説明

スイッチ装置

【課題】部品の破損などの不具合を起こすことなく、安定したオンオフ動作を可能にするスイッチ装置を提供する。
【解決手段】固定接点3bと、固定接点3bに対して接触位置と非接触位置との間を変位可能な可動接点3aと、可動接点3aが接触位置にあるときに可動接点3aとの間に段差を形成するガイドステージ4と、可動接点3aの変位方向と直交する方向に沿ってスライド可能であって、第2の位置から第1の位置の方向に付勢されたスライドバー5と、スライドバー5によって可動接点3aの変位方向と平行な方向に沿って移動可能に保持され、ガイドステージ4および可動接点3aの方向に付勢された転動ボール6と、を有し、転動ボール6は、スライドバー5がスライドすることにより、ガイドステージ4に当接して押圧される第1の位置と、可動接点3aを接触位置に移動させ、それにより形成される段差に係合する第2の位置との間で移動可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、配線基板上に表面実装される小型のスイッチ装置として、操作ボタンの移動方向(押圧方向)が配線基板の面方向に平行なライトアングルタイプのスイッチ装置が用いられている。
【0003】
このようなスイッチ装置では、多くの場合、操作ボタンに対する押圧力が、その方向を変えずに、可動接点を介して固定接点に作用するような構成が採用されている。そのため、この構成では、操作ボタンを押圧すると、固定接点に対するのと同様に、配線基板とスイッチ装置とのはんだ接続部に対しても配線基板の面方向と平行な力が作用することになる。したがって、操作ボタンに想定外の力がかかった場合、はんだ接続部には配線基板の面方向と平行に過度な力が作用してしまい、はんだ接続部の強度が低下するという不具合が生じる虞がある。
【0004】
これに対して、例えば特許文献2には、操作ボタン(操作部)の押圧方向と、固定接点(固定接点板)に対する可動接点(可動接片)の押圧方向とが異なるスイッチ装置が開示されている。このスイッチ装置では、操作部が配線基板の面方向と平行に押し込まれると、操作部に接続された操作棒が配線基板の面方向にたわみ、これにより可動接片を介して、固定接点板が配線基板の面方向とほぼ直交する方向に押圧されている。その結果、操作部に過度な力が作用した場合でも、はんだ接続部には配線基板と直交する方向に力がかかるため、はんだ接続部の強度が低下するのを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−250449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したスイッチ装置では、操作棒がたわむことで操作部に対する押圧力の方向を変換しているため、長期間の使用では、操作棒にストレスが発生して破損などの不具合を引き起こすことがある。その場合には、安定したオンオフ動作が実現できなくなる。
【0007】
そこで本発明は、操作部材に対する押圧方向と接点に対する押圧方向とが異なるスイッチ装置において、部品の破損などの不具合を起こすことなく、安定したオンオフ動作を可能にする構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために、本発明のスイッチ装置は、固定接点と、固定接点と接触する接触位置と固定接点と接触しない非接触位置との間で変位可能であって、非接触位置の方向に付勢された可動接点と、可動接点の周囲に設けられ、可動接点が接触位置にあるときに可動接点との間に段差を形成するガイドステージと、可動接点の変位方向と実質的に直交する方向に沿って、第1の位置と第2の位置との間でスライド可能であって、第1の位置の方向に付勢されたスライドバーと、スライドバーによって可動接点の変位方向と実質的に平行な方向に移動可能に保持され、付勢部材によってガイドステージおよび可動接点の方向に付勢された転動ボールと、を有している。転動ボールは、スライドバーがスライドすることにより、ガイドステージに当接して、付勢部材による付勢力に抗してガイドステージに押圧される第1の位置と、付勢部材による付勢力によって可動接点を接触位置に変位させ、段差に係合する第2の位置との間で移動可能である。
【発明の効果】
【0009】
