ部13に段差部13aを形成し、その分だけガイド板11を僅かに長くしている。しかし、ガイド板11をあまりに長くすると、ガイド板11との干渉によって押ボタンやスライダを横方向から組み付けることが困難になるため、このような段差部13aを設けたとしても、ガイド板11を長くできるのはごく僅かであり、非操作状態においてスライダ(押圧部15a,15b)がガイド板11に係合している長さはほとんどゼロである(特許文献1の図2参照)。したがって、特許文献1のスイッチ装置では、スライダの円滑な動作は期待できないばかりか、操作不良を起こす可能性を十分に低減できていない。例えば、押圧部15a,15bがガイド板11にひっかかって押ボタン14を押し込めないという操作不良が起きる恐れがある。
【0007】
また特許文献1のスイッチ装置は、ケース5の前面側の壁(前面パネル5a)が、スライダの復帰方向(図2における左方)への動きを規制するストッパとして機能する構成である。いいかえると、スライダの非操作位置(押ボタン14が押されていないニュートラル状態での位置)は、ケース5の前面パネル5aにフランジ部13が当接した位置となる。一方、作動時(押ボタン14が押されてスイッチが作動する時)に、スライダが最も押し込まれる位置は、押圧部15a,15bがマイクロスイッチ12の押圧操作部を最も押し込んだ位置であり、マイクロスイッチ12自体が、スライダの作動方向(図2における右方)への動きを規制するストッパとして機能する構成である。
このため、スライダのストロークを最適な位置範囲に調整しようとする場合(例えばスライダの非操作位置をマイクロスイッチ12の取付位置に対して微調整しようとする場合)、ケース5の全体を設計変更したりケース5の全体を部品交換したりする必要があり、実用上極めて不便である。
【0008】
また、特許文献1,2には何れも節度感発生機構についての記載が見当たらないが、仮に特許文献1のようなスイッチ装置において節度感発生機構を設けるとした場合、ケース5の内面とスライダを構成するフランジ部13の外周との間に設けることが考えられる。例えば、フランジ部13の外周に装着された節度感用バネ及び節度感用ボールと、ケース5の内面に形成されたボール接触部とよりなり、前記節度感用ボールが前記節度感用バネの付勢力によって常に前記ボール接触部の表面に押し付けられて圧接し、前記ボール接触部の表面は山形状に隆起した形状となっており、スライダが非操作位置にあるニュートラル状態では、前記節度感用ボールは前記ボール接触部の表面における最も隆起した頂上位置よりも若干前方位置に圧接し、スライダが非操作位置から作動方向に移動する作動時には、前記ボール接触部の頂上位置を前記節度感用ボールが節度感用バネを押し縮めつつ乗り越える構成とされることによって、節度感を生じさせる節度感発生機構を設けることが考えられる。
しかしこの場合には、次のような不利がある。即ち、節度感の特性を微調整しようとして、ボール接触部の山形状部分の形状や位置や大きさを変更しようとした場合、やはり、ケース5の全体を設計変更したりケース5の全体を部品交換したりする必要があり、実用上極めて不便である。また、ケース5の本来の目的は各部品を収納することであり、ケース5の材質は、その本来の目的にあった必要最小限の性能を備えていることを前提として、なるべく安価なものに特化すべきである。しかし、上述したようにケース5の一部分が節度感発生機構のボール接触部として機能する構成であると、ケース5の材質はボール接触部として要求される異質の性能(例えば、高い耐磨耗性)をも満足する必要が生じて、ケース5の全体に本来の目的以上に高価な材質を使用しなければならないといった不利もある。
そこで本発明は、スライダのストロークを良好な位置範囲に規制しつつ、作動時に良好な節度感を発生させて、良好な操作フィーリングや信頼性を確保することが、実用上容易に実現できるスイッチ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願のスイッチ装置は、進退移動可能で前進方向に付勢された押圧操作部を有するとともに、この押圧操作部の進退移動によってオンオフ状態が切り替わるスイッチ接点を有するスイッチ本体と、
前記押圧操作部を進退移動させるために所定方向に移動可能とされるスライダと、
このスライダを非操作位置に向かう復帰方向に付勢する付勢部材と、
前記スイッチ本体、前記付勢部材、及び前記スライダが内側に組み付けられるケースであり、前記スライダが前記所定方向に沿って前記復帰方向と反対の押圧操作方向に挿入されて前記所定方向にのみ移動可能に組み付けられるケースと、
前記スライダに一体に設けられる押ボタンと、
前記ケースに固定状態に設けられ、前記スライダが少なくとも非操作位置にあるときに前記スライダに係合して、少なくとも前記スライダが非操作位置を超えてさらに復帰方向に移動するのを阻止するストッパと、
前記押ボタンが前記押圧操作方向に押されて前記スライダが非操作位置から所定の作動位置を越えて移動する作動時に、節度感を発生させる節度感発生機構と、を備え、
前記作動時に、前記スライダが前記スイッチ本体の押圧操作部に接触して当該押圧操作部を進退移動させ前記スイッチ接点のオンオフ状態が切り替わるスイッチ装置であって、
前記ストッパは、前記ケースの外側から前記ケースに装着されて前記スライダの一面側に配置されるプレートに形成され、前記付勢部材とスライダを前記ケースに組付けた状態で、このプレートのみを着脱可能な構成であり、さらに前記節度感発生機構が、前記プレートと前記スライダの間に設けられている。
【0010】
このため、本願のスイッチ装置では、次のような作用効果が得られる。
即ち、ケースによって内部にゴミや異物が侵入することを防止できる。
また、スライダが所定方向(組み付け後のスライダの移動方向)に沿って押圧操作方向に挿入されてケースに組み付けられる構成であるため、スライダとケースとの間に十分な長さの案内機構(例えば、スライダの直線移動を案内するレールのような機構)を設けても干渉を生じることなくスライダを装着することができ、そのような案内機構を設けることによって、スライダが確実かつ滑らかに所定方向にのみ移動可能にケース内に装着された状態とすることができる。
また、ストッパがケースとは別部品であるプレートに形成されており、付勢部材とスライダをケースに組付けた状態でプレートのみを着脱可能な構成であるため、スライダのストロークを最適な位置範囲に調整しようとする場合(例えばスライダの非操作位置を微調整しようとする場合)、ケースの全体を設計変更したり、装置全体を分解してケース全体を部品交換したりする必要が無く、ストッパが形成されたプレートのみを設計変更したりこのプレートのみを外して部品交換したりすればよいため、実用上極めて有利である。
