説明

スタイリング化粧料

【課題】ベタつきがなく、毛髪をしっかりと固めることなく、さらさらとした質感でスタイルを保持することに優れ、再整髪可能で毛髪への塗布性に優れたスタイリング化粧料を提供する。
【解決手段】本発明のスタイリング化粧料は、(A)アクリル酸ヒドロキシエチルとアクリル酸メトキシエチルの共重合体、(B)ノニオン性界面活性剤、および(C)多価アルコールを夫々含有し、且つ前記(A)アクリル酸ヒドロキシエチルとアクリル酸メトキシエチルの共重合体と、前記(C)多価アルコールの質量割合[(A):(C)]が、2:1〜1:8である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアスタイルを整えるために用いられるスタイリング化粧料に関するものであり、特にベタつきがなく、毛髪をしっかりと固めることなく(手ぐしが通りやすい)、さらさらとした質感でスタイルを保持することに優れ、再整髪可能なスタイリング化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ヘアスタイルを整える際、ワックスに代表されるような固形油脂でセットするタイプのものやミストやスプレーに代表されるような皮膜形成ポリマーでセットするタイプのものが知られている。
【0003】
従来、ミストやスプレーに代表されるような皮膜形成ポリマーでセットするタイプのものに関しては、スタイリング化粧料を塗布後、毛髪を乾燥させると皮膜形成ポリマーが固化してしまい再整髪ができなくなるという問題がある。また、皮膜形成ポリマーが固化した後に手直しをすることで、皮膜が破壊されヘアスタイルが崩れ、フレーキング(白色の粉を吹く現象)が発生し、髪がゴワゴワする原因となっている。
【0004】
これらの問題を解決するために、毛髪にできた皮膜を柔軟にしたスタイリング化粧料が様々提案されている(例えば、特許文献1〜5)。しかしながら、これまで提案されているスタイリング化粧料では、皮膜形成ポリマーの固化後の皮膜を柔軟にすることで、フレーキングの発生を抑えるという点では改良がなされているものの、再整髪性という点では、不十分である。また、皮膜の柔軟性を高めるために、多価アルコールや多価アルコール誘導体を皮膜形成ポリマーの可塑剤として用いる場合があるが、その場合仕上がりが重くなり、毛髪がベタつき、ヘアスタイルが崩れやすくなるといった欠点がある。
【0005】
また、これらのスタイリング化粧料では、多くの場合ミストやスプレーなど霧状に噴霧して毛髪に塗布する形態のものが多いが、こうした形態のものでは塗布する際に思った箇所に塗布しにくく、部分的に多く塗布してしまうこともあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−286139号公報
【特許文献2】特開2005−082576号公報
【特許文献3】特開2006−151899号公報
【特許文献4】特許第3484254号公報
【特許文献5】特許第3611082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこうした状況の下でなされたものであり、その目的は、上記のようなスタイリング化粧料の従来技術における問題点を解決し、ベタつきがなく、毛髪をしっかりと固めることなく(手ぐしが通りやすい)、さらさらとした質感でスタイルを保持することに優れ、再整髪可能で毛髪への塗布性に優れたスタイリング化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成することができた本発明のスタイリング化粧料とは、(A)アクリル酸ヒドロキシエチルとアクリル酸メトキシエチルの共重合体、(B)ノニオン性界面活性剤、および(C)多価アルコールを夫々含有し、且つ前記(A)アクリル酸ヒドロキシエチルとアクリル酸メトキシエチルの共重合体と、前記(C)多価アルコールの質量割合[(A):(C)]が、2:1〜1:8である点に要旨を有するものである。
【0009】
本発明のスタイリング化粧料においては、(A)アクリル酸ヒドロキシエチルとアクリル酸メトキシエチルの共重合体の含有量はスタイリング化粧料全体に占める割合で0.1〜10.0質量%であることが好ましい。また、(A)アクリル酸ヒドロキシエチルとアクリル酸メトキシエチルの共重合体は、アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体および/またはジメチルアクリルアミド・アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体が好ましいものとして挙げられる。
【0010】
本発明のスタイリング化粧料において、(B)ノニオン性界面活性剤の含有量はスタイリング化粧料全体に占める割合で0.01〜10.0質量%であることが好ましい。この(B)ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油および/またはポリオキシエチレンステアリルエーテルが好ましいものとして挙げられる。また本発明で用いる(C)多価アルコールとしては、グリセリンおよび/またはジグリセリンが好ましいものとして挙げられる。
【0011】
