説明

スクアリリウム化合物を含有する光重合性組成物および体積型ホログラム用光記録媒体

【課題】実用性の高い可視域の450〜550nmの光源(YAGレーザー、アルゴンイオンレーザー等)に対し、感度等に優れた光重合性組成物および体積型ホログラム用光記録媒体を提供すること。
【解決手段】一般式(I)
【化1】


で表されるスクアリリウム化合物、重合性モノマーおよびラジカル発生剤を含有する光重合性組成物、およびそれを含有する体積型ホログラム用光記録媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体積型ホログラム等の用途に有用である光重合性組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
可視光に感度を有する光重合性組成物は、レーザーダイレクト製版用PS版、ドライフィルムレジスト、デジタルプルーフ、ホログラム等の可視レーザー用記録材料、パンクロマティックな感光材(例えば、カラーホログラム用感光材やマイクロカプセル中に光重合性組成物を包含したフルカラー表示用感光材等)、塗料、接着剤等の用途に有用である。特に、450〜550nmの光に感度を有する光重合性組成物は、YAGレーザー、アルゴンイオンレーザー等の実用性の高い光源が使用できるので、有用である。450〜550nmの光に感度を有する光重合性組成物としては、例えば、クマリン色素を含有する感光性組成物等が知られている(特許文献1)。
スクアリリウム化合物を含有する光重合性組成物としては、可視光の短波長領域(350〜450nm)に感度を有する光重合性組成物が知られている(特許文献2)。
アミンを原料として得られるスクアリリウム化合物は、DVD−R用記録材料用色素(特許文献3)、電子ディスプレイ装置用フィルター用色素(特許文献4)等に有用であることが知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−259558号公報
【特許文献2】国際公開第2007/049579号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2001/044375号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2005/059608号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、実用性の高い可視域の450〜550nmの光源(YAGレーザー、アルゴンイオンレーザー等)に対し、感度等に優れた光重合性組成物および体積型ホログラム用光記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の(1)〜(7)を提供する。
(1)一般式(I)
【0006】
【化1】

【0007】
(式中、R、RおよびRは、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、または置換基を有していてもよい複素環基を表し、RおよびRがこれらが隣接するC=Cと一緒になって置換基を有していてもよい炭化水素環を形成してもよく、RおよびRは、同一または異なって、置換基を有していてもよいアルキル基を表すか、RおよびRが隣接する窒素原子と一緒になって置換基を有していてもよい脂環式複素環を形成してもよく、Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、または置換基を有していてもよいアラルキル基を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、置換基を有していてもよいアミノ基、または置換基を有していてもよい複素環基を表すか、RおよびRがこれらが隣接するN−C=Cと一緒になって置換基を有していてもよい脂環式複素環を形成してもよく、nは0〜4の整数を表し、Rは、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、置換基を有していてもよいアミノ基、または置換基を有していてもよい複素環基を表し、nが2〜4の整数の場合、Rのそれぞれは、同一または異なっていてもよく、互いに隣り合う2つのRがこれらが隣接するC=Cと一緒になって、置換基を有していてもよい炭化水素環または置換基を有していてもよい複素環を形成してもよい)で表されるスクアリリウム化合物、重合性モノマーおよびラジカル発生剤を含有する光重合性組成物。
【0008】
(2)R、R、およびRが同一または異なって、水素原子、または置換基を有していてもよいアルキル基である(1)に記載の光重合性組成物。
【0009】
(3)Rが、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、または置換基を有していてもよいアラルキル基である(1)または(2)に記載の光重合性組成物。
【0010】
(4)RおよびRがこれらが隣接するN−C=Cと一緒になって置換基を有していてもよい脂環式複素環を形成する(1)または(2)に記載の光重合性組成物。
【0011】
(5)nが0であるまたは(1)〜(4)のいずれかに記載の光重合性組成物。
【0012】
(6)nが1〜4の整数であり、Rが、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換基を有していてもよいアルキル基、または置換基を有していてもよいアルコキシル基であり、nが2〜4の場合、Rのそれぞれは、同一または異なっていてもよく、互いに隣り合う2つのRがこれらが隣接するC=Cと一緒になって、置換基を有していてもよい炭化水素環または置換基を有していてもよい複素環を形成してもよい(1)〜(4)のいずれかに記載の光重合性組成物。
【0013】
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載の光重合性組成物を含有する体積型ホログラム用光記録媒体。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、実用性の高い可視域の450〜550nmの光源(YAGレーザー、アルゴンイオンレーザー等)に対し、感度等に優れた光重合性組成物および体積型ホログラム用光記録媒体を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、一般式(I)で表される化合物を化合物(I)という。
一般式の各基の定義において、アルキル基およびアルコキシル基におけるアルキル部分としては、例えば、直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜10のアルキル基または炭素数3〜8の環状アルキル基があげられ、より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等があげられる。
【0016】
アラルキル基としては、例えば、炭素数7〜15のアラルキル基があげられ、より具体的には、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基等があげられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基等があげられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子があげられる。
【0017】
複素環基における複素環としては、芳香族複素環および脂環式複素環があげられる。