また、節度感発生機構が、プレートとスライダの間に設けられているため、節度感の特性を微調整しようとして、節度感発生機構の仕様(例えば、後述するボール接触部の山形状部分の形状や位置や大きさ)を変更しようとした場合、やはり、プレートのみを設計変更したりプレートのみを外して部品交換したりすればよいため、実用上極めて便利である。
また、ケースとは別の部品であるプレートによってストッパや節度感発生機構が構成されるため、ケースの材質は、その本来の目的にあった材質に特化することができる。一方で、プレートの材質は、ストッパや節度感発生機構を構成する部材として好適な材質に特化することができる。
したがって本願発明のスイッチ装置であると、スライダのストロークを良好な位置範囲に規制しつつ、作動時に良好な節度感を発生させて、良好な操作フィーリングや信頼性を確保することが、実用上容易に実現できる。
【0011】
なお、本願のスイッチ装置におけるストッパとしては、具体的には例えば次のような態様があり得る。即ち、ストッパは、前記プレートから突出して前記スライダに形成されたストッパ用開口内に挿入される突起状のストッパ部によって構成され、前記スライダが少なくとも非操作位置にあるときには、前記ストッパ部が前記ストッパ用開口の内端面に当接することによって、前記ストッパが前記スライダに係合し、前記スライダが非操作位置を超えてさらに復帰方向に移動するのを阻止するものである。このような態様であると、確実にスライダの移動を規制できる。なお、後述する仮止め用係合部のようなケースの一部として設けられた部分をストッパとして機能させることは原理的には可能である。しかし、この仮止め用係合部のような係合部は、前述した所定方向でのスライダの装着を可能とするために、係合部分の大きさを十分大きく確保できない。このため、繰り返しの使用による磨耗によって係合部分が磨り減ってしまい、係合不良が生じる恐れがあり、実用的にはストッパとして使用できない。しかし、上述したようにプレートから突出して前記スライダに形成されたストッパ用開口内に挿入される突起状のストッパ部であれば、係合部分の大きさを十分大きく確保できるので、このような不具合の恐れはなく、信頼性高くスライダの移動を規制できる。
【0012】
また、本願のスイッチ装置における節度感発生機構としては、具体的には例えば次のような態様があり得る。即ち、節度感発生機構が、前記スライダに装着された節度感用バネ及び節度感用ボールと、前記プレートに形成されたボール接触部とよりなり、前記節度感用ボールが前記節度感用バネの付勢力によって常に前記ボール接触部の表面に押し付けられて圧接し、前記ボール接触部の表面は山形状に隆起した形状となっており、スライダが非操作位置にあるニュートラル状態では、前記節度感用ボールは前記ボール接触部の表面における最も隆起した頂上位置よりも前方位置に圧接し、スライダが非操作位置から所定の作動位置を越えて移動する作動時には、前記ボール接触部の頂上位置を前記節度感用ボールが節度感用バネを押し縮めつつ乗り越える構成とされることによって、節度感を生じさせるものである。このような態様であると、プレートのボール接触部の山形状部分の形状や位置や大きさを変更することによって、節度感の特性を容易に調整できる。
【0013】
また、本願のスイッチ装置の好ましい態様は、前記付勢部材と前記スライダが前記ケースに組み付けられているが、前記プレートが前記ケースに装着されていない組立途中の状態で、前記スライダが前記付勢部材の付勢力によって前記ケースから離脱しないように、前記スライダに係合して当該スライダが前記復帰方向に移動するのを阻止する仮止め用係合部が、前記ケースに形成されており、この仮止め用係合部は、前記スライダを前記ケースへ組み付ける際には弾力的に変形して前記スライダに係合せず、前記スライダの前記ケースへの組み付けを可能とするものである。この態様であると、スライダを装着した後、プレート(即ちストッパ)を装着するまでの間、スライダがケースから飛び出さないように、スライダを付勢部材の付勢力に抗して押さえておく必要がなくなり、組立作業が楽になる。
また、本願のスイッチ装置の好ましい別の態様は、前記スライダの他面側には、前記所定方向に沿って配設され前記ケース内に固定される回路基板を有し、この回路基板に前記スイッチ本体が実装されているものである。この場合、スイッチ本体を実装する回路基板が前記所定方向に沿っているため、押ボタンの押圧操作方向(即ち、スライダが移動する所定方向)に直交する幅方向での小型化が可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本願のスイッチ装置によれば、スライダのストロークを良好な位置範囲に規制しつつ、作動時に良好な節度感を発生させて、良好な操作フィーリングや信頼性を確保することが、実用上容易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)はスイッチ装置の正面図、(b)は水平断面図((a)におけるA−A断面図)である。
【図2】(a)はスイッチ装置の水平断面図(図1(a)におけるB−B断面図)、(b)は部分側断面図(図1(a)におけるE断面図)である。
【図3】スイッチ装置の側断面図(図1(a)におけるC−C断面図)であり、ニュートラル状態(非操作状態)を示す図である。
【図4】スイッチ装置の側断面図(図1(a)におけるC−C断面図)であり、フルストローク状態を示す図である。
【図5】スイッチ装置の側断面図(図1(a)におけるD−D断面図)である。
【図6】下部プレートを示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【図7】第2ケースを取り外した状態のスイッチ装置の下面図であり、(a)は下部プレートを装着した状態、(b)は下部プレートを外した状態を示す。
【図8】(a),(b)は他の形態例の構成や動作を示す図であり、(c)はスイッチ本体の接点構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0016】
以下、本発明の実施例1を図面に基づいて説明する。
図1〜7は、本例のスイッチ装置10の構造や部品を説明するための図である。このうち、図1(a)は正面図、図1(b)は水平断面図(図1(a)におけるA−A断面図)である。図2(a)は水平断面図(図1(a)におけるB−B断面図)である。図2(b)は部分側断面図(図1(a)におけるE断面図)である。図3,4は側断面図(図1(a)におけるC−C断面図)であり、図3はニュートラル状態(非操作状態)を示し、図4はフルストローク状態(押ボタンが最大限押された操作状態)を示す。図5は側断面図(図1(a)におけるD−D断面図)である。図6は後述する下部プレート17を示す図であり、図6(a)は上面図、図6(b)は側面図である。また、図7は後述する第2ケース12を取り外した状態のスイッチ装置10の下面図であり、図7(a)は下部プレート17を装着した状態、図7(b)は下部プレート17を外した状態を示す。
