説明

スイッチ装置

【課題】複数個の圧力センサによって操作ノブの押圧操作位置を検出するものにあって、操作ノブの良好な操作ストロークを得ながら、操作位置を高精度で検出する。
【解決手段】スイッチケース2の円形開口部2c内に、円板状の操作ノブ4を押圧操作可能に設ける。配線基板8上に3個の圧力センサ9を120度間隔で設ける。各圧力センサ9上に、リング状の中間プレート12を載置状に設ける。操作ノブ4と中間プレート12との間に、プリロード用ばねプレートと操作力伝達用ばねプレートとを一体物として構成した一体化ばねプレート5を設ける。一体化ばねプレート5は、金属板ばね材からリング状に構成され、予圧を与えるための3個の第1の板ばね部6と、ばね力の大きい操作力伝達用の3個の第2の板ばね部7とを切り起し形成により一体に有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力センサを利用して操作ノブの操作位置の検出を行うスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車に設けられるステアリングスイッチやナビ用の遠隔操作装置等に用いられるスイッチ装置として、操作用部材の押圧操作位置(傾動操作方向)を、圧力センサを用いて検出するようにした信号入力装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このものでは、正方形板状の操作用部材を、前後左右の4方向(対角線方向)に傾動操作可能に設け、その操作用部材の裏面側に、前後左右(4つの頂角の近傍)に位置して4個の圧力センサを設け、それら圧力センサから出力される圧力検出信号をもって、移動量を含む方向性信号を入力できるようにしている。
【0003】
また、同様に圧力センサを用いたスイッチ装置として、矩形の面板上の裏面側に、3つの支点に生ずる分力を検出する3個の力検出器を設け、それらの検出(荷重バランス)に基づいて押圧力を印加した点の座標を求めるようにした荷重検知型座標入力装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−104913号公報
【特許文献2】特開昭56−29777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような複数の圧力センサを用いて操作ノブの操作位置を検出するようにしたスイッチ装置においては、圧力センサの感圧部における動作のストロークがほとんどないため、操作ノブの力をそのまま単純に圧力センサに作用させる構成では、操作ノブの操作ストロークを十分に確保することができず、ユーザにとっての操作感に劣るものとなる。
【0006】
そこで、本発明者は、この種の圧力センサを用いたスイッチ装置において、操作ノブの裏面側に、複数個例えば3個の各圧力センサに対応した3個の突起部を設け、それら突起部と各圧力センサの感圧部との間に、夫々圧縮コイルばねを介在させ、操作ノブの押圧操作力を、それらコイルばねを介して各圧力センサの感圧部に伝達する構成を考えた。これによれば、操作ノブの操作ストロークを確保することができ、ユーザにとっての操作感を良好とすることができる。
【0007】
しかし、上記のように、各突起部と各圧力センサとの間に、夫々コイルばねを介在させる構成では、次のような不具合の発生が予測される。即ち、各コイルばねの寸法のばらつきにより、操作ノブの位置による操作荷重のばらつきが生じてしまう。そして、各コイルばねの寸法のばらつきに伴うばね力のばらつきによって、複数個の圧力センサに作用する荷重にばらつき(誤差)が生じ、この結果、操作ノブの操作位置の検出の精度に劣るもものとなってしまう。