説明

スタッカー

【課題】プリンタから排出される印刷済シートを収容するスタッカーにおいて、シートの裏返りや向きの不揃いが生じにくい構成を提供する。
【解決手段】スタッカー1は、印刷済シートを順次積み重ねて蓄積する箱状の本体部2と、この本体部2を取付対象物に固定する固定部とを備えており、本体部2は、プリンタ側に配置されるべき前面部11と、前面部11と対向して配置される背面部12と、互いに対向して配置される一対の側面部15,16と、蓄積される印刷済シートを支持する底面部18とによって構成されている。更に、背面部12には、本体部2の内部と外部とを連通する背面側空隙部12aが形成されており、この背面側空隙部12aは、背面部12における底面部側の所定位置から当該背面部12の上端部に至るまで連続した形態をなしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタッカーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、「かんばん」と称される現品票が生産現場等で使用されている。この種の現品票を作成する場合、一般的には、矩形状の原紙にプリンタによって必要な情報を印刷する方法が用いられ、通常は、効率性を考慮して一度に大量の現品票を印刷することが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3097374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように現品票を大量に印刷する場合、印刷済みのシートを一時的に蓄積する容器が必要となり、現状では、例えば、プリンタの排出口側に現品票を蓄積するための収容箱を配置し、その内部に印刷済の現品票を積み重ねて収容するといった方法が採られている。また、紙票を蓄積するスタッカーに関する技術として、例えば特許文献1のようなものも提供されている。
【0005】
しかしながら、上記のように現品票を大量に印刷する場合、従来の収容箱では、スタッカーに蓄積する蓄積過程において一部の印刷済シートが裏返ったり、あるいは向きが不揃いになるといった問題が生じやすかった。このように裏返りや向きの不揃いが生じると、印刷後の確認作業の負担が増大するばかりでなく、必要に応じて並べ替えや向きを修正しなければならないため、ユーザの負担が大きくならざるを得ない。
【0006】
一方、特許文献1のスタッカーは、プリンタから排出された印刷済シートを揃えて蓄積するという共通性はあるものの、排出された印刷済シートを一旦裏返して収容するものであるため、印刷済シートに複雑な挙動を強いることになってしまう。従って、裏返しの過程において失敗が生じやすく、上下面が不揃いとなったり、所望の順序で蓄積されないことが懸念される。また、そもそも排出された印刷済シートを裏返さずに蓄積するという要請に応えるものではなく、「印刷済シートの裏返りを防止する」という課題を解決しうるものではなかった。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、プリンタから排出される印刷済シートを収容するスタッカーにおいて、シートの裏返りや向きの不揃いが生じにくい構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、プリンタから排出される印刷済シートを収容する箱状の本体部と、前記本体部を取付対象物に固定する固定部と、を備え、前記本体部内に前記印刷済シートを順次積み重ねて蓄積するスタッカーとして構成されている。
本発明に係るスタッカーは、前記本体部が、前記プリンタ側に配置されるべき前面部と、前記前面部と対向して配置される背面部と、互いに対向して配置される一対の側面部と、蓄積される前記印刷済シートを支持する底面部と、を備えており、前記背面部において、当該本体部の内部と外部とを連通する背面側空隙部が形成されており、前記背面側空隙部が、前記背面部における前記底面部側の所定位置から上端部まで連続していることを特徴としている。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載のスタッカーであって、前記底面部に、前記本体部の内部と外部とを連通する底面側空隙部が形成されており、前記底面側空隙部によって構成される空隙と、前記背面側空隙部によって構成される空隙とが連続していることを特徴としている。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のスタッカーであって、前記プリンタから排出される前記印刷済シートをスライドさせて前記本体部の上端部側に案内するスライド部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項3に記載のスタッカーであって、前記スライド部が、前記印刷済シートのシート面を支持する支持板と、前記支持板の幅方向両側に形成された一対の案内壁と、を有しており、前記支持板における前記シート面を支持する支持面側に、複数の凸部が形成され、これら複数の凸部の先端部によって前記シート面を支持しつつ前記印刷済シートを案内することを特徴としている。
【0012】
請求項5の発明は、請求項3又は請求項4に記載のスタッカーであって、前記スライド部が、前記印刷済シートのシート面を支持する支持板と、前記支持板の幅方向両側に形成された一対の案内壁と、を有すると共に、前記本体部に回動可能に取り付けられており、水平面に対する前記支持板の傾斜角度が変更可能とされていることを特徴としている。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のスタッカーであって、前記背面部が、前記本体部の幅方向一方側に配置される第1背面部と、幅方向他方側に配置される第2背面部とを有すると共に、前記第1背面部と前記第2背面部とが所定距離隔てて配置されており、前記第1背面部及び前記第2背面部の少なくともいずれか一方が、他方とは独立して変位可能とされ、前記前面部と前記背面部との対向方向における、前記第1背面部の上端部を基準とする前記第2背面部の上端部の相対位置が、変更可能とされていることを特徴としている。
【0014】
請求項7の発明は、請求項6に記載のスタッカーであって、前記第1背面部及び前記第2背面部のいずれもが変位可能とされ、前記対向方向における前記第1背面部の上端部の位置及び前記第2背面部の上端部の位置がそれぞれ独立して変更可能とされていることを特徴とする。
【0015】
請求項8の発明は、請求項6又は請求項7に記載のスタッカーであって、前記第1背面部が、当該第1背面部の下端部側を回動中心とする構成で回動可能に支持され、前記第2背面部が、当該第2背面部の下端部側を回動中心とする構成で回動可能に支持されていることを特徴としている。