なお以下では、図1(a)において紙面に直交する方向を前後方向といい、図1(a)における左右方向を左右方向といい、図1(a)における上下方向を上下方向という。このため、例えば図1(b)における上下方向は、前後方向となる。また以下では、図1(b)における下方を前方といい、図1(b)における左方を左方という。
【0017】
スイッチ装置10は、図5に示すように、全体として前後方向に細長いもので、第1ケース11、第2ケース12、押ボタン13、前部構成部材14、前面外周部材15、スライダ16、下部プレート17、リターンバネ18、節度感用バネ19、節度感用ボール20、コネクタ31、コイルアンテナ32、回路基板40、及びスイッチ本体41,42を備える。ここで、節度感用バネ19や節度感用ボール20は、節度感発生機構21を構成している。
なお、図1(b)において符号Pで示すのは、スイッチ装置10が取り付けられる車両の運転席のパネルの壁である。スイッチ装置10は、図1(b)に示すように、押ボタン13等の正面側のみを前面に露出させた状態で、ほぼ全体がパネルの壁Pの内側に配置される。
【0018】
第1ケース11は、合成樹脂の成形品であって、スイッチ装置10の下面と側面の下約半分(主に回路基板40の高さより下側の部分)とを覆う部材であり、上面が開口している。この第1ケース11の前端には、前面外周部材15を装着するためのフランジ(鍔状部)の下半分11aが形成されている。また第1ケース11の前側下面には、スイッチ装置10を車両の運転席パネルに取り付けるための係止片11bが前方に伸びるように形成されている。また第1ケース11の前側底部であって、係止片11bの左右両側位置には、排水口11c(図3に示す)が合計2箇所設けられている。また第1ケース11の中央底部には、下部プレート17のボール接触部17aを下方から装着し内側(上方)に露出させるための開口11dが形成されている。また第1ケース11の後側底部の左右両側には、下部プレート17のストッパ部17bを下方から内側(上方)に向けて貫通状態に装着するための開口11e(図3に示す)が左右に合計2箇所形成されている。また第1ケース11の後側底面上には、コネクタ31の前端面が接合する仕切壁11fが上方に伸びるように形成されている。また、この仕切壁11fの下部前面には、図5に示すように、リターンバネ18の後端に挿入されてリターンバネ18の後端を位置決めて保持する突起11gが形成されている。また第1ケース11の外周の所定位置(係止片11bの付け根の後側の位置)には、第2ケース12の前端面下部を接合するための段部11hが形成されている。
【0019】
また第1ケース11は、付勢部材であるリターンバネ18とスライダ16が内側に組み付けられるケースであり、スライダ16との間には、スライダ16を前後移動のみ可能に滑らかに案内する十分な長さの案内機構が設けられている。本例では、図1(b)に示すように、スライダ16の後述する板状部16bの左右両側の側面には、前後方向のガイド溝16mが板状部16bのほぼ全長に渡って形成されている。そしてこれに対して、この板状部16bの側面に対向する第1ケース11の内側面には、このガイド溝16m内に摺動可能にはまり込むガイド突起11tが前後2箇所の位置に設けられ、このガイド突起11tとガイド溝16mとが上記案内機構を構成している。また図示省略しているが、スライダ16の下面と第1ケース11の底面との間にも、同様の案内機構が設けられている。 また図2(b)に示すように、第1ケース11の底部における比較的前方右側位置には、仮止め用係合突起11kが形成されている。仮止め用係合突起11kは、下部プレート17が第1ケース11に装着されていない状態で、スライダ16がリターンバネ18の付勢力によって第1ケース11から飛び出して離脱しないように、スライダ16の後述する仮止め用係合突起16kに係合して当該スライダ16が復帰方向(この場合、前方)に移動するのを阻止するものである。
【0020】
第2ケース12は、合成樹脂の成形品であって、スイッチ装置10の正面等を除くほぼ全面を覆う部材である。また、第1ケース11の段部11hよりも前側の部分の下半分を除いて、第2ケース12は第1ケース11の外面全体を覆うように装着される。この第2ケース12は、図示省略した係止部によって第1ケース11に対して取り付けられ、第1ケース11と一体化されている。この第2ケース12の前端には、図5に示すように、前面外周部材15を装着するためのフランジの上半分12aが形成されている。また第2ケース12の前側上面には、スイッチ装置10を車両の運転席パネルに取り付けるための係止片12b(前述の係止片11bと対を為すもの)が前方に伸びるように形成されている。また第2ケース12の後端の壁には、コネクタ31の後部を後方に突出させる開口12cが形成されている。なお図5に示すように、この第2ケース12は、組み付け状態において下部プレート17の下面側を僅かな隙間で覆うように設けられるため、この第2ケース12を取り外さないと下部プレート17を外すことができず、下部プレート17の脱落を防止する機能も発揮する。
【0021】
押ボタン13は、合成樹脂の成形品であって、前面壁13aの後側に内筒部13bと外筒部13cとが形成されたキャップ状のものであり、前部構成部材14の内側に配置されてスライダ16の先端に取り付けられ、スライダ16と一体に前後動するものである。この押ボタン13の前面壁13aは、ここをユーザ(例えば車両の運転者)が指で押せるように、図5や図1(a)等に示すように、スイッチ装置10の正面中央に臨ませて配置され、ここには、エンジン始動用(及び停止用)のボタンであることを明示する文字が前面に形成されている。
【0022】
前部構成部材14は、合成樹脂の成形品であって、押ボタン13の外周に沿って押ボタン13の外筒部13cに同心円状に配置される外筒部14aと、この外筒部14aの前端外周から径方向外側に鍔状(つばじょう)に伸びるように形成された前壁部14bと、外筒部14aの後端側外周から径方向に鍔状に伸びるように形成された後壁部14cと、外筒部14aの後端から断面コ字状に内側に伸びるように形成された内筒部14dとを有する。この前部構成部材14は、図示省略した係止部によって第1ケース11に対して取り付けられ、第1ケース11と一体化されている。
なお、押ボタン13の内筒部13b及び外筒部13cと、前部構成部材14の外筒部14a及び内筒部14dとは、前後方向の一つの中心線に対して全て同心円状に配置される。そして、この中心線に対する径方向において、押ボタン13の内筒部13bは前部構成部材14の内筒部14dよりも内側に位置しており、押ボタン13の外筒部13cは前部構成部材14の外筒部14aと内筒部14dの間に位置しており、押ボタン13が前部構成部材14に対して前後に摺動可能となっている。
【0023】
