説明

スイッチ装置

【課題】ライトスイッチノブをヘッドライトの点灯位置からテールライトの点灯位置へ回転操作した際に、フォグスイッチノブをフォグライトの点灯位置から消灯位置に自動復帰させることを可能としたスイッチ装置を提供する。
【解決手段】スイッチ装置1は、テールライト及びヘッドライトを消灯するオフ位置、テールライトを点灯するテール位置、並びにヘッドライトを点灯するヘッド位置の間を回転可能に構成された第1のスイッチノブ40と、第1のスイッチノブ40とは同軸上に配置され、フォグライトを点灯するオン位置、及びフォグライトを消灯するオフ位置の間を回転可能に構成された第2のスイッチノブ20と、第2のスイッチノブ20がオン位置にあって第1のスイッチノブ40がヘッド位置からテール位置に回転した際に、第1のスイッチノブの回転操作に連動して第2のスイッチノブ20をオン位置からオフ位置に自動復帰させる自動復帰機構51とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車等の車両に搭載された各種のライトの点灯消灯操作を行う操作レバーを備えたスイッチ装置に係わり、特に、操作レバーの軸回りに設けられた回転ノブの回転に応じて各種のライトの点灯消灯操作を行うスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のヘッドライト及びテールライトの点灯消灯状態を手動切り替え可能なライトスイッチノブと、リアフォグライトの点灯消灯状態を手動切り替え可能なリアフォグスイッチノブとが、ステアリングコラムの側部に同軸配置されたレバースイッチがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この特許文献1記載の従来のレバースイッチは、ライトスイッチノブがヘッドライトの点灯位置以外にあるときはリアフォグスイッチノブを点灯させることができないように構成されるとともに、ライトスイッチノブをヘッドライトの点灯位置から消灯位置に回転させたときにリアフォグスイッチノブをリアフォグライトの点灯位置から消灯位置に自動復帰させるように構成されている。この構成により、この従来のレバースイッチは、リアフォグライトの消し忘れを防止するとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−282875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば欧州のように冬季の日照量が少ない地域においては、昼間に自動車を走行させる際に自動車前方のライトを点灯させるデイタイム・ランニング・ランプ法(DRL法)が制定されている。このDRL法下で自動車を走行させるためには、例えば昼間の自動車走行時にヘッドライトを減灯するDRL装置を自動車に取り付ける必要がある。
【0006】
ところが、欧州法規の改正により、ライトスイッチノブがテールライトの点灯位置にあるときにはリアフォグライトを点灯させることが禁止され、そのテールライトの点灯位置においては、リアフォグライトを消灯させることが必要となった。そのため、ライトスイッチノブをヘッドライトの点灯位置からテールライトの点灯位置に切り替えるときには、リアフォグスイッチノブをリアフォグライトの点灯位置から消灯位置に自動復帰させる機構の出現が求められている。
【0007】
上記特許文献1に記載された従来のレバースイッチは、リアフォグスイッチノブがリアフォグライトの点灯位置にあるとき、ライトスイッチノブをヘッドライトの点灯位置からテールライトの点灯位置に切り替えても、リアフォグスイッチノブはリアフォグライトの点灯位置から消灯位置に自動復帰しない。よって、この従来のレバースイッチの構造は、欧州法規を満足しない。
【0008】
本発明の目的は、ライトスイッチノブをヘッドライトの点灯位置からテールライトの点灯位置へ回転操作した際に、フォグスイッチノブをフォグライトの点灯位置から消灯位置に自動復帰させることを可能としたスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]本発明は、テールライト及びヘッドライトを消灯するオフ位置、前記テールライトを点灯するテール位置、並びに前記ヘッドライトを点灯するヘッド位置の間を回転可能に構成された第1のスイッチノブと、前記第1のスイッチノブとは同軸上に配置され、フォグライトを点灯するオン位置、及び前記フォグライトを消灯するオフ位置の間を回転可能に構成された第2のスイッチノブと、前記第2のスイッチノブが前記オン位置にあって前記第1のスイッチノブを前記ヘッド位置から前記テール位置に回転操作した際に、前記第1のスイッチノブの回転操作に連動して前記第2のスイッチノブを前記オン位置から前記オフ位置に自動復帰させる自動復帰機構を備えたことを特徴とするスイッチ装置にある。
