説明

スケール検出方法及びスケール検出装置

【課題】低コストで、比較的小径の金属管の内部においても、スケールを適切に検出することができるスケール検出方法、及びスケール検出装置を提供する。
【解決手段】金属管1の内部において、光源3からの光を、第1偏光素子4を透過させて直線偏光L1とし、直線偏光L1のうち、金属管1の内面5にて反射された光L2を、第1偏光素子4の透過軸の方向と異なる方向で、且つ直線偏光L1がスケール2を透過した後の光を優先的に透過する方向に、透過軸を沿わせた第2偏光素子6を透過させて、受光部7にて受光する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸カルシウムを含むスケールが付着する金属管の内面にてスケールを検出するスケール検出方法、及びスケール検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換器等に用いられる金属管の内部では、金属管の内面に炭酸カルシウムを含むスケールが付着する場合がある。このようなスケールは、使用に伴って付着していくため、定期的に除去する必要がある。そこで、従来、金属管の内面に付着したスケールを検出すべく、金属管の内面の画像を取得する内視鏡を備え、金属管の内面に付着するスケールを検出する装置が知られている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−25313号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示の技術では、金属管の内部にてスケールを検出するには、内視鏡を金属管の内部へ導く必要がある。しかしながら、一般的に用いられる内視鏡は、比較的大径であり、例えば、熱交換器等に用いられる直径が10mm程度の比較的小径の金属管の内部には、導くことができなかった。
また、内視鏡は、金属管の内部の画像を取得するため、CCDセンサ等の比較的高価な電子部品が用いられており、コスト面での問題があった。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、低コストで、比較的小径の金属管の内部においても、スケールを適切に検出することができるスケール検出方法、及びスケール検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明のスケール検出方法は、
炭酸カルシウムを含むスケールが付着する金属管の内面にて前記スケールを検出するスケール検出方法であって、
前記金属管の内部において、光源からの光を、第1偏光素子を透過させて直線偏光とし、前記直線偏光のうち、前記金属管の内面にて反射された光を、前記第1偏光素子の透過軸の方向と異なる方向で、且つ前記直線偏光が前記スケールを透過した後の光を優先的に透過する方向に、透過軸を沿わせた第2偏光素子を透過させて、受光部にて受光する点にある。
【0007】
金属管の内面に付着するスケールに含まれる炭酸カルシウムは、複屈折光学特性を有している。複屈折光学特性を有する炭酸カルシウムを直線偏光が透過した場合、透過後の光は、直線偏光の偏光方向と異なる偏光方向を有する光となる。本発明は、スケールがこの複屈折光学特性を有する炭酸カルシウムを含む点に着目してなされたものである。
上記特徴構成によれば、光源からの光が、第1偏光素子を介して直線偏光とされ、スケールに付着する金属管の内面に照射される。金属管の内面にスケールが付着している場合、金属管の内面から反射された光には、スケールを透過した光と、スケールを透過していない光とが含まれる。スケールを透過していない光は、金属管の内面に照射された直線偏光と同じ偏光方向を有しているので、第1偏光素子の透過軸の軸方向と異なる方向に透過軸を沿わせた第2偏光素子を、ほとんど透過することができず、受光部にて受光されない。一方、スケールを透過した光は、直線偏光がスケールを透過した後の光を優先的に透過する方向に、透過軸を沿わせた第2偏向素子を、良好に透過して、受光部にて受光される。即ち、本発明によれば、金属管の内部にスケールが存在する場合にのみ、受光部にて特定の偏向方向を有する光が受光されることになり、適切にスケールを検出することができる。
また、本発明のスケール検出方法では、光源、第1偏光素子、第2偏光素子、及び受光部からなる単純でコンパクト化可能な構成によりスケールを検出しているため、比較的小径の金属管に対しても適用できる。さらに、本発明によれば、高価な内視鏡等を用いる必要がないため、比較的低コストなスケール検出方法を実現できる。さらに、装置としてもシンプル且つ安価であり、信頼性の高い装置となる。
