説明

スイッチ部材及び車載用室内照明装置

【課題】コンタクトの塑性変形を防止することが可能なスイッチ部材を提供する。また、このようなスイッチ部材を備える車載用室内照明装置を提供する。
【解決手段】コンタクト36は、ノブ係合部42と、第一脚状接触部43と、第二脚状接触部44と、固定端部45とを有している。第一脚状接触部43及び第二脚状接触部44は、バスバーA、B、Cのいずれかに接触する部分として、また、共に同じ形状で可撓性を有するように形成されている。第一脚状接触部43は、第一基端47と第一中間48と第一先端49とを有しており、略く字状となる形状に折り曲げ形成されている。第二脚状接触部44は、第二基端51と第二中間52と第二先端53とを有している。第一脚状接触部43の第一先端49及び第二脚状接触部44の第二先端53は、固定端部45により連結固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ部材とこれを備える車載用室内照明装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、車載用室内照明装置の一例が開示されている。図16を参照しながら簡単に説明をする。図16において、下記特許文献1における車載用室内照明装置1は、天井に配設されるルームランプであって、ランプボディ2を有している。このランプボディ2には、二つの仕切り壁3、3が形成されており、三つに区画されている。各区画に対応するように、これらの上方にはレンズ4、5、5が設けられている。レンズ4、5、5を設けることにより、この下方には灯室6、7、7が形成されている。灯室6には、この一部に連続するように、スイッチ部材8が設けられている。
【0003】
スイッチ部材8は、スライド式のスイッチノブ9を有している。このスイッチノブ9には、ベース10と、突部11と、作用部12とが形成されている。スイッチ部材8は、レンズ4を組み付ける前にランプボディ2に対して図中下向きの矢印方向へ組み付けられるようになっている。
【0004】
ランプボディ2には、コンタクト13a〜16aを有する複数の回路体13〜16が設けられている。各コンタクト13a〜16aは、図中上向きの矢印方向へ突出するように形成されている。コンタクト13a又は14aは、スイッチ部材8の図中左向きの矢印方向への移動、又は右向きの矢印方向への移動に伴い、作用部12の押圧部12aにより押されてコンタクト15a又は16aに接触するようになっている。そして、この接触により対応する回路体13〜16のうちの二つが導通状態になるようになっている。導通状態が形成されると、例えば灯室6における図示しないバルブが発光するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−17931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来技術にあっては、各コンタクト13a〜16aが図中上向きに突出するとともに、先端が自由端部となるように形成されている。これに対しスイッチ部材8は、図中下向きに組み付け可能となるように形成されている。従って、スイッチ部材8の組み付け時においては、各コンタクト13a〜16aの自由端部に干渉しないように狙いをつけて作業をする必要がある。このため作業性に影響を来してしまうという虞を有している。また、スイッチ部材8の組み付け時において、仮にスイッチ部材8に位置ズレが生じていた場合には、上記自由端部にスイッチ部材8が干渉してしまうことになり、過大な力が掛かると塑性変形を引き起こしてしまうという虞を有している。
【0007】
上記従来技術に限るものではないが、コンタクト先端が自由端部であると、塑性変形が生じ易いと言える。
【0008】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、コンタクトの塑性変形を防止することが可能なスイッチ部材を提供することを課題とする。また、このようなスイッチ部材を備える車載用室内照明装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明のスイッチ部材は、所定の操作をするためのスイッチノブと、該スイッチノブの操作に対応する二つの回路体を通電状態にするためのコンタクトとを備えるスイッチ部材において、前記コンタクトは、前記スイッチノブに係合するノブ係合部と、前記スイッチノブの操作に対応する前記二つの回路体における一方に接触し且つ第一基端が前記ノブ係合部に連続する可撓性の第一脚状接触部と、前記二つの回路体における他方に接触し且つ第二基端が前記ノブ係合部に連続する可撓性の第二脚状接触部と、前記第一脚状接触部の第一先端及び前記第二脚状接触部の第二先端を連結固定する固定端部とを有することを特徴とする。
【0010】
