説明

スケジュール作成方法及びスケジュール作成プログラム、並びにスケジュール作成装置

【課題】設備と作業者という2種類の資源を同時に考慮しながら、納期遅れや全オーダーに対するリードタイムを少なくする。
【解決手段】計算機において、オーダーの納期と通過する工程に関するオーダー情報と、割付可能な設備と作業員に関する割付可能資源と、工程毎の加工時間と、設備と作業員毎の作業可能な時間帯に関するカレンダー情報とが登録され、割付可能資源である作業者毎に割付可能な作業範囲の広さである割付自由度を計算する(S1〜5)。カレンダー情報に基づく作業表に対して、未だ割り付けていない各オーダーの未割付工程の中から割り付ける割付工程を所定の割付順序に基づいて選択し、割付自由度の最も小さい作業員及び割付可能な設備の作業可能な時間帯のうち他の工程が割り付けられていない時間帯に、過去から未来方向に向かって割付工程の加工時間を割り付けて、割付結果を登録する(S6〜S8)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つ以上のオーダーについて、当該オーダーの製品を製造するのに必要な工程を、割付可能な資源と作業者を割り付けてスケジュールを作成するスケジュール作成方法及びスケジュール作成プログラム、並びにスケジュール作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、1つ以上のオーダーについて、当該オーダーの製品を製造するのに必要な工程に対しては、その工程に対して利用することが可能な設備と、その設備を使用することが可能な作業者が限られており、設備と作業者という2種類の資源を同時に考慮しながらスケジューリングを作成する必要がある。そして、工程で使用する設備と、その設備を使用する作業者といった2種類の資源を同時に考慮しながらスケジューリングを作成する方法として、例えば、特許文献1のような技術が提案されている。特許文献1に記載された技術は、マスタ情報として工程で割付可能な特定の設備1台と特定の作業者1人を設定しておき、未割付の工程の中から所定の優先順で選んだ工程から順に、設備と作業者に割り付けていくものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−72747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された技術のような従来技術では、以下の問題点がある。即ち、実際の工場では、ある特定の設備を使用できる作業者が複数人いる場合が多い。しかしながら、従来技術では、そのような工場の場合でも、工程で割付可能な特定の設備1台と特定の作業者1人を設定してしまうため、1つの工程を適切なタイミングで、適切な作業者に交代させて作業するスケジュールを作成することができない。従って、結果として、納期遅れや全オーダーに対するリードタイム(ここでは、「全オーダーの第1工程の開始時刻のうち最も早い開始時刻−全オーダーの最終工程の終了時刻の中で最も遅い終了時刻」を意味する。)が大きくなってしまうという問題が生じてしまう。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、1つ以上のオーダーについて、当該オーダーの製品を製造するのに必要な工程を、割付可能な資源と作業者を割り付けてスケジュールを作成する際に、設備と作業者という2種類の資源を同時に考慮しながら、効率よく作業者を交代させることにより、納期遅れや全オーダーに対するリードタイムが少なくなるようなスケジュール作成方法及びスケジュール作成プログラム、並びにスケジュール作成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るスケジュール作成方法は、1つ以上のオーダーについて、当該オーダーの製品を製造するのに必要な工程を、割付可能な資源と作業者を割り付けてスケジュールを作成するスケジュール作成方法であって、計算機の演算部により実行される処理が、生産対象となる前記オーダーと、当該オーダーの製品を製造するために通過する工程とをオーダー情報として記憶するオーダー情報記憶ステップと、前記各オーダーの工程毎に、割付可能な設備と当該設備に割付可能な作業員を割付可能資源として登録する割付可能資源登録ステップと、前記各オーダーの工程毎に、加工時間を登録する加工時間登録ステップと、前記割付可能資源として登録した前記設備と前記作業員毎に、作業可能な時間帯をカレンダー情報として登録するカレンダー登録ステップと、前記割付可能資源として登録した前記作業者毎に、割付可能な作業範囲の広さである割付自由度を、前記割付可能資源に基づいた割付可能な工程数、或いは、割付可能な設備数として計算する割付自由度計算ステップと、前記カレンダー情報に基づいて設定した前記設備と前記作業員毎の計画表に未だ割り付けていない前記各オーダーの未割付工程の中から、前記計画表に割り付ける割付工程を、所定の割付順序に基づいて選択する割付工程決定ステップと、前記割付工程の加工時間を、前記割付自由度の最も小さい作業員及び割付可能な設備の前記計画表における作業可能な時間帯のうち他の前記工程が割り付けられていない時間帯に、過去から未来方向に向かって割り付ける工程割付ステップと、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明に係るスケジュール作成プログラムは、1つ以上のオーダーについて、当該オーダーの製品を製造するのに必要な工程を、割付可能な資源と作業者を割り付けてスケジュールを作成するスケジュール作成プログラムであって、生産対象となる前記オーダーと、当該オーダーの製品を製造するために通過する工程とをオーダー情報として記憶するオーダー情報記憶ステップと、前記各オーダーの工程毎に、割付可能な設備と当該設備に割付可能な作業員を割付可能資源として登録する割付可能資源登録ステップと、前記各オーダーの工程毎に、加工時間を登録する加工時間登録ステップと、前記割付可能資源として登録した前記設備と前記作業員毎に、作業可能な時間帯をカレンダー情報として登録するカレンダー登録ステップと、前記割付可能資源として登録した前記作業者毎に、割付可能な作業範囲の広さである割付自由度を、前記割付可能資源に基づいた割付可能な工程数、或いは、割付可能な設備数として計算する割付自由度計算ステップと、前記カレンダー情報に基づいて設定した前記設備と前記作業員毎の計画表に未だ割り付けていない前記各オーダーの未割付工程の中から、前記計画表に割り付ける割付工程を、所定の割付順序に基づいて選択する割付工程決定ステップと、前記割付工程の加工時間を、前記割付自由度の最も小さい作業員及び割付可能な設備の前記計画表における作業可能な時間帯のうち他の前記工程が割り付けられていない時間帯に、過去から未来方向に向かって割り付ける工程割付ステップと、を有し、計算機において演算部により読み出して各ステップの処理を実行させることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るスケジュール作成装置は、計算機の演算部を用いて、1つ以上のオーダーについて、当該オーダーの製品を製造するのに必要な工程を