説明

スカム除去装置

【課題】構造の簡略化とスカムの流れの円滑化および設備施工のし易さなどの点で改善を加えたスカム除去装置を提供する。
【解決手段】沈澱池1における水面7を境に上下するように設けられた堰13と誘引したスカムSを導出可能なスカム誘引導出部分:トラフ10とを有するとともに、前記堰13を上下駆動させる駆動手段37を有するスカム除去装置において、前記駆動手段37は電動式として池上に設置されてソーラー発電により駆動されるように構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スカム除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
沈澱物を掻き寄せるため処理池において循環駆動自在に装備された汚泥掻寄部材側の動きに連動する連動機構と、同連動機構の動きに応動して水面のスカムを堰き止めた状態と誘引する状態に交互に切り換えられる堰手段を備えたスカム誘引導出装置とを有するスカム除去装置があり、前記連動機構は、汚泥掻寄部材側の軌道上に臨み汚泥掻寄部材側により一定の時間帯軌道外に押し退けられるカム部分と、該カム部分と前記堰手段側とを連動可能にする伝達部分とを有する連動部材と、少なくとも前記連動部材を汚泥掻寄部材側により上下連動可能に支持する案内支持手段を備えてなることを特徴とするスカム除去装置がある。
そうしたスカム除去装置として例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2008−260007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献においては、カム部分と伝達部分とを有する連動部材を案内支持手段に前後揺動自在に支持して連動機構を構成し堰手段を開閉連動させるようにしてあるため、構造的に煩雑化を招いて装置の簡略化を図れず、また連動部材が水面に没する位置にあるためスカムの流れを阻害してスカムの滞留現象を招くおそれがあった。さらに、連動部材や案内支持手段などの連動機構が池内に装備されているため、設備施工に手間が掛かる問題もあった。
【0005】
この発明は、このような従来の装置が有していた問題を解決しようとするものであり、構造の簡略化とスカムの流れの円滑化および設備施工のし易さなどの点で改善を加えたスカム除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、沈澱池などの処理池における水面を境に上下するように設けられた堰手段と誘引したスカムを導出可能なスカム誘引導出部分とを有するとともに、前記堰手段を上下駆動させる駆動手段を有するスカム除去装置において、前記駆動手段は電動式として池上に設置されてソーラー発電により駆動されるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上述したようにこの発明のスカム除去装置によれば、沈澱池などの処理池における水面を境に上下するように設けられた堰手段と誘引したスカムを導出可能なスカム誘引導出部分とを有するとともに、前記堰手段を上下駆動させる駆動手段を有するスカム除去装置において、前記駆動手段は電動式として池上に設置されてソーラー発電により駆動されるように構成されていることを特徴とするので、構造の簡略化とスカムの流れの円滑化および設備施工のし易さなどの点で改善を加えたスカム除去装置を提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】 この発明の一実施形態であるスカム除去装置を堰き止め状態において示す斜視図。
【図2】 同スカム除去装置が電動式で駆動されスカム誘引状態を示す斜視図。
【図3】 同スカム除去装置が手動レバーで操作されてスカムを誘引する様子を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、スカム除去装置についての一実施形態で、1は沈澱池で、図1ではその上流・下流間の略中程構造部分を示す。2は池幅方向に対向する側壁の一方、3は側壁2上の上壁、4は中間歩廊壁で、池幅方向に対称に配置された上壁3,3間を前記中程位置においてつなぐ壁体である。5は越流堰で、各側壁2の下流側部分に長手方向を添わせて設けられ水面7からVノッチ6を越えてくる清澄水を呑み込むようになっている。
【0010】
10はトラフ(誘引導出部分)で、底板部の後部から立ち上がる高い後板部と前部から立ち上がる低い前板部とを有する断面がJ形でSUS製のもので、図1の右下方向にさらに少し長い長尺ものでなる。トラフ10の両側端には端板11が設けられ、こうしたトラフ10は、池幅方向に対向する両側壁2,2間に図示しない固定用のブラケット類を介して両端固定状態で装架されている。
12は連結シートで、トラフ10の前板部に添って基部が取り付けられて斜め前方に延びて上下に弾性変形可能なゴム製でなる。このシート12の先端には、中空構造のSUS製の長尺ものでなり自力浮上可能な堰(堰手段)13が取付けられて水面7を境にその上端部分が没したりあるいは浮上復帰可能になっている。
【0011】
