説明

スキャンコンバータ、レーダ装置及びスキャンコンバート方法

【課題】拡大表示を行う際にも、レーダエコー等のデータを欠落なく高速に再現する。
【解決手段】始点終点メモリ2に各方位それぞれに対応する探知距離に相当する線分の両端座標を予め記憶しておく。表示領域設定部7は、CPU3の指示により表示装置の画面表示領域を指定する情報をもとに座標計算部4に表示領域の設定を行う。レーダビデオとして各方位それぞれの測定結果(距離及び信号強度)が入力ビデオバッファ1に入力される毎に、座標計算部4は各方位に対応する線分の始点及び終点座標を始点終点メモリ2から読み出す。座標計算部4は、読み出された始点から終点に向かって表示領域設定部7により設定される表示領域を越えるまで測定結果が示す距離を計算された線分上の座標点に換算して、それぞれの距離に対応する信号強度を換算された座標点のフレームバッファ6に描画することでラスタビデオに変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、レーダ装置において使用されるスキャンコンバータに関し、特にレーダビデオをCRT等のラスタスキャン方式のディスプレイに表示する際に用いられるスキャンコンバータ、レーダ装置及びスキャンコンバート方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のレーダ装置におけるスキャンコンバート方式では、方位θと距離rとで示される極座標を直交座標に変換することで、ディスプレイ上のピクセル座標(x,y)を一点ずつ求めていた。この座標変換に並行してエコーデータの計算を行い、計算されたエコーデータをスキャンコンバータで求まったピクセル座標(x,y)をアドレスとしてフレームバッファに書き込むことで、ディスプレイへ出力を行っていた。
【0003】
ところが、従来のスキャンコンバート方式では極座標から直交座標に変換する際にsin、cos等の三角関数の計算結果を用いるため計算時間がかかったり、距離解像度、方位解像度、計算誤差、丸め誤差などにより変換されない点が生じたりする場合がある。この点にはエコーデータが書き込まれることがなく、完全にエコーデータが欠落してしまう。この現象はPPI(Plan Position Indicator)の半径が大きくなると顕著に見られるようになるため、高解像度の大画面ディスプレイを使用する場合には特に問題となる。
【0004】
そこで、従来技術として欠落したデータをソフトウェアで補間したり、ハードウェアで水平方向、垂直方向に拡大して補正をする手法が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。しかし、いずれもスキャンコンバート後の補正であり、必ずしも元のビデオデータを忠実に再現しているとは言えなかった。
【特許文献1】特開平7−92254号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来のスキャンコンバート方式では極座標から直交座標に変換する際に三角関数を用いるため計算に時間がかかったり、距離解像度、方位解像度、計算誤差、丸め誤差などにより変換されない点が生じたりする場合がある。また、欠落したデータを補正する手法を用いても、拡大表示を行う場合、特にレーダ覆域の周辺部を拡大表示する際には描画に必要な時間が増え、描画の更新レートが下がるという問題点があった。
【0006】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、拡大表示を行う際にも、レーダエコー等のデータを欠落なく高速に再現することが可能なスキャンコンバータ、レーダ装置及びスキャンコンバート方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためにこの発明に係るスキャンコンバータは、複数の方位に受信ビームを形成して、それぞれの方位の受信エコーから距離に対する信号強度を測定するレーダ装置に用いられ、前記複数の方位それぞれの距離に対する信号強度情報を表示スコープの画面に表示するためのラスタビデオに変換するスキャンコンバータであって、前記複数の方位それぞれに対応する探知距離に相当する線分の両端の座標を記憶する記憶手段と、前記表示スコープの画面表示領域を指定する情報を受け付ける受付手段と、前記複数の方位それぞれの測定結果が入力され、前記測定結果を入力する毎にその被測定方位に対応する線分の両端の座標を前記記憶手段から読み出し、この読み出された両端の座標のいずれか一方を始点とし、他方の座標である終点に向かって前記指定された画面表示領域を越えるまで前記測定結果が示す距離を前記線分上の座標点に換算して、前記距離に対応する信号強度情報を換算された座標点に描画することで前記ラスタビデオに変換する変換手段とを具備することを特徴とする。