、割付可能な資源と作業者を割り付けてスケジュールを作成するスケジュール作成装置であって、生産対象となる前記オーダーと、当該オーダーの製品を製造するために通過する工程とをオーダー情報として記憶するオーダー情報記憶部と、前記各オーダーの工程毎に、割付可能な設備と当該設備に割付可能な作業員を割付可能資源として登録する割付可能資源登録部と、前記各オーダーの工程毎に、加工時間を登録する加工時間登録部と、前記割付可能資源として登録した前記設備と前記作業員毎に、作業可能な時間帯をカレンダー情報として登録するカレンダー登録部と、前記割付可能資源として登録した前記作業者毎に、割付可能な作業範囲の広さである割付自由度を、前記割付可能資源に基づいた割付可能な工程数、或いは、割付可能な設備数として計算する割付自由度計算部と、前記カレンダー情報に基づいて設定した前記設備と前記作業員毎の計画表に未だ割り付けていない前記各オーダーの未割付工程の中から、前記計画表に割り付ける割付工程を、所定の割付順序に基づいて選択する割付工程決定部と、前記割付工程の加工時間を、前記割付自由度の最も小さい作業員及び割付可能な設備の前記計画表における作業可能な時間帯のうち他の前記工程が割り付けられていない時間帯に、過去から未来方向に向かって割り付ける工程割付部と、を有することを特徴とする。
【0009】
これによると、未割付工程の中から、割付を行う工程(「割付工程」と称する。)を所定の割付順序に基づいて1つ選択し、その割付工程を割付可能な設備・作業者に関する計画表(カレンダー情報に基づいて設定される)に対して、その割付工程の加工時間を、計画表における作業可能な時間帯の内まだ他の工程が割付けられていない時間帯(空き時間)に、過去方向から未来方向に向かって割付けてゆく。その際に、割付可能な作業員が複数いる場合、割付可能資源情報の中で割付可能な作業者毎に、割付可能な工程数或いは割付可能な設備数として計算した割付自由度が最も小さい作業員に割り付けられるように、1つの工程の中でも割り付ける作業者を切り替えて割り付けを行なう。
従って、1つの工程の中でも、割付自由度が最も小さい作業員に優先して割り付けることにより、適切なタイミングで、適切な作業者に交代して作業する計画を立案できる。また、割付自由度が最も小さい作業員に優先して割り付けることにより、残りの未割付工程のために、能力の高い(即ち、色々な工程を作業できる)作業者の空き時間を多くして残しておくことができる。そのため、その残りの未割付工程を早い時間(過去方向)に割り付けられる可能性が高くなり、納期遅れや、全オーダーに対するリードタイム(=全オーダーの第1工程の開始時刻のうち最も早い開始時刻−全オーダーの最終工程の終了時刻の中で最も遅い終了時刻)を短縮することができる。
【0010】
ここで、本発明に係るスケジュール作成方法及びスケジュール作成プログラム、並びにスケジュール作成装置では、前記所定の割付順序は、前記計画表に未だ割り付けていない前記各オーダーの未割付工程の中で最も工程順の早い工程の内、前工程の終了時刻が最も早い工程を優先して良い。
【0011】
これにより、各オーダーにおける最も工程順の早い未割付工程の中で、前工程の終了時刻が最も早い工程を割付工程として決定することにより、納期遅れや、全オーダーに対するリードタイム(=全オーダーの第1工程の開始時刻のうち最も早い開始時刻−全オーダーの最終工程の終了時刻の中で最も遅い終了時刻)を短縮することができる。
【0012】
また、本発明に係るスケジュール作成方法及びスケジュール作成プログラム、並びにスケジュール作成装置では、前記オーダー情報は、更に、当該オーダーに関する納期を含み、前記所定の割付順序は、前記計画表に未だ割り付けていない前記各オーダーの未割付工程の中で最も工程順の早い工程の内、前工程の終了時刻が最も早い工程であって、更に、当該オーダーの納期が最も早い工程を優先して良い。
【0013】
これにより、各オーダーの納期を事前に記憶しておき、各オーダーにおける最も工程順の早い未割付工程の中に、前工程の終了時刻が最も早い工程が複数ある場合に、それら複数の工程の中から納期の最も早いオーダーに対応した工程を割付工程として決定することにより、各オーダーの納期遅れを少なくすることが可能となる。
【0014】
尚、本発明に係る生産計画作成プログラムは、リムーバブル型記録媒体やハードディスクなどの固定型記録媒体に記録して配布可能である他、有線又は無線の電気通信手段によってインターネットなどの通信ネットワークを介して配布可能である。
【発明の効果】
【0015】
本発明のスケジュール作成方法及びスケジュール作成プログラム、並びにスケジュール作成装置は、適切なタイミングで、適切な作業者に交代して作業する計画を立案できると共に、納期遅れや、全オーダーに対するリードタイム(=全オーダーの第1工程の開始時刻のうち最も早い開始時刻−全オーダーの最終工程の終了時刻の中で最も遅い終了時刻)を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態に係るスケジュール作成装置のブロック図である。
【図2】本実施形態に係るスケジュール作成方法の処理の手順について説明したフローチャートである。
【図3】本実施例におけるスケジュール作成の対象となる工程とオーダーとを示すものである。
【図4】本実施例に係る設備のカレンダー情報に基づいて設定された作業表であって、作業可能な時間帯を示す図である。
【図5】本実施例に係る作業者のカレンダー情報に基づいて設定された作業表であって、作業可能な時間帯を示す図である。
【図6】本実施例において作業表に対して割付工程として選択したオーダー1の第1工程を割り付けした後の割付結果を示す図である。
【図7】本実施例において作業表に対して割付工程として選択したオーダー2の第1工程を割り付けした後の割付結果を示す図である。
【図8】本実施例において作業表に対して割付工程として選択したオーダー3の第1工程を割り付けした後の割付結果を示す図である。
【図9】本実施例において作業表に対して割付工程として選択したオーダー1の第2工程を割り付けした後の割付結果を示す図である。
【図10】本実施例において作業表に対して割付工程として選択したオーダー1の第3工程を割り付けした後の割付結果を示す図である。
【図11】本実施例において作業表に対して割付工程として選択したオーダー2の第2工程を割り付けした後の割付結果を示す図である。
【図12】本実施例において作業表に対して割付工程として選択したオーダー3の第2工程を割り付けした後の割付結果を示す図である。
【図13】本実施例において作業表に対して割付工程として選択したオーダー2の第3工程を割り付けした後の割付結果を示す図である。
【図14】本実施例において作業表に対して割付工程として選択したオーダー3の第13工程を割り付けした後の割付結果を示す図である。
【図15】変形例において作業表に対して割付工程として選択したオーダー1の第1工程を割り付けした後の割付結果を示す図である。
【図16】変形例において作業表に対して割付工程として選択したオーダー2の第1工程を割り付けした後の割付結果を示す図である。
【図17】変形例において作業表に対して割付工程として選択したオーダー3の第1工程を割り付けした後の割付結果を示す図である。