【0010】
[2]上記[1]記載の発明にあって、前記自動復帰機構は、前記第1のスイッチノブに設けられた第1の移動部材と、前記第2のスイッチノブに設けられた第1の挿脱部とを備えており、前記第1の移動部材は、前記第1のスイッチノブの回転操作に伴い回転軸線方向に進退移動するように構成されるとともに、前記第1の挿脱部は、前記第1の移動部材が挿脱するように構成されており、前記第1のスイッチノブを前記テール位置から前記ヘッド位置に回転操作した際に、前記第1の移動部材が前記第1の挿脱部に挿入して係合され、前記第1のスイッチノブを前記ヘッド位置から前記テール位置に回転操作した際に、前記第1の移動部材が前記第1の挿脱部の側面を押し付けながら回転することで、前記第1の挿脱部から離脱することを特徴としている。
[3]上記[2]記載の発明にあって、前記第1のスイッチノブが前記ヘッド位置以外にあるときには前記第2のスイッチノブの回転操作を禁止するともに、前記第1のスイッチノブが前記ヘッド位置にあるときには前記第2のスイッチノブの回転操作を許容する回転規制機構を更に備え、前記回転規制機構は、前記第1の移動部材とは互い違いに進退移動する第2の移動部材と、前記第2の移動部材が挿脱する第2の挿脱部とを備えており、前記第1のスイッチノブを前記ヘッド位置から前記テール位置に回転操作した際に、前記第2の移動部材が前記第2の挿脱部に挿入して係合されるように構成されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第1のスイッチノブをヘッドライトの点灯位置からテールライトの点灯位置へ回転操作した際に、第1のスイッチノブの回転操作に機械的に連動して第2のスイッチノブをフォグライトの点灯位置から消灯位置に自動復帰させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に好適な実施の形態に係るスイッチ装置の外観を模式的に示す図である。
【図2】実施の形態に係るスイッチ装置を概略的に示す分解斜視図である。
【図3】実施の形態に係るライトスイッチノブに対するリアフォグスイッチノブの設定動作及び自動復帰動作の関係を説明するための図である。
【図4】実施の形態に係るスイッチ装置の動作を説明するための図であり、(a)はライトスイッチノブがヘッド位置にあり、リアフォグスイッチノブがオン位置にあるときの回転規制機構と自動復帰機構との位置関係を示す図、(b)はライトスイッチノブがテール位置にあり、リアフォグスイッチノブがオフ位置にあるときの回転規制機構と自動復帰機構との位置関係を示す図であり、(c)はライトスイッチノブとリアフォグスイッチノブとがオフ位置にあるときの回転規制機構と自動復帰機構との位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。
【0014】
(スイッチ装置の構成)
図1及び図2において、全体を示す符号1は、この実施の形態に係る典型的なスイッチ装置を模式的に示している。このスイッチ装置1は、例えば自動車のステアリングコラムの側部に支持される支持部材の筒状支持部2を備えており、その支持部材を介して前後上下方向に傾動可能に配置されたコンビネーションレバースイッチとして適用される。
【0015】
このスイッチ装置1は、図1及び図2に示すように、筒状支持部2を覆う筒状のノブカバー10に対して、リアフォグスイッチノブ20(以下、「フォグSWノブ20」という。)、固定ノブ30及びライトスイッチノブ40(以下、「ライトSWノブ40」という。)を同軸上に順次配列した構成となっている。このノブカバー10、フォグSWノブ20、固定ノブ30及びライトSWノブ40は、樹脂材により形成されている。
【0016】
このフォグSWノブ20は、図1及び図2に示すように、固定ノブ30に対してリアフォグランプを点灯するオン(ON)位置、及びリアフォグライトを消灯するオフ(OFF)位置に回転可能に構成されている。ライトSWノブ40は、固定ノブ30に対してテールライト及びヘッドライトを消灯するオフ(OFF)位置、テールライトを点灯するテール(TAIL)位置、並びにヘッドライトを点灯するヘッド(HEAD)位置に回転可能に構成されている。
【0017】