【0008】
また、この発明に係るレーダ装置は、複数の方位に受信ビームを形成して、それぞれの方位の受信エコーから距離に対する信号強度を測定するレーダ装置に用いられ、前記複数の方位それぞれの距離に対する信号強度情報を表示スコープの画面に表示するためのラスタビデオに変換するレーダ装置であって、前記複数の方位それぞれに対応する探知距離に相当する線分の両端の座標を記憶する記憶手段と、前記表示スコープの画面表示領域を指定する情報を受け付ける受付手段と、前記複数の方位それぞれの測定結果が入力され、前記測定結果を入力する毎にその被測定方位に対応する線分の両端の座標を前記記憶手段から読み出し、この読み出された両端の座標のいずれか一方を始点とし、他方の座標である終点に向かって前記指定された画面表示領域を越えるまで前記測定結果が示す距離を前記線分上の座標点に換算して、前記距離に対応する信号強度情報を換算された座標点に描画することで前記ラスタビデオに変換する変換手段とを具備することを特徴とする。
【0009】
また、この発明に係るスキャンコンバート方法は、複数の方位に受信ビームを形成して、それぞれの方位の受信エコーから距離に対する信号強度を測定するレーダ装置に用いられ、前記複数の方位それぞれの距離に対する信号強度情報を表示スコープの画面に表示するためのラスタビデオに変換するスキャンコンバート方法であって、前記複数の方位それぞれに対応する探知距離に相当する線分の両端の座標を記憶し、前記表示スコープの画面表示領域を指定する情報を受け付け、前記複数の方位それぞれの測定結果が入力され、前記測定結果を入力する毎にその被測定方位に対応する線分の両端の座標を読み出し、この読み出された両端の座標のいずれか一方を始点とし、他方の座標である終点に向かって前記指定された画面表示領域を越えるまで前記測定結果が示す距離を前記線分上の座標点に換算して、前記距離に対応する信号強度情報を換算された座標点に描画することで前記ラスタビデオに変換することを特徴とする。
【0010】
上記構成によるスキャンコンバータ、レーダ装置及びスキャンコンバート方法では、各方位それぞれに対応する探知距離に相当する線分の両端座標を予め記憶する。また、表示スコープの画面表示領域を指定する情報を受け付ける。レーダビデオとして各方位それぞれの測定結果が入力される毎に、各方位に対応する線分の始点及び終点座標を読み出して、この始点から終点に向かって表示領域を越えるまでの線分を計算する。そして、上記測定された距離を線分の座標点に換算して信号強度をそれぞれの距離に対応する座標点に描画することでラスタビデオに変換する。
【0011】
このように構成することで三角関数の計算が不要になるため、単純な回路構成で高速動作を可能となる。また画面表示領域を越えた部分の描画処理は打ち切るようにすることで、処理時間の短縮を図ることができる。
【発明の効果】
【0012】
したがってこの発明によれば、拡大表示を行う際にも、レーダエコー等のデータを欠落なく高速に再現することが可能なスキャンコンバータ、レーダ装置及びスキャンコンバート方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、この発明に係るレーダ装置の第1の実施形態を示す構成図である。このレーダ装置は、スキャンコンバータ10と、送信機11と、アンテナ12と、受信機13と、信号処理装置14と、画面出力装置15と、CPU16と、表示装置17とを備える。
【0014】