【図18】変形例において作業表に対して割付工程として選択したオーダー1の第2工程を割り付けした後の割付結果を示す図である。
【図19】変形例において作業表に対して割付工程として選択したオーダー1の第3工程を割り付けした後の割付結果を示す図である。
【図20】変形例において作業表に対して割付工程として選択したオーダー2の第2工程を割り付けした後の割付結果を示す図である。
【図21】変形例において作業表に対して割付工程として選択したオーダー3の第2工程を割り付けした後の割付結果を示す図である。
【図22】変形例において作業表に対して割付工程として選択したオーダー2の第3工程を割り付けした後の割付結果を示す図である。
【図23】変形例において作業表に対して割付工程として選択したオーダー3の第3工程を割り付けした後の割付結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係るスケジュール作成方法及びスケジュール作成プログラム、並びにスケジュール作成装置を実施するための形態について、具体的な一例に即して説明する。
【0018】
尚、以下に説明するものは、例示したものにすぎず、本発明に係るスケジュール作成方法及びスケジュール作成プログラム、並びにスケジュール作成装置の適用限界を示すものではない。すなわち、本発明に係るスケジュール作成方法及びスケジュール作成プログラム、並びにスケジュール作成装置は、下記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいてさまざまな変更が可能なものである。
【0019】
まず、本実施形態に係るスケジュール作成装置について、図1に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係るスケジュール作成装置のブロック図である。スケジュール作成装置1は、演算部と、記憶部と、入力部と、出力部と、から構成されて、計算機上に実装される。ここで、図1に示されているスケジュール作成装置1の各部(演算部、記憶部、入力部、及び、出力部)は、例えば汎用のパーソナルコンピュータ等の計算機によって構成されている。かかる計算機には、CPU、ROM、RAM、ハードディスク、CD−ROMの駆動装置などのハードウェアが収納されており、ハードディスクには、プログラム(このプログラムは、リムーバブルな記憶媒体に記録しておくことにより、様々なコンピュータにインストールすることが可能である)を含む各種のソフトウェアが記録されている。そして、これらのハードウェア及びソフトウェアが組み合わされることによって、上述の各部が構築されている。
【0020】
図1に示すように、スケジュール作成装置1は、オーダー情報記憶部11と、割付可能資源登録部12と、加工時間登録部13と、カレンダー登録部14と、割付自由度計算部15と、割付工程決定部16と、工程割付部17と、スケジュール出力部18と、から構成される。
【0021】
オーダー情報記憶部11は、生産対象となるオーダーと、オーダーの納期と、オーダーの製品を製造するために通過する工程とを、オーダー情報21として外部から登録されて記憶するためのものである。ここで、オーダー情報21は、スケジュール作成開始時に、図示しない入力部(キーボード等)から入力されたり、リムーバブルな記憶媒体に記録されて与えられたり、有線又は無線の電気通信手段によってインターネットなどの通信ネットワークを介して与えられたりして、記憶装置や補助記憶装置等に記憶される。
【0022】
割付可能資源登録部12は、オーダー情報21に基づいて、各オーダーの工程毎に、割付可能な設備と当該設備に割付可能な作業員とを、割付可能資源22として外部から登録されて記憶するためのものである。ここで、割付可能資源22は、スケジュール作成開始時に、図示しない入力部(キーボード等)から入力されたり、リムーバブルな記憶媒体に記録されて与えられたり、有線又は無線の電気通信手段によってインターネットなどの通信ネットワークを介して与えられたりして、記憶装置や補助記憶装置等に記憶される。
【0023】
加工時間登録部13は、オーダー情報21に基づいて、各オーダーの工程毎に、加工時間23を外部から登録されて記憶するためのものである。ここで、加工時間23は、スケジュール作成開始時に、図示しない入力部(キーボード等)から入力されたり、リムーバブルな記憶媒体に記録されて与えられたり、有線又は無線の電気通信手段によってインターネットなどの通信ネットワークを介して与えられたりして、記憶装置や補助記憶装置等に記憶される。
【0024】
カレンダー登録部14は、割付可能資源22として登録した設備と作業員毎に、作業可能な時間帯をカレンダー情報24として登録するためのものである。ここで、カレンダー情報24は、スケジュール作成開始時に、図示しない入力部(キーボード等)から入力されたり、リムーバブルな記憶媒体に記録されて与えられたり、有線又は無線の電気通信手段によってインターネットなどの通信ネットワークを介して与えられたりして、記憶装置や補助記憶装置等に記憶される。
【0025】
割付自由度計算部15は、割付可能資源22として登録した作業者毎に、割付可能な作業範囲の広さである割付自由度を、割付可能な工程数、或いは、割付可能な設備数として計算して、割付自由度情報25として登録するためのものである。割付自由度は、割付可能な工程数、或いは、割付可能な設備数の何れかを選択して計算する。ここで、割付自由度を割付可能な工程数として計算する場合は、割付可能資源22に基づいて、作業者毎に、全てのオーダーにおける全ての工程のうちの割付可能な工程の数を割付自由度として計算する。そして、割付自由度を割付可能な設備数として計算する場合は、割付可能資源22に基づいて、作業者毎に、全てのオーダーにおけるいずれかの工程に対して割付可能な全ての設備のうちの割付可能な設備数として計算する。
【0026】
割付工程決定部16は、オーダー情報21と後述する作業表に対する割付結果27に基づいて、カレンダー情報に基づいて設定された作業表に未だ割り付けていない各オーダーの未割付工程の中から、作業表に割り付ける割付工程26を、所定の割付順序に基づいて選択するためのものである。ここで、所定の割付順序とは、具体的には、作業表に未だ割り付けていない各オーダーの未割付工程の中で最も工程順の早い工程を割付候補工程とし、割付候補工程の内、前工程の終了時刻が最も早い工程を優先する。ここで、オーダーの製品を製造するために通過する工程が、全て割付済工程である場合は、そのオーダーに対する割付候補工程は選択しない。更に、割付候補工程の内、前工程の終了時刻が最も早い工程が複数ある場合は、当該工程に関するオーダーの納期が最も早い工程を優先する。
【0027】
工程割付部17は、割付可能資源情報22と加工時間情報23とカレンダー情報24と割付自由度情報25に基づいて、割付工程の加工時間を、割付自由度の最も小さい作業員及び割付可能な設備の作業表における作業可能な時間帯のうち他の工程が割り付けられていない時間帯に、過去から未来方向に向かって割り付けて(即ち、割付先となる作業員と設備の開始時刻と終了時刻を計算する)、作業表に対して割付工程の加工時間が割り付けられた割付結果27を登録するためのものである。そして、未割付工程がなくなるまで、割付結果27が割付工程決定部16に入力される。