このフォグSWノブ20は、図2に示すように、固定ノブ30側に開口した収容部21を有している。固定ノブ30は、ライトSWノブ40側に開口した収容部31を有している。このライトSWノブ40は、固定ノブ30側に開口した収容部41を有している。
【0018】
自動車のステアリングコラムの側部に配置される筒状支持部2のフォグSWノブ20側には、図2に示すように、中空軸3がスイッチレバーの回転軸線上に沿って突出して形成されている。この中空軸3の内周には、ライトSWノブ40に連結固定されるライトレバー軸4が挿入される。この中空軸3の外周には、フォグSWノブ20が周方向に回転可能に支持されるとともに、固定ノブ30が回転不能に支持される。この中空軸3とライトレバー軸4とにより、スイッチ装置1が内外二重軸構造とされる。
【0019】
(フォグSWノブの構成)
このフォグSWノブ20の収容部21の底部には、図2に示すように、円筒部22が回転軸線上に沿って筒状支持部2側に突出して形成されている。この円筒部22は大径筒部22aと小径筒部22bとからなる。その小径筒部22bの外周には、図示しない固定手段により円環状の接触端子5が固定支持される。その接触端子5と電気的に接断する固定端子6が一体形成された円盤状のインシュレータ7は、図示しない固定手段により筒状支持部2に固定支持される。
【0020】
この接触端子5がフォグSWノブ20と一緒に回転することで、接触端子5と固定端子6とが、フォグSWノブ20のオフ位置とオン位置とに対応した位置に切り替えられる。これにより、フォグSWノブ20のスイッチ接点機構が構成される。
【0021】
(固定ノブの構成)
この固定ノブ30の収容部31の底部には、図2に示すように、筒状支持部2の中空軸3に支持される支持孔32が回転軸線上に形成されている。その底部の支持孔32を中心とする同一円周上には、対向配置された一対のフォグスイッチ節度部(以下、「フォグSW節度部」という。)33,33が一体形成されている。このフォグSW節度部33の先端部には、一つの山部の両側に二つの谷部を有する凹凸部が形成されている。この二つの谷部である凹部33a,33aの周方向側面に当接することでフォグSWノブ20の回転範囲が規制されている。
【0022】
このフォグSW節度部33が収容されるフォグSWノブ20の収容部21内には、図示しない2つのばね受部がフォグSW節度部33とは同心円をなす同一の円周上に対向して形成されている。これらのばね受部には、図2に示すように、付勢部材であるコイルばね34を介して球状のフォグ節度ピース35がそれぞれ保持される。このフォグ節度ピース35は、コイルばね34の弾力によりフォグSW節度部33に常時付勢される。
【0023】
このフォグSW節度部33の凹凸部に対してフォグ節度ピース35が弾性的に当接して係合と解除を繰り返すことで、フォグSWノブ20は、固定ノブ30に対して所定の回転角度に節度をもって回転するようになっている。このフォグ節度ピース35がコイルばね34の弾力によりフォグSW節度部33の凹部33aに係合することで、フォグSWノブ20のノブ操作位置を保持するようになっている。このフォグSW節度部33の一側の凹部33aは、リアフォグライトのオン位置に対応するとともに、他側の凹部33aはリアフォグライトのオフ位置に対応する。
【0024】
(ライトSWノブの構成)
このライトSWノブ40の収容部41の底部には、図2に示すように、ライトレバー軸4に支持される円筒状の取付ボス部42が回転軸線上に沿って固定ノブ30側に突出して形成されている。ライトレバー軸4の一端部が取付ボス部42内に挿入された状態で圧入ピン8をライトレバー軸4に形成された圧入孔4aに圧入固定することで、ライトSWノブ40がライトレバー軸4と一緒に回転可能に固定保持される。
【0025】
このライトレバー軸4の他端部には、図2に示すように、ライトレバー軸4の回転時においてライトSWノブ40の図示しないライトスイッチの接点を切り替えるカム4bが固定されている。ライトSWノブ40の回転操作に伴いカム4bが一体に回転することで、ライトスイッチの接点がライトSWノブ40のオフ位置、テール位置、及びヘッド位置に対応した位置に切り替えられる。これにより、ライトSWノブ40のスイッチ接点機構が構成される。
【0026】
このライトSWノブ40の収容部41内には、図2に示すように、取付ボス部42を中心とする同一円周上に対向配置された一対のライトスイッチ節度部(以下、「ライトSW節度部」という。)43,43が形成されている。このライトSW節度部43の先端部には、二つの山部により三つ谷部を有する凹凸部が形成されている。中間の谷部である凹部43aの両側に形成された二つの谷部である凹部43a,43aの周方向側面に当接することでライトSWノブ40の回転範囲が規制されている。