送信機11において生成されたパルス波形データは送信周波数までアップコンバートされ、電力増幅されたのち、レーダパルスとしてアンテナ12から空中に送出される。アンテナ12から送出されたレーダパルスはターゲットにより反射され、アンテナ12が形成する受信ビームでレーダエコーとして捕捉され、受信機13により増幅されて検出される。レーダ装置は、アンテナ12を所定速度で回転させて複数の方位に対して上記送受信処理を実行する。
【0015】
信号処理装置14は、受信機13から供給される各方位の受信エコーに対してフィルタ処理等を行い、雑音やクラッタ等の不要成分を取り除き、エコーの反射強度などを算出する。上記算出されたデータはレーダビデオとしてスキャンコンバータ10に入力され、スキャンコンバータ10は、CRT等のラスタスキャンディスプレイに出力できるようにレーダビデオをラスタビデオに変換する。画面出力装置15は、CPU16の制御の下、スキャンコンバートされたレーダ画像に加えて地図やシンボル等を重畳し、表示装置17へ出力する。図2は、表示装置17がPPIスコープで構成される場合の画面表示例である。PPIスコープでは、表示の原点をアンテナ位置とし、ビームの回転方位方向に同期させて放射状に掃引を行い、原点から外周への長さは距離を表す。
【0016】
図3は、図1に示すスキャンコンバータ10を示す機能ブロック図である。
スキャンコンバータ10は、入力ビデオバッファ1と、始点終点メモリ2と、CPU3と、座標計算部4と、信号強度最大値検出部5と、フレームバッファ6と、表示領域設定部7とを備える。スキャンコンバータ10は、PPIスコープの中心点から放射状に長さrの線分を描画し、直線状の各ピクセルにエコーデータを割り当てることによりスキャンコンバートを行う。
【0017】
入力ビデオバッファ1には、信号処理装置14から供給される複数の方位それぞれの距離に対する信号強度情報が保持される。始点終点メモリ2には、CPU3により計算されるレーダ中心から各方位に対応する探知距離に相当する線分の両端の座標が格納される。座標計算部4は、指定された方位に対応する線分の両端の座標を始点終点メモリ2から読み出し、読み出された両端の座標のいずれか一方を始点、もう一方を終点とし、始点から終点を結んだ線分を表す座標配列を計算する。線分の計算には、例えばブレゼンハムの線分描画アルゴリズムを利用する。このアルゴリズムは、加算と減算のみで任意の2点間の線分を描画することが可能であるため、計算処理をより高速に行うことができる。
【0018】
また、表示領域設定部7は、CPU3により指定される表示装置17の画面に表示する表示領域を表す情報をもとに座標計算部4に表示領域の設定を行う。上記座標計算部4は、この表示領域設定部7により設定された表示領域内について上記座標配列の計算を行う。
【0019】
信号強度最大値検出部5は、座標計算部4で求められた線分上の各ピクセルに対応する信号強度うち最大値を検出する。フレームバッファ6では、座標計算部4で計算された線上の各ピクセルに信号強度最大値検出部5により検出された信号強度の最大値に基づいた色データを書き込むことでPPIスキャン(極座標系)からラスタスキャン(直交座標系)へのスキャンコンバートを行う。
【0020】
次に、このように構成されたスキャンコンバータ10の動作について説明する。
図3において、スキャンコンバータ10は、信号処理装置14からθ(方位)とr(距離)とI(信号強度)を受け取り、θとrの値をアドレスとしてデュアルポートメモリである入力ビデオバッファ1に信号強度Iを書き込む。始点終点メモリ2にはビームの各方位θに対応する探知距離に相当する線分の両端座標(xs,ys)、(xe,ye)がそれぞれ格納されている。通常、初期値が格納されているが、PPIスコープの中心点の平行移動や拡大・縮小を行う際には、CPU3により全座標を計算し更新する。PPIスキャンの場合、例えば、(xs,ys)は、レーダの中心に相当する座標(x0,y0)とし、(xe,ye)は、レーダの探知距離をRとすると、R×sinθ+x0、R×cosθ+y0の値をCPU3で計算し整数に丸めた値とする。
【0021】
座標計算部4は、入力ビデオバッファ1に保持された方位θの値に対応する線分の両端座標を始点終点メモリ2から読み出し、(xs,ys)と(xe,ye)との間を結んだ線分を表す座標配列(x1,y1)〜(xi,yi)(iは自然数)を計算する。この計算には、ブレゼンハムの線分描画アルゴリズムを適用する。ブレゼンハムのアルゴリズムは線分の始点と終点の座標のみを必要とし、加減算とシフト演算で線分上の点の座標を求めることができ、乗除算が不要なためハードウェア化に適している。
