説明

スクリーン印刷版の製造方法

【課題】メタルマスクを紗を介して版枠に固定する場合に、メタルマスクに形成された開口部のピッチ寸法を確実に公差内に入れることができるようにする。
【解決手段】孔部12aを塞ぐようにメタルマスク11が固定された紗12を用意するとともに、その用意した紗12をクランプ装置16乃至19によって保持し、紗12及びメタルマスク11に所定の張力を付与する。その後、紗12及びメタルマスク11に張力を付与した状態のまま、メタルマスク11に形成された開口部11a乃至11dのピッチ寸法を計測する。そして、開口部11a乃至11dのピッチ寸法が所定の公差内に入っていることを確認した後、紗12及びメタルマスク11に張力を付与した状態のまま、紗12を版枠13に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スクリーン印刷版の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、メタルマスクを使用したスクリーン印刷版は、以下の手順により製造されていた。即ち、先ず、所定の大きさの版枠を用意し、この版枠の一側面に紗を接着固定する。ここで、版枠に紗を接着固定する場合には、紗に所定の張力を作用させておき、紗が版枠に完全に固定された際に、版枠の内側部分に配置された紗の張力が均一になるようにする。また、版枠に紗が固定された後、版枠の外側にはみ出た紗を切断し、体裁を整える。
【0003】
次に、印刷パターンに合わせて多数の開口部が形成されたメタルマスクを、版枠に固定された紗の一側面の指定位置に配置するとともに、上記開口部を避けるように紗の他側面側から接着剤を塗布して、メタルマスクを紗に接着固定させる。ここで、メタルマスクの開口部は、一般に、メタルマスクの中央部に形成される。このため、上記接着作業に際しては、例えば、メタルマスクの周縁部全体に10〜20mm程度の幅で接着剤を塗布し、接着剤を乾燥させる。そして、メタルマスクの周縁部が完全に紗に固定された後、メタルマスクとの接着部分よりも内側に配置された紗を切り取り、上記開口部と重なる部分の紗を取り除く。以上の作業により、スクリーン印刷版が完成する。
【0004】
なお、シルク印刷に使用する紗を枠体に貼り付ける紗張り装置の従来技術として、上記紗張り作業を自動で実施するようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−127113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1記載の紗張り装置を使用する場合を含め、上記従来の手順によってスクリーン印刷版を製造する場合では、板厚150μm以下のメタルマスクや開口部が密集しているメタルマスクを使用した場合に、メタルマスクの伸びや湾曲、歪み等が大きくなり、開口部のピッチ寸法を公差内に入れることが困難になるといった問題があった。
【0007】
即ち、特許文献1記載のもの等を利用した場合では、紗の一側面にメタルマスクを接着固定した後に、メタルマスクの開口部と重なる部分の紗を切り取り、スクリーン印刷版を完成させている。ここで、メタルマスクが貼り付けられる前の紗は、版枠の内側部分の張力が全体に渡って均一となるように版枠に固定されるが、実際には、その張力には極僅かなばらつきが発生してしまう。このため、メタルマスクを紗に貼り付けた後に紗の一部を切り取ると、切り取り前後において紗の張力分布に変化が生じることとなる。即ち、紗を切り取ることによってメタルマスクに作用する張力にも変化が生じてしまう。このため、メタルマスクに湾曲や、菱形・台形の歪み等が発生し、開口部のピッチ寸法が公差(例えば、±0.01%)から外れるといった問題が発生していた。
【0008】
また、紗は一般に均一な網目状を呈するのに対し、メタルマスクは、印刷パターンに合わせて様々な配置や形状の開口部が形成されている。このため、仮に版枠の内部部分の張力が全体に渡って均一となるように紗が固定されていたとしても、メタルマスクを紗に貼り付けた後に紗の一部を切り取った場合には、紗の網目形状とメタルマスクの開口部形状との相違から、メタルマスクに湾曲や歪み等が発生し、開口部のピッチ寸法が公差から外れるといった問題が発生していた。