芳香族複素環としては、例えば、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性芳香族複素環、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性芳香族複素環等があげられ、より具体的にはピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、ナフチリジン環、シンノリン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、チオフェン環、フラン環、チアゾール環、オキサゾール環、インドール環、イソインドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、プリン環、カルバゾール環等があげられる。
【0018】
脂環式複素環としては、例えば、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5〜8員の単環性脂環式複素環、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性脂環式複素環等があげられ、より具体的にはピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、ホモピペリジン環、ホモピペラジン環、テトラヒドロピリジン環、テトラヒドロキノリン環、テトラヒドロイソキノリン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環、ジヒドロベンゾフラン環、テトラヒドロカルバゾール環等があげられる。
【0019】
およびRがこれらが隣接するC=Cと一緒になって形成される炭化水素環、ならびに互いに隣り合う2つのRがこれらが隣接するC=Cと一緒になって形成される炭化水素環としては、例えば、炭素数5〜10の不飽和の炭化水素環があげられ、より具体的には、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロヘプテン環、シクロオクテン環、ベンゼン環、ナフタレン環等があげられる。
【0020】
互いに隣り合う2つのRがこれらが隣接するC=Cと一緒になって形成される複素環としては、例えば、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性芳香族複素環、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性芳香族複素環等があげられ、より具体的にはピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、ナフチリジン環、シンノリン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、チオフェン環、フラン環、チアゾール環、オキサゾール環、インドール環、イソインドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、カルバゾール環等があげられる。
【0021】
およびRが隣接する窒素原子と一緒になって形成される脂環式複素環としては、例えば、少なくとも1個の窒素原子を含む3〜8員の単環性複素環等があげられ、より具体的には、アジリジン環、アゼチジン環、ピロリジン環、ピペリジン環、ヘキサヒドロアゼピン環等があげられる。
【0022】
およびRがこれらが隣接するN−C=Cと一緒になって形成される脂環式複素環としては、例えば、少なくとも1個の窒素原子を含む5〜8員の不飽和の単環性脂環式複素環等があげられ、より具体的には、2,3−ジヒドロピロール環、1,2,3,4−テトラヒドロピリジン環、2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−アゼピン環等があげられる。
【0023】
アルキル基、およびアルコキシル基の置換基としては、例えば、同一または異なって1〜3個の置換基、具体的には、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルコキシル基、アルコキシアルコキシル基等があげられる。ハロゲン原子およびアルコキシル基は、それぞれ前記と同義である。アルコキシアルコキシル基の2つのアルコキシ部分は、それぞれ前記のアルコキシル基と同義である。
【0024】
アラルキル基、アリール基、複素環基、RおよびRがこれらが隣接するC=Cと一緒になって形成される炭化水素環、互いに隣り合う2つのRがこれらが隣接するC=Cと一緒になって形成される炭化水素環、RおよびRが隣接する窒素原子と一緒になって形成される脂環式複素環、RおよびRがこれらが隣接するN−C=Cと一緒になって形成される脂環式複素環ならびに互いに隣り合う2つのRがこれらが隣接するC=Cと一緒になって形成される複素環の置換基としては、例えば、同一または異なって1〜5個の置換基、具体的には、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシル基、ニトロ基、置換基を有していてもよいアミノ基等があげられる。ハロゲン原子、アルキル基およびアルコキシル基は、それぞれ前記と同義である。アミノ基の置換基は、後述のアミノ基の置換基と同義である。
【0025】
アミノ基の置換基としては、例えば、1個または2個の置換基、具体的には、アルキル基、アラルキル基、アリール基等があげられる。アルキル基、アラルキル基およびアリール基は、それぞれ前記と同義である。該置換基が2個であるとき、置換基のそれぞれは同一または異なってよい。
【0026】
本発明に用いられる化合物(I)は、例えば、国際公開第2007/049579号パンフレットに記載の化合物(Ia)の製造方法に準じて、工程(1)〜(3)のように製造することができる。
工程(1)
【0027】
【化2】

工程(2)
【0028】
【化3】

工程(3)
【0029】
【化4】

【0030】
(式中、R、R、R、R、R、R、R、Rおよびnは、それぞれ前記と同義であり、Wは塩素原子または臭素原子を表す)
工程(1)は、国際公開第2007/049579号パンフレットに記載の反応式1の方法に準じて行うことができ、工程(2)は該特許文献に記載の反応式2の方法に準じて行うことができ、工程(3)は該特許文献に記載の反応式3の方法に準じて行うことができる。
【0031】
具体的には、例えば、以下の通りである。
工程(1)
化合物(IV)は、化合物(II)と1〜2倍モルの化合物(III)とを、0〜2倍モルの塩基存在下で、溶媒中、0〜40℃で1〜20時間反応させることにより得られる。
溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル類、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)等があげられる。
塩基としては、例えば、キノリン、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基または炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基があげられる。
【0032】
工程(2)
化合物(V)は、化合物(IV)を50〜90容量%の酢酸水溶液中で、90〜120℃で0.1〜7時間処理するか、または50〜99重量%のトリフルオロ酢酸水溶液中で、45〜50℃で0.1〜3時間処理することにより得られる。
【0033】
工程(3)
化合物(I)は、化合物(V)と1〜5倍モルの化合物(VI)とを溶媒中、80〜150℃の温度で、1〜15時間反応させることにより得られる。
溶媒としては、例えば、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類、または、該アルコール類(50容量%以上)と、ベンゼン、トルエン、もしくはキシレンとの混合溶媒等があげられる。
【0034】
