説明

スズ・ウィスカ成長を最小化する特性又は特徴を有するスズの電着

ウィスカの形成又は成長を本質的に起こりにくくするスズ堆積物は、(ア)0.05ミクロンから5ミクロンの範囲の平均粒子直径を有する微細粒子化されたスズ堆積物の堆積、(イ)熱又は湿度に曝された時でさえ表面の酸化を防止してスズ・ウィスカ形成を低減する、微量のリンをその堆積物が含むように、スズ堆積物を電気めっきするために使用される溶液中のリン化合物、あるいは、(ウ)予め電気めっきされたスズ堆積物の表面に、熱又は湿度に曝されている間中スズ堆積物の酸化物形成又は腐食を最小化し又は防止するように作用する保護塗装を施す溶液中の、リン化合物、メルカプタン化合物、又は、有機化合物、の1つ以上によって得られる。80重量%から100重量%のスズを含むそのようなスズ堆積物は、スズ・ウィスカ成長を最小限化し乃至なくすることを呈する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、堆積物から、スズ・ウィスカ成長をいわば低減し、最小化し、又は防止するスズ堆積方法に関し、さらに、そのような方法によって形成される電気めっきされた部品に関する。より詳細には、本発明は、スズ・ウィスカの成長を起こりにくくするための、堆積物の改良又は処理に関する。詳細には、スズ堆積物表面の酸化物形成及び/又は腐食反応の防止、又は堆積物表面の後処理は、本目的に有効であることがわかっている。
【背景技術】
【0002】
スズ電気めっき堆積物又はスズ合金電気めっき堆積物の使用は、その堆積物が与える利点によって、電子回路、電子装置、及び電機コネクタの製造において、ますます重要となってきている。例えば、スズ堆積物及びスズ合金堆積物は、腐食から部品を保護し、はんだ付け用に化学的に安定した表面を含み、良好な表面電気接触を維持する。様々なめっき溶液及び方式を用いてスズ堆積物又はスズ合金堆積物を塗布する方法を開示する多くの特許が存在する。そのような堆積物は、典型的には、無電解めっき法又は電解めっき法によって製造される。
【0003】
堆積プロセスを利用するにもかかわらず、気孔率を最小化するために、基板上にスズの平滑且つ水平な堆積物を形成することが望ましい。後処理の部品組立作業を容易にするために、比較的一定の厚さを有する塗装を形成することも望ましい。さらに、満足できる堆積物を得るためには、他の課題も回避しなければならない。純粋なスズを使用し且つ銅基板又は銅合金基板に塗布するとき、その結果生じた堆積物は、基材銅のスズ堆積物への相互拡散、及び、その結果生じた銅‐スズの金属間化合物の形成に悩まされる。これらの銅−スズ化合物は、脆弱である可能性があり、さらに、スズで塗装した部品の有用性を損なう可能性がある一方で、これらの存在はスズ堆積物中に圧縮応力形成という結果をももたらす。続いて、スズ・ウィスカとして知られる金属繊維の生成は、これらのスズ堆積物から自然発生的に成長することが時々ある。これらのウィスカは、表面から伸びた毛髪のような突起であり、直線状、渦巻き状、若しくは湾曲状の何れかである場合がある。スズ・ウィスカは、典型的には直径6ナノメートルから6ミクロンである。これらのウィスカは、導体間の絶縁空間を越えて電気的短絡及び電気的ブリッジの両方を形成する可能性があるため、そのようなウィスカの存在は、最新の回路に要求される非常に微細な配線定義の理由から好ましくない。このウィスカは、電子回路内に短絡を形成するか又は不良をもたらすだろう。
【0004】
スズ・ウィスカ成長のメカニズムは、完全にはわかっていない。スズ・ウィスカは、塗装を施してから数日以内に成長し始める場合があるし、あるいは数年以内に成長し始める場合がある。多数の電着技術及び/又は保存条件によって形成されたウィスカなどのように、圧縮応力が集中する位置からウィスカが成長するという推測が文献中に存在する。上昇させた温度及び湿度保存条件がウィスカ成長を高めるという証拠が存在する。「金属仕上げ学会会報1974年第52巻」95ページ〜102ページのS・C・ブリットンの論文『スズ塗装上のウィスカの同時成長:20年の観察』(非特許文献1)は、スズ・ウィスカ成長問題について議論し、ウィスカ形成のリスクを低減するためのいくつかの提言を提案している。
【0005】
スズ・ウィスカ問題に立ち向かうための1つのアプローチは、スズめっきされた材料について短い蓄電時間を指定することであった。しかしながら、このアプローチは、問題を完全に解決するというわけではないし、必ず回避するというわけでもない。別のアプローチは、ウィスカの突出を防ぐためにスズ基質を穏やかに強化することであった。金属間化合物の形成及びスズ堆積物への銅の拡散は、この目的に役立ったが、最終製品において非常に高い実行コストが掛かった。
【0006】
別のアプローチは、スズ堆積を施す前に基板の表面を処理することである。めっき溶液の超音波攪拌、及び/又は、めっき中の電極の極性の変更が、めっき金属の組織中に吸収又は吸蔵される水素量を減少させることが示唆されている。
【0007】