【0009】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、メタルマスクを紗を介して版枠に固定する場合に、メタルマスクに形成された開口部のピッチ寸法を確実に公差内に入れることができるスクリーン印刷版の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係るスクリーン印刷版の製造方法は、孔部を塞ぐようにメタルマスクが固定された紗を用意する工程と、用意した紗を保持し、紗及びメタルマスクに所定の張力を付与する工程と、紗及びメタルマスクに張力を付与した状態のまま、メタルマスクに形成された開口部のピッチ寸法を計測する工程と、開口部のピッチ寸法が所定の公差内に入っていることを確認した後、紗及びメタルマスクに張力を付与した状態のまま、紗を版枠に固定する工程と、を備えたものである。
【0011】
また、この発明に係るスクリーン印刷版の製造方法は、孔部を塞ぐようにメタルマスクが固定された紗を用意する工程と、用意した紗を、所定のクランプ装置によってメタルマスクの四方から保持し、紗及びメタルマスクに所定の張力を付与する工程と、紗及びメタルマスクに張力を付与した状態のまま、メタルマスクに形成された開口部のピッチ寸法を計測する工程と、計測した開口部のピッチ寸法が所定の公差内に入っていない場合に、クランプ装置の一部を移動させ、メタルマスクに発生した湾曲や歪みを補正する工程と、開口部のピッチ寸法が公差内に入っていることを確認した後、紗及びメタルマスクに張力を付与した状態のまま、紗を版枠に固定する工程と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係るスクリーン印刷版の製造方法であれば、メタルマスクを紗を介して版枠に固定する場合に、メタルマスクに形成された開口部のピッチ寸法を確実に公差内に入れることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1において用いられる紗張り装置を示す側面図である。
【図2】この発明の実施の形態1において用いられる紗張り装置を示す平面図である。
【図3】この発明の実施の形態1において用いられる紗張り装置の要部を示す斜視図である。
【図4】図3に示す紗張り装置のB−B矢視図である。
【図5】この発明の実施の形態1において用いられる紗張り装置の他の要部を示す斜視図である。
【図6】この発明の実施の形態1におけるスクリーン印刷版の製造方法を説明するための図である。
【図7】この発明の実施の形態1におけるスクリーン印刷版の製造方法を説明するための図である。
【図8】この発明の実施の形態1におけるスクリーン印刷版の製造方法を説明するための図である。
【図9】この発明の実施の形態1におけるスクリーン印刷版の製造方法を説明するための図である。
【図10】この発明の実施の形態1におけるスクリーン印刷版の製造方法を説明するための図である。
【図11】この発明の実施の形態2において用いられる紗張り装置を示す側面図である。
【図12】この発明の実施の形態2において用いられる紗張り装置の他の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明をより詳細に説明するため、添付の図面に従ってこれを説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0015】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1において用いられる紗張り装置を示す側面図、図2はこの発明の実施の形態1において用いられる紗張り装置を示す平面図、図3はこの発明の実施の形態1において用いられる紗張り装置の要部を示す斜視図、図4は図3に示す紗張り装置のB−B矢視図、図5はこの発明の実施の形態1において用いられる紗張り装置の他の要部を示す斜視図である。
【0016】
図1乃至図5において、1は建築物の所定の部屋の床面2等に平行に敷設された一対のレール、3はレール1上を往復移動する移動台、4は移動台3の上部に設けられた紗張り機、5は床面2に設けられ、一対のレール1を跨ぐように上記レール1の一端部側に配置された測長機台、6は測長機台5の上部に設けられた測長機、7及び8は測長機台5の作業台9上に載置され、測長機6を操作するキーボードとマウス、10は測長機6による測長時に、測長条件の入力画面や測長結果の出力画面を表示するモニターである。
【0017】
上記測長機台5は、例えば、レール1の両側に立設された脚部5a及び5bと、脚部5a及び5b間に架け渡され、レール1の上方を横切るように配置された測長機支持部5cとからなり、レール1の長手方向(図1及び図2におけるA矢視方向)から見て、全体として略コ字状を呈するように構成される。そして、測長機台5は、移動台3がレール1上を移動することにより、移動台3の上部に支持された紗張り機4が、測長機支持部5cの上面に設けられた測長機6の下方に配置されるように、その下部が開口されている。