以上、本発明によれば、操作部材に対する押圧方向と接点に対する押圧方向とが異なるスイッチ装置において、部品の破損などの不具合を起こすことなく、安定したオンオフ動作を可能にする構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態におけるスイッチ装置を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態におけるスイッチ装置を概略的に示す断面図である。本実施形態のスイッチ装置は、操作部材(操作ボタン)に対する押圧方向が配線基板の面方向と平行になるように、配線基板上に表面実装されるスイッチ装置である。図1は、本実施形態のスイッチ装置の、配線基板に対して垂直な方向の断面を示している。
【0013】
本実施形態のスイッチ装置1は、ハウジング2と、ハウジング2内部に固定されたスイッチ部3と、スイッチ部3上に設けられたガイドステージ4とを有している。
【0014】
スイッチ部3は、可動接点3aと固定接点3bとを有している。可動接点3aは、弾性変形可能な球面状の部材からなり、固定接点3bと接触しない非接触位置(図1(a))参照)と、押圧されて変形し、固定接点3bと接触する接触位置(図1(b)参照)との間で変位可能に構成されている。スイッチ部3、すなわちスイッチ装置1の導通は、可動接点3aが押圧されて接触位置に変位し、固定接点3bと接触することで達成される。可動接点3aは、非接触位置の方向に付勢されており、したがって、押圧を解除すると、接触位置から非接触位置に復帰することができる。
【0015】
ガイドステージ4は、可動接点3aの周囲に設けられ、可動接点3aが押し込まれて接触位置にあるときに、可動接点3aとの間に段差を形成するようになっている。ガイドステージ4の上面は、可動接点3aの固定接点3bに対する変位方向(図で見て上下方向)に対してほぼ垂直になるように設けられ、本実施形態では、可動接点3aの上面とほぼ同じ位置に配置されている。
【0016】
さらに、スイッチ装置1は、ハウジング2内部に組み込まれたスライドバー5と、スライドバー5に保持された転動ボール6とを有している。スライドバー5は、ハウジング2内部に設けられた、スライドレール7などのガイド構造によって、図1(a)に示す初期位置(第1の位置)と図1(b)に示す導通位置(第2の位置)との間をスライド可能に支持されている。スライドバー5のスライド方向は、可動接点3aの変位方向とほぼ直交する方向(図中矢印A参照)である。スライドバー5には、スライドバー5のスライド方向に沿ってハウジング2を貫通して延びるロッド部材5aが設けられている。ロッド部材5aの先端に設けられた操作ボタン5bとハウジング2との間には、スライドバー5を初期位置の方向に付勢する、ばね8などの付勢部材が設けられている。これにより、スライドバー5は、ロッド部材5aを押し込むことで、図1(b)に示す導通位置に移動することができ、押し込みを解除すると、ばね8の付勢力によって、図1(a)に示す初期位置に復帰することができる。
【0017】
転動ボール6は、スライドバー5によって、可動接点3aの変位方向とほぼ平行な方向(図中矢印B参照)に移動可能に保持され、ばね9などの付勢部材によって、ガイドステージ4および可動接点3aの方向に付勢されている。ばね9によって付勢された転動ボール6は、初期位置では、ガイドステージ4に当接し、ばね9による付勢力に抗してガイドステージ4に押圧されている(図1(a)参照)。この初期位置から、転動ボール6は、スライドバー5の移動に応じて、ガイドステージ4の上面を転がりながら導通位置に向かって移動することができる。可動接点3aに対向する導通位置では、転動ボール6は、ばね9による付勢力によって可動接点3aを接触位置に変位(弾性変形)させ、それによって形成された段差に係合している(図1(b)参照)。
【0018】
ここで、本実施形態のスイッチ装置1のオンオフ動作、すなわち転動ボール6が初期位置から導通位置へと移動し、その後再び初期位置へ戻るまでの動作について説明する。
【0019】
図1(a)に示す初期位置では、転動ボール6は、上述したように、ガイドステージ4に当接し、ガイドステージ4によってばね9による付勢方向と反対方向に押圧されている。ロッド部材5aの操作ボタン5bをハウジング2内部に押し込むと、スライドバー5は、初期位置から導通位置に向かってスライドする。そのとき、転動ボール6は、ガイドステージ4の上面を転がりながら移動する。そして、ガイドステージ4を通過して可動接点3aに達すると、転動ボール6は、ガイドステージ4による押圧から解放され、ばね9による付勢力によって可動接点3aを押圧する。こうして、転動ボール6は、可動接点3aを接触位置に変位させ、それによって形成される段差に係合する。これにより、図1(b)に示す導通位置では、転動ボール6が可動接点3aと固定接点3bとを接触させ、スイッチ装置1の導通が確保される。
【0020】
