説明

スクイズ容器

【課題】容器の非押圧時に不要な液だれを生じさせないスクイズ容器を提供する。
【解決手段】スクイズ容器1が、可撓性の容器本体2、容器上部に形成された吐出口6、及び吐出口6に連通するディップチューブ5等の液誘導路を備える。この液誘導路(ディップチューブ5)はU字状に湾曲するなどにより液流入口5aが吐出口6近傍に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクイズ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
吐出口が下を向くように容器を傾斜ないし倒立させ、該容器の可撓性の胴部を押圧することにより、吐出口から液体を吐出させるスクイズ容器が、種々の液剤、例えば、簡便に手先や傷口を消毒するアルコール系消毒剤、点眼剤等の容器として使用されている。
【0003】
しかしながら、このようなスクイズ容器では、容器を押圧しているときだけでなく、容器を傾斜させたがまだ押圧操作をしていない状態や、押圧により液を吐出させた直後などにも液だれが生じやすい。
【0004】
液だれを防止する手法としては、吐出口の口径を狭めたり、容器を二重容器にして逆止弁を設けたり(特許文献1)、容器内部に筒状のスクイズ規制部材を垂設すると共に、容器の胴部に過度の変形を防止する絞り込み部を設ける(特許文献2)等がある。
【0005】
【特許文献1】特開2003−321038号公報
【特許文献2】特開2003−226377号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の液だれを防止する手法のうち、吐出口の口径を狭めると、一度のスクイズで十分な液量を吐出させることが難しくなる。また、容器を二重容器にして逆止弁を設けたり(特許文献1)、容器内にスクイズ規制部材を設けたり(特許文献2)といった手法は、スクイズ容器の製造コストを高める。
【0007】
これに対し、本発明は、全く新たな手法で安価に液だれを防止することのできるスクイズ容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、スクイズ容器の吐出口に液誘導路を取り付け、その液誘導路を曲げて液誘導路の液流入口を吐出口近傍に位置させると、吐出口の口径を狭めることなく、容器を傾斜させたとき、あるいは、倒立させたときの不要な液だれを防止できることを見いだした。
【0009】
即ち、本発明は、可撓性の容器本体、容器上部に形成された吐出口、及び吐出口に連通する液誘導路を備えたスクイズ容器であって、液誘導路の液流入口が吐出口近傍に位置しているとともに液誘導路の少なくとも一部分が液流入口を挟んで上記吐出口の反対側に位置しているスクイズ容器を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のスクイズ容器は、吐出口に連通するディップチューブなどの液誘導路が容器内でU字状に湾曲するなどにより、液誘導路の吐出口側端部と反対側の液流入口が吐出口近傍に位置しているとともに液誘導路の少なくとも一部分が液流入口を挟んで上記吐出口の反対側に位置している。
【0011】
ここで、吐出口が下を向くようにスクイズ容器を傾斜させるか倒立させた状態にしたとき、内容液の荷重により液流入口から液誘導路内に液面が押し上げられるために生じるスクイズ容器内の陰圧により、内容液は液誘導路の吐出口から最も離れた部分、すなわちU字の屈曲部分を越えて吐出口に達することなく、液誘導路内に保持される。その結果、内容液はスクイズ容器内にとどまり、容器本体を押圧しない限り吐出口から吐出されることはない。したがって、このスクイズ容器によれば、容器本体の非押圧時に生じる不要な液だれを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明を具体的に説明する。
【0013】
図1Aは、本発明の一実施例のスクイズ容器1の正立状態の模式的断面図であり、図1B〜図1Dは、このスクイズ容器1の作用を説明する模式的断面図である。
【0014】
このスクイズ容器1は、アルコール系消毒剤、点眼剤、その他種々の薬剤が内容液Aとして充填される容器であって、等可撓性の胴部を有し、上部に口部3が形成された樹脂製の容器本体2、容器本体2の口部3に螺合により取り付けられるキャップ4、及び液誘導路としてディップチューブ5をスクイズ容器1の内部に備えている。キャップ4には吐出口6が形成されており、この吐出口6と反対側のキャップ内側には、ディップチューブ5を取り付けるディップチューブ取付部7が形成されている。また、キャップ4には、着脱自在に吐出口6を覆う蓋8が被せられる。
【0015】
スクイズ容器1の内部に設けられたディップチューブ5は可撓性チューブからなり、一端がディップチューブ取付部7に嵌入され、他端の液流入口5aがスクイズ容器1の内部における吐出口6の近傍に位置するようにU字状に曲げられ、結束部材9により液流入口5a側端部が吐出口側端部に固定されている。このように構成したことで、液誘導路であるディップチューブ5の大部分が液流入口5aを挟んで吐出口6と反対側に位置することになる。なお、本発明においてディップチューブ5の液流入口5aが吐出口6の近傍に位置するとは、スクイズ容器1を正立させた状態で該容器に内容液Aを所定のヘッドスペースをあけて満充填したときに、ディップチューブ5の液流入口5aが液面上に位置することをいう。
【0016】
