説明

スイッチ

【課題】省スペースで大電流に対応可能な接点間隙を確保できるとともに、接点間の接離速度が操作部の操作速度に依存しないスイッチを提供することを目的とする。
【解決手段】操作部3の操作変位が一定量を超えるまでは駆動部転換子4が回転せず、操作部3の操作変位が一定量を超えると滑動棒6で圧縮された弾性部材5の弾発力によって駆動部転換子4が回転し、駆動部転換子4の回転に伴って第1の接触部転換子10および第2の接触部転換子11が回転することで可動接片12に形成された接点12aが接触部ユニット17内に配設された固定端子16に形成された接点16aと接離して電路の開閉を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大電流に対応可能なスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の大電流に対応可能なスイッチは、操作部の操作に伴って可動接片が傾動することで端子間を接離させて電路の開閉を行うシーソー型の接触機構が一般的であった。また、大電流開離時に発生するアークを切断しやすくするために、底面に可動接片を配設した転換子を操作軸の傾倒により摺動させる構造とすることで接点間隙を広くした接触機構を備えたもの(下記特許文献1参照)があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−273316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来のスイッチは、シーソー型の接触機構で接点間隙を広くするためにはスイッチを大型化しなければならなかった。また、特許文献1では、底面に可動接片を配設した転換子を摺動させる構造とすることで、スイッチを大型化せずに接点間隙を広くすることが可能であるが、操作軸の操作速度に連動して接点間が接離するため、操作軸を低速で操作した場合には接点間の接離速度も低速となり、特に直流の場合にはアークが継続する時間が長くなるといった問題があった。
【0005】
そこで本発明は、上記状況に鑑みて、省スペースで大電流に対応可能な接点間隙を確保するとともに接点間の接離速度が操作部の操作速度に依存しないスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕操作部(3)を備えた駆動部ユニット(7)と、接点機構を備えた接触部ユニット(17)からなり、前記駆動部ユニット(7)内に前記操作部(3)および駆動部転換子(4)が軸着され、該駆動部転換子(4)に弾性部材(5)を介して滑動棒(6)が挿設され、前記接触部ユニット(17)内に前記駆動部転換子(4)に係合される第1の接触部転換子(10)と該第1の接触部転換子(10)と連動する第2の接触部転換子(11)が配設され、該第2の接触部転換子(11)に可動接片(12)が配設され、前記操作部(3)の操作変位が一定量を超えるまでは前記駆動部転換子(4)が回転せず、前記操作部(3)の操作変位が一定量を超えると前記滑動棒(6)で圧縮された前記弾性部材(5)の弾発力によって前記駆動部転換子(4)が回転し、該駆動部転換子(4)の回転に伴って前記第1の接触部転換子(10)および前記第2の接触部転換子(11)が回転することで前記可動接片(12)に形成された接点(12a)が前記接触部ユニット(17)内に配設された固定端子(16)に形成された接点(16a)と接離して電路の開閉を行うことを特徴とする。
〔2〕上記〔1〕記載のスイッチにおいて、前記操作部(23)の操作に伴って動作する強制開離板(37)を前記接触部ユニット(38)内に配設し、前記強制開離板(37)の動作に伴って前記第2の接触部転換子(31)が回転方向と直交する方向に移動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)操作部を操作する速度に係わらず、操作部の操作変位が一定量を超えるまでは可動接片は回転せず、一定量を超えると可動接片が瞬時に回転するため、操作部の操作速度と接点間の接離速度が連動せず、操作部をゆっくりと操作しても接点間を瞬時に接離することができるためアークを瞬時に切断することができる。
