説明

スクラバー及びスクラバーを備えた触媒再生及び回収システム

【課題】清浄水の補給を低減し、かつ、被処理ガス中の汚染物質の効率的な除去及び外部への排出の抑制を可能としたスクラバーを提供する。
【解決手段】スクラバー10は、下段に設けられた第一充填層2及び上段に設けられた第二充填層3を配設した充填塔1を有する。第一充填層2には、貯水部5に蓄えられた循環洗浄水W1が散水管4から供給され、第二充填層3には、散水管7から清浄水W2が供給される。汚染物質を含む被処理ガスG1は、まず、第一充填層2にて循環洗浄水W1にて粗洗浄され、汚染物質濃度が低濃度となった被処理ガスG1を、第二充填層3にて清浄水W2によって気液接触させるため、清浄水W2の使用量が少なくても、汚染物質の除去性能に優れ、スクラバー10から外部に排出される排気ガス中の汚染物質の濃度を低減させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス中に含まれている汚染物質を洗浄水との接触により除去処理するスクラバーに関する。更に詳しくは、固体触媒の再生及び回収システムの一設備として、好適に使用できるスクラバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
工場から排出される排気ガス中に含まれている有毒性ガスや、粉塵などの大気汚染の原因となる汚染物質を除去するための装置として、被処理ガス(排気ガス)を洗浄水との接触させることによって汚染物質を洗浄水中に溶解あるいは分散させるスクラバーがある。
【0003】
このようなスクラバーとして、気液接触用の充填層を配設した充填塔にて、前記充填層の上部から散水しながら、前記充填層より下方から汚染物質を含む被処理ガスを供給することにより、前記充填層にて洗浄水と被処理ガスとを接触させて、被処理ガスを洗浄した後に処理済ガスを排出するように構成されているスクラバーが知られている。
図4に示すように、従来スクラバー50Aは、充填塔51内に配備された充填層52の上部に設けられた散水管53の噴霧口53aから洗浄水Wを下向きに噴出させながら、前記充填層52より下方に設けられたガス供給口51aから汚染物質を含む被処理ガスG1を供給することにより、前記充填層52にて洗浄水Wと被処理ガスG1とを接触させて、被処理ガスG1中の汚染物質を除去した処理済ガスG2をガス排出口51bから排出する。 充填層52にて気液接触後の洗浄水Wは充填塔51の下部に設けられた貯水部54に一旦貯留されたのち、排水口51cから配管Pを介して排水される。
このような構成のスクラバー50Aでは、洗浄水Wがすべて廃棄され、多量の排水が発生するため、排水処理がコスト高となる。
【0004】
また、洗浄水を有効に利用するスクラバーとして、洗浄水を循環させる方式のスクラバーが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような方式のスクラバー50Bは、図5に示すように、貯水部54内に貯留された循環洗浄水W’をポンプ55により前記散水管53に供給し、洗浄水W’を循環させる。このような構成のスクラバー50Bでは、洗浄水W’が循環供給されるため、排水の発生量がすくなくなるという利点がある。
【0005】
ところで、近年、工場から排出される排気ガス中に含まれている有毒性ガスや、粉塵などの大気汚染の原因となる汚染物質に対する規制が厳しくなっており、スクラバーから排出される処理済ガス中の汚染物質の濃度をより低減することが求められている。
【0006】
一方で、上記従来のスクラバー50Bでは、充填層52の上方から散水された循環洗浄水W’の一部は、被処理ガスの供給速度が大きすぎて、充填層52の最上部での液体(水)からの気体脱離の速度が大きくなりすぎた場合には、ミスト状の水滴(以下、「ミスト」と称す。)として、下方からの気流と共にガス排出口51bから排出される。このミストには、循環洗浄水W’が含有していた汚染物質(有毒ガス・粉塵)が残存するため、ミストに付随して汚染物質が大気中に排出されるという問題があった。
ミストの発生を抑制するには、被処理ガスの供給速度を下げる必要があるが、設備上様々な問題を伴う。例えば、装置のサイズアップに伴う液分散精度の低減や、設備強度の低下、汚染物質が粉塵を含有する場合には粉塵による詰まり等が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−279738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