【0028】
具体的には、工程割付部17は、割付工程を、割付可能な設備の作業表における作業可能な時間帯と、割付可能な作業員の作業表における作業可能な時間帯が一致する時間帯の内、最も早い時刻から未来方向に向かって、
1)その割付工程の加工時間分だけ、割付可能な作業者の作業表に割り付けてゆく。その際に、同じ時間帯において複数の割付可能な作業者が存在する場合は、割付自由度の最も少ない作業者を選択する。
2)次に、割付可能な設備の作業表に対して、作業者に割り付けた割付工程の開始時刻から終了時刻までの全ての時間帯に割り付ける。
【0029】
スケジュール出力部18は、未割付工程がなくなるまで工程割付部17で割り付けた割付結果をスケジュール28として、図示しない結果出力部を介して、図示しないディスプレイ、プリンタ等の出力部に出力するためのものである。
【0030】
次に、本実施形態に係るスケジュール作成方法の処理の手順について、図2に基づいて、説明する。図2は、本実施形態に係るスケジュール作成方法の処理の手順について説明したフローチャートである。
尚、以下で説明する本実施形態に係る生産計画作成方法の処理は、計算機においても同様に、スケジュール作成プログラムとしてCPUにより読み出して実行することができる。また、このスケジュール作成プログラムは、リムーバブルな記憶媒体に記録しておくことにより、様々な計算機の記憶装置にインストールすることが可能である。
【0031】
図2に示すように、計算機において、生産対象となるオーダーと、オーダーの納期と、オーダーの製品を製造するために通過する工程とが、事前に、入力部から入力されたり、リムーバブルな記憶媒体に記録されて与えられたり、有線又は無線の電気通信手段によってインターネットなどの通信ネットワークを介して与えられたりして読み込み、オーダー情報2して記憶部に登録する(S1:オーダー情報記憶ステップ)。尚、本ステップは、上述したスケジュール作成装置1のオーダー情報記憶部11に相当し、その詳細な説明を省略する。
【0032】
また、オーダー情報に基づいて、各オーダーの工程毎に、割付可能な設備と当該設備に割付可能な作業員とが、事前に、入力部から入力されたり、リムーバブルな記憶媒体に記録されて与えられたり、有線又は無線の電気通信手段によってインターネットなどの通信ネットワークを介して与えられたりして読み込み、割付可能資源として記憶部に登録する(S2:割付可能資源登録ステップ)。尚、本ステップは、上述したスケジュール作成装置1の割付可能資源登録部12に相当し、その詳細な説明を省略する。
【0033】
また、オーダー情報に基づいて、各オーダーの工程毎に、加工時間が、事前に、入力部から入力されたり、リムーバブルな記憶媒体に記録されて与えられたり、有線又は無線の電気通信手段によってインターネットなどの通信ネットワークを介して与えられたりして読み込み、記憶部に登録する(S3:加工時間登録ステップ)。尚、本ステップは、上述したスケジュール作成装置1の加工時間登録部13に相当し、その詳細な説明を省略する。
【0034】
また、割付可能資源として登録した設備と作業員毎に、作業可能な時間帯が、事前に、入力部から入力されたり、リムーバブルな記憶媒体に記録されて与えられたり、有線又は無線の電気通信手段によってインターネットなどの通信ネットワークを介して与えられたりして読み込み、カレンダー情報として記憶部に登録する(S4:カレンダー登録ステップ)。尚、本ステップは、上述したスケジュール作成装置1のカレンダー登録部14に相当し、その詳細な説明を省略する。
【0035】
そして、割付可能資源として登録した作業者毎に、割付可能な作業範囲の広さである割付自由度を、割付可能な工程数、或いは、割付可能な設備数として計算して、割付自由度情報として登録する(S5:割付自由度計算ステップ)。尚、本ステップは、上述したスケジュール作成装置1の割付自由度計算部15に相当し、その詳細な説明を省略する。
【0036】
次に、オーダー情報と作業表に対する割付結果に基づいて、作業表に未だ割り付けていない各オーダーの未割付工程の中から、作業表に割り付ける割付工程を、所定の割付順序に基づいて選択する(S6:割付工程決定ステップ)。尚、本ステップは、上述したスケジュール作成装置1の割付工程決定部16に相当し、その詳細な説明を省略する。
【0037】
そして、割付可能資源情報と加工時間情報とカレンダー情報と割付自由度情報に基づいて、作業表に対して、割付工程の加工時間を、割付自由度の最も小さい作業員及び割付可能な設備の作業可能な時間帯のうち他の工程が割り付けられていない時間帯に、過去から未来方向に向かって割り付けて(即ち、割付先となる作業員と設備の開始時刻と終了時刻を計算する)、割付工程の加工時間が割り付けられた割付結果を登録する(S7:工程割付ステップ)。尚、本ステップは、上述したスケジュール作成装置1の工程割付部17に相当し、その詳細な説明を省略する。
【0038】
未割付工程がなくなるまで、即ち、未割付工程が有る場合(S8:YES)、割付結果に基づいて、S6及びS7の処理が繰り返される。
【0039】
未割付工程がなくなると(S8:NO)、割付結果をスケジュールとして、図示しない結果出力部を介して、図示しないディスプレイ、プリンタ等の出力部に出力し、スケジュール作成方法の処理を終了する。尚、本ステップは、上述したスケジュール作成装置1のスケジュール出力部18に相当し、その詳細な説明を省略する。
【0040】
このように、本実施形態のスケジュール作成装置及びスケジュール作成方法、並びにスケジュール作成プログラムによれば、未割付工程の中から、割付を行う工程(割付工程)を所定の割付順序に基づいて1つ選択し、その割付工程を割付可能な設備・作業者に関する計画表(カレンダー情報に基づいて設定される)に対して、その割付工程の加工時間を、計画表における作業可能な時間帯の内まだ他の工程が割付けられていない時間帯(空き時間)に、過去方向から未来方向に向かって割付けてゆく。その際に、割付可能な作業員が複数いる場合、割付可能資源情報の中で割付可能な作業者毎に、割付可能な工程数或いは割付可能な設備数として計算した割付自由度が最も小さい作業員に割り付けられるように、1つの工程の中でも割り付ける作業者を切り替えて割り付けを行なう。従って、1つの工程の中でも、割付自由度が最も小さい作業員に優先して割り付けることにより、適切なタイミングで、適切な作業者に交代して作業する計画を立案できる。また、割付自由度が最も小さい作業員に優先して割り付けることにより、残りの未割付工程のために、能力の高い(色々な工程を作業できる)作業者の空き時間を多くして残しておくことができる。そのため、その残りの未割付工程を早い時間(過去方向)に割り付けられる可能性が高くなり、納期遅れや、全オーダーに対するリードタイム(=全オーダーの第1工程の開始時刻のうち最も早い開始時刻−全オーダーの最終工程の終了時刻の中で最も遅い終了時刻)を短縮することができる。
【0041】