【0016】
請求項9の発明は、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のスタッカーであって、前記背面部の少なくとも上端部側の内面に、前記印刷済シートの衝突を吸収する吸収部材が取り付けられていることを特徴としている。
【0017】
請求項10の発明は、請求項9に記載のスタッカーであって、前記吸収部材が、前記背面部の上端部側から下端部側まで連続して配置されていることを特徴としている。
【0018】
請求項11の発明は、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のスタッカーであって、前記底面部が変位可能に構成され、前記本体部の上端部からの深さ、及び水平面に対する傾斜角度の少なくともいずれかが変更可能とされていることを特徴としている。
【0019】
請求項12の発明は、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のスタッカーであって、収容対象(前記プリンタから排出される前記印刷済シート)が、長手状に構成されるものであり、前記本体部が、前記印刷済シートの短手方向の両端部をそれぞれ前記前面部及び前記背面部に対向させて当該印刷済シートを収容することを特徴としている。
【0020】
請求項13の発明は、請求項12に記載のスタッカーであって、収容対象(前記プリンタから排出される前記印刷済シート)が、当該プリンタにおいてロール紙を裁断して形成され、下方側が凸となるように反った状態で、前記本体部に送られるものであることを特徴としている。
【0021】
請求項14の発明は、請求項1から請求項13のいずれか一項に記載のスタッカーであって、前記固定部が、前記プリンタを載置する載置台に固定可能とされており、前記本体部が、前記載置台に固定される前記固定部に着脱可能に取り付けられることを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明は、印刷済シートを収容する箱状の本体部を備えており、この本体部は、プリンタ側に配置される前面部と、前面部と対向する背面部と、互いに対向して配置される一対の側面部と、蓄積される印刷済シートを支持する底面部とを有している。この構成によれば、箱状の本体部の内部に複数の印刷済シートを蓄積、収容することができ、収容時には、箱外からの影響(風等の影響)を効果的に抑え、蓄積された印刷済シートを安定的に保持できるようになる。
更に、背面部において、本体部の内部と外部とを連通する背面側空隙部が形成されており、この背面側空隙部が、背面部における底面部側の所定位置から上端部まで連続している。このようにすると、本体部の上端側から印刷済シートが投入されるときに、印刷済シートの落下によって生じる風圧を背面側空隙部を介して外部に逃がすことができる。従って、落下に伴って生じる風の跳ね返りなどによって当該印刷済シートが裏返ってしまうといった事態を効果的に防止できる。また、背面側空隙部が形成されているため、ユーザは、本体部の背面側から蓄積される印刷済シートにアクセスすることができ、上方側から本体部内に手を深く差し込まずとも蓄積されたシートを取り出すことができる。
【0023】
請求項2の発明は、底面部に本体部の内部と外部とを連通する底面側空隙部が形成されているため、本体部に投入される印刷済シートの風圧を下方からも逃がすことができる。従って、蓄積初期の印刷済シートの落下の際に、当該落下に伴って生じる風が底面部から跳ね返り難くなり、底面部からの風の跳ね返りに起因する裏返りを効果的に防ぐことができる。
また、底面側空隙部によって構成される空隙と、背面側空隙部によって構成される空隙とが連続しているため、上方側から手を深く差し込まずとも最下部の印刷済シートを容易に手に取ることができ、最下部付近の蓄積状態も視認等によって容易に確認することができる。更に、最下部付近の印刷済シートを本体部から取り出すときには、これら連続する空隙に沿って最下部付近にアクセスした手を上方に抜き出すことができる。従って、本体部に収容される印刷済シートを取り出す作業を、最下部付近に至るまで、より容易に且つより迅速に行うことができるようになり、ユーザの作業時間や作業負担を一層効果的に低減することができる。
【0024】
請求項3の発明では、プリンタから排出される印刷済シートをスライドさせて本体部の上端部側に案内するスライド部が設けられている。このようにすると、プリンタから排出される印刷済シートを安定的に上端部側に案内することができ、上端部側から投入される印刷済シートの挙動がばらつきにくくなる。
【0025】
請求項4の発明は、スライド部において、印刷済シートのシート面を支持する支持板と、支持板の幅方向両側に形成された一対の案内壁とが設けられており、支持板におけるシート面を支持する支持面側に複数の凸部が形成されている。そして、これら複数の凸部の先端部によってシート面を支持しつつ印刷済シートを案内している。このようにすると、印刷済シートの移動が幅方向においてある程度拘束されるため、本体部に投入される際に印刷済シートが幅方向にずれにくくなる。また、支持面側に形成された複数の凸部によってシート面を支持しつつ印刷済シートを案内しているため、印刷済シートと支持面の間に生じる摩擦が適度に抑えられ、印刷済シートがより円滑に案内されるようになる。
【0026】
請求項5の発明は、スライド部が回動可能に取り付けられており、水平面に対する支持板の傾斜角度が変更可能とされている。このようにすると、必要に応じて支持板の傾斜角度を変更することができ、例えば、設置環境に応じて指示板の傾斜角度を変更したり、或いはメンテナンスの際に支持板の傾斜角度を変更してメンテナンスしやすくするといった使用方法が可能となる。
【0027】
請求項6の発明は、本体部の幅方向一方側に配置される第1背面部と、幅方向他方側に配置される第2背面部とが設けられ、これら第1背面部及び第2背面部が所定距離隔てて配置されている。そして、第1背面部及び第2背面部の少なくともいずれか一方が、他方とは独立して変位可能とされ、前面部と背面部との対向方向において、第1背面部の上端部を基準とする第2背面部の上端部の相対位置が変更可能とされている。このようにすると、背面部において、第1背面部の上端部を第2背面部の上端部よりもやや前に出したり、逆に第2背面部の上端部を第1背面部の上端部よりもやや前に出す等の調整が可能となり、両背面部の上端部の位置関係を、印刷済シートの投入状況に適した位置関係に調整できるようになる。
【0028】