【0018】
また、上記紗張り機4は、メタルマスク11が予め貼り付けられた紗12を、版枠13に接着固定するためのものである。そして、その要部は、移動台3に支持されて版枠13が載置される昇降台14、昇降台14を昇降動作させる昇降装置15、昇降台14を囲むように昇降台14の四方にそれぞれ配置されたクランプ装置16乃至19から構成される。なお、20は昇降装置15を駆動して昇降台14を昇降動作させるフットスイッチである。
【0019】
上記クランプ装置16乃至19は、その中央部にメタルマスク11が予め接着固定された紗12の四方の縁部を挟持して、紗12及びメタルマスク11に所定の張力を与えるとともに、所定の張力を与えた状態で紗12及びメタルマスク11を保持するためのものである。なお、各クランプ装置16乃至19は、紗12及びメタルマスク11に所定の張力を与えるため、近接する昇降台14の縁部に対して接近及び離隔する方向(以下、「前後方向」という)と、上記前後方向に直交し、近接する昇降台14の縁部に沿う方向(以下、「左右方向」という)とに変位自在に設けられている。また、各クランプ装置16乃至19にその四方の縁部を挟持された紗12は、図1及び図2に示すように、昇降台14上に載置された版枠13の上方に配置される。
【0020】
21乃至24は移動台3の上部に設けられたクランプ支持台、25乃至28は各クランプ支持台21乃至24にそれぞれ設けられたレールである。上記クランプ支持台21乃至24は、昇降台14の四方に配置され、昇降台14に対して前後方向に変位自在に設けられる。また、上記レール25乃至28はその長手が昇降台14に対して左右方向となるように各クランプ支持台21乃至24の上面に設けられ、対向して配置されたレール25及び27、レール26及び28が、それぞれ平行となるように配置される。そして、クランプ装置16乃至19は、レール25乃至28の長手方向にスライド自在となるように、レール25乃至28を介してクランプ支持台21乃至24に支持されている。なお、クランプ支持台21乃至24の昇降台14に対する変位は、図示しないモータ等によって調整される。
【0021】
次に、上記クランプ装置16乃至19の具体的構成を説明する。なお、各クランプ装置16乃至19は同様の構成を有している。このため、以下においては、クランプ装置16の構成についてのみ詳説し、他のクランプ装置17乃至19の説明は適宜省略する。
【0022】
クランプ装置16には、紗12の一縁部を挟持する複数のクランプ部29乃至35(実施の形態1においては7個)が、レール25の長手方向、即ち、昇降台14に対して左右方向に並んで配置されている。そして、各クランプ部29乃至35は、紗12の縁部をそれぞれ独立して保持することができるように構成されている。また、クランプ装置16は、上述したように昇降台14に対して前後方向及び左右方向に変位自在であるとともに、各クランプ部29乃至35が、紗12の縁部を保持した状態で、昇降台14に対してそれぞれ独立して前後方向に変位自在に構成されている。
【0023】
図3及び図4は上記構成のクランプ装置16の一具体例を示したものである。36及び37は紗12を上下から挟持する挟持手段、38は上方の挟持手段37を上下動させるモータ、39は挟持手段36及び37並びにモータ38を支持するコ字状の第1支持部、40は第1支持部39をレール25の長手方向と直交する水平方向にスライド自在に支持するL字状の第2支持部である。なお、第1支持部39の第2支持部40に対する相対位置は、付勢バネ41と送りネジ42とによって調整される。43は第2支持部40の下部に設けられ、レール25に係合してクランプ装置16のスライド方向を案内する一対のローラ、44はクランプ装置16全体をレール25の長手方向に移動させるための送りネジである。
【0024】
一方、上記測長機6は、クランプ装置16乃至19によって紗12の四方の縁部が挟持されて所定の張力が与えられた状態で、紗12に設けられたメタルマスク11の開口部のピッチ寸法を上方から計測するためのものであり、計測部が、上記状態に保持されたメタルマスク11よりも上方に配置されている。図5は測長機6の一具体例を示している。図5において、45はメタルマスク11を上方から撮影する計測部からなるカメラ、46は測長機支持部5cに設けられ、カメラ45をレール1の長手方向及びこの長手方向に直交する方向にスライド自在に支持する移動手段である。なお、カメラ45は、図5に示すように、レンズ部分が上下動することにより焦点位置が調節可能に構成されており、カメラ45の移動及び焦点設定等は上記キーボード7やマウス8等の入力手段によって調整される。また、カメラ45によって撮影された画像は、モニター10に出力される。