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、複数個の圧力センサによって操作ノブの押圧操作位置を検出できる構成のものにあって、操作ノブの良好な操作ストロークを得ることができながら、操作ノブの操作位置を高精度で検出することができるスイッチ装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のスイッチ装置は、スイッチケースと、前記スイッチケースに対して軸方向に押圧操作可能に支持された操作ノブと、前記スイッチケース内に前記操作ノブの外周部に対応して円周方向に並んで複数個が設けられた圧力センサと、前記複数個の圧力センサの感圧部全体を覆うように設けられそれら圧力センサに対して前記操作ノブからの押圧力を伝達するリング板状の1枚の中間プレートと、前記操作ノブと中間プレートの間に介在され前記操作ノブの非操作状態で前記中間プレートを介して前記各圧力センサに予圧を与えるための複数の第1の板ばね部を円周上に均等配置してなるプリロード用ばねプレートと、前記操作ノブと中間プレートの間に介在され、前記第1の板ばね部よりも大きいばね力を有し前記操作ノブの押圧操作力に応じて弾性変形する複数の第2の板ばね部を円周上に均等配置してなり、該押圧操作力を前記中間プレートに伝達させる操作力伝達用ばねプレートとを備えるところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のスイッチ装置によれば、プリロード用ばねプレートの複数の第1の板ばね部によって、中間プレートを介して各圧力センサに均等に予圧をかけることができる。操作ノブのいずれかの位置がユーザによって押圧操作されると、操作ノブからの押圧力が、プリロード用ばねプレート及び操作力伝達用ばねプレート並びに中間プレートを介して、複数個の圧力センサに伝達される。操作ノブが押圧された際には、まず、ばね力の小さい方のプリロード用ばねプレートの第1の板ばね部がたわみ、そのたわみがなくなった後、ばね力の大きい操作力伝達用ばねプレートの第2の板ばね部に力が加わってたわむことにより、中間プレートを介して圧力センサに荷重が作用するようになる。
【0011】
このとき、操作ノブの押圧操作位置に応じた力で、操作力伝達用ばねプレートの複数の第2の板ばね部がたわみ、各圧力センサに対し、ユーザの操作ノブの押圧位置(各圧力センサとの間の距離)に応じたバランスで荷重が作用する。これにより、各圧力センサの検出した荷重(圧力)のバランスによって、操作ノブの押圧操作位置を検出することができる。この場合、両ばねプレートの第1、第2の板ばね部がたわむことによって、操作ノブの操作ストロークを確保することができ、また、第1、第2の板ばね部を採用したことにより、コイルばねを用いた場合と異なり、ばね長さひいてはばね力のばらつきを抑制することができる。
【0012】
従って、複数個の圧力センサによって操作ノブの押圧操作位置を検出できる構成のものにあって、操作ノブの良好な操作ストロークを得ることができながら、操作ノブの操作位置を高精度で検出することができる。また、複数の板ばね部を一体に有したばねプレートを採用したことにより、コイルばねを用いた場合と比べて、スイッチ装置全体としての操作方向(軸方向)の小型化を図ることができ、更には、部品点数も少なく済ませることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施例を示すもので、スイッチ装置の縦断正面図
【図2】図1とは異なる断面状態(1つの第2の板ばね部における断面)で示すスイッチ装置の縦断面図
【図3】更に異なる断面状態(1つの第1の板ばね部における断面)で示すスイッチ装置の縦断面図
【図4】スイッチ装置の分解斜視図
【図5】圧力センサの内部構成を概略的に示す斜視図
【図6】電気的構成を概略的に示す図
【図7】本発明の第2の実施例を示すもので、図1相当図
【図8】図4相当図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の第1の実施例について、図1ないし図6を参照しながら説明する。本実施例では、スイッチ装置1は、例えば、自動車のステアリングホイール部分に組込まれ、カーナビゲーション装置やカーオーディオ装置、車載電話機等の車載機器の操作用として設けられている。以下、本実施例に係るスイッチ装置1の構成について述べる。尚、図面においては、便宜上、スイッチ装置1を、操作ノブの表面側を上方に向けた状態で示しており、以下の説明で、上下や前後左右といった方向をいう場合には、図1等の状態を基準とし、操作ノブの操作方向(軸方向)を上下方向として説明する。
