説明

スクリーン装置

【課題】二重に張設するスクリーンの間に断熱のための空気層を形成したスクリーン装置を、簡単で低コストなものとして提供する。
【解決手段】折返しにより空気層7を挟んで二重に張設するスクリーン6を本体ケース1内の巻取り軸10に巻着し、それに対向する受け枠2側までの間で移動可能にガイドされた可動框4に、上記スクリーンの中間部を巻掛ける折返し軸12を支持させ、該折返し軸で折り返したスクリーンの先端に上記本体ケース及び上記可動框に選択的に保持可能にしたスクリーンホルダー16を取り付ける。上記スクリーンを二重に張設したときに巻取り軸から可動框の折返し軸に至る間に位置する非折返し部分6aの幅方向両側に、可動框のガイド枠3に沿って設けたスリット26に係合するファスナー半体28を取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓や出入り口等の建物開口部に設置して該部の効果的な断熱を図り、しかも必要に応じて該建物開口部における遮光、遮視をも行えるようにしたスクリーン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
間隔を置いて2枚のスクリーン(フィルム)を重ねることによりそれらの間に空気層を形成し、該空気層の断熱性により建物開口部における断熱を図るようにしたものは、例えば特許文献1や特許文献2等により従来から知られている。
これらのスクリーン装置では、巻取り軸からスクリーンを導出して該スクリーンを二重に張設し、該スクリーンによる断熱が不必要な場合には巻取り軸に巻き取っておくことになるが、このような巻取り式のスクリーンでは、そのスクリーンの両側端を該スクリーンの移動方向に沿って延びるフレームに接触させておくなどの手段により、二重のスクリーンの間の空間を閉じているため、二重スクリーンの張設時に人や物がスクリーンに接触したり、該スクリーンに風圧が作用した場合などに、スクリーンの側端とフレームの間に大きな隙間が生じて断熱性が損なわれる可能性がある。しかも、その隙間は二重のスクリーンの双方に生じるため、その場合には二重スクリーンの両側空間が隙間を通して連通することになり、断熱効果が得られなくなる。
【0003】
また、上記スクリーンを二重に張設するに際し、例えば特許文献2に開示されているように、二つの巻取り軸にそれぞれ個別的にスクリーンを巻き取る構成とすると、それぞれのスクリーンの側端をフレームに設けたスリット内に係合させるなどの手段により上記隙間が生じるのを抑制することが比較的容易であるとしても、二つの巻取り軸により装置が大型化して低コストでの製造が困難になる。そのため、特許文献1の図3(A)に開示されているように、単一の巻取り軸により導出したスクリーンを二重に折り返すようにすることが望まれるが、この場合には、スクリーンの側端をフレームに設けたスリット内に係合させるなどの手段は採用できず、前述したように、スクリーンの側端とフレームとの間に隙間が生じるのを避けることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−146518号公報
【特許文献2】実公昭62−29589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の技術的課題は、二重に張設するスクリーンの間に断熱のための空気層を形成したスクリーン装置を、単一の巻取り軸から導出したスクリーンを二重に折り返すことにより簡単で低コストなものとして提供し、しかも、上記スクリーンの側端に大きな隙間が生じて極端に断熱性が損なわれることがないようにしたスクリーン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明によれば、折返しにより空気層を挟んで二重に張設できる長さのスクリーンを、建物開口部枠に取り付ける本体ケース内の巻取り軸に巻着し、建物開口部の上記巻取り軸側からそれに対向する受け枠側までの間で移動可能に両端をガイドされた可動框に、上記スクリーンの中間部を巻掛けて折り返させる折返し軸を支持させ、該折返し軸で折り返したスクリーンの先端に、上記本体ケース及び上記可動框に選択的に保持可能にしたスクリーンホルダーを取り付け、上記スクリーンを、巻取り軸から受け枠側に位置させた可動框の折返し軸で折り返して上記本体ケース側に保持されたスクリーンホルダーに至る間で二重に張設したときに、該巻取り軸から可動框の折返し軸に至る間に位置するスクリーンの非折返し部分のみの幅方向両側に、上記可動框の両端をガイドするガイド枠に沿って設けたスリット内に係合するファスナー半体を取り付けていることを特徴とするスクリーン装置が提供される。
【0007】