化合物(III)および(VI)は市販品として入手するか、公知の方法、例えば、特開昭48−39454号公報、特開昭63−253056号公報、国際公開第95/7888号パンフレット、テトラヘドロン(Tetrahedron),2005年,第61巻,第24号,p.5725、ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサイエティ(Journal of the Chemical Society),ケミカル・コミュニケーションズ(Chemical Communications),1990年,第12巻,p.869等に記載の方法等に準じて製造して得ることができる。
反応後、必要に応じて、目的化合物を有機合成化学で通常用いられる方法(カラムクロマトグラフィー法、再結晶法または溶媒での洗浄等)で精製してもよい。
【0035】
以下に、化合物(I)の好ましい具体例を記載する。式中、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、i Prはイソプロピル基を表し、n Buはブチル基を表す。
【0036】
【化5】

【0037】
【化6】

【0038】
本発明の光重合性組成物は、化合物(I)、重合性モノマー、およびラジカル発生剤を含有する。該光重合性組成物は、バインダー樹脂、一般的な添加剤[例えば、可塑剤、熱重合禁止剤、粘度調整剤、化合物(I)以外の増感色素等]、および有機溶媒等を含有してもよい。
【0039】
本発明に用いられる重合性モノマーとしては、例えば、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体、主鎖または側鎖にエチレン性不飽和二重結合を有する重合体等があげられる。重合性モノマーは、単独で、または2種類以上を混合して用いられる。
【0040】
エチレン性不飽和二重結合を有する単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸とモノヒドロキシ化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族ポリヒドロキシ化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と芳香族ポリヒドロキシ化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と多価カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステル等があげられる。
【0041】
不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸等があげられる。
【0042】
不飽和カルボン酸とモノヒドロキシ化合物とのエステルとしては、例えば、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、p−クロロフェニルアクリレート、2−(1−ナフチルオキシ)エチルアクリレート、o−ビフェニルアクリレート、ペンタクロロフェニルアクリレート、2,4,6−トリブロモフェニルアクリレート、2−ナフチルアクリレート、2−(2−ナフチルオキシ)エチルアクリレート、トリフルオロエチルアクリレート、テトラフルオロプロピルアクリレート、ジブロモプロピルアクリレート、エチル−2−クロロアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等のアクリル酸エステル、これらのアクリル酸部をメタクリル酸に代えた化合物、これらの誘導体等があげられる。
【0043】
不飽和カルボン酸と脂肪族ポリヒドロキシ化合物とのエステルとしては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアククリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、グリセロールアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等のアクリル酸エステル;トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート等のメタクリル酸エステル;その他、脂肪族ポリヒドロキシ化合物のイタコン酸エステル、クロトン酸エステル、マレイン酸エステル等があげられる。
【0044】
不飽和カルボン酸と芳香族ポリヒドロキシ化合物とのエステルとしては、例えば、ハイドロキノンジアクリレート、ハイドロキノンジメタクリレート、レゾルシンジアクリレート、レゾルシンジメタクリレート、ピロガロールトリアクリレート等があげられる。
【0045】
不飽和カルボン酸と多価カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステルとしては、例えば、アクリル酸とフタル酸とエチレングリコールとの縮合物;アクリル酸とマレイン酸とジエチレングリコールとの縮合物;メタクリル酸とテレフタル酸とペンタエリスリトールとの縮合物;アクリル酸とアジピン酸とブタンジオールとグリセリンとの縮合物等があげられる。
【0046】
エチレン性不飽和二重結合を有する単量体のその他の例としては、エチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類、フタル酸ジアリル等のアリルエステルおよびそのプレポリマー、ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物等があげられる。
【0047】
主鎖にエチレン性不飽和二重結合を有する重合体としては、例えば不飽和二価カルボン酸とジヒドロキシ化合物との重縮合反応により得られるポリエステル、不飽和二価カルボン酸とジアミンとの重縮合反応により得られるポリアミド等があげられる。
【0048】
側鎖にエチレン性不飽和二重結合を有する重合体としては、例えば、側鎖に不飽和結合をもつ二価カルボン酸(イタコン酸、プロピリデンコハク酸、エチリデンマロン酸等)とジヒドロキシ化合物またはジアミン化合物との縮合重合体、ヒドロキシ基またはハロゲン化メチル基を側鎖にもつ重合体[ポリビニルアルコール、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂ポリエピクロルヒドリン等]と不飽和カルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等)との高分子反応により得られる重合体等があげられる。
【0049】
本発明に用いられるラジカル発生剤としては、少なくとも1個のトリハロメチル基で置換したs−トリアジン化合物類〔2,4,6- トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−1−ナフタレニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等〕、有機過酸化物類〔3,3’,4,4’−テトラキス(tert−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン(以下、BTTBという)等〕、N−フェニルグリシン類(N−フェニルグリシン、p−クロロ−N−フェニルグリシン、m−メチル−N−フェニルグリシン等)、芳香族スルホニルハライド化合物類(ベンゼンスルホニルクロライド、p−トルエンスルホニルクロライド等)、イミダゾール二量体類〔2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等〕、鉄アレーン錯体類〔(η6 −ベンゼン)(η5 −シクロペンタジエニル)鉄(II) のPF6 -塩等〕、チタノセン類(フルオロアリールチタノセン等)、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、分枝鎖状ポリエチレンイミン類等があげられる。
【0050】
