説明

スイッチ装置

【課題】押しボタンの変位時にはスイッチを適正に押圧することができ、その時点のスイッチ状態を良好に切り替えることができるスイッチ装置を提供する。
【解決手段】弾性片からなる押しボタン18は、アーム部41が対応するスイッチ20を押圧する方向に変位した場合にスイッチの被押圧面27に対して当接可能な押圧面44を有している。押圧面44は、スイッチの被押圧面27よりも長手方向の寸法が長く且つ短手方向の寸法が短い面形状の第1面部と第2面部とを含み、第1面部と第2面部とが互いの長手方向の中途同士を十字状に交差させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押しボタンが変位してスイッチを押圧することによりスイッチ状態を切り替えるスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のスイッチ装置として、例えば特許文献1に記載のものが知られている。すなわち、このスイッチ装置(特許文献1では、ワイヤレススイッチ)では、スイッチが基板上に実装されるとともに、そのスイッチと対応する位置に押しボタンとして機能する片持ち梁状の弾性片が自由端をスイッチから少し離間させた状態で弾性変形し得るように設けられている。そして、弾性片が操作ハンドル(特許文献1では、ピアノハンドル)に押されて弾性変形した場合に、その弾性片の自由端で基板上のスイッチを押圧するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−38795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、こうしたスイッチ装置においては、スイッチが位置ずれした状態で基板上に実装されてしまう虞がある。特に、基板上にスイッチをリフロー方式ではんだ付けして面実装する場合には、そうした位置ずれが生じやすい。そして、そのようにスイッチが位置ずれしている場合には、そのスイッチと対応する弾性片が弾性変形したとしても、その弾性片の自由端がスイッチに対して当接できなくなり、スイッチを適正状態で押圧できなくなるため、スイッチ状態の切り替え(例えば、給電路の開閉など)に支障が生じるという問題があった。
【0005】
なお、こうした問題に対処する方法としては、スイッチが位置ずれしていたとしても、弾性片においてスイッチに対する押圧部として機能する自由端がスイッチに対して十分な接触面積を確保して当接できるように、その弾性片の自由端を大きくした形状に成形するということが考えられる。しかしながら、弾性片の自由端を大きく成形すると、その部分にヒケが生じやすくなってしまい、やはりスイッチに対して良好な当接状態が得られなくなってスイッチ状態の切り替えに支障を生じさせる虞があった。
【0006】
本発明はこうした事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、押しボタンの変位時にはスイッチを適正に押圧することができ、その時点のスイッチ状態を良好に切り替えることができるスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載のスイッチ装置は、押しボタンが変位してスイッチを押圧することによりスイッチ状態を切り替えるスイッチ装置において、前記押しボタンは、前記スイッチを押圧する方向に変位した場合に該スイッチが有する被押圧面に対して当接可能な押圧面を有し、該押圧面は、前記スイッチの被押圧面よりも長手方向の寸法が長く且つ短手方向の寸法が短い面形状の第1面部と第2面部とを含み、前記第1面部と前記第2面部とが互いの長手方向の中途同士を十字状に交差させていることを要旨とする。
【0008】
この構成によれば、押しボタンは押圧面の第1面部及び第2面部がスイッチの被押圧面よりも長手方向の寸法が長いので、スイッチが位置ずれしていたとしても、押しボタンを変位させた場合には押圧面がスイッチの被押圧面に当接してスイッチを押圧することができる。また、押しボタンは押圧面の第1面部及び第2面部がスイッチの被押圧面よりも短手方向の寸法が短い構成なので、少ない材料で成形が可能となり、ヒケの発生を抑制することができる。そのため、押しボタンの変位時にはスイッチを適正に押圧することができ、その時点のスイッチ状態を良好に切り替えることができる。
【0009】
請求項2に記載のスイッチ装置において、前記押圧面は、互いに同一幅及び同一長さの矩形状をなす前記第1面部と前記第2面部とを互いの長手方向の中間位置同士で直角に交差させた十字状の面形状をしていることを要旨とする。