請求項7の発明は、第1背面部及び第2背面部のいずれもが変位可能とされ、対向方向における第1背面部の上端部の位置及び第2背面部の上端部の位置がそれぞれ独立して変更可能とされている。このようにすると、両背面部と前面部との距離関係を所望の距離関係に設定しつつ、両背面部の上端部同士の位置関係を調整できるようになる。従って、本体部の上端部の開口を、投入状況に応じた適切なサイズに設定しつつ、両背面部の上端部の互いの位置関係についても投入状況に応じた適切な位置関係に設定できるようになり、印刷済シートの挙動を安定させるための調整をより自由度高く行うことができる。
【0029】
請求項8の発明は、第1背面部が、当該第1背面部の下端部側を回動中心とする構成で回動可能に支持され、第2背面部が、当該第2背面部の下端部側を回動中心とする構成で回動可能に支持されている。このようにすると、各背面部の上端部をそれぞれ独立して変位させうる構成を、複雑な構成を用いることなく簡易に実現できる。
【0030】
請求項9の発明は、背面部の少なくとも上端部側の内面に、印刷済シートの衝突を吸収する吸収部材が取り付けられている。このようにすると、投入される印刷済シートが背面部の上端部側に衝突するときに衝撃を吸収して跳ね返り後の速度を抑えることができるため、衝突後において印刷済シートが暴れ難くなり、本体部内での挙動をより安定化することができる。
【0031】
請求項10の発明は、吸収部材が、背面部の上端部側から下端部側まで連続して配置されている。このようにすると、背面部の上端部側のみならず、中央部付近や下端部側においても衝突を吸収できるようになる。従って、印刷済シートが下方に落ちる際の再衝突のときにも跳ね返り速度を抑えることができ、挙動をより安定させることができる。
【0032】
請求項11の発明は、底面部が変位可能に構成され、本体部の上端部からの深さ、及び水平面に対する傾斜角度の少なくともいずれかが変更可能とされている。このようにすると、底面部までの深さ或いは底面部の傾斜角度を使用環境に適した状態に変更でき、内部に収容される印刷済シートの蓄積状態をより自由度高く調整できるようになる。
【0033】
請求項12の発明は、収容対象(プリンタから排出される印刷済シート)が、長手状に構成されるものであり、本体部が、印刷済シートの短手方向の両端部をそれぞれ前面部及び背面部に対向させて当該印刷済シートを収容するように構成されている。
上記のような長手状のシートは、その構成上、背面部から跳ね返る風によって裏返りが生じやすいが、本発明では、背面部に空隙部(背面側空隙部)を設けて背面部側からの跳ね返りの風を抑えているため、上記のような長手状のシートの裏返りをより効果的に防ぐことができる。
【0034】
請求項13の発明は、プリンタにおいてロール紙を裁断して形成され、下方側が凸となるように反った状態で本体部に送られるものを収容対象(印刷済シート)としている。
上記のように沿ったシートは、本体部内においてずれた位置に落ちたり或いはずれた向きで落ちると、シートの構造上、蓄積物全体が嵩張りやすく、また、それ以降に蓄積される印刷済シートの蓄積状態にも影響を与えやすいという問題を抱えている。従って、適切な位置に適切な向きで蓄積されることがより求められるが、本発明では、シートの裏返りや向きの不揃いを効果的に抑えうる構成を採用しているため、このような沿ったシート特有の問題を効果的に解消でき、沿ったシートを安定的に蓄積する上でより有利となる。
【0035】
請求項14の発明は、固定部が、プリンタを載置する載置台に固定可能とされており、本体部が、載置台に固定される固定部に着脱可能に取り付けられるようになっている。このようにすると、固定部を載置台から取り外さずとも本体部のみを独立して着脱できるようになり、印刷済シートの回収やメンテナンス等を行う上でより有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係るスタッカーを概略的に例示する背面図である。
【図2】図2は、図1のスタッカーの平面図である。
【図3】図3は、図1のスタッカーの側面一部断面図である。
【図4】図4(a)は、第1背面部の上端部を第2背面部の上端部よりも前方に配置した例を示す平面図であり、図4(b)は、第2背面部の上端部を第1背面部の上端部よりも前方に配置した例を示す平面図である。
【図5】図5は、図2のA−A断面を概略的に示す断面図である。
【図6】図6は、図2のB−B断面を概略的に示す断面図である。
【図7】図7(a)は、図2のスライド部を拡大して示す拡大図であり、図7(b)は、支持板についてのC−C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
[第1実施形態]
以下、本発明のスタッカーを具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1、図2に示すように、本実施形態に係るスタッカー1は、箱状の本体部2と、この本体部2を固定するための固定部3とを備えており、図3に示すように、プリンタPTに隣接して設置されるものである。このスタッカー1は、プリンタPTから順次排出される印刷済シートST(図3参照)を本体部2に向けて案内し、この印刷済シートSTを本体部内に順次積み重ねて蓄積する構成をなしている。
【0038】
まず、図1、図2等を参照して本体部2について説明する。
本体部2は、プリンタPT側に配置されるべき前面部11と、前面部11と対向して配置される背面部12と、互いに対向して配置される一対の側面部15,16と、蓄積される印刷済シートSTを支持する底面部18と、を備えており、上方が開放した箱状形態をなしている。
【0039】
なお、本実施形態では、前面部11と背面部12とが向かい合う方向(第1対向方向)を前後方向とし、図2等では、X軸方向として示している。また、一対の側面部15、16が向かい合う方向(第2対向方向)を幅方向とし、図1等ではZ軸方向として示している。また、これら前後方向及び幅方向と直交する方向を上下方向とし、図1等ではY軸方向として示している。
【0040】
上記本体部2は、例えば図3のように、上端部がプリンタPTにおける排出位置(図3では符号P1にて概念的に図示)よりも若干下方に位置するように取り付けられ、プリンタPTから排出される印刷済シートSTを順次収容し、これらを排出される順序で蓄積するように機能している。
【0041】
前面部11は、全体として板状に構成され、本体部2の前側の壁部として機能しており、例えばその板面が鉛直方向と略平行となるように配置されて用いられる。この前面部11には、後述する固定部3が取り付けられており、固定部3により取付対象物(図3では載置台50)に対して所定の姿勢で固定されるようになっている。