【0008】
本発明のスケール検出方法の更なる特徴構成は、
前記第1偏光素子及び前記第2偏光素子が、平面形状の偏光フィルタであり、
前記第1偏光素子としての偏光フィルタと前記第2偏光素子としての偏光フィルタとを同一平面に配置した状態で、
前記光源からの光を、前記平面の一方側から前記金属管の内面へ向けて照射するとともに、前記金属管の内面にて反射された光を、前記平面の一方側にて前記受光部により受光する点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、第1偏光素子と第2偏光素子として、厚みの薄い平面形状の偏光フィルタを用いるとともに、それらを同一平面に配置している。さらに、光源からの光を上記平面の一方側から金属管の内面へ向けて照射するとともに、金属管の内面から反射された光を、上記平面の一方側にて受光部により受光している。これにより、偏光フィルタにより形成される平面の一方側に、光源及び受光部の双方を設けて、平面の他方側には構成部品を配置しない構成にできる。これにより、平面に直交する方向において、コンパクト化することができる。結果、比較的口径の小さい金属管に対しても挿入でき、その内部においても、スケールを良好に検出することができる。
【0010】
本発明のスケール検出方法の更なる特徴構成は、
前記受光部において、前記金属管の内面に向けて前記光源から照射された光で、前記金属管の内面から鏡面反射または拡散反射してくる光を受光する点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、受光部は、金属管の内面にて鏡面反射された光を受光できるとともに、スケール等が付着して凹凸がある金属管の内面にて拡散反射された光をも適切に受光できる。
【0012】
本発明のスケール検出方法の更なる特徴構成は、
前記光源からの光を、前記金属管の内面に対して、60度未満の入射角度で入射させるとともに、前記受光部が、前記金属管の内面にて、60度未満の反射角度で反射された光を受光する点にある。ここで角度は、金属管の内面に沿った方向を角度0度とし、金属管の法線方向を90度とする。
【0013】
この構成のスケール検出方法では、金属管の内面に沿って斜め方向から光を照射し、スケールを介して金属管の内面から反射される光を受光部にて受光する。結果、光源の位置及び受光部の位置を金属管の内面に近い位置とすることができ、スケール検出に要する金属管の内面からの距離を短く抑えることができる。結果、これまで不可能であった、小径管を対象とする検査を行なうことが可能となる。
【0014】
上記目的を達成するための本発明のスケール検出装置は、
炭酸カルシウムを含むスケールが付着する金属管の内面にて前記スケールを検出するスケール検出装置であって、
前記金属管の内部において、光源から前記金属管の内面に向けて照射された光を直線偏光とする第1偏光素子と、
前記第1偏光素子の透過軸の方向と異なる方向で、且つ前記直線偏光で前記スケールを透過した後の光を優先的に透過する方向に、透過軸を沿わせた第2偏光素子と、
前記第1偏光素子を透過して、前記金属管の内面にて反射され、前記第2偏光素子を透過した後の光を受光する受光部を備えた点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、上記請求項1に係るスケール検出方法と同様の作用を奏するとともに、同様の効果を発揮するスケール検出装置を実現できる。
即ち、上記特徴構成によれば、第1偏光素子により直線偏光にされた光で、金属管の内面にて反射された光のうち、スケールを透過していない光は、第2偏光素子にて適切に遮断し、スケールを透過した光は、第2偏光素子を透過させて、受光部にて受光する形態で、金属管内のスケールを適切に検出できる。
また、本発明のスケール検出装置は、光源、第1偏光素子、第2偏光素子、及び受光部という比較的単純でコンパクト化可能な構成によりスケールを検出しているため、比較的小径の金属管の内部にも簡単に挿入できる。この結果、スケール検出装置を、比較的小径の金属管へ容易に挿入でき、その内部において、容易にスケールを検出することができる。また、本発明のスケール検出装置によれば、比較的高価な内視鏡等を用いる必要がないため、低コスト化を実現できる。さらに、装置としてもシンプル且つ安価であり、信頼性の高い装置となる。
【0016】
本発明のスケール検出装置の更なる特徴構成は、
前記第1偏光素子及び前記第2偏光素子が、平面形状の偏光フィルタであり、
前記第1偏光素子としての偏光フィルタと前記第2偏光素子としての偏光フィルタとを同一平面に配置し、