【0015】
スイッチ装置1は、図1〜図4に示すように、全体として円筒容器状をなすスイッチケース2を備えている。このスイッチケース2は、円板状の下ケース2aと、円筒状の上ケース2bとを、ねじ3により3箇所にて結合して構成されている。前記上ケース2bの上面部には、円形開口部2cが形成されており、この円形開口部2c部分に、合成樹脂製の操作ノブ4が押圧操作可能に配置される。
【0016】
この操作ノブ4は、やや厚みのある円板状をなしていると共に、その下端部には、外周方向に水平に広がるフランジ部4aを一体的に有している。このフランジ部4aにより、操作ノブ4はスイッチケース2(上ケース2b)に対し上方への抜止め状態とされる。この操作ノブ4の裏面側の外周寄り部分には、後述する一体化ばねプレート5の第2の板ばね部7の先端部が配置される凹溝部4bが円周方向に沿うリング状に延びて形成されている。操作ノブ4は、前記一体化ばねプレート5によって弾性的に支持され、円形開口部2c内に位置して軸方向(図で上下方向)に押圧操作(傾動)可能に支持されている。
【0017】
この場合、操作ノブ4は、通常時つまり操作ノブ4に対しユーザによる操作力が作用していない非操作状態で、図1〜図3に示すように、円形開口部2c内の中立位置、即ち後述する圧力センサに荷重を作用させない状態に位置される。また、操作ノブ4は、ユーザの手指による上方からの押圧操作によって、上記中立位置から、僅かなストロークで上下方向に変位(操作ノブ4のうち押圧された部分が下方に傾動)可能とされる。また、ユーザによる操作ノブ4の押圧操作力が解除されると、一体化ばねプレート5のばね力により中立位置に戻される。
【0018】
一方、スイッチケース2内の底部、つまり下ケース2aの上面部には、前記操作ノブ4の下方に位置して、円板状をなす配線基板8が設けられ、この配線基板8上には、複数個この場合3個の圧力センサ9が実装されている。図4に示すように、これら3個の圧力センサ9は、操作ノブ4の中心から同等の距離にあって、円周方向に沿って3個が120度間隔で並ぶように配置されている。
【0019】
これら圧力センサ9は、図5に一部示すように、半導体圧力センサチップ10と、その上面に配置されたスチールボール11と、それらを収容するパッケージ(図5では図示省略)とを備えて構成される。前記半導体圧力センサチップ10は、例えば単結晶シリコン基板の中央部裏面側をエッチングして薄肉なダイヤフラム部10aを形成すると共に、そのダイヤフラム部10aの表面部に検知回路等を形成して構成されている。周知のように、前記検知回路は、4個のピエゾ抵抗素子10bをブリッジ接続して構成され、2個の入力端子間に一定の直流電圧が印加される。そして、ダイヤフラム部10aに作用する圧力によって該ダイヤフラム10aが歪み変形し、ピエゾ抵抗素子10bの抵抗値が変化することに応じて、2個の出力端子間の電圧が変動するように構成されている。
【0020】
前記スチールボール11は、ダイヤフラム部10a上に載置された状態とされ、このとき、スチールボール11の上端の一部が、圧力センサ9のパッケージの上面の円形孔から上方に露出(突出)している。これにて、圧力センサ9は、スチールボール11に上方から荷重(圧力)が作用すると、その荷重に応じた(比例した)電圧値の検出信号を出力するようになっている。図6に示すように、上記スイッチ装置1の3個の圧力センサ9の検出信号は、A/D変換回路17を介して、車載機器の制御用のコンピュータ(CPU)18に入力される。
【0021】
さて、図1〜図4に示すように、前記操作ノブ4と圧力センサ9との間には、操作ノブ4からの押圧力を各圧力センサ9に伝達するための1枚の中間プレート12が設けられる。そして、前記操作ノブ4と前記中間プレート12との間には、プリロード用ばねプレートと操作力伝達用ばねプレートとを一体物として構成した一体化ばねプレート5が介在される。
【0022】
