説明

スクリーンマスク清掃装置

【課題】スクリーンマスクに傾きがある場合であっても残留半田の除去性能を十分に発揮することができるスクリーンマスク清掃装置を提供する。
【解決手段】同一方向に延伸された一対の支持体4によって両側部を支持されたスクリーンマスク1の裏面に残留した半田を除去するスクリーンマスク清掃装置10において、一対の支持体4の延伸方向に移動してスクリーンマスク1の裏面に残留した半田を転写させて除去するクリーニングシートをスクリーンマスク1の裏面に押し付けるクリーニングヘッド12を、一対の支持体4の延伸方向を軸方向とする軸17周りに回動可能に支持した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン印刷装置において使用するスクリーンマスクの清掃装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スクリーンマスクの清掃装置として、クリーニングシートをスクリーンマスクの裏面に摺接させ、裏面に残留したままとなっている半田をクリーニングシートに転写させて除去する清掃装置がある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−296960号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
クリーニングシートはスクリーンマスクが水平であれば均一な圧力で接触することができるので良好な半田除去性能を発揮するが、スクリーンマスクに傾き生じていると接触圧にばらつきが生じ、十分な除去性能が発揮できないことがある。
【0004】
本発明は、スクリーンマスクに傾きがある場合であっても残留半田の除去性能を十分に発揮することができるスクリーンマスク清掃装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のスクリーンマスク清掃装置は、同一方向に延伸された一対の支持体によって両側部を支持されたスクリーンマスクの裏面に残留した半田を除去するスクリーンマスク清掃装置であって、前記一対の支持体の延伸方向に移動してスクリーンマスクの裏面に残留した半田を転写させて除去する半田転写媒体と、前記半田転写媒体をスクリーンマスクの裏面に押し付ける手段と、前記半田転写媒体を前記一対の支持体の延伸方向を軸方向とする軸周りに回動可能に支持する手段とを備えた。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、スクリーンマスクに傾きが生じている場合であっても、水平なスクリーンマスクの場合と同様の残留半田の除去性能を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態のスクリーンマスク清掃装置と一対の支持体に両側部を支持されたスクリーンマスクを示す正面図、図2は本発明の実施の形態のスクリーンマスク清掃装置と一対の支持体に両側部を支持されたスクリーンマスクを示す平面図、図3は本発明の実施の形態のスクリーンマスク清掃装置と一対の支持体に両側部を支持されたスクリーンマスクを示す側面図である。
【0008】
スクリーンマスク1は厚さが数十ミクロン〜数百ミクロン程度の略正方形の板状部材である。スクリーンマスク1の略中央は複数の開孔2が形成された印刷領域3となっている。スクリーンマスク1は対向する両側部を一対の支持体4によって支えられている。支持体4はスクリーンマスク1の側面と対向する鉛直部4aと裏面と対向する水平部4bで構成された断面L型の部材であり、スクリーンマスク1の側辺より長くなるように延伸され、スクリーンマスク1の側部を端から端まで完全に支持できるように構成されている(図2参照)。一対の支持体4は同じ水平面内で平行に配置されており、スクリーンマスク1は初期状態において水平に支持される。
【0009】
スクリーン清掃装置10は半田転写媒体を用いてスクリーンマスク1の裏面に残留している半田を除去するための装置である。スクリーンマスク1の裏面は開孔2の縁と基板の隙間から食み出した半田や基板に転写されなかった半田が残留していることがあるので印刷後に清掃を行う必要がある。スクリーン清掃装置10は半田印刷後にスクリーンマスク1の下側に移動して裏面の清掃を行う。
【0010】
スクリーン清掃装置10は、クリーニングシート11と、クリーニングヘッド12と、クリーニングヘッド12を鉛直方向に移動させるピストンロッド13aおよびシリンダ13bで構成されている。クリーニングシート11は、スクリーンマスク1の裏面に残留している半田を転写させて除去するための媒体であり、紙のほかに布等を用いることができる。クリーニングシート11はクリーニングヘッド12によってスクリーンマスク1の裏面に押し付けられた状態で移動しながら残留半田を転写していく。クリーニングヘッド12の上側には吸引孔14が形成されており、半田はクリーニングシート11に一旦転写された後にクリーニングヘッド12の内部に吸引され、スクリーンマスク1から完全に除去される。