本発明の光重合性組成物中の化合物(I)の使用量は、全組成物100重量部(以下、重量部を部という)に対して、好ましくは0.0005〜5部、より好ましくは0.001〜0.5部である。
重合性モノマーの使用量は、化合物(I)1部に対して、好ましくは2〜10000部、より好ましくは20〜5000部である。
ラジカル発生剤の使用量は、化合物(I)1部に対して、好ましくは0.1〜500部、より好ましくは1〜100部である。
【0051】
バインダー樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸エステルまたはその部分加水分解物、ポリアクリル酸エステルまたはその部分加水分解物、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニルまたはその部分加水分解物、ポリビニルブチラール、ポリクロロプレン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリウレタン、ポリアミド、ポリカーボネート、アセチルセルロース、ポリビニルカルバゾール、その他アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、(無水)マレイン酸、アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の共重合可能なモノマーから2種類以上選択して製造される共重合体等があげられる。バインダー樹脂の使用量は、重合性モノマー100部に対して好ましくは10〜1000部、より好ましくは30〜200部である。
【0052】
可塑剤としては、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸イソノニル等のフタル酸エステル類、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、コハク酸ジエチル等の脂肪族二塩基酸エステル類、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート等の正リン酸エステル類、グリセリルトリアセテート、2−エチルヘキシルアセテート等の酢酸エステル類、トリフェニルホスファイト、ジブチルハイドロジエンホスファイト等の亜リン酸エステル類等があげられる。可塑剤の使用量は、重合性モノマー100部に対して好ましくは0.1〜200部、より好ましくは1〜100部である。
【0053】
有機溶媒としては、アセトン、エチルメチルケトン、イソブチルメチルケトン、アミルメチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル系の溶媒、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族系溶媒、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルム等のクロロ系溶媒等、またはそれらの混合溶媒等があげられる。有機溶媒の使用量は、前記溶媒を除いた全組成物1部に対して、好ましくは0.02〜100部、より好ましくは0.1〜20部である。
【0054】
本発明の光重合性組成物を、レーザーダイレクト製版用PS版、ドライフィルムレジスト、デジタルプルーフ、ホログラム等の可視レーザー用記録材料、パンクロマティックな感光材(例えば、カラーホログラム用感光材やマイクロカプセル中に光重合性組成物を包含したフルカラー表示用感光材等)、塗料、接着剤等の用途に使用する際、実用性の高い450〜550nmの光源(YAGレーザー、アルゴンイオンレーザー等)を使用することができる。
【0055】
次に、本発明の体積型ホログラム用光記録媒体について説明する。
本発明の体積型ホログラム用光記録媒体は、本発明の光重合性組成物を含有する。体積型ホログラム用光記録媒体としては、例えば、該光重合性組成物を基板に塗布する方法、該光重合性組成物を2枚の基板に挟みこむ方法等により該光重合性組成物をシート状に成形して得られるもの等があげられる。
【0056】
基板としては、透明性を有するものであれば特に限定されるものではないが、ガラス基板やプラスチック基板が好ましい。プラスチック基板の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−ビニルアルコール、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミドフイルム等の樹脂等があげられる。
【0057】
体積型ホログラム用光記録媒体の厚みは1〜2,000μmであるのが好ましく、10〜1,000μmであるのがより好ましい。
基板の厚みは、透明性を確保する観点から、0.1〜5mmであるのが好ましく、0.3〜2mmであるのがより好ましい。
【0058】
光重合性組成物を基板に塗布する方法としては、公知の方法、例えば、スピンコーター、グラビアコーター、バーコーター等で塗布する方法等があげられる。
光重合性組成物を2枚の基板に挟みこむ方法としては、公知の方法、例えば、2枚の基板の間に光重合性組成物を挟み込んだ後、該2枚の基板の周囲を封止する方法等があげられる。該2枚の基板の間の距離を調節するため、スペーサー等を用いてもよい。
【0059】
情報光と参照光とを体積型ホログラム用光記録媒体の内部で干渉させることによってホログラム記録を行うことができる。記録されるホログラムは、透過型ホログラムおよび反射型ホログラムのいずれでもよい。情報光と参照光との干渉方法は、二光束干渉法および同軸干渉法のいずれでもよい。
【0060】
上記のホログラム記録に用いられる光源としては、可視域の光源(450〜550nm)であればよく、例としては、YAGレーザー(SHG)(波長532nm)、アルゴンイオンレーザー(波長488nm)、アルゴンイオンレーザー(波長488nm、514.5nm)、または銅蒸気レーザー(波長511nm、538nm)等があげられる。
【0061】
体積型ホログラム用光記録媒体にホログラム記録を行った後、紫外線による全面露光や加熱等の処理を体積型ホログラム用光記録媒体に対して適宜おこなってもよい。
【0062】
本発明の体積型ホログラム用光記録媒体は光感度または光退色性等に優れる。光退色性はホログラムの多重記録を行う場合に有用な特性である。
【実施例】
【0063】
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。
3−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−4−N,N−ジエチルアミノフェニル)シクロブテン−1,2−ジオンおよび3−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−4−N,N−ジブチルアミノフェニル)シクロブテン−1,2−ジオンは、国際公開第01/44375号パンフレット記載の方法に準じて合成した。
【0064】
(化合物1の製造)
3−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−4−N,N−ジエチルアミノフェニル)シクロブテン−1,2−ジオン19.6g、N−エチルアニリン10.2g、ブタノール75ml、およびトルエン75mlを混合し、130℃で6時間反応させた。反応液を冷却後、析出した赤茶色固体を濾取することにより化合物1(24.6g)を得た。
H−NMR 、400MHz、δ(CDCl) ppm:1.19−1.23(6H,m),1.34−1.37(3H,m),3.39−3.44(4H,m),4.42−4.50(2H,m),6.10−6.11(1H,m),6.26−6.28(1H,m),7.33−7.40(3H,m),7.42−7.49(2H,m),7.95−8.04(1H,m),11.57−11.65(1H,m).