前記中間プレート12は、図4に示すように、3個の圧力センサ9の配設領域全体を覆う大きさで、前記操作ノブ4と同心のリング板状に構成されており、図1〜図3に示すように、その下面が各圧力センサ9のスチールボール11上に載置されている。また、中間プレート12の上面の内周側には、後述する一体化ばねプレート5の第1の板ばね部6の先端部が配置される凹溝部12aが、例えば円周方向全体に延びて形成されている。
【0023】
そして、前記一体化ばねプレート5は、次のように構成されている。即ち、図4に示すように、一体化ばねプレート5は、金属板ばね材からほぼリング状に構成されていると共に、複数の第1の板ばね部6と複数の第2の板ばね部7とを一体に設けて構成されている。そのうち、第1の板ばね部6は、一体化ばねプレート5の最外周寄り部位において、下面側に向けたいわゆる切り起しにより形成され、板面につながっている基端側から先端側に向けて右回り方向(接線方向)に延びるような細長い短冊状をなしている。本実施例では、第1の板ばね部6は、3個が120度間隔で均等配置されて設けられている。
【0024】
これに対し、第2の板ばね部7は、一体化ばねプレート5の前記第1の板ばね部6形成領域よりも内周側に位置して、上面側に向けたいわゆる切り起しにより形成されている。この場合、第2の板ばね部7も板面につながっている基端側から先端側に向けて右回り方向(接線方向)に延びるような短冊状をなしているのであるが、前記第1の板ばね部6よりもやや大きな幅寸法で形成されており、第1のばね部6よりも大きいばね力を有している。また、この第2の板ばね部7は、前記第1の板ばね部6に対して、円周方向に60度ずれるように位置して、3個が120度間隔で均等配置されて設けられている。
【0025】
このように構成された一体化ばねプレート5は、円周方向の位置決め状態で、下面側の3個の第1の板ばね部6の先端部が、中間プレート12の上面の凹溝部12a内に配置される(図3参照)と共に、上面側の3個の第2の板ばね部7が、前記操作ノブ4の裏面側の凹溝部4b内に配置される(図2参照)ようにして設けられる。
【0026】
これにて、組付け時(通常時)には、一体化ばねプレート5の第1の板ばね部6によって、中間プレート12を介して各圧力センサ9に予圧をかけることができる。このとき、第1の板ばね部6のばね力は予圧を与えるに適した比較的小さいものとなっており、また、3個の第1の板ばね部6が円周方向に均等配置されていることにより、各圧力センサ9に均一に予圧が与えられる。
【0027】
そして、操作ノブ4が押圧操作されると、その押圧力が一体化ばねプレート5並びに中間プレート12を介して、3個の圧力センサ9に伝達される。この際、まず、ばね力の小さい方の第1の板ばね部6がたわみ、そのたわみがなくなった(一体化ばねプレート5の下面が中間プレート12の上面に接触した)後、ばね力の大きい第2の板ばね部7に力が加わってたわむことにより、中間プレート12を介して圧力センサ9に荷重が作用するようになる。このとき、3個の各圧力センサ9には、操作ノブ4のうちの押圧操作位置(中心からの距離)に応じたバランスで(近いものほど大きく、遠いものほど小さく)荷重が作用するようになる。
【0028】
従って、本実施例では、一体化ばねプレート5は、各圧力センサ9に予圧を与えるための複数の第1の板ばね部6を円周上に均等配置してなるプリロード用ばねプレートと、前記第1の板ばね部6よりも大きいばね力を有し操作ノブ4の押圧操作力に応じて弾性変形する複数の第2の板ばね部7を円周方向に均等配置してなり該押圧操作力を中間プレート12に伝達させる操作力伝達用ばねプレートとを、一体物として構成したものとされているのである。
【0029】
尚、この場合、前記圧力センサ9のスチールボール11については、ほとんど上下動のストロークはないが、第1、第2の板ばね部6、7を有する一体化ばねプレート5を介していることにより、押圧操作力に伴う操作ノブ4の下方への変位量に応じて、第1、第2の板ばね部6、7をたわませながら、荷重を圧力センサ9に伝達することができる。そのため、操作ノブ4の一定の操作ストロークを確保することができ、ユーザにとっての操作感を高めることができる。
【0030】