この問題に対処するためのさらなるアプローチは、一般的に、スズめっき溶液に対しウィスカ抑制要素の追加を含んでいた。貴金属の高コストを回避するために、最も一般的なアプローチは、スズ及び鉛からなる合金を堆積させることであった。この合金はまた、配線又はその他の電子部品への電気的接続を行うために、その後の工程で使用される、はんだと互換性がある。残念なことに、鉛及び他の多くの合金化元素は、その毒性や関連する環境問題によって望ましくない。このため、現在は、純粋なスズ又は非常に高いスズ含有量の堆積物が使用されており、これらは、一定条件下でウィスカ化しやすい。これは、結果として短絡が生じる可能性があるので、スズ堆積物を含む小型電子部品にとって特に重要な問題である。
【0008】
B.Z.リー及びD.N.リーは、「アクタ・マター誌1998年第46巻10号」3701〜3714ページに掲載された彼らの論文『スズ・ウィスカの自発的成長のメカニズム』(非特許文献2)において、スズ・ウィスカ成長の促進力は、スズ堆積物/銅基板の境界面における金属間化合物形成によって発生する圧縮応力であるという概念を、最初に解明した。圧縮応力のこの増加は、基材からスズ堆積物への銅の拡散及びそれに続く銅‐スズの金属間化合物の形成に起因すると理論付けられた。順番に起こる付随する体積の変化は、スズ・ウィスカ形成という結果をもたらす圧縮応力を生成する。この原因から生じるスズ・ウィスカ成長の問題に立ち向かうために、いくつかの方法が開発されてきた。スケッティらは、米国特許第6,860,981号(特許文献1)において、スズ・ウィスカ成長を順番に最小化する基板に合う好適な結晶方位のスズを堆積させるための方法について記述している。スケッティは、2006年6月23日出願の米国特許出願第11/・・・・・号(特許文献2)(2005年6月24日出願の米国仮特許出願第60/693,701号(特許文献3)を優先権主張)において、銅‐スズの金属間化合物形成を最小化するためのバリア層として銀を使用する方法を記述し、一方、エグリらは、米国特許出願第2002/0187364A1号(特許文献4)において、スズ・ウィスカ成長を最小化するためのニッケル又はコバルトの薄いバリア層を使用する方法を記述している。
【0009】
2005年5月、エレクトロニクス産業基準設置機関JEDECは、『JEDEC規格JESD22A121スズ又はスズ合金表面仕上げにおけるウィスカ成長の測定法』(非特許文献3)を発行した。それには、スズ・ウィスカ成長を試験するための3つの試験方法が記述され、そのうち2つは、高い熱及び/又は湿度を使用する。高熱及び/又は高湿度状態に曝される期間中、電気めっきされたスズ堆積物の表面で、一定の腐食反応及び/又はスズ酸化物形成が起こった時、別のスズ・ウィスカ成長の促進力が生じることが、近年発見されている。
【0010】
例えば、2005年6月1日、米国フロリダ州オーランドで開催された、iNEMIスズ・ウィスカ研究会において、この主題について3本の論文が発表された。インフィネオン社のマーク・ディッツらによる『スズ・ウィスカ形成に対する湿度効果』(非特許文献4)、フリースケール・セミコンダクター社のペン・スー博士による『上昇させた温度/湿度保存試験中のスズ・ウィスカ群及びその成長に関する統計学的研究』(非特許文献5)、及び、アギール社のJ.オーセンバックによる『スズ腐食作用とそのウィスカへの影響』(非特許文献6)は、全て、近年新たに発見されたスズ・ウィスカ成長の新しいメカニズムについて、そのメカニズムを記述している。以下は、これらの論文の要約である。
【0011】
具体的には、ディッツの論文中の図面に示されるように、熱や湿気に曝された時、スズは、スズ・ウィスカ成長の促進力となる圧縮応力を誘発するガルバニ対を形成する露出した基材と共同して、順に(特定の場所に集中した体積増加に起因する)特定の場所に集中した圧縮応力、及び/又は水分凝縮に起因する腐食反応を結果として起こす、スズ酸化物に変化する。
【特許文献1】米国特許第6,860,981号
【特許文献2】米国特許出願第11/***,***号
【特許文献3】米国仮特許出願第60/693,701号
【特許文献4】米国特許出願第2002/0187364号
【非特許文献1】「金属仕上げ機関の活動」1974年52巻95ページから102ページの、C.ブリットンによる論文『スズ塗装上のウィスカの同時成長:20年の観察』
【非特許文献2】「Acta.mater」1998年46巻10号、3701から3714ページ
【非特許文献3】JEDEC規格JESD22A121「スズ又はスズ合金表面仕上げにおけるウィスカ成長測定方法」
【非特許文献4】「スズ・ウィスカ形成に対する湿度効果」
【非特許文献5】「上昇させた温度/湿度保存試験中のスズ・ウィスカ群及びその成長に関する統計学的研究」