本発明のスタイリング化粧料には、必要によって、更に、(a)N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体および/またはアクリル樹脂アルカノールアミンや、(b)ポリアクリル酸ナトリウム等を含有することも好ましく、含有される成分に応じてスタイリング化粧料の特性が更に改善される。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、(A)アクリル酸ヒドロキシエチルとアクリル酸メトキシエチルの共重合体、(B)ノニオン性界面活性剤、および(C)多価アルコールを夫々含有させると共に、(A)アクリル酸ヒドロキシエチルとアクリル酸メトキシエチルの共重合体と(C)多価アルコールの質量割合を適切に規定することによって、ベタつきがなく、毛髪をしっかりと固めることなく(手ぐしが通りやすい)、さらさらとした質感でスタイルを保持することに優れ、再整髪可能で毛髪への塗布性に優れたスタイリング化粧料が実現できた。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明者らは、上記目的に適うスタイリング化粧料を実現するべく、様々な角度から検討した。その結果、(A)アクリル酸ヒドロキシエチルとアクリル酸メトキシエチルの共重合体、(B)ノニオン性界面活性剤、および(C)多価アルコールを併用すると共に、(A)アクリル酸ヒドロキシエチルとアクリル酸メトキシエチルの共重合体と、(C)多価アルコールの質量割合を適切に規定したスタイリング化粧料では、上記目的が見事に達成されることを見出し、本発明を完成した。
【0014】
本発明のスタイリング化粧料は、(A)アクリル酸ヒドロキシエチルとアクリル酸メトキシエチルの共重合体、(B)ノニオン性界面活性剤および(C)多価アルコールを少なくとも含有させたものであるが、(A)アクリル酸ヒドロキシエチルとアクリル酸メトキシエチルの共重合体と(C)多価アルコールの質量割合[(A):(C)]を、2:1〜1:8とする必要がある。(A)が2に対して(C)が1よりも少なくなると、樹脂特有のバリバリとした質感が感じられる。(A)が1に対して(C)が8より多くなり過ぎると、保湿感が強くなり過ぎて十分なセット力が得られない。尚、質量割合[(A):(C)]は、1:4〜1:7であることが好ましい。
【0015】
本発明で用いる(A)アクリル酸ヒドロキシエチルとアクリル酸メトキシエチルの共重合体は、水やアルコール類などの溶媒に溶解し、毛髪に塗布した後に溶媒の蒸発に伴い毛髪に皮膜を形成し、毛髪を固定する物質(以下、このような物質を「皮膜形成ポリマー」と呼ぶ)としての機能を発揮する。
【0016】
本発明で用いる(A)アクリル酸ヒドロキシエチルとアクリル酸メトキシエチルの共重合体[以下、「(A)成分」と呼ぶことがある]としては、様々なものがあるが、好ましいものとして、アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体やジメチルアクリルアミド・アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体等があり、これらを単独または併用して用いることができる。この(A)成分は、従来の皮膜形成ポリマーとは異なり、柔らかい皮膜を形成する効果を発揮する。
【0017】
本発明で用いる(A)成分の含有量は特に限定されないが、スタイリング化粧料全体に占める割合で0.1〜10.0質量%程度であることが好ましい。より好ましくは、0.5質量%以上、5.0質量%以下である。(A)成分の含有量が0.1質量%よりも少なくなると、十分なセット力が得られない。(A)成分の含有量が10.0質量%よりも多くなると、樹脂特有のバリバリとした質感になり柔軟な皮膜が得られなくなるばかりか、フレーキング発生の原因となる。
【0018】
本発明で用いる(A)成分の市販品としては、例えば「プラスサイズ L−222」(アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体)、「プラスサイズ L−2700」(ジメチルアクリルアミド・アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体)[商品名:互応化学工業株式会社製]等を挙げることができる。
【0019】
本発明で用いる(B)ノニオン性界面活性剤[以下、「(B)成分」と呼ぶことがある]は、皮膜形成ポリマーによる樹脂特有のバリバリとした質感を軽減し、適度な粘着性で再整髪性を付与することができる。また、溶解性を向上させる効果があり、スタイリング化粧料自身の透明性にも関与する。
【0020】
本発明で用いる(B)成分の含有量は特に限定されないが、スタイリング化粧料全体に占める割合で0.01〜10.0質量%程度であることが好ましい。より好ましくは、2.0質量%以上、6.0質量%以下である。(B)成分の含有量が0.01質量%より少なくなると、皮膜形成ポリマーによる樹脂特有のバリバリとした質感が感じられたり、粘着性が低下し再整髪性が弱くなる。また溶解性が低下し、スタイリング化粧料自身が濁る恐れがある。また(B)成分の含有量が10.0質量%よりも多くなると、粘着性が増しベタつきの原因となる。
【0021】
上記(B)成分としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン還元ラノリン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等を用いることができるが、このうち特にポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とポリオキシエチレンステアリルエーテルが好ましい。
