説明

スイッチ装置

【課題】1つのモーターで複数の動作を行わせる場合に、電気的な出力系統を1つとしつつ各動作を機械的に切替ることができ、簡易な構成のパワーシートとすることのできるスイッチ装置を提供する。
【解決手段】ハウジング10内に一対の入力端子と出力端子の間の切替をなすスイッチ12を備え、ハウジング10にはスイッチ12を切替える操作ノブ11が設けられ、操作ノブ11は、ハウジング10に対して複数回転位置に回転操作自在とされると共に、複数回転位置のそれぞれで正負二方向にスライド操作自在とされ、操作ノブ11には回転操作に伴い回転する回転軸部材15が連係され、スイッチ12は操作ノブ11が複数回転位置のいずれにあっても正負二方向の操作により各方向に対応した出力をなし、回転軸部材15は回転に伴い外部の切替機構3を駆動する切替部17bを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のシートスイッチなどとして用いられる回転及びスライド操作自在なスイッチ装置に関し、特に複数方向の操作に対する電気的な出力を一本化すると共に機械的な切替を同時に行うことのできるスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のシートスイッチは、シートを前後方向にスライドさせる操作、シートのリクライニング角度を変化させる操作、シート座面を上下させる操作など複数方向に対する操作を1箇所のスイッチで行えるように集約したものである。かかる複数動作の操作を行うため、例えば各動作に対応してそれぞれスイッチ装置を設け、各スイッチ装置はスライド操作自在な操作ノブを備えたものがある。この場合には、操作ノブのいずれかをスライド操作することにより、各動作をそれぞれ行うようにすることができる。
【0003】
一方、操作ノブを動作ごとに設けるのではなく、操作ノブの回転操作により動作を選択し、操作ノブをスライド操作することで選択された動作を行うように構成することもできる。この場合には、一つの操作ノブに全ての動作に対する操作を集約することができる。このようなスイッチ装置としては例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−284993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パワーシートにおいては、シートを駆動するためのモーターが設けられる。このモーターは、各動作に対応して複数が設けられていた。このためスイッチ装置は、各動作に対応した出力系統に接続され、それぞれのモーターを駆動するようになっていた。これは、一つの操作ノブで複数の動作に対する操作を行う場合であっても同様である。
【0006】
しかし、従来のパワーシートでは、それぞれの動作に対応してモーターを用意する必要があり、重量が大きくなると共にコストも高いという問題があった。また、スイッチ装置とモーターの間の配線も多くなり、組立も煩雑になっていた。モーターを一つにし、モーターに接続するギアを切替えて各動作を行わせることも考えられるが、従来のスイッチ装置では出力系統が複数必要となる点では同様であるし、ギアの切替を駆動する必要もあるから、構成がかえって複雑になる可能性が高い。
【0007】
本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、1つのモーターで複数の動作を行わせる場合に、電気的な出力系統を1つとしつつ各動作を機械的に切替ることができ、簡易な構成のパワーシートとすることのできるスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明に係るスイッチ装置は、ハウジング内に一対の入力端子と出力端子の間の切替をなすスイッチを備え、前記ハウジングにはスイッチを切替える操作ノブが設けられるスイッチ装置において、
前記操作ノブは、前記ハウジングに対して複数回転位置に回転操作自在とされると共に、前記複数回転位置のそれぞれで正負二方向にスライド操作自在とされ、前記操作ノブには前記回転操作に伴い回転する回転軸部材が連係され、
前記スイッチは前記操作ノブが前記複数回転位置のいずれにあっても前記正負二方向の操作により各方向に対応した出力をなし、前記回転軸部材は回転に伴い外部の切替機構を駆動する切替部を有することを特徴として構成されている。
【0009】
また、本発明に係るスイッチ装置は、前記操作ノブは、前記ハウジングに対して回転自在な回転部材と、該回転部材と共に回転自在で前記回転部材に対してスライド自在なスライド部材とからなり、