【非特許文献6】「スズ腐食作用とそのウィスカへの影響」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前述の段落で記述した一連の事象に対抗する方法を特定することが非常に望ましいであろう。この問題は、ウィスカ成長現象を扱う企業のほとんどが、スズ・ウィスカ成長の促進力であるこの新たな発見やスズ・ウィスカ成長に立ち向かう方法について考慮していなかったため、今日の産業界において現在のところ未解決である。また、高熱及び高湿度条件で露出している間、スズ堆積物に起因するスズの酸化及び/又は腐食反応を最小化し、及び/又は防止するための方法を特定することも、有益であろう。本発明は、そのような方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、基板上のスズ堆積物おけるスズ・ウィスカ形成又はスズ・ウィスカ成長を低減するための多数の方法に関する。一般的に、スズ堆積物の少なくとも1つの物理的性質又は特性は、基板上でのスズの堆積中又はその直後に改質される。従って、スズ堆積物は、スズ・ウィスカ化が実質上低減されるかさらには防止されるように、スズ・ウィスカの形成又は成長を起きにくくするという少なくとも1つの物理的性質又は特質を伴って、基板に含まれる。
【0014】
一実施例において、スズ堆積物は、スズ・ウィスカ化を最小化する微細粒子構造として基板に含まれることが可能であり、そこでは、スズ堆積物は、約0.05から5ミクロンの平均粒子サイズを有することが好ましく、より好ましくは、約2から3ミクロン未満であることが好ましい。
【0015】
別の実施例において、スズ堆積物は、堆積中にスズ・ウィスカの形成又は成長を起こりにくくするよう処理されることが可能である。これは、表面上でのスズ・ウィスカ化を最小化するために、スズ堆積物に本質的に表面酸化物がないようにすることによって可能である。表面酸化物形成の防止は、リン化合物を含む溶液からスズ堆積物を提供することによって都合よく達成され、これにより、このスズ堆積物中に微量の又は少量のリンが混入する。このスズめっき溶液が、スズ堆積物中に約0.1ppmから30重量%の量のリンを含むのに十分なリン化合物を含むことが好ましい。
【0016】
本方法の別の実施例では、スズ・ウィスカの形成又は成長を起こりにくくするために、スズ堆積物は、堆積後に処理される。これを達成するための1つの方法は、スズ堆積物上に(即ち、スズめっきの完了後に)保護塗装を施すことである。これを行うために、スズ堆積物は、リン化合物、有機化合物、メルカブタン、又は有機金属化合物の1つ以上を含む後処理溶液に浸漬し、又は接触させることが可能である。好ましくは、この保護塗装は、約0.1オングストロームから1ミクロンの厚さで施される。
【0017】
本発明はさらに、微細粒子化したスズ堆積物が存在する銅表面を有するスズめっきされた電子部品の改良に関する。この改良は、(a)より大きい粒子構造のスズ堆積物と比較して、スズ堆積物がスズ・ウィスカの形成又は成長を起こりにくくするような微細粒子構造、(b)スズ堆積物に本質的に表面酸化がなく、且つ、表面酸化を有するスズ堆積物と比較してスズ・ウィスカの形成又は成長を起こりにくくするような、微量の又は少量のリン、若しくは、(c)保護層を有しないスズ堆積物と比較して、スズ・ウィスカの形成又は成長を起こりにくくするような保護層、のいずれか1つ以上を伴うスズ堆積物を提供することによって、スズ・ウィスカ形成又は成長を最小化又は防止することを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、基板上のスズ堆積物中のウィスカ形成を低減するための1つ以上の方法の使用を通して、スズ堆積物表面での酸化物形成及び/又は腐食反応を本質的に起こりにくくする、スズ堆積物の形成に関する。一方法は、以下の方法の使用を通じて、スズ堆積物表面上における酸化形成及び/又は腐食反応を本質的に起こりにくくするスズ堆積物の作製を含む。即ち、(ア)表面酸化を本質的に起こりにくくするスズ堆積物が結果的に生じる粒子直径である0.05から5ミクロンの範囲に平均粒子直径を有する「微細粒子化した」スズ堆積物の堆積。(イ)それによって、スズ堆積物中に微量のリンを含み、熱及び/又は湿度に曝されている間表面におけるスズ酸化物形成を順に低減する、基板上にスズ堆積物を堆積させるために使用される溶液中へのリン化合物の使用。及び/又は、(ウ)予め電気めっきされたスズ堆積物の表面への保護塗装であって、熱及び/又は湿度に曝されている間スズ堆積物の酸化物形成及び/又は腐食を最小化し又は防止するよう作用する、前記保護塗装を施すために使用される溶液中へのリン化合物、有機化合物、メルカブタン、及び/又は、有機金属化合物の使用。これらの全ては、単独で又は組み合わされて、スズ堆積物におけるスズ・ウィスカ成長を順に最小化する。
【0019】