【0025】
次に、上記構成を有する紗張り装置を使用してスクリーン印刷版を製造する手順について、図6乃至図10に基づいて具体的に説明する。なお、図6乃至図10は、この発明の実施の形態1におけるスクリーン印刷版の製造方法を説明するための図である。
【0026】
上記構成を有する紗張り装置を使用したスクリーン印刷版の製造に際しては、先ず、図6に示すように、紗張り機4の大きさに合わせて裁断した四角形状を呈する紗12の中央部に、メタルマスク11よりも小さな四角形状の孔部12aを形成する。次に、所定の印刷パターンに基づいて多数の開口部が形成されたメタルマスク11を、上記孔部12aを塞ぐように紗12の一側面中央部に配置するとともに、メタルマスク11と紗12とが重なった部分に紗12の他側面側から接着剤を塗布して、メタルマスク11を紗12に貼り付ける。なお、メタルマスク11を紗12に接着固定する手順は、上記手順に因らなくても良い。即ち、紗12の一側面にメタルマスク11の周縁部を所定の幅で接着固定した後、この接着部分よりも内側に配置された紗12を切り取る手順によっても実施できる。また、メタルマスク11を紗12に接着する方向は、スキージ面を上にする場合と下にする場合の2種類が考えられるが、何れであっても構わない。
【0027】
次に、版枠13を昇降台14に載置した後、図7に示すように、各クランプ装置16乃至19によって、メタルマスク11が接着固定された紗12の四方の縁部を挟持し、各クランプ装置16乃至19をそれぞれ外側(昇降台14に対して後側)に変位させて、メタルマスク11及び紗12に所定の張力を付与する。また、昇降台14を上昇させて、紗12の下面に版枠13を接触させる。なお、この時、メタルマスク11が版枠13に対して指定の位置に配置されるように調整する。そして、メタルマスク11及び紗12に所定の張力を与えた状態のまま所定時間放置してシーズニングを実施した後、測長機6によって、メタルマスク11に形成された開口部のピッチ寸法を計測する。即ち、開口部のピッチ寸法が公差内に入っているか否かを確認する。
【0028】
開口部のピッチ寸法の計測に際しては、先ず、図8に示すように、移動台3をレール1に沿って走行させて、移動台3及び紗張り機4を測長機台5のコ字状部内に移動させる。そして、紗12がクランプ装置16乃至19に保持された状態のまま、メタルマスク11を測長機6の測長可能範囲内に配置する。次に、カメラ45を操作して、図9に示すように、例えば、メタルマスク11の四隅に配置された開口部11a乃至11dの同じ(例えば、左上の)角部の座標をそれぞれ計測する。この時、計測者は、モニター10に表示されたカメラ画像を見ながらカメラ45を移動させ、所望の計測位置を決定する。そして、得られた計測結果に基づいて開口部11a乃至11dの各ピッチ寸法を演算し、所定の公差内に入っているか否かを判定する。
【0029】
ここで、開口部のピッチ寸法が所定の公差内に入っていない場合には、メタルマスク11を測長機6の計測範囲内に配置した状態のままクランプ装置16乃至19を操作して、メタルマスク11に発生した湾曲や歪みを補正する。具体的には、例えば図10(a)に示すようにメタルマスク11に菱形の歪みが発生している場合には、対向するクランプ装置17及び19を、上記歪みが解消するように、それぞれレール26及び28に沿って反対方向に移動させる。また、図10(b)に示すようにメタルマスク11の一部に湾曲が発生している場合には、クランプ装置17及び19にそれぞれ設けられた複数のクランプ部のうち、湾曲の発生箇所に対向するクランプ部のみを、上記湾曲が解消するように、レール26及び28の長手に直交する方向に移動させる。
【0030】
そして、上記手順によって、メタルマスク11に発生した全体的及び部分的な歪みや湾曲等を個々に補正した後、測長機6によって開口部のピッチ寸法を再度計測し、ピッチ寸法が所定の公差内に入っているか否かを確認する。なお、再度の補正が必要な場合には、上記手順を繰り返し、開口部のピッチ寸法が所定の公差内に確実に入るようにする。そして、開口部のピッチ寸法が所定の公差内に入っていることを確認した後、移動台3を測長機台5の外側に移動させ、測長機台5や測長機6が作業の邪魔にならない位置で、紗12を版枠13に接着固定する。以上によってスクリーン印刷版が完成する。
【0031】