前記ハウジングには前記回転部材と共に回転自在な回転駆動部と、該回転駆動部に対し前記スライド部材と共にスライド自在な水平駆動部とが設けられると共に、前記回転駆動部には前記回転軸部材が連結され、
前記スイッチは、前記回転駆動部に設けられて前記水平駆動部のスライドによって切替えられるスライド連動スイッチと、前記回転駆動部の回転によって切替えられる回転連動スイッチとからなり、該回転連動スイッチは、前記回転駆動部に設けられる可動接点と前記ハウジングに設けられる固定接点とからなると共に、前記操作ノブの複数回転位置のそれぞれで前記スライド連動スイッチを前記入力端子及び出力端子に接続し、前記スライド連動スイッチは前記正負二方向の操作に対応して前記入力端子と出力端子の間の接続状態を切替えることを特徴として構成されている。
【0010】
さらに、本発明に係るスイッチ装置は、前記操作ノブは、前記ハウジングに対して回転自在かつ前記複数回転位置のそれぞれでスライド自在な回転スライド部材からなり、
前記ハウジングには前記回転スライド部材と共に回転自在な回転駆動部と、該回転駆動部に対し前記回転スライド部材と共にスライド自在な水平駆動部と、前記複数回転位置における前記水平駆動部のスライドにより垂直方向に沿って押圧される複数の垂直駆動部とが設けられると共に、前記回転駆動部には前記回転軸部材が連結され、
前記スイッチは、前記複数の垂直駆動部に対向してそれぞれ前記ハウジングに設置され、前記操作ノブの複数回転位置のそれぞれで前記垂直駆動部が駆動されるのに伴い、前記入力端子と出力端子の間の接続状態を切替えることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るスイッチ装置によれば、操作ノブは、ハウジングに対して複数回転位置に回転操作自在とされると共に、複数回転位置のそれぞれで正負二方向にスライド操作自在とされ、操作ノブには回転操作に伴い回転する回転軸部材が連係され、スイッチは操作ノブが複数回転位置のいずれにあっても正負二方向の操作により各方向に対応した出力をなし、回転軸部材は回転に伴い外部の切替機構を駆動する切替部を有することにより、1つのモーターで複数の動作を行う場合に、動作の切替を機械的駆動により行ってモーターに対する電気出力は1系統とすることができるので、簡易な構成とすることができる。
【0012】
また、本発明に係るスイッチ装置によれば、操作ノブは回転部材とスライド部材とからなり、ハウジングには回転部材と共に回転自在な回転駆動部と、回転駆動部に対しスライド部材と共にスライド自在な水平駆動部とが設けられ、回転駆動部には前記回転軸部材が連結され、回転連動スイッチは、操作ノブの複数回転位置のそれぞれでスライド連動スイッチを入力端子及び出力端子に接続し、スライド連動スイッチは正負二方向の操作に対応して入力端子と出力端子の間の接続状態を切替えることにより、回転部材の各回転位置において、それぞれスライド部材のスライド操作によってモーターに対する出力をなすことができ、回転及びスライド操作による各動作につき簡易な構成で実現できる。
【0013】
さらに、本発明に係るスイッチ装置によれば、ハウジングには回転スライド部材と共に回転自在な回転駆動部と、回転駆動部に対し回転スライド部材と共にスライド自在な水平駆動部と、複数回転位置における水平駆動部のスライドにより垂直方向に沿って押圧される複数の垂直駆動部とが設けられ、回転駆動部には回転軸部材が連結され、スイッチは、複数の垂直駆動部に対向してそれぞれハウジングに設置され、操作ノブの複数回転位置のそれぞれで垂直駆動部が駆動されるのに伴い、入力端子と出力端子の間の接続状態を切替えることにより、回転操作とスライド操作を一部材の操作ノブで行うことができ、操作に際して操作ノブを持ち替える必要がないので、より容易な操作とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】スイッチ装置が用いられるパワーシート装置の概要構成図である。
【図2】第1の実施形態におけるスイッチ装置の斜視図である。
【図3】第1の実施形態におけるスイッチ装置の分解斜視図である。
【図4】第1の実施形態におけるスイッチ装置の回路図である。
【図5】第2の実施形態におけるスイッチ装置の斜視図である。
【図6】第2の実施形態におけるスイッチ装置の分解斜視図である。
【図7】第2の実施形態におけるスイッチ装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について図面に沿って詳細に説明する。図1には、スイッチ装置が用いられるパワーシート装置の概要構成図につき示している。この図に示すように、パワーシート装置は、複数方向の動作可能な車両のシート1と、シート1を動作させる1つのモーター2と、1つのモーター2で複数の動作を行うための切替機構3と、切替機構3を切替駆動すると共にモーター2のオン・オフ及び回転方向を指示するスイッチ装置4とを有して構成されている。