【0022】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の市販品としては、「EMALEX HC−100」、「EMALEX HC−80」、「EMALEX HC−40」、「EMALEX HC−20」、「EMALEX HC−10」(商品名:日本エマルジョン株式会社製)、「NIKKOL HCO−100」、「NIKKOL HCO−80」、「NIKKOL HCO−40」、「NIKKOL HCO−20」、「NIKKOL HCO−10」(商品名:日光ケミカルズ株式会社製)、「エマノーンCH−80」、「エマノーンCH−60(K)」、「エマノーンCH−40」(商品名:花王株式会社製)、「ノイゲン HC−400」(商品名:第一工業製薬株式会社製)等を例示することができる。
【0023】
ポリオキシエチレンステアリルエーテルの市販品としては、「EMALEX 625」、「EMALEX 640」、「EMALEX 630」、「EMALEX 620」、「EMALEX 611」(商品名:日本エマルジョン株式会社製)、「ノニオンS−220」、「ノニオンS−215」(商品名:日油株式会社製)等を例示することができる。
【0024】
本発明で用いる(C)多価アルコール[以下、「(C)成分」と呼ぶことがある]は、皮膜形成ポリマーによる樹脂特有のバリバリとした質感を軽減し、適度な粘着性で再整髪性を付与することができる。(C)成分の好ましいものとしては、グリセリンやジグリセリンが挙げられ、これらを単独または併用して用いることができる。
【0025】
(C)成分の含有量は特に限定されないが、スタイリング化粧料全体に占める割合で0.1〜15.0質量%程度であることが好ましい。より好ましくは、2.0質量%以上、10.0質量%以下である。(C)成分の含有量が0.1質量%より少なくなると、皮膜形成ポリマーによる樹脂特有のバリバリとした質感が感じられたり、粘着性が低下し再整髪性が弱くなる。(C)成分の含有量が15.0質量%よりも多くなると、粘着性が増しベタつきの原因となる。
【0026】
本発明のスタイリング化粧料には、必要によってN−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体やアクリル樹脂アルカノールアミンを含有することも有効である。これらの成分は、毛髪へのセット力を更に向上するのに有効に作用する。
【0027】
これらN−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体やアクリル樹脂アルカノールアミンは単独または併用して用いることができるが、その含有量は、スタイリング化粧料全体の占める割合(合計量)で0.1〜10.0質量%程度であることが好ましい。より好ましくは0.5質量%以上、5.0質量%以下である。
【0028】
N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体やアクリル樹脂アルカノールアミンの含有量が0.1質量%より少なくなると、十分なセット力が得ることができない。またN−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体やアクリル樹脂アルカノールアミンの含有量が10.0質量%よりも多くなると、樹脂特有のバリバリとした質感が感じられるばかりか、フレーキングの発生の原因となる。
【0029】
N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体の市販品としては、「ユカフォーマー301」(商品名:三菱化学株式会社製)、「RAMレジン」(商品名:大阪有機化学工業株式会社製)等を例示することができる。
【0030】
アクリル樹脂アルカノールアミンの市販品としては、「アニセット KB−100H」、「アニセット NF−1000」、「アニセット AQ−2500」(商品名:大阪有機化学工業株式会社製)、「プラスサイズ L−6466」、「プラスサイズ L−9909B」(商品名:互応化学工業株式会社製)等を例示することができる。
【0031】
本発明のスタイリング化粧料には、必要によってポリアクリル酸ナトリウムを含有することも有効である。このポリアクリル酸ナトリウムは、増粘剤としての機能を有し、毛髪への塗布性を向上させる効果を発揮する。
【0032】
本発明で用いることのあるポリアクリル酸ナトリウムの含有量は特に限定されないが、スタイリング化粧料の粘度が5〜100mPa・s程度、特に10〜50mPa・s程度の範囲で調整できる含有量であることが好ましい。
【0033】
スタイリング化粧料の粘度が5mPa・sより低くなると、手にとり毛髪に塗布する際に手から垂れ落ちたり、毛髪に馴染みすぎ、部分的にしか塗布できないことがある。スタイリング化粧料の粘度が100mPa・sより高くなると、粘性が高すぎて、毛髪への馴染みが悪くなる。また、増粘剤によるバリバリとした質感が感じられるようになる。
【0034】
本発明のスタイリング化粧料には、上記以外にもスタイリング化粧料に通常添加されるような成分(添加剤)を含有することができる。こうした添加剤としては、タンパク質類、アミノ酸類、紫外線吸収剤、保湿剤、油脂類、ラノリン類、高級アルコール類、フッ素系化合物類、シリコーン類、カチオン化ポリマー類、界面活性剤(カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤)、消臭剤、防腐剤、キレート剤、pH調整剤、溶剤、抗炎症剤、香料、色素などを挙げることができ、これらを適宜配合することができる。
【実施例】
【0035】
次に、実施例によって本発明をより具体的に示すが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは、全て本発明の技術的範囲に包含される。