この発明の実施の形態1によれば、メタルマスク11を紗12を介して版枠13に固定する場合に、メタルマスク11に形成された開口部のピッチ寸法を確実に公差内に入れることが可能となる。即ち、上記紗張り装置では、メタルマスク11が予め接着固定された紗12をクランプ装置16乃至19によって保持した状態で、開口部のピッチ寸法を計測することができる。また、開口部のピッチ寸法が所定の公差内に入っていない場合には、メタルマスク11が測長機6の測長範囲に配置された状態で、メタルマスク11に発生した全体的及び部分的な歪みや湾曲等を個々に補正することができる。このため、開口部のピッチ寸法を計測しながらメタルマスク11の補正を実施することができ、開口部のピッチ寸法を確実に公差内に入れることが可能となる。
【0032】
また、開口部のピッチ寸法を確実に公差内に入れることができるため、歩留りが大幅に向上し、製造性の向上及びコスト削減を図ることも可能となる。特に、従来の製造方法では湾曲や歪み等が発生し易い、板厚150μm以下のメタルマスク(板厚50μm以下のメタルマスクではピッチの調整が確実に必要となり、板厚30μm以下のメタルマスクでは特に調整が必要となる)や開口部が密集しているメタルマスクを使用する場合には、有効な手段となる。
【0033】
また、紗張り機4が移動台3に搭載されることにより、紗12がクランプ装置16乃至19に保持された状態のまま、メタルマスク11を測長機6の測長範囲に出し入れすることができる。このため、測長機6が不要な作業、例えば、メタルマスク11が固定された紗12をクランプ装置16乃至19によって挟持し、シーズニングを行う作業や、紗12を版枠13に接着固定する作業等を測長機6の邪魔にならない場所で実施することができ、作業性を向上させることが可能となる。
【0034】
なお、実施の形態1においては紗張り機4を移動台3に設けた場合について説明したが、紗張り機4を固定台に、測長機6を移動台に設置して、測長機6をレール1に沿って移動自在に構成しても、上記と同様の効果を奏することは言うまでもない。
【0035】
実施の形態2.
図11はこの発明の実施の形態2において用いられる紗張り装置を示す側面図である。図11において、移動台47及び紗張り機48は、それぞれ移動台3及び紗張り機4と同様の構成を有している。即ち、実施の形態2においては、1つの測長機6に対して、2組の移動台と紗張り機とが備えられ、一方の移動台3及び紗張り機4と、他方の移動台47及び紗張り機48との間に測長機6が配置されている。なお、紗張り機48も紗張り機4と同様に、移動台47を移動させることにより、紗49を保持した状態のまま、紗49に固定されたメタルマスク(図示せず)を測長機6の測長範囲に出し入れすることができるように構成されている。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0036】
スクリーン印刷版の製造に際しては、シーズニングや、紗12を版枠13に接着する作業等、測長機6を使用しない作業において比較的長い時間を必要とする。このため、複数組の紗張り機を用意し、例えば、一方の紗張り機4でシーズニングを行っている間に、他方の紗張り機48でメタルマスク11の補正を実施すれば、作業性を大幅に向上させることができるようになる。なお、図12はこの発明の実施の形態2において用いられる紗張り装置の他の構成を示す平面図であり、1つの測長機6に対して、4組の紗張り機4、48、50、51を備えた場合を示したものである。かかる場合には、例えば、紗張り機50及び51の移動方向を案内するレール52をレール1と直交するように配置して、紗張り機4、48、50、51を測長機6に対して四方から出し入れすることができるように構成する。このような構成を採用することにより、さらに作業性の向上を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0037】
1 レール、 2 床面、 3 移動台、 4 紗張り機、 5 測長機台、
5a 脚部、 5b 脚部、 5c 測長機支持部、 6 測長機、
7 キーボード、 8 マウス、 9 作業台、 10 モニター、
11 メタルマスク、 11a〜11d 開口部、 12 紗、 12a 孔部、
13 版枠、 14 昇降台、 15 昇降装置、 16〜19 クランプ装置、
20 フットスイッチ、 21〜24 クランプ支持台、 25〜28 レール、
29〜35 クランプ部、 36〜37 挟持手段、 38 モータ、
39 第1支持部、 40 第2支持部、 41 付勢バネ、 42 送りネジ、
43 ローラ、 44 送りネジ、 45 カメラ、 46 移動手段、