前記光源及び前記受光部を、前記平面の一方側に設け、
前記光源が、前記平面の一方側から前記金属管の内面へ向けて光を照射すると共に、前記受光部が、前記金属管の内面にて反射された光を、前記平面の一方側にて受光する点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、上記請求項2に係るスケール検出方法と同様の作用を奏するとともに、同様の効果を発揮できる。
即ち、第1偏光素子及び第2偏光素子を平面形状の偏光フィルタにより構成するとともに、それらを同一平面に配置し、且つ、その平面の一方側に、光源及び受光部の双方を配置しているので、平面に直交する方向において、コンパクト化を図ることができる。
【0018】
本発明のスケール検出装置の更なる特徴構成は、
前記受光部が、前記金属管の内面に向けて前記光源から照射された光で、前記金属管の内面から鏡面反射または拡散反射してくる光を受光する点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、受光部は、金属管の内面にて鏡面反射された光を受光できるとともに、スケール等が付着して凹凸がある金属管の内面にて拡散反射された光をも適切に受光できる。
【0020】
本発明のスケール検出装置の更なる特徴構成は、
前記光源が、60度未満の入射角度で前記金属管の内面へ、光を入射させると共に、
前記受光部が、60度未満の反射角度で前記金属管の内面にて反射された光を受光する点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、上記請求項4に係るスケール検出方法と同様の作用を発揮すると共に、同様の効果を発揮することができる。
【0022】
本発明のスケール検出装置の更なる特徴構成は、
前記光源が、前記金属管の内部へ挿入可能なLEDであり、前記受光部が、前記金属管の内部へ挿入可能なフォトダイオードである点にある。
【0023】
上記特徴構成によれば、光源を、金属管の内部へ挿入可能なLEDにより構成しているので、比較的小径の金属管の内部であっても、スケールの検出に十分な光を発することができる。受光部についても、金属管の内部へ挿入可能なフォトダイオードにより構成しているので、当該フォトダイオードを金属管の内部へ適切に挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明のスケール検出装置の平面図(a)及び縦断面図(b)である。
【図2】本発明のスケール検出装置及びスケール検出方法によるスケール検出結果を示すグラフ図である。
【図3】本発明のスケール検出装置及びスケール検出方法によるスケール検出結果を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明のスケール検出装置及びスケール検出方法は、比較的小径の銅管1の内部においても、炭酸カルシウムを含むスケール2を、適切に検出できる点を特徴としている。そこで、以下では、まず、そのスケール検出装置の全体構成について説明した後、スケール検出装置をコンパクト化するための構成について、説明する。
【0026】
本発明のスケール検出装置は、図1(a)(b)に示すように、例えば、熱交換器等に用いられる直径が10mm程度の小径の銅管1(金属管の一例)の内部において、銅管1の内面5に付着する炭酸カルシウムを含むスケール2を検出するものである。
スケール2に含まれる炭酸カルシウムは、複屈折光学特性を有している。複屈折光学特性を有する炭酸カルシウムを直線偏光が透過した場合、透過後の光は、直線偏光の偏光方向と異なる偏光方向を有する光となる。本発明は、スケール2がこの複屈折光学特性を有する炭酸カルシウムを含む点に着目してなされたものである。
銅管1の内部にてスケール2を検出するスケール検出装置は、外部から電力が導かれ銅管1の内部にて発光するLED3(光源の一例)と、当該LED3から銅管1の内面5に向けて照射された光を直線偏光L1とする第1偏光素子4と、その直線偏光L1のうち、銅管1の内面5にて反射された光L2の一部を透過する第2偏光素子6と、第2偏光素子6を透過した光を受光するフォトダイオード7とから構成されており、第2偏光素子6は、その透過軸が、第1偏光素子4の透過軸の方向(直線偏光L1の偏光方向、図1(b)に45度偏向の場合を例示的に示した。同図では、光の進行方向を紙面表面側としている)と異なる方向で、且つ第1偏光素子4を透過した後の直線偏光L1がスケール2を透過した後の光L2を優先的に透過する方向(直線偏光L1がスケール2を透過した後の偏光方向、図1(b)に直線偏光がさらに45度偏向された場合を例示的に示した。同図では、光の進行方向を紙面表面側としている)に沿う状態で、配置されている。