このような特徴を有する本発明によれば、第一脚状接触部の第一先端及び第二脚状接触部の第二先端同士は連結固定されて固定端部になる。すなわち、コンタクトはこの先端が自由端部とならないものに形成される。組み付け時において、仮にコンタクトに位置ズレが生じ干渉が起こったとしても、第一脚状接触部及び第二脚状接触部は可撓性を有するとともに固定端部により連結固定されることから、位置ズレを補正できるように作用する。干渉が解消されれば、コンタクトは元の状態へと戻る。
【0011】
請求項2記載の本発明のスイッチ部材は、請求項1に記載のスイッチ部材において、前記コンタクトは、前記第一脚状接触部の第一中間及び前記第二脚状接触部の第二中間同士が離れる略O脚形状に形成されることを特徴とする。
【0012】
このような特徴を有する本発明によれば、コンタクトの形状を略O脚形状にすることにより、スイッチ部材の組み付け方向に対して交差する方向、具体的には第一中間及び第二中間同士を結ぶ方向に干渉の際の力を流せるようになる。コンタクトには過大な力が掛かることはなく、また、力を流せることから、位置ズレの補正を早めることが可能になる。言い換えれば、干渉の解消を早めることが可能になる。本発明によれば、仮にコンタクトに位置ズレが生じて干渉が起こったとしても、組み付けをスムーズに行うことが可能になる。
【0013】
上記課題を解決するためになされた請求項3記載の本発明の車載用室内照明装置は、請求項1又は請求項2に記載のスイッチ部材と、該スイッチ部材のコンタクトが接触する複数の回路体と、前記スイッチ部材のスイッチノブの操作により点灯・消灯するバルブとを備えることを特徴とする。
【0014】
このような特徴を有する本発明によれば、スイッチノブの操作に対応する二つの回路体にコンタクトが確実に接触する車載用室内照明装置になる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載された本発明によれば、組み付け時におけるコンタクトの塑性変形を防止することができるという効果を奏する。これにより不良率を低減することができるという効果も奏する。また、本発明によれば、組み付け時に狙いをつけて作業をする必要がなくなることから、作業性の向上を図ることができるという効果を奏する。さらに、本発明によれば、固定端部を有するコンタクトであることから、第一脚状接触部の第一先端位置及び第二脚状接触部の第二先端位置での開きを防止することができる。これにより固定端部が存在せず自由端部のみの場合となるコンタクトに比べて、単体状態での変形を起こり難くすることができるという効果も奏する。
【0016】
請求項2に記載された本発明によれば、スイッチ部材のより良い一形態を提供することができるという効果を奏する。
【0017】
請求項3に記載された本発明によれば、特にスイッチ部材の信頼性を高めることが可能な車載用室内照明装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の車載用室内照明装置を示す斜視図である。
【図2】(a)は車載用室内照明装置の分解斜視図、(b)は(a)のコンタクトの拡大斜視図である。
【図3】スイッチ部材の斜視図である。
【図4】スイッチ部材の正面図である。
【図5】(a)はコンタクトの展開図、(b)は曲げ加工後のコンタクトの斜視図、(c)はスイッチ部材の分解斜視図である。
【図6】スイッチ部材の組み付けに係る説明図である。
【図7】(a)はズレがあり組み付け途中でコンタクトに干渉が生じた状態の説明図、(b)はズレが補正された状態の説明図である。
【図8】(a)はスイッチがONの場合におけるスイッチ部材及びバスバーの状態を示す説明図、(b)はスイッチがONの場合における回路図である。
【図9】スイッチがONの場合におけるスイッチ部材及びバスバーの状態を示す平面図である。
【図10】スイッチがONの場合におけるスイッチ部材及びバスバーの状態を示す斜視図である。
【図11】(a)はスイッチがDOORの場合におけるスイッチ部材及びバスバーの状態を示す説明図、(b)はスイッチがDOORの場合における回路図である。
【図12】スイッチがDOORの場合におけるスイッチ部材及びバスバーの状態を示す平面図である。
【図13】スイッチがDOORの場合におけるスイッチ部材及びバスバーの状態を示す斜視図である。
【図14】本発明と比較するための図であり、比較用スイッチ部材の組み付けに係る説明図である。
【図15】本発明と比較するための図であり、ズレがあり組み付け途中で比較用スイッチ部材のコンタクトに干渉及び変形が生じた状態の説明図である。
【図16】従来例の車載用室内照明装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
車載用室内照明装置は、回路体を通電状態にするためのスイッチ部材を備え、このスイッチ部材は、コンタクトが固定端部を有する略O脚形状に形成される。
【実施例】
【0020】
以下、図面を参照しながら実施例を説明する。図1は本発明の車載用室内照明装置を示す斜視図である。また、図2(a)は車載用室内照明装置の分解斜視図、図2(b)は(a)のコンタクトの拡大斜視図、図3〜図5はスイッチ部材の図、図6及び図7はスイッチ部材の組み付けに係る図、図8〜図10はスイッチがONの場合に係る図、図11〜図13はスイッチがDOORの場合に係る図である。さらに、図14及び図15は本発明と比較するための図である。