【0022】
信号強度最大値検出部5には、入力ビデオバッファ1から方位θに対応する測定結果(信号強度Iと距離rの組)が供給される。信号強度最大値検出部5は、各距離rを座標計算部4により求められた線分上の座標点に換算し、この座標点に該当する信号強度Iの中から最大値Imaxをそれぞれ検出する。線分上のピクセルの座標(x1,y1)〜(xi,yi)をアドレスとし、信号強度最大値検出部5より得られたピクセルの色データImax1〜iをフレームバッファ6に書き込むことでPPIスキャン(極座標系)からラスタスキャン(直交座標系)へのスキャンコンバートを行う。
【0023】
ところで、上記座標計算部4は、表示領域設定部7により設定された表示装置17の画面に表示する表示領域内について上述した座標配列を計算するようにする。以下に、その手法を詳細に述べる。
【0024】
図4は、ライン描画処理の手順とその内容を示すフローチャートである。CPU3は、表示領域設定部7から表示領域の設定を受け付けると(ステップS4a)、レーダの中心に相当する座標から設定された表示領域までの位置を判定する(ステップS4b)。
【0025】
この判定において、表示領域がレーダの中心を含む、またはレーダの中心に近いと判定された場合には、図5に示すようにライン描画を行う。すなわち、CPU3は中心点Oを始点、最大探知距離Rを半径とする円周上の点Aiを終点として始点終点メモリ2に記憶する(ステップS4c)。座標計算部4は、始点終点メモリ2からθに対応する座標を読み出し、中心点Oから円周上の点Aiに向かって表示領域を越えるまでライン描画を行う(ステップS4d,S4e)。ステップS4eの判定において表示領域を越えたとき、座標計算部4はライン描画を打ち切り(ステップS4f)、次のラインの描画処理を行う(ステップS4g)。
【0026】
一方、ステップS4bの判定において、表示領域がレーダの中心から遠い(外周に近い)と判定された場合には、図5に示すようにライン描画を行う。この場合、CPU3は最大探知距離Rを半径とする円周上の点Aiを始点、中心点Oを終点として始点終点メモリ2に記憶する(ステップS4h)。座標計算部4は、始点終点メモリ2からθに対応する座標を読み出し、円周上の点Aiから中心点Oに向かって表示領域を越えるまでライン描画を行う(ステップS4i,S4j)。ステップS4jの判定において表示領域を越えたとき、座標計算部4はライン描画を打ち切り(ステップS4k)、次のラインの描画処理を行う(ステップS4l)。
【0027】
以上述べたように上記第1の実施形態では、始点終点メモリ2に各方位それぞれに対応する探知距離に相当する線分の両端座標を予め記憶しておく。表示領域設定部7は、CPU3の指示により表示装置の画面表示領域を指定する情報をもとに座標計算部4に表示領域の設定を行う。レーダビデオとして各方位それぞれの測定結果(距離及び信号強度)が入力ビデオバッファ1に入力される毎に、座標計算部4は各方位に対応する線分の始点及び終点座標を始点終点メモリ2から読み出す。座標計算部4は、読み出された始点から終点に向かって表示領域設定部7により設定される表示領域を越えるまで測定結果が示す距離を計算された線分上の座標点に換算して、それぞれの距離に対応する信号強度を換算された座標点のフレームバッファ6に描画することでラスタビデオに変換する。
【0028】
したがって、上記第1の実施形態によれば、三角関数の計算が不要になるため、単純な回路構成で高速動作を可能にし、エコーデータの欠落を起こさずより忠実な表示を高速に行うことが可能となる。さらに、画面表示領域に関係なく始点から終点まですべての座標の計算を行う場合と比較して、画面表示領域を越えた部分の計算は画面表示に影響を与えないため処理を打ち切るようにすることで、処理時間の短縮を図ることができる。つまり、上記図5及び図6において破線部分の座標換算処理を省略することができる。なお、この処理は表示領域がPPIの中心点に近い、もしくはPPI周縁部に近い場合に特に有効である。
【0029】