本発明に係るスクリーン装置の好ましい実施形態においては、上記スクリーンの幅方向両側に取り付けたファスナー半体が係合するガイド枠におけるスリットの入口部に、該スリットの入口側を次第に拡げた導入部を設けたものとして構成することができる。また、上記スクリーンの非折返し部分と該非折返し部分から先端側の折返し部分とを、別素材のスクリーンにより構成することができる。更に、上記スクリーンの非折返し部分から先端側の折返し部分における幅方向両側端が、可動框の両端をガイドするガイド枠に接触または接触に近い状態で近接配置されるように形成することが望まれる。
【0008】
上記構成を有するスクリーン装置においては、可動框が本体ケース側にあってスクリーンの全体が本体ケースの巻取り軸に巻き取られ、スクリーンの先端のスクリーンホルダーが本体ケース側に保持された状態で、可動框を本体ケース側からそれに対向する受け枠側に移動させると、スクリーンが本体ケースから導出されて二重に張設されながら可動框が受け枠側に移動し、該可動框が受け枠側に達したときには建物開口部枠内にスクリーンが二重に張設される。
【0009】
スクリーンの全体が本体ケースの巻取り軸に巻き取られ、スクリーンの先端のスクリーンホルダーが可動框側に保持された状態で、可動框を受け枠側に移動させた場合においては、可動框が受け枠に当接する位置に達したときに、スクリーンが本体ケースと受け枠との間に一重に張設され、その後、可動框に保持されていたスクリーンホルダーだけを本体ケース側に移動させることにより、建物開口部枠内にスクリーンが二重に張設されるが、上述した場合とスクリーンの張設の手順が相違するだけで、スクリーンの張設状態には何ら変わるところがない。
なお、上記スクリーンの幅方向両側に取り付けたファスナー半体が係合するガイド枠におけるスリットの入口部に、該スリットの入口側を次第に拡げた導入部を設けておけば、スクリーンの非折り返し部分におけるファスナー半体を容易にガイド枠のスリット内に導入することができる。
【0010】
これらの二重のスクリーンの張設に際し、該スクリーンの全長の約半分が巻取り軸から導出されるまでは、巻取り軸の外側に巻き取られていたスクリーンの折り返し部分、つまり、スクリーンを二重に張設したときに可動框の折返し軸を越えて折り返される部分が巻取り軸から導出されるが、その後に巻取り軸から導出される部分は、スクリーンの引出し方に拘わらず折返し軸を越えて折り返されることがなく、スクリーンが二重に張設されたときにも上記可動框の折返し軸を越えることなく、ガイド枠に沿って直線的に移動する部分である。そのため、この非折り返し部分におけるスクリーンの幅方向両側に、可動框のガイド枠に沿って設けたスリット内に係合するファスナー半体を取り付け、これによってスクリーンの非折返し部分の側端とガイド枠との間に隙間が生じるのを抑制している。
【0011】
なお、上記巻取り軸の外周側に巻かれているスクリーンの全長の約半分、つまり、スクリーンの折返し部分は、スクリーンが二重に張設されたときに、折返し軸からそれを越えて本体ケース側に保持されたスクリーンホルダーに至る間に張設されるが、上述したように、この部分には前記ファスナー半体を取り付けていない。それは、スクリーンの折返し部分に当該ファスナー半体を取り付けると、前記スリットを設けるための構造が非常に複雑化すると共に、このスクリーンの全体を導出するための操作に大きな力が必要となるからである。
【0012】
しかるに、上記スクリーンの折返し部分にはファスナー半体を設けないことから、当該折返し部分における幅方向両側端はガイド枠に接触または接触に近い状態で近接配置されることになるため、スクリーンの折返し部分とガイド枠との間に大きな隙間が生じる可能性もあるが、少なくともスクリーンの非折返し部分の両側端のファスナー半体は、上述したようにガイド枠のスリットに係合させているので、二重に張設したスクリーンの両側の空間が直接的に連通することはなく、上記隙間が発生している間だけの若干の断熱性の低下に留めることができる。
【0013】
上記スクリーン装置においては、スクリーンの非折返し部分と該非折返し部分から先端側の折返し部分とを、一体の透明、半透明または不透明の非通気性シートによって形成することもできるが、別素材のそれらスクリーンを連結して構成することもでき、その素材としても、合成樹脂製シートに限らず、例えば、布等の通気性あるシートに該通気性を抑制する処理を施したものなどを用いることもでき、また、建物開口部における遮光、遮視や、室内側の装飾性を考慮して、上記折返し部分の一層のみを張設する場合と、折返し部分と非折返し部分とを重ねる場合とにより、遮光、遮視の程度を変更可能にするとか、常に室内側から見えるところに位置するスクリーンの折返し部分を装飾性においてすぐれたシートによって形成するなど、二重のスクリーンによる断熱効果だけでなく、付加的効果を発揮させることもできる。
【発明の効果】
【0014】