一方、ロッド部材5aの押し込みを解除すると、スライドバー5は、ばね8による付勢力によって、導通位置から初期位置へ復帰しようとする。このとき、転動ボール6は、ばね9による付勢力に打ち勝って、接触位置にあるときの可動接点3aとガイドステージ4との間に形成された段差を乗り越えることができるように構成されている。すなわち、転動ボール6は、導通位置から初期位置に向かって移動する際に、可動接点3aとガイドステージ4との間の段差を乗り越えて、ガイドステージ4の上面に移動することができる。こうして、ロッド部材5aの押し込みが解除され、スイッチ部3の導通が解除されると、転動ボール6は、再びガイドステージ4の上面を転がりながら、図1(a)に示す初期位置まで戻ることができる。
【0021】
以上のように、本実施形態のスイッチ装置では、操作ボタンに対する押圧の方向が、スライドバーと、スライドバーのスライド方向と交差する方向に移動可能な転動ボールとによって変換されている。すなわち、配線基板の面方向に平行な方向から垂直な方向への押圧方向の変換が、機械的な機構によって実現されている。これにより、安定したストローク管理が可能となり、長期間の使用でも、部品の破損などの不具合を引き起こすことなく、安定してスイッチ装置のオンオフ動作を行うことが可能となる。
【0022】
なお、上述したように、接触位置にあるときの可動接点3aと、ガイドステージ4との間に形成される段差は、転動ボール6が導通位置から初期位置へ移動する際に容易に乗り越えることができる程度の段差であればよい。すなわち、段差は、スライドバー5を初期位置の方向に付勢するばね8の付勢力や、転動ボール6を可動接点3aの方向に付勢するばね9の付勢力に応じて、最適な大きさに設計することができる。典型的には、段差の大きさが、転動ボール6の直径の半分以下であるように構成されていることが好ましい。さらには、導通位置にある転動ボール6をガイドステージ4上に容易に移動させるために、ガイドステージ4の、可動接点3aに隣接した角部が曲面状に形成されていてもよい。
【0023】
ガイドステージ4の上面は、本実施形態では、可動接点3aの上面とほぼ同じ高さに設定されていたが、これに限定されず、可動接点3aの上面より高くなっていてもよい。あるいは、ガイドステージ4の上面は、転動ボール6がロッド部材5aの押し込みによって可動接点3aの位置に移動して、可動接点3aを押圧することができれば、可動接点3aの上面より低くなっていてもよい。
【0024】
スイッチ部の構成についても、本実施形態で説明した構成に限定されることはなく、例えば、一般的に入手可能な汎用のスイッチを利用することもできる。
【符号の説明】
【0025】
1 スイッチ装置
2 ハウジング
3 スイッチ部
3a 可動接点
3b 固定接点
4 ガイドステージ
5 スライドバー
5a ロッド部材
5b 操作ボタン
6 転動ボール
7 スライドレール
8,9 ばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定接点と、
前記固定接点と接触する接触位置と該固定接点と接触しない非接触位置との間で変位可能であって、前記非接触位置の方向に付勢された可動接点と、
前記可動接点の周囲に設けられ、前記可動接点が前記接触位置にあるときに該可動接点との間に段差を形成するガイドステージと、
前記可動接点の変位方向と実質的に直交する方向に沿って、第1の位置と第2の位置との間でスライド可能であって、前記第1の位置の方向に付勢されたスライドバーと、
前記スライドバーによって前記可動接点の変位方向と実質的に平行な方向に移動可能に保持され、付勢部材によって前記ガイドステージおよび前記可動接点の方向に付勢された転動ボールと、を有し、
前記転動ボールは、前記スライドバーがスライドすることにより、前記ガイドステージに当接して、前記付勢部材による付勢力に抗して該ガイドステージに押圧される前記第1の位置と、前記付勢部材による付勢力によって前記可動接点を前記接触位置に変位させ、前記段差に係合する前記第2の位置との間で移動可能である、
スイッチ装置。
【請求項2】
前記ガイドステージの、前記可動接点に隣接した角部が、曲面状に形成されている、請求項1に記載のスイッチ装置。

【図1】
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【公開番号】特開2012−185993(P2012−185993A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47936(P2011−47936)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】