【0027】
このライトSW節度部43が収容される固定ノブ30の収容部31内には、図示しない2つのばね受部がライトSW節度部43とは同心円をなす同一の円周上に対向して形成されている。このばね受部のそれぞれには、図2に示すように、コイルばね44を介してライト節度ピース45が保持される。このライト節度ピース45は、コイルばね44の弾力によりライトSW節度部43側に常時付勢される。
【0028】
このライトSW節度部43の凹凸部に対してライト節度ピース45が弾性的に当接して係合と解除を繰り返すことで、ライトSWノブ40は、固定ノブ30に対して所定の回転角度に節度をもって回転するようになっている。このライト節度ピース45がコイルばね44の弾力に基づきライトSW節度部43の凹部43aに係合することで、ライトSWノブ40のノブ操作位置を保持するようになっている。このライトSW節度部43の一側の凹部43aは、ヘッドライト及びテールライトのオフ位置に対応するとともに、中間の凹部43aは、テールライトのオン位置に対応し、他側の凹部43aは、ヘッドライトのオン位置に対応する。
【0029】
(回転規制機構の構成)
この実施の形態に係るスイッチ装置1は、フォグSWノブ20の回転を規制する回転規制機構を備えている。この回転規制機構は、図2に示すように、フォグSWノブ20の回転を規制する移動部材である回転阻止部材46と、ライトSWノブ40の回転操作に伴って回転阻止部材46を回転軸線方向に進退移動させる回転規制レバー47とにより主に構成されている。この回転阻止部材46は、ライトSWノブ40がヘッドライトのオン位置以外にあるときにはフォグSWノブ20の回転操作を禁止するとともに、ライトSWノブ40がヘッドライトのオン位置にあるときにはフォグSWノブ20の回転操作を許容するようになっている。
【0030】
このライトSWノブ40の収容部41内には、図2に示すように、固定ノブ30に向けて延びる板状の回転規制レバー47が形成されており、その回転規制レバー47の先端には、回転規制突起47aが突出形成されている。この回転規制突起47aは、ライトSWノブ40の回転操作に伴ってフォグSWノブ20の回転を規制する回転阻止部材46に常時当接するようになっている。
【0031】
この固定ノブ30の収容部31内の径方向外側寄りの部位には、図2に示すように、固定ノブ内周面と同等の曲率をもって湾曲する湾曲面を有する回転阻止部材46がコイルばね48を介して回転軸線方向に進退可能に収容される。このコイルばね48の一端は、固定ノブ30の収容部31内に形成された図示しないばね受部に保持されるとともに、コイルばね48の他端が回転阻止部材46をライトSWノブ40側に向けて付勢するようになっている。
【0032】
この回転阻止部材46のライトSWノブ40側の一端部には、ライトSWノブ40の回転運動を回転阻止部材46の直線運動に変換するカム部46aが形成されている。このカム部46aは、高位カム面46bと低位カム面46cとを有しており、傾斜した段差面46dを介して高位カム面46bが低位カム面46cよりもライトSWノブ40側に高くなるように構成されている。この回転阻止部材46の固定ノブ30側の他端部には、フォグSWノブ20の回転規制状態を解除する回転阻止片46eが回転軸線方向に突出形成されている。
【0033】
この回転阻止部材46の高位カム面46bと低位カム面46cとが回転規制レバー47の回転規制突起47aに接触するように配置される。この高位カム面46bと低位カム面46cとの間に傾斜した段差面46dを有するカム部46aを形成することで、ライトSWノブ40のヘッド位置方向の回転操作に応じて回転阻止部材46がフォグSWノブ20から固定ノブ30へ向けて直線的に退避移動するとともに、ライトSWノブ40のオフ位置方向の回転操作に応じて回転阻止部材46が固定ノブ30からフォグSWノブ20へ向けて直線的に進出移動するようになっている。
【0034】
この固定ノブ30の回転阻止部材46と対応する収容部31の底部には、図2に示すように、ストッパー挿入孔36が貫通して形成されている。フォグSWノブ20の回転阻止部材46と対応する収容部21の底部には、回転阻止部材46の挿脱部となるストッパー係止孔23が貫通形成されている。
【0035】