【0021】
図1において、引用符号21は車載用室内照明装置を示している。車載用室内照明装置21は、自動車における運転席等を有する室内の天井に設置されるルーフモジュールの一構成として設けられている。車載用室内照明装置21は、機能面で分けると、ルーフモジュールの一構成として設けられるルーフトリム(内装用壁材)の室内側に組み付けられる意匠部と、この意匠部の室外側に組み付けられる機能部とを備えて構成されている。一方、車載用室内照明装置21は、構成部材で分けると、カバーレンズ22と、ハウジング23と、複数のバルブ24と、複数のスイッチ部材25と、回路体としての複数のバスバーA、B、C…とを備えて構成されている。先ず、各構成部材について説明をする。
【0022】
図2において、カバーレンズ22は、上記室内側に位置する樹脂製の部材であって、この全体又は所定部分が透明となるように形成されている。カバーレンズ22は、ハウジング23に嵌合する部分としてのレンズ側嵌合部26と、バルブ24の光を透過するとともに広げるレンズ27と、スイッチ部材25のスイッチ操作を可能とするスイッチ用開口部28とを有している。
【0023】
ハウジング23は、カバーレンズ22の上記室外側に組み付けられる樹脂製の部材であって、上記ルーフトリムに対する係止部29を複数有している。また、ハウジング23は、カバーレンズ22が嵌合するハウジング側嵌合部30と、バルブ24を収容する複数のバルブ収容部31と、スイッチ部材25を収容する複数のスイッチ収容部32と、バスバーA、B、C…を固定する数多くのバスバー固定部33とを有している。
【0024】
バルブ24は、ここでは既知のものが用いられている。バルブ24は、バルブ収容部31に収容されると、対応するバスバーのバルブ用コンタクト34に電気的に接触するようになっている。
【0025】
図2ないし図5において、スイッチ部材25は、本発明に係る部材であって、所定のスイッチ操作をするためのスイッチノブ35と、このスイッチノブ35のスイッチ操作に対応する二つのバスバーAとB、又はバスバーAとCを通電状態にするためのコンタクト36とを備えて構成されている。尚、本実施例におけるスイッチ部材25は、シーソー式の構造を採用しているが、これに限らずスライド式等の構造を採用してもよいものとする。
【0026】
スイッチノブ35は、樹脂成形によりなるものであって、操作部37と、この操作部37の裏側中央位置に連成される基部38とを有している。スイッチノブ35は、正面視略T字状となる形状に形成されている。
【0027】
操作部37は、本実施例において、スイッチON状態及びスイッチDOOR状態(後述する)のいずれかに切り替え操作をするための部分として形成されている。基部38は、一対の柱状部39と、この一対の柱状部39の間に配置形成される一対の支点部40とを有するように形成されている。一対の柱状部39には、コンタクト36を係合させるためのコンタクト係合溝41がそれぞれ形成されている。コンタクト係合溝41は、各柱状部39の先端から操作部37に向けて真っ直ぐに切り欠き形成されている。一対の支点部40の対方向は、一対の柱状部39の対方向に直交するように設定されている。一対の支点部40には、スイッチ収容部32の図示しない軸部が係合するようになっている。
【0028】
コンタクト36は、導電性を有する金属薄板をプレス加工してなるものであって、ノブ係合部42と、第一脚状接触部43と、第二脚状接触部44と、固定端部45とを有している。ノブ係合部42は、スイッチノブ35のコンタクト係合溝41に差し込まれて係合する板形状に形成されている。ノブ係合部42には、抜け止め用の係止部46が形成されている。係止部46は、切り起こしによって略三角形の爪状に形成されている。
【0029】
第一脚状接触部43及び第二脚状接触部44は、バスバーA、B、Cのいずれかに接触する部分として形成されている。第一脚状接触部43及び第二脚状接触部44は、共に同じ形状で可撓性(弾性)を有するように形成されている。第一脚状接触部43及び第二脚状接触部44は、後述する帯状の展開形状部分55、56に曲げ加工を施すことにより形成されている(曲げ加工については後述する)。第一脚状接触部43及び第二脚状接触部44は、並ぶように配置されている。
【0030】
第一脚状接触部43は、第一基端47と第一中間48と第一先端49とを有しており、略く字状となる形状に折り曲げ形成されている。第一基端47は、ノブ係合部42に連成されている。第一中間48は、この略く字状に折り曲がる部分の両側に延在するような接触子50を有している。接触子50は、一方から見ると凹状、他方から見ると凸状となる略箱状の形状に形成されている。尚、箱側面はテーパとなるように形成されている。接触子50は、バスバーA、B、Cのいずれかに接触する部分となっている。第一先端49は、自由端部とならないように形成されている。具体的には、固定端部45に連成されている。固定端部45は、ノブ係合部42と同様に板形状に形成されている。