また、各オーダーにおける最も工程順の早い未割付工程の中で、前工程の終了時刻が最も早い工程を割付工程として決定することにより、納期遅れや、全オーダーに対するリードタイム(=全オーダーの第1工程の開始時刻のうち最も早い開始時刻−全オーダーの最終工程の終了時刻の中で最も遅い終了時刻)を短縮することができる。
【0042】
更に、各オーダーの納期を事前に記憶しておき、各オーダーにおける最も工程順の早い未割付工程の中に、前工程の終了時刻が最も早い工程が複数ある場合に、それら複数の工程の中から納期の最も早いオーダーに対応した工程を割付工程として決定することにより、各オーダーの納期遅れを少なくすることが可能となる。
【0043】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいてさまざまな変更が可能なものである。
【実施例】
【0044】
次に、本実施形態のスケジュール作成装置及びスケジュール作成方法、並びにスケジュール作成プログラムの具体例の説明のために、簡単な実施例について、以下で説明する。
【0045】
本実施例におけるスケジュール作成の対象となる工程とオーダーとを図3に示す。図3に示すように、3つの工程と出荷バッファを持つ工程で、オーダー単位に原料を投入して製品を製造する。各工程で使用する設備は1台ずつあり、設備毎にその設備を使用できる作業者は異なる。第1工程で使用する設備M1を使用可能な作業者は、作業者A、B、C、Dの4人であり、第2工程で使用する設備M2を使用可能な作業者は、作業者A、B、Cの3人であり、第3工程で使用する設備M3を使用可能な作業者は、作業者A、Cの2人である。
【0046】
まず、本実施例では、本実施形態に係るスケジュール作成方法を用いるものとし、本実施形態に係るスケジュール作成方法の処理の手順について示した図2に基づいて説明する。
【0047】
本実施例では、計算機において、図1に示すオーダー情報(オーダー番号と納期と各オーダーの製品を製造するのに通過する工程)を、事前に、入力部から入力されたり、リムーバブルな記憶媒体に記録されて与えられたり、有線又は無線の電気通信手段によってインターネットなどの通信ネットワークを介して与えられたりして読み込み、記憶部に登録する(S1)。
【0048】
図1に示すように、本実施例では、オーダー番号1〜3の3つのオーダーがあり、オーダー1の納期は4月1日、オーダー2の納期は4月2日、オーダー3の納期は4月3日である。そして、オーダー1〜3は、それぞれ、オーダー1〜3の製品を製造するのに通過する第1工程〜第3工程が存在する。尚、本実施例では、オーダー1〜3が全て同じ工程を通過するものであるが、それに限らず、オーダー毎に別の工程を通過するものであっても良い。
【0049】
また、表1に示す割付可能資源情報を、事前に、入力部から入力されたり、リムーバブルな記憶媒体に記録されて与えられたり、有線又は無線の電気通信手段によってインターネットなどの通信ネットワークを介して与えられたりして読み込み、記憶部に登録する(S2)。
【0050】
【表1】

【0051】
本実施例の割付可能資源情報は、表1に示すように、第1工程で割付可能な設備が、設備M1であり、第2工程で割付可能な設備が、設備M2であり、第3工程で割付可能な設備が、設備M3である。また、設備M1に対して割付可能な作業者が、作業者A、B、C、Dの4人であり、設備M2に対して割付可能な作業者が、作業者A、B、Cの3人であり、設備M3に対して割付可能な作業者が、作業者A、Cの2人である。
【0052】
また、表2に示す加工時間情報を、事前に、入力部から入力されたり、リムーバブルな記憶媒体に記録されて与えられたり、有線又は無線の電気通信手段によってインターネットなどの通信ネットワークを介して与えられたりして読み込み、記憶部に登録する(S3)。
【0053】
【表2】

【0054】
ここで、本実施例の加工時間情報は、表2に示すように、全工程で3時間とする。尚、本実施例では、全工程で同じ加工時間であるが、それに限らず、各工程で加工時間が異なっていても良い。
【0055】
また、図4及び図5に示すカレンダー情報(図4は本実施例に係る設備のカレンダー情報に基づいて設定された作業表であって、作業可能な時間帯を示す図であり、図5は本実施例に係る作業者のカレンダー情報に基づいて設定された作業表であって、作業可能な時間帯を示す図である。尚、カレンダー情報は、設備及び作業者毎の作業可能な時間帯を意味するものである。)を、事前に、入力部から入力されたり、リムーバブルな記憶媒体に記録されて与えられたり、有線又は無線の電気通信手段によってインターネットなどの通信ネットワークを介して与えられたりして読み込み、記憶部に登録する(S4)。
【0056】
図4に示すように、本実施例では、全設備(設備M1〜M3)において、4月1日9:00以降の全ての時間帯が作業可能な時間帯(斜線部)として登録されている。また、図5に示すように、本実施例では、作業者AとBは、4月1日9:00〜17:00(昼勤務帯)と、4月2日9:00〜17:00(昼勤務帯)の時間帯が作業可能な時間帯(斜線部)として登録されている。また、作業者CとDは、4月1日21:00〜4月2日5:00(夜勤務帯)と、4月2日21:00〜24:00(夜勤務帯)の時間帯が作業可能な時間帯(斜線部)として登録されている。
【0057】
次に、表1に示す割付可能資源情報に基づいて、割付可能資源として登録した作業者毎に、割付可能な作業範囲の広さである割付自由度を、割付可能な工程数、或いは、割付可能な設備数として計算して、割付自由度情報として登録する(S5)。
【0058】
本実施例では、割付自由度を割付可能な工程数として計算した場合、各作業者A〜Dの割り付け自由度は、下記のように計算される。
作業者Aは、オーダー1の第1〜3工程、オーダー2の第1〜3工程、オーダー3の第1〜3工程の9つの工程で使用可能(割付可能)であるため、割付自由度は9として計算される。
作業者Bは、オーダー1の第1、第2工程、オーダーの2の第1、第2工程、オーダー3の第1、第2工程の6つの工程で使用可能(割付可能)であるため、割付自由度は6として計算される。
作業者C は、オーダー1の第1〜3工程、オーダー2の第1〜3工程、オーダー3の第1〜3工程の9つの工程で使用可能(割付可能)であるため、割付自由度が9として計算される。
作業者D は、オーダー1の第1工程、オーダー2の第1工程、オーダー3の第1工程の3つの工程で使用可能(割付可能)であるため、割付自由度が3として計算される。
【0059】
また、本実施例では、割付自由度を割付可能な設備数として計算した場合、各作業者A〜Dの割り付け自由度は、下記のように計算される。
作業者Aは、設備M1、M2、M3の3つの設備を使用可能(割付可能)であるため、割付自由度は3として計算される。
作業者Bは、設備M1、M2の2つの設備を使用可能(割付可能)であるため、割付自由度は2として計算される。
作業者Cは、設備M1、M2、M3の3つの設備で使用可能(割付可能)であるため、割付自由度は3として計算される。
作業者Dは、設備M1のみ使用可能(割付可能)であるため、割付自由度は1として計算される。
【0060】