かかる状況下、本発明の目的は、清浄水の補給を低減し、かつ、被処理ガス中の汚染物質の効率的な除去及び外部への排出の抑制を可能としたスクラバー、該スクラバーを備えた触媒再生及び回収システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のスクラバーは、気液接触用の充填層を配設した充填塔にて、前記充填層の上部から散水しながら、前記充填層より下方から汚染物質を含む被処理ガスを供給することにより、前記充填層にて水と被処理ガスとを接触させて、被処理ガス中の汚染物質を除去した処理済ガスを排出するスクラバーであって、前記充填層は、充填塔の下段に設けられた第一充填層と、充填塔の上段に設けられた第二充填層とからなり、前記充填塔は、前記第一充填層より下方に形成された被処理ガス供給口と、前記第二充填層より上方に形成された処理済ガス排出口と、前記第二充填層の上方に配設され、清浄水を散水する第一散水管と、前記第一充填層と前記第二充填層との間に配設され、循環洗浄水を散水する第二散水管と、第一充填層及び第二充填層にて気液接触後の洗浄水を貯留する貯水部と、を有し、かつ、前記貯水部に貯留した気液接触後の洗浄水を、第二散水管へ循環供給する送水機構とを備えることを特徴とする。
【0010】
このような構成をとることにより、汚染物質を含む被処理ガスは、まず、第一充填層にて循環洗浄水によって洗浄されたのちに、第二充填層にて清浄水によって洗浄される。すなわち、有害ガスや粉塵等、汚染物質濃度が高い状態の被処理ガスが、第一充填層にて粗洗浄され、汚染物質濃度が低濃度となった被処理ガスを、第二充填層にて清浄水によって気液接触させる。さらに、第二充填層の上方から散水された清浄水の一部は、第二充填層の上部と接触した際に、ミスト(水しぶき)となり、下方からの気流と共にガス排出口から排出されるが、第二充填層に向けて散水される清浄水は、汚染物質を含まないため、ミストには汚染物質はほとんど含まれない。その結果、被処理ガスの洗浄性が高まり、排出される処理ガス中の汚染物質の濃度を低減することができる。さらに粗洗浄を行う第一充填層では、循環洗浄水として、気液接触後の洗浄水を再利用するため、清浄水の使用量が少なくてすむという利点がある。
【0011】
本発明のスクラバーの対象となる被処理ガスは被処理ガス中の汚染物質が洗浄水によって除去できれば特に限定されず、焼却炉や工場から排出される水溶性の有害ガスや細かな粉塵を含む排気ガスが挙げられる。
特に、本発明のスクラバーは、粉塵を含む被処理ガスに対して好適に用いることができる。粉塵としては、固体触媒粉塵などが挙げられる。
【0012】
本発明のスクラバーは、優れた粉塵の回収除去性能を有すため、触媒再生及び回収システムに好適に適用することができる。
本発明の触媒再生及び回収システムは、粉末または顆粒状の触媒を流動させて反応させる反応器から取り出した使用済みの触媒に、再生用ガスを供給して触媒を再生する再生塔と、前記再生塔から排出された排ガスに同伴された触媒粉塵を除去するスクラバーとを有し、前記スクラバーが上記本発明のスクラバーであることを特徴とする。
【0013】
本発明の触媒再生及び回収システムは、固体触媒の再生および排出される触媒粉塵の除去の連続的かつ効果的なシステムである。
本発明の触媒再生及び回収システムは、特に、固体酸触媒を用いて気相反応条件下にシクロヘキサノンオキシムからε-カプロラクタムを製造する場合には、固体触媒再生時の排ガス中の固体触媒粉塵の濃度が高く、また触媒粉塵のサイズが50μm以下程度と小さいために効果的に使用することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のスクラバーは、清浄水の使用量が少なくても、被処理ガスに含まれる汚染物質の除去性能に優れ、外部に排気ガス中の汚染物質の濃度を低減させることができ、また発生する排水の量が少なくすむ。
また、本発明のスクラバーを備える本発明の触媒再生及び回収システムは、触媒粉塵の除去性能に優れ、さらに排水の量が少なくてすむのでランニングコストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係るスクラバーの概略断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態に係るスクラバーの概略断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る触媒再生及び回収システムの概略図である。