このライトSWノブ40がオフ位置又はテール位置に回転操作された際に、回転規制レバー47の回転規制突起47aが回転阻止部材46の高位カム面46bに停止した状態となる。この回転阻止部材46は、ライトSWノブ40の回転操作により高位カム面46bを介してコイルばね48の弾力に抗してライトSWノブ40の回転規制レバー47の回転規制突起47aに押し込まれる。これにより、この回転阻止部材46はフォグSWノブ20側に進出移動し、回転阻止部材46の回転阻止片46eが、固定ノブ30のストッパー挿入孔36を介してフォグSWノブ20のストッパー係止孔23に入り込んで係止するようになっている。
【0036】
このフォグSWノブ20のストッパー係止孔23内に回転阻止部材46の回転阻止片46eを係止させることで、フォグSWノブ20の回転範囲が規制される。これにより、回転規制機構がフォグSWノブ20の回転操作を禁止するロック状態となり、フォグSWノブ20の回転操作が不能となる。
【0037】
このライトSWノブ40がヘッド位置に回転操作された際に、回転規制レバー47の回転規制突起47aが回転阻止部材46の低位カム面46cに停止した状態となる。この回転阻止部材46は、ライトSWノブ40側の向きの付勢力により押圧されてライトSWノブ40側に退避移動し、回転阻止部材46の回転阻止片46aがフォグSWノブ20のストッパー係止孔23から離脱するようになっている。これにより、回転規制機構がフォグSWノブ20の回転操作を許容するアンロック状態となり、フォグSWノブ20の回転操作が可能となる。
【0038】
(自動復帰機構の構成)
上記のように構成されたスイッチ装置1の基本の構成は、フォグSWノブ20がオン位置にあってライトSWノブ40をヘッド位置からテール位置に回転操作した際に、ライトSWノブ40の回転操作に機械的に連動して、フォグSWノブ20をオン位置からオフ位置へ自動的に復帰させる自動復帰機構を備えたことにある。
【0039】
上記回転規制機構にあっては、回転不能な固定ノブ30の収容部31内に回転阻止部材46を回転軸線方向に進退可能に収容していたものを、この自動復帰機構では、回転可能なライトSWノブ40の収容部41内に自動復帰部材51を回転阻止部材46とは互い違いに回転軸線方向に進退可能に収容した点で、上記回転規制機構とは異なっている。
【0040】
この自動復帰機構は、図2に示すように、ライトSWノブ40の回転方向に応じてフォグSWノブ20を機械的に同期回転させるための移動部材である自動復帰部材51により主に構成されている。固定ノブ30の収容部31内には、ライトSWノブ40に向けて延びる連動レバー37が形成されており、その連動レバー37の先端には、連動突起37aが突出して形成されている。この連動突起37aは、自動復帰部材51に常時当接するようになっている。
【0041】
このライトSWノブ40の収容部41内には、図2に示すように、収容部41の内周面と同等の曲率をもって湾曲する湾曲面を有する自動復帰部材51がコイルばね52を介して回転軸線方向に進退可能に収容される。このコイルばね52の一端は、ライトSWノブ40の収容部41内に形成された図示しないばね受部に保持されるとともに、コイルばね52の他端が自動復帰部材51を固定ノブ30側に向けて付勢するようになっている。
【0042】
この自動復帰部材51の固定ノブ30側の一端部には、図2に示すように、ライトSWノブ40の回転運動を自動復帰部材51の直線運動に変換するカム部51aが形成されている。このカム部51aは、高位カム面51bと低位カム面51cとを有しており、傾斜した段差面51dを介して高位カム面51bが低位カム面51cよりも固定ノブ30側に高くなるように構成されている。このカム部51aの段差面51dを形成する一側縁部には、フォグSWノブ20をオン位置からオフ位置に機械的に自動復帰させるための連動突片51eが回転軸線方向に突出して形成されている。
【0043】
この自動復帰部材51の高位カム面51bと低位カム面51cとが連動レバー37の連動突起37aに接触するように配置される。この高位カム面51bと低位カム面51cとの間に傾斜した段差面51dを有するカム部51aを形成することで、ライトSWノブ40の回転操作に応じて自動復帰部材51がフォグSWノブ20から固定ノブ30へ向けて直線的に退避移動するとともに、自動復帰部材51が固定ノブ30からフォグSWノブ20へ向けて直線的に進出移動させるようになっている。
【0044】