【0031】
第二脚状接触部44は、上記の如く第一脚状接触部43と同じ形状であって、略く字状となる折り曲げの方向のみが相違するようになっている。第二脚状接触部44は、第二基端51と第二中間52と第二先端53とを有している。第二基端51は、ノブ係合部42に連成されている。第二中間52には、第一脚状接触部43と同じ接触子50が形成されている。第二先端53は、自由端部とならないように形成されている。具体的には、固定端部45に連成されている。
【0032】
第一脚状接触部43の第一先端49及び第二脚状接触部44の第二先端53は、固定端部45により連結固定されている。第一先端49及び第二先端53は、固定端部45よる連結固定により矢印方向の開きが規制されるようになっている(図5(b)参照)。
【0033】
コンタクト36は、第一脚状接触部43の第一中間48及び第二脚状接触部44の第二中間52同士が離れるような略O脚形状(或いは略菱形パンタグラフ形状)に形成されている。
【0034】
ここで図5を参照しながらコンタクト36の形成について説明をする。コンタクト36は、先ず上記金属薄板を打ち抜きコンタクト展開形状54を形成する。コンタクト展開形状54は、ノブ係合部42と、帯状の展開形状部分55、56と、固定端部45とを有する(図5(a)参照)。次に帯状の展開形状部分55、56に曲げ加工を施して略く字状に折り曲げるとともに、接触子50をプレスにて形成する。曲げ加工等が完了すると、第一脚状接触部43及び第二脚状接触部44が形成される(図5(b)参照)。
【0035】
このようなコンタクト36は、図5(c)に示す如くノブ係合部42の側からスイッチノブ35の一対の柱状部39におけるコンタクト係合溝41に所定量圧入され、そして、この圧入の完了により図3及び図4に示す如くのスイッチ部材25が形成される。尚、コンタクト36は、ノブ係合部42の係止部46がコンタクト係合溝41に引っ掛かることから、脱落するようなことはない。
【0036】
図2において、複数のバスバーA、B、C…は、導電性を有する金属板を打ち抜くことにより形成されている。複数のバスバーA、B、C…は、所望の経路を有するように形成されている。バスバーA、B、Cの所定位置には、コンタクト36の接触子50が電気的に接触する接触凹部57(図9及び図12参照)が形成されている。バスバーAとB、又はバスバーAとCは、接触凹部57に接触するコンタクト36を介して導通するようになっている。接触凹部57は、バスバー本体の一側部を三角形状に切り欠くような形状に形成されている(図9及び図12参照)。
【0037】
次に、上記構成及び構造に基づきながら、スイッチ部材25の組み付けについて説明をする。
【0038】
図6において、スイッチ部材25は、ハウジング23の室内側を上にするとともに、スイッチ収容部32の上方から真っ直ぐ下ろすような作業にて組み付けられる。この組み付けが完了すると、スイッチ部材25はスイッチ収容部32に揺動自在に収容される。
【0039】
図7において、正規組み付け位置(図6参照)に対し図7中左側にスイッチ部材25が位置ズレした場合では、このまま真っ直ぐスイッチ部材25を下ろす作業を続けると、コンタクト36がスイッチ収容部32の開口縁部に干渉してしまうことになる。しかしながら、コンタクト36は上記説明の構造であることから、スイッチ収容部32との干渉の際の衝撃が横に流されるようになり、結果、図7(b)に示す如く位置ズレが補正されるようになる。スイッチ部材25は、位置ズレが仮にあったとしても、スムーズな組み付けをすることができるようになる。
【0040】
続いて、スイッチ部材25によるスイッチ操作について説明をする。
【0041】
図8(a)において、スイッチ部材25は、スイッチON状態となるように操作されている。この時、図8(b)に示す如くの回路が形成されるようになる。もう少し具体的に説明をすると、図9及び図10に示す如くコンタクト36の第一脚状接触部43における接触子50がバスバーAの接触凹部57(図中右側の接触凹部57)に接触するとともに、第二脚状接触部44の接触子50がバスバーBの接触凹部57に接触してバスバーA、Bが導通状態になる。スイッチ部材25は、スイッチON状態に操作されると、バスバーA→コンタクト36→バスバーBの順に電流が流れるようになる。
【0042】
図11(a)において、スイッチ部材25は、スイッチDOOR状態となるように操作されている。この時、図11(b)に示す如くの回路が形成されるようになる。もう少し具体的に説明をすると、図12及び図13に示す如くコンタクト36が移動し、第一脚状接触部43の接触子50がバスバーAの接触凹部57(図中左側の接触凹部57)に接触するとともに、第二脚状接触部44の接触子50がバスバーCの接触凹部57に接触してバスバーA、Cが導通状態になる。スイッチ部材25は、スイッチDOOR状態に操作されると、バスバーA→コンタクト36→バスバーCの順に電流が流れるようになる。
【0043】