また前部構成部材14の内筒部14dの後端の左右両側部には、後方に突出するようにコイル端子支持部14e(図2(a)に示す)が形成されている。このコイル端子支持部14eには、インサート成形によって金属製のコイル端子33が固定支持されている。コイル端子33は、一端がコイル端子支持部14eから上方に伸びて回路基板40に接続され、他端がコイル端子支持部14eから後方に伸びてコイルアンテナ32に接続されるもので、側面から見ると全体としてL字形のものである。なお、コイルアンテナ32を構成するコイルの線は、前部構成部材14の外筒部14aの外周(前壁部14bと後壁部14cの間)に巻きつけられている。また、コイルアンテナ32を構成するコイルの線の各線端(図示省略)は、前部構成部材14の後端両側部に形成されたコイル線導出溝14f(図2(a)に半線で示す)をそれぞれ経由して、左右両側のコイル端子33の他端にそれぞれ絡げて接続されている。なお、コイル端子33の一端(上端)は、回路基板40の所定のスルーホールに挿入されて半田付けされることによって、回路基板40の所定の回路導体に接続されている。
【0024】
また前部構成部材14の後端下部には、図3及び図5に示すように、押ボタン13の外筒部13cと前部構成部材14の外筒部14aの隙間から侵入した水を後端下方に排水するための略上下方向の排水路14gが形成されている。この排水路14gは、後壁部14cの下端部や、内筒部14dの後端下部から下方に伸びる排水路後壁部14hや、後壁部14cの下端両側から後方に延びる排水路側壁部(図示省略)によって、前後左右の全体を囲まれており、コイルアンテナ32のある領域(前壁部14bと後壁部14cの間)とは隔絶されている。そして図3に示すように、この排水路14gの上端側は、外筒部14aと内筒部14dの後端側連結部分を貫通するように形成され、外筒部14aと内筒部14dの間の空間の下部に連通しており、ここに侵入した水が排水路14gに流れ落ちるようになっている。また図3に示すように、排水路14gの下端側は、第1ケース11の下部に二つ並んで形成された排水口11c(図7参照)に連通しており、排水路14gに流れ落ちた水はこれら排水口11cの何れか一方から装置下方に落下して排水される構成となっている。
【0025】
前面外周部材15は、合成樹脂の成形品であって、スイッチ装置10の正面外周を飾るリング状の部材であり、前部構成部材14の前壁部14bの外周部と、第1ケース11と第2ケース12の前端外周に形成されたフランジ11a,12aの前面及び外周面を覆うように装着される。この前面外周部材15は、図示省略した後方に伸びる係止片によって前部構成部材14の後壁部14cの外周に対して取り付けられ、前部構成部材14と一体化されている。
【0026】
スライダ16は、合成樹脂の成形品であって、押ボタン13の内筒部13b内にその前端部が装着される筒状部16aと、この筒状部16aの後端下部から後方に伸びるように形成された板状部16bとを有する。このスライダ16の板状部16bは、図1(b)に示すように上面から見ると全体として長方形状の外形であり、第1ケース11内の底面上に装着されて第1ケース11に対して前後方向に摺動可能とされている。
このスライダ16の板状部16bの後端部の左右両側には、下部プレート17のストッパ部17bの上端部が挿入されるストッパ用開口16cが上下に貫通状態に形成されている。スイッチ装置10の組立状態において、スライダ16やこれと一体の押ボタン13の前後動の移動範囲は、このストッパ用開口16cの前後両内端面とストッパ部17bの上端部との当接によって所定範囲に規制されている。所定範囲とは、図3に示すニュートラル状態(非操作状態)の位置から、図4に示すフルストローク状態の位置までの範囲である。
【0027】
また、板状部16bの上面における左側の位置(左側のストッパ用開口16cの前方位置)には、スライダ16が移動する所定方向(この場合、前後方向)に対して傾斜し後述する押圧操作部41a,42aに接触可能な傾斜面35,36が形成されている(図3参照)。傾斜面35,36は前後に並んで形成され、前側の傾斜面35が前側のスイッチ本体41の押圧操作部41aに接触し、後側の傾斜面36が後側のスイッチ本体42の押圧操作部42bに接触する構成となっている。ここで、傾斜面35は、後方に向かって下り傾斜しており、スイッチ装置10の作動時に押圧操作部41aを後退させる向きに傾斜した正方向傾斜面である。一方、傾斜面36は、後方に向かって上り傾斜しており、スイッチ装置10の作動時に押圧操作部42aを前進させる向きに傾斜した逆方向傾斜面である。
【0028】
また、図1(b)及び図5に示すように、スライダ16の板状部16bの後端部における左右方向中央位置の下面側には、リターンバネ18を配置する凹室16dが形成されている。この凹室16dの前方の内端面には、後方に突出する突起16e(図5に示す、図1等では省略)が形成されている。リターンバネ18の先端部は、この突起16eの外周に装着されることによって、位置決めされ保持されている。
また、図5に示すように、スライダ16の板状部16bの比較的前側における左右方向中央位置には、上方に突出するボス部16fが形成されている。このボス部16f内には、下面側に開口する円柱状凹室16gが形成され、図5に示すように、この円柱状凹室16g内に節度感用バネ19と節度感用ボール20が順に装填されている。
【0029】
また既述したように、スライダ16の板状部16bの左右両側の側面には、ガイド溝16mが板状部16bのほぼ全長に渡って形成され(図1(b)参照)、第1ケース11の内側面には、このガイド溝16m内に摺動可能にはまり込むガイド突起11tが前後2箇所の位置に設けられ、このガイド突起11tとガイド溝16mとが案内機構を構成している。また図示省略しているが、スライダ16の下面と第1ケース11の底面との間にも、同様の案内機構が設けられている。ここで、ガイド溝16mは、スライダ16が装着できるように、後端が後方に開口しているのはいうまでもない。
そしてスライダ16は、リターンバネ18を装着した後、第1ケース11の前方(図5における左方)から、各ガイド溝16mに対応するガイド突起11tをはめ込みつつ、リターンバネ18の付勢力に抗して押圧操作方向(図5において右方)に挿入されて第1ケース11内に装着され、第1ケース11内に前後方向にのみ移動可能に組み付けられる。なお、上述したような長いレール状の案内機構が設けられているために、スライダ10はこのような組み付け構造(前方から移動方向に沿って挿入する構造)を採用せざるを得ないし、逆に、このような組み付け構造を採用することによって、上述したような案内機構を設けることができる。
【0030】
なおスライダ16は、下部プレート17のストッパ部17bとの干渉を避けるために、下部プレート17を第1ケース11に装着する前に、上述したような組み付け構造で第1ケース11に装着される。