また、上記第1の実施形態では、レーダの中心から表示領域までの距離によって、中心点と円周上の点のどちらを始点にするかを決定している。このようにすることで、ライン描画の処理を高速に行うことができる。これは、画面表示領域の位置に応じてCPU3が始点・終点を入れ替えるだけでライン描画の方向を変更する事が可能である。
【0030】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、上記第1の実施形態の座標計算部4の処理をさらに高速化する手法について述べる。なお、第2の実施形態において、スキャンコンバータの構成は、上記第1の実施形態と同一であるため、上記第1の実施形態における図3を用いて説明を行う。
【0031】
図7は、第2の実施形態のスキャンコンバータにおけるライン描画処理の手順とその内容を示すフローチャートである。CPU3は、表示領域設定部7から表示領域の設定を受け付けると(ステップS7a)、レーダの中心に相当する座標から設定された表示領域までの位置を判定する(ステップS7b)。
【0032】
この判定において、表示領域がレーダの中心を含む、またはレーダの中心に近いと判定された場合には、図8に示すように、さらに描画を高速化するために始点を表示領域に近づける。すなわち、CPU3は、中心点Oから最大探知距離Rを半径とする円周上の点Aiに向かって画面表示領域よりも内側にある円上の点Biを計算し、始点終点メモリ2に点Biを始点として記憶する(ステップS7c)。そして、座標計算部4は、始点終点メモリ2から始点として点Bi、終点として最大探知距離Rを半径とする円周上の点Aiを読み出し(ステップS7d)、点Biから円周上の点Aiに向かって表示領域を越えるまでライン描画を行う(ステップS7e,S7f)。ステップS7fの判定において表示領域を越えたとき、座標計算部4はライン描画を打ち切り(ステップS7g)、次のラインの描画処理を行う(ステップS7h)。
【0033】
一方、ステップS7bの判定において、表示領域がPPIの外周に近いと判定された場合には、図9に示すようにライン描画を行う。この場合、CPU3は、最大探知距離Rを半径とする円周上の点から中心点Oに向かって画面表示領域よりも外側にある円上の点Ciを計算し、始点終点メモリ2に点Biを始点として記憶する(ステップS7i)。そして、座標計算部4は、始点終点メモリ2から始点として点Ci、終点として中心点Oを読み出し(ステップS7j)、円周上の点Ciから中心点Oに向かって表示領域を越えるまでライン描画を行う(ステップS7k,S7l)。ステップS7lの判定において表示領域を越えたとき、座標計算部4はライン描画を打ち切り(ステップS7m)、次のラインの描画処理を行う(ステップS7n)。
【0034】
上記第2の実施形態では、レーダビデオを拡大し、PPIの中心が画面表示領域内に無い場合には、さらに始点を終点に向かって画面表示位置に近づけてライン描画を行うようにしている。これにより上記第1の実施形態よりさらにライン描画処理を短縮することができる。これにより、レーダビデオの画面表示領域、拡大率にかかわらず、ほぼ一定時間で1ライン描画を行うことが可能になる。
【0035】
以上に述べたように、本発明を用いることで、レーダエコー等のデータの欠落を起こさず、拡大したスキャンコンバートが可能である。また、レーダ覆域における画面表示領域・拡大率に応じて、ラインの始点・終点、及びライン描画方向を設定することでライン描画時間を短縮することができる。これによりスキャンコンバートの更新レートを向上することが可能になる。
【0036】
なお、この発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係るレーダ装置の第1の実施形態を示す構成図。
【図2】PPIスコープの画面表示例を示す図。
【図3】本発明に係るスキャンコンバータの第1の実施形態を示す機能ブロック図。
【図4】第1の実施形態のスキャンコンバータにおけるライン描画処理の手順とその内容を示すフローチャート。
【図5】第1の実施形態のスキャンコンバータによるライン描画を示す図。
【図6】第1の実施形態のスキャンコンバータによるライン描画を示す図。
【図7】第2の実施形態のスキャンコンバータにおけるライン描画処理の手順とその内容を示すフローチャート。