【0016】
シート1は、座面1aと背面1bを有し、座面1aは前後方向にスライド自在(スライド動作)であると共に、上下動自在(リフト動作)とされている。背面1bは、傾倒自在(リクライニング動作)とされている。これら動作は、いずれも正負二方向に行うことができる。
【0017】
シート1内には、スライド動作とリフト動作及びリクライニング動作の各動作を行うための駆動軸が内蔵されているが、これらいずれか1つの駆動軸を切替えてモーター2に接続するのが切替機構3である。切替機構3は、クラッチ機構を有してなり、機械的な回転駆動が入力されることにより、駆動軸のモーター2に対する接続切替をなすように構成されている。
【0018】
スイッチ装置4は、車内に露出する操作ノブ11を備えており、この操作ノブ11は回転操作とスライド操作を行うことができるように構成されている。操作ノブ11の回転操作は、シート1の3つの動作に対応して3箇所の回転位置に切替可能となっている。また、スイッチ装置4は、操作ノブ11の回転操作に連動して回転する回転軸部15を有し、操作ノブ11の回転操作によって、切替機構3に対する機械的な回転駆動が行われる。操作ノブ11のスライド操作は、操作ノブ11における一直線上の正負二方向に対して行うことができ、この正負二方向のスライド操作によって、モーター2に対する正方向または負方向の電気的な出力がなされる。
【0019】
図2には、第1の実施形態におけるスイッチ装置4の斜視図を示している。スイッチ装置4は、基部となるハウジング10と、ハウジング10に対して複数回転位置に回転操作自在とされると共に、複数回転位置のそれぞれで正負二方向にスライド操作自在な操作ノブ11とを有して構成されている。ハウジング10は、シート1の座面1aにおける側面部に配置されるのが一般的である。回転操作における複数回転位置は、前述のように3箇所に設定されており、これら3箇所の各回転位置において、スライド操作に対応した電気的な出力をなすことができる。駆動するモーターは一つだけであるので、電気的な出力は1系統でなされる。
【0020】
操作ノブ11は、回転操作をなすための扁平円筒のダイヤル状に形成された回転部材22と、回転部材22に保持され、この回転部材22に対してスライド自在な小片状のスライド部材23との二部材で構成されている。操作を行う者は、回転部材22を回転させていずれかの回転位置とすることによって、シート1の3種類の動作のうちどれを行うかを選択し、スライド部材23を正負いずれかの方向にスライドさせることで、シート1の動作を行わせる。
【0021】
ハウジング10の操作ノブ11が設けられる側と反対側には、回転軸部15が突出している。回転軸部15は、先端部が歯車状に形成された切替部15bとなっており、切替部15bは前述の切替機構3に連係される。回転軸部15は操作ノブ11と連係されており、回転部材22を回転操作することにより、共に回転する。この回転動作に伴い、切替部15bにより切替機構3が機械的に駆動されて、モーター2とシート1内の駆動軸との接続状態が切替えられ、シート1の動作が切替えられる。ここでは、操作ノブ11が第1の回転位置にあるときは、シート1のスライド動作が行われ、操作ノブ11が第2の回転位置にあるときは、シート1のリフト動作が行われ、操作ノブ11が第3の回転位置にあるときは、シート1のリクライニング動作が行われるように、切替機構3の切替がなされるものとする。
【0022】
スイッチ装置4の構成についてより詳細に説明する。図3には、第1の実施形態におけるスイッチ装置4の分解斜視図を示している。まずハウジング10については、操作ノブ11を保持する上部ハウジング20と、回転軸部15側を構成する下部ハウジング21との二部材にて構成されている。上部ハウジング20は、操作ノブ11をハウジング10内と連係させるために大きく開いた開口部20aを備え、その周囲には回転部材22を回転自在に保持する操作ノブ保持部20bが形成されている。
【0023】
下部ハウジング21は、回転軸部15を挿通させる挿通孔部21aを中央部に備え、その周囲部には、スイッチ12を構成する固定接点21bが、周方向に渡る接点パターンとして形成されている。周縁部には、電源からの入力端子及びモーター2への出力端子を備える入出力端子部21cが形成されている。
【0024】