【0036】
[実施例1]
(試験用毛束の作製)
化学的処理(例えば、パーマ処理、ヘアカラー処理、ブリーチ処理等)を全く受けていない毛髪を用いて、長さ約20cm、重さ15gの試験用毛束を作製し、完全に乾燥させた後に以下の評価に用いた。
【0037】
(毛髪のベタつき感の評価方法)
専門パネラー10名により、試験用毛束(長さ:約20cm、重さ:15g)に、各処方例で調製したスタイリング化粧料を1.0g塗布し、くしで毛髪に均一にのばした。その後、20℃、湿度60%で24時間以上調湿し、毛髪のベタつき感を下記の3段階評価(評価点:1〜3)で官能評価し、評価点の平均値を求め、以下の評価基準で評価した。
3点:全くベタつかない
2点:ほとんどベタつかない
1点:ベタつく
【0038】
[ベタつき感の評価基準]
○:2点以上
△:1.5点以上、2点未満
×:1点以上、1.5点未満
【0039】
(セット後の毛髪の指通りの評価方法)
専門パネラー10名により、試験用毛束(長さ:約20cm、重さ:15g)に、各処方例で調製したスタイリング化粧料を1.0g塗布し、くしで毛髪に均一にのばした。その後、20℃、湿度60%で24時間以上調湿し、毛髪の指通りを下記の3段階評価(評価点)で官能評価し、評価点の平均値を求め、以下の基準で判定した。
3点:非常に指が通りやすい
2点:指が通りやすい
1点:指が通らない
【0040】
[指通りの評価基準]
○:2点以上
△:1.5点以上、2点未満
×:1点以上、1.5点未満
【0041】
(毛髪の再整髪性の評価方法)
専門パネラー10名により、試験用毛束(長さ:約20cm、重さ:5g)に、各処方例で調製したスタイリング化粧料を0.5g塗布し、くしで毛髪に均一にのばした。その後ロッド(直径30mm)に巻きつけ、カール形成した状態で20℃、湿度60%で24時間以上調湿し、ロッドを取り除いた後、再び毛髪をくしで通し、カール形成の再現性を毛髪の再整髪性として下記の3段階評価(評価点)で官能評価し、評価点の平均値を求め、以下の基準で判定した。
3点:非常に再整髪しやすい
2点:再整髪しやすい
1点:再整髪しにくい
【0042】
[再整髪性の評価基準]
○:2点以上
△:1.5点以上、2点未満
×:1点以上、1.5点未満
【0043】
(フレーキング抑制力の評価方法)
専門パネラー10名により、試験用毛束(長さ:約20cm、重さ:15g)に、各処方例で調製したスタイリング化粧料を1.0g塗布し、くしで毛髪に均一にのばした。その後、20℃、湿度60%で24時間以上調湿し、毛髪をくしで根元から毛先へ連続して10回コーミングし、毛髪上のフレーキングを目視評価で下記の2段階評価し、以下の基準で判定した。
A:フレーキングが認められない
B:フレーキングが認められる
【0044】
[フレーキング抑制力の評価基準]
○:A評価としたパネラーが7人〜10人
△:A評価としたパネラーが4人〜6人
×:A評価としたパネラーが0人〜3人
【0045】
(塗布性(毛髪へのなじみやすさ)の評価方法)
専門パネラー10名により、試験用毛束(長さ:約20cm、重さ:15g)に、各処方例で調製したスタイリング化粧料を1.0g塗布した際の塗布性(毛髪へのなじみ)を下記の3段階評価(評価点)で官能評価し、評価点の平均値を求め、以下の基準で判定した。
3点:非常に塗布しやすい(非常に毛髪へのなじみが良い)
2点:塗布しやすい(毛髪へのなじみが良い)
1点:塗布しにくい(毛髪へのなじみが悪い)
【0046】
[塗布性の評価基準]
○:2点以上
△:1.5点以上、2点未満
×:1点以上、1.5点未満
【0047】
これらの結果を、スタイリング化粧料の処方例(処方例1〜13)と共に、下記表1、2に示す。
【0048】
【表1】

【0049】
尚、表1に示した各成分の商品名は、下記の通りである。
(1)(A)アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体:「プラスサイズ L−222」(互応化学工業株式会社製)
(2)(A)ジメチルアクリルアミド・アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体:「プラスサイズ L−2700」(互応化学工業株式会社製)
(3)N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体:「ユカフォーマー301」(三菱化学株式会社製)
(4)アクリル樹脂アルカノールアミン:「プラスサイズ L−6466」(互応化学工業株式会社製)
(5)(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(80E.O.):「NIKKOL HCO−80」(日光ケミカルズ株式会社製)
【0050】
【表2】

【0051】
尚、表2に示した各成分の商品名は、下記の通りである。
(1)(A)アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体:「プラスサイズ L−222」(互応化学工業株式会社製)[表1のものと同じ]
(2)N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体:「ユカフォーマー301」(三菱化学株式会社製)[表1のものと同じ]
(3)アクリル樹脂アルカノールアミン:「プラスサイズ L−6466」(互応化学工業株式会社製)[表1のものと同じ]
(4)(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(80E.O.):「NIKKOL HCO−80」(日光ケミカルズ株式会社製)[表1のものと同じ]