【0010】
この構成によれば、スイッチ切り替えの際に変位させられる押しボタンを、その押圧面をシンプルな面形状とすることにより、さらに簡単に構成することができる。
請求項3に記載のスイッチ装置において、前記押しボタンは、前記押圧面の面形状に対応した断面形状をなして突出する凸部を有し、該凸部の先端面によって前記押圧面を構成すると共に、前記凸部における前記第1面部に対応した断面形状の第1壁部及び前記第2面部に対応した断面形状の第2壁部のうち少なくとも一方の壁部には補強リブを付設したことを要旨とする。
【0011】
この構成によれば、押しボタンにおける幅狭の第1壁部及び第2壁部が交差した構成の押圧部は、補強リブによって各壁部が補強されているため、押しボタンがスイッチを押圧する場合に、その押圧部が破損する虞を低減できる。
【0012】
請求項4に記載のスイッチ装置において、前記押しボタンは、前記凸部が突出形成された側の反対側で、前記押圧面の中央位置と対応する部位が、その周りの他の部位よりも凹状となるように形成されていることを要旨とする。
【0013】
この構成によれば、押しボタンに凸部を成形した場合に押圧面の中央位置にヒケが生じることを抑制できる。
請求項5に記載のスイッチ装置において、前記押しボタンは、前記押圧面が自由端側に形成された片持ち梁状の弾性片により構成され、該弾性片は、常には前記押圧面が前記スイッチの前記被押圧面に対して斜めの対向状態となって離間すると共に、前記スイッチを押圧する変位時には前記押圧面が前記スイッチの前記被押圧面に対して面接触する構成とされていることを要旨とする。
【0014】
この構成によれば、押しボタンとしての弾性片を弾性変形させることにより自由端の押圧面を変位させ、その押圧面をスイッチの被押圧面に当接させた場合に、その被押圧面に押圧面が広い接触面積でもって面接触するので、確実にスイッチを押圧してスイッチ状態の切り替えを行わせることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、押しボタンの変位時にはスイッチを適正に押圧することができ、その時点のスイッチ状態を良好に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態におけるスイッチ装置の分解斜視図。
【図2】スイッチ本体の前面図。
【図3】スイッチボックスの前面図。
【図4】スイッチの斜視図。
【図5】第1押しボタンの後側斜め左上方からの斜視図。
【図6】第1押しボタンの後面図。
【図7】第1スイッチ部の右側面図。
【図8】第1スイッチ部の下面図。
【図9】第2押しボタンの後側斜め上右方からの斜視図。
【図10】第2スイッチ部の右側面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るスイッチ装置を具体化した実施形態について、図1〜図10を参照して説明する。なお、以下の説明において、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」をいう場合は、各図中に矢印で示した方向を基準として示すものとする。
【0018】
図1に示すように、スイッチ装置11は、合成樹脂製のボディ12及びカバー13からなる器体14と、例えばJIS等で規格された埋込型配線機器用の金属材料からなる取付枠15と、合成樹脂材料からなるピアノハンドル式の操作ハンドル16とを主要構成要素として、これらが一体的に組み付けられるように構成されている。すなわち、ボディ12の開口を覆うようにカバー13が取り付けられると共に、該カバー13を覆うように操作ハンドル16が蝶番17を中心にして揺動自在に取り付けられた器体14は、例えば壁面等の造営材に取付枠15を介して操作ハンドル16が露出するように固定される。
【0019】
図1及び図2に示すように、カバー13の中央位置には、負荷としての照明と電源との間の給電路(図示略)を開閉する(すなわち、スイッチオン状態とスイッチオフ状態との間でスイッチ状態を切り替える)際に変位させられる第1押しボタン18が形成されている。また、カバー13において第1押しボタン18と異なる位置には、CPU等からなる図示しない制御部の動作モードを切り替える(例えば、通常モードから登録モードに動作モードを移行するためにスイッチ状態を切り替える)際に変位させられる第2押しボタン19が形成されている。