本発明はまた、スズを含む層中に低減された表面酸化及び/又は腐食特性を有するスズ堆積物を含む、めっきされた基板に関する。このスズを含む層は、スズが80重量%以上含まれるのが好ましく、さらに、重大なウィスカ化のない、さらに大量のスズを含むのが好ましい。さらに本質的に純粋なスズの堆積物(すなわち、意図的に付加された合金化元素のないスズであって、さらに、副次的な不純物を除いて他の元素を含まないスズ)は、重大なウィスカ化の問題なしに堆積することが可能である。従って、基板は、電気めっき不可能な部分及びめっきされることになっている電気めっき可能な部分を含む電子部品となり得る。好適な実施例では、堆積物のスズ含有量は、堆積物の80重量%超100重量%以下である。必要に応じて、合金化元素は、スズ合金の堆積物を含むためにスズを堆積させるのに使用される溶液に付加することが可能である。
【0020】
本発明において有用なスズめっき溶液は、以下に記載されるものを含むが、これに限定されない。
フルオロホウ酸塩溶液: スズ・フルオロホウ酸塩めっき浴は、銅及び鉄の両方を含む全タイプの金属基板をめっきするために広く使用される。例えば、米国特許第5,431,805号(特許文献5)、米国特許第4,029,556号(特許文献6)、及び、米国特許第3,770,599号(特許文献7)を参照されたい。これらの浴は、めっき速度が重要で且つフルオロホウ酸塩が非常に可溶性である場合に好ましい。
ハロゲン化物溶液: 主な電解質がハロゲン化物イオン(臭素、塩素、フッ素、ヨウ素)であるスズめっき浴は、何十年もの間使用されてきている。例えば、米国特許第5,628,893号(特許文献8)及び米国特許第5,538,617号(特許文献9)を参照されたい。これらの浴中の主要なハロゲン化物イオンは、塩化物とフッ化物である。
硫酸塩溶液: スズ及びスズ合金は、商業的に、主要な陰イオンとして硫酸塩を含む溶液からめっきされる。米国特許第4,347,107号(特許文献10)、米国特許第4,331,518号(特許文献11)、及び米国特許第3,616,306号(特許文献12)を参照されたい。例えば、長年の間、鉄鋼産業は、フェノール・スルホン酸がスズの電流密度範囲の増加のみならず酸化安定性をも向上させる特殊な電解質添加剤として使用される、硫酸/スズ硫酸塩浴からのスズめっき鋼であった。この処理は、フェロスタン処理として知られており、これは本発明で有効であるが、フェノール誘導体に伴う環境問題を伴うため好ましくない。硫酸をベースとするが環境上望ましくない添加剤のない他の硫酸塩浴が好ましい。
スルホン酸溶液: ここ20年のうちに、スルホン酸金属めっき浴の商業用途は、多くの性能優位性があることから大幅に増加してきた。スズは、スルホン酸から電気めっきされてきている(例えば、米国特許第6,132,348号(特許文献13)、米国特許第4,701,244号(特許文献14)、米国特許第4,459,185号(特許文献15)を参照)。アルキル・スルホン酸のコストは、比較的高いので、たとえ先行技術がその他のアルキル・スルホン酸及びアルカノール・スルホン酸の例を含んでいても、使用される好適なスルホン酸はメタン・スルホン酸(MSA)であった。アルキル・スルホン酸浴の性能優位性は、低腐食性、塩類の高い溶解性、優れた伝導性、優れたスズ塩類の酸化安定性、及び完全な生分解性を含む。
【0021】
これらの溶液は、単独で又は様々に混合して使用することが可能である。当該技術分野における通常技術の一つにおいては、あらゆる特定のめっき塗布用に、最適な酸又は酸混合液を最良に選択することが可能である。
【0022】
本発明のめっき溶液中の(スズ金属としての)スズの量は、例えば、溶液1リットルあたり約1グラムから約120グラム(g/l)、或いは特定の溶液中の特定のスズ塩の溶解限度まで広範囲にわたって変動してもよい。このめっき溶液中のスズの先の量が、金属スズとして示されるが、このスズは、スズ化合物の形で溶液に加えられても良いことが理解されるに違いない。このような化合物は、例えば、酸化スズ、スズ塩類、若しくは、蟻酸エステル、酢酸塩、硫酸塩、アルカン・スルホン酸塩、塩酸塩、及び他のハロゲン化物、炭酸塩その他同種のものを含んだ、他の可溶性のスズ化合物を含んでもよい。
【0023】
所望のように、様々な界面活性剤や湿潤剤を使用することが可能である。界面活性剤は、堆積物の所望の品質及び特質を達成するために選択される。例は、本発明に従った所望のスズ堆積物を提供するために好適な界面活性剤及び/又は湿潤剤を含む商業的に利用可能な浴を示す。特許がそのような部品の開示において、それらを参照によって本明細書に組み込まれるように、米国特許第6860981号(特許文献1)で言及されたあらゆる界面活性剤を使用することが可能である。さらに、先行技術において周知のあらゆる一般的なスズ界面活性剤又はスズ−鉛界面活性剤(例えば、ブロック共重合体、アルキレン酸化物、ポリ・アルキレン・グリコール、ENSA、ノニルフェノールエトキシレート・8−14モル・エチレンオキシド等)は、全て使用することが可能であるが、微細粒子化された堆積物が望まれる場合、一般的に、二次結晶成長抑制剤が、界面活性剤と一緒に使用される。
【0024】