この固定ノブ30の自動復帰部材51と対応する収容部31の底部には、図2に示すように、ストッパー挿入孔36よりも周方向に長い挿入孔38が貫通して形成されている。フォグSWノブ40の自動復帰部材51と対応する収容部41の底部には、ストッパー係止孔23よりも周方向に長い係止孔24が自動復帰部材51の挿脱部として貫通形成されている。
【0045】
このライトSWノブ40がオフ位置又はテール位置に回転操作された際に、連動レバー37の連動突起37aが自動復帰部材51の高位カム面51bに停止した状態となる。この自動復帰部材51は、ライトSWノブ40の回転操作により高位カム面51bを介してコイルばね52の弾力に抗して連動レバー37の連動突起37aに押し込まれる。これにより、この自動復帰部材51は、ライトSWノブ40の収容部41内に退避した状態となり、自動復帰部材51の連動突片51eがフォグSWノブ20の係止孔24から離脱するようになっている。
【0046】
このライトSWノブ40がヘッド位置に回転操作された際に、連動レバー37の連動突起37aが自動復帰部材51の低位カム面51cに停止した状態となる。この自動復帰部材51は、固定ノブ30側の向きの付勢力により押圧されることで、固定ノブ30側に進出移動し、自動復帰部材51の連動突片51eが固定ノブ30の挿入孔38を介してフォグSWノブ20の係止孔24の一側に入り込んで係止するようになっている。
【0047】
このライトSWノブ40がヘッド位置からテール位置に回転操作されると、連動レバー37の連動突起37aが自動復帰部材51の低位カム面51cから段差面51dを介して高位カム面51bに移動する。このとき、自動復帰部材51の連動突片51は、ライトSWノブ40の回転操作に伴い固定ノブ30側の向きの付勢力に抗してフォグSWノブ20の係止孔24の一側面を押し付けながら回転することで、フォグSWノブ20の係止孔24から退避移動し、この連動突片51がフォグSWノブ20の係止孔24から離脱するようになっている。
【0048】
(フォグSWノブの設定動作及び自動復帰動作)
図3及び図4を参照すると、これらの図には、ライトSWノブ40の設定動作と、フォグSWノブ20の設定動作及び自動復帰動作との関係が示されている。図3において、ライトSWノブ40がヘッドライトのオフ(OFF)位置と、テール(TAIL)位置又はヘッド(HEAD)位置のいずれかのオン位置にあるときのフォグSWノブ20のオフ(ON)位置及びオフ(OFF)位置への単独操作の可否と、フォグSWノブ20がリアフォグライトのオン位置にあるときに、ライトSWノブ40をヘッド位置又はテール位置のいずれかのオン位置からオフ位置に切り替えたときのフォグSWノブ20のオン位置からオフ位置への連動操作の可否とをそれぞれ示している。
【0049】
このライトSWノブ40がヘッドライトのオン位置以外にあるときは、図3中の矢印で示すように、フォグSWノブ20の回転操作を禁止するとともに、ライトSWノブ40がヘッドライトのオン位置にあるときにはフォグSWノブ20の回転操作を許容する。
【0050】
一方、フォグSWノブ20がリアフォグライトのオン位置にあるときに、ライトSWノブ40をヘッド位置からオフ位置に切り替えたときのフォグSWノブ20は、図3中の矢印で示すように、オン位置からオフ位置へ自動復帰し、リアフォグライトが自動的に消灯する。更には、このフォグSWノブ20がリアフォグライトのオン位置にあるときに、ライトSWノブ40をヘッド位置からテール位置に切り替えたときのフォグSWノブ20は、図3中の矢印で示すように、オン位置からオフ位置へ自動復帰し、リアフォグライトが自動的に消灯する。
【0051】
図3及び図4(a)において、ライトSWノブ40はヘッド位置にあり、フォグSWノブ20がオン位置にあるときは、回転規制レバー47の回転規制突起47aが回転阻止部材46の低位カム面46cに停止している。その回転阻止部材46の回転阻止片46eは、フォグSWノブ20のストッパー係止孔23から離脱しており、ライトSWノブ40側に退避している。
【0052】
一方の自動復帰部材51は、連動レバー37の連動突起37aが自動復帰部材51の低位カム面51cに停止した状態にある。この状態では、自動復帰部材51の連動突片51eを固定ノブ30側の向きの付勢力により押圧しているので、自動復帰部材51の連動突片51eが固定ノブ30の挿入孔38を介してフォグSWノブ20の係止孔24の一側に入り込んで係止されている。これにより、フォグSWノブ20の回転操作が許容されている。
【0053】