以上に詳述した本発明のスクリーン装置によれば、二重に張設するスクリーンの間に断熱のための空気層を形成したスクリーン装置を、単一の巻取り軸から導出したスクリーンを二重に折り返すことにより簡単で低コストなものとして提供し、しかも、上記スクリーンの側端に大きな隙間が生じて極端に断熱性が損なわれることがないようにしたスクリーン装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るスクリーン装置の実施例を示すスクリーンが二重に張設された状態の水平断面図である。
【図2】上記実施例におけるスクリーンが一重に張設された状態を示す水平断面図である。
【図3】上記実施例の縦断面図である。
【図4】上記実施例におけるスクリーンが二重に張設された状態の部分破断要部斜視図である。
【図5】上記実施例における本体ケースの下部構造を要部斜視図である。
【図6】上記実施例におけるスクリーンの張設開始時における該スクリーンと下部のガイド枠との関係を説明するための要部断面図である。
【図7】上記実施例におけるスクリーンが二重に張設されている状態における該スクリーンと下部のガイド枠との関係を説明するための要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面は、本発明に係るスクリーン装置の実施の一例を示している。このスクリーン装置は、基本的には、スクリーン6を折返しにより空気層7を挟む二重に形成して、それを窓や出入り口等の建物開口部に張設することにより、該建物開口部の断熱を図れるようにしたものである。上記スクリーン6を二重に張設するため、建物開口部枠の一側に取り付ける本体ケース1内には、折返しにより空気層7を挟んで二重に張設できる長さを有するスクリーン6を巻き取るための巻取り軸10が、回転自在に支持されている。図示を省略しているが、上記巻取り軸10内には、スプリングの付勢力をスクリーン6の巻取り方向に付与する巻取り駆動機構を設けている。
【0017】
上記本体ケース1内の巻取り軸10に巻着したスクリーン6は、該本体ケース1から導出して、可動框4に回転自在に支持させた折返し軸12に巻掛けている。上記可動框4は、建物開口部の一側に設けた上記巻取り軸10を有する本体ケース1側から、それに対向する受け枠2側までの間で、建物開口部枠の上下に沿って設けたガイド枠3により両端をガイドして移動可能にしたものである(図3参照)。上記受け枠2は、上記本体ケース1を取り付けた建物開口部枠と対向する位置における当該開口部枠に固定され、具体的構成の図示を省略したラッチ機構14により可動框4と係脱自在としたものである。
【0018】
上記スクリーン6は、その中間部を上記可動框4における回転自在の折返し軸12に巻掛けたうえで、折り返したスクリーン6の先端にスクリーンホルダー16を取り付けている。該スクリーンホルダー16は、それと本体ケース1及び可動框4との間に設けたマグネットラッチ等の係脱手段17により、上記本体ケース1及び上記可動框4に選択的に係止保持可能にしたものである。
なお、上記スクリーン6の中間部を巻掛けて折り返させる折返し軸12は、そこでスクリーン6を折り返し移動させるために回転自在であることが望ましいが、該折返し軸12の表面が平滑でスクリーン6を滑動させ得るものであれば、必ずしも可動框4に回転自在に支持させる必要はない。
【0019】
上記スクリーン6は、上述したように、巻取り軸10から受け枠2側に位置させた可動框4の折返し軸12で折り返して、上記本体ケース1側に保持されたスクリーンホルダー16に至る間で二重に張設できる長さを有するものであるが、このようなスクリーン6を二重に張設したときに巻取り軸10から可動框4の折返し軸12に至る間の直線的な張設部分に位置するスクリーン6の非折返し部分6aにおいて、そのスクリーンの幅方向両側端に、上記可動框4の両端をガイドする上下のガイド枠3に沿って設けたスリット26に係合するファスナー半体28を取り付けている(図3、図4及び図7参照)。
【0020】
更に具体的には、図3及び図5〜7を参照して後述するガイド枠3内のインナーレール25に内部の空洞部27に通じるスリット26を設け、該スリット26及びコーナー部材30におけるレール延長部25aのスリット26aに係合するファスナー半体28を、上記スクリーン6における非折返し部分6aの幅方向両側端に取り付けている。
一方、上記スクリーン6の非折返し部分6aから先端側の折返し部分6bにおける幅方向両側端は、上記ファスナー半体28を設けることなく、上記ガイド枠3に接触または接触に近い状態で近接配置されるように形成している。
【0021】
上記ファスナー半体28は、本来は、その一対をそれぞれ布等の接合部端縁に取り付けて、それらの布等の接離可能な接合に用いるものであるが、ファスナー半体の相互に接合する接合端に設けられた多数の小片と該小片を係脱させるランナーの摺動性が良好であることから、それを上記スクリーンの両端の摺動に利用している。そのため、本来のファスナーとしての接合性には拘る必要がない。