吸収極大波長(CHCl): 492.5nm
モル吸光係数(CHCl): 100100(mol/l)−1・cm−1
【0065】
(化合物2の製造)
3−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−4−N,N−ジエチルアミノフェニル)シクロブテン−1,2−ジオン1.05g、N−ベンジルアニリン0.81g、ブタノール4.0ml、およびトルエン4.0mlを混合し、130℃で8時間反応させた。反応液を減圧濃縮後、残渣をエタノール8mlとトルエン2mlの混合溶媒で再結晶し、化合物2(1.53g)を得た。
H−NMR 、400MHz、δ(CDCl) ppm:1.20−1.23(6H,m),3.40−3.45(4H、m),5.50−5.56(2H,m),6.10−6.15(1H,m),6.27−6.29(1H,m),7.20−7.39(10H,m),7.97−8.08(1H,m),11.60−11.72(1H,m).
吸収極大波長(CHCl): 495.0nm
モル吸光係数(CHCl): 116100(mol/l)−1・cm−1
【0066】
(化合物3の製造)
3−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−4−N,N−ジブチルアミノフェニル)シクロブテン−1,2−ジオン1.27g、4−(メチルアミノ)フェノール硫酸塩0.76g、トリエチルアミン0.23g、ブタノール4.0mlおよびトルエン4.0mlを混合し、130℃で13時間反応させた。反応液を冷却後、メタノール4mlを添加して析出した固体を濾取することにより化合物3(1.37g)を得た。
H−NMR 、400MHz、δ(CDCl) ppm:0.94−0.98(6H,m),1.31−1.40(4H,m),1.57−1.64(4H,m),3.31−3.35(4H,m),6.08−6.11(1H,m),6.25−6.27(1H,m),6.70−6.75(2H,m),7.11−7.16(2H,m),7.94−8.00(2H,m),11.31−11.38(1H,m).
吸収極大波長(CHCl): 499.0nm
モル吸光係数(CHCl): 91100(mol/l)−1・cm−1
【0067】
(化合物4の製造)
3−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−4−N,N−ジエチルアミノフェニル)シクロブテン−1,2−ジオン1.05g、N−ブチルアニリン0.66g、ブタノール4.0ml、およびトルエン2.0mlを混合し、130℃で4時間反応させた。反応液を冷却後、メタノール4mlを添加して析出した固体を濾取することにより化合物4(1.30g)を得た。
H−NMR 、400MHz、δ(CDCl) ppm:0.91−0.95(3H,m),1.19−1.23(6H,m),1.41−1.43(2H,m),1.63−1.67(2H,m),3.38−3.44(4H,m),4.36−4.46(2H,m),6.10−6.13(1H,m),6.25−6.27(1H,m),7.33−7.39(3H,m),7.40−7.49(2H,m),7.94−8.04(1H,m),11.56−11.64(1H,m).
吸収極大波長(CHCl): 493.0nm
モル吸光係数(CHCl): 105100(mol/l)−1・cm−1
【0068】
(化合物5の製造)
3−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−4−N,N−ジブチルアミノフェニル)シクロブテン−1,2−ジオン1.27g、N−ベンジル−o−アニシジン0.94g、ブタノール4.0ml、およびトルエン4.0mlを混合し、130℃で4時間反応させた。反応液を減圧濃縮後、エタノール4mlとトルエン0.5mlの混合溶媒で再結晶して化合物5(0.57g)を得た。
H−NMR 、400MHz、δ(CDCl) ppm:0.94−0.97(6H,m),1.30−1.40(4H,m),1.55−1.63(4H,m),3.29−3.33(4H,m),3.77−3.78(3H,m),5.36−5.42(2H,m),6.06−6.12(1H,m),6.17−6.27(1H,m),6.87−6.88(2H,m),6.93−6.96(1H,m),7.23−7.36(6H,m),7.88−8.07(1H,m),11.47−11.73(1H,m).
吸収極大波長(CHCl): 488.5nm
モル吸光係数(CHCl): 123800(mol/l)−1・cm−1
【0069】
(化合物6の製造)
3−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−4−N,N−ジエチルアミノフェニル)シクロブテン−1,2−ジオン1.05g、N−メチル−o−トルイジン0.53g、ブタノール4.0ml、およびトルエン2.0mlを混合し、130℃で5時間反応させた。反応液を冷却後、メタノール4mlを添加して析出した固体を濾取し、化合物6(1.27g)を得た。
H−NMR 、400MHz、δ(CDCl) ppm:1.18−1.22(6H,m),2.34(3H,s),3.37−3.43(4H,m),3.82−3.87(3H,m),6.08−6.13(1H,m),6.19−6.28(1H,m),7.25−7.36(4H,m),7.86−8.02(1H,m),11.36−11.54(1H,m).