【0052】
表1の結果から次のように考察できる。(B)ノニオン性界面活性剤および(C)多価アルコールと、(A)アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体またはジメチルアクリルアミド・アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体を用いた場合(処方例1〜3)は、十分なセット後の指通り、再整髪性、フレーキングの抑制力を得ることができることが分かる。
【0053】
しかし、(A)アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体やジメチルアクリルアミド・アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体以外の皮膜形成ポリマーを用いた場合(処方例4〜7)では、十分なセット後の指通り、再整髪性、フレーキングの抑制力を得ることができない。即ち、十分なセット後の指通り、再整髪性、フレーキングの抑制力を得るためには、(A)アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体、ジメチルアクリルアミド・アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体の皮膜形成ポリマーと(B)ノニオン性界面活性剤と(C)多価アルコールが必要であることが分かる。
【0054】
表2の結果から次のように考察できる。(A)アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体が0.1質量%未満の場合(処方例8)では、十分な再整髪性が得られない。また、(A)アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体が10.0質量%より多い場合(処方例13)では、セット力としっとり感が強くなりすぎ、毛髪に樹脂特有のバリバリとした質感と共にベタつきが感じられ、セット後の指通りや再整髪性、塗布性も悪くなることが分かる。これに対して、(A)アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体が0.1〜10.0質量%の場合(処方例9〜12)では、ベタつき感もなく、十分なセット後の指通り、再整髪性、フレーキングの抑制力を得ることができることが分かる。
【0055】
[実施例2]
(試験用毛束の作製および評価方法)
化学的処理(例えば、パーマ処理、ヘアカラー処理、ブリーチ処理など)を全く受けていない毛髪を用いて、長さ約20cm、重さ15gの試験用毛束を作製し、完全に乾燥させた後、下記表3、4に示す各種スタイリング化粧料(処方例14〜25)を用いて実施例1と同様に評価した。
【0056】
これらの結果を、スタイリング化粧料の処方例(処方例14〜25)と共に、下記表3、4に示す。尚、表3、4には、比較のために表2に示した処方例10の結果も同時に示した。
【0057】
【表3】

【0058】
尚、表3に示した各成分の商品名は、下記の通りである。
(1)(A)アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体:「プラスサイズ L−222」(互応化学工業株式会社製)[表1のものと同じ]
(2)N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体:「ユカフォーマー301」(三菱化学株式会社製)[表1のものと同じ]
(3)アクリル樹脂アルカノールアミン:「プラスサイズ L−6466」(互応化学工業株式会社製)[表1のものと同じ]
(4)(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(80E.O.):「NIKKOL HCO−80」(日光ケミカルズ株式会社製)[表1のものと同じ]
(5)(B)ポリオキシエチレンヒマシ油(40E.O.):「EMALEX C−40」(日本エマルジョン株式会社製)
(6)(B)ポリオキシエチレン還元ラノリン(40E.O.):「POLYCHOL WH−400」(クローダジャパン株式会社製)
【0059】
【表4】

【0060】
尚、表4に示した各成分の商品名は、下記の通りである。
(1)(A)アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体:「プラスサイズ L−222」(互応化学工業株式会社製)[表1のものと同じ]
(2)N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体:「ユカフォーマー301」(三菱化学株式会社製)[表1のものと同じ]
(3)アクリル樹脂アルカノールアミン:「プラスサイズ L−6466」(互応化学工業株式会社製)[表1のものと同じ]
(4)(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(80E.O.):「NIKKOL HCO−80」(日光ケミカルズ株式会社製)[表1のものと同じ]
(5)(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.):「EMALEX HC−40」(日本エマルジョン株式会社製)
(6)(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(20E.O.):「EMALEX HC−20」(日本エマルジョン株式会社製)
