説明

スクリューコンベア

【課題】ロウ付けや接着によることなく、台座からのチップの脱落を構造的に防止したスクリューコンベアを提供する。
【解決手段】台座11の係合凹部21に対してチップ10の係合凸部15が係合されている。また、この係合状態において、コッター12を介して、コッター受部としての溝部19とコッター係止部としての溝部13とが係止されている。更に、台座11とチップ10との対は螺旋羽根53の先端に沿って複数が隣接して取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体物を含む原液を固液分離するための遠心分離機のスクリューコンベアに係り、特には、螺旋羽根の先端に固定された台座に耐摩耗性材料からなるチップを取り付けたスクリューコンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スラリー状等の固体物を含む原液を固液分離するためにスクリューデカンタ型遠心分離機が用いられている。図6に示すように、この遠心分離機50は、一方向に回転する外筒51と、この外筒51内に同軸に配設され、外筒51と回転速度差を有して同一方向に回転するスクリュー52とを備えている。スクリュー52は、内筒54と螺旋羽根53とにより構成されている。この遠心分離機50では、外筒51と内筒54との間に、吐出口58を介して原液供給口55から原液を供給する。そして原液は、回転する外筒51の遠心力を受けて、構成成分の比重の違いにより固液に分離される。また、回転速度差の分だけ外筒51に対して回転するスクリュー52は、固体物を外筒51の軸方向に沿って図示右方に移動させる。その結果、原液は固液に分離されて、液体が排出口57から排出され、固体物が排出口56から排出される。
【0003】
また、外筒51と回転速度差を有するスクリュー52には、原液に含まれる固体物の減摩材としての作用により、螺旋羽根53の先端部は磨耗し易く、早期の修繕や交換が必要となる。この磨耗量を減少させるために、図7に示すように、螺旋羽根53の先端に例えばセラミック製のチップ60が取り付けられている。このチップ60は、図8に示すように、螺旋羽根53の先端に溶接されたステンレス製の台座61に対して、銀ろうを用いてロウ付けされている。
【0004】
いわゆる超硬チップと称されるチップ60は、熱に弱くひび割れ等が生じやすいため、ロウ付け作業や溶接作業には、チップ60に対して過加熱しないための熟練技術が必要である。しかも、熟練技術によっても、これらの作業の歩留まりは悪く、90%止まりとも言われている。また、加熱条件が厳しいために、JIS分類のV10相当の硬度の超硬チップを用いることは、極めて難しいものとなっている。更に、原液として扱うものの中には産業廃棄物が含まれることもあり、ロウ付け部分が腐食して、チップ60の台座61からの脱落が生じたとの報告がある。このようなロウ付け及び溶接に係る問題を解決するものとして種々提案がなされている。
【0005】
特許文献1のスクリューコンベアは、図9に示すように、台座65に設けられた凹部にチップ66が取り付けられている。チップ66の一端は屈曲部67となっており、チップ66を反時計方向に回転させながら屈曲部67を台座65のポケット68内に挿入し、ポケット68の内壁と屈曲部67との間の空隙に接着剤69が充填されている。
【0006】
特許文献2のスクリューコンベアは、図10に示すように、台座70の横溝71にチップ72の凸条部73が嵌合された状態で、台座70とチップ72とは接着固定されている。また、台座70には縦溝74が形成されており、チップ72の凸条部73とは反対側には凹部75が形成されている。この縦溝74と凹部75とに取付片76が嵌入され接着固定されている。
【0007】
特許文献3のスクリューコンベアは、図11に示すように、台座80の収納凹部81にチップ82が収納され、チップ82と台座80とはビス83により固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−171439号公報
【特許文献2】特開平7−289942号公報
【特許文献3】特開平10−128156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1のスクリューコンベアにおいては、先ず台座65を螺旋羽根の先端に溶接した後、その台座65にチップ66を固定するようにすれば、加熱による超硬チップの損傷の問題は解決できる。しかし、台座65に対するチップ66の固定を接着剤の接着力に依存しているため、接着剤の経時変化により、或いは原液に起因する化学反応により、接着力が低下するという別の問題が生じている。
【0010】