また図2(b)に示すように、スライダ16の板状部16bの下面における比較的前方右側位置には、仮止め用係合突起16kが形成されている。この仮止め用係合突起16kは、既述したように、下部プレート17が第1ケース11に装着されていない状態で、スライダ16がリターンバネ18の付勢力によって第1ケース11から飛び出して離脱しないように、第1ケース11の仮止め用係合突起11kに係合して当該スライダ16が復帰方向(この場合、前方)に移動するのを阻止するものである。
【0031】
但し、この仮止め用係合突起11kと仮止め用係合突起16kは、スライダ16を第1ケース11へ組み付ける際には弾力的に変形して互いに係合せず、スライダ16の前述した組付けを可能とするものである。そのため、これら仮止め用係合突起11kと仮止め用係合突起16kは、スライダ16の組み付け時に互いに接触する面が図2(b)に示すような傾斜面となっていて、スライダ16の組み付け時に若干の変形(各突起自体の変形と周辺部の撓みとを含む)を伴いつつ相互に乗り越えることができる小さな突起となっている。即ち、これら仮止め用係合突起11kと仮止め用係合突起16kは、スライダ16を前方から後方に移動させて第1ケース11内に組み付ける動作は許容するが、スライダ16をいったん組み付けてしまうと、スライダ16がリターンバネ18の付勢力で前方に飛び出して第1ケース11から離脱してしまうのを阻止する機能を持っている。
なお、スライダ16を上述したように組み付けた状態(下部プレート17は未装着の状態)で、これら仮止め用係合突起11kと仮止め用係合突起16kが係合するスライダ16の仮止め停止位置は、ストッパ部17bとストッパ用開口16cの係合で決まる最終組立後(下部プレート17を装着した状態)の非操作位置とは異なり、この非操作位置よりも所定の余裕分だけ前方位置となっている。
【0032】
下部プレート17は、合成樹脂の成形品であって、図5及び図7に示すように第1ケース11の下面に下方から装着されて、第1ケース11と一体化される部材である。この下部プレート17は、リターンバネ18とスライダ16を第1ケース11に組み付けた状態(但し、第2ケース12は取り外した状態)で、この下部プレート17のみを第1ケース11に対して着脱可能な構成である。また、この下部プレート17は、上面から見ると、図6(a)に示すように、左右方向の中央部が前方に細長く伸び、後端部が左右に伸びた、全体として略T字形の外形のものである。この下部プレート17の前方に伸びた前端部の上面側は、前述した第1ケース11の開口11dにはめ込まれ、上面が節度感用ボール20に接触するボール接触部17aを構成している。また下部プレート17の後端部の左右両端には、図3及び図6に示すように、前述した第1ケース11の開口11eにはめ込まれるストッパ部17bが左右に合計2箇所形成されている。
【0033】
ここで、ストッパ部17bは、本願発明のストッパを構成するものであり、下部プレート17の後端部の左右両端から上方に突出して、スライダ16に形成された前述のストッパ用開口16c内に挿入される突起状のものである。スライダ16が非操作位置にあるときには、このストッパ部17bがストッパ用開口16cの後側の内端面に当接することによって、ストッパ部17bがスライダ16に係合し、スライダ16が非操作位置を超えてさらに復帰方向(この場合、前方)に移動するのを阻止する。なお本例では、ストッパ部17bは、スライダ16の押圧操作方向(この場合、後方)へのストロークも規制している。即ち、押ボタン13が押し込まれてスライダ16が後方へフルストローク移動したフルストローク状態では、図4に示すように、ストッパ部17bがストッパ用開口16cの前側の内端面に当接することによって、ストッパ部17bがスライダ16に係合し、スライダ16がフルストローク状態の位置を超えてさらに押圧操作方向(この場合、後方)に移動するのを阻止する構成となっている。但し、この後方側のストローク規制については、ストッパ部17bとは別の部分で行われる態様でもよい。例えば、スライダ16の後端面が仕切壁11fの前面に当接することによって、スライダ16の後方側のストローク規制が行われる態様でもよい。本例の場合には、スライダ16の後端面が仕切壁11fに当接するよりも前に、ストッパ部17bがストッパ用開口16cの前側の内端面に当接する構成とされ、この当接によってスライダ16の後方側のストローク規制が行われる。このため、フルストローク状態の位置調整も、下部プレート17の変更(設計変更又は部品交換)によって容易に可能となる。
【0034】
リターンバネ18は、既述したようにスライダ16の後部と第1ケース11の仕切壁11fとの間に装着されるコイルバネであり、スライダ16を非操作位置に向かって(この場合、前方に)付勢する付勢部材として機能する。
【0035】
節度感発生機構21は、前述した節度感用バネ19と節度感用ボール20とボール接触部17aとよりなる。節度感用ボール20は、節度感用バネ19の付勢力によって常に下方に押されボール接触部17aの上面に押し付けられて圧接している。節度感用ボール20は、スライダ16とともに前後方向に移動するが、ボール接触部17aは第1ケース11と一体化されて動かない。また、ボール接触部17aの上面は概略山形状に隆起した形状となっているが、押ボタン13やスライダ16が非操作位置(図3や図5に示す)にあるニュートラル状態では、節度感用ボール20はボール接触部17aの上面における最も隆起した頂上位置よりも若干前方位置に圧接している(図5参照)。そして、スライダ16が非操作位置から所定の作動位置(例えば、非操作位置から1.2mm押し込まれた位置)を越えて移動する作動時には、上記ボール接触部17aの頂上位置を節度感用ボール20が節度感用バネ19を押し縮めつつ乗り越える必要がある。この際、節度感用バネ19を押し縮めなければならい分だけ、スライダ16に抵抗力が発生し、この抵抗力が節度感を生じさせる。そして、この抵抗力の大きさが上述した作動位置より例えば若干手前の位置(例えば、非操作位置から1.0mm押し込まれた位置)においてピーク(極大)になるように、ボール接触部17aの上面の形状が設定されている。
【0036】
コネクタ31は、スイッチ装置10と外部の装置(例えば、車両のエンジン制御用コントローラ或いはイモビライザ用の車載コントローラ)とを電気的に接続するためのコネクタである。このコネクタ31と、回路基板40の所定の回路導体との接続は、図5に符号31a,31bで示すようなL字状の端子(コネクタ31の前端から伸びて、先端が回路基板40のスルーホールに挿入されて半田付けされるもの)によって行われている。
【0037】