(2)可動接片の回転により接点間を接離する構造としたので、一般的なシーソー型の接触機構と同スペースで、接点間隙を広くすることができる。
(3)接点間隙を広くすることができるとともにアークを瞬時に切断することができるので、大きなアークが発生する直流負荷の開閉に使用することができる。
(4)駆動部と接触部を夫々独立したユニットとしたので、接触機構の基礎絶縁が破壊された場合でも感電に対する保護ができる。
(5)駆動部と接触部を夫々独立したユニットとしたので、接触機構の構造を変えることなく接触機構ユニットの結合数を変えるだけで、極数を容易に変更することができる。
(6)駆動部と接触部を夫々独立したユニットとしたので、接触機構を変えることなく操作部ユニットを付け替えることで、レバー、スライド、ロッカなど様々な操作形態に対応できる。
(7)強制開離板を配設したので、接点間が溶着した場合でも通常の操作中に軽い力で強制的に開離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施例を示すスイッチの駆動部ユニットの分解斜視図である。
【図2】本発明の第1実施例を示すスイッチの駆動部ユニットの斜視図である。
【図3】本発明の第1実施例を示すスイッチの接触部ユニットの分解斜視図である。
【図4】本発明の第1実施例を示すスイッチの接触部ユニットの斜視図である。
【図5】本発明の第1実施例を示すスイッチの斜視図である。
【図6】本発明の第1実施例を示すスイッチの動作を示す図である。
【図7】本発明の第2実施例を示すスイッチの駆動部ユニットの分解斜視図である。
【図8】本発明の第2実施例を示すスイッチの駆動部ユニットの斜視図である。
【図9】本発明の第2実施例を示すスイッチの接触部ユニットの分解斜視図である。
【図10】本発明の第2実施例を示すスイッチの接触部ユニットの斜視図である。
【図11】本発明の第2実施例を示すスイッチの斜視図である。
【図12】本発明の第2実施例を示すスイッチの強制開離動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、操作部を備えた駆動部ユニットと、接点機構を備えた接触部ユニットからなり、前記駆動部ユニット内に前記操作部および駆動部転換子が軸着され、該駆動部転換子に弾性部材を介して滑動棒が挿設され、前記接触部ユニット内に前記駆動部転換子に係合される第1の接触部転換子と該第1の接触部転換子と連動する第2の接触部転換子が配設され、該第2の接触部転換子に可動接片が配設され、前記操作部の操作変位が一定量を超えるまでは前記駆動部転換子が回転せず、前記操作部の操作変位が一定量を超えると前記滑動棒で圧縮された前記弾性部材の弾発力によって前記駆動部転換子が回転し、該駆動部転換子の回転に伴って前記第1の接触部転換子および前記第2の接触部転換子が回転することで前記可動接片に形成された接点が前記接触部ユニット内に配設された固定端子に形成された接点と接離して電路の開閉を行う。
【実施例】
【0010】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1は本発明の第1実施例を示すスイッチの駆動部ユニットの分解斜視図、図2は本発明の第1実施例を示すスイッチの駆動部ユニットの斜視図、図3は本発明の第1実施例を示すスイッチの接触部ユニットの分解斜視図、図4は本発明の第1実施例を示すスイッチの接触部ユニットの斜視図、図5は本発明の第1実施例を示すスイッチの斜視図、図6は本発明の第1実施例を示すスイッチの動作を示す図であり、図6(a)は操作前を、図6(b)は操作途中を、図6(c)は操作完了時を示している。
【0012】