(7)(B)ポリオキシエチレンステアリルエーテル(40E.O.):EMALEX 640」(日本エマルジョン株式会社製)
(8)(B)ポリオキシエチレンステアリルエーテル(20E.O.):EMALEX 620」(日本エマルジョン株式会社製)
【0061】
表3の結果から次のように考察できる。(B)ノニオン性界面活性剤を用いた場合(処方例10、14、15)では、十分な効果が得られることが分かる。(B)ノニオン性界面活性剤以外のカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤を用いた場合(処方例16〜18)では、樹脂特有のバリバリとした質感が感じられたり、仕上がりが重くなったりし、十分な効果が得られなくなることが分かる。
【0062】
表4の結果から次のように考察できる。(B)ノニオン性界面活性剤としてポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンステアリルエーテルを用いた場合(処方例10、19〜25)では、ポリオキシエチレンの付加モル数(E.O.)に関係なく、十分な効果が得られることが分かる。
【0063】
[実施例3]
(試験用毛束の作製および評価方法)
化学的処理(例えば、パーマ処理、ヘアカラー処理、ブリーチ処理など)を全く受けていない毛髪を用いて、長さ約20cm、重さ15gの試験用毛束を作製し、完全に乾燥させた後、下記表5、6に示す各種スタイリング化粧料(処方例26〜34)を用いて実施例1と同様に評価した。
【0064】
これらの結果を、スタイリング化粧料の処方例(処方例26〜34)と共に、下記表5、6に示す。尚、表5、6には、比較のために前記表2に示した処方例10の結果も同時に示した。
【0065】
【表5】

【0066】
尚、表5に示した各成分の商品名は、下記の通りである。
(1)(A)アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体:「プラスサイズ L−222」(互応化学工業株式会社製)[表1のものと同じ]
(2)N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体:「ユカフォーマー301」(三菱化学株式会社製)[表1のものと同じ]
(3)アクリル樹脂アルカノールアミン:「プラスサイズ L−6466」(互応化学工業株式会社製)[表1のものと同じ]
(4)(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(80E.O.):「NIKKOL HCO−80」(日光ケミカルズ株式会社製)[表1のものと同じ]
【0067】
【表6】

【0068】
尚、表6に示した各成分の商品名は、下記の通りである。
(1)(A)アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体:「プラスサイズ L−222」(互応化学工業株式会社製)[表1のものと同じ]
(2)N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体:「ユカフォーマー301」(三菱化学株式会社製)[表1のものと同じ]
(3)アクリル樹脂アルカノールアミン:「プラスサイズ L−6466」(互応化学工業株式会社製)[表1のものと同じ]
(4)(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(80E.O.):「NIKKOL HCO−80」(日光ケミカルズ株式会社製)[表1のものと同じ]
【0069】
表5の結果から次のように考察できる。(B)ノニオン性界面活性剤が0.01質量%未満の場合(処方例26)では、ノニオン界面活性剤による樹脂への可塑性が弱くなり、樹脂特有のバリバリとした感触が感じられ、再整髪性も低下することが分かる。(B)ノニオン性界面活性剤が10.0質量%より多い場合(処方例30)では、仕上がりが重くなりベタつき感が感じられる。そのため、セット後の指通りや再整髪性、塗布性が悪くなることが分かる。
【0070】
表6の結果から次のように考察できる。(C)多価アルコールとしてグリセリンやジグリセリンを用いた場合(処方例10、31、32)では、十分な効果が得られることが分かる。一方、(C)多価アルコールとして、1,3−ブチレングリコールやプロピレングリコールを用いた場合(処方例33、34)では、樹脂特有のバリバリとした質感が感じられ、十分な効果が得られないことが分かる。
【0071】
[実施例4]
(試験用毛束の作製および評価方法)
化学的処理(例えば、パーマ処理、ヘアカラー処理、ブリーチ処理など)を全く受けていない毛髪を用いて、長さ約20cm、重さ15gの試験用毛束を作製し、完全に乾燥させた後、下記表7に示す各種スタイリング化粧料(処方例35〜38)を用いて実施例1と同様に評価した。
【0072】
これらの結果を、スタイリング化粧料の処方例(処方例35〜38)と共に、下記表7に示す。
【0073】
【表7】

【0074】
尚、表7に示した各成分の商品名は、下記の通りである。
(1)(A)アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体:「プラスサイズ L−222」(互応化学工業株式会社製)[表1のものと同じ]
(2)N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体:「ユカフォーマー301」(三菱化学株式会社製)[表1のものと同じ]
