説明

スクリーン印刷用原版の作製方法

【課題】孔版印刷の製版原理を使用してスクリーン版を作製する方法において、従来よりも簡単に原版を作成でき、さらには、印刷時における紗のゆるみを防止して精度の良い印刷を行うことができる方法及び器具を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂フィルム(2)を再剥離性接着剤(12)で裏打ちシート(11)に接着してなる2層シートを用意し、該2層シートの熱可塑性樹脂フィルム(2)に所定の画像に対応する穿孔(21)を施し、該熱可塑性樹脂フィルム(2)と熱融着性の紗(31)とを重ね合わせて熱接着した後、裏打ちシート(11)を剥離することにより、熱可塑性樹脂フィルム(2)と紗(31)とが積層された原版を得ることを特徴とするスクリーン印刷用原版の作製方法。紗は、表面の少なくとも1部が熱融着性成分で形成された鞘芯型またはサイド−バイ−サイド型複合繊維が好ましい。再剥離性接着剤は熱剥離性接着剤が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン印刷用原版の作製方法、及び、それに用いるに好適な器具に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリーン印刷では、一般的には、枠に張られた紗に感光性の樹脂乳剤をコーティングし、該コーティングの非画像部に紫外線等を露光させて樹脂乳剤を硬化させ、非硬化部分を洗い流すことで、画像部が穿孔された原版を作製する。この方法では、精度の高い原版を作製できるが、非常に手間がかかるのが欠点である(例えば、特開平7−214746号公報参照)。
【0003】
そこで、紗に感熱性の熱可塑性樹脂フィルムが積層されてなる感熱孔版原紙を用い、孔版印刷の製版原理を使用して簡便にスクリーン版を作製する方法が従来から提案されている。
【0004】
例えば、特開平10−291290号公報には、紗に感熱性の熱可塑性樹脂フィルムが積層されてなる感熱孔版原紙をサーマルヘッドで加熱穿孔し、これを紗枠に張ってスクリーン印刷原版として用いることが記載されている。しかし、かかる感熱孔版原紙は、紗とフィルムが既に貼り合わされているので、紗を高テンションで張ることは困難であり、また、該感熱孔版原紙を十分に張ったとしても、ベタ製版を行うと紗のゆるみが生じ、印刷時、版離れ等が悪かったり、スキージ操作の際に紗がのばされ印刷位置精度が出ないという問題があった。また、原版のインキ通過部分には、感熱製版の結果生じた接着剤やフィルム残渣が残ることは避けられず、インキ通過性も依然として十分とはいえなかった。これを解決するために、紗を紗枠に張った後、この紗にフィルムを接着剤で貼り、サーマルヘッド等で製版して原版を作製することも考えられるが、紗にフィルムを接着剤で貼ると、原版のインキ通過部に残渣が残るという問題は解決されず、また、極薄フィルムを扱う場合には操作性が悪い。
【0005】
また、特開2003−11541号公報には、感熱性の熱可塑性樹脂フィルムと裏打ちシートとを接着剤で貼り合せた感熱フィルムシートをサーマルヘッドで製版した後、接着剤を溶解して裏打ちシートを分離し、熱可塑性樹脂フィルムと予め紗枠に張られた紗とを積層し、両者を接着剤で接着する方法が記載されている。しかし、製版済みのフィルムを紗に貼るために接着剤を用いているので、細かい製版部分が接着剤で閉塞されることが避けられないという欠点がある。
【0006】
【特許文献1】特開平7−214746号公報
【特許文献2】特開平10−291290号公報