【0011】
クリーニングヘッド12はスクリーンマスク1の印刷領域3の幅aより長い幅bを有し、支持体4の延伸方向と同方向に一回移動するだけで印刷領域3の全体を清掃することができるようになっている。
【0012】
クリーニングヘッド12の両側には供給ロール15と巻き取りロール16が配置されている。供給ロール15には使用前のクリーニングシート11が巻かれた状態で収納されている。クリーニングシート11はクリーニングヘッド12の上側を通って反対側の巻き取りロール16に巻き取られる。クリーニングシート11はクリーニングヘッド12の上側にある部分でスクリーンマスク1の清掃を行い、清掃に使用された部分は巻き取りロール16側に巻き取られ、使用前のクリーニングシート11が新たにクリーニングヘッド12の上側に移動してくるようになっている。
【0013】
ピストンロッド13aはシリンダ13bの駆動によって鉛直方向に伸縮する。ピストンロッド13aの先端(上端)にはクリーニングヘッド12が連結されている。スクリーンマスク1の清掃時はピストンロッド13aを伸ばし、クリーニングヘッド12の上側にあるクリーニングシート11をスクリーンマスク1の裏面に押し付け、クリーニングシート11とスクリーンマスク1の裏面との間に適度な接触圧を付与する。
【0014】
クリーニングヘッド12は、支持体4の延伸方向と同方向、すなわちクリーニングヘッド12の移動方向と同方向に枢支する軸17によってピストンロッド13aの先端と連結されており、移動方向と直交する平面内で回動できるようになっている。クリーニングヘッド12はスクリーンマスク1の裏面に押し付けられていないときには軸17を挟んで両側に配置された2つのばね18によって水平に保たれている。
【0015】
クリーニングヘッド12はスクリーンマスク1が略水平に支持されている場合であれば、ほとんど姿勢を変えることなく清掃を行うことができる。仮にスクリーンマスク1に傾きが生じている場合であっても移動方向と直交する方向における傾きであれば、軸17を中心として回動することでスクリーンマスク1の傾きに追随して姿勢を変え、スクリーンマスク1に裏面に略均一な圧力でクリーニングシート11を押し付けることができる。またスクリーンマスク1の傾きが移動方向と同一方向における傾きであれば、ピストンロッド13aの伸縮によって対応することができる。
【0016】
従って、スクリーンマスク清掃装置10によれば、スクリーンマスク1に傾きが生じている場合であっても、軸17を中心とした回動による姿勢変更とピストンロッド13aの
伸縮による接触圧の調整を組み合わせることで、水平なスクリーンマスク1の場合と同様の残留半田の除去性能を発揮することができる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明はスクリーン印刷装置に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態のスクリーンマスク清掃装置と一対の支持体に両側部を支持されたスクリーンマスクを示す正面図
【図2】本発明の実施の形態のスクリーンマスク清掃装置と一対の支持体に両側部を支持されたスクリーンマスクを示す平面図
【図3】本発明の実施の形態のスクリーンマスク清掃装置と一対の支持体に両側部を支持されたスクリーンマスクを示す側面図
【符号の説明】
【0019】
1 スクリーンマスク
4 支持体
10 スクリーン清掃装置
11 クリーニングシート
12 クリーニングヘッド
13a ピストンロッド
13b シリンダ
17 軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一方向に延伸された一対の支持体によって両側部を支持されたスクリーンマスクの裏面に残留した半田を除去するスクリーンマスク清掃装置であって、
前記一対の支持体の延伸方向に移動してスクリーンマスクの裏面に残留した半田を転写させて除去する半田転写媒体と、
前記半田転写媒体をスクリーンマスクの裏面に押し付ける手段と、
前記半田転写媒体を前記一対の支持体の延伸方向を軸方向とする軸周りに回動可能に支持する手段と、
を備えたことを特徴とするスクリーンマスク清掃装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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