上記のように、本実施例1においては、割付自由度は割付可能な工程数、割付可能な設備数のどちらの場合で計算しても同じく以下の不等式のように、これ以降は、割付自由度が割付可能な工程数、割付可能な設備数のどちらの場合か区別することなく説明する。
作業者A=作業者C>作業者B>作業者D (割付自由度)
【0061】
次に、図3に示すオーダー情報と図4及び図5に示す作業表に対する割付結果に基づいて、図4及び図5に示す作業表に未だ割り付けていない各オーダーの未割付工程の中から、作業表に割り付ける割付工程を、所定の割付順序に基づいて選択する(S6)。ここで、本実施例において、所定の割付順序として、作業表に未だ割り付けていない各オーダーの未割付工程の中で最も工程順の早い工程を割付候補工程とし、割付候補工程の内、前工程の終了時刻が最も早い工程を優先するものとする。ここで、オーダーの製品を製造するために通過する工程が、全て割付済工程である場合は、そのオーダーに対する割付候補工程は選択しない。更に、割付候補工程の内、前工程の終了時刻が最も早い工程が複数ある場合は、当該工程に関するオーダーの納期が最も早い工程を優先するものとする。
【0062】
本実施例においては、各オーダーのどの工程も作業表に割付していないため、各オーダーに対して、以下のように割付候補工程を選択する。
オーダー1・・・第1工程
オーダー2・・・第1工程
オーダー3・・・第1工程
【0063】
そして、選択した割付候補工程の中から、1つ割付工程として選択する。具体的には、各オーダーの割付候補工程の(製品を製造するために通過する工程の中での)前工程の終了時刻を比較し、それが最も早い時刻となっている割付候補工程を、割付工程として1つ選択する。ただし、終了時刻が同一の場合は、さらに、その工程に紐づいているオーダーの納期が最も早い工程を割付工程として選択する。なお、割付候補工程が、(製品を製造するために通過する工程の中での)第1工程の場合は前工程が存在せず、前工程の終了時刻がないため、どんな時刻よりも早い時刻を意味する「最早時刻」を基準にする。
【0064】
本実施例においては、各割付候補工程は全て第1工程であるため、各オーダーの比較するための時刻はいずれも以下のように全て同じ「最早時刻」で比較することになる。
割付候補工程 / 比較するための時刻
オーダー1の第1工程 / 最早時刻
オーダー2の第1工程 / 最早時刻
オーダー3の第1工程 / 最早時刻
従って、割付候補工程に紐づいている納期の最も早いオーダー1の第1工程を、割付工程として選択する。
【0065】
そして、割付可能資源情報と加工時間情報とカレンダー情報と割付自由度情報に基づいて、作業表に対して、割付工程の加工時間を、割付自由度の最も小さい作業員及び割付可能な設備の作業可能な時間帯のうち他の工程が割り付けられていない時間帯に、過去から未来方向に向かって割り付けて(即ち、割付先となる作業員と設備の開始時刻と終了時刻を計算する)、割付工程の加工時間が割り付けられた割付結果を登録する(S7)。
【0066】
本実施例では、図6の割付結果に示すように、作業表に対して、選択した割付工程であるオーダー1の第1工程を(図6中の1−1 は、オーダー“1”の第“1”工程を意味する。)、その工程で割付可能な設備M1と、同じくその工程で割付可能な設備M1に割付可能な作業者Bに対して、4月1日9:00〜12:00に割り付ける。ここで、作業者Aの4月1日9:00〜12:00にも割付可能であるが、作業者Aより、作業者Bの方が、割付自由度が小さいため、作業者Aではなく作業者Bに割り付ける。
【0067】
そして、全ての工程を割り付けるまで、即ち、未割付工程が有る場合(S8:YES)、S6〜S7を繰り返す。本実施例では、全ての工程を割り付けていないため(S8:YES)、S6に戻る。
【0068】
図3に示すオーダー情報と図4及び図5に示す作業表対する割付結果に基づいて、図4及び図5に示す作業表に未だ割り付けていない各オーダーの未割付工程の中から、作業表に割り付ける割付工程を、所定の割付順序に基づいて選択する(S6)。
【0069】
まず、オーダー毎に、割付候補工程を1つ選択する。本実施例においては、割付済の工程はオーダー1の第1工程のみであるため、各オーダーに対して、以下のように割付候補工程を選択する。
オーダー1・・・第2工程
オーダー2・・・第1工程
オーダー3・・・第1工程
【0070】
次に、選択した割付候補工程の中から、1つ割付工程として選択する。本実施例においては、割付候補工程のオーダー1の第2工程の前工程(第1工程)の終了時刻は4月1日12:00であり、残りの割付候補工程は第1工程であるため、比較するための時刻は以下のようになる。
割付候補工程 / 比較するための時刻
オーダー1の第2工程 / 4月1日12:00(オーダー1の第1工程の終了時刻)
オーダー2の第1工程 / 最早時刻
オーダー3の第1工程 / 最早時刻
割付候補工程であるオーダー2の第1工程と、オーダー3の第1工程の比較するための時刻は、同じであるため、割付候補工程に紐づいている納期がより早いオーダー2の第1工程を、割付工程として選択する。
【0071】
そして、割付可能資源情報と加工時間情報とカレンダー情報と割付自由度情報に基づいて、作業表に対して、割付工程の加工時間を、割付自由度の最も小さい作業員及び割付可能な設備の作業可能な時間帯のうち他の工程が割り付けられていない時間帯に、過去から未来方向に向かって割り付けて(即ち、割付先となる作業員と設備の開始時刻と終了時刻を計算する)、割付工程の加工時間が割り付けられた割付結果を登録する(S7)。
【0072】
本実施例においては、図7の割付結果に示すように、作業表に対して、選択した割付工程であるオーダー2の第1工程を(図7中の2−1 は、オーダー“2”の第“1”工程を意味する。)、その工程を割付可能な設備M1と、同じくその工程を割付可能な作業者Bに対して、4月1日12:00〜15:00に割付する。ここで、作業者Aの4月1日12:00〜15:00にも割付可能であるが、作業者Bの方が、作業者Aより割付自由度が小さいため、作業者Aではなく作業者Bに割り付ける。
【0073】
本実施例では、以上のようにS6〜S8の処理を繰り返し、以下の順で割付工程が選択されて割り付けてゆくことになる。
1)オーダー1の第1工程
2)オーダー2の第1工程
3)オーダー3の第1工程
4)オーダー1の第2工程
5)オーダー1の第3工程
6)オーダー2の第2工程
7)オーダー3の第2工程
8)オーダー2の第3工程
9)オーダー3の第3工程
【0074】
本実施例において作業表に対して割付工程として選択した3)オーダー3の第1工程を割り付けした後の割付結果を図8に示す。図8における3−1aと3−1bは、オーダー“3”の第“1”工程の前半部分と後半部分を意味する。
また、本実施例において作業表に対して割付工程として選択した4)オーダー1の第2工程を割り付けした後の割付結果を図9に示す。図9における1−2はオーダー“1”の第“2”工程を意味する。
また、本実施例において作業表に対して割付工程として選択した5)オーダー1の第3工程を割り付けした後の割付結果を図10に示す。図10における1−3はオーダー“1”の第“3”工程を意味する。
また、本実施例において作業表に対して割付工程として選択した6)オーダー2の第2工程を割り付けした後の割付結果を図11に示す。図11における2−2はオーダー“2”の第“2”工程を意味する。