【0020】
そして、図1及び図3に示すように、カバー13の下側のボディ12内には、第1押しボタン18と対応する第1スイッチ20及び第2押しボタン19と対応する第2スイッチ21を表面(図1では前面)側に面実装した基板22が収納されている。なお、本実施形態では、図7及び図8に示すように、第1押しボタン18と第1スイッチ20とが互いに対向配置されて第1スイッチ部23を構成すると共に、図10に示すように、第2押しボタン19と第2スイッチ21とが互いに対向配置されて第2スイッチ部24を構成している。
【0021】
ここで、第1スイッチ20及び第2スイッチ21について説明する。但し、両スイッチ20,21の構成は同じであるため、以下では、主として第1スイッチ20について説明することにし、第2スイッチ21については第1スイッチ20との共通部分の説明を省略する。
【0022】
図4に示すように、第1スイッチ20は、直方体状のスイッチ本体25を有しており、そのスイッチ本体25の前面からは、スイッチ状態の切り替え時に第1押しボタン18に押圧される凸形状の被押圧部26が前方へ向けて突出形成されている。被押圧部26は、弾性を有するゴム等の弾性部材で形成され、その平面で構成される前面(表面)が第1押しボタン18からの押圧力を受ける被押圧面27となっている。なお、この被押圧面27は、円形状の中央面域の左右両側に中央面域よりも幅の狭い方形状領域が連続した面形状をしている。そして、その被押圧面27が第1押しボタン18に押圧されて被押圧部26が変形することにより、第1スイッチ部23のスイッチ状態の切り替え(オン状態とオフ状態の切り替え)が行われるようになっている。
【0023】
また、スイッチ本体25の上下左右の各側面には、複数(本実施形態では6つ)の端子28〜33が突出形成されている。すなわち、スイッチ本体25の左側面からは第1端子28が突出形成され、以下同様に、下側面からは第2端子29と第3端子30、右側面からは第4端子31、上側面からは第5端子32と第6端子33が、それぞれ突出形成されている。そして、第1スイッチ20は、図4に示すように、基板22上に形成された複数(端子28〜33と同数)の電極パッド34〜39に各端子28〜33がはんだ付けされることにより、基板22上に面実装されるようになっている。なお、図4においては、端子28〜33を対応する電極パッド34〜39に対してはんだ付けするはんだの図示を省略している。また、図4以外で第1スイッチ20(又は、第2スイッチ21)が図示された図(図1,図3,図7,図8,図10)においては、端子28〜33の図示を省略している。
【0024】
ところで、第1スイッチ20を基板22上に実装する方法として、各電極パッド34〜39上にクリームはんだ(以下、単に「はんだ」と言う。)を印刷すると共に、その上に第1スイッチ20を載置した状態で、はんだを融解してはんだ付けを行う、いわゆるリフロー方式が知られている。そして、このリフロー方式によって基板22上に第1スイッチ20を面実装させる場合には、第1スイッチ20が位置ずれした状態で実装されてしまうことがある。
【0025】
実装ずれの原因の1つとして、複数の端子28〜33にそれぞれ対応するはんだの融解速度に差がある場合には、はんだが融解する際に融解面の拡がり方向に作用する張力に基づいて、先に融解する側へ第1スイッチ20のスイッチ本体25が引っ張られてしまうことが挙げられる。
【0026】
そのため、本実施形態の第1スイッチ20のように、四方向から端子28〜33が突出形成された場合には、第1端子28及び第4端子31が突出した方向である第1位置ずれ方向としての左右方向と、第2端子29,第3端子30,第5端子32,第6端子33が突出した方向である第2位置ずれ方向としての上下方向に沿って、面実装位置の位置ずれが生じることが推測される。例えば第1端子28のはんだが第2端子29〜第6端子33のはんだに比べて早く融解した場合には、第1スイッチ20はスイッチ本体25が左側方向へ引っ張られ、左方へ位置ずれした状態で実装されることになる。
【0027】
一方、第2スイッチ21は、第1スイッチ20に対して90度回転した状態で配置されている。すなわち、スイッチ本体25の上側面と下側面からは、1本ずつの端子(第1端子28と第4端子31)が突出すると共に、右側面と左側面から2本ずつの端子(第2端子29と第3端子30、及び、第5端子32と第6端子33)が各々突出するように形成されている。したがって、第2スイッチ21も、第1スイッチ20の場合と同様に面実装位置の位置ずれ方向は、左右方向及び上下方向となる。