図1および2において、1は駆動部ケース、2は駆動部ケースカバー、3はレバー、4は駆動部転換子、5はコイルバネ、6はコイルバネ5を介して駆動部転換子4に挿設される滑動棒である。駆動部ケース1にはレバー3を傾動自在に支持するための傾動軸1aが形成され、駆動部転換子4を回転自在に支持するための軸孔1bが形成され、外側面に駆動部ケースカバー2と嵌合するための嵌合凸部1cが形成され、四隅には後述する接触部ユニット17と結合するための結合孔1dが形成されている。駆動部ケースカバー2には駆動部転換子4を回転自在に支持するための軸孔2aが形成され、側面に駆動部ケース1と嵌合するための嵌合片2bが形成され、四隅には後述する接触部ユニット17と結合するための結合孔2cが形成されている。レバー3は棒状体で、下方部に傾動軸1aに軸着するための軸孔3aが形成されている。駆動部転換子4は天面に収納孔4aが形成された直方体で、側面に連結軸4bが形成され、連結軸4bが形成された側面と対向する側面に回転軸4cが形成されている。滑動棒6は円柱形状で、天面にレバー3が摺動する天面板6aが形成されている。
【0013】
駆動部ケース1の傾動軸1aにレバー3の軸孔3aが軸着され、収納孔4aにコイルバネ5を介して滑動棒6が挿設された駆動部転換子4の回転軸4cが軸孔1bに軸着され、駆動部転換子4の連結軸4bが軸孔2aに軸着されるように駆動部ケース1の嵌合凸部1cと駆動部ケースカバー2の嵌合片2bが嵌合されることにより、駆動部ユニット7が完成される。
【0014】
図3および4において、8は接触部ケース、9は接触部ケースカバー、10は第1の接触部転換子、11は第2の接触部転換子、12は可動接片、13は第1の圧縮バネケース、14は第2の圧縮バネケース、15は圧縮バネ、16は接触部ケースカバー9に埋設される固定端子である。接触部ケース8には第1の接触部転換子10を回転自在に支持するための軸孔8aが形成され、第2の接触部転換子11を回転自在に支持するための回転軸8bが形成され、外側面に接触部ケースカバー9と嵌合するための嵌合凸部8cが形成され、四隅には駆動部ユニット7と結合するための結合孔8dが形成されている。接触部ケースカバー9には第1の接触部転換子10を回転自在に支持するための軸孔9aが形成され、側面に接触部ケース8と嵌合するための嵌合片9bが形成され、四隅には駆動部ユニット7と結合するための結合孔9cが形成されている。第1の接触部転換子10は円柱形状で、一方の端面に駆動部転換子4の連結軸4bと連結する連結軸10aが形成され、他方の端面に軸孔9aに軸着される回転軸10bが形成されるとともに、第1の圧縮バネケース13が掛着される掛着突起10cが形成されている。第2の接触部転換子11は略半円形状で、可動接片12を収納するための収納凹部11aが形成され、回転軸8bに軸着される軸孔11bが形成され、第2の圧縮バネケース14が掛着される掛着突起11cが形成されている。可動接片12は板状の導電部材を円弧状に折り曲げて形成され、円弧の両端には円弧の外方に向って突片が形成され、この突片に固定端子16の接点16aと接離する接点12aが形成されている。第1の圧縮バネケース13は天面に収納孔13aが形成された円柱形状で、底面に掛着突起10cに掛着される掛着孔13bが形成されている。第2の圧縮バネケース14は円柱形状で、天面に掛着突起11cに掛着される掛着孔14aが形成されている。
【0015】
接触部ケース8の軸孔8aに第1の接触部転換子10の連結軸10aが軸着され、収納凹部11aに可動接片12が収納された第2の接触部転換子11の軸孔11bが回転軸8bに軸着され、第1の圧縮バネケース13の収納孔13aに圧縮バネ15を介して第2の圧縮バネケース14が収納され、掛着孔13bが掛着突起10cに掛着されるとともに掛着孔14aが掛着突起11cに掛着され、第1の接触部転換子10の回転軸10bが軸孔9aに軸着されるように接触部ケース8の嵌合凸部8cと接触部ケースカバー9の嵌合片9bが嵌合されることにより、接触部ユニット17が完成される。
【0016】
そして、図5に示すように、結合孔1d、2c、8d、および9cに結合ピン18を挿着することで、駆動部ユニット7と接触部ユニット17が結合される。このとき、駆動部転換子4の連結軸4bと第1の接触部転換子10の連結軸10aが嵌合されることにより、スイッチ19が完成される。
【0017】