ところで、図14及び図15に示す如くのスイッチ部材101を備えた場合について、以下に説明をする。尚、スイッチ部材101は、上記スイッチ部材25と比較するためのものである。
【0044】
図14及び図15において、スイッチ部材101は、スイッチノブ35と、このスイッチノブ35の一対の柱状部39に係合するコンタクト102とを備えて構成されている。コンタクト102は、ノブ係合部と、第一脚状接触部103と、第二脚状接触部104とを有している。第一脚状接触部103及び第二脚状接触部104は、この基端がノブ係合部に連成されるとともに、先端が自由端部105となっており、さらに中間同士が離間するような略八の字状に形成されている。
【0045】
このようなスイッチ部材101の組み付けに関しては、図14に示す如くスイッチ収容部32に対し真っ直ぐ下ろす作業の際に狙いをつける必要があり、仮に図15に示す如くの位置ズレが生じた場合には、スイッチ収容部32の開口縁部にコンタクト102が干渉し塑性変形が起こってしまうことになる。この不具合は、第一脚状接触部103及び第二脚状接触部104の先端が自由端部105であること、すなわち上記固定端部45(図6及び図7参照)が存在しないことや、コンタクト102の形状が上記略O脚形状(或いは略菱形パンタグラフ形状)に形成されてないこと等が要因であると言える。
【0046】
以上、図1ないし図15を参照しながら説明してきたように、本発明によれば、組み付け時におけるコンタクト36の塑性変形を防止することができるという効果を奏する。これにより不良率を低減することができるという効果も奏する。また、本発明によれば、組み付け時に狙いをつけて作業をする必要がなくなることから、作業性の向上を図ることができるという効果を奏する。さらに、本発明によれば、固定端部45を有するコンタクト36であることから、第一脚状接触部43における第一先端49の位置及び第二脚状接触部44における第二先端53の位置での開きを防止することができる。これにより固定端部45が存在せず自由端部105のみの場合となるコンタクト102に比べて、単体状態での変形を起こり難くすることができるという効果も奏する。
【0047】
本発明によれば、特にスイッチ部材25の信頼性を高めることが可能な車載用室内照明装置21を提供することができるという効果を奏する。
【0048】
本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0049】
A、B、C…バスバー(回路体)
21…車載用室内照明装置
22…カバーレンズ
23…ハウジング
24…バルブ
25…スイッチ部材
26…レンズ側嵌合部
27…レンズ
28…スイッチ用開口部
29…係止部
30…ハウジング側嵌合部
31…バルブ収容部
32…スイッチ収容部
33…バスバー固定部
34…バルブ用コンタクト
35…スイッチノブ
36…コンタクト
37…操作部
38…基部
39…柱状部
40…支点部
41…コンタクト係合溝
42…ノブ係合部
43…第一脚状接触部
44…第二脚状接触部
45…固定端部
46…係止部
47…第一基端
48…第一中間
49…第一先端
50…接触子
51…第二基端
52…第二中間
53…第二先端
54…コンタクト展開形状
55、56…帯状の展開形状部分
57…接触凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の操作をするためのスイッチノブと、該スイッチノブの操作に対応する二つの回路体を通電状態にするためのコンタクトとを備えるスイッチ部材において、
前記コンタクトは、
前記スイッチノブに係合するノブ係合部と、
前記スイッチノブの操作に対応する前記二つの回路体における一方に接触し且つ第一基端が前記ノブ係合部に連続する可撓性の第一脚状接触部と、
前記二つの回路体における他方に接触し且つ第二基端が前記ノブ係合部に連続する可撓性の第二脚状接触部と、
前記第一脚状接触部の第一先端及び前記第二脚状接触部の第二先端を連結固定する固定端部とを有する
ことを特徴とするスイッチ部材。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチ部材において、
前記コンタクトは、前記第一脚状接触部の第一中間及び前記第二脚状接触部の第二中間同士が離れる略O脚形状に形成される
ことを特徴とするスイッチ部材。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のスイッチ部材と、該スイッチ部材のコンタクトが接触する複数の回路体と、前記スイッチ部材のスイッチノブの操作により点灯・消灯するバルブとを備える
ことを特徴とする車載用室内照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−210521(P2011−210521A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76822(P2010−76822)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】