操作ノブ11については、前述のように回転部材22とスライド部材23からなり、回転部材22には、スライド部材23を正負二方向に摺動自在とする案内部22aが形成され、また回転部材22の側面部22bには、回転操作を行いやすいように、周方向に複数の凹部が形成されている。なお、図3ではスライド部材23が右方向に摺動する場合に、正方向への操作とし、スライド部材23が左方向に摺動する場合に、負方向への操作とする。
【0025】
ハウジング10内に納められるのは、操作ノブ11によって切替駆動されるスイッチ12と、操作ノブ11の回転操作により回転する回転駆動部13と、回転駆動部13に対しスライド部材23と共にスライド自在な水平駆動部14である。操作ノブ11は、スライド部材23が水平駆動部14に形成される突部14aと嵌合し、スライド部材23のスライド操作により水平駆動部14もスライドし、回転部材22の回転操作によりスライド部材23も共に回転するから、水平駆動部14もそれに伴って回転し、さらに水平駆動部14が連係する回転駆動部13も回転する。
【0026】
回転駆動部13は、段付円筒状のホルダ部材26と、ホルダ部材26内に納められるスイッチ保持部材27とからなっている。ホルダ部材26は、図3で図示している側と反対側が空洞状となっており、スイッチ保持部材27を収納することができ、上面には水平駆動部14を正負二方向に摺動自在とする水平案内部26aを備えている。また、外周面には周方向に沿って凹凸部26bが形成されている。
【0027】
スイッチ保持部材27は、上面に2つのスライド連動スイッチ24、24を備えている。図中右側のスライド連動スイッチ24は、水平駆動部14がスライド部材23により正方向に駆動されると、水平駆動部14の下面側で駆動され、内部の接点が切替わる。一方、図中左側のスライド連動スイッチ24は、水平駆動部14がスライド部材23により負方向に駆動されると、水平駆動部14の下面側で駆動され、内部の接点が切替わる。スイッチ保持部材27は、回転駆動部13を構成し、操作ノブ11の回転操作と共に回転するから、回転部材22がどの角度であっても、スライド部材23により駆動することができる。
【0028】
スイッチ保持部材27の下面側には、4つの可動接点32が設けられる。可動接点32は、前述した下部ハウジング21に設けられる固定接点21bとで回転連動スイッチ25を構成する。回転連動スイッチ25は、操作ノブ11の3箇所の回転位置に対応して、接点の状態が切替わるように構成されている。
【0029】
回転駆動部13を構成するホルダ部材26と上部ハウジング20との間には、周方向4箇所に付勢部材30及び係脱部材31が設けられる。付勢部材30は、ホルダ部材26と上部ハウジング20との間で、係脱部材31をホルダ部材26の凹凸部26bに対して押圧する方向に付勢する。操作ノブ11の回転操作により回転駆動部13が回転すると、係脱部材31はホルダ部材26の凹凸部26bに対して係脱を繰り返し、回転操作に対するクリック感触を付与することができる。
【0030】
回転軸部材15は、軸状のシャフト部15aを備え、シャフト部15aの一端部に形成される切替部15bと反対側の端部に、回転駆動部13を構成するスイッチ保持部材27の下面側に連結される連結部15cが形成されている。連結部15cとスイッチ保持部材27が連結されていることにより、回転軸部15は回転駆動部13と共に回転、すなわち、操作ノブ11の回転操作に伴って回転駆動されることとなる。前述のように、この回転駆動によって回転軸部15は切替機構3に対する切替駆動を行う。
【0031】
このスイッチ装置4の電気的構成について説明する。図4には、第1の実施形態におけるスイッチ装置4の回路図を示している。モーター2は1つであるので、スイッチ装置4に対する入力端子16と出力端子17は、一対をなしている。入力端子16は、グランド端子GNDと電源端子+Bとからなり、出力端子17は、第1端子M1と第2端子M2とからなっている。ここでは、出力端子17において第1端子M1から第2端子M2に向かって電流が流れる場合に、モーター2が正方向に回転し、出力端子17において第2端子M2から第1端子M1に向かって電流が流れる場合に、モーター2が負方向に回転するものとする。
【0032】
スイッチ装置4内には、前述のようにスライド連動スイッチ24と回転連動スイッチ25とが配置されている。スライド連動スイッチ24は、図4において2箇所に配置(CELLSW1、CELLSW2)されており、操作されていない状態では出力端子17の第1端子M1及び第2端子M2を、それぞれ入力端子16のグランド端子GND側に接続している。
【0033】