【図4】従来のスクラバーの概略断面図である。
【図5】従来のスクラバーの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態のスクラバー10の構成を概略的に示す縦断正面図である。
充填塔1は、縦長筒状の充填塔であり、その下部側面には、被処理ガスG1を供給するためのガス供給口1aが設けられ、その上端部には、処理済みガスG2を大気中に排出するガス排出口1bが設けられている。
なお、スクラバー10の材質は、耐食性があることが好ましく、接ガス部材にはステンレス、チタン、FRP、カーボン樹脂、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂等が適宜使用される。中でも、耐食性に加え、吸着性が少ないステンレスが好適に使用される。
【0018】
充填塔1の内部下段には第一充填層2、内部上段には第二充填層3が配設されている。 第一充填層2及び第二充填層3は、気液接触用の充填層であり、充填材が多数充填されている。
充填材としては、供給される被処理ガスに対して耐久性があるステンレス、チタン、タンタル等のメタル製充填材、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂等の樹脂性充填材、セラミック製充填材などが適宜選択使用される。
【0019】
充填塔1内の第一充填層2と第二充填層3との間には、循環洗浄水を下向きに噴出するノズル4aを有する散水管4が挿入配設されている。
充填塔1の下方には貯水部5が設けられており、充填塔1の下端部には貯水部5と連通する排水口1cが設けられている。散水管4は、排水口1cと循環パイプP1を介して接続され、循環パイプP1の途中に循環水供給用のポンプ6が配備されている。また、循環パイプP1には、排水パイプP2がバルブVを介して接続されている。
【0020】
また、第二充填層3の上部には、清浄水を下向きに噴射するノズル7aを有する散水管7が挿入配設されている。
【0021】
上記構成のスクラバー10の運転時の処理機構について説明する。
被処理ガスG1はガス供給口1aから充填塔1内に導入されたのち、充填塔1内部を上昇して第一充填層2を通過する。
貯水部5に貯えられた循環洗浄水W1は、ポンプ6によって循環パイプP1を介して散水管4内に送給され、ノズル4aから第一充填層2に向けて噴霧される。
噴霧された循環洗浄水W1は、第一充填層2で被処理ガスG1と気液接触して被処理ガス中に含まれている汚染物質の大部分が除去される。
【0022】
第一充填層2で被処理ガスG1と気液接触した被処理ガスG1’は、充填塔1内部をさらに上昇して第二充填層3を通過する。一方、第二充填層3の上部では、散水管7内に送給された清浄水W2が、ノズル7aから第二充填層3に向けて噴霧され、第二充填層3で被処理ガスG1’と気液接触することにより、被処理ガス中に含まれている汚染物質がさらに除去される。処理済ガスG2は充填塔1の上部空間を経て上端のガス排出口1bから大気中に排出される。
ここで、第二充填層3の上方から散水された清浄水W2の一部は、ミストとして下方からの気流と共にガス排出口1bから排出されるが、ノズル7aから第二充填層3に向けて噴霧される清浄水W2は、汚染物質を含まないため、外部に排出されるミストには汚染物質がほとんど含まれない。
【0023】
なお、循環洗浄水W1は、第二充填層3を介して流れ込む洗浄水W2’によって増加するため、循環洗浄水W1の一部を排水パイプP2から排水W3として排水することにより、貯水部5に貯えられる循環洗浄水W1を一定量とする。
【0024】
循環洗浄水W1に含まれる汚染物質の濃度は、被処理ガスG1と接触することによって徐々に増加する一方で、第二充填層3を介して流れ込む清浄水W2’によって希釈され低減する。そのため、清浄水W2の供給量及び排水W3の排出量を調節し、循環洗浄水W1に含まれる汚染物質の濃度を、第一充填層2での洗浄に適する範囲に調節する必要がある。一方で、処理コストを少なくするためには、清浄水W2の供給量及び排水W3の排出量を低減する必要がある。
そのため、循環洗浄水W1、清浄水W2及び排水W3の量は、供給される被処理ガスG1中の汚染物質の濃度、排出される処理済ガスG2で許容される汚染物質の濃度、処理コスト等を考慮して適宜決定される。
【0025】