【0022】
上記可動框4の両端をガイドする上下のガイド枠3は、図3、図6及び図7から分かるように、可動框4の上下端部に設けた摺動部4aが嵌合する口部21を相対向する位置に設けた上下一対の溝状の枠本体20を備え、該枠本体20の内底に中央部が開いた蓋22a付きの凹溝22を設け、該凹溝22内に、上記スクリーン6の側端に取り付けたファスナー半体28を係合させるためのスリット26を設けたインナーレール25を上下可動に収容し、スクリーン6に掛かる力を緩和するようにしている。上記インナーレール25はファスナー半体28の摺動性を良好にする合成樹脂で成形したものである。なお、上記ガイド枠3に沿って可動框4を円滑に移動させるために、該可動框4の下端に枠本体20上を転動する転輪等を設けることができる。
【0023】
また、図3及び図5からわかるように、前記本体ケース1は、その上下端に上記巻取り軸10を回転可能に支持するコーナー部材30を備え、該コーナー部材30には、上記ガイド枠3における枠本体20の底部に設けた連結孔23に嵌入する連結用突部31及び該枠本体20の凹溝22に嵌入するところの、先端面が上記インナーレール25と同断面形状のレール延長部25aとを備え、該レール延長部25aには、巻取り軸10から導出されたスクリーン6の側端に取り付けられているファスナー半体28が係合するスリット26aを設けると共に、該スリット26aの入口部に、該スリット26aの入口側を次第に拡げた導入部26bを設けて、ファスナー半体28を該スリット26a内に安定的に係合できるように形成している。
【0024】
なお、上記枠本体20の内底の凹溝22内にインナーレール25を上下可動に収容しているが、そのインナーレール25の可動範囲は、上記レール延長部25aにおけるスリット26aに係合したスクリーン6のファスナー半体28が、該インナーレール25のスリット26内に円滑に移行できる範囲内のものである。しかしながら、本体ケース1とガイド枠3との連結構造を改変すれば、上記コーナー部材30のレール延長部25aをインナーレール25と一体のものとして構成することもでき、更に、上記スリット26を備えたインナーレール25及びコーナー部材30におけるスリット26aを有するレール延長部25aを枠本体20と一体化してガイド枠3を構成することもできる。
【0025】
上記スクリーン6は、その非折返し部分6aと該非折返し部分6aから先端側の折返し部分6bとを一体の非通気性シートによって形成しているが、両部分6a,6bに別素材の透明、半透明または不透明のスクリーン6a,6bを用いて、それらの連結により構成することもできる。また、その素材としても、合成樹脂製シートに限らず、例えば、布等の通気性あるシートに該通気性を抑制する処理を施したものなどを用いることもできる。更に、建物開口部における遮光、遮視や、室内側の装飾性を考慮して、上記折返し部分6bの一層のみを張設する場合と、折返し部分6bと非折返し部分6aとを重ねる場合とにより、遮光、遮視の程度を変更可能にするとか、常に室内側から見えるところに位置するスクリーン6の折返し部分6bを装飾性においてすぐれたシートによって形成するなど、二重のスクリーン6による断熱効果だけでなく、付加的に遮光、遮視、室内装飾等の効果を発揮させることもできる。
【0026】
上記構成を有するスクリーン装置において、本体ケース1内に収納されているスクリーン6を張設する場合には、つまり、可動框4が本体ケース1側にあってスクリーン6の全体が本体ケース1の巻取り軸10に巻き取られた状態で、可動框4を本体ケース1側から受け枠2側に移動させると、その場合に、スクリーン6の先端のスクリーンホルダー16が本体ケース1側に保持されていると、スクリーン6が本体ケース1から導出されて二重に張設されながら可動框4が受け枠2側に移動し、該受け枠2側に達したときには建物開口部枠内にスクリーン6が二重に張設される。図7はこの状態でのスクリーン6と下部のガイド枠3との位置的関係を示している。
【0027】
また、上記可動框4の移動に際し、スクリーンホルダー16が可動框4側に保持されていると、可動框4が受け枠2に当接する位置に達したときに、スクリーン6が本体ケース1と受け枠2との間に一重に張設される。図6はこの状態でのスクリーン6(折返し部分6b)と下部のガイド枠3との位置的関係を示している。
スクリーン6を上記のようにして本体ケース1と受け枠2との間に一重に張設したときには、その後、可動框4に保持されていたスクリーンホルダー16を本体ケース1側に移動させることにより、建物開口部枠内にスクリーン6が二重に張設される。
【0028】