【0042】
背面部12は、前面部11と前後に向かい合う形態で配置され、幅方向一方側に配置される第1背面部13と、幅方向他方側に配置される第2背面部14とを有しており、これら第1背面部13及び第2背面部14が所定距離隔てて配置されている。
【0043】
第1背面部13及び第2背面部14はいずれも、前面部11と前後に対向する構成で配置されており、これら第1背面部13と第2背面部14との間には所定間隔の空隙が構成されている。この例では、第1背面部13における第2背面部14側の端部13aと、第2背面部14における第1背面部13側の端部14aとが所定距離W1隔てて配置され、これらによって背面側空隙部12aが構成されている。この背面側空隙部12aは、背面部12における底面部18側の所定位置(図1の例では下端部)から上端部まで連続して形成されており、下端部から上端部に至るまでの上下方向全領域において本体部2の内部と外部とを連通している。また、第1背面部13と第2背面部14との間隔W1は、例えば成人が手を挿入できる程度の間隔とされており、例えば5cm〜15cmの間隔とすることができる。
【0044】
また、第1背面部13及び第2背面部14のいずれもが変位可能とされており、第1背面部13の上端部13bの位置が、前面部11と背面部12とが向かい合う対向方向(即ち前後方向)において独立して変更可能とされており、また、第2背面部14の上端部14bの位置も、当該対向方向(前後方向)において独立して変更可能とされている。
【0045】
第1背面部13は、図5に示すように、下端部付近が一方の側面部15の後方側且つ下端部側に取り付けられており、その取付位置(第1背面部13の下端部側)を回動中心とする構成で側面部15に回動可能に支持されている。図5の例では、第1背面部13の回動中心軸を符号G1にて示しており、第1背面部13はこの中心軸G1を中心として回動するようになっている。本実施形態では、中心軸G1が幅方向(Z軸方向)となっており、第1背面部13は、この中心軸G1を中心として回動することで、符号A1にて概念的に示すように上端部13bを後方に倒したり、符号A2にて概念的に示すように上端部13bを前方に倒すことが可能となっている。
【0046】
また、側面部15の上方寄り且つ後方寄りの位置には、前後に湾曲状に延びる長孔15aが形成されており、この長孔15aを貫通する形態で、第1背面部13の側部から突出する突起部13dが配置されている。突起部13dは、第1背面部13の側部(第1背面部13における側面部15側の板状の側部13c)から幅方向に突出しており、先端部側にはねじ溝(図示略)が形成されている。その先端部側に形成されたねじ溝には、固定部材33(図1等参照)が螺合しており、固定部材33が突起部13dに対して締め付けられることで、この固定部材33と第1背面部13の側部13cとによって側面部15が挟み込まれるようになっている。この構成では、固定部材33が突起部13dに対して締め付けられたときに、固定部材33と側部13cとが側面部15を挟み込み、その摩擦力により第1背面部13が位置保持されるようになっている。また、固定部材33による締め付けを緩めることで、摩擦力を弱め、再び第1背面部13を変位させることができるようになっている。
【0047】
第2背面部14は、図6に示すように、下端部付近が他方の側面部16の後方側且つ下端部側に取り付けられており、その取付位置(第2背面部14の下端部側)を回動中心とする構成で側面部16に回動可能に支持されている。図6の例では、第2背面部14の回動中心軸を符号G2にて示しており、第2背面部14はこの中心軸G2を中心として回動するようになっている。本実施形態では、中心軸G2が幅方向(Z軸方向)となっており、第2背面部14は、この中心軸G2を中心として回動することで、符号B1にて概念的に示すように上端部14bを後方に倒したり、符号B2にて概念的に示すように上端部14bを前方に倒すことが可能となっている。
【0048】
また、側面部16の上方寄り且つ後方寄りの位置には、前後に湾曲状に延びる長孔16aが形成されており、この長孔16aを貫通する形態で、第2背面部14の側部から突出する突起部14dが配置されている。突起部14bは、第2背面部14の側部(第2背面部14における側面部16側の板状の側部14c)から幅方向に突出しており、先端部側にはねじ溝(図示略)が形成されている。その先端部側に形成されたねじ溝には、固定部材34(図1等参照)が螺合しており、固定部材34が突起部14dに対して締め付けられることで、この固定部材34と第2背面部14の側部14cとによって側面部16が挟み込まれるようになっている。この構成では、固定部材34が突起部14dに対して締め付けられたときに、固定部材34と側部14cとが側面部16を挟み込み、その摩擦力により第2背面部14が位置保持されるようになっている。また、固定部材34による締め付けを緩めることで、摩擦力を弱め、再び第2背面部14を変位させることができるようになっている。
【0049】
上記のように構成されているため、図4(a)(b)のように、前面部11と背面部との対向方向(前後方向)において、第1背面部13の上端部13bを基準としたときの第2背面部14の上端部14bの相対位置を変更し得るようになっている。例えば、図4(a)の例では、第1背面部13の上端部13bを基準としたとき、第2背面部14の上端部14bが当該基準位置(第1背面部13の上端部13bの位置)よりも前方に位置しており、図4(b)の例では、第2背面部14の上端部14bが当該基準位置(第1背面部13の上端部13bの位置)よりも後方に位置している。このように、両上端部13b、14bの位置関係を調整できるようになっている。
【0050】
図1、図2、図4に示すように、背面部12の内面には、印刷済シートSTの衝突を吸収する吸収部材30が取り付けられている。第1背面部13の内面における端部13a寄りの位置に第1吸収部材31が貼り付けられており、この第1吸収部材31が、当該第1背面部13の上端部寄りの位置から下端部寄りの位置まで連続して配置されている。なお、本実施形態では、図1に示すように第1吸収部材31が上下に長手状に延びており、端部13a側に寄った位置において当該端部13aに沿って配置されている。同様に、第2背面部14の内面における端部14a寄りの位置に第2吸収部材32が貼り付けられており、この第2吸収部材32が、当該第2背面部14の上端部寄りの位置から下端部寄りの位置まで連続して配置されている。この第2吸収部材32も、上下に長手状に延びており、端部14a側に寄った位置において当該端部14aに沿って配置されている。吸収部材30(第1吸収部材31、第2吸収部材32)は、ゴム、エラストマー、ウレタン等の柔軟部材によって構成されており、例えば表面に若干の凹凸が形成された多孔質形状とされている。