多くの合金化元素のいずれか一つを、スズめっき溶液に添加することが可能である。これらは、主として、合金化元素の5%未満が堆積物中に現れるような量で添加される。好適な合金化元素は、銀(堆積物の3.5%まで)、ビスマス(堆積物の3%まで)、銅(堆積物の3%まで)、及び亜鉛(堆積物の2%まで)を含む。他の合金化元素を使用することできるが、環境に悪影響が出る恐れのある金属化元素、すなわち、アンチモン、カドミウム、及びとりわけ鉛を使用するのは、一般的に好ましくない。上述のように、合金化元素は任意であるのが好ましく、堆積物のスズ含有量はできるだけ高い方が好ましく、回避できない不純物との調整を取って通常約99重量%以上であることが好ましい。
【0025】
本発明の第1の方法においては、平均粒子直径が0.05から5ミクロンの微細粒子化されたスズ堆積物を堆積させることによって、スズ・ウィスカ成長が防止されるか、少なくとも実質上最小化される。より好適な粒子直径は、1から3ミクロンである。前述の範囲の平均粒子直径を形成することが可能なあらゆるスズ電気めっき溶液を使用することが可能であるが、上述したように、米国特許第6860981号(特許文献1)に記載の溶液が好ましい。上述のように、二次結晶成長抑制剤は、堆積物中に微細粒子構造が得られるのを確保するために使用される。当該技術分野の熟練者に周知の他の材料も同様の結果を達成するために使用することが可能ではあるが、ビキノリン添加剤及びジメチル−フェナントロリン添加剤は、粒子サイズを縮小する二次結晶成長抑制剤として、特に好適である。
【0026】
所望の粒子サイズが達成されたことを確認するために、従来、走査型電子顕微鏡(SEM)によって、スズ堆積物の多数の粒子の粒子直径を測定するための目盛を有する2000倍率及び5000倍率で撮影され、測定された。粒子サイズを決定するために測定値の平均値が算出される。本発明が先行技術と異なる点は、粒子サイズが所望の範囲内にあることを確認するために、SEM測定が使用されるという事実である。この種の微細粒子構造は、先行技術の浴のうちのいくつかにおいて起こる可能性はあるが、それは、純粋に偶然の一致によって及び意図的でない方法で生じるであろう。本発明においては、微細粒子構造の存在によって、スズ・ウィスカ化の所望の低減又は除去が得られると確認される。
【0027】
様々な粒子サイズのスズ堆積物は、スズ酸化物形成を意図的に増進するために高熱及び高湿度条件で曝され、続いて、電気化学的表面還元分析法(SERA)によって解析された。微細粒子化したスズ堆積物(平均粒子直径0.05から3ミクロン)は、従来の、より大きい粒子直径のスズ堆積物(平均粒子直径3ミクロン超8ミクロン以下)と比較して、一貫して表面のスズ酸化物の厚さを低下させた。この現象は、微細粒子化したスズ堆積物が一般的に滑らかな表面構造を有しており、それ故、大きく一般的に粗く粒子化したスズ堆積と比較して、微視的な「山」と「谷」が露出しにくく、また、大きい粒子化したスズ堆積物と比較して微細粒子化したスズ堆積物において生じる酸化/腐食反応のための露出表面積がより小さくなることにつながるという事実に起因すると論理付けられる。さらに、微細粒子化した構造の多数の粒子の接点は、濃縮さらにはスズ・ウィスカ発生から堆積物の圧縮応力を防ぐための応力配分又は応力解消網として作用すると考えられている。
【0028】
本発明の別の方法では、基板上にスズ堆積物を堆積させるために使用される溶液中へのリン化合物の使用は、それによってスズ堆積物中に微量のリンを含み、熱及び/又は湿度に曝されている間表面におけるスズ酸化物形成を順に低減する。好適な溶液及び添加するリンの量は、堆積物のはんだ付け適性を向上させる状況下におけるそのような添加剤の使用について議論する特許である米国特許第6982030号(特許文献16)において、ツァンらによって開示されている。高熱及び高湿度条件に曝した後でのスズ・ウィスカ成長に対するスズ酸化物形成の影響に関する産業界で最近得られた新しい知識では、その特許で前もって記述された条件下で堆積物が提供される場合、もともとその特許に開示された方法を、表面酸化の減少と同様にスズ・ウィスカ成長を最小化するという利点を提供するために使用することが可能である、ということが現在わかっている。
【0029】
本発明のさらに別の方法では、溶液中へのリン化合物、有機化合物、及び/又は有機金属化合物のうちの1つ以上の使用は、予め電気めっきされたスズ堆積物の表面へ保護塗装を施すために使用され、その保護塗装は、熱及び/又は湿度に曝されている間スズ堆積物の酸化物形成及び/又は腐食を最小化し又は防止するように作用する。ロードアイランド州クランストンのテクニック・インク社から入手可能な製品ターニバン、ターニバン51、ターニバンE260は、そのような添加剤を含む溶液の例である。加えて、以下に続く実施例の項では、本目的にとって有用なその他の特定の化合物を特定する。この「後処理」プロセスは、スズ堆積物表面に薄膜(厚さ0.5オングストロームから0.5ミクロン)を施し、この薄膜は、共に高熱及び/又は高湿度に曝される間スズ・ウィスカの促進力となることが現在周知である酸化及び/又は腐食に起因する陰性反応を効果的に遮断し、それによって最小化する。
【0030】