【0028】
次に、第1押しボタン18について以下説明する。
図2及び図6に示すように、第1押しボタン18は、カバー13のほぼ中央位置に形成されたT字状の開口窓40内に、左端側を基端部として片持ち梁状をなすように形成された弾性片であり、左右方向に沿って延びるアーム部41と、そのアーム部41の自由端側となる右端側で上下方向に沿って延びる押圧部42とを有している。また、図5及び図8に示すように、第1押しボタン18は、そのアーム部41の長手方向(左右方向)における少なくとも1箇所(本実施形態では2箇所)が前後方向において曲げ加工された構成をしている。
【0029】
第1押しボタン18における押圧部42の後面には、端面形状が十字状をなす凸部43が後方に向かって突出形成されている。すなわち、凸部43は、その十字状をなす先端面が第1押しボタン18による第1スイッチ20の押圧時に被押圧面27に当接可能な押圧面44となるように構成されている。そして、押圧面44は、同一矩形状をなす第1面部45と第2面部46とが互いの長手方向の中途同士を直角に交差させた十字状の面形状をしている。
【0030】
より具体的には、押圧面44における第1面部45は、短手方向の寸法が第1スイッチ20の被押圧面27よりも短く且つ長手方向の寸法が第1スイッチ20における第1位置ずれ方向でもある左右方向(第1方向)において第1スイッチ20の被押圧面27の左右方向長さよりも長い矩形状をしている。また、第2面部46は、同じく短手方向の寸法が第1スイッチ20の被押圧面27よりも短く且つ長手方向の寸法が第1スイッチ20における第2位置ずれ方向でもある上下方向(第2方向)において第1スイッチ20の被押圧面27の上下方向長さよりも長い矩形状(第1面部45と同一矩形状)をしている。
【0031】
また、図5及び図6に示すように、第1押しボタン18の押圧部42における凸部43は、第1面部45に対応した断面形状の第1壁部47と第2面部46に対応した断面形状の第2壁部48とからなり、互いに両壁部47,48が相手側の壁部に対して補強リブの機能を果たすように直角に交差した形状をしている。また特に、両壁部47,48のうち押圧面となる端面が上下方向に沿う第2壁部48の両側縁には、側面視で第2壁部48を台形状にするように三角形状の補強リブ49が付設され、より一層、第2壁部48を補強している。
【0032】
また、図7及び図8に示すように、第1押しボタン18の押圧部42における凸部43が突設された側とは反対側において、凸部43の先端面の中央位置(第1面部45と第2面部46との互いの長手方向の中間位置同士が交差した位置)と対応する部位には、その部位が周りの他の部位より凹状となるように凹部50が形成されている。すなわち、第1押しボタン18の押圧部42における凸部43が突設された側の反対側には、押圧部42の上下方向の中央となる位置に凹部50が形成されると共に、その凹部50を上下方向の両側から挟む部位は操作ハンドル16側となる前方に向けて凸状をなす当接部51とされている。
【0033】
なお、図8に示すように、第1押しボタン18は、押圧部42から突出した凸部43の先端面(すなわち、押圧面44)が、常には第1スイッチ20の平面状の被押圧面27に対して斜めの対向状態となって離間して位置するように、アーム部41の片持ち梁形状が設計されている。そして、操作ハンドル16に押されて第1押しボタン18が弾性変形し、その押圧部42が第1スイッチ20側に変位した場合には、その第1スイッチ20の被押圧面27に対して第1押しボタン18の押圧面44が斜めの対向状態から次第に平行な対向状態となって最終的には面接触するように構成されている。
【0034】
次に、第2押しボタン19について以下説明する。
図2に示すように、第2押しボタン19は、カバー13の右方下部寄りの位置に形成された矩形状の開口窓52内に、下端側を基端部として片持ち梁状をなすように形成された弾性片であり、上下方向に沿って延びるアーム部53と、そのアーム部53の自由端に形成された円板状の押圧部54とを有している。また、図9及び図10に示すように、第2押しボタン19は、そのアーム部53の長手方向(左右方向)における少なくとも1箇所(本実施形態では1箇所)が前後方向において曲げ加工された構成をしている。
【0035】