以上のように構成された本発明のスイッチは、図6に示すように、レバー3を右方向(接点の開離方向)に操作すると、滑動棒6が押圧されるが駆動部転換子4は回転せず、第1の接触部転換子10も回転しないため、可動接片12の接点12aと固定端子16の接点16aは接触状態が保持される。レバー3の操作変位が一定量を超えると、レバー3に押圧された滑動棒6によって圧縮されたコイルバネ5の弾発力により駆動部転換子4が回転する。この回転に伴って第1の接触部転換子10が回転し、第1の圧縮バネケース13と第2の圧縮バネケース14によって圧縮された圧縮バネ15の弾発力により第2の圧縮バネケース14が押圧されて第2の接触部転換子11が回転し、この回転に伴って可動接片12が回転することによって接点12aと接点16aが開離する。レバー3を左方向(接点の接触方向)に操作した場合も、接点の開離方向に操作した場合と同様に、レバー3の操作変位が一定量を超えると可動接片12が回転し、接点12aと接点16aが接触する。
【0018】
このように、本実施例に示すスイッチは、レバー3の操作に伴って可動接片12が回転することにより接点間を接離する構造としたため、従来のシーソー型と同サイズで接点間隙を格段に広くすることができるので、大電流に対応可能な接点間隙を確保できるという特徴を有している。
また、駆動部ユニット7にレバー3および駆動部転換子4が軸着されるとともに駆動部転換子4の収納孔4aにコイルバネ5を介して滑動棒6を挿設し、レバー3の操作変位が一定量を超えたときに駆動部転換子4が回転する構造としたため、レバー3を操作する速度に係わらず、レバー3の操作変位が一定量を超えるまでは駆動部転換子4が回転しないため可動接片12が回転せず、一定量を超えると駆動部転換子4が回転することで第1の接触部転換子10および第2の接触部転換子11が回転して可動接片12が瞬時に回転するため、操作部の操作速度と接点間の接離速度が連動せず、操作部をゆっくりと操作しても接点間を瞬時に接離できるためアークを瞬時に切断することができる。
さらに、駆動部と接触部を夫々独立したユニットとしたため、接触部ユニット17は接触部ケース8および接触部ケースカバー9によって可動接片12および接点16aが密閉されることで基礎絶縁が備えられ、接触部ユニット17の基礎絶縁が破壊されたときでも、駆動部ユニット7側で感電に対する保護ができるという特徴を有している。
【0019】
本実施例では、操作部をレバーとしたが、レバーを傾動させる構造であれば操作形態は多様に変更可能であって、駆動部ユニット内にレバーを内蔵し、レバーの傾動操作を行う操作部をスライド、ロッカ、押ボタンなどの操作形態としてもよい。また、固定端子は接触部ケースカバーに対して垂直方向へ突出させているが、接触部ユニットの下方に突出させるようにしてもよい。パネルへの取付方法も樹脂バネによるワンタッチ取付などとしてもよく、種々の方法が考えられる。
【0020】
図7は本発明の第2実施例を示すスイッチの駆動部ユニットの分解斜視図、図8は本発明の第2実施例を示すスイッチの駆動部ユニットの斜視図、図9は本発明の第2実施例を示すスイッチの接触部ユニットの分解斜視図、図10は本発明の第2実施例を示すスイッチの接触部ユニットの斜視図、図11は本発明の第2実施例を示すスイッチの斜視図、図12は本発明の第2実施例を示すスイッチの強制開離動作を示す図であり、図12(a)は開離前を、図12(b)は開離後を示している。
【0021】
図7および8において、21は駆動部ケース、22は駆動部ケースカバー、23はレバー、24は駆動部転換子、25はコイルバネ、26はコイルバネ25を介して駆動部転換子24に挿設される滑動棒である。駆動部ケース21にはレバー23を傾動自在に支持するための傾動軸21aが形成され、駆動部転換子24を回転自在に支持するための軸孔21bが形成され、外側面に駆動部ケースカバー22と嵌合するための嵌合凸部21cが形成され、四隅には後述する接触部ユニット38と結合するための結合孔21dが形成されている。