回転連動スイッチ25は、操作ノブ11における3箇所の回転位置に対応して、位置P1、位置P2、位置P3が切替わる。図4では4つの回転連動スイッチ25が示されているが、これは、図3において可動端子32が4つ設けられているのに対応する。4つの回転連動スイッチ25は、操作ノブ11の回転操作によって、全て同じ位置に切替わる。
【0034】
操作ノブ11の操作を行った場合の動作は以下の通りである。まず、操作ノブ11の回転位置が第1の位置であるとき、回転連動スイッチ25は位置P1にあり、このときに操作ノブ11を一方側にスライド操作すると、一方のスライド連係スイッチ24(CELLSW1)が切替わり、第1端子M1が電源端子+Bに接続される。第2端子M2はグランド端子GNDに接続されたままである。したがって、電流は第1端子M1からモーター2を経て第2端子M2に流れ、モーター2は正方向に回転する。操作ノブ11を他方側にスライド操作すると、他方のスライド連係スイッチ24(CELLSW2)が切替わり、第2端子M2が電源端子+Bに接続されるから、モーター2は負方向に回転する。前述のように、操作ノブ11の回転位置が第1の位置であるときは、回転軸部15によって切替機構3はモーター2をスライド動作のための駆動軸に接続しているから、操作ノブ11のスライド操作によりシート1はスライド動作する。
【0035】
操作ノブ11の回転位置が第2の位置であるとき、回転連動スイッチ25は位置P2にあり、このときは、回転連動スイッチ25が位置P1にあるときと同じように動作する。そして、操作ノブ11の回転位置が第2の位置であるときは、回転軸部15によって切替機構3はモーター2をリフト動作のための駆動軸に接続しているから、操作ノブ11のスライド操作によりシート1はリフト動作する。
【0036】
操作ノブ11の回転位置が第3の位置であるとき、回転連動スイッチ25は位置P3にある。位置P3は、位置P1、P2とは逆の出力端子に接続されているから、一方のスライド連係スイッチ24(CELLSW1)が切替わると、電流は第2端子M2からモーター2を経て第1端子M1に流れ、モーター2は負方向に回転し、他方のスライド連係スイッチ24(CELLSW2)が切替わると、電流は第1端子M1からモーター2を経て第2端子M2に流れ、モーター2は正方向に回転する。そして、操作ノブ11の回転位置が第3の位置であるときは、回転軸部15によって切替機構3はモーター2をリクライニング動作のための駆動軸に接続しているから、操作ノブ11のスライド操作によりシート1はリクライニング動作する。
【0037】
このように、スイッチ装置4に回転及びスライド操作自在な操作ノブ11と、回転操作に伴い回転する回転軸部15とを設け、操作ノブ11の複数回転位置において正負のスライド操作による電気出力をなすと共に、回転軸部15により切替機構3を機械的に切替駆動することにより、1つのモーター2で複数の動作を行う場合に、動作の切替を機械的駆動により行ってモーター2に対する電気出力は1系統とすることができるので、簡易な構成のスイッチ装置4とすることができる。
【0038】
次に、スイッチ装置4の第2の実施形態について説明する。図5には、第2の実施形態におけるスイッチ装置4の斜視図を示している。第2の実施形態のスイッチ装置4も、第1の実施形態のスイッチ装置4と基本構成は同様である。すなわち、ハウジング50に操作ノブ51が設けられて回転及びスライド操作自在とされると共に、ハウジング50からは操作ノブ51の回転操作に伴い回転自在な回転軸部材57が突出している。回転軸部材57の先端部には、歯車状の切替部57bが形成されて、切替機構3の切替駆動を行うことができるようにされている。一方で、第2の実施形態のスイッチ装置4は、一部材の操作ノブ51を、回転及びスライド操作自在となるように構成している。このため、操作ノブ51とハウジング50の内部構造については、第1の実施形態と異なっている。
【0039】
図6には、第2の実施形態におけるスイッチ装置4の分解斜視図を示している。ハウジング50は、上部ハウジング61と下部ハウジング62の二部材で構成されている。上部ハウジング61は、中空円筒状の突出部61aを有しており、ハウジング50内部と操作ノブ51とを連係させる。下部ハウジング62には、接点パターン62aが設けられ、さらにこの接点パターン62aを切替える4つのスイッチ52が載置されている。また、下部ハウジング62には、電源からの入力端子及びモーター2への出力端子を備える入出力端子部62bが形成されている。
【0040】
操作ノブ51は、前述のように一部材であり、回転スライド部材60からなっている。図6においても、回転スライド部材60が右方向に摺動する場合に、正方向への操作とし、回転スライド部材60が左方向に摺動する場合に、負方向への操作とする。