第2押しボタン19における押圧部54の後面には、端面形状が略十字状をなす凸部55が後方に向かって突出形成されている。そして、凸部55は、その十字状をなす先端面が第2押しボタン19による第2スイッチ21の押圧時に該第2スイッチ21の被押圧面56に当接可能な押圧面57となるように構成されている。なお、第1押しボタン18における押圧面44の場合と同様に、同一矩形状をなす第1面部58と第2面部59とが互いの長手方向の中間位置同士を直角に交差させた十字状の面形状をしている。
【0036】
すなわち、その押圧面57における第1面部58は、短手方向の寸法が第2スイッチ21の被押圧面56よりも短く且つ長手方向の寸法が第2スイッチ21における第1位置ずれ方向でもある左右方向(第1方向)において第2スイッチ21の被押圧面56の左右方向長さよりも長い矩形状をしている。また、第2面部59は、同じく短手方向の寸法が第2スイッチ21の被押圧面56よりも短く且つ長手方向の寸法が第2スイッチ21における第2位置ずれ方向でもある上下方向(第2方向)において第2スイッチ21の被押圧面56の上下方向長さよりも長い矩形状をしている。
【0037】
また、図9に示すように、第2押しボタン19の押圧部54における凸部55は、第1面部58に対応した断面形状の第1壁部60と第2面部59に対応した断面形状の第2壁部61とからなり、互いに両壁部60,61が相手側の壁部に対して補強リブの機能を果たすように直角に交差した形状をしている。
【0038】
そこで次に、上記のように構成されたスイッチ装置11を使用してユーザーがスイッチ状態の切り替えを行う場合の作用について説明する。
まず、第1スイッチ部23においてスイッチ状態が切り替えられる場合(すなわち、照明負荷と電源との間の給電路を開閉する場合)、ユーザーは、操作ハンドル16がカバー13を覆っている状態で、操作ハンドル16の右端側を不図示の付勢部材の付勢力に抗して後方側へ押圧する。すると、操作ハンドル16が第1押しボタン18の当接部51に当接して第1押しボタン18のアーム部41を弾性変形させる。そして、このようにアーム部41が弾性変形すると、第1押しボタン18の押圧部42が後方に変位し、第1押しボタン18の後方に位置する第1スイッチ20の被押圧部26の被押圧面27に対して十字状の押圧面44が斜めの対向状態から次第に平行な対向状態となって最終的に面接触状態で当接する。
【0039】
このとき、もし仮に、第1スイッチ20が基板22上において左右方向又は上下方向に位置ずれした状態で実装されていたとしても、第1押しボタン18の押圧面44は左右方向及び上下方向における面域の長さが第1スイッチ20の被押圧面27よりも長いため、押圧面44は被押圧面27に対して十分な接触面積でもって当接するようになる。その結果、第1押しボタン18は操作ハンドル16に押されて変位したときに、第1スイッチ20を適正に押圧するようになり、第1スイッチ部23では照明負荷と電源との間の給電路の開閉が良好に行われる。
【0040】
また、第2スイッチ部24においてスイッチ状態が切り替えられる場合(すなわち、制御部の動作モードを通常モードと登録モードとの間で切り替える場合)、ユーザーは、操作ハンドル16をカバー13から外し、カバー13の前面を露出させる。そして、その状態において第2押しボタン19の押圧部54を、指もしくは棒などで後方に押圧すると、第2押しボタン19のアーム部53が弾性変形し、その自由端の押圧部54が後方に変位する。すると、第2押しボタン19の後方に位置する第2スイッチ21の被押圧面56に十字状の面形状をなす押圧面57が当接するようになり、第2スイッチ部24では制御部の動作モードの切り替えが良好に行われる。なお、もし仮に、第2スイッチ21が基板22上において左右方向又は上下方向に位置ずれした状態で実装されていたとしても、第2押しボタン19の押圧面57が第2スイッチ21の被押圧面56に対して、十分な接触面積でもって当接する点は、第1スイッチ部23の場合と同様である。
【0041】
さらに、第1押しボタン18及び第2押しボタン19を各々成形する場合には、押圧部42,54から突出形成された凸部43,55が、幅狭矩形状の第1面部45,58と第2面部46,59の長手方向の中間位置同士を直角に交差させた十字状の断面形状をしているので、少ない成形材料ですむと共に、ヒケの発生が抑制可能となる。しかも、第1押しボタン18の場合、押圧部42において凸部43が突出された側と反対側には十字状の凸部43の先端面の中央(すなわち、押圧面44の中央)と対応する位置に凹部50が形成されているので、この凹部50の形成によっても凸部43にヒケが発生する虞が低減される。