スクラバー10において、循環洗浄水W1によって被処理ガスG1の粗洗浄を行う第一充填層2と、第一充填層2で洗浄後の被処理ガスG1’を清浄水W2によって洗浄する第二充填層3との、2種類の気液接触用の充填層を使用しているため、効率よく被処理ガスG1,G1’を洗浄することができ、所定の汚染物質除去能力を長期間、安定よく維持することができる。
なお、本実施形態のスクラバー10では、第一充填層及び第二充填層をそれぞれ1つの充填層から構成しているが、第一充填層及び第二充填層をそれぞれ複数の充填層から構成していてもよい。例えば、高濃度の汚染物質を処理するスクラバーの場合には、図2に示すように2つに分離した第一充填層2a,2bのそれぞれの上方に散水管4A,4Bを設け、循環洗浄水W1を噴出するように設計してもよい。
【0026】
次に、本発明の実施形態に係る触媒再生及び回収システムとして、本発明のスクラバーを備えた触媒再生及び回収システムについて図面を用いて説明するが、本発明のスクラバーはこの用途に限定されるものではない。
【0027】
図3は、本発明の実施形態のスクラバーを備えた、本発明の実施形態の触媒再生及び回収システムの概念図である。触媒再生及び回収システム100は、上述のスクラバー10と触媒再生塔20とを主要部として構成される。
【0028】
触媒再生塔20は、粉末または顆粒状の触媒を流動させて反応させる反応器30から取り出した使用済みの触媒に、再生用ガスを供給して触媒を再生する設備であり、流動層を形成する触媒再生塔20とスクリューフィーダー21から構成される。触媒再生塔20では、再生ガスによって触媒が処理される結果、触媒上に析出した炭素質物質は酸素との反応によりあるいは高い温度での蒸発により除去される。かくして炭素質物質濃度の低下した触媒は、触媒再生塔20からスクリューフィーダー21を介して反応器30に戻される。触媒再生塔20は、図3に示すように1基でもよいが再生温度の異なる2基以上の触媒再生塔を用いて段階的に触媒を再生してもかまわない。
【0029】
また、この触媒再生及び回収システム100では、例えば、分解反応、アルキル化反応、還元反応、酸化反応、脱水素反応、縮合反応、エステル化反応、脱水反応、水和反応、異性化反応や転移反応等に用いられる種々の粉末または顆粒状の固体触媒がその対象となる。
【0030】
このような固体触媒として、例えば、金属触媒、金属酸化物、シリカ-アルミナ、ゼオライト、金属ハロゲン化物およびそれらの組合せ等があり、その成分のみを成型したものの他、担体に担持したもの、あるいはイオン交換等により修飾したもの等が挙げられる。
【0031】
活性の低下した触媒を回復させる再生ガスとしては、再生する固体触媒や反応の種類により適宜選択される。例えば、後述するにシクロヘキサノンオキシムからε-カプロラクタムを製造する固体触媒の場合には、空気または酸素含有ガスが使用され、通常空気であるが、窒素などの不活性ガスを混合して酸素濃度を20体積%以下として使用してもよい。
【0032】
触媒再生工程では、触媒再生塔20から排出されるガス中の触媒粉塵は、触媒再生塔20の出口に設置された気固分離装置(図示せず)により回収される。なお、気固分離装置としてはサイクロン等が挙げられる。また、気固分離装置は、触媒再生塔20の内部に設置していてもよい。
触媒再生塔20から気固分離装置で回収できない細かな触媒粉塵を含む排ガスが、後段のスクラバー10へ被処理ガスとして排出される。
【0033】
触媒再生塔20から排出された排ガス(被処理ガス)の触媒粉塵は、スクラバー10で洗浄除去される。その詳細は、上述した通りでありここでは省略する。
【0034】
以下、気相ベックマン転移反応によるシクロヘキサノンオキシムからε-カプロラクタムを製造する際に使用したゼオライト系固体触媒の触媒再生および副生する排ガス中の触媒粉塵の回収システムについて同図3を参照し説明する。
【0035】
反応器30で、気相ベックマン転移反応によりシクロヘキサノンオキシムからε-カプロラクタムを製造する際に使用され、活性が低下した固体触媒は、触媒再生塔20に連続的または間欠的に圧送される。図3では、触媒再生は、1基により行なわれる場合を示している。
触媒を再生処理する処理温度は、350〜700℃、好ましくは400〜550℃である。処理温度が350℃未満では触媒上に沈積した炭素質物質を十分に除去することができないため、触媒の再生が十分に行われない。処理温度が700℃を超えると触媒を構成するゼオライトの分解が生じやすくなり、触媒の活性が次第に低下するようになる。再生処理の圧力はベックマン転移とほぼ同じ圧力範囲(0.005〜0.5MPa程度)が採用される。