【特許文献3】特開2003−11541号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、孔版印刷の製版原理を使用してスクリーン版を作製する方法において、従来よりも簡単に原版を作成でき、さらには、印刷時における紗のゆるみを防止して精度の良い印刷を行うことができる方法及び器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記目的の下に鋭意研究した結果、熱可塑性樹脂フィルムを再剥離性接着剤で裏打ちシートに接着してなる2層シートと、熱融着性の紗とを用いることにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明によれば、熱可塑性樹脂フィルムを再剥離性接着剤で裏打ちシートに接着してなる2層シートを用意し、該2層シートの熱可塑性樹脂フィルムに所定の画像に対応する穿孔を施し、該熱可塑性樹脂フィルムと熱融着性の紗とを重ね合わせて熱接着した後、前記裏打ちシートを剥離することにより、前記熱可塑性樹脂フィルムと前記紗とが積層された原版を得ることを特徴とするスクリーン印刷用原版の作製方法が提供される。
【0010】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記紗として、表面の少なくとも1部が熱融着性成分で形成された鞘芯型またはサイド−バイ−サイド型複合繊維が用いられる。
また、本発明の他の好ましい実施形態によれば、前記紗は、所定の張力を付与した状態で、望ましくは、枠体に結合される。
【0011】
かくして、本発明の別の局面によれば、熱融着性の紗を、所定の張力を付与した状態で、枠体に結合させてなる、上記スクリーン印刷用原版の作製方法で使用するための紗が提供される。
また、本発明のさらに別の局面によれば、熱可塑性樹脂フィルムを再剥離性接着剤で裏打ちシートに接着してなる、上記スクリーン印刷用原版の作製方法で使用するための2層シートが提供される。
また、本発明のさらに別の局面によれば、上記紗と、上記2層シートとを少なくとも備えてなる、上記スクリーン印刷用原版の作製方法で使用するためのキットが提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、熱可塑性樹脂フィルムを再剥離性接着剤で裏打ちシートに接着してなる2層シートを用いることとしたので、極薄フィルムを使用した場合でも操作性が良く、また、製版時に接着剤やフィルム残渣の付着が生じることも防止でき、さらには、最終的に裏打ちシートを除去する操作も簡単に行える。また、熱融着性の紗を用い、紗と熱可塑性樹脂フィルムとを熱接着することとしたので、接着剤を使用する必要がなく、簡単な操作で両者を接着でき、接着剤がインキ通過部を閉塞することもない。また、紗と熱可塑性樹脂フィルムを熱接着する際、紗を所望の張力を付与した状態で保つことができるので、印刷時の紗のゆるみが防止され、精度の良い印刷を行うことができ、また、版離れも改善される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明で使用する2層シートは、熱可塑性樹脂フィルムと裏打ちシートとを再剥離性接着剤で接着して得られる。
【0014】
熱可塑性樹脂フィルムとしては、孔版印刷の製版原理で画像に対応した多数の穿孔を形成できるものであれば特に限定されず、例えば、感熱性孔版原紙に用いられている熱可塑性樹脂フィルムであれば何れも使用できる。かかる熱可塑性樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリプロピレンなどのフィルムが挙げられる。フィルムの厚さは、熱穿孔性、フィルム強度などの点から、0.5〜30μmであることが好ましい。
【0015】
裏打ちシートとしては、熱可塑性樹脂フィルムよりも柔軟性に乏しく、その取扱性を向上させるものであればよく、例えば、和紙、板紙等の紙類、プラスチックシートなどが使用できる。プラスチックシートは、透明、不透明及び半透明の何れであってもよい。
【0016】
再剥離性接着剤としては、熱可塑性樹脂フィルムと裏打ちシートを接着可能なものであれば特に限定されない。かかる再剥離性接着剤としては、例えば、加熱により接着力が低下する熱剥離性接着剤、紫外線照射により接着力が低下する紫外線剥離性接着剤、水または有機溶剤で溶解または膨潤して接着力が低下する溶剤剥離性接着剤などが挙げられる。
【0017】