駆動部ケースカバー22には駆動部転換子24を回転自在に支持するための軸孔22aが形成され、側面に駆動部ケース21と嵌合するための嵌合片22bが形成され、四隅には後述する接触部ユニット38と結合するための結合孔22cが形成され、軸孔22aの上方に後述する強制開離板37の連結棒37aを突出させるためのガイド孔22dが形成されている。レバー23は棒状体で、下方部に傾動軸21aに軸着するための軸孔23aが形成され、軸孔23aの上方に後述する強制開離板37の連結棒37aと嵌合する嵌合孔23bが形成されている。駆動部転換子24は天面に収納孔24aが形成された直方体で、側面に連結軸24bが形成され、連結軸24bが形成された側面と対向する側面に回転軸24cが形成されている。滑動棒26は円柱形状で、天面にレバー23が摺動する天面板26aが形成されている。
【0022】
駆動部ケース21の傾動軸21aにレバー23の軸孔23aが軸着され、収納孔24aにコイルバネ25を介して滑動棒26が挿設された駆動部転換子24の回転軸24cが軸孔21bに軸着され、駆動部転換子24の連結軸24bが軸孔22aに軸着されるように駆動部ケース21の嵌合凸部21cと駆動部ケースカバー22の嵌合片22bが嵌合されることにより、駆動部ユニット27が完成される。
【0023】
図9および10において、28は接触部ケース、29は接触部ケースカバー、30は第1の接触部転換子、31は第2の接触部転換子、32は可動接片、33は第1の圧縮バネケース、34は第2の圧縮バネケース、35は圧縮バネ、36は接触部ケースカバー29に埋設される固定端子、37は強制開離板である。接触部ケース28には第1の接触部転換子30を回転自在に支持するための軸孔28aが形成され、第2の接触部転換子31を回転自在に支持するための回転軸28bが形成され、外側面に接触部ケースカバー29と嵌合するための嵌合凸部28cが形成され、四隅には駆動部ユニット27と結合するための結合孔28dが形成され、回転軸28bの上方に後述する強制開離板37の連結棒37aを突出させるためのガイド孔28eが形成されている。接触部ケースカバー29には第1の接触部転換子30を回転自在に支持するための軸孔29aが形成され、側面に接触部ケース28と嵌合するための嵌合片29bが形成され、四隅には駆動部ユニット27と結合するための結合孔29cが形成されている。第1の接触部転換子30は円柱形状で、一方の端面に駆動部転換子24の連結軸24bと連結する連結軸30aが形成され、他方の端面に軸孔29aに軸着される回転軸30bが形成されるとともに、第1の圧縮バネケース33が掛着される掛着突起30cが形成されている。第2の接触部転換子31は略半円形状で、一方の平面に可動接片32を収納するための収納凹部31aが形成され、回転軸28bに軸着される軸孔31bが形成され、第2の圧縮バネケース34が掛着される掛着突起31cが形成され、他方の平面に後述する強制開離板37の押圧突起37bに押圧される凸部31dが形成されている。可動接片32は板状の導電部材を円弧状に折り曲げて形成され、円弧の両端には円弧の外方に向って突片が形成され、この突片に固定端子36の接点36aと接離する接点32aが形成されている。第1の圧縮バネケース33は天面に収納孔33aが形成された円柱形状で、底面に掛着突起30cに掛着される掛着孔33bが形成されている。第2の圧縮バネケース34は円柱形状で、天面に掛着突起31cに掛着される掛着孔34aが形成されている。強制開離板37は一方の平面に接触部ケース28のガイド孔28eから突出してレバー23の嵌合孔23bに嵌合する連結棒37aが形成され、他方の平面に第2の接触部転換子31に形成された凸部31dを押圧する押圧突起37bが形成されている。
【0024】
接触部ケース28のガイド孔28eから連結棒37aが突出するように強制開離板37を配設し、軸孔28aに第1の接触部転換子30の連結軸30aが軸着され、収納凹部31aに可動接片32が収納された第2の接触部転換子31の軸孔31bが回転軸28bに軸着され、第1の圧縮バネケース33の収納孔33aに圧縮バネ35を介して第2の圧縮バネケース34が収納され、掛着孔33bが掛着突起30cに掛着されるとともに掛着孔34aが掛着突起31cに掛着され、第1の接触部転換子30の回転軸30bが軸孔29aに軸着されるように接触部ケース28の嵌合凸部28cと接触部ケースカバー29の嵌合片29bが嵌合されることにより、接触部ユニット38が完成される。