図3及び図4(b)において、ライトSWノブ40をヘッド位置からテール位置に回転操作すると、ライトSWノブ40における回転規制レバー47の回転規制突起47aにより、回転阻止部材46を低位カム面46cから段差面46dを経て高位カム面46bに移動させる。このとき、回転阻止部材46の回転阻止片46eがコイルばね48の弾力に抗して押し込まれるため、フォグSWノブ20側に進出移動し、回転阻止片46eが固定ノブ30のストッパー挿入孔36を介してフォグSWノブ20のストッパー係止孔23に入り込んで係止する。
【0054】
一方の自動復帰部材51は、回転阻止部材46とは逆の動作により、連動レバー37の連動突起37aが固定ノブ30側の向きの付勢力に抗して自動復帰部材51の低位カム面51cから段差面51dを介して高位カム面51bに移動する。このとき、自動復帰部材51の連動突片51eは、ライトSWノブ40の回転操作に伴いフォグSWノブ20の係止孔24の一側を押し付けながら回転することで、フォグSWノブ20の係止孔24から退避移動するため、フォグSWノブ20がライトSWノブ40の回転操作に連動してオン位置からオフ位置に自動復帰することとなる。
【0055】
このライトSWノブ40がテール位置にある状態では、回転阻止部材46の回転阻止片46eが固定ノブ30のストッパー挿入孔36を介してフォグSWノブ20のストッパー係止孔23に入り込んで係止しているため、フォグSWノブ20の回転が阻止される。一方の自動復帰部材51の連動突片51eは、フォグSWノブ20の係止孔24から離脱しているため、ライトSWノブ40の回転操作が許容される。
【0056】
図3及び図4(c)において、ライトSWノブ40をテール位置からオフ位置に回転操作すると、回転規制レバー47の回転規制突起47aは、高位カム面46bに停止したままの状態にあり、回転阻止部材46の回転阻止片46eは、フォグSWノブ20のストッパー係止孔23に係止した状態を維持する。一方の連動レバー37の連動突起37aは、高位カム面51bに停止したままの状態にあり、自動復帰部材51の連動突片51eは、フォグSWノブ20の係止孔24から離脱した状態を維持する。
【0057】
従って、ライトSWノブ40は、図3、図4(a)及び図4(b)に示すように、テール位置からヘッド位置へ回転操作可能であり、図3、図4(b)及び図4(c)に示すように、テール位置からオフ位置へ回転操作可能となる。
【0058】
(実施の形態の効果)
上記のように構成されたスイッチ装置1によれば、上記効果に加えて、次の効果が得られる。
【0059】
(1)ライトSWノブ40をヘッドライトの点灯位置からテールライトの点灯位置に切り替えるときに、フォグSWノブ20をリアフォグライトの点灯位置から消灯位置に自動復帰させる自動復帰機構は、ライトSWノブ40の回転運動を直線運動に変換するカム部51aを備えた自動復帰部材51がコイルばね52を介して固定ノブ30に対して回転軸線方向に弾性的に往復動自在とされ、ライトSWノブ40の回転操作に伴って連動レバー37の連動突起37aがカム部51aのカム面に沿って移動する構成となっているため、使用部品点数が少ない簡単な構造を有する機械式の自動復帰機構が効果的に得られる。
(2)簡単な機械式の自動復帰機構を採用することで、上記欧州法規の改正に関するフォグSWノブ20の点灯消灯条件に準拠することができるようになり、例えば電子制御ユニット(ECU)等の制御システムを新たに構築する必要がないので、上記欧州法規の改正条件を満足した安価なスイッチ装置が効果的に得られる。
(3)ヘッドライトを点灯させない限り、リアフォグライトの点灯を禁止した欧州法規にも準拠したものが効果的に得られる。
【0060】
[変形例]
以上より、本発明におけるスイッチ装置1の代表的な構成例を実施の形態、及び図示例を挙げて説明したが、上記実施の形態、及び図示例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。本発明の技術思想の範囲内において種々の構成が可能であり、次に示すような変形例も可能である。
【0061】
上記実施の形態、及び図示例では、自動復帰機構と回転規制機構とが互い違いに往復動するように構成されたスイッチ装置1を例示したが、これに限定されるものではない。本発明に係るスイッチ装置1の他の一例としては、例えばライトSWノブ40がヘッド位置からテール位置に回転するとき、ライトSWノブ40の回転操作に機械的に連動して、フォグSWノブ20をオン位置からオフ位置へ自動復帰させる構成を備えていれば、ライトSWノブ40に対するフォグSWノブ20の設定動作、自動復帰動作や作動方向などを適宜に選択すればよく、本発明の初期の目的を達成することができる。