[実施例] 以下の実施例は、本発明の最も好適な実施例を示す。
【0031】
(比較例1)
スズは、平均厚さ10μmのスズ堆積物を得るのに十分な期間に渡って、電流密度150A/ftで、銅合金基板(銅99.85%、スズ0.15%)の上にMSA電解液(ローム・アンド・ハース社製「ソルダロンST300」)から電気めっきされた。スズ堆積物の粒子サイズが測定され、平均粒子直径が5から8ミクロンであることが判った。この堆積物は、(制御されない湿度環境において)155℃で16時間、高温多湿(HTH)試験に曝され、続いて97℃/99%相対湿度(RH)条件において8時間曝された。この堆積物は、SERA法によって測定され、表面上のスズ酸化物の厚さは122オングストロームであることが判った。この堆積物は、JEDEC_STANDARD_JESD22A121「スズ及びスズ合金表面仕上げにおけるウィスカ成長測定方法」(非特許文献3)によって規定された、高熱多湿ウィスカ試験条件に曝された。具体的には、60℃/90%RHで3000時間の高温多湿保存であった。ウィスカ試験法の終了時、最大ウィスカ長が測定され、112μmであると判定された。
【0032】
(実施例2)
スズは、平均厚さ10μmのスズ堆積物を得るのに十分な期間に渡って、電流密度150A/ftで、銅合金基板(銅99.85%、スズ0.15%)の上に混合酸硫酸塩電解液(テクニック・インク社製「テクニスタンEP」)から電気めっきされた。スズ堆積物の粒子サイズが測定され、平均粒子直径1から2ミクロンであることが判った。この堆積物は、(制御されない湿度環境において)155℃で16時間、高温多湿(HTH)試験に曝され、続いて97℃/99%相対湿度(RH)条件において8時間曝された。この堆積物は、SERA法によって測定され、表面上のスズ酸化物の厚さは68オングストロームであることが判った。この堆積物は、JEDEC_STANDARD_JESD22A121「スズ及びスズ合金表面仕上げのウィスカ成長測定方法」(非特許文献3)によって規定された、高熱多湿ウィスカ試験条件に曝された。具体的には、60℃/90%RHで3000時間の高温多湿保存であった。ウィスカ試験法の終了時、最大ウィスカ長が測定され、55μmであると判定された。
【0033】
(実施例3)
スズは、平均厚さ10μmのスズ堆積物を得るのに十分な期間に渡って、電流密度150A/ftで、銅合金基板(銅99.85%、スズ0.15%)の上に混合酸硫酸塩電解液(テクニック・インク社製「テクニスタンEP」。本品はまた、米国特許第2004−0099340_A1(特許文献17)の明細書に記載されたように、めっき溶液中に4g/lの濃度のリン化合物を含む)から電気めっきされた。スズ堆積物の粒子サイズが測定され、平均粒子直径1から2ミクロンであることが判った。この堆積物は、(制御されない湿度環境において)155℃で16時間高温多湿(HTH)試験に曝され、続いて97℃/99%相対湿度(RH)条件において8時間曝された。この堆積物は、SERA法によって測定され、表面上のスズ酸化物の厚さは43オングストロームであることが判った。この堆積物は、JEDEC_STANDARD_JESD22A121「スズ及びスズ合金表面仕上げのウィスカ成長測定方法」(非特許文献3)によって規定された、高熱多湿ウィスカ試験条件に曝された。具体的には、60℃/90%RHで3000時間の高温多湿保存であった。ウィスカ試験法の終了時、最大ウィスカ長が測定され、43μmであると判定された。
【0034】
(実施例4)
スズは、平均厚さ10μmのスズ堆積物を得るのに十分な期間に渡って、電流密度150A/ftで、銅合金基板(銅99.85%、スズ0.15%)の上に混合酸硫酸塩電解液(テクニック・インク社製「テクニスタンEP」。本品はまた、米国特許第2004−0099340_A1(特許文献17)の明細書に記載されたように、めっき溶液中に4g/lの濃度のリン化合物を含む)から電気めっきされた。スズめっき後、この基板は、リン化合物(リン酸を70ml/l)+グルコン酸ナトリウム50g/l含む溶液中に浸された。スズ堆積物の粒子サイズが測定され、平均粒子直径1から2ミクロンであることが判った。この堆積物は、(制御されない湿度環境において)155℃で16時間高温多湿(HTH)試験に曝され、続いて97℃/99%相対湿度(RH)条件において8時間曝された。この堆積物は、JEDEC_STANDARD_JESD22A121「スズ及びスズ合金表面仕上げのウィスカ成長測定方法」(非特許文献3)によって規定された、高熱多湿ウィスカ試験条件に曝された。具体的には、60℃/90%RHで3000時間の高温多湿保存であった。ウィスカ試験法の終了時、最大ウィスカ長が測定され、38μmであると判定された。
【0035】
(実施例5)