【0051】
図1、図2、図5、図6に示すように、一対の側面部15、16は、いずれも全体として板状に構成されており、前面側及び底面側については、いずれも前面部11及び底面部18に連結されて本体部2の左右を構成する壁部として機能している。また、背面側については、上述したように一方の側面部15が第1背面部13に連結され、他方の側面部16が第2背面部14に連結されている。図5、図6に示すように、両側面部15、16は互いにほぼ同形状となっており、且つ互いにほぼ平行となるようにそれぞれ配置されている。
【0052】
図4〜図6に示すように、底面部18は、本体部2の底壁として構成されており、収容される印刷済シートSTを支持する機能を有している。この底面部18は、板状の底壁部18aと、この底壁部18aの幅方向両端部において底壁部18aからそれぞれほぼ直角に折れ曲がる一対の板状の側部18b、18cと有している。この底面部18は、図5、図6に示すように、幅方向両端部(即ち、側部18b、18c)の後端側の部分がそれぞれ両側面部15、16に回動可能に支持されており、底面部18全体が幅方向の中心軸G3を中心として回動可能とされている。
【0053】
図5に示すように、側面部15の下端部寄り且つ前方寄りの位置には、上下に湾曲状に延びる長孔15bが形成されており、この長孔15bを貫通する形態で、底面部18の幅方向一端部から突出する突起部18dが配置されている。図1に示すように、突起部18dは、底面部18における側面部15側の側部18bから幅方向に突出しており、先端部側にはねじ溝(図示略)が形成されている。その先端部側に形成されたねじ溝には、固定部材35が螺合しており、固定部材35が突起部18dに対して締め付けられることで、この固定部材35と底面部18の側部18bとによって側面部15が挟み込まれるようになっている。この構成では、固定部材35が突起部18dに対して締め付けられたときに、固定部材35と側部18bとが側面部15を挟み込み、その摩擦力により底面部18の一方側が側面部15に対して位置保持されるようになっている。また、固定部材35による締め付けを緩めることで、摩擦力を弱め、再び底面部18の一方側を変位させることができるようになっている。
【0054】
図6に示すように、側面部16の下端部寄り且つ前方寄りの位置には、上下に湾曲状に延びる長孔16bが形成されており、この長孔16bを貫通する形態で、底面部18の側部から突出する突起部18eが配置されている。図1に示すように、突起部18eは、底面部18における側面部16側の側部18cから幅方向に突出しており、先端部側にはねじ溝(図示略)が形成されている。その先端部側に形成されたねじ溝には、固定部材36が螺合しており、固定部材36が突起部18eに対して締め付けられることで、この固定部材36と底面部18の側部18cとによって側面部16が挟み込まれるようになっている。この構成では、固定部材36が突起部18eに対して締め付けられたときに、固定部材36と側部18cとが側面部16を挟み込み、その摩擦力により底面部18の他方側が側面部16に対して位置保持されるようになっている。また、固定部材36による締め付けを緩めることで、摩擦力を弱め、再び底面部18の他方側を変位させることができるようになっている。
【0055】
このように構成されているため、図5、図6において二点鎖線で示すように、底面部18を回動させて変位させることができ、底面部18の水平面(前後方向及び幅方向と平行な面)に対する傾斜角度(具体的には底壁部18aの傾斜角度)を変更して調節できるようになっている。また、底面部18の後方側の中心軸G3を中心として回動するため、底面部18の前方側の深さを調節することができ、図5、図6の実線部分に示すように前方側を深く配置したり、或いは、図5、図6の二点鎖線部分に示すように前方側を浅く配置したりすることができるようになっている。
【0056】
また、図2、図4に示すように、底面部18における幅方向中央部の後方側に、底面側空隙部18fが形成されている。この底面側空隙部18fは、本体部内外を連通する切欠部として構成され、底面部18における前後方向中央付近から後端部に至るまで形成されており、この底面側空隙部18fの後端部が、上述の背面側空隙部12aの下端部と隣接するように構成されている。そして、底面側空隙部18fによって構成される空隙と、背面側空隙部12aによって構成される空隙とが連続するように構成されている。底面側空隙部18fの幅W2は、背面側空隙部12aの幅W1と同程度であり、成人の手が挿入可能な程度の幅とされている。
【0057】
次に、スライド部20について説明する。
図1、図2、図3、図5、図6に示すように、スライド部20は、本体部2の上端部付近且つ前端部付近に取り付けられており、幅方向を長手方向とする構成で、全体として長手状に形成されている。このスライド部20は、図3に示すように、プリンタPTから排出される印刷済シートSTをスライドさせて本体部2の上端部側に案内するものであり、図3、図7(a)に示すように、印刷済シートSTのシート面を支持する支持板21と、支持板21の幅方向両側に形成された一対の案内壁22,23と、を有している。
【0058】
図7(a)(b)に示すように、支持板21は、金属板材等によって板状に構成されており、図7(b)のように、印刷済シートSTの一方面(シート面)を支持する支持面側に、複数の凸部21aが形成されている。これら複数の凸部21aは、例えば金属材に対するエンボス加工等によって形成されたものであり、支持板21の一方面のほぼ全領域に亘って行列状或いは千鳥状に散在している。スライド部20は、プリンタPTから印刷済シートSTが排出されたときに、これら複数の凸部21aの先端部によってシート面を支持しつつ印刷済シートSTを後方且つ下方に案内する。
【0059】
案内壁22,23は、支持板21の幅方向両側において、当該支持板21からほぼ直角に折れ曲がる形態で立ち上がり状に形成されており、両案内壁22,23は、案内すべき印刷済シートSTの幅よりも若干大きいサイズの間隔をあけて互いに対向している。各案内壁22、23はそれぞれ、幅方向において側面部15、16とほぼ同位置に配置されており、印刷済シートSTを案内する際に、当該印刷済シートSTが各側面部15、16の位置をこえて幅方向にずれることを抑制するように機能している。プリンタPTから排出される印刷済シートSTは、支持板21によって支持されつつ、これら案内壁22,23の間を通るように本体部2側に案内されるようになっている。