47 移動台、 48 紗張り機、 49 紗、 50 紗張り機、
51 紗張り機、 52 レール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔部を塞ぐようにメタルマスクが固定された紗を用意する工程と、
用意した前記紗を保持し、前記紗及び前記メタルマスクに所定の張力を付与する工程と、
前記紗及び前記メタルマスクに張力を付与した状態のまま、前記メタルマスクに形成された開口部のピッチ寸法を計測する工程と、
前記開口部のピッチ寸法が所定の公差内に入っていることを確認した後、前記紗及び前記メタルマスクに張力を付与した状態のまま、前記紗を版枠に固定する工程と、
を備えたことを特徴とするスクリーン印刷版の製造方法。
【請求項2】
孔部を塞ぐようにメタルマスクが固定された紗を用意する工程と、
用意した前記紗を、所定のクランプ装置によって前記メタルマスクの四方から保持し、前記紗及び前記メタルマスクに所定の張力を付与する工程と、
前記紗及び前記メタルマスクに張力を付与した状態のまま、前記メタルマスクに形成された開口部のピッチ寸法を計測する工程と、
計測した前記開口部のピッチ寸法が所定の公差内に入っていない場合に、前記クランプ装置の少なくとも一部を移動させ、前記メタルマスクに発生した湾曲や歪みを補正する工程と、
前記開口部のピッチ寸法が公差内に入っていることを確認した後、前記紗及び前記メタルマスクに張力を付与した状態のまま、前記紗を版枠に固定する工程と、
を備えたことを特徴とするスクリーン印刷版の製造方法。
【請求項3】
前記紗及び前記メタルマスクに張力を付与した状態のまま所定時間放置する工程と、
を備え、
前記放置を行った後、前記開口部のピッチ寸法を計測することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスクリーン印刷版の製造方法。
【請求項4】
前記紗及び前記メタルマスクに張力を付与した状態のまま、前記紗に一側から版枠を接触させる工程と、
を備え、
前記紗に前記版枠を接触させた状態で、前記放置を行うことを特徴とする請求項3に記載のスクリーン印刷版の製造方法。
【請求項5】
前記紗及び前記メタルマスクに張力を付与した状態のまま、前記開口部のピッチ寸法を計測する測長機の測長範囲に、前記メタルマスクを配置する工程と、
を備え、
前記測長機の測長範囲の外側で、前記放置を行うことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のスクリーン印刷版の製造方法。
【請求項6】
前記紗及び前記メタルマスクに張力を付与した状態のまま、前記開口部のピッチ寸法を計測する測長機の測長範囲の外側に、前記メタルマスクを配置する工程と、
を備え、
前記測長機の測長範囲の外側で、前記紗を前記版枠に固定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスクリーン印刷版の製造方法。
【請求項7】
前記紗を用意する工程は、
前記紗に、前記孔部を形成する工程と、
前記紗に前記孔部を形成した後、前記孔部を塞ぐように前記メタルマスクを前記紗の一側面に配置し、前記メタルマスクを前記紗に接着固定する工程と、
を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスクリーン印刷版の製造方法。
【請求項8】
前記紗を用意する工程は、
前記メタルマスクを前記紗の一側面に配置し、前記メタルマスクの周縁部を前記紗に接着固定する工程と、
前記メタルマスクを前記紗に接着固定した後、その接着部分の内側に配置された前記紗を切り取り、前記紗に前記孔部を形成する工程と、
を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスクリーン印刷版の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−158903(P2010−158903A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57895(P2010−57895)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【分割の表示】特願2007−44268(P2007−44268)の分割
【原出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(300071823)株式会社ボンマーク (54)
【Fターム(参考)】