【0041】
ハウジング50内には、前述のスイッチ52と、操作ノブ51の回転操作により回転する回転駆動部53と、回転駆動部53に対し操作ノブ51と共にスライド自在な水平駆動部54と、水平駆動部54によって垂直方向に駆動される垂直駆動部55である。操作ノブ51は、水平駆動部54に形成される突部54aと嵌合し、回転スライド部材60のスライド操作により水平駆動部54がスライドする。回転駆動部53には、水平駆動部54を案内する水平案内部53aが形成されているから、水平駆動部54を案内がスライドしても、回転駆動部53の動作には影響しない。一方、回転スライド部材60を回転操作したときには、水平駆動部54と共に回転駆動部53が回転する。
【0042】
回転駆動部53は一部材からなり、前述の水平案内部53aと、第1の実施形態と同様の凹凸部53bが形成される。凹凸部53bには、回転駆動部53の回転に伴い、上部ハウジング61との間で付勢部材70に付勢された係脱部材71が係脱して、回転操作に対するクリック感触を付与する。また、回転駆動部53の水平案内部53a内にも付勢部材70及び係脱部材71が設けられ、水平駆動部54のスライドに伴い係脱部材71が水平案内部53a内で係脱し、スライド操作に対するクリック感触も付与する。
【0043】
回転駆動部53の下部には、スイッチ52を駆動するための垂直駆動部55と、この垂直駆動部55を案内するガイド部材56が設けられる。垂直駆動部55は、4枚の羽根状に形成された揺動レバー63と、揺動レバー63によって上下する駆動体64とからなっている。揺動レバー63は、それぞれ2箇所に押圧突起63aを備えている。押圧突起63aは、中心側が傾斜面状に形成されており、この傾斜面部分が水平駆動部54によって押圧される。押圧突起63aは周方向に全部で8つ形成されており、操作ノブ51の各回転位置の全てにおいて、スライド操作に対応していずれか1つが水平駆動部54によって押圧されるように配置されている。
【0044】
揺動レバー63は、中心側の辺を回動中心として揺動自在となるようにガイド部材56に支持されており、揺動レバー63のうち1つが水平駆動部54により中心側から外周側に押圧されると、揺動レバー63は中心側の辺を中心として上下に揺動する。この動作により、4つの駆動体64のうち対応する1つが上下に駆動される。これにより、4つのスイッチ52のうち1つが切替わることとなる。ガイド部材56は、前述のように揺動レバー63を揺動自在に保持する揺動保持部56aと、駆動体64の外周面を保持して、駆動体64を上下方向に移動可能とする垂直案内部56bとを、それぞれ4つずつ有している。これらの構成により、操作ノブ51は、回転位置及びスライド操作の正負方向のいずれにおいても、4つのスイッチ52のうち1つを切替駆動する。
【0045】
回転軸部材57は、軸状のシャフト部57aを備え、シャフト部57aの一端部に形成される切替部57bと反対側の端部に、回転駆動部53の回転軸連結部53cと連結される連結部57cが形成されている。これにより、回転軸部材57は回転駆動部53と共に回転することができる。
【0046】
スイッチ装置4の電気的構成についても説明する。図7には、第2の実施形態におけるスイッチ装置4の回路図を示している。本実施形態でも、入力端子58と出力端子59は、一対をなしている。入力端子58は、グランド端子GNDと電源端子+Bとからなり、出力端子59は、第1端子M1と第2端子M2とからなっている。モーター2の回転方向は、第1の実施形態と同様に定義する。
【0047】
本実施形態では、操作ノブ51のスライド操作にのみ対応してスイッチ52の操作がなされるから、4つのスイッチ52(S1−1、S1−2、S2−1、S2−2)は全て同じ構成を有している。これらのスイッチ52は、操作されていない状態では、出力端子59の第1端子M1及び第2端子M2を、それぞれ入力端子58のグランド端子GND側に接続している。
【0048】
操作ノブ51がスライド操作されると、前述のようにいずれか1つのスイッチ52が切替えられる。スイッチS1−1またはS2−1が切替駆動された場合、第1端子M1は電源端子+Bに接続され、第2端子M2はグランド端子GNDに接続されたままであるので、電流は第1端子M1からモーター2を経て第2端子M2に流れ、モーター2は正方向に回転する。一方、スイッチS1−2またはS2−2が切替駆動された場合、第2端子M2は電源端子+Bに接続され、第1端子M1はグランド端子GNDに接続されたままであるので、電流は第2端子M2からモーター2を経て第1端子M1に流れ、モーター2は負方向に回転する。
【0049】