吸収極大波長(CHCl): 483.0nm
モル吸光係数(CHCl): 117700(mol/l)−1・cm−1
【0070】
(化合物7の製造)
3−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−4−N,N−ジエチルアミノフェニル)シクロブテン−1,2−ジオン19.86g、N−エチル−o−トルイジン13.36g、ブタノール76.0ml、およびトルエン76.0mlを混合し、130℃で6時間反応させた。析出した固体を濾取した後、メタノール102mlとトルエン51mlの混合溶媒で再結晶して化合物7(21.84g)を得た。
H−NMR 、400MHz、δ(CDCl) ppm:1.18−1.22(6H,m),1.31−1.35(3H,m),2.32(3H,s),3.37−3.42(4H,m),4.25−4.33(2H,m),6.08−6.13(1H,m),6.19−6.28(1H,m),7.21−7.23(1H,d,J=7.6Hz),7.31−7.37(3H,m),7.86−8.02(1H,m),11.37−11.56(1H,m).
吸収極大波長(CHCl): 483.5nm
モル吸光係数(CHCl): 123200(mol/l)−1・cm−1
【0071】
(化合物8の製造)
3−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−4−N,N−ジエチルアミノフェニル)シクロブテン−1,2−ジオン1.05g、N−エチル−o−イソプロピルアニリン0.72g、ブタノール4.0ml、およびトルエン4.0mlを混合し、130℃で10時間反応させた。反応液を冷却後、メタノール4mlを添加して析出した固体を濾取することにより化合物8(1.44g)を得た。
H−NMR 、400MHz、δ(CDCl) ppm:1.18−1.29(12H,m),1.35−1.38(3H,m),3.01−3.05(1H,m),3.37−3.42(4H,m),3.92−3.97(1H,m),4.57−4.62(1H,m),6.12−6.28(2H,m),7.16−7.19(1H,m),7.27−7.31(1H,m),7.44−7.46(2H,m),7.86−8.02(1H,m),11.39−11.59(1H,m).
吸収極大波長(CHCl): 483.0nm
モル吸光係数(CHCl): 114100(mol/l)−1・cm−1
【0072】
(化合物9の製造)
3−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−4−N,N−ジブチルアミノフェニル)シクロブテン−1,2−ジオン0.95g、2−(ベンジルアミノ)フェノール0.66g、ブタノール3.0ml、およびトルエン1.5mlを混合し、130℃で3時間反応させた。反応後、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒;クロロホルム/メタノール=30/1vol)により精製し、化合物9(0.85g)を得た。
H−NMR 、400MHz、δ(CDCl) ppm:0.88−0.98(6H,m),1.31−1.40(4H,m),1.56−1.64(4H,m),3.30−3.34(4H,m),5.33(2H,s),6.05−6.10(1H,m),6.19−6.27(1H,m),6.67−6.77(3H,m),7.05−7.11(1H,m),7.23−7.26(6H,m),7.86−8.05(1H,m),11.25−11.49(1H,m).
吸収極大波長(CHCl): 489.5nm
モル吸光係数(CHCl): 111000(mol/l)−1・cm−1
【0073】
(化合物10の製造)
3−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−4−N,N−ジエチルアミノフェニル)シクロブテン−1,2−ジオン0.78g、4−(ベンジルアミノ)フェノール0.66g、ブタノール3.0ml、およびトルエン3.0mlを混合し、130℃で5時間反応させた。反応液を冷却後、メタノール6mlを添加して析出した固体を濾取することにより化合物10(1.13g)を得た。
H−NMR 、400MHz、δ(CDCl) ppm:1.20−1.22(6H,m),3.40−3.45(4H,m),6.10−6.15(1H,m),6.24−6.30(1H,m),6.56−6.58(2H,m),6.86−6.88(2H,m),7.20−7.25(5H,m),7.60−8.07(2H,m),11.24−11.44(1H,m).
吸収極大波長(CHCl): 492.5nm
モル吸光係数(CHCl): 100300(mol/l)−1・cm−1
【0074】
(化合物11の製造)
3−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−4−N,N−ジブチルアミノフェニル)シクロブテン−1,2−ジオン1.27g、4−アミノ−3,5−キシレノール0.60g、ブタノール4.0ml、およびトルエン2.0mlを混合し、130℃で3時間反応させた。反応液を冷却後、メタノール4mlを添加して析出した固体を濾取することにより化合物11(1.44g)を得た。
H−NMR 、400MHz、δ(DMSO−d) ppm:0.90−0.94(6H,m),1.27−1.36(4H,m),1.47−1.55(4H,m),2.14(6H,s),3.33−3.36(4H,m),6.01−6.02(1H,m),6.34−6.37(1H,m),6.53(2H,s),7.75−7.77(1H,d,J=9.0Hz),9.51(1H,s),11.50(1H,s),11.73(1H,s).
吸収極大波長(CHCl): 483.5nm
モル吸光係数(CHCl): 109500(mol/l)−1・cm−1
【0075】
(化合物12の製造)
3−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−4−N,N−ジエチルアミノフェニル)シクロブテン−1,2−ジオン1.05g、N−イソプロピル−o−アニシジン0.75g、ブタノール4.0ml、およびトルエン2.0mlを混合し、130℃で5時間反応させた。反応液を冷却後、メタノール4mlを添加して析出した固体を濾取することにより化合物12(0.55g)を得た。
H−NMR 、400MHz、δ(CDCl) ppm:1.17−1.21(6H,m),1.32−1.36(3H,m),1.51−1.53(3H,m),3.40−3.41(4H,m),3.83−3.84(3H,m),4.99−5.13(1H,m),6.08−6.27(2H,m),7.00−7.05(2H,m),7.18−7.22(1H,m),7.41−7.46(1H,m),7.85−8.04(1H,m),11.40−11.64(1H,m).