(3)アクリル樹脂アルカノールアミン:「プラスサイズ L−6466」(互応化学工業株式会社製)[表1のものと同じ]
(4)(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(80E.O.):「NIKKOL HCO−80」(日光ケミカルズ株式会社製)[表1のものと同じ]
【0075】
この結果から次のように考察できる。(A)アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体1に対して(C)多価アルコールが0.5[質量比:即ち(A):(C)=2:1]より少ない場合(処方例35)では、樹脂特有のバリバリとした質感が感じられ、セット後の指通りや再整髪性が得られないことが分かる。また(A)アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体1に対して、(C)多価アルコールが8より多い場合(処方例38)では、保湿感がありすぎ、ベタつき感を感じてしまうことが分かる。これに対し、(A)アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体と(C)多価アルコールの質量割合が適正[(A): (C)=2:1〜1:8]な場合(処方例36、37)には、ベタつき感もなく、十分なセット後の指通り、再整髪性、塗布性、フレーキングの抑制力を得ることができることが分かる。
【0076】
[実施例5]
(試験用毛束の作製および評価方法)
化学的処理(例えば、パーマ処理、ヘアカラー処理、ブリーチ処理など)を全く受けていない毛髪を用いて、長さ約20cm、重さ15gの試験用毛束を作製し、完全に乾燥させた後、下記表8、9に示す各種スタイリング化粧料(処方例39〜45)を用いて実施例1と同様に評価すると共に(但し、フレーキングの抑制力を除く)、下記の方法によってスタイリング化粧料の粘度を測定した。
【0077】
(粘度の測定方法)
各処方例で調製したスタイリング化粧料を液温30℃に調整し、BM型粘度計を用いて、以下の条件で測定した。
[測定条件]
粘度計 :BM型粘度計(トキメック社製)
ローター:ローターNo.1
回転数 :60回転/1分間
測定時間:1分間
【0078】
これらの結果を、スタイリング化粧料の処方例(処方例39〜45)と共に、下記表8、9に示す。尚、表8、9には、比較のために前記表2に示した処方例10の結果も同時に示した。
【0079】
【表8】

【0080】
尚、表8に示した各成分の商品名は、下記の通りである。
(1)(A)アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体:「プラスサイズ L−222」(互応化学工業株式会社製)[表1のものと同じ]
(2)N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体:「ユカフォーマー301」(三菱化学株式会社製)[表1のものと同じ]
(3)アクリル樹脂アルカノールアミン:「プラスサイズ L−6466」(互応化学工業株式会社製)[表1のものと同じ]
(4)(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(80E.O.):「NIKKOL HCO−80」(日光ケミカルズ株式会社製)[表1のものと同じ]
【0081】
【表9】

【0082】
尚、表9に示した各成分の商品名は、下記の通りである。
(1)(A)アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体:「プラスサイズ L−222」(互応化学工業株式会社製)[表1のものと同じ]
(2)N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体:「ユカフォーマー301」(三菱化学株式会社製)[表1のものと同じ]
(3)アクリル樹脂アルカノールアミン:「プラスサイズ L−6466」(互応化学工業株式会社製)[表1のものと同じ]
(4)(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(80E.O.):「NIKKOL HCO−80」(日光ケミカルズ株式会社製)[表1のものと同じ]
【0083】
表8の結果から次のように考察できる。増粘剤としてポリアクリル酸ナトリウムを用いた場合(処方例10)では、適度な粘り感があり髪へのなじみが良く(なじみ過ぎず、なじみにくくない)、塗布性が良いことが分かる。増粘剤としてキサンタンガムやヒドロキシエチルセルロースを用いた場合(処方例39、40)では、適度な粘性は得られるもののなじみにくく、塗布性が悪いことが分かる。
【0084】
表9の結果から次のように考察できる。増粘剤としてポリアクリル酸ナトリウムを含有させる際、粘度が5mPa・s未満の場合(処方例41)では、粘性が低くトロみが少ないため毛髪に均一に塗布できない。粘度が100mPa・sより高い場合(処方例45)では、トロみが強すぎ毛髪へのなじみが悪い。また仕上がりが重くなりベタつき感が感じられる。
【0085】
[実施例6]
(試験用毛束の作製および評価方法)
化学的処理(例えば、パーマ処理、ヘアカラー処理、ブリーチ処理など)を全く受けていない毛髪を用いて、長さ約20cm、重さ1.0gの試験用毛束を作製し、完全に乾燥させた後、下記表10に示す各種スタイリング化粧料(処方例46〜50)を用いて実施例1と同様に評価すると共に、下記の方法によってスタイルの保持性について評価した。
【0086】
(スタイルの保持性の評価方法)