また、本発明のスケール検出装置には、フォトダイオード7にて光が受光された場合、フォトダイオード7から送信される検出信号を受信して処理する制御装置8が設けられている。制御装置8は、受信した検出信号にAD変換及び増幅処理等の適切な処理をして、検出状態を判定可能に構成されている。尚、フォトダイオード7と制御装置8の間は、ノイズを低減すべく、同軸ケーブルにて電気的に接続されている。
【0027】
LED3から銅管1の内面5に向けて照射された光は、まず、第1偏光素子4にて、第1偏光素子4の透過軸の方向に、偏向する直線偏光L1となる。当該直線偏光L1は、銅管1の内面5にて反射される。
ここで銅管1の内面5にスケール2が存在する場合、銅管1の内面5にて反射された直線偏光L1でスケール2を透過した光は、その光を優先的に透過する方向に透過軸を添わせている第2偏光素子6を透過し、フォトダイオード7にて受光される。一方、銅管1の内面5にて反射された光L2でスケール2を透過しなかった光は、第1偏光素子4の透過軸の方向と異なる方向に透過軸を添わせている第2偏光素子6を透過できず、フォトダイオード7にて受光されない。
即ち、本発明のスケール検出装置によれば、LED3により銅管1の内面5に照射された光のうち、スケール2を透過した光のみが、フォトダイオード7に導かれる。これにより、フォトダイオード7は、銅管1の内面5にスケール2が付着する場合にのみ、光を受光して、検出信号を制御装置8に送信し、制御装置8が、その受信信号に基づいて、スケール2の検出状態を判定することにより、銅管1の内面5にて、スケール2の存在を適切に判断することができる。
【0028】
次に、本発明のスケール検出装置を構成する各部品の具体的な構成、及び配置について、より詳細に説明する。本発明のスケール検出装置の各部品は、上述した様に、直径10mm程度の比較的小径の銅管1の内部に対して挿入可能にすべく、比較的小型の部品により構成されている。
LED3は、その発光部3aの直径が3mm程度で比較的小型の砲弾型のものを好適に用いることができる。具体的に採用したLED3は、日亜化学工業製(品番:NSPB300B)のものであり、ピーク波長465nmの青色LEDであり、そのスペクトルバンド幅は50nm程度であり、その光度は、8.2cdである。尚、LED3には、どのような波長の光を発生するものでも適用することができる。例えば、白色光を発生するものも適用可能であるし、所定のピーク波長の光を発生するものも適用可能である。
フォトダイオード7は、比較的小型でありつつも、受光面積(活性領域)が広いものを適用した。具体的に採用したフォトダイオード7は、OSRAM製(品番SFH206K)のものであり、受光する光の波長範囲は、400nm〜1100nmであり、受光面積(活性領域)は7mm2で、光の受入角度は120°である。
第1偏光素子4、及び第2偏光素子6は、コンパクト化の目的から、図1(b)に示すように、一般的に用いられる平面形状の偏光フィルタにより構成している。
【0029】
そして、本発明のスケール検出装置では、上記各部品を以下のように、配置することで、そのコンパクト化を図っている。
即ち、スケール検出装置は、図1(a)(b)に示す様に、銅管1の管軸方向(図1(b)で矢印Y方向)に延びる一対の案内部材9と、一対の案内部材9を連結する連結部材10とを有している。LED3は、一対の案内部材9の間から銅管1の内面5に向けて光を照射する状態で、一対の案内部材9を連結する連結部材10に固定される支持台11により、一対の案内部材9の上方側(図1(b)の矢印Z方向で上方側)で支持されている。フォトダイオード7は、その受光面7aが銅管1の内面5に向けた状態で、一対の案内部材9の間に挟持される状態で配置されている。
さらに、第1偏光素子4としての偏光フィルタ及び第2偏光素子6としての偏光フィルタは、図1(b)に示すように、銅管1の管軸方向(図1(b)で矢印Y方向)の平面Sに添う状態で、一対の案内部材9の下方側(図1(b)の矢印Z方向で下方側)に接して設けられている。
上述の配置により、第1偏光素子4及び第2偏光素子6としての偏光フィルタの配置される平面Sに対し、一方側に、LED3及びフォトダイオード7の双方が配置される構成とすることができる。即ち、平面Sの他方側に部品を配置しない構成としているので、平面Sに直交する方向(図1(b)で矢印Z方向)において、スケール検出装置のコンパクト化を図ることができる。この結果、スケール検出装置は、比較的小径の銅管1に対して、挿入してその内部にて移動させ易くなっている。