次に、上記構成の作用について述べる。上記のように構成されたスイッチ装置1においては、一体化ばねプレート5の複数の第1の板ばね部6によって、中間プレート12を介して各圧力センサ9に均等に予圧をかけることができる。そして、ユーザにより操作ノブ4のいずれかの位置が押圧操作されると、操作ノブ4が中立位置から変位(スイッチケース2に対し操作位置に応じて傾動)し、その際の押圧力が、一体化ばねプレート5を介して中間プレート12に伝達され、中間プレート12から3個の圧力センサ9に対して荷重として伝達される。
【0031】
この場合、3個の圧力センサ9は、ユーザの操作ノブ4の押圧操作位置に応じた荷重バランスで荷重(圧力)を受け、夫々検出信号を出力する。それら3個の圧力センサ9からの検出信号は、A/D変換回路17を介してコンピュータ18に入力され、コンピュータ18は、3個の圧力センサ9の荷重バランスに基づいて、操作ノブ4の押圧操作位置(例えば円周上の4方向或いはそれに斜めを加えた8方向の位置)を検出(計算)することができる。そして、コンピュータ18は、検出した操作ノブ4の押圧操作位置に応じて、車載機器(例えばカーナビゲーションシステムの表示装置)を制御する。
【0032】
ここで、第1、第2の板ばね部6、7を有する一体化ばねプレート5が設けられ、第1、第2の板ばね部6、7がたわむことによって、操作ノブ4の操作ストロークを確保することができ、ユーザにとっての操作感を良好とすることができる。このとき、寸法のばらつきが生じやすいコイルばねを用いた場合と異なり、第1、第2の板ばね部6、7を採用したことにより、各第1、第2の板ばね部6、7のばね力のばらつきを抑制することができる。この結果、コイルばねを用いるために複数個の圧力センサに作用する荷重にばらつき(誤差)が生ずる虞のあるものと比べ、操作ノブ4の操作位置の検出の精度を向上させることができる。
【0033】
このように本実施例によれば、複数個の圧力センサ9に作用する荷重バランスによって操作ノブ4の押圧操作位置を検出できる構成のスイッチ装置1にあって、操作ノブ4の良好な操作ストロークを得ることができながら、操作ノブ4の操作位置を高精度で検出することができる。また、複数の板ばね部6、7を一体に有した一体化ばねプレート5を採用したことにより、コイルばねを用いた場合と比べて、スイッチ装置1全体としての操作方向(軸方向)の小型化を図ることができ、更には、部品点数も少なく済ませることができる。
【0034】
特に本実施例では、1枚の一体化ばねプレート5に、複数の第1の板ばね部6と、複数の第2の板ばね部7との双方を備える構成としたので、別々のばねプレートを採用する場合に比較して、より一層の部品点数の削減を図ることができたのである。更に、本実施例では、圧力センサ9を円周方向に沿って120度間隔で3個設けるようにしたので、圧力センサ9の個数も少なく済み、スイッチ装置1全体として簡単で安価な構成で済ませることができる。
【0035】
図7及び図8は、本発明の第2の実施例を示すものであり、スイッチ装置21の構成を示している。この第2の実施例に係るスイッチ装置21が上記第1の実施例のスイッチ装置1と異なるところは、一体化ばねプレート5を設けることに代えて、プリロード用ばねプレート22と、操作力伝達用ばねプレート23とを別体として設けた点にある。尚、上記第1の実施例と共通する部分には、同一符号を付して詳しい説明を省略し、以下、第1の実施例と異なる点を中心に説明する。
【0036】
スイッチ装置21は、スイッチケース2の上面部の円形開口部2c部分に、ほぼ円板状をなす操作ノブ24を押圧操作可能に備えている。図7に示すように、この操作ノブ24の裏面側には、外周寄り部分に、後述する第1の板ばね部26の先端部が配置される第1の凹溝部24aが円周方向に延びるリング状に形成されている。更に、その第1の凹溝部24の内周側に一段深くなって、後述する第2の板ばね部27の先端部が配置される第2の凹溝部24bが円周方向に延びるリング状に形成されている。
【0037】