ディップチューブ5の内径は、小さすぎると容器本体2の押圧により十分量の内容液Aを吐出させることが困難となるので、1mm以上が好ましい。なお、本実施形態では、吐出口6の大きさなどからディップチューブとして外形3mm、内径2mmのものを選択した。
【0017】
また、ディップチューブ5の長さは、液流入口5aを吐出口6の近傍に位置させた状態でスクイズ容器1を正立させたときに場合に、U字状に湾曲させたディップチューブ5の下端5bが容器本体2の底面近傍に位置する長さとすることが好ましい。これにより、吐出口6が下を向くようにスクイズ容器1を傾斜させるか倒立させた状態で、容器本体2を押圧した場合には吐出口6から内容液を吐出させることができるが、容器本体2を押圧しない場合の不要な液だれは防止することが可能となる。
【0018】
このスクイズ容器1は内容液Aを吐出させる場合に次のように使用される。まず、図1Aのように正立していたスクイズ容器1から図1Bに示すように蓋8を外し、スクイズ容器1を吐出口6が下を向くように傾斜させるか倒立させる。このとき、ディップチューブ5内には、空気層が保持されている。容器本体2を押圧しなくても、スクイズ容器1内の内容液Aには、その荷重によりディップチューブ5を通して吐出口6から流出させようとする力がはたらくが、内容液Aの流出に際してディップチューブ5内で液面が押し上げられるために生じるスクイズ容器1内の陰圧等によりこの空気層はディップチューブ5に保持され、内容液Aは容器内に保持され、内容液Aが不要に吐出されることはない。
【0019】
次に、図1Cに矢印で示すように、容器本体2を押圧する。すると、スクイズ容器1内の内圧が高まり、ディップチューブ5を通して吐出口6から内容液Aが吐出される。
【0020】
この押圧を解除すると、図1Dに示すように容器本体2は元の形状に戻り、スクイズ容器1内は陰圧になり、吐出口6から容器内部に空気が入り、図1Bと同様にディップチューブ5内に空気層が保持された状態となる。したがって、押圧を解除した後にも不要に内溶液Aが吐出されることはない。これを正立させると、内容液Aが吐出分だけ減少している他は図1Aと同様の状態となる。したがって、以降、スクイズ容器1の傾斜ないし倒立、押圧、押圧解除、容器の正立という操作を繰り返すことにより、容器本体2の非押圧時に不要な液だれを生じさせることなく、容器内に内容液Aが無くなるまで、安定して内容液Aを吐出させることができる。
【0021】
本発明は図1A〜図1Dに示した他、種々の態様をとることができる。例えば、ディップチューブ5はU字状の他、ヘアピン状、三角状等に湾曲していてもよい。ディップチューブ5は、吐出口6側端部から液流入口5a側にかけて、必ずしも同一径のチューブである必要はなく、途中でチューブ径が変わってもよい。さらに、ディップチューブ5は、液流入口5aが吐出口6近傍に位置している限り、必ずしも可撓性チューブから形成することなく、リジッドな管状部材から形成してもよい。また、容器本体1内から吐出口6へ内容液Aを導く液誘導路を連続する1本のチューブで構成する必要はなく、吐出口6側端部と液流入口5aとの間に空気室等を設けてもよい。
【0022】
ディップチューブ5の長さは、その下端5bが容器本体2の底部近傍に至らなくても、スクイズ容器1を傾斜ないし倒立させた場合に、陰圧で内容液Aが容器内に保持されるように、ディップチューブ5内で液面が上昇する長さが十分に確保されればよい。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明のスクイズ容器は、種々の液剤の容器、特に、スクイズ時に液だれが生じやすいアルコール系消毒剤などの低粘度液体のスクイズ容器として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1A】スクイズ容器の正立状態の模式的断面図である。
【図1B】スクイズ容器の使用状態の模式的断面図である。
【図1C】スクイズ容器の使用状態の模式的断面図である。
【図1D】スクイズ容器の使用状態の模式的断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 スクイズ容器
2 容器本体
3 口部
4 キャップ
5 ディップチューブ
5a ディップチューブの液流入口
5b ディップチューブの下端
6 吐出口
7 ディップチューブ取付部
8 蓋
9 結束部材
A 内容液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性の容器本体、容器上部に形成された吐出口、及び吐出口に連通する液誘導路を備えたスクイズ容器であって、液誘導路の液流入口が吐出口近傍に位置しているとともに液誘導路の少なくとも一部分が液流入口を挟んで上記吐出口の反対側に位置しているスクイズ容器。
【請求項2】
液誘導路がU字状の可撓性チューブからなる請求項1記載のスクイズ容器。
【請求項3】
容器を正立させた場合に、U字状の可撓性チューブの下端が容器本体の底面近傍に位置する請求項2記載のスクイズ容器。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【公開番号】特開2006−219181(P2006−219181A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−36557(P2005−36557)
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】