特許文献2のスクリューコンベアにおいては、取付片76の採用により、チップ72の台座70に対する幅方向のずれが生じないようになっている。また、縦溝74の左右の側壁を傾斜面として、縦溝74を蟻溝状とすることにより、取付片76が縦溝74から浮き上がらないようになっている。従って、チップ72が台座70から浮き上がることはない。しかし、台座70、チップ72及び取付片76の相互の固定は接着により行われているので、このスクリューコンベアには、特許文献1のスクリューコンベアと同様の問題がある。
【0011】
特許文献3のスクリューコンベアにおけるチップ82は、台座80に対してビス83により固定されている。このため、接着剤に係る問題はないが、ビス83の脱落という問題がある。
【0012】
本発明は、このような問題に着目してなされたものであり、その目的とするところは、ロウ付けや接着によることなく、台座からのチップの脱落を構造的に防止したスクリューコンベアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記問題を解決するために請求項1に記載のスクリューコンベアの発明は、螺旋羽根の先端に固定された台座に耐摩耗性材料からなるチップを取り付けた遠心分離機のスクリューコンベアにおいて、前記台座には係合凹部を設けると共にコッター受部を設け、且つ前記チップには係合凸部を設けると共にコッター係止部を設けて、前記係合凹部に対して前記係合凸部を係合させて、前記チップが、前記スクリューコンベアの半径方向内方へずれることを防止した状態で、コッターを介して前記コッター受部とコッター係止部とを係止させることにより、前記チップが、前記スクリューコンベアの半径方向外方へずれることを防止したことを特徴とするものである。
【0014】
上記構成によれば、台座の係合凹部に対するチップの係合凸部の係合により、スクリューコンベアの半径方向内方へのチップのずれを防止するようにした。また、この係合状態によって、チップと台座との当接面に対する直交方向において、チップの台座からの離反を防止するようにした。更に、コッターを介したコッター受部とコッター係止部との係止により、スクリューコンベアの半径方向外方へのチップのずれを防止するようにした。このため、チップは、スクリューコンベアの半径方向にずれることが防止されると共に、台座から離反することが防止された状態で台座に固定される。
【0015】
また、台座とチップとは螺旋羽根の先端に沿って複数が取り付けられる。このため、チップが互いに隣合っているので、チップが幅方向に沿ってずれるための余地はない。更に、コッターは、隣合う台座又はチップにより、挿着された台座からの脱落が阻止されている。従って、チップと台座との固定は維持される。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスクリューコンベアの発明において、前記チップは、断面長方形のブロック状体に形成されると共に、その係合凸部は、前記チップにおいて前記台座に当接する面と反対側の面に形成された斜面を備えていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のスクリューコンベアの発明において、前記コッター受部とコッター係止部とは、前記台座及びチップが互いに当接するそれぞれの面において、前記螺旋羽根の先端に沿う方向に形成された曲線状の溝部又はそれぞれの幅方向に沿って形成された直線状の溝部のいずれかであることを特徴とするものである。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載のスクリューコンベアの発明において、前記コッター受部は、前記台座における前記チップと当接する面において、前記螺旋羽根の先端に沿う方向に形成された曲線状の溝部又は前記台座の幅方向に沿って形成された直線状の溝部のいずれかであり、前記コッター係止部は、前記チップにおける前記台座に当接する面において、前記チップの幅方向に沿って形成された突条であることを特徴とするものである。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のうちいずれか一項に記載のスクリューコンベアの発明において、前記台座は、複数の前記チップの係合が可能なように長尺螺旋状に形成され、前記螺旋羽根の先端に沿って固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、コッターを介したコッター受部とコッター係止部との係止により、台座とチップとの係合状態を維持することができる。しかも、そのコッターは、隣合う台座又はチップにより、挿着された台座からの脱落が阻止されている。このため、原液の影響を受けず、経時変化を伴わずに台座とチップとが係合されたスクリューコンベアを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態の螺旋羽根に取り付けられた台座とチップとを示す斜視図。