【0060】
また、図5、図6に示すように、案内壁22、23はそれぞれ側面部15、16とほぼ平行に配置され、それぞれ側面部15、16に回動可能に取り付けられており、両案内壁22、23が幅方向の中心軸G4を中心として一体的に回動するようになっている。従って、これら案内壁22、23の回動に応じて支持板21も一体的に回動し、水平面(前後方向及び幅方向と平行な面)に対する支持板21の傾斜角度が変更可能とされている。
【0061】
次に、固定部3について説明する。
固定部3は、本体部2を取付対象物に固定するためのものであり、図2、図3では、プリンタPTを載置する載置台50に固定可能とされた例を示している。この例では、載置台50に載置する載置板41と、この載置板41の幅方向一方側に固定されるプリンタ位置決め部42と、載置板41と共に載置台50を上下に挟み込む挟持部43とを備えている。
【0062】
挟持部43は、載置板41に一体的に固定されるベース部44と、ベース部44に対して変位可能に構成された押圧部45とを備えている。ベース部44は、上下方向において載置板41と間隔をあけて配置されており、連結部47によって載置板41と連結されて一体化されている。押圧部45は、ベース部44に形成されたねじ溝(図示略)と螺合する軸状の螺合部45aと、この螺合部45aの一端側に一体的に固定された操作部45bと、螺合部45aの他端側に取り付けられた支持部45cとを備えており、操作部45bを一方に回転させることにより支持部45cが載置板41側に接近し、他方に回転させることにより支持部45cが載置板41から離れるようになっている。
【0063】
また、本実施形態では、本体部2が固定部3に着脱可能に取り付けられている。具体的には、固定部3の後端部において後方に延びる形で複数の係合部が形成されており、それら係合部が、それぞれ本体部2に形成された係合孔(被係合部)と係合可能とされている。これら係合部及び係合孔(被係合部)が係合しているときには、図2、図3のように本体部2が固定部3に保持され、これらの係合を解除することにより(即ち、複数の係合部をそれぞれ係合孔から離脱させることにより)本体部2を固定部3から取り外すことができるようになっている。なお、図3では、係合部を符号3aにて概念的に示している。
【0064】
次に、本実施形態に係るスタッカー1に収容する収容対象について説明する。スタッカー1内に収容する収容対象(印刷済シートST)は、長手状に構成されるものであり、本実施形態では、図4に示すように、印刷済シートSTの短手方向の両端部をそれぞれ前面部11及び背面部12に対向させ、長手方向の両端部をそれぞれ側面部15、16に対向させてて当該印刷済シートSTを収容している。図3、図4の例では、例えばプリンタPTがロール紙を一定間隔毎に裁断する構成をなしており、その裁断紙に各種情報が印字されたものが印刷済シートSTとして排出されている。このような裁断紙は、図3のように下方側が凸となるように反った状態で支持板21上を滑り、本体部2に送られて図4のように収容される。
【0065】
印刷済シートSTは、具体的には、例えば、JAMA:(社)日本自動車工業会、JAPIA:(社)日本自動車部品工業会によって標準化、規格化された紙票等(例えば、JAMA−EDI標準帳票等)として構成されており、量産部品等の取引の中で納入・検収などの業務に必要な現品票、かんばん、納品書、受領書、支給書などとして構成されている。
【0066】
(本実施形態の主な効果)
本実施形態に係るスタッカー1は、印刷済シートSTを収容する箱状の本体部2を備えており、この本体部2は、プリンタPT側に配置される前面部11と、前面部11と対向する背面部12と、互いに対向して配置される一対の側面部15,16と、蓄積される印刷済シートSTを支持する底面部18とを有している。この構成によれば、箱状の本体部2の内部に複数の印刷済シートSTを蓄積、収容することができ、収容時には、箱外からの影響(風等の影響)を効果的に抑え、蓄積された印刷済シートSTを安定的に保持できるようになる。
【0067】
更に、背面部12において、本体部2の内部と外部とを連通する背面側空隙部12aが形成されており、この背面側空隙部12aが、背面部12における底面部18側の所定位置から上端部まで連続している。このようにすると、本体部2の上端側から印刷済シートSTが投入されるときに、印刷済シートSTの落下によって生じる風圧を背面側空隙部12aを介して外部に逃がすことができる。従って、落下に伴って生じる風の跳ね返りなどによって当該印刷済シートSTが裏返ってしまうといった事態を効果的に防止できる。また、背面側空隙部12aが形成されているため、ユーザは、本体部2の背面側から蓄積される印刷済シートSTにアクセスすることができ、上方側から本体部2内に手を深く差し込まずとも蓄積されたシートを取り出すことができる。
【0068】
また、底面部18にも底面側空隙部18fが形成されているため、本体部2に投入される印刷済シートSTの風圧を下方からも逃がすことができる。従って、蓄積初期の印刷済シートSTの落下の際に、当該落下に伴って生じる風が底面部18から跳ね返り難くなり、底面部18からの風の跳ね返りに起因する裏返りを効果的に防ぐことができる。
【0069】
また、底面側空隙部18fによって構成される空隙と、背面側空隙部12aによって構成される空隙とが連続しているため、上方側から手を深く差し込まずとも最下部の印刷済シートSTを容易に手に取ることができ、最下部付近の蓄積状態も視認等によって容易に確認することができる。更に、最下部付近の印刷済シートSTを本体部2から取り出すときには、これら連続する空隙に沿って最下部付近にアクセスした手を上方に抜き出すことができる。従って、本体部2に収容される印刷済シートSTを取り出す作業を、最下部付近に至るまで、より容易に且つより迅速に行うことができるようになり、ユーザの作業時間や作業負担を一層効果的に低減することができる。
【0070】
また、プリンタPTから排出される印刷済シートSTをスライドさせて本体部2の上端部側に案内するスライド部20が設けられている。このようにすると、プリンタPTから排出される印刷済シートSTを安定的に上端部側に案内することができ、上端部側から投入される印刷済シートSTの挙動がばらつきにくくなる。
【0071】
更に、スライド部20において、印刷済シートSTのシート面を支持する支持板21と、一対の案内壁22,23とが設けられ、支持板21の支持面側には複数の凸部21aが形成されている。そして、これら複数の凸部21aの先端部によってシート面を支持しつつ印刷済シートSTを案内している。このようにすると、印刷済シートSTの移動が幅方向においてある程度拘束されるため、本体部2に投入される際に印刷済シートSTが幅方向にずれにくくなる。また、支持面側に形成された複数の凸部21aによってシート面を支持しつつ印刷済シートSTを案内しているため、印刷済シートSTと支持面の間に生じる摩擦が適度に抑えられ、印刷済シートSTがより円滑に案内されるようになる。