【0042】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)押しボタン18,19の押圧面44,57は第1面部45,58及び第2面部46,59の長手方向の寸法が対応するスイッチ20,21の被押圧面27,56よりも長い。そのため、スイッチ20,21が第1位置ずれ方向となる左右方向及び第2位置ずれ方向となる上下方向のいずれに位置ずれしていたとしても、押しボタン18,19を変位させた場合には押圧面44,57がスイッチ20,21の被押圧面27,56に当接してスイッチ20,21を押圧することができる。また、押しボタン18,19は押圧面44,57の第1面部45,58及び第2面部46,59の短手方向の寸法が対応するスイッチ20,21の被押圧面27,56よりも短い構成なので、少ない材料で成形が可能となり、ヒケの発生を抑制することができる。そのため、押しボタン18,19の変位時にはスイッチ20,21を適正に押圧することができ、その時点のスイッチ状態を良好に切り替えることができる。
【0043】
(2)スイッチ切り替えの際に変位させられる押しボタン18,19は、その押圧面44,57の面形状が十字状をなすシンプルな面形状であるため、少ない材料で簡単に成形することができる。
【0044】
(3)押しボタン18,19における押圧部42,54から突出された幅狭の第1壁部47,60及び第2壁部48,61が交差した構成の凸部43,55は、互いに相手側の壁部60,61に対して補強リブの機能を果たすように直角に交差した形状をしているので、押しボタン18,19がスイッチ20,21を押圧する場合に破損する虞を低減することができる。特に、第1押しボタン18における凸部43の第2壁部48の両側縁には側面視で第2壁部48を台形状にする三角形状の補強リブ49が付設されているので、より一層、第2壁部48を補強することができる。
【0045】
(4)第1押しボタン18においては、押圧部42から凸部43を突出させた側の反対側で、凸部43の先端面である十字状の押圧面44の中央となる位置と対応する部位が、その周りの他の部位よりも凹状となる凹部50に形成されている。そのため、押圧部42に凸部43を成形した場合に十字状の押圧面44の中央となる位置にヒケが生じることを抑制できる。
【0046】
(5)押しボタン18,19としての弾性片を弾性変形させることにより自由端の押圧面44,57を後方側に変位させた場合に、その押圧面44,57を対応するスイッチ20,21の被押圧面27,56に対して斜めの対向状態から次第に平行な対向状態となって最終的に面接触させることができる。そのため、押しボタン18,19により対応するスイッチ20,21を適正に押圧して良好にスイッチ状態の切り替えを行わせることができる。特に、スイッチ20,21の被押圧部26がゴムなどの弾性材料からなる場合には、その被押圧面27,56に対して平行な対向状態で押圧面44,57を面接触させるので、スイッチ状態の切替の信頼性を向上することができる。
【0047】
(6)押しボタン18,19におけるアーム部41,53は、その長手方向の少なくとも一箇所に曲げ加工が施されている。そのため、先端側が上下方向に厚みを有してその重量が大きくなった場合でも、重力方向に樹脂が変形するいわゆるクリープが抑制される。
【0048】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・第1押しボタン18の押圧面44は第1スイッチ20の被押圧面27に対して非平行な対向状態で当接する構成であってもよい。
【0049】
・第2押しボタン19の押圧面57も第1押しボタン18の押圧面44の場合と同様に常には被押圧面56に対して斜めの対向状態となって離間しており、押圧時には被押圧面56に対して斜めの対向状態から次第に平行な対向状態となって最終的に面接触する構成としてもよい。
【0050】
・第1押しボタン18及び第2押しボタン19のうち少なくとも一方を、カバー13から切り抜き形成された弾性片ではなく、対応する開口窓40,52内で前後方向にばね等の付勢部材の付勢力に抗して変位するボタン部材で構成されていてもよい。
【0051】
・第1押しボタン18の押圧部42には凹部50を必ずしも形成しなくてよい。
・第2押しボタン19の押圧部54にも、凸部55が突出した側と反対側に第1押しボタン18の凹部50の場合と同様の凹部を形成してもよい。
【0052】
・第1押しボタン18における第2壁部48には補強リブ49を必ずしも付設しなくてよい。