試験用毛束にスタイリング化粧料0.1gを塗布し、ロッドに巻きつけ固定し、60℃で30分間乾燥させ、カールを形成した。その後、20℃、湿度60%で1時間以上放置し冷却し、ロッドから毛髪を外した。カールを形成した毛髪を20℃で1時間放置した後(相対湿度:60%)、その自然長を比較することにより、スタイルの保持性を評価した。カール形成直後の長さ(自然長:吊るした状態での長さ)を100%とし、1時間放置後の自然長が長くなるにつれて、スタイルの保持性が低くなると評価できるものである。そして、以下の評価基準で判定した。
【0087】
[スタイルの保持性の評価基準]
○:100%以上、125%未満
△:125%以上、140%未満
×:140%以上
【0088】
これらの結果を、スタイリング化粧料の処方例(処方例46〜50)と共に、下記表10に示す。
【0089】
【表10】

【0090】
尚、表10に示した各成分の商品名は、下記の通りである。
(1)(A)アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体:「プラスサイズ L−222」(互応化学工業株式会社製)[表1のものと同じ]
(2)N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体:「ユカフォーマー301」(三菱化学株式会社製)[表1のものと同じ]
(3)アクリル樹脂アルカノールアミン:「プラスサイズ L−6466」(互応化学工業株式会社製)[表1のものと同じ]
(4)(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(80E.O.):「NIKKOL HCO−80」(日光ケミカルズ株式会社製)[表1のものと同じ]
(5)(B)ポリオキシエチレンステアリルエーテル(40E.O.):EMALEX 640」(日本エマルジョン株式会社製)[表4のものと同じ]
【0091】
この結果から次のように考察できる。(A)アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体と共に、N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体やアクリル樹脂アルカノールアミンを用いた場合(処方例46〜48)では、スタイルの保持性も良く、十分な効果が得られていることが分かる。
【0092】
これに対して、(A)アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体と共に、ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩や酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体を用いた場合(処方例49、50)では、樹脂特有のバリバリとした質感が感じられ、再整髪性やスタイリングの保持性で十分な効果が得られていないことがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アクリル酸ヒドロキシエチルとアクリル酸メトキシエチルの共重合体、(B)ノニオン性界面活性剤、および(C)多価アルコールを夫々含有し、且つ前記(A)アクリル酸ヒドロキシエチルとアクリル酸メトキシエチルの共重合体と、前記(C)多価アルコールの質量割合[(A):(C)]が、2:1〜1:8であることを特徴とするスタイリング化粧料。
【請求項2】
前記(A)アクリル酸ヒドロキシエチルとアクリル酸メトキシエチルの共重合体の含有量がスタイリング化粧料全体に占める割合で0.1〜10.0質量%である請求項1に記載のスタイリング化粧料。
【請求項3】
前記(A)アクリル酸ヒドロキシエチルとアクリル酸メトキシエチルの共重合体が、アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体および/またはジメチルアクリルアミド・アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体である請求項1または2に記載のスタイリング化粧料。
【請求項4】
前記(B)ノニオン性界面活性剤の含有量がスタイリング化粧料全体に占める割合で0.01〜10.0質量%である請求項1〜3のいずれかに記載のスタイリング化粧料。
【請求項5】
前記(B)ノニオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油および/またはポリオキシエチレンステアリルエーテルである請求項1〜4のいずれかに記載のスタイリング化粧料。
【請求項6】
前記(C)多価アルコールが、グリセリンおよび/またはジグリセリンである請求項1〜5のいずれかに記載のスタイリング化粧料。
【請求項7】
更に、N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体および/またはアクリル樹脂アルカノールアミンを含有するものである請求項1〜6のいずれかに記載のスタイリング化粧料。
【請求項8】
更に、ポリアクリル酸ナトリウムを含有するものである請求項1〜7のいずれかに記載のスタイリング化粧料。

【公開番号】特開2011−251930(P2011−251930A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126200(P2010−126200)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(000213482)中野製薬株式会社 (57)
【Fターム(参考)】