スズは、平均厚さ10μmのスズ堆積物を得るのに十分な期間に渡って、電流密度150A/ftで、銅合金基板(銅99.85%、スズ0.15%)の上に混合酸硫酸塩電解液(テクニック・インク社製「テクニスタンEP」)から電気めっきされた。スズめっき後、この基板は、10ml/lの溶剤(ブチル・セロソルブ)、10ml/lの界面活性剤(ジェフォックスWL4000)、及び4g/lのメルカプトプロピオン酸を含む溶液中に、40℃で30秒間浸された。スズ堆積物の粒子サイズが測定され、平均粒子直径1から2ミクロンであることが判った。この堆積物は、JEDEC_STANDARD_JESD22A121「スズ及びスズ合金表面仕上げのウィスカ成長測定方法」(非特許文献3)によって規定された、高熱多湿ウィスカ試験条件に曝された。具体的には、60℃/90%RHで3000時間の高温多湿保存であった。ウィスカ試験法の終了時、最大ウィスカ長が測定され、33μmであると判定された。
【0036】
これらの例は、本発明の以下の利点を示す。比較例1は、産業界で共通して使用される標準的な大きい粒状化したスズ堆積物の結果を示し、(ア)スズ酸化物形成は、熱及び湿度に曝された後は、122オングストロームと非常に高くなり、(イ)最大許容可能なウィスカ長に関して業界標準はまだ存在していないが、一般的に50ミクロンとされており、JEDEC手順に従った対応するスズ・ウィスカ成長は122ミクロンと過剰になる、ことを明示する。
【0037】
実施例2は、微細粒子化したスズ堆積物を含む本発明の結果を示し、(ア)スズ酸化物形成は、熱及び湿度に曝された後68オングストロームで、上記例1の従来の大きい粒状化した堆積物に対して顕著に減少し、(イ)JEDEC手順に従った対応するスズ・ウィスカ成長は、55ミクロンで、上記例1に記載された従来の大きい粒状化した堆積物に対して著しく低減したことを示し、本発明の腐食/酸化保護の増進効果は、スズ・ウィスカ成長を最小化するための能力において非常に有効であるという証拠を明示する。
【0038】
実施例3は、スズめっき溶液中のリンを含有する添加剤と結合した微細粒子化したスズ堆積物を含む本発明の結果を示し、(ア)スズ酸化物形成は、熱及び湿度に曝された後は、43オングストロームで、例1の従来の大きい粒状化した堆積物に対して顕著に低減し、また、さらに、上記例2の堆積物に対してもスズ酸化物形成は低減し、(イ)JEDEC手順に従った対応するスズ・ウィスカ成長は、43ミクロンで著しく低減したことを示し、本発明の腐食/酸化保護の増進効果は、スズ・ウィスカ成長を最小化するための能力において非常に有効であるという証拠を明示する。
【0039】
実施例4は、スズめっき溶液中のリンを含有する後処理溶液と結合した微細粒子化されたスズ堆積物を含む本発明の結果を示し、(ア)スズ酸化物形成は、熱及び湿度に曝された後は、35オングストロームで、例1の従来の大きい粒状化した堆積物に対して顕著に低減し、また、さらに、上記例2及び例3の堆積物に対してもスズ酸化物形成は低減し、(イ)JEDEC手順に従った対応するスズ・ウィスカ成長は、38ミクロンで著しく低減したことを示し、本発明の腐食/酸化保護の増進効果は、スズ・ウィスカ成長を最小化するための能力において非常に有効であるという証拠を明示する。
【0040】
実施例5は、スズめっき溶液中の有機物を含有する後処理溶液と結合した微細粒子化されたスズ堆積物を含む本発明の結果を示し、JEDEC手順に従った対応するスズ・ウィスカ成長は、33ミクロンで著しく低減したことを示し、本発明の腐食/酸化保護の向上効果は、スズ・ウィスカ成長を最小化するための能力において非常に有効であるという証拠を明示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気めっき可能な基板上にスズ堆積物を電気めっきし、
時間が経つにつれてスズ・ウィスカの成長を起こりにくくするか、又は、前記スズ・ウィスカ形成を防止するために、前記スズ堆積物の少なくとも1つの物理的性質又は特性を十分に改質することを備え、
前記改質は、前記基板上への前記スズ堆積物の堆積中又は堆積後に生じる、ことを特徴とする基板上のスズ堆積物におけるスズ・ウィスカ形成低減方法。
【請求項2】
前記物理的性質又は特性は、前記堆積物中にスズ・ウィスカ形成又は成長を起こりにくくする又は防止するために前記基板上に前記スズ堆積物が電気めっきされる際に改質される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記改質された物理的性質又は特性はその粒子構造であり、前記スズ堆積物は微細粒子構造を含む、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記スズ堆積物は、約0.05から5ミクロンの平均粒子サイズを含む、ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記改質された物理的性質又は特質はその表面酸化であり、前記スズ堆積物は堆積時に表面酸化物が本質的にない、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記スズ堆積物上の表面酸化物形成は、リン化合物を含有する溶液からスズ堆積