スイッチケース2内の配線基板8上には、複数個この場合3個の圧力センサ9が120度間隔で実装されている。図7、図8に示すように、これら3個の圧力センサ9(スチールボール11)上に載置されるように中間プレート25が配置される。この中間プレート25は、3個の圧力センサ9の配設領域全体を覆う大きさの、操作ノブ24と同心のリング状をなすのであるが、上記第1の実施例の中間プレート12よりもリング幅(径方向の幅寸法)が大きく(中心孔の径寸法が小さく)構成されている。この中間プレート25の上面には、内周側に位置して、後述する操作力伝達用ばねプレート23が載置される凹溝部25aが、外周側との間で段差を形成するように、円周方向全体に延びて形成されている。
【0038】
そして、前記操作ノブ24と前記中間プレート25との間には、プリロード用ばねプレート22と、操作力伝達用ばねプレート23とが介在される。そのうちプリロード用ばねプレート22は、板ばね材料から、前記中間プレート25の外周側部分に対応した、比較的径大で細幅のリング状をなすと共に、各圧力センサ9に予圧を与えるための複数この場合120度間隔で均等配置された3個の第1の板ばね部26を一体に有して構成されている。
【0039】
図8に示すように、これら第1の板ばね部26は、プリロード用ばねプレート22の内周側部位を、上方側に向けたいわゆる切り起しにより形成され、板面につながっている基端側から先端側に向けて右回り方向(接線方向)に延びるような細長い短冊状をなしている。このとき、第1の板ばね部26のばね力は、前記各圧力センサ9に予圧を与えるに適した比較的小さいものとなっている。
【0040】
これに対し、前記操作力伝達用ばねプレート23は、板ばね材料から、前記中間プレート25の内周側の凹溝部25aに対応した、前記プリロード用ばねプレート22よりも径小なリング状をなすと共に、その外周側に、操作ノブ24の押圧操作力を中間プレート25に伝達するための複数この場合3個の第2の板ばね部27を一体に有して構成されている。
【0041】
図8に示すように、これら第2の板ばね部27は、操作力伝達用ばねプレート23の外周側部位を、上面側に向けたいわゆる切り起しにより形成されている。この場合、第2の板ばね部27も板面につながっている基端側から先端側に向けて右回り方向(接線方向)に延びるような短冊状をなしているのであるが、前記第1の板ばね部26よりもやや大きな幅寸法で形成されており、第1のばね部26よりも大きいばね力を有している。また、この第2の板ばね部27は、前記第1の板ばね部26に対して、円周方向に60度ずれるように位置して、3個が120度間隔で均等配置されて設けられている。
【0042】
上記構成のプリロード用ばねプレート22は、前記中間プレート25の上面外周側に載置され、このとき各第1のばね部26の先端部が、操作ノブ24の裏面側外周寄りの第1の凹溝部24a内に配置される。これと共に、上記操作力伝達用ばねプレート23は、前記中間プレート25の上面内周側の凹溝部25a内に載置され、このとき各第2のばね部27の先端部が、操作ノブ24の裏面側の第2の凹溝部24b内に配置される。
【0043】
尚、この場合、図8に一部示すように、プリロード用ばねプレート22及び操作力伝達用ばねプレート23には、円周方向の複数箇所(例えば3箇所)に位置して、係合穴22a及び23aが夫々形成されており、中間プレート25の上面には、それら係合孔22a,23aに対応した突起25bが形成されている。プリロード用ばねプレート22,操作力伝達用ばねプレート23は、それら係合孔22a,23aが、突起25bに係合することによって、中間プレート25に対し円周方向の位置決め状態で配置されている。
【0044】
これにて、組付け時(通常時)には、プリロード用ばねプレート22の第1の板ばね部26によって、中間プレート25を介して各圧力センサ9に均一に予圧をかけることができる。そして、操作ノブ24が押圧操作されると、操作ノブ24が中立位置から変位(スイッチケース2に対し操作位置に応じて傾動)し、その際の押圧力が、主として操作力伝達用ばねプレート23を介して中間プレート25に伝達され、中間プレート25から3個の圧力センサ9に対して荷重として伝達される。
【0045】