【0030】
上述の配置を用いたスケール2の検出方法では、LED3からの光を、第1偏光素子4としての偏光フィルタを透過する状態で、平面Sの一方側(図1(b)の矢印Z方向で上方側)から銅管1の内面5へ向けて照射するとともに、銅管1の内面5にて反射された光L2を、第2偏光素子6としての偏光フィルタを透過する状態で、平面Sの一方側にてフォトダイオード7にて受光することで、良好にスケール2を検出できる。
【0031】
また、第2偏光素子6としての偏光フィルタは、図1(b)に示すように、フォトダイオード7の受光面7aが設けられている側面を覆う状態で設けられている。このため、銅管1の内面5に反射された光L2は、確実に第2偏光素子6としての偏光フィルタを透過する状態で、フォトダイオード7の受光面7aに導かれるようになっている。
ここで、フォトダイオード7は、金属管1の内面5に向けてLED3から照射された光で、金属管1の内面5から鏡面反射してくる光L2と、拡散反射してくる光L2の双方を、受光することができる。
具体的には、LED3が発生した光は、銅管1の内面5に対して、入射角αが60°未満で入射されると共に、フォトダイオード7には、銅管1の内面5での反射角αが60°未満で反射された光L2が受光されることが好ましい。このようにすることで、装置の径方向幅を抑えることができる。
尚、フォトダイオード7にて適切に光を受光するためには、LED3が発生した光は、銅管1の内面5に対して、入射角αが45°程度で入射すると共に、フォトダイオード7に受光される光は、銅管1の内面5での反射角αも45°程度で反射されたものであることが好ましい。
【0032】
次に、本発明のスケール検出装置及びスケール検出方法の第1検証試験及び第2検証試験を行ったので、当該検証試験について、図2及び図3に基づいて説明する。尚、以下の第1検証試験及び第2検証試験は、上述のスケール検出装置及びスケール検出方法をそのまま適用する形態で行ったので、以下ではその詳細な説明は割愛する。
【0033】
第1検証試験では、銅箔テープ上に、炭酸カルシウム(スケール2に相当)を載置し、その上方を、本発明のスケール検出装置を移動させて、炭酸カルシウムが検出できるかを、検証した。
図2にその検証結果を示す。図2の上方側には、炭酸カルシウム(スケール2に相当)が載置された銅箔テープの画像であり、図2の下方側には、当該銅箔テープの上方で、スケール検出装置の移動方向での、各位置におけるフォトダイオード7の出力値を示したものである。
図2から、銅箔テープ上に炭酸カルシウム(スケール2に相当)が存在する位置(図2で矢印aで示す領域)では、フォトダイオード7の出力値が高く、銅箔テープ上に炭酸カルシウム(スケール2に相当)が存在しない位置(図2で矢印bで示す領域)では、フォトダイオード7の出力値が低い。これにより、本発明のスケール検出装置及びスケール検出方法により、炭酸カルシウム(スケール2に相当)を検出できていると言える。
【0034】
銅管1の内面5には、水が付着している場合がある。このため、当該水中での炭酸カルシウム(スケール2に相当)をも、検出できることが好ましい。そこで、第2検証試験では、本発明のスケール検出装置及びスケール検出方法にて、水中での炭酸カルシウム(スケール2に相当)を検出できるかどうかを検証した。
図3にその検証結果を示す。図3は、銅箔テープ上に、炭酸カルシウムのみを載置した場合、水及び炭酸カルシウムを載置した場合、水のみを載置した場合において、銅箔テープの上方で、スケール検出装置の移動方向での、各位置におけるフォトダイオード7の出力値を示したものである。
図3から、水及び炭酸カルシウムを載置した場合のフォトダイオード7の出力値は、炭酸カルシウムのみを銅箔テープ上に載置した場合のフォトダイオード7の出力値と、ほぼ同様の傾向を示すものとなっている。即ち、何れの場合であっても、銅箔テープ上に炭酸カルシウム(スケール2に相当)が存在する位置(図3で矢印aで示す領域)では、フォトダイオード7の出力値が高く、銅箔テープ上に炭酸カルシウム(スケール2に相当)が存在しない位置(図3で矢印bで示す領域)では、フォトダイオード7の出力値が低くなっている。尚、銅箔テープ上に、水のみを載置した場合には、フォトダイオード7の出力値が十分に低くなっており、水自体が、本発明のスケール検出装置による炭酸カルシウム(スケール2に相当)の検出に影響を及ぼすことはないといえる。