【0072】
また、スライド部20が本体部2に回動可能に取り付けられており、水平面に対する支持板21の傾斜角度が変更可能とされている。このようにすると、必要に応じて支持板21の傾斜角度を変更することができ、例えば、設置環境に応じて指示板の傾斜角度を変更したり、或いはメンテナンスの際に支持板21の傾斜角度を変更してメンテナンスしやすくするといった使用方法が可能となる。
【0073】
また、本体部2の幅方向一方側に第1背面部13が配置され、幅方向他方側には第1背面部13と所定距離隔てて第2背面部14が配置されている。そして、第1背面部13及び第2背面部14の少なくともいずれか一方が、他方とは独立して変位可能とされ、前面部11と背面部12との対向方向(前後方向)において、第1背面部13の上端部を基準とする第2背面部14の上端部の相対位置が変更可能とされている。このようにすると、背面部12において、第1背面部13の上端部を第2背面部14の上端部よりもやや前に出したり(図4(a)参照)、逆に第2背面部14の上端部を第1背面部13の上端部よりもやや前に出す(図4(b)参照)等の調整が可能となり、両背面部の上端部の位置関係を、印刷済シートSTの投入状況に適した位置関係に調整できるようになる。例えば、印刷済シートSTが図4(a)のような姿勢で本体部2上端部側に滑り落ちて投入されやすいときには、図4(a)のように第1背面部13、第2背面部14を設定すれば、投入される印刷済シートSTを両背面部で安定的に受けることができ、投入後の印刷済シートの挙動がばらつき難くなる。逆に、印刷済シートSTが図4(b)のような姿勢で投入されやすいときには、図4(b)のように第1背面部13、第2背面部14を設定すれば同様の効果が得られる。図4(a)(b)のように印刷済シートが投入される理由としては、プリンタの排出口に磨耗等が生じ(例えば、排出口を構成する部材に局部的に磨耗が生じ)、印刷済シートが平行に排出されない(即ち、幅方向に対して傾斜して排出されてしまう)といった理由が考えられ、本実施形態の構成によれば、このようなプリンタからの排出に対して適切に対応できることとなる。
【0074】
また、本実施形態では、第1背面部13及び第2背面部14のいずれもが変位可能とされ、対向方向(前後方向)における第1背面部13の上端部の位置及び第2背面部14の上端部の位置がそれぞれ独立して変更可能とされている。このようにすると、両背面部と前面部11との距離関係を所望の距離関係に設定しつつ、両背面部の上端部同士の位置関係を調整できるようになる。従って、本体部2の上端部の開口を、投入状況に応じた適切なサイズに設定しつつ、両背面部の上端部の互いの位置関係についても投入状況に応じた適切な位置関係に設定できるようになり、印刷済シートSTの挙動を安定させるための調整をより自由度高く行うことができる。
【0075】
また、本実施形態では、第1背面部13が下端部側を回動中心とする構成で回動可能に支持され、第2背面部14も下端部側を回動中心とする構成で回動可能に支持されている。このようにすると、各背面部の上端部をそれぞれ独立して変位させうる構成を、複雑な構成を用いることなく、且つ広いスペースを割くことなく簡易に実現できる。
【0076】
また、本実施形態では、背面部12の少なくとも上端部側の内面に、印刷済シートSTの衝突を吸収する吸収部材30が取り付けられている。このようにすると、投入される印刷済シートSTが背面部12の上端部側に衝突するときに、衝撃を吸収し、跳ね返り後の速度を抑えることができるため、衝突後において印刷済シートSTが暴れ難くなり、本体部2内での挙動がより安定化する。
【0077】
更に、吸収部材30は、背面部12の上端部側から下端部側まで連続して配置されている。このようにすると、背面部12の上端部側のみならず、中央部付近や下端部側においても衝突を吸収できるようになる。従って、印刷済シートSTが下方に落ちる際の再衝突のときにも跳ね返り速度を抑えることができ、本体部内での挙動をより安定させることができる。
【0078】
また、本実施形態では、底面部18が変位可能に構成され、本体部2の上端部からの深さ、及び水平面に対する傾斜角度の少なくともいずれかが変更可能とされている。このようにすると、底面部18までの深さ或いは底面部18の傾斜角度を使用環境に適した状態に変更でき、内部に収容される印刷済シートSTの蓄積状態をより自由度高く調整できるようになる。例えば、印刷済シートSTの材質、サイズ、形状、種類、或いはスタッカー1の設置環境などを考慮し、図3の実線部分のように底面部18を前下がりにしたり、二点鎖線部分のように水平或いは前上がりにするといった調整を自由に行うことができる。
【0079】
また、本実施形態では、収容対象(プリンタPTから排出される印刷済シートST)が、長手状に構成されるものであり、本体部2は、印刷済シートSTの短手方向の両端部をそれぞれ前面部11及び背面部12に対向させて当該印刷済シートSTを収容するように構成されている。上記のような長手状のシートは、その構成上、背面部12から跳ね返る風によって裏返りが生じやすいが、本発明では、背面部12に空隙部(背面側空隙部12a)を設けて背面部12側からの跳ね返りの風を抑えているため、上記のような長手状のシートの裏返りをより効果的に防ぐことができる。
【0080】
また、本実施形態では、ロール紙を裁断する方式のプリンタPTから排出され、図3のように下方側が凸となるように反った状態で本体部2に送られる印刷済シートSTを収容対象としている。上記のように沿ったシートは、本体部内においてずれた位置に落ちたり或いはずれた向きで落ちると、シートの構造上、蓄積物全体が嵩張りやすく、また、それ以降に蓄積される印刷済シートSTの蓄積状態にも影響を与えやすいという問題を抱えている。従って、適切な位置に適切な向きで蓄積されることがより求められるが、本発明では、シートの裏返りや向きの不揃いを効果的に抑えうる構成を採用しているため、このような沿ったシート特有の問題を効果的に解消でき、沿ったシートを安定的に蓄積する上でより有利となる。
【0081】
また、本実施形態では、プリンタPTを載置する載置台50に固定可能な固定部3が、設けられ、本体部2がこの固定部3に着脱可能に取り付けられるようになっている。このようにすると、固定部3を載置台50から取り外さずとも本体部2のみを独立して着脱できるようになり、印刷済シートSTの回収やメンテナンス等を行う上でより有利となる。