このとき、3個の各圧力センサ9には、操作ノブ24のうちの押圧操作位置(中心からの距離)に応じたバランスで(近いものほど大きく、遠いものほど小さく)荷重が作用するようになる。また、操作力伝達用ばねプレート23の第2の板ばね部27によって、操作ノブ24の操作ストロークを確保することができ、ユーザにとっての操作感を良好とすることができる。この場合、寸法のばらつきが生じやすいコイルばねを用いた場合と異なり、各第2の板ばね部27のばね力のばらつきを抑制することができ、ひいては操作ノブ24の操作位置の検出の精度を向上させることができる。
【0046】
従って、この第2の本実施例によっても、複数個の圧力センサ9に作用する荷重バランスによって操作ノブ24の押圧操作位置を検出できる構成のスイッチ装置21にあって、操作ノブ24の良好な操作ストロークを得ることができながら、操作ノブ24の操作位置を高精度で検出することができる。また、複数の第1の板ばね部26を一体に有したプリロード用ばねプレート22、及び、複数の第2の板ばね部27を一体に有した操作力伝達用ばねプレート23を採用し、しかもこれらを内外周に配置したことにより、コイルばねを用いた場合と比べて、スイッチ装置21全体としての操作方向(軸方向)の小型化を図ることができる等の効果も得ることができる。
【0047】
尚、上記各実施例では、3個の圧力センサ9を120度間隔で設ける構成としたが、圧力センサを、90度間隔で4個設ける、あるいは5個以上設ける構成としても良い。また、上記各実施例では、第1の板ばね部及び第2の板ばね部の数についても、共に3個としたが、4個以上の板ばね部を円周方向に均等配置するようにしても良い。第1の板ばね部と第2の板ばね部とを設ける数が相違していても良い。第1の板ばね部と第2の板ばね部との間でのばね力の強弱を、板ばね材の材質や、或いは、厚みの相違等によってつけるようにしても良い。
【0048】
その他、スイッチケースや操作ノブの形状及び構造、圧力センサの構造などの具体的構造についても、様々な変形が可能である。また、上記実施例では、本発明のスイッチ装置を自動車のナビゲーションシステム等の車載機器の操作用に適用したが、それ以外にも各種の用途に適用することが可能である等、本発明は要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
【符号の説明】
【0049】
図面中、1、21はスイッチ装置、2はスイッチケース、4、24は操作ノブ、5は一体化ばねプレート、6、26は第1の板ばね部、7、27は第2の板ばね部、9は圧力センサ、12、25は中間プレート、22はプリロード用ばねプレート、23は操作力伝達用ばねプレートを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチケースと、
前記スイッチケースに対して軸方向に押圧操作可能に支持された操作ノブと、
前記スイッチケース内に前記操作ノブの外周部に対応して円周方向に並んで複数個が設けられた圧力センサと、
前記複数個の圧力センサの感圧部全体を覆うように設けられ、それら圧力センサに対して前記操作ノブからの押圧力を伝達するリング板状の1枚の中間プレートと、
前記操作ノブと中間プレートの間に介在され、前記操作ノブの非操作状態で前記中間プレートを介して前記各圧力センサに予圧を与えるための複数の第1の板ばね部を円周上に均等配置してなるプリロード用ばねプレートと、
前記操作ノブと中間プレートの間に介在され、前記第1の板ばね部よりも大きいばね力を有し前記操作ノブの押圧操作力に応じて弾性変形する複数の第2の板ばね部を円周上に均等配置してなり、該押圧操作力を前記中間プレートに伝達させる操作力伝達用ばねプレートとを備えてなるスイッチ装置。
【請求項2】
前記プリロード用ばねプレートと前記操作力伝達用ばねプレートとが、一体物として構成されていることを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−4456(P2013−4456A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137301(P2011−137301)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】