【図8】第2の実施形態のスキャンコンバータによるライン描画を示す図。
【図9】第2の実施形態のスキャンコンバータによるライン描画を示す図。
【符号の説明】
【0038】
10…スキャンコンバータ、11…送信機、12…アンテナ、13…受信機、14…信号処理装置、15…画面出力装置、16…CPU、17…表示装置、1…入力ビデオバッファ、2…始点終点メモリ、3…CPU、4…座標計算部、5…信号強度最大値検出部、6…フレームバッファ、7…表示領域設定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の方位に受信ビームを形成して、それぞれの方位の受信エコーから距離に対する信号強度を測定するレーダ装置に用いられ、前記複数の方位それぞれの距離に対する信号強度情報を表示スコープの画面に表示するためのラスタビデオに変換するスキャンコンバータであって、
前記複数の方位それぞれに対応する探知距離に相当する線分の両端の座標を記憶する記憶手段と、
前記表示スコープの画面表示領域を指定する情報を受け付ける受付手段と、
前記複数の方位それぞれの測定結果が入力され、前記測定結果を入力する毎にその被測定方位に対応する線分の両端の座標を前記記憶手段から読み出し、この読み出された両端の座標のいずれか一方を始点とし、他方の座標である終点に向かって前記指定された画面表示領域を越えるまで前記測定結果が示す距離を前記線分上の座標点に換算して、前記距離に対応する信号強度情報を換算された座標点に描画することで前記ラスタビデオに変換する変換手段と
を具備することを特徴とするスキャンコンバータ。
【請求項2】
前記変換手段は、レーダの中心に相当する座標から前記指定された画面表示領域までの距離に基づいて、前記記憶手段から読み出された両端の座標のいずれか一方を始点とすることを特徴とする請求項1記載のスキャンコンバータ。
【請求項3】
前記変換手段は、さらに前記始点を前記終点に向かって前記指定された画面表示領域に近づけることを特徴とする請求項1記載のスキャンコンバータ。
【請求項4】
複数の方位に受信ビームを形成して、それぞれの方位の受信エコーから距離に対する信号強度を測定するレーダ装置に用いられ、前記複数の方位それぞれの距離に対する信号強度情報を表示スコープの画面に表示するためのラスタビデオに変換するレーダ装置であって、
前記複数の方位それぞれに対応する探知距離に相当する線分の両端の座標を記憶する記憶手段と、
前記表示スコープの画面表示領域を指定する情報を受け付ける受付手段と、
前記複数の方位それぞれの測定結果が入力され、前記測定結果を入力する毎にその被測定方位に対応する線分の両端の座標を前記記憶手段から読み出し、この読み出された両端の座標のいずれか一方を始点とし、他方の座標である終点に向かって前記指定された画面表示領域を越えるまで前記測定結果が示す距離を前記線分上の座標点に換算して、前記距離に対応する信号強度情報を換算された座標点に描画することで前記ラスタビデオに変換する変換手段と
を具備することを特徴とするレーダ装置。
【請求項5】
複数の方位に受信ビームを形成して、それぞれの方位の受信エコーから距離に対する信号強度を測定するレーダ装置に用いられ、前記複数の方位それぞれの距離に対する信号強度情報を表示スコープの画面に表示するためのラスタビデオに変換するスキャンコンバート方法であって、
前記複数の方位それぞれに対応する探知距離に相当する線分の両端の座標を記憶し、
前記表示スコープの画面表示領域を指定する情報を受け付け、
前記複数の方位それぞれの測定結果が入力され、前記測定結果を入力する毎にその被測定方位に対応する線分の両端の座標を読み出し、この読み出された両端の座標のいずれか一方を始点とし、他方の座標である終点に向かって前記指定された画面表示領域を越えるまで前記測定結果が示す距離を前記線分上の座標点に換算して、前記距離に対応する信号強度情報を換算された座標点に描画することで前記ラスタビデオに変換することを特徴とするスキャンコンバート方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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