そして、操作ノブ51の回転位置に応じて、回転軸部材57は切替機構3を対応する駆動軸にモーター2を接続しているから、上記スライド操作により、シート1の所望の動作が行われる。
【0050】
このように、一部材の操作ノブ51により回転操作及びスライド操作の両方を行うようにし、操作ノブ51の回転位置によらずスライド操作によりスイッチ52の駆動が可能となるようにしたことで、回転操作とスライド操作で操作ノブ51を持ち替える必要がなく、シート1の複数動作に対する操作をより容易かつ確実に行うことができる。
【0051】
なお、第2の実施形態では、シート1について3種類の動作を想定し、この3種類の動作を切替可能となるように構成しているが、図6に示すように、スイッチ52及びこれらに対応する垂直駆動部55は、それぞれ4つずつが設けられているから、操作ノブ51における4箇所の回転操作位置に対応させることもできる。したがって、第2の実施形態の場合には、そのままの構成でもう1種類の動作、例えば座面1aのチルト動作などを行わせる場合に、その切替操作を行うこともできる。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。
【符号の説明】
【0053】
1 シート
2 モーター
3 切替機構
4 スイッチ装置
10 ハウジング
11 操作ノブ
12 スイッチ
13 回転駆動部
14 水平駆動部
15 回転軸部材
50 ハウジング
51 操作ノブ
52 スイッチ
53 回転駆動部
54 水平駆動部
55 垂直駆動部
56 ガイド部材
57 回転軸部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内に一対の入力端子と出力端子の間の切替をなすスイッチを備え、前記ハウジングにはスイッチを切替える操作ノブが設けられるスイッチ装置において、
前記操作ノブは、前記ハウジングに対して複数回転位置に回転操作自在とされると共に、前記複数回転位置のそれぞれで正負二方向にスライド操作自在とされ、前記操作ノブには前記回転操作に伴い回転する回転軸部材が連係され、
前記スイッチは前記操作ノブが前記複数回転位置のいずれにあっても前記正負二方向の操作により各方向に対応した出力をなし、前記回転軸部材は回転に伴い外部の切替機構を駆動する切替部を有することを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記操作ノブは、前記ハウジングに対して回転自在な回転部材と、該回転部材と共に回転自在で前記回転部材に対してスライド自在なスライド部材とからなり、
前記ハウジングには前記回転部材と共に回転自在な回転駆動部と、該回転駆動部に対し前記スライド部材と共にスライド自在な水平駆動部とが設けられると共に、前記回転駆動部には前記回転軸部材が連結され、
前記スイッチは、前記回転駆動部に設けられて前記水平駆動部のスライドによって切替えられるスライド連動スイッチと、前記回転駆動部の回転によって切替えられる回転連動スイッチとからなり、該回転連動スイッチは、前記回転駆動部に設けられる可動接点と前記ハウジングに設けられる固定接点とからなると共に、前記操作ノブの複数回転位置のそれぞれで前記スライド連動スイッチを前記入力端子及び出力端子に接続し、前記スライド連動スイッチは前記正負二方向の操作に対応して前記入力端子と出力端子の間の接続状態を切替えることを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記操作ノブは、前記ハウジングに対して回転自在かつ前記複数回転位置のそれぞれでスライド自在な回転スライド部材からなり、
前記ハウジングには前記回転スライド部材と共に回転自在な回転駆動部と、該回転駆動部に対し前記回転スライド部材と共にスライド自在な水平駆動部と、前記複数回転位置における前記水平駆動部のスライドにより垂直方向に沿って押圧される複数の垂直駆動部とが設けられると共に、前記回転駆動部には前記回転軸部材が連結され、
前記スイッチは、前記複数の垂直駆動部に対向してそれぞれ前記ハウジングに設置され、前記操作ノブの複数回転位置のそれぞれで前記垂直駆動部が駆動されるのに伴い、前記入力端子と出力端子の間の接続状態を切替えることを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−146429(P2012−146429A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2698(P2011−2698)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】