再生処理での触媒の滞留時間は平均0.5〜500時間が採用される。また、触媒再生を2基の触媒再生塔で行う場合は、例えば、第一触媒再生塔では、200〜400℃の温度にて1時間以上の時間で予備再生を行い、第二触媒再生塔では、400〜600℃の温度にて、1時間以上の時間で本再生を行う方法が取られる。
焼成時間の上限は特に限定されないが、通常、第一触媒再生塔で10時間程度、第二触媒再生塔で150時間程度である。
触媒再生塔20から抜き出された再生済の固体触媒は、反応器30にスクリューフィーダー21を介して戻される。一方、触媒再生塔20の登頂部から抜き出される触媒粉塵を含有する排ガスは、気固分離装置で気固分離された後、スクラバー10へ供給され、触媒粉塵の除去がなされる。なお、触媒再生塔20から出てくる排ガスは高温であるため、スクラバー10へ供給される前に熱交換器40により廃熱回収が行うことが効率的である。
【0036】
スクラバー10は、第一充填層及び第二充填層を有し、スクラバーの内面および充填材はステンレス(SUS304)を使用する。熱交換された触媒粉塵を含む排ガスが第一充填層2(図1参照)の下部から供給される。
排ガスは、循環洗浄水によって第一充填層2で粗洗浄を行い、更に第二充填層3で清浄水により洗浄され、触媒粉塵が除去される。除去された触媒粉塵は貯水部に集められた後回収される。また、触媒粉塵が除去された排ガスはスクラバー10の塔頂から排出される。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明のスクラバーは、清浄水の補給を低減し、かつ、被処理ガス中の汚染物質の効率的な除去及び外部への排出を抑制することができるので、触媒再生及び回収システムを始めとした、粉塵を含む排ガスの処理に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0038】
1 充填塔
1a ガス供給口
1b ガス排出口
1c 排水口
2 第一充填層
2a,2b 2つに分離した第一充填層
3 第二充填層
4,7 散水管
4A,4B 2つに分離した散水管
4a,7a ノズル
5 貯水部
6 ポンプ
10 スクラバー
1 被処理ガス
1’ (第一充填層にて気液接触した)被処理ガス
2 処理済ガス
1 循環パイプ
2 排水パイプ
V バルブ
1 循環洗浄水
2 清浄水
3 排水
20 触媒再生塔
21 スクリューフィーダー
30 反応器
40 熱交換機
100 触媒再生及び回収システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気液接触用の充填層を配設した充填塔にて、前記充填層の上部から散水しながら、前記充填層より下方から汚染物質を含む被処理ガスを供給することにより、前記充填層にて水と被処理ガスとを接触させて、被処理ガス中の汚染物質を除去した処理済ガスを排出するスクラバーであって、
前記充填層は、充填塔の下段に設けられた第一充填層と、充填塔の上段に設けられた第二充填層とからなり、
前記充填塔は、前記第一充填層より下方に形成された被処理ガス供給口と、前記第二充填層より上方に形成された処理済ガス排出口と、
前記第二充填層の上方に配設され、清浄水を散水する第一散水管と、
前記第一充填層と前記第二充填層との間に配設され、循環洗浄水を散水する第二散水管と、
第一充填層及び第二充填層にて気液接触後の洗浄水を貯留する貯水部と、
を備え、
かつ、前記貯水部に貯留した気液接触後の洗浄水を、第二散水管へ循環供給する送水機構を備えることを特徴とするスクラバー。
【請求項2】
粉末または顆粒状の触媒を流動させて反応させる反応器から取り出した使用済みの触媒に、再生用ガスを供給して触媒を再生する再生塔と、前記再生塔から排出された排ガスに同伴された触媒粉塵を除去するスクラバーとを有する触媒再生及び回収システムであって、前記スクラバーが、請求項1記載のスクラバーであることを特徴とする触媒再生及び回収システム。
【請求項3】
前記触媒が、ε-カプロラクタム製造用固体触媒である請求項2記載の触媒再生及び回収システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−187515(P2012−187515A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53250(P2011−53250)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】