15は可動端板で、上からみてL字形板でなって堰13の両端に取り付けられており、16は固定端板で、トラフ10の両端前側に設けられている。これら固定端板16と可動端板15との間には、ゴム製で折り返し状に曲げ成形された側面シール材17が取り付けられて堰13が上下に動いても自らの弾性変形により常に側方からの水の浸入を阻止するようになっている。
18はハンドル挿入パイプで、堰13の上に突設されており、図3に示すように、上方から手動ハンドル19を差し込んで池上から前後に操作されることにより堰13を水面7を介して没するように応動させるスカムを呑み込ませることができるようになっている。
【0012】
21は連動アームで、トラフ10の長手中間に固定したブラケット22に横軸である回転軸23を介してその中間が回転自在に取り付けられており、この連動アーム21は、前部aと後部bとでなり、前部aは堰13の上方に伸び後部bはトラフ10の後向きに延びている。
【0013】
25はレバー軸で、連動アーム21の先端に回転自在に設けられ、このレバー軸25は付勢スプリング26を介してレバー27を常に上向きに付勢するようになっている。レバー27は四角な通孔28とその通孔28内に臨む係合片29とを備えている。
このレバー27の通孔28には、堰13からブラケット30を介して立設された連動ロッド31が通されている。24はレバー押さえで、ブラケット22の一側面から前向きに突設されており、レバー27を押さえて水平姿勢に規定するものになっている。
【0014】
図1の状態では、連動アーム21が水平に戻されスプリング26によりレバー27により上向きに付勢されながらレバー押さえ24のストッパ作用を受けて連動アーム21は水平な状態にある。連動アーム21が後部bを持ち上げられ前部aが下げられるとスプリング26の作用で上向きに傾斜しながら前端が下がるようになり、それまで水平であった通孔28も斜めになるため、係合片29が連動ロッド31の表面に係合し同ロッド31を押し下げるようになり、堰13を押し下げることになる(図2参照)。
一方、手動ハンドル19により堰13を操作すると、連動ロッド31は水平な通孔28の中で勝手に上下することになり、連動アーム21側と無関係に堰13の上下運動を許すことになる。
【0015】
連動アーム21を引き上げる装置は次のようになっている。33はソーラーパネルで、池上に固定立設したポール34に取り付けられるとともに、ポール34には制御盤35とバッテリー収納部36が取り付けられている。37は電動シリンダである駆動手段であり、中間歩廊壁4上に立設した受体39に装着されてその先端ロッド40と連動アーム21の後部bとの間を結ぶリンクチェーンである吊り部材41が歩廊口42を通じて通されている。
43は駆動手段37の上下ストロークを規定するためのリミットスイッチ、44は外装用の保護ボックスである。
【0016】
図1は堰13が水面7上に浮上復帰しスカムS…の誘引が停止された状態を示している。ソーラーパネル33とバッテリー(図示省略)により駆動手段37が駆動されると、図2に示すように、吊り部材41により連動アーム21の後部bが吊り上げられ、前部aが下がるように駆動される。レバー27は先端が持ち上がるように付勢されることで係合片29が連動ロッド31を捉えて下動させ堰13を押し下げる。
【0017】
これにより、水面7のスカムS…が水を伴って堰13を越えてトラフ10内に誘引され右下方向へと導出される。駆動手段37が逆方向に駆動されると吊り部材41が弛み堰13は浮上する。浮上するとレバー27の先端がレバー押さえ24に当てって係合片29と連動ロッド31との係合関係を外し、図1のように連動ロッド31が通孔28内でフリーな動きのできる状態になるとともにスカムを堰き止める状態になる。手動ハンドル19による操作・応動は図3のように上記の通りである。
【0018】
尚、前記トラフ10は、両端固定式でその前側に上下運動可能な堰13を備えたタイプのものであったが、丸パイプの長手方向に開口を設け、この開口縁が水面に没するとき水面のスカムを呑み込み上昇するとき堰き止めるようにしたパイプスキマーを採用することがある。この場合、電動シリンダのロッドを伸ばしてこのパイプを往復回転自在に応動させるようにする。
【符号の説明】
【0019】
1…沈澱池 7…水面 10…トラフ 13…堰 21…連動アーム 27…レバー 33…ソーラーパネル 35…制御盤 36…バッテリー収納部 37…駆動手段(電動シリンダ) 41…吊り部材 S…スカム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
沈澱池などの処理池における水面を境に上下するように設けられた堰手段と誘引したスカムを導出可能なスカム誘引導出部分とを有するとともに、前記堰手段を上下駆動させる駆動手段を有するスカム除去装置において、前記駆動手段は電動式として池上に設置されてソーラー発電により駆動されるように構成されていることを特徴とするスカム除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−24748(P2012−24748A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181141(P2010−181141)
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【出願人】(594100838)フジワラ産業株式会社 (51)
【Fターム(参考)】