【0025】
そして、図11に示すように、結合孔21d、22c、28d、および29cに結合ピン39を挿着することで、駆動部ユニット27と接触部ユニット38が結合される。このとき、駆動部転換子24の連結軸24bと第1の接触部転換子30の連結軸30aが嵌合されるとともに、強制開離板37の連結棒37aがレバー23の嵌合孔23bに嵌合されることにより、スイッチ40が完成される。
【0026】
以上のように構成された本発明のスイッチは、第1実施例と同様に、レバー23を右方向(接点の開離方向)に操作すると、滑動棒26が押圧されるが駆動部転換子24は回転せず、第1の接触部転換子30も回転しないため、可動接片32の接点32aと固定端子36の接点36aは接触状態が保持される。レバー23の操作変位が一定量を超えると、レバー23に押圧された滑動棒26によって圧縮されたコイルバネ25の弾発力により駆動部転換子24が回転する。この回転に伴って第1の接触部転換子30が回転し、第1の圧縮バネケース33と第2の圧縮バネケース34によって圧縮された圧縮バネ35の弾発力により第2の圧縮バネケース34が押圧されて第2の接触部転換子31が回転し、この回転に伴って可動接片32が回転することによって接点32aと接点36aが開離する。レバー23を左方向(接点の接触方向)に操作した場合も、接点の開離方向に操作した場合と同様に、レバー23の操作変位が一定量を超えると可動接片32が回転し、接点32aと接点36aが接触する。
【0027】
また、図12に示すように、接触部ユニット38内に配設された第2の接触部転換子31は、第1の圧縮バネケース33と第2の圧縮バネケース34が傾けて掛着されていることにより、圧縮バネ35の弾性力により右方向(強制開離板37の方向)に押圧されている。強制開離板37は連結棒37aがレバー23の嵌合孔23bに嵌合されているため、レバー23の操作に伴って強制開離板37も動作し、強制開離板37の押圧突起37bが第2の接触部転換子31の凸部31dに当接することで、第2の接触部転換子31は左方向(第2の圧縮バネケース34方向)に押圧されて移動し、この第2の接触部転換子31の移動に伴って可動接片32が移動する。このとき、第2の接触部転換子31は常に右方向に押圧されているため、押圧突起37bが凸部31dに当接して乗り越えるときにのみ左方向に移動し、乗り越えた後は圧縮バネ35の弾性力により右方向に押し戻される。この第2の接触部転換子31の回転軸方向への移動によって、仮に接点32aと36aが溶着している場合にも、軽い操作で確実に接点間の溶着を引き剥がすことができる。
【0028】
このように、本実施例に示すスイッチは、レバー23の操作に伴って可動接片32が回転することにより接点間を接離する構造としたため、従来のシーソー型と同サイズで接点間隙を格段に広くすることができるので、大電流に対応可能な接点間隙を確保できるという特徴を有している。
また、駆動部ユニット27にレバー23および駆動部転換子24が軸着されるとともに駆動部転換子24の収納孔24aにコイルバネ25を介して滑動棒26を挿設し、レバー23の操作変位が一定量を超えたときに駆動部転換子24が回転する構造としたため、レバー23を操作する速度に係わらず、レバー23の操作変位が一定量を超えるまでは駆動部転換子24が回転しないため可動接片32が回転せず、一定量を超えると駆動部転換子24が回転することで第1の接触部転換子30および第2の接触部転換子31が回転して可動接片32が瞬時に回転するため、操作部の操作速度と接点間の接離速度が連動せず、操作部をゆっくりと操作しても接点間を瞬時に接離できるためアークを瞬時に切断することができる。
さらに、駆動部と接触部を夫々独立したユニットとしたため、接触部ユニット38は接触部ケース28および接触部ケースカバー29によって可動接片32および接点36aが密閉されることで基礎絶縁が備えられ、接触部ユニット38の基礎絶縁が破壊されたときでも、駆動部ユニット27側で感電に対する保護ができるという特徴を有している。