再剥離性接着剤は、熱可塑性樹脂フィルム及び裏打ちシートの一体性を保つように塗布されればよく、これらの全面または一部に塗布することができる。再剥離性接着剤としては、基材に再剥離性接着剤が積層された粘着シートを用いると好都合である。この場合、粘着シートの再剥離性接着剤の面に熱可塑性樹脂フィルムを貼り付けるだけで、本発明の2層シートを得ることができ、粘着シートの基材が裏打ちシートの機能を果たす。このような粘着シートとしては、熱剥離性の日東電工社製リバアルファ(商品名)、紫外線剥離性のリンテック株式会社製BG(バックグラインド)用表面保護テープ Adwill E-series(商品名)、水膨潤性のリンテック株式会社製BG(バックグラインド)用表面保護テープ Adwill P-series(商品名)などが挙げられる。
【0018】
本発明において、2層シートは、紗との熱接着に先立ち、製版に付され、その熱可塑性樹脂フィルムに所定の画像に対応する穿孔が施される。製版方法は、孔版原紙の製版原理に従って行えばよく、例えば、下記(1)乃至(3)の方法から選ばれた少なくとも1つにより施すことができる。
【0019】
(1)サーマルヘッドまたはレーザー光を用いて前記熱可塑性樹脂フィルムに穿孔を施す方法。
(2)光熱変換材料で形成された画像と前記熱可塑性樹脂フィルムとを重ね合わせ、該画像に光を照射して発熱させることで前記熱可塑性樹脂フィルムに穿孔を施す方法。
(3)前記熱可塑性樹脂フィルムの表面に光熱変換材料を吐出させて所定の画像を形成し、該画像に光を照射して発熱させることで前記熱可塑性樹脂フィルムに穿孔を施す方法。
【0020】
(1)の方法は、例えば、熱転写プリンタに2層シートを給紙することで行うことができる。また、予め電気信号に変換された画像情報に基づいて、集光した可視光線又は赤外線を照射する照射手段を用いて熱可塑性樹脂フィルムを溶融穿孔することでも行える。該照射手段としては、例えば、可視光線又は赤外線を直径10〜200μmの大きさに集光させたレーザー照射装置が挙げられ、例えば可視光線レーザー、半導体レーザー、エキシマレーザー、ガスレーザーなどの装置が使用でき、レーザープリンタを用いることもできる。この場合、2層シートとして、その熱可塑性フィルムの面の全面に光熱変換材料が予め塗布されたものを使用すると、低出力の照射手段を用いた場合でも、容易に熱可塑性フィルムを溶融穿孔できるので好都合である。
【0021】
(2)の方法は、例えば、画像としてレーザープリンタで印刷した印刷物を用い、可視光線または赤外線を照射する手段を備えた感熱孔版原紙の製版装置を光照射手段として用いて行うことができる。
【0022】
(3)の方法は、例えば、市販のインクジェットプリンターを用いて熱可塑性樹脂フィルムの表面に画像を印刷し、(2)の方法と同様の光照射手段を用いて行うことができる。
【0023】
(1)乃至(3)の方法において、光熱変換材料は、光エネルギーを熱エネルギーに変換し得る材料であればよく、特に、光のエネルギーを効率よく熱のエネルギーに変換する材料が好ましい。該光熱変換材料としては、例えば、カーボンブラック、ランプブラック、炭化ケイ素、窒化炭素、金属粉、金属酸化物、無機顔料、有機顔料、有機染料などが挙げられる。光照射手段の光源としては、可視光線または赤外線を発するものが好ましく利用でき、例えば、キセノンランプ、フラッシュランプ、ハロゲンランプ、赤外線ヒーターなどを用いることができる。これらのうち、光熱変換材料としてカーボンブラック、ランプブラックなどの黒色顔料を含有するトナーやインクを用い、光照射手段として赤外光やキセノンフラッシュ光を用いることが簡便で好ましい。
【0024】
本発明で使用する熱融着性の紗は、上記熱可塑性樹脂フィルムよりも溶融温度が低い樹脂を含有してなるものであれば特に限定されないが、表面の少なくとも1部が熱融着性成分で形成された鞘芯型またはサイド−バイ−サイド型複合繊維を含有してなるものが好ましい。鞘芯型複合繊維は、低融点成分からなる鞘部と高融点成分からなる芯部とからなる所謂シェルコア繊維である。サイド−バイ−サイド型の複合繊維は、表面が低融点成分からなる部分と高融点成分からなる部分とから構成された繊維である。何れに複合繊維においても、低融点成分が上記熱融着性成分に該当し、該低融点成分は、熱可塑性樹脂フィルムと親和性を有する成分で構成される。熱可塑性樹脂フィルムと親和性を有する成分とは、該フィルムと熱接着により充分な接合力を発揮し、容易に剥離しない成分をいう。低融点成分は、熱可塑性樹脂フィルムおよび高融点成分よりも軟化点または溶融温度が低くければよく、熱可塑性樹脂フィルムと同一種類の樹脂でもよい。この低融点成分の軟化点以上で、かつ熱可塑性樹脂フィルムおよび高融点成分の溶融温度よりも低い温度で圧着することにより、上記紗を熱可塑性樹脂フィルムと熱接着させることができる。