コイルアンテナ32は、既述したように、前部構成部材14の外筒部14aの外周(前壁部14bと後壁部14cの間)に、コイルの線(表面を絶縁被覆した導線)を巻きつけることによって構成されたもので、既述したコイル端子33を介して回路基板40の所定の回路導体に接続されている。なお、このコイルアンテナ32は、イモビライザ用の電子キーのバッテリが消耗したなどの理由で、前記電子キーとイモビライザ用の車載コントローラのアンテナとの間の照合確認用の通常の無線通信ができない場合の非常用のアンテナである。即ち、ユーザが電子キーを押ボタン13の近くに(即ち、コイルアンテナ32の近くに)持ってくると、コイルアンテナ32から送信される電磁波による電力転送によって電子キーが稼動し、この電子キーとコイルアンテナ32との間で照合確認用の無線通信が実行され、照合結果が肯定的であればエンジン始動が許可される、というものである。
【0038】
回路基板40は、スイッチ本体41,42等を実装したもので、コイルアンテナ32の駆動回路などがこの基板40に形成されていてもよい。この回路基板40は、基板表面が前後方向に平行で上下方向に直交する姿勢で、第1ケース11の上面を塞ぐように配置され、図示省略した係止部やネジなどによって第1ケース11及びコネクタ31に対して固定されている。
なお、図5等において符号37で示すものは、回路基板40の前部下面側に実装された発光素子よりなる発光部である。この発光部37は、押ボタン13に裏側から光を照射することによって押ボタン13を光らせ、押ボタン13の位置などの情報をユーザに報知するためのものである。
【0039】
スイッチ本体41,42は、出没するように進退移動可能で前進方向(この場合、下方に突出する方向)に付勢された押圧操作部41a,42a(図3に示す)をそれぞれ有するとともに、この押圧操作部41a,42aの進退移動によってオンオフ状態が切り替わるスイッチ接点を内蔵するモジュールタイプのスイッチであり、例えばいわゆる検出スイッチと呼ばれるものである(或いはマイクロスイッチと呼ばれるものでもよい)。これらスイッチ本体41,42は、例えば図8(c)に示すように三つの接点端子A,B,Cを有し、押圧操作部41a,42aが押し込まれていない状態ではコモン端子Cと常閉端子Bが導通した非作動状態となり、押圧操作部41a,42aが所定量以上押し込まれた状態ではコモン端子Cと常開端子Aが導通した作動状態となる。この場合、コネクタ31を介してスイッチ装置10に接続された車両のエンジン始動コントローラ等は、このようなスイッチ本体41,42の接点の切り替わり動作を読み取って、エンジンの始動又は停止が指令されたと判定する。
なおこの場合、スイッチ本体41,42は、図3に示すように回路基板40の下面側に実装され、各押圧操作部41a,42aの進退方向が前後方向と交差する上下方向となるように設置される。
【0040】
ここで、スイッチ本体41の押圧操作部41aは、押ボタン13やスライダ16が非操作位置(図3に示す)にあるニュートラル状態では、前述した傾斜面35に圧接せずに最大限前進した状態(即ち、最大限下方に前進した状態、接点は非作動状態)となっており、押ボタン13やスライダ16が非操作位置よりも後方に押し込まれると、傾斜面35に圧接して後退動作を開始し(即ち、上方に押し込まれる動作が始まり)、押ボタン13やスライダ16が前記作動位置まで押し込まれると、スイッチ本体41の接点の状態が前述の非作動状態から作動状態に切り替わる位置まで後退する構成となっている。
またスイッチ本体42の押圧操作部42aは、前述のニュートラル状態では、前述した傾斜面36に圧接して最大限後退した状態(即ち、最大限上方に押し込まれた状態、接点は作動状態)となっており、押ボタン13やスライダ16が非操作位置よりも後方に押し込まれると、傾斜面36に圧接しつつ前進動作を開始し(即ち、下方に突出ように前進する動作が始まり)、押ボタン13やスライダ16が前記作動位置まで押し込まれると、スイッチ本体42の接点の状態が前述の作動状態から非作動状態に切り替わる位置まで前進する構成となっている。
【0041】
以上説明したスイッチ装置10では、ユーザが押ボタン13を押していないニュートラル状態では、リターンバネ18の付勢力によって図3に示すようにスライダ16は前述した非操作位置(ストッパ部17bの上端部がストッパ用開口16cの後側内端面に当接した位置)に保持され、これにより、スイッチ本体41は非作動状態でスイッチ本体42は作動状態にあるため、車両のエンジン始動又は停止の指令は出力されない(即ち、そのような指令が出力されたとコントローラ側で判断しない)。
ユーザがリターンバネ18の付勢力や節度感発生機構21の抵抗力に逆らって押ボタン13を後方へ押し込む操作を行い、押ボタン13やスライダ16が前記作動位置以降に押し込まれると、各傾斜面35,36が各スイッチ本体41,42の押圧操作部41a,42aにそれぞれ接触して各押圧操作部41a,42aを前述したように進退移動させ、各スイッチ本体41,42のスイッチ接点のオンオフ状態がそれぞれ切り替わる(この場合、スイッチ本体41は作動状態になり、スイッチ本体42は非作動状態になる)ため、車両のエンジン始動又は停止の指令が出力される(即ち、そのような指令が出力されたとコントローラ側で判断する)。
【0042】
なお、ユーザが押ボタン13を後方へ押し込む操作を行うと、通常はフルストロークまで押ボタン13やスライダ16が一時的に移動する。このフルストローク状態では、ストッパ部17bの上端部がストッパ用開口16cの前側内端面に当接して、押ボタン13やスライダ16のそれ以上後方への移動が阻止される。
また、車載コントローラ側では、各スイッチ本体41,42の接点の動作のAND条件で指令を判定してもよいし、OR条件で判定してもよい。即ち、各スイッチ本体41,42の両方の接点の状態(具体的には、接点の状態に対応した電圧などの信号の状態)が適正に変化したときに指令があったと判定してもよいし、スイッチ本体41,42の何れか一方の接点の状態が適正に変化したときに指令があったと判定してもよい。但し、スイッチ本体41,42の何れか一方が故障した時でも、確実にエンジン始動が指令できるようにするためには、スイッチ本体41,42の何れか一方の接点の状態が適正に変化したとき(即ちこの場合、スイッチ本体41の接点が非作動状態から作動状態になるか、或いはスイッチ本体42の接点が作動状態から非作動状態になったとき)に指令があったと判定する構成が望ましい。
このように、スイッチ装置10によれば、エンジンの始動又は停止の指令を二つのスイッチ本体41,42によって信頼性高く出力することができる。
【0043】
しかも本例のスイッチ装置では、次のような作用効果が得られる。
即ち、第1ケース11と第2ケース12(以下、単にケース11,12という)によって内部にゴミや異物が侵入することを防止できる。