以上より、本発明のスケール検出装置及びスケール検出方法では、水中の炭酸カルシウムをも、適切に検出できていると言える。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の低コストで、比較的小径の金属管の内部においても、スケールを適切に検出することができるスケール検出方法、及びスケール検出装置として、有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 :銅管
2 :スケール
3 :LED(光源の一例)
4 :第1偏光素子
5 :銅管の内面
6 :第2偏光素子
7 :フォトダイオード(受光部の一例)
7a :受光面
8 :制御装置
9 :案内部材
10 :連結部材
11 :支持台
L1 :第1偏光素子を透過後の直線偏光
L2 :銅管の内面にて反射された光
X1 :第1偏光素子の透過軸の方向
X2 :第2偏光素子の透過軸の方向(スケールを透過した後の光の偏光方向)
S :偏光フィルタが配置される平面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸カルシウムを含むスケールが付着する金属管の内面にて前記スケールを検出するスケール検出方法であって、
前記金属管の内部において、光源からの光を、第1偏光素子を透過させて直線偏光とし、前記直線偏光のうち、前記金属管の内面にて反射された光を、前記第1偏光素子の透過軸の方向と異なる方向で、且つ前記直線偏光が前記スケールを透過した後の光を優先的に透過する方向に、透過軸を沿わせた第2偏光素子を透過させて、受光部にて受光するスケール検出方法。
【請求項2】
前記第1偏光素子及び前記第2偏光素子が、平面形状の偏光フィルタであり、
前記第1偏光素子としての偏光フィルタと前記第2偏光素子としての偏光フィルタとを同一平面に配置した状態で、
前記光源からの光を、前記平面の一方側から前記金属管の内面へ向けて照射するとともに、前記金属管の内面にて反射された光を、前記平面の一方側にて前記受光部により受光する請求項1に記載のスケール検出方法。
【請求項3】
前記受光部において、前記金属管の内面に向けて前記光源から照射された光で、前記金属管の内面から鏡面反射または拡散反射してくる光を受光する請求項1又は2に記載のスケール検出方法。
【請求項4】
前記光源からの光を、前記金属管の内面に対して、60度未満の入射角度で入射させるとともに、前記受光部が、前記金属管の内面にて、60度未満の反射角度で反射された光を受光する請求項1乃至3の何れか一項に記載のスケール検出方法。
【請求項5】
炭酸カルシウムを含むスケールが付着する金属管の内面にて前記スケールを検出するスケール検出装置であって、
前記金属管の内部において、光源から前記金属管の内面に向けて照射された光を直線偏光とする第1偏光素子と、
前記第1偏光素子の透過軸の方向と異なる方向で、且つ前記直線偏光で前記スケールを透過した後の光を優先的に透過する方向に、透過軸を沿わせた第2偏光素子と、
前記第1偏光素子を透過して、前記金属管の内面にて反射され、前記第2偏光素子を透過した後の光を受光する受光部を備えたスケール検出装置。
【請求項6】
前記第1偏光素子及び前記第2偏光素子が、平面形状の偏光フィルタであり、
前記第1偏光素子としての偏光フィルタと前記第2偏光素子としての偏光フィルタとを同一平面に配置し、
前記光源及び前記受光部を、前記平面の一方側に設け、
前記光源が、前記平面の一方側から前記金属管の内面へ向けて光を照射すると共に、前記受光部が、前記金属管の内面にて反射された光を、前記平面の一方側にて受光する請求項5に記載のスケール検出装置。
【請求項7】
前記受光部が、前記金属管の内面に向けて前記光源から照射された光で、前記金属管の内面から鏡面反射または拡散反射してくる光を受光する請求項5又は6に記載のスケール検出装置。
【請求項8】
前記光源が、60度未満の入射角度で前記金属管の内面へ、光を入射させると共に、
前記受光部が、60度未満の反射角度で前記金属管の内面にて反射された光を受光する請求項5乃至7の何れか一項に記載のスケール検出装置。
【請求項9】
前記光源が、前記金属管の内部へ挿入可能なLEDであり、前記受光部が、前記金属管の内部へ挿入可能なフォトダイオードである請求項5乃至8の何れか一項に記載のスケール検出装置。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−208940(P2011−208940A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73805(P2010−73805)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】