【0062】
上記実施の形態、及び図示例では、自動車のヘッドライト及びテールライトの点灯消灯状態の切り替えを行うライトSWノブ40と、リアフォグライトの点灯消灯状態の切り替えを行うフォグSWノブ20とを備えたスイッチ装置1としたが、これに限定されるものではなく、例えば前方及び後方のフォグライトの点灯消灯状態の切り替えを行うフォグSWノブなどのように他の用途を備えたスイッチ装置にも適用できることは勿論である。
【0063】
以上の説明からも明らかなように、上記実施の形態、変形例、及び図示例の中で説明した特徴の組合せの全てが本発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0064】
1…スイッチ装置、2…筒状支持部、3…中空軸、4…ライトレバー軸、4a…圧入孔、4b…カム、5…接触端子、6…固定端子、7…インシュレータ、8…圧入ピン、10…ノブカバー、20…フォグSWノブ、21,31,41…収容部、22…円筒部、22a…大径筒部、22b…小径筒部、23…ストッパー係止孔、24…係止孔、30…固定ノブ、32…支持孔、33…フォグSW節度部、33a,43a…凹部、34,44,48,52…コイルばね、35…フォグ節度ピース、36…ストッパー挿入孔、37…連動レバー、37a…連動突起、38…挿入孔、40…ライトSWノブ、42…取付ボス部、43…ライトSW節度部、45…ライト節度ピース、46…回転阻止部材、46a,51a…カム部、46b,51b…高位カム面、46c,51c…低位カム面、46d,51d…段差面、46e…回転阻止片、47…回転規制レバー、47a…回転規制突起、51…自動復帰部材、51e…連動突片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テールライト及びヘッドライトを消灯するオフ位置、前記テールライトを点灯するテール位置、並びに前記ヘッドライトを点灯するヘッド位置の間を回転可能に構成された第1のスイッチノブと、
前記第1のスイッチノブとは同軸上に配置され、フォグライトを点灯するオン位置、及び前記フォグライトを消灯するオフ位置の間を回転可能に構成された第2のスイッチノブと、
前記第2のスイッチノブが前記オン位置にあって前記第1のスイッチノブを前記ヘッド位置から前記テール位置に回転操作した際に、前記第1のスイッチノブの回転操作に連動して前記第2のスイッチノブを前記オン位置から前記オフ位置に自動復帰させる自動復帰機構を備えたことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記自動復帰機構は、前記第1のスイッチノブに設けられた第1の移動部材と、前記第2のスイッチノブに設けられた第1の挿脱部とを備えており、
前記第1の移動部材は、前記第1のスイッチノブの回転操作に伴い回転軸線方向に進退移動するように構成されるとともに、前記第1の挿脱部は、前記第1の移動部材が挿脱するように構成されており、
前記第1のスイッチノブを前記テール位置から前記ヘッド位置に回転操作した際に、前記第1の移動部材が前記第1の挿脱部に挿入して係合され、
前記第1のスイッチノブを前記ヘッド位置から前記テール位置に回転操作した際に、前記第1の移動部材が前記第1の挿脱部の側面を押し付けながら回転することで、前記第1の挿脱部から離脱することを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記第1のスイッチノブが前記ヘッド位置以外にあるときには前記第2のスイッチノブの回転操作を禁止するともに、前記第1のスイッチノブが前記ヘッド位置にあるときには前記第2のスイッチノブの回転操作を許容する回転規制機構を更に備え、
前記回転規制機構は、前記第1の移動部材とは互い違いに進退移動する第2の移動部材と、前記第2の移動部材が挿脱する第2の挿脱部とを備えており、
前記第1のスイッチノブを前記ヘッド位置から前記テール位置に回転操作した際に、前記第2の移動部材が前記第2の挿脱部に挿入して係合されるように構成されたことを特徴とする請求項2記載のスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−105733(P2013−105733A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251307(P2011−251307)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】