【0025】
例えば、熱可塑性樹脂フィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルムを使用した場合には、低融点成分として上記フィルムより溶融温度の低い共重合ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレートの重合時にポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコール類、ジカルボン酸類、低分子量グリコール類などのモノマーや反応成分を共重合したものが好ましく用いられる。
【0026】
複合繊維の高融点成分としては、紗と熱可塑性樹脂フィルムを貼り合わせる際の熱接着時に溶融しないものであれば特に制限はないが、インキとの親和性の低い樹脂成分を用いることが好ましく、例えばポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0027】
複合繊維中の低融点成分の含有割合は、熱接着により該成分が軟化または熱溶融して熱可塑性樹脂フィルムと接着し、その際の接着力が充分で、かつ変形または熱溶融によりスクリーンの孔が潰されない程度の量であればよく、通常は繊維断面積の5〜70%、好ましくは20〜50%の範囲とされる。複合繊維の断面形状は円形でも変形断面であってもよい。
【0028】
複合繊維は公知の複合用紡糸ノズルを用い、通常の溶融紡糸法により得られ、またこの複合繊維を全部または一部に用いて公知の織成方法で織成することにより、本発明に用いる紗を得ることができる。紗は、複合繊維のみで構成されていてもよいが、繊維の一部、例えばタテ糸またはヨコ糸のみに複合繊維を用いてもよい。該複合繊維以外に用いる繊維としては、例えば上記した高融点成分のポリエステルからなる通常の繊維を用いることができる。スクリーンの目開きは、インキ通過性および画像性の点から、70〜500メッシュの範囲が好ましく、より好ましくは135〜420メッシュの範囲である。またスクリーンの厚さは40〜200μmの範囲が好ましい。
【0029】
紗と熱可塑性樹脂フィルムとの熱接着は、例えば、アイロン、ニップロール等の熱圧着手段を用いて両者を熱接着することにより行える。熱接着の温度および圧力は紗や熱可塑性樹脂フィルムの材質に応じて適宜決定される。
本発明において、熱接着する際、紗に適当な張力を加えておくことが好ましい。張力は、紗の全周に亘って加えることが好ましく、そのために、紗を所定の張力を付与した状態で予め枠体に固定しておくことが好ましい。枠体としては、例えば、概略矩形の板紙の内部に矩形の開口部を開けたものを使用することができる。そして、紗に所定の張力を付与した状態で、その周縁を接着剤等の固着手段で枠体に結合させればよい。また、紗に所定の張力を付与した状態でスクリーン印刷器の紗枠に直接固定してもよい。
【0030】
本発明の方法によれば、2層シートの熱可塑性樹脂フィルムと熱融着性の紗とを重ね合わせて熱接着した後、裏打ちシートを剥離することにより、熱可塑性樹脂フィルムと紗とが積層されたスクリーン印刷用原版を得ることができる。裏打ちシートの剥離は、再剥離性接着剤の種類に応じて、その接着力を低下させる操作を行うことにより、容易に行える。例えば、熱剥離性接着剤を使用した場合は、接着部分を加熱すればよく、紫外線剥離性接着剤を使用した場合は、接着部分に紫外線を照射すればよく、溶剤剥離性接着剤を使用した場合は、接着部分に溶剤を付着させればよい。このうち、熱剥離性接着剤は、前記熱接着の操作と同時に接着部分の接着力が弱まり剥離するので、ワンステップで上記熱接着と剥離を行うことができ、好都合である。
【0031】