【図2】第1実施形態の螺旋羽根に取り付けられた台座とチップとの組み付け状態を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図。
【図3】第2実施形態の螺旋羽根に取り付けられた台座とチップとの組み付け状態を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のB−B矢視断面図。
【図4】第3実施形態の螺旋羽根に取り付けられた台座とチップとの組み付け状態を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のC−C矢視断面図。
【図5】第4実施形態の台座を示す斜視図。
【図6】従来技術の遠心分離機を示す一部断面図。
【図7】従来技術のスクリューコンベアを示す斜視図。
【図8】従来技術の螺旋羽根の先端部を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のD−D矢視断面図。
【図9】従来技術の台座とチップとの組み付け状態を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のE−E矢視断面図。
【図10】他の従来技術の台座とチップとを示す斜視図。
【図11】他の従来技術の台座とチップとの組み付け状態を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のF−F矢視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した実施形態を図1及び図2を用いて説明する。なお、従来技術と同一の構成については、その説明において用いた同一の符号を用いるものとする。
【0023】
図1及び図2に示すように、ステンレス製の台座11は、溶接部24においてステンレス製の螺旋羽根53の先端に溶接されている。台座11は、スクリューコンベアの半径方向外方へ突出する第1突出部25と第2突出部26とを備えている。第1突出部25と第2突出部26との間には係合凹部21が形成されている。第2突出部26における係合凹部21側の面は、チップ10が当接される平面状の当接面20となっている。この当接面20には、コッター受部としての直線状の溝部19が台座11の幅方向(図2(a)における左右方向)に沿って形成されている。係合凹部21において、底部23に連結する第1突出部25の内面は、当接面20に対して傾斜した斜面22となっている。
【0024】
チップ10は、耐摩耗性材料の超硬チップにより略台形のブロック状体に形成されている。その略台形の底面に相当する当接面14は、台座11の当接面20に当接されるために平面状に形成されている。この当接面14には、溝部19に対応する位置に、コッター係止部としての直線状の溝部13が形成されている。また、チップ10の一方の端面17側は、斜面16を有する係合凸部15となっている。チップ10の他方の端面18は、遠心分離機50において、外筒51の内面に対向して配置される。
【0025】
なお、図2(a)においては、台座11とチップ10とを、幅方向の寸法が同一の四角形として描いたが、実際には、隣接する台座11間及びチップ10間に隙間が生じないように、台座11とチップ10とを、それぞれの幅が、スクリューコンベアの半径方向外方へ向かって増大する扇形状としている。しかし、図2(a)に示すように、台座11とチップ10とを、幅方向の寸法が同一の四角形としてもよい。
【0026】
図2に示すように、螺旋羽根53に溶接された台座11に対してチップ10が組み付けられた状態は、以下のようにして得られる。
図1に示すように、台座11の係合凹部21にチップ10の係合凸部15を係合させることにより、台座11の当接面20とチップ10の当接面14とが当接する。この係合状態では、台座11の斜面22とチップ10の斜面16とは密着している。このため、チップ10は、スクリューコンベアの半径方向内方への移動不能となっている。また、当接面20と当接面14との密着及び斜面22と斜面16との密着が維持される限り、台座11とチップ10とは、互いの当接面において離反方向への移動不能となっている。
【0027】
更に、溝部19と溝部13とで形成される空間に、コッター12を挿着すれば、溝部19と溝部13とはコッター12を介して係止される。すると、チップ10は、スクリューコンベアの半径方向への移動不能となる。従って、台座11とチップ10との係合は密着状態で維持されるので、チップ10は、台座11に対して、幅方向を除くいかなる方向へのずれが生じない状態で固定される。
【0028】