また、スライダ16が所定方向(組み付け後のスライダの移動方向である前後方向)に沿って前方から押圧操作方向(後方)に挿入されてケース11に組み付けられる構成であるため、スライダ16とケース11との間に十分な長さの案内機構(この場合、ガイド溝16mとガイド突起11tよりなり、スライダ16の直線移動を案内するレールのような機構)を設けても干渉を生じることなくスライダ16を装着することができ、そのような案内機構を設けることによって、スライダ16が確実かつ滑らかに前後方向にのみ移動可能にケース11内に装着された状態とすることができる。
また、ストッパ(ストッパ部17b)がケース11とは別部品である下部プレート17(以下、単にプレート17という)に形成されており、リターンバネ18とスライダ16をケース11に組付けた状態でプレート17のみをケース11に対して着脱可能な構成であるため、スライダ16のストロークを最適な位置範囲に調整しようとする場合(例えばスライダ16の非操作位置を微調整しようとする場合)、ケース11の全体を設計変更したり、装置全体を分解してケース11全体を部品交換したりする必要が無く、ストッパが形成されたプレート17のみを設計変更したりこのプレート17のみを外して部品交換したりすればよいため、実用上極めて有利である。
また、節度感発生機構21が、プレート17とスライダ16の間に設けられているため、節度感の特性を微調整しようとして、節度感発生機構21の仕様(例えば、後述するボール接触部17aの山形状部分の形状や位置や大きさ)を変更しようとした場合、やはり、プレート17のみを設計変更したりプレート17のみを外して部品交換したりすればよいため、実用上極めて便利である。
なお、プレート17はケース11に比較して格段に小さいため、成形用の金型の変更も容易かつ安価に可能であるし、ストロークや節度感の調整用にストッパ部17bの仕様やボール接触部17aの仕様が異なるものを予め複数用意しておくのも容易である。
また、ケース11とは別の部品であるプレート17によってストッパや節度感発生機構21が構成されるため、ケース11の材質は、その本来の目的にあった材質に特化することができる。一方で、プレート17の材質は、ストッパや節度感発生機構21を構成する部材として好適な材質に特化することができるという利点もある。
したがって本例のスイッチ装置10であると、スライダ16のストロークを良好な位置範囲に規制しつつ、作動時に良好な節度感を発生させて、良好な操作フィーリングや信頼性を確保することが、実用上容易に実現できる。
【0044】
なお、本例におけるストッパは、プレート17から突出してスライダ16に形成されたストッパ用開口16c内に挿入される突起状のストッパ部17bによって構成され、スライダ16が少なくとも非操作位置にあるときには、ストッパ部17bがストッパ用開口16cの内端面に当接することによって、スライダ16が非操作位置を超えてさらに復帰方向に移動するのを阻止するものである。このため、確実にスライダ16の移動を規制できる。なお、仮止め用係合部11kのようなケース11の一部として設けられた部分をストッパとして機能させることは原理的には可能である。しかし、この仮止め用係合部11kのような係合部は、前述した移動方向(本例では前後方向)でのスライダの装着を可能とするために、係合部分の大きさを十分大きく確保できない。このため、繰り返しの使用による磨耗によって係合部分が磨り減ってしまい、係合不良が生じる恐れがあり、実用的にはストッパとして使用できない。しかし、上述したようにプレート17から突出してスライダ16に形成されたストッパ用開口16c内に挿入される突起状のストッパ部17bであれば、係合部分の大きさを十分大きく確保できるので、このような不具合の恐れはなく、信頼性高くスライダ16の移動を規制できる。
【0045】
また、本例の節度感発生機構は、既述したような節度感用バネ19及び節度感用ボール20と、プレート17に形成されたボール接触部17aとよりなる構成である。このため、プレート17のボール接触部17aの山形状部分の形状や位置や大きさを変更することによって、節度感の特性を容易に調整できる。
【0046】
また、本例のスイッチ装置は、既述した仮止め用係合部11kが、ケース11に形成されている。このため、スライダ16を装着した後、プレート17(即ちストッパ)を装着するまでの間、スライダ16がケース11から飛び出さないように、スライダ16をリターンバネ18の付勢力に抗して押さえておく必要がなくなり、組立作業が楽になる。
また、本例のスイッチ装置は、スライダ16の他面側に、前後方向(スライダ16の移動方向)に沿って配設されケース11,12内に固定される回路基板40を有し、この回路基板40にスイッチ本体41,42が実装されているものである。このため、押ボタン13の押圧操作方向(即ち、スライダが移動する前後方向)に直交する幅方向での小型化が可能となる。
【0047】
また本例のスイッチ装置では、作動時にスイッチ本体41,42の押圧操作部41a,42aを進退移動させるスライダ16の傾斜面として、押圧操作部41aを後退させる向きに傾斜した正方向傾斜面35と、押圧操作部42aを前進させる向きに傾斜した逆方向傾斜面36と、が設けられている。
このため、作動時に、正方向傾斜面35では押圧操作部41aの付勢力がスライダ16の動きに対して抵抗力となる一方、逆方向傾斜面36では押圧操作部42aの付勢力が逆にスライダ16の動きに対して推進力として加勢される(即ち、マイナスの抵抗力となる)ことになる。このため、スイッチ本体41,42の押圧操作部41a,42aの付勢力の影響(即ち、押ボタン13を押す動作に対する抵抗力のうち、スイッチ本体41,42内部の付勢手段によって生じる抵抗力の影響)が相殺され、良好な節度感の設定が容易になり、良好な操作フィーリングが得られる。特に本例の場合には、正方向傾斜面35と逆方向傾斜面36が同数設けられているため、押圧操作部41a,42aの付勢力の影響が完全に相殺されるため、良好な節度感の設定がより容易になる。
【0048】
なお、本発明は上述した形態例に限られず、各種の変形や応用があり得る。
例えば、上述の形態例では、ストッパ(ストッパ部17b)が後方(押圧操作方向)のストローク規制も行う構成であるが、既述したように、前方(復帰方向)のストローク規制のみを行う態様でもよい。
また、スライダ16を案内する案内機構は、上述の形態例の構成(ガイド溝16mとガイド突起11t)に限られない。例えば、スライダ16の側面及び下面等が前後方向の十分な長さに渡って第1ケース11の内面に摺動自在に接触し、これら面同士の接触によってスライダ16が前後方向にのみ移動可能に案内される態様でもよい。