また、本実施例において作業表に対して割付工程として選択した7)オーダー3の第2工程を割り付した後の割付結果を図12に示す。図12における3−2はオーダー“3”の第“2”工程を意味する。
また、本実施例において作業表に対して割付工程として選択した8)オーダー2の第3工程を割り付した後の割付結果を図13に示す。図13における2−3はオーダー“2”の第“3”工程を意味する。
また、本実施例において作業表に対して割付工程として選択した9)オーダー3の第3工程を割付した後の割付結果を図14に示す。図14における3−3はオーダー“3”の第“3”工程を意味する。
【0075】
以上のように、全ての工程が割り付けられ(S8:NO)、作業表に対して全ての工程を割付した後の割付結果を、最終スケジュールとして出力する。本実施例においては、図14に示す割付結果を出力する。
【0076】
次に、比較のために、本実施形態に係るスケジュール作成方法のS7〜S8の処理において、最も割付自由度の小さい作業者に割り付けるのではなく、逆に割付自由度の最も大きい作業者に割り付けた場合の変形例について、本実施形態に係るスケジュール作成方法の処理の手順について示した図2を参照しながら説明する。尚、変形例における処理の流れは本実施形態に係るスケジュール作成方法を用いた実施例とほぼ同じであるため、異なる点について、以下に説明する。
【0077】
S1〜S6までは、本実施形態に係るスケジュール作成方法を用いた実施例と同じであるため、説明を省略する。
【0078】
S7において、割付可能資源情報と加工時間情報とカレンダー情報と割付自由度情報に基づいて、作業表に対して、割付工程の加工時間を、割付自由度の最も大きい作業員及び割付可能な設備の作業可能な時間帯のうち他の工程が割り付けられていない時間帯に、過去から未来方向に向かって割り付けて(即ち、割付先となる作業員と設備の開始時刻と終了時刻を計算する)、割付工程の加工時間が割り付けられた割付結果を登録する。
【0079】
変形例においては、図15の割付結果に示すように、作業表に対して選択した割付工程であるオーダー1の第1工程を(図15中の1−1 は、オーダー“1”の第“1”工程を意味する。)、その工程で割付可能な設備M1と、同じくその工程で割付可能な作業者Aに対して、4月1日9:00〜12:00に割付する。ここで、作業者Bの4月1日9:00〜12:00にも割付可能であるが、作業者Aより、作業者Bの方が、割付自由度が大きいため、作業者Bではなく作業者Aに割り付ける。
【0080】
変形例では、以上のようにS6〜S8の処理を繰り返し、以下の順で割付工程が選択されて割り付けてゆくことになる。
1)オーダー1の第1工程
2)オーダー2の第1工程
3)オーダー3の第1工程
4)オーダー1の第2工程
5)オーダー1の第3工程
6)オーダー2の第2工程
7)オーダー3の第2工程
8)オーダー2の第3工程
9)オーダー3の第3工程
【0081】
変形例において作業表に対して割付工程として選択した2)オーダー2の第1工程を割り付けした後の割付結果を図16に示す。図16における2−1 は、オーダー“2”の第“1”工程を意味する。
また、変形例において作業表に対して割付工程として選択した3)オーダー3の第1工程を割り付けした後の割付結果を図17に示す。図17における3−1aと3−1bは、オーダー“3”の第“1”工程の前半部分と後半部分を意味する。
また、変形例において作業表に対して割付工程として選択した4)オーダー1の第2工程を割り付けした後の割付結果を図18に示す。図18における1−2はオーダー“1”の第“2”工程を意味する。
また、変形例において作業表に対して割付工程として選択した5)オーダー1の第3工程を割り付けした後の割付結果を図19に示す。図19における1−3はオーダー“1”の第“3”工程を意味する。
また、変形例において作業表に対して割付工程として選択した6)オーダー2の第2工程を割り付けした後の割付結果を図20に示す。図20における2−2はオーダー“2”の第“2”工程を意味する。
また、変形例において作業表に対して割付工程として選択した7)オーダー3の第2工程を割り付けした後の割付結果を図21に示す。図21における3−2はオーダー“3”の第“2”工程を意味する。
また、変形例において作業表に対して割付工程として選択した8)オーダー2の第3工程を割り付けした後の割付結果を図22に示す。図22における2−3はオーダー“2”の第“3”工程を意味する。
また、変形例において作業表に対して割付工程として選択した9)オーダー3の第3工程を割付した後の割付結果を図23に示す。図23における3−3はオーダー“3”の第“3”工程を意味する。
【0082】
以上のように、全ての工程が割り付けられ(S8:NO)、作業表に対して全ての工程を割付した後の割付結果を、最終スケジュールとして出力する。変形例においては、図23に示す割付結果を出力する。
【0083】
ここで、本実施例と変形例とを比較する。
本実施例において最終的に出力された割付結果である図14を見ると、例えばオーダー1の第3工程のように、工程の前半部分を昼勤務の作業者Bが作業し、後半部分を夜勤務の作業者Cが作業するスケジュールになっていることが分かる。このように、割付自由度の小さい作業者が優先して作業するように、適切タイミングで、適切な作業者に交代することで、納期遅れや、全オーダーに対するリードタイムが短縮できていることがわかる。それは、本実施例とは逆に割付自由度の大きい作業者に割り付けした変形例において最終的に出力された割付結果である図23と比較すると、その効果をより確認することができる。本実施例の全オーダーに対するリードタイム29Hr(4月1日9:00〜4月2日14:00)が、変形例の全オーダーに対するリードタイム30Hr(4月1日9:00〜4月2日15:00)より短くなっていることが分かる。また、実施例1では、全てのオーダーが納期達成しているが、変形例では、オーダー1(納期は4月1日)に納期遅れが発生している。これらは、割付自由度の小さい作業者に割り付けたために、作業できる工程数が少ない作業者Dを有効に使うことができたためである。即ち、変形例では、作業者Dが割付可能な工程であるオーダー1〜3の第1工程に、別の作業者を割り付けてしまったため、作業者Dが、どの工程にも割り付けられなかった。
【0084】
このように、本実施例では、適切なタイミングで、適切な作業者に交代して作業する計画を立案できると共に、納期遅れや、全オーダーに対するリードタイム(=全オーダーの第1工程の開始時刻のうち最も早い開始時刻−全オーダーの最終工程の終了時刻の中で最も遅い終了時刻)を短縮することができ手いることが分かる。
【符号の説明】
【0085】
1 スケジュール作成装置
11 オーダー情報記憶部
12 割付可能資源登録部
13 加工時間登録部
14 カレンダー登録部
15 割付自由度計算部
16 割付工程決定部
17 工程割付部
S1 オーダー情報記憶ステップ
S2 割付可能資源登録ステップ
S3 加工時間登録ステップ
S4 カレンダー登録ステップ
S5 割付自由度計算ステップ
S6 割付工程決定ステップ