ところが、図2(a)に示すように、台座11とチップ10との対は、螺旋羽根53の先端部において、複数が互いに隣接するように配置されている。このため、溝部19と溝部13とで形成された空間からのコッター12の脱落は、コッター12が圧入されない場合であっても、生じない。また、チップ10は、隣接するチップ10又は台座11により、幅方向への移動不能となっている。従って、チップ10は、あらゆる方向へのずれが生じない状態で台座11に対して固定される。端部に位置する台座11におけるコッター12の脱落防止については後述する。
【0029】
なお、本実施形態のコッター12は、対向する側面が平行な角棒状体であるが、少なくとも一側面が斜面の角棒状体としてもよい。また、コッター12を湾曲した角棒状体として、軸方向の投影面積が増大したものとすることもできる。このような形状のコッター12を、溝部19と溝部13とで形成される空間に圧入すれば、コッター12の脱落が防止されると共に、係合凹部21と係合凸部15とはより確実に密着状態に維持される。
【0030】
更に、複数の台座11を螺旋羽根53の先端部に配置する際、両端に位置する台座11に替わって、係合凹部21及び溝部19が形成されていない端部用台座(図示せず)を配置するようにしてもよい。このようにすれば、端部用台座に隣接する台座11のチップ10及びコッター12は、幅方向への移動不能となる。また、端部用台座を配置することなく、両端に配置された台座11とコッター12との境界に対してかしめを施すようにしてもよい。更に、このかしめを、全ての組み合わせの台座11とコッター12とに対して施すようにしてもよい。
【0031】
従って、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、螺旋羽根53に溶接された台座11とチップ10との固定をコッター12を用いて行うようにした。このため、台座11に対するチップ10の組み付けにおいて、チップ10に対する加熱がないので、チップ10として、JIS分類のV10相当の硬度の超硬チップを用いることができる。また、台座11とチップ10とのロウ付け作業を省くことができるので、工数低減を実現することができる。
【0032】
(2)上記実施形態では、係合凹部21と係合凸部15とを係合させた上で、コッター12を介してコッター受部としての溝部19とコッター係止部としての溝部13とを係止するようにした。このため、上記係合状態が解消されなければコッター12は外れないし、また、コッター12が外れなければ係合状態は維持される。従って、コッター12を強制的に外すことをしなければ、台座11とチップ10との固定状態は維持される。
【0033】
(3)上記実施形態では、溝部19と溝部13とを、台座11とチップ10とのそれぞれの幅方向に沿って形成した。このため、溝部19と溝部13とで形成された空間からコッター12が外れるためには、コッター12は幅方向へ移動しなければならない。しかし、台座11は、複数が螺旋羽根53の先端部に隣接して溶接されている。従って、コッター12は、隣接する台座11、チップ10又はコッター12のために、左右への移動不能となっている。更に、コッター12を圧入して用いれば、それぞれの台座11とチップ10とにおいても、コッター12は左右への移動不能となる。この移動不能のコッター12により、台座11とチップ10との係止状態を維持することができる。
【0034】
(4)上記実施形態では、直線状の溝部19及び直線状の溝部13のように、台座11及びチップ10の各部の形状をそれぞれの幅方向において同一とした。このため、台座11及びチップ10のそれぞれの加工を、例えばワイヤカット等により、容易に行うことができる。
【0035】
(第2の実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を、第1実施形態と異なる部分を中心に図3を用いて説明する。
【0036】
本実施形態の台座31では、コッター受部としての溝部32は、当接面20の端部と係合凹部21の底部23との間において幅広に形成された凹部である。また、チップ30の台座31に対向する面には、コッター係止部としての溝部35を介在させて、端面18側の第1当接面33と、第1当接面33よりも外方へ突出した第2当接面34とが形成されている。従って、本実施形態のチップ30の係合凸部15は、突出した第2当接面34を有するため、第1実施形態の係合凸部15よりも肉厚状となっている。台座31に対してチップ30が組み付けられて、溝部32の底部に当接するように第2当接面34が配置された時、溝部32内に残された空間がコッター12挿着用の空間となる。
【0037】