これらの二重のスクリーン6の張設に際し、該スクリーン6の全長の約半分が巻取り軸10から導出されるまでは、巻取り軸10の外側に巻き取られていたスクリーン6の折返し部分6b、つまり、スクリーン6を二重に張設したときに可動框4の折返し軸12を越えて折り返される部分が巻取り軸10から導出されるが、その後に巻取り軸10から導出される部分は、スクリーン6の折返し軸12を越えて折り返されることがなく、ガイド枠3に沿って直線的に移動する部分であり、この非折返し部分6aにおけるスクリーン6の幅方向両側に、可動框4のガイド枠3に沿って設けたスリット26内に係合するファスナー半体28を取り付けているので、ガイド枠3に沿うスクリーン6の非折返し部分6aの移動は円滑に行われ、しかも、該ファスナー半体28によってスクリーン6の非折返し部分6aの側端とガイド枠3との間に隙間が生じるのを抑制でき、確実に保持させることができる。
【0029】
なお、上記巻取り軸10の外周側に巻かれているスクリーン6の全長の約半分、つまり、スクリーン6が二重に張設されたときに、折返し軸12から本体ケース1側のスクリーンホルダー16に至る間に張設されるスクリーン6の折返し部分6bには、前記ファスナー半体28を取り付けていないが、これによって、スクリーン6を二重に張設するための構造が非常に簡素化される。ただ、スクリーン6の折返し部分6bにおける幅方向両側端はガイド枠3に接触または接触に近い状態で近接配置されることになるため、スクリーン6の折返し部分6bとガイド枠3との間に大きな隙間が生じる可能性はあるが、少なくともスクリーン6の非折返し部分6aの両側端のファスナー半体28はガイド枠3のスリット26に係合させているので、二重に張設したスクリーン6の両側の空間が直接的に連通することはなく、上記隙間が発生している間だけの若干の断熱性の低下に留めることができる。
【0030】
上述した実施例においては、可動框4及びスクリーンホルダー16を横移動させてスクリーン6を横引きで張設・収納するようにした構成を示しているが、上記本体ケース1を建物開口部枠の上辺に取り付けて、可動框4及びスクリーンホルダー16を上下移動させるようにした縦引きのスクリーン装置とすることもできる。
また、図5〜図6においては、スクリーン装置における下部のガイド枠3やコーナー部材30を示し、上部については図示を省略しているが、それらの構成は実質的に上下同一と解して差し支えない。
【符号の説明】
【0031】
1 本体ケース
2 受け枠
3 ガイド枠
4 可動框
6 スクリーン
6a 非折返し部分
6b 折返し部分
7 空気層
10 巻取り軸
12 折返し軸
16 スクリーンホルダー
26,26a スリット
28 ファスナー半体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折返しにより空気層を挟んで二重に張設できる長さのスクリーンを、建物開口部枠に取り付ける本体ケース内の巻取り軸に巻着し、建物開口部の上記巻取り軸側からそれに対向する受け枠側までの間で移動可能に両端をガイドされた可動框に、上記スクリーンの中間部を巻掛けて折り返させる折返し軸を支持させ、該折返し軸で折り返したスクリーンの先端に、上記本体ケース及び上記可動框に選択的に保持可能にしたスクリーンホルダーを取り付け、
上記スクリーンを、巻取り軸から受け枠側に位置させた可動框の折返し軸で折り返して上記本体ケース側に保持されたスクリーンホルダーに至る間で二重に張設したときに、該巻取り軸から可動框の折返し軸に至る間に位置するスクリーンの非折返し部分のみの幅方向両側に、上記可動框の両端をガイドするガイド枠に沿って設けたスリット内に係合するファスナー半体を取り付けている、
ことを特徴とするスクリーン装置。
【請求項2】
上記スクリーンの幅方向両側に取り付けたファスナー半体が係合するガイド枠におけるスリットの入口部に、該スリットの入口側を次第に拡げた導入部を設けている、
ことを特徴とする請求項1に記載のスクリーン装置。
【請求項3】
上記スクリーンの非折返し部分と該非折返し部分から先端側の折返し部分とを、別素材のスクリーンにより構成した、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のスクリーン装置。
【請求項4】
上記スクリーンの非折返し部分から先端側の折返し部分における幅方向両側端を、可動框の両端をガイドするガイド枠に接触または接触に近い状態で近接配置されるように形成している、
ことを特徴とする請求項1に記載のスクリーン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−157708(P2011−157708A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19144(P2010−19144)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(390020101)セイキ住工株式会社 (27)
【Fターム(参考)】