S7 工程割付ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のオーダーについて、当該オーダーの製品を製造するのに必要な工程を、割付可能な資源と作業者を割り付けてスケジュールを作成するスケジュール作成方法であって、
計算機の演算部により実行される処理が、
生産対象となる前記オーダーと、当該オーダーの製品を製造するために通過する工程とをオーダー情報として記憶するオーダー情報記憶ステップと、
前記各オーダーの工程毎に、割付可能な設備と当該設備に割付可能な作業員を割付可能資源として登録する割付可能資源登録ステップと、
前記各オーダーの工程毎に、加工時間を登録する加工時間登録ステップと、
前記割付可能資源として登録した前記設備と前記作業員毎に、作業可能な時間帯をカレンダー情報として登録するカレンダー登録ステップと、
前記割付可能資源として登録した前記作業者毎に、割付可能な作業範囲の広さである割付自由度を、前記割付可能資源に基づいた割付可能な工程数、或いは、割付可能な設備数として計算する割付自由度計算ステップと、
前記カレンダー情報に基づいて設定した前記設備と前記作業員毎の計画表に未だ割り付けていない前記各オーダーの未割付工程の中から、前記計画表に割り付ける割付工程を、所定の割付順序に基づいて選択する割付工程決定ステップと、
前記割付工程の加工時間を、前記割付自由度の最も小さい作業員及び割付可能な設備の前記計画表における作業可能な時間帯のうち他の前記工程が割り付けられていない時間帯に、過去から未来方向に向かって割り付ける工程割付ステップと、
を有することを特徴とするスケジュール作成方法。
【請求項2】
前記所定の割付順序は、前記計画表に未だ割り付けていない前記各オーダーの未割付工程の中で最も工程順の早い工程の内、前工程の終了時刻が最も早い工程を優先することを特徴とする請求項1に記載のスケジュール作成方法。
【請求項3】
前記オーダー情報は、更に、当該オーダーに関する納期を含み、
前記所定の割付順序は、前記計画表に未だ割り付けていない前記各オーダーの未割付工程の中で最も工程順の早い工程の内、前工程の終了時刻が最も早い工程であって、更に、当該オーダーの納期が最も早い工程を優先することを特徴とする請求項1に記載のスケジュール作成方法。
【請求項4】
1つ以上のオーダーについて、当該オーダーの製品を製造するのに必要な工程を、割付可能な資源と作業者を割り付けてスケジュールを作成するスケジュール作成プログラムであって、
生産対象となる前記オーダーと、当該オーダーの製品を製造するために通過する工程とをオーダー情報として記憶するオーダー情報記憶ステップと、
前記各オーダーの工程毎に、割付可能な設備と当該設備に割付可能な作業員を割付可能資源として登録する割付可能資源登録ステップと、
前記各オーダーの工程毎に、加工時間を登録する加工時間登録ステップと、
前記割付可能資源として登録した前記設備と前記作業員毎に、作業可能な時間帯をカレンダー情報として登録するカレンダー登録ステップと、
前記割付可能資源として登録した前記作業者毎に、割付可能な作業範囲の広さである割付自由度を、前記割付可能資源に基づいた割付可能な工程数、或いは、割付可能な設備数として計算する割付自由度計算ステップと、
前記カレンダー情報に基づいて設定した前記設備と前記作業員毎の計画表に未だ割り付けていない前記各オーダーの未割付工程の中から、前記計画表に割り付ける割付工程を、所定の割付順序に基づいて選択する割付工程決定ステップと、
前記割付工程の加工時間を、前記割付自由度の最も小さい作業員及び割付可能な設備の前記計画表における作業可能な時間帯のうち他の前記工程が割り付けられていない時間帯に、過去から未来方向に向かって割り付ける工程割付ステップと、
を有し、計算機において演算部により読み出して各ステップの処理を実行させることを特徴とするスケジュール作成プログラム。
【請求項5】
前記所定の割付順序は、前記計画表に未だ割り付けていない前記各オーダーの未割付工程の中で最も工程順の早い工程の内、前工程の終了時刻が最も早い工程を優先することを特徴とする請求項4に記載のスケジュール作成プログラム。
【請求項6】
前記オーダー情報は、更に、当該オーダーに関する納期を含み、
前記所定の割付順序は、前記計画表に未だ割り付けていない前記各オーダーの未割付工程の中で最も工程順の早い工程の内、前工程の終了時刻が最も早い工程であって、更に、当該オーダーの納期が最も早い工程を優先することを特徴とする請求項4に記載のスケジュール作成プログラム。
【請求項7】
計算機の演算部を用いて、1つ以上のオーダーについて、当該オーダーの製品を製造するのに必要な工程を、割付可能な資源と作業者を割り付けてスケジュールを作成するスケジュール作成装置であって、
生産対象となる前記オーダーと、当該オーダーの製品を製造するために通過する工程とをオーダー情報として記憶するオーダー情報記憶部と、
前記各オーダーの工程毎に、割付可能な設備と当該設備に割付可能な作業員を割付可能資源として登録する割付可能資源登録部と、
前記各オーダーの工程毎に、加工時間を登録する加工時間登録部と、
前記割付可能資源として登録した前記設備と前記作業員毎に、作業可能な時間帯をカレンダー情報として登録するカレンダー登録部と、
前記割付可能資源として登録した前記作業者毎に、割付可能な作業範囲の広さである割付自由度を、前記割付可能資源に基づいた割付可能な工程数、或いは、割付可能な設備数として計算する割付自由度計算部と、
前記カレンダー情報に基づいて設定した前記設備と前記作業員毎の計画表に未だ割り付けていない前記各オーダーの未割付工程の中から前記計画表に割り付ける割付工程を、所定の割付順序に基づいて選択する割付工程決定部と、
前記割付工程の加工時間を、前記割付自由度の最も小さい作業員及び割付可能な設備の前記計画表における作業可能な時間帯のうち他の前記工程が割り付けられていない時間帯に、過去から未来方向に向かって割り付ける工程割付部と、
を有することを特徴とするスケジュール作成装置。
【請求項8】
前記所定の割付順序は、前記計画表に未だ割り付けていない前記各オーダーの未割付工程の中で最も工程順の早い工程の内、前工程の終了時刻が最も早い工程を優先することを特徴とする請求項7に記載のスケジュール作成装置。
【請求項9】
前記オーダー情報は、更に、当該オーダーに関する納期を含み、
前記所定の割付順序は、前記計画表に未だ割り付けていない前記各オーダーの未割付工程の中で最も工程順の早い工程の内、前工程の終了時刻が最も早い工程であって、更に、当該オーダーの納期が最も早い工程を優先することを特徴とする請求項7に記載のスケジュール作成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−69119(P2013−69119A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207260(P2011−207260)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【出願人】(511230222)株式会社ケー・ティー・システム (1)
【Fターム(参考)】