本発明は、2層シート、及び、熱融着性の紗を所定の張力を付与した状態でスクリーン枠に結合させた組立体を容易しておけば、既存の製版手段及び熱圧着手段を用いて容易に実施できる。したがって、該2層シート及び該組立体のそれぞれ、及び、両者を備えたキットを、本発明の方法を実施するための消耗品として販売することができ、かかる行為も、本発明の実施に該当する。
【実施例】
【0032】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0033】
実施例1
図1(a)に示すように、基材(ポリエステルフィルム製)11の片面に熱剥離性接着剤層12を備えた粘着シート1(リバアルファ(商品名:日東電工社製))を用意し、その熱剥離性接着剤層12の表面に厚さ1.7μmのポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)フィルム2を貼り付け、2層シートを得た。
図1(b)に示すように、得られた2層シートのポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)フィルム2に、レーザー照射装置を用いて、画像に対応した多数の穿孔21を施した。
図1(c)に示すように、シェルコア繊維からなる紗31を所定の張力を付与した状態で枠体32に接着剤で固定して、組立体3を作製した。なお、このシェルコア繊維のシェル部分の融点は160℃であった。
図1(d)に示すように、上記2層シートのポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)フィルム2の面を上記組立体3のシェルコア紗31と重ね、165℃に加熱されたアイロンを用いて押圧することにより、両者を熱接着させた。
図1(e)に示すように、最後に、粘着シート1を手で剥離することで、製版されたポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)フィルム2と張力のかかった紗3とが積層されたスクリーン印刷用原版が得られた。
このスクリーン印刷用原版を用いてスクリーン印刷したところ、歪の少ない画像が得られ、版離れも良好であった。
【0034】
実施例2
粘着シート1として紫外線剥離性BG用表面保護テープAdwill E-series(商品名:リンテック株式会社製)を用い、熱接着後に該粘着シート1の全面に紫外線を照射した以外、実施例1と同様の方法でスクリーン印刷用原版を得た。
このスクリーン印刷用原版を用いてスクリーン印刷したところ、歪の少ない画像が得られ、版離れも良好であった。
【0035】
実施例3
市販のコピー機で印字したトナー画像を2層フィルムのポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)フィルムに重ね、粘着シート1の基材11の側からキセノンランプを照射することで、該トナー画像に対応した多数の穿孔21を施した以外、実施例1と同様の方法でスクリーン印刷用原版を得た。
このスクリーン印刷用原版を用いてスクリーン印刷したところ、歪の少ない画像が得られ、版離れも良好であった。
【0036】
実施例4
市販のインクジェットプリンターを用い、黒顔料インキで画像を2層フィルムのポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)フィルム2面に形成し、インキを乾燥させた後、該画像にキセノンランプを照射することで、該トナー画像に対応した多数の穿孔21を施した以外、実施例1と同様の方法でスクリーン印刷用原版を得た。
このスクリーン印刷用原版を用いてスクリーン印刷したところ、歪の少ない画像が得られ、版離れも良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の方法及び器具は、スクリーン印刷の分野において利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】(a)は熱可塑性樹脂フィルムを再剥離性接着剤で裏打ちシートに接着してなる2層シートを示す概略断面図である。(b)は(a)の2層シートを、熱可塑性樹脂フィルムに所定の画像に対応する穿孔を施した状態で示す概略断面図である。