物を堆積させることによって低減されるか又は防止され、それによって、前記スズ堆積物中に微量又は少量のリンを取り込み、前記堆積物が温度又は湿度に曝される時でさえ表面酸化物形成を防止する、ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記溶液は、前記スズ堆積物中に約0.1ppmから30重量%の量のリンを含むために、十分なリン化合物を含むことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記スズ堆積物は、スズ・ウィスカ成長を起こりにくくするために堆積後に処理される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記スズ堆積物は、前記スズ堆積物上に保護塗装を施すことによって処理される、ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記スズ堆積物は、前記スズ堆積物上に保護塗装を施すために、リン化合物、メルカプタン化合物、若しくは有機化合物又は有機金属化合物を1つ以上含む後処理溶液に浸されるか又は接触させられる、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記保護塗装は、約0.1オングストロームから1ミクロンの厚さで施される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記スズ堆積物は少なくとも80重量%から100重量%のスズを含有し、前記基板は電子部品である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記基板は、電気めっき可能な部分と電気めっき不可能な部分とを含む電子部品であって、且つ、前記スズ堆積物は、前記電気めっき可能な部分に含まれる、ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記基板は、銅から成る、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
微細粒子化したスズ堆積物が存在する銅表面を含むスズめっきされた電子部品であって、スズ・ウィスカ形成又は成長を最小化し又は防止する以下の一つ以上を備えるスズ堆積物を含む改良がなされたことを特徴とする電子部品。
(a)大きい粒子構造を有するスズ堆積物と比較して、前記スズ堆積物がスズ・ウィスカの形成又は成長を起こりにくくするような微細粒子化した構造。
(b)表面酸化物を有するスズ堆積物と比較して、前記スズ堆積物が、本質的に表面酸化物がなく且つスズ・ウィスカの形成又は成長を起こりにくくするような、微量又は少量のリン。
(c)保護層を有しないスズ堆積物と比較して、ウィスカ形成又は成長を起こりにくくするような保護層。
【請求項16】
前記スズ堆積物は、大きい粒子構造を有するスズ堆積物と比較してスズ・ウィスカ形成又は成長を起こりにくくするように、約0.05から5ミクロンの平均粒子直径を有する微細粒子化した構造を提供される、ことを特徴とする請求項15に記載のスズめっきされた電子部品。
【請求項17】
前記スズ堆積物は、前記堆積物が温度又は湿度に曝されている時でさえ前記スズ堆積物が本質的に表面酸化物がなく、且つ表面酸化物を有する堆積物よりもウィスカ形成又は成長を起こりにくくするように、微量又は少量のリンを含む、ことを特徴とする請求項15に記載のスズめっきされた電子部品。
【請求項18】
前記リンは、前記スズ堆積物中に、約0.1ppmから30重量%の量で存在する、ことを特徴とする請求項17に記載のスズめっきされた電子部品。
【請求項19】
前記スズ堆積物は、保護層を有しない堆積物と比較してスズ・ウィスカの形成又は成長を起こしにくくするように保護層を含み、前記保護層は、リン化合物、メルカプタン化合物、若しくは、有機化合物又は有機金属化合物の1つ以上を含む後処理溶液に浸すか又は接触させることによって提供される、ことを特徴とする請求項15に記載のスズめっきされた電子部品。
【請求項20】
前記保護塗装は、約0.1オングストロームから1ミクロンの厚さで存在する、ことを特徴とする請求項19に記載のスズめっきされた電子部品。

【公表番号】特表2009−500527(P2009−500527A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−521404(P2008−521404)
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【国際出願番号】PCT/US2006/024513
【国際公開番号】WO2007/008369
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(594042974)テクニック・インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】