【0082】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0083】
上記実施形態では、背面部12及び底面部18のいずれにも空隙部を設けたが、背面側だけに空隙部を設けるような構成としてもよい。
【0084】
上記実施形態では、背面側空隙部12aと底面側空隙部12fとが連続していたが、連続しない構成としてもよい。
【0085】
上記実施形態では、第1背面部13及び第2背面部14のいずれもが変位可能とされる例を示したが、いずれか一方のみを変位可能に構成してもよい。この場合であっても、前面部11と背面部との対向方向(前後方向)において、第1背面部13の上端部を基準とする第2背面部14の上端部の相対位置が変更可能となる。
【符号の説明】
【0086】
1…スタッカー
2…本体部
3…固定部
11…前面部
12…背面部
12a…背面側空隙部
13…第1背面部(背面部)
14…第2背面部(背面部)
15,16…側面部
18…底面部
18f…底面側空隙部
20…スライド部
21…支持板21
21a…凸部
22,23…案内壁
30…吸収部材
31…第1吸収部材(吸収部材)
32…第2吸収部材(吸収部材)
50…載置台
ST…印刷済シート
PT…プリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタから排出される印刷済シートを収容する箱状の本体部と、
前記本体部を取付対象物に固定する固定部と、
を備え、
前記本体部内に前記印刷済シートを順次積み重ねて蓄積するスタッカーであって、
前記本体部は、
前記プリンタ側に配置されるべき前面部と、
前記前面部と対向して配置される背面部と、
互いに対向して配置される一対の側面部と、
蓄積される前記印刷済シートを支持する底面部と、
を備え、
前記背面部において、当該本体部の内部と外部とを連通する背面側空隙部が形成されており、
前記背面側空隙部が、前記背面部における前記底面部側の所定位置から上端部まで連続していることを特徴とするスタッカー。
【請求項2】
前記底面部には、前記本体部の内部と外部とを連通する底面側空隙部が形成されており、
前記底面側空隙部によって構成される空隙と、前記背面側空隙部によって構成される空隙とが連続していることを特徴とする請求項1に記載のスタッカー。
【請求項3】
前記プリンタから排出される前記印刷済シートをスライドさせて前記本体部の上端部側に案内するスライド部が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスタッカー。
【請求項4】
前記スライド部は、
前記印刷済シートのシート面を支持する支持板と、
前記支持板の幅方向両側に形成された一対の案内壁と、
を有し、
前記支持板における前記シート面を支持する支持面側に、複数の凸部が形成されており、複数の前記凸部の先端部によって前記シート面を支持しつつ前記印刷済シートを案内することを特徴とする請求項3に記載のスタッカー。
【請求項5】
前記スライド部は、
前記印刷済シートのシート面を支持する支持板と、
前記支持板の幅方向両側に形成された一対の案内壁と、
を有すると共に、
前記本体部に回動可能に取り付けられており、
水平面に対する前記支持板の傾斜角度が変更可能とされていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のスタッカー。
【請求項6】
前記背面部は、前記本体部の幅方向一方側に配置される第1背面部と、幅方向他方側に配置される第2背面部とを有すると共に、前記第1背面部と前記第2背面部とが所定距離隔てて配置されており、
前記第1背面部及び前記第2背面部の少なくともいずれか一方が、他方とは独立して変位可能とされ、前記前面部と前記背面部との対向方向における、前記第1背面部の上端部を基準とする前記第2背面部の上端部の相対位置が、変更可能とされていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のスタッカー。
【請求項7】
前記第1背面部及び前記第2背面部のいずれもが変位可能とされ、前記対向方向における前記第1背面部の上端部の位置及び前記第2背面部の上端部の位置がそれぞれ独立して変更可能とされていることを特徴とする請求項6に記載のスタッカー。
【請求項8】
前記第1背面部が、当該第1背面部の下端部側を回動中心とする構成で回動可能に支持されており、
前記第2背面部が、当該第2背面部の下端部側を回動中心とする構成で回動可能に支持されていることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のスタッカー。
【請求項9】
前記背面部の少なくとも上端部側の内面に、前記印刷済シートの衝突を吸収する吸収部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のスタッカー。
【請求項10】
前記吸収部材は、前記背面部の上端部側から下端部側まで連続して配置されていることを特徴とする請求項9に記載のスタッカー。
【請求項11】
前記底面部が変位可能に構成され、前記本体部の上端部からの深さ、及び水平面に対する傾斜角度の少なくともいずれかが変更可能とされていることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のスタッカー。
【請求項12】
前記プリンタから排出される前記印刷済シートは、長手状に構成されるものであり、
前記本体部は、前記印刷済シートの短手方向の両端部をそれぞれ前記前面部及び前記背面部に対向させて当該印刷済シートを収容することを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のスタッカー。
【請求項13】
前記プリンタから排出される前記印刷済シートは、当該プリンタにおいてロール紙を裁断して形成され、下方側が凸となるように反った状態で、前記本体部に送られるものであることを特徴とする請求項12に記載のスタッカー。
【請求項14】
前記固定部は、前記プリンタを載置する載置台に固定可能とされており、
前記本体部は、前記載置台に固定される前記固定部に着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか一項に記載のスタッカー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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