(c)は熱融着性の紗を所定の張力を付与した状態で枠体に接着した状態で示す概略断面図である。(d)は(b)の2層シートの熱可塑性樹脂フィルム面と(c)の熱融着性の紗とを重ね合わせて熱接着した状態を示す概略断面図である。(e)は熱可塑性樹脂フィルムと紗とが積層されたスクリーン印刷用原版を裏打ちシートが除去された状態で示す断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1…粘着シート、11…基材、12…接着剤層、2…ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、21…穿孔、3…組立体、31…紗、32…枠体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂フィルムを再剥離性接着剤で裏打ちシートに接着してなる2層シートを用意し、該2層シートの熱可塑性樹脂フィルムに所定の画像に対応する穿孔を施し、該熱可塑性樹脂フィルムと熱融着性の紗とを重ね合わせて熱接着した後、前記裏打ちシートを剥離することにより、前記熱可塑性樹脂フィルムと前記紗とが積層された原版を得ることを特徴とするスクリーン印刷用原版の作製方法。
【請求項2】
前記紗は、表面の少なくとも1部が熱融着性成分で形成された鞘芯型またはサイド−バイ−サイド型複合繊維を含有してなる、請求項1に記載の作製方法。
【請求項3】
前記紗は、所定の張力を付与した状態で張られている、請求項1または2に記載の作製方法。
【請求項4】
前記紗は、枠体に結合されている、請求項3に記載の作製方法。
【請求項5】
前記再剥離性接着剤は、加熱により接着力が低下するものである、請求項1乃至4の何れか1項に記載の作製方法。
【請求項6】
前記再剥離性接着剤は、紫外線照射により接着力が低下するもの、または、水もしくは有機溶剤で溶解もしくは膨潤して接着力が低下するものである、請求項1乃至4の何れか1項に記載の作製方法。
【請求項7】
前記穿孔は、下記(1)乃至(3)の方法から選ばれた少なくとも1つにより施される、請求項1に記載の作製方法。
(1)サーマルヘッドまたはレーザー光を用いて前記熱可塑性樹脂フィルムに穿孔を施す方法。
(2)光熱変換材料で形成された画像と前記熱可塑性樹脂フィルムとを重ね合わせ、該画像に光を照射して発熱させることで前記熱可塑性樹脂フィルムに穿孔を施す方法。
(3)前記熱可塑性樹脂フィルムの表面に光熱変換材料を吐出させて所定の画像を形成し、該画像に光を照射して発熱させることで前記熱可塑性樹脂フィルムに穿孔を施す方法。
【請求項8】
熱融着性の紗を、所定の張力を付与した状態で、枠体に結合させてなる、請求項1のスクリーン印刷用原版の作製方法で使用するための紗。
【請求項9】
前記紗は、表面の少なくとも1部が熱融着性成分で形成された鞘芯型またはサイド−バイ−サイド型複合繊維からなる、請求項8に記載の紗。
【請求項10】
熱可塑性樹脂フィルムを再剥離性接着剤で裏打ちシートに接着してなる、請求項1のスクリーン印刷用原版の作製方法で使用するための2層シート。
【請求項11】
前記再剥離性接着剤は、加熱により接着力が低下するものである、請求項10に記載の2層シート。
【請求項12】
請求項8に記載の紗と、請求項10に記載の2層シートとを少なくとも備えてなる、請求項1のスクリーン印刷用原版の作製方法で使用するためのキット。
【請求項13】
前記2層シートの再剥離性接着剤は、加熱により接着力が低下するものである請求項12に記載のキット。
【請求項14】
前記紗は、表面の少なくとも1部が熱融着性成分で形成された鞘芯型またはサイド−バイ−サイド型複合繊維からなる、請求項13に記載のキット。

【図1】
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【公開番号】特開2008−246960(P2008−246960A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−93624(P2007−93624)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】