・第1押しボタン18における第1壁部47にも第2壁部48の場合と同様の補強リブを付設してもよい。
【0053】
・押しボタン18,19の押圧部42,54から突設される凸部43,55の先端面で構成される押圧面44,57の面形状は同一矩形状の第1面部45,58と第2面部46,59が互いの長手方向の中途同士を十字状に交差させた面形状以外の面形状であってもよい。例えば、十字状であっても互いに交差した両面部がそれぞれ長楕円形状であってもよく、また、両面部のうち一方の面部が他方の面部よりも長い面形状や、各面部の両端が曲げ形成された卍状等の他の面形状であってもよい。要するに、スイッチ20,21の被押圧面27,56よりも長手方向の寸法が長く且つ短手方向の寸法が短い第1面部45,58と第2面部46,59が互いに長手方向の中途同士を十字状に交差させた面形状の押圧面部分を含んでいればよい。なお、その場合、第1面部45,58と第2面部46,59は、第1位置ずれ方向となる左右方向及び第2位置ずれ方向となる上下方向に沿って延びるように形成されているのが望ましい。
【0054】
・基板22上に各スイッチ20,21をリフロー方式で面実装したスイッチ装置11の場合に限定されず、スイッチのリードを基板のスルーホールに挿入した状態でフロー方式によりはんだ付けをしたスイッチ装置の場合にも本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0055】
11…スイッチ装置、18…第1押しボタン(弾性片)、19…第2押しボタン(弾性片)、20…第1スイッチ、21…第2スイッチ、27,56…被押圧面、43,55…凸部、44,57…押圧面、45,58…第1面部、46,59…第2面部、47,60…第1壁部、48,61…第2壁部、49…補強リブ、50…凹部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押しボタンが変位してスイッチを押圧することによりスイッチ状態を切り替えるスイッチ装置において、
前記押しボタンは、前記スイッチを押圧する方向に変位した場合に該スイッチが有する被押圧面に対して当接可能な押圧面を有し、
該押圧面は、
前記スイッチの被押圧面よりも長手方向の寸法が長く且つ短手方向の寸法が短い面形状の第1面部と第2面部とを含み、
前記第1面部と前記第2面部とが互いの長手方向の中途同士を十字状に交差させていることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチ装置において、
前記押圧面は、互いに同一幅及び同一長さの矩形状をなす前記第1面部と前記第2面部とを互いの長手方向の中間位置同士で直角に交差させた十字状の面形状をしていることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のスイッチ装置において、
前記押しボタンは、前記押圧面の面形状に対応した断面形状をなして突出する凸部を有し、該凸部の先端面によって前記押圧面を構成すると共に、前記凸部における前記第1面部に対応した断面形状の第1壁部及び前記第2面部に対応した断面形状の第2壁部のうち少なくとも一方の壁部には補強リブを付設したことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のスイッチ装置において、
前記押しボタンは、前記凸部が突出形成された側の反対側で、前記押圧面の中央位置と対応する部位が、その周りの他の部位よりも凹状となるように形成されていることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載のスイッチ装置において、
前記押しボタンは、前記押圧面が自由端側に形成された片持ち梁状の弾性片により構成され、
該弾性片は、常には前記押圧面が前記スイッチの前記被押圧面に対して斜めの対向状態となって離間すると共に、前記スイッチを押圧する変位時には前記押圧面が前記スイッチの前記被押圧面に対して面接触する構成とされていることを特徴とするスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−3472(P2011−3472A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146909(P2009−146909)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】