そして、レバー23の操作に伴って動作する強制開離板37を接触部ユニット38内に配設し、強制開離板37の動作に伴って第2の接触部転換子31が回転方向と直交する方向に移動するため、接点32aと接点36aが溶着した場合にも、通常の操作中に、可動接片32の回転方向に溶着を引き剥がすよりも軽い力で溶着を引き剥がすことができ、接点間の溶着を強制的に開離することができるという特徴を有している。
【0029】
本実施例では、操作部をレバーとしたが、レバーを傾動させる構造であれば操作形態は多様に変更可能であって、駆動部ユニット内にレバーを内蔵し、レバーの傾動操作を行う操作部をスライド、ロッカ、押ボタンなどの操作形態としてもよい。また、固定端子は接触部ケースカバーに対して垂直方向へ突出させているが、接触部ユニットの下方に突出させるようにしてもよい。パネルへの取付方法も樹脂バネによるワンタッチ取付などとしてもよく、種々の方法が考えられる。
【0030】
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明のスイッチは、大電流に対応可能な接触機構を備えたスイッチとして利用可能である。
【符号の説明】
【0032】
1,21 駆動部ケース
1a,21a 傾動軸
1b,2a,3a,8a,9a,11b,21b,22a,23a,28a,29a,31b 軸孔
1c,8c,21c,28c 嵌合凸部
1d,2c,8d,9c,21d,22c,28d,29c 結合孔
2,22 駆動部ケースカバー
2b,9b,22b,29b 嵌合片
22d,28e ガイド孔
3,23 レバー
23b 嵌合孔
4,24 駆動部転換子
4a,13a,24a,33a 収納孔
4b,10a,24b,30a 連結軸
4c,8b,10b,24c,28b,30b 回転軸
5,25 コイルバネ
6,26 滑動棒
6a,26a 天面板
7,27 駆動部ユニット
8,28 接触部ケース
9,29 接触部ケースカバー
10,30 第1の接触部転換子
10c,11c,30c,31c 掛着突起
11,31 第2の接触部転換子
11a,31a 収納凹部
31d 凸部
12,32 可動接片
12a,16a,32a,36a 接点
13,33 第1の圧縮バネケース
13b,14a,33b,34a 掛着孔
14,34 第2の圧縮バネケース
15,35 圧縮バネ
16,36 固定端子
17,38 接触部ユニット
18,39 結合ピン
19,40 スイッチ
37 強制開離板
37a 連結棒
37b 押圧突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部を備えた駆動部ユニットと、接点機構を備えた接触部ユニットからなり、前記駆動部ユニット内に前記操作部および駆動部転換子が軸着され、該駆動部転換子に弾性部材を介して滑動棒が挿設され、前記接触部ユニット内に前記駆動部転換子に係合される第1の接触部転換子と該第1の接触部転換子と連動する第2の接触部転換子が配設され、該第2の接触部転換子に可動接片が配設され、前記操作部の操作変位が一定量を超えるまでは前記駆動部転換子が回転せず、前記操作部の操作変位が一定量を超えると前記滑動棒で圧縮された前記弾性部材の弾発力によって前記駆動部転換子が回転し、該駆動部転換子の回転に伴って前記第1の接触部転換子および前記第2の接触部転換子が回転することで前記可動接片に形成された接点が前記接触部ユニット内に配設された固定端子に形成された接点と接離して電路の開閉を行うことを特徴とするスイッチ。
【請求項2】
請求項1記載のスイッチにおいて、前記操作部の操作に伴って動作する強制開離板を前記接触部ユニット内に配設し、前記強制開離板の動作に伴って前記第2の接触部転換子が回転方向と直交する方向に移動することを特徴とするスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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