また本発明は、前述した特許文献1のように、スライダが動く前後方向の奥側に、押圧操作部を前方に向けた姿勢でスイッチ本体を配置し、例えばスライダの奥側の端面でスイッチ本体の押圧操作部を押すような構成(スイッチ本体の押圧操作部の移動方向と、スライダの移動方向が同じ構成)にも適用できる。但し、この場合には、スライダのストロークとスイッチ本体の押圧操作部のストロークの割合が1対1になり、スライダのストロークを十分大きく確保できない、或いは、スイッチ本体を実装する回路基板を小スペースに配置することが困難であるなどの不利がある。したがって、そのような意味では、前述した形態例のように、スイッチ本体の押圧操作部の移動方向をスライダの移動方向に対して交差させ(即ち、例えば直角にするなど、平行でない位置関係とし)、スライダの傾斜面によってスイッチ本体の押圧操作部を動かす態様が優れている。前述の形態例のように、スライダの傾斜面によってスイッチ本体の押圧操作部を動かす態様であれば、傾斜面の傾き角度を小さくすることでスライダのストロークをスイッチ本体の押圧操作部のストロークよりも大きくすることができ、また上述したように回路基板をスライダの移動方向に沿って配置して小型化を図ることも容易である。
【0049】
また前記形態例では、スイッチ本体やスライダの傾斜面が2個の場合を例示したが、3個以上あってもよいし、1個でもよい。
また前記形態例では、スイッチ本体を並べて配置した方向が、前後方向(即ち、押ボタンやスライダの移動方向)であるが、これに限られない。スイッチ本体は、例えば左右方向に並べて設けてもよいし、前後左右両方向に複数(例えば前後左右に2個づつ合計4個)のスイッチ本体を並べてもよい。但し、前後方向に並べて設置すれば、その分だけ左右方向での小型化が図れる。
また、図8(a)及び図8(b)に示すように、傾斜面35,36が全て正方向傾斜面である態様でもよい。ここで、図8(a)はニュートラル状態、図8(b)は作動状態を示す。或いは、傾斜面35,36が全て逆方向傾斜面である態様でもよい。
また上述の形態例では、スイッチ本体の接点構成として、常開接点と常閉接点の両者を有する構成を例示したが、何れか一方の接点を有するものでもよい。
【符号の説明】
【0050】
10 スイッチ装置
11 第1ケース(ケース)
11t ガイド突起(案内機構)
11k 仮止め用係合突起(仮止め用係合部)
12 第2ケース(ケース)
13 押ボタン
16 スライダ
16c ストッパ用開口
16m ガイド溝(案内機構)
16k 仮止め用係合突起
17 下部プレート(プレート)
17a ボール接触部
17b ストッパ部
18 リターンバネ(付勢部材)
19 節度感用バネ
20 節度感用ボール
21 節度感発生機構
40 回路基板
41,42 スイッチ本体
41a,42a 押圧操作部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
進退移動可能で前進方向に付勢された押圧操作部を有するとともに、この押圧操作部の進退移動によってオンオフ状態が切り替わるスイッチ接点を有するスイッチ本体と、
前記押圧操作部を進退移動させるために所定方向に移動可能とされるスライダと、
このスライダを非操作位置に向かう復帰方向に付勢する付勢部材と、
前記スイッチ本体、前記付勢部材、及び前記スライダが内側に組み付けられるケースであり、前記スライダが前記所定方向に沿って前記復帰方向と反対の押圧操作方向に挿入されて前記所定方向にのみ移動可能に組み付けられるケースと、
前記スライダに一体に設けられる押ボタンと、
前記ケースに固定状態に設けられ、前記スライダが少なくとも非操作位置にあるときに前記スライダに係合して、少なくとも前記スライダが非操作位置を超えてさらに復帰方向に移動するのを阻止するストッパと、
前記押ボタンが前記押圧操作方向に押されて前記スライダが非操作位置から所定の作動位置を越えて移動する作動時に、節度感を発生させる節度感発生機構と、を備え、
前記作動時に、前記スライダが前記スイッチ本体の押圧操作部に接触して当該押圧操作部を進退移動させ前記スイッチ接点のオンオフ状態が切り替わるスイッチ装置であって、
前記ストッパは、前記ケースの外側から前記ケースに装着されて前記スライダの一面側に配置されるプレートに形成され、前記付勢部材とスライダを前記ケースに組付けた状態で、このプレートのみを着脱可能な構成であり、さらに前記節度感発生機構が、前記プレートと前記スライダの間に設けられていることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記ストッパは、前記プレートから突出して前記スライダに形成されたストッパ用開口内に挿入される突起状のストッパ部によって構成され、
前記スライダが少なくとも非操作位置にあるときには、前記ストッパ部が前記ストッパ用開口の内端面に当接することによって、前記ストッパが前記スライダに係合し、前記スライダが非操作位置を超えてさらに復帰方向に移動するのを阻止することを特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記節度感発生機構は、前記スライダに装着された節度感用バネ及び節度感用ボールと、前記プレートに形成されたボール接触部とよりなり、前記節度感用ボールが前記節度感用バネの付勢力によって常に前記ボール接触部の表面に押し付けられて圧接し、前記ボール接触部の表面は山形状に隆起した形状となっており、スライダが非操作位置にあるニュートラル状態では、前記節度感用ボールは前記ボール接触部の表面における最も隆起した頂上位置よりも前方位置に圧接し、スライダが非操作位置から所定の作動位置を越えて移動する作動時には、前記ボール接触部の頂上位置を前記節度感用ボールが節度感用バネを押し縮めつつ乗り越える構成とされることによって、節度感を生じさせるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記付勢部材と前記スライダが前記ケースに組み付けられているが、前記プレートが前記ケースに装着されていない組立途中の状態で、前記スライダが前記付勢部材の付勢力によって前記ケースから離脱しないように、前記スライダに係合して当該スライダが前記復帰方向に移動するのを阻止する仮止め用係合部が、前記ケースに形成されており、
この仮止め用係合部は、前記スライダを前記ケースへ組み付ける際には弾力的に変形して前記スライダに係合せず、前記スライダの前記ケースへの組み付けを可能とするものであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記スライダの他面側には、前記所定方向に沿って配設され前記ケース内に固定される回路基板を有し、この回路基板に前記スイッチ本体が実装されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のスイッチ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−218786(P2010−218786A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62279(P2009−62279)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】