吸収極大波長(CHCl): 479.0nm
モル吸光係数(CHCl): 103100(mol/l)−1・cm−1
【0076】
(化合物13の製造)
3−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−4−N,N−ジエチルアミノフェニル)シクロブテン−1,2−ジオン1.05g、N−イソプロピル−2,4−ジメトキシアニリン0.92g、ブタノール4.0ml、およびトルエン2.0mlを混合し、130℃で5時間反応させた。反応液を冷却後、メタノール4mlを添加して析出した固体を濾取することにより化合物13(1.41g)を得た。
H−NMR 、400MHz、δ(CDCl) ppm:1.17−1.20(6H,m),1.25−1.26(3H,m),1.45−1.47(3H,m),3.36−3.41(4H,m),3.53−3.81(6H,m),4.99−5.14(1H,m),6.08−6.26(2H,m),6.49−6.57(2H,m),7.08−7.11(1H,m),7.86−8.04(1H,m),11.40−11.62(1H,m).
吸収極大波長(CHCl): 478.5nm
モル吸光係数(CHCl): 112300(mol/l)−1・cm−1
【0077】
(化合物14の製造)
3−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−4−N,N−ジエチルアミノフェニル)シクロブテン−1,2−ジオン1.05g、N−イソプロピル−o−フルオロアニリン0.69g、ブタノール4.0ml、およびトルエン2.0mlを混合し、130℃で5時間反応させた。反応液を冷却後、メタノール4mlを添加して析出した固体を濾取することにより化合物14(1.17g)を得た。
H−NMR 、400MHz、δ(CDCl) ppm:1.17−1.22(6H,m),1.41−1.42(6H,m),3.37−3.43(4H,m),5.03−5.18(1H,m),6.07−6.28(2H,m),7.24−7.31(3H,m),7.47−7.49(1H,m),7.86−8.05(1H,m),11.37−11.67(1H,m).
吸収極大波長(CHCl): 485.0nm
モル吸光係数(CHCl): 120100(mol/l)−1・cm−1
【0078】
(化合物15の製造)
3−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−4−N,N−ジエチルアミノフェニル)シクロブテン−1,2−ジオン1.05g、N−イソプロピル−o−フェネチジン0.82g、ブタノール4.0ml、およびトルエン2.0mlを混合し、130℃で5時間反応させた。反応液を冷却後、メタノール4mlを添加して析出した固体を濾取することにより化合物15(0.64g)を得た。
H−NMR 、400MHz、δ(CDCl) ppm:1.17−1.21(6H,m),1.32−1.36(6H,m),1.51−1.53(3H,m),3.36−3.42(4H,m),4.05−4.11(2H,m),4.96−5.11(1H,m),6.08−6.19(1H,m),6.24−6.27(1H,m),6.98−7.02(2H,m),7.18−7.20(1H,m),7.39−7.43(1H,m),7.86−8.05(1H,m),11.42−11.65(1H,m).
吸収極大波長(CHCl): 479.0nm
モル吸光係数(CHCl): 105200(mol/l)−1・cm−1
【0079】
(化合物16の製造)
3−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−4−N,N−ジエチルアミノフェニル)シクロブテン−1,2−ジオン1.05g、N−イソプロピル−2,4−ジメチルアニリン0.73g、ブタノール4.0ml、およびトルエン2.0mlを混合し、130℃で5時間反応させた。反応液を冷却後、メタノール8mlを添加して析出した固体を濾取することにより化合物16(1.14g)を得た。
H−NMR 、400MHz、δ(CDCl) ppm:1.17−1.21(6H,m),1.25−1.28(3H,m),1.55−1.58(3H,m),2.24−2.25(3H,m),2.37(3H,s),3.36−3.41(4H,m),4.97−5.12(1H,m),6.08−6.19(1H,m),6.24−6.27(1H,m),7.07−7.08(2H,m),7.14−7.15(1H,m),7.85−8.04(1H,m),11.33−11.59(1H,m).
吸収極大波長(CHCl): 481.0nm
モル吸光係数(CHCl): 110100(mol/l)−1・cm−1
【0080】
(化合物17の製造)
3−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−4−N,N−ジエチルアミノフェニル)シクロブテン−1,2−ジオン0.78g、1,1,2−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズ[e]インドール0.70g、ブタノール6.0mlおよびトルエン3.0mlを混合し、130℃で3時間反応させた。反応液を減圧濃縮後、メタノール6mlを添加して析出した固体を濾取することにより化合物17(1.31g)を得た。
H−NMR 、400MHz、δ(CDCl) ppm:1.21−1.25(6H,m),1.51−1.58(6H,m),1.79(3H,s),3.41−3.46(4H,m),4.96−5.05(1H,m),6.15−6.16(1H,m),6.27−6.31(1H,m),7.44−7.54(2H,m),7.83−7.90(2H,m),8.04−8.14(2H,m),8.70−8.84(1H,m),11.63−11.69(1H,m).