台座31に対するチップ30の組み付けは、図3(b)に示すように、当接面20と第1当接面33との非接触状態において、チップ30を第1方向S1に沿って移動させることで開始される。そして、当接面20に対して第2当接面34が摺動すると共に、係合凹部21に対して係合凸部15の一部が当接する位置となった時、第2当接面34は溝部32内へ進入可能となる。次に、チップ30を第2方向S2に沿って移動させれば、係合凹部21と係合凸部15とは密接して係合状態となる。更に、溝部32と溝部35とで形成される空間にコッター12を挿着すれば、チップ30は台座31に対して固定される。
【0038】
そして、この第2実施形態においては、第1実施形態における効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(5)上記実施形態では、係合凸部15を、第2当接面34を第1当接面33よりも外方へ突出させて、肉厚状に形成した。このため、チップ30は、肉厚状の係合凸部15を基部として姿勢が維持されるので、当接面20と第1当接面33とが離反することなく、当接状態がより確実に維持される。
【0039】
(第3の実施形態)
次に、本発明を具体化した第3実施形態を、第1実施形態と異なる部分を中心に図4を用いて説明する。
【0040】
図4に示すように、本実施形態の台座41には、溝部19よりも幅広であり、且つ溝部32よりも幅狭のコッター受部としての溝部43が形成されている。また、チップ40の当接面14には、幅方向に沿ってコッター係止部としての突条42が形成されている。台座41に対してチップ40が組み付けられて、溝部43内に突条42が配置された時、溝部43内に残された空間がコッター12挿着用の空間となる。
【0041】
台座41に対するチップ40の組み付けは、図4(b)に示すように、当接面20と当接面14との非接触状態において、チップ40を第1方向S1に沿って移動させることで開始される。そして、当接面20に対して突条42が摺動すると共に、係合凹部21に対して係合凸部15の一部が当接する位置となった時、突条42は溝部43内へ進入可能となる。次に、チップ40を第2方向S2に沿って移動させれば、係合凹部21と係合凸部15とは密着して係合状態となる。更に、溝部43と突条42とで形成される空間にコッター12を挿着すれば、チップ40は台座41に対して固定される。
【0042】
そして、この第3実施形態においては、第1及び第2実施形態における効果と異なり、以下の効果を得ることができる。
(6)上記実施形態では、チップ40の当接面14に、幅方向に沿ったコッター係止部としての突条42を形成した。このため、チップ40は、一様の肉厚を有するブロック状体をなす。従って、チップ40は、凹部が形成されていないため、強度的に優れている。
【0043】
(第4の実施形態)
次に、本発明を具体化した第4実施形態を、第1〜第3実施形態と異なる部分を中心に図5を用いて説明する。
【0044】
本実施形態の台座45は、図5に示すように、第1実施形態の台座11と同一断面形状を有すると共に、複数のチップ10の取付が可能なように長尺状に形成されている。この台座45には、複数のチップ10を隣接状態に組みつけて固定することができる。そして、螺旋羽根53の先端に沿って台座45を溶接し易くするために、台座45の下端部46は螺旋羽根53の先端形状に沿って湾曲している。また、係合凹部21及び溝部19も、螺旋羽根53の先端に沿うように湾曲している。この湾曲状態の台座45を得るためには、直線状の台座45を形成した後、プレス加工等により湾曲させてもよいし、湾曲した部材に対して切削加工等を施すようにしてもよい。
【0045】
そして、この台座45に複数のチップ10を取り付けた時、その複数のチップ10は、螺旋羽根53の先端形状に沿う方向に直行する方向において、凹凸することなく配置される。このように、複数のチップ10が螺旋羽根53の先端形状に沿って一様な連続面を形成しているので、個体物を含む原液は、前記連続面に沿うスムーズなコンベア作用を受けることができる。
【0046】
なお、図示しないチップ10の溝部13は直線状としてもよいし、湾曲状としてもよい。また、溝部19と溝部13とで形成される空間に挿着されるコッター12は、特に限定されることなく公知の形状とすることができる。
【0047】
そして、この第4実施形態においては、第1〜第3実施形態における効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(7)上記実施形態では、複数のチップ10の組み付けが可能なように、台座45を長尺状に形成すると共に、螺旋羽根53の先端に沿って溶接することが可能なように、湾曲状に形成した。このため、複数の台座11を溶接する場合と異なり、台座11毎の配置位置や姿勢を整える作業が不要となるので、螺旋羽根53に対する台座45の溶接作業の工数を低減することができる。