吸収極大波長(CHCl): 542.0nm
モル吸光係数(CHCl): 150000(mol/l)−1・cm−1
【0081】
実施例1〜19
(光重合性組成物の調製および感度評価)
ペンタエリスリトールトリアクリレート100部、ポリビニルピロリドン100部、表1に記載のラジカル発生剤10部、および表1に記載のスクアリリウム化合物0.1部をエチルセロソルブ900mlに溶解して光重合性組成物を得た。これらの光重合性組成物のそれぞれを乾燥膜厚が2μmとなるようにスピンコートにより砂目立されたPETフィルム上に塗布し、80℃で2分間乾燥して、感度評価に用いる試料を得た。
【0082】
得られた試料を窒素気流下で露光し、グレースケール法による最低硬化光量により感度を評価した。
光源として、キセノン灯(500W)を使用した。干渉フィルター(MIF型532nm、日本真空工学製)およびHA−30熱線吸収フィルター(HOYA製)を用いて、キセノン灯の532nm(半値幅15mm以下)の輝線を取り出して、試料を露光した。露光後の試料をメタノールに1分間浸漬することにより現像し、硬化段数から感度(最低硬化光量)を求めた。感度は次の式より計算した。
【0083】
(感度)= I× t × T (感度の単位:mJ/cm
I ;光強度、t;露光時間、T;硬化段数に対する透過率
結果を表1に示す。感度の値は小さいものほど、感度が良いことを表す。
【0084】
【表1】

BTTB:3,3’,4,4’−テトラキス(tert−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン
TCT−1:2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン
TCT−2: 2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン
【0085】
実施例20
(体積型ホログラム用光記録媒体の調製)
70部のペンタエリスリトールトリアクリレート、30部のネオペンチルグリコールジアクリレート、50部のセバシン酸ジエチル、5部のBTTBおよび0.15部の化合物1を混合して溶解し、体積型ホログラム用光記録媒体の調製に用いる光重合性組成物を得た。
2枚のガラス板(縦30mm、横30mm、厚さ1.1mm)に、厚さ25μmのPETフィルムからなるスペーサーと共に、上記の方法で調整した光重合性組成物を挟み込んだ。挟み込む力で均一に溶液を広げ、空気が入らないように周囲をテープで止め、体積型ホログラム用光記録媒体を得た。
【0086】
(ホログラム記録および評価)
得られた体積型ホログラム用光記録媒体のホログラム記録、および該体積型ホログラム用光記録媒体の体積型ホログラム用光記録媒体としての評価を、パルステック工業(株)製SHOT−500GPを使用して行った。YAGレーザー(SHG)(波長532nm)を、光源として使用した。体積型ホログラム用光記録媒体に43mJ/cmの露光量で記録して、体積型ホログラムを得た。該体積型ホログラムの回折効率は65%であった。また、該装置を用いて角度多重記録再生試験を行ったところ、11多重の2次元記録再生が可能であることを確認した。また、該体積型ホログラムにおいて、ホログラムを作成する際に露光された部分が、未露光の部分と比較して退色していることが、目視により確認された。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明により、実用性の高い可視域の450〜550nmの光源(YAGレーザー、アルゴンイオンレーザー等)に対し、感度等に優れた光重合性組成物および体積型ホログラム用光記録媒体を提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

(式中、R、RおよびRは、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、または置換基を有していてもよい複素環基を表し、RおよびRがこれらが隣接するC=Cと一緒になって置換基を有していてもよい炭化水素環を形成してもよく、RおよびRは、同一または異なって、置換基を有していてもよいアルキル基を表すか、RおよびRが隣接する窒素原子と一緒になって置換基を有していてもよい脂環式複素環を形成してもよく、Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、または置換基を有していてもよいアラルキル基を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、置換基を有していてもよいアミノ基、または置換基を有していてもよい複素環基を表すか、RおよびRがこれらが隣接するN−C=Cと一緒になって置換基を有していてもよい脂環式複素環を形成してもよく、nは0〜4の整数を表し、Rは、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、置換基を有していてもよいアミノ基、または置換基を有していてもよい複素環基を表し、nが2〜4の整数の場合、Rのそれぞれは、同一または異なっていてもよく、互いに隣り合う2つのRがこれらが隣接するC=Cと一緒になって、置換基を有していてもよい炭化水素環または置換基を有していてもよい複素環を形成してもよい)で表されるスクアリリウム化合物、重合性モノマーおよびラジカル発生剤を含有する光重合性組成物。
【請求項2】
、R、およびRが同一または異なって、水素原子、または置換基を有していてもよいアルキル基である請求項1に記載の光重合性組成物。
【請求項3】
が、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、または置換基を有していてもよいアラルキル基である請求項1または2に記載の光重合性組成物。
【請求項4】
およびRがこれらが隣接するN−C=Cと一緒になって置換基を有していてもよい脂環式複素環を形成する請求項1または2に記載の光重合性組成物。
【請求項5】
nが0である請求項1〜4のいずれかに記載の光重合性組成物。
【請求項6】
nが1〜4の整数であり、Rが、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換基を有していてもよいアルキル基、または置換基を有していてもよいアルコキシル基であり、nが2〜4の場合、Rのそれぞれは、同一または異なっていてもよく、互いに隣り合う2つのRがこれらが隣接するC=Cと一緒になって、置換基を有していてもよい炭化水素環または置換基を有していてもよい複素環を形成してもよい請求項1〜4のいずれかに記載の光重合性組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の光重合性組成物を含有する体積型ホログラム用光記録媒体。

【公開番号】特開2009−280537(P2009−280537A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−135628(P2008−135628)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(000162607)協和発酵ケミカル株式会社 (60)
【出願人】(304021831)国立大学法人 千葉大学 (601)
【Fターム(参考)】