【0048】
(8)上記実施形態では、長尺状の台座45に複数のチップ10を取り付けたので、螺旋羽根53の先端形状に沿う方向に直行する方向において凹凸することなく、複数のチップ10を、一様な連続面を形成するように配置することができた。このため、従来技術のように、突出したチップ10が他のチップ10よりも早く摩耗することにより、スクリュウコンベアの使用可能期間が短縮されることを防止することができる。即ち、複数のチップ10の摩耗が平均化されるので、スクリューコンベアの使用可能期間を延長することができる。
【0049】
(9)上記実施形態では、複数のチップ10を、一様な連続面を形成するように配置することができた。このため、その連続面により、原液に対してスムーズなコンベア作用を及ぼすことができるので、遠心力による原液の固液分離を効果的に行うことができる。
【0050】
(変更例)
なお、上記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 台座11、31、41及びチップ10、30、40のそれぞれが対向する面の一方の面に幅方向に直交する方向の係合突条を設けると共に、他方の面に同方向の係合溝を設けること。この係合突条と係合溝との係合により、台座11、31、41に対するチップ10、30、40の幅方向へのずれを防止することができる。
・ 第2及び第3実施形態において、チップ30、40を台座31、41に係合するために、それぞれを先ず第1方向S1に沿って移動させたが、第2方向S2に沿って移動させた後、第1方向S1に沿う方向に回動させること。
・ 第4実施形態では、台座45の断面形状を、台座11の断面形状と同一としたが、台座31又は台座41の断面形状と同一とすること。
【符号の説明】
【0051】
10,30,40…チップ、11,31,41,45…台座、12…コッター、13,19,32,35,43…溝部、15…係合凸部、16,22…斜面、21…係合凹部、42…突条、50…遠心分離機、53…螺旋羽根。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺旋羽根の先端に固定された台座に耐摩耗性材料からなるチップを取り付けた遠心分離機のスクリューコンベアにおいて、前記台座には係合凹部を設けると共にコッター受部を設け、且つ前記チップには係合凸部を設けると共にコッター係止部を設けて、前記係合凹部に対して前記係合凸部を係合させて、前記チップが、前記スクリューコンベアの半径方向内方へずれることを防止した状態で、コッターを介して前記コッター受部とコッター係止部とを係止させることにより、前記チップが、前記スクリューコンベアの半径方向外方へずれることを防止したことを特徴とするスクリューコンベア。
【請求項2】
前記チップは、断面長方形のブロック状体に形成されると共に、その係合凸部は、前記チップにおいて前記台座に当接する面と反対側の面に形成された斜面を備えていることを特徴とする請求項1に記載のスクリューコンベア。
【請求項3】
前記コッター受部とコッター係止部とは、前記台座及びチップが互いに当接するそれぞれの面において、前記螺旋羽根の先端に沿う方向に形成された曲線状の溝部又はそれぞれの幅方向に沿って形成された直線状の溝部のいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載のスクリューコンベア。
【請求項4】
前記コッター受部は、前記台座における前記チップと当接する面において、前記螺旋羽根の先端に沿う方向に形成された曲線状の溝部又は前記台座の幅方向に沿って形成された直線状の溝部のいずれかであり、前記コッター係止部は、前記チップにおける前記台座に当接する面において、前記チップの幅方向に沿って形成された突条であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスクリューコンベア。
【請求項5】
前記台座は、複数の前記チップの係合が可能なように長尺螺旋状に形成され、前記螺旋羽根の先端に沿って固定されていることを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか一項に記載のスクリューコンベア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−551(P2012−551A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136215(P2010−136215)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(591181920)大和機工株式会社 (5)
【Fターム(参考)】