スタック支持された固体酸化物型燃料電池
固体酸化物型燃料電池スタックが開示される。固体酸化物型燃料電池スタックは、少なくとも2個の固体酸化物型燃料電池を包含する。2個の固体酸化物型燃料電池は、共通の電極を分有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には固体酸化物型燃料電池(SOFC)に関し、さらに詳しく述べると、商業的に実施可能なSOFCとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体酸化物型燃料電池(SOFC)は、エネルギーを製造するために慣用されている燃焼機関やタービンの代替となるものである。燃料電池技術は、より高い効率及び環境に対するより低い影響を伴って発電を行うことができ、また、燃料電池技術は、CO、NOx及びSOxの放出量がより少ないことが一般的である。固体酸化物型燃料電池は、燃料源として、天然ガス、ケロセン及びディーゼル燃料を特に使用することができる。しかしながら、多くの種類の典型的なSOFCは、単位出力当たりの高いコストに苦しめられている。
【0003】
固体酸化物型燃料電池は、円筒状及び平板状のSOFCを含めたいろいろな形態で製造することができる。円筒形のSOFCは、通常、酸化ストロンチウムをドーピングしたランタンマンガナイト(LSM)からなる多孔質の支持体チューブを使用する。平板状のSOFCは、電解質で支持した構造体あるいは電極で支持した構造体を利用することができる。電解質で支持した構造体は、一般的に、大きな厚さをもったイットリア安定化ジルコニアから形成される。これらの厚さのある電解質は、高いイオン抵抗値を有しており、したがって、電位の低下を発生する。
【0004】
電極で支持したSOFCは、構造体を支持したカソード又はアノードを用いて形成することができる。例えばランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)のようなカソードは、イットリア安定化ジルコニアに近い熱膨張係数を有している。他方において、アノード支持電池は、一般的に、ニッケル及びイットリア安定化ジルコニアを用いて形成される。ニッケルを含有したイットリア安定化ジルコニアの熱膨張係数は、イットリア安定化ジルコニアからなる電解質のそれよりも大きい値である。カソード支持電池及びアノード支持電池の双方において、電極の厚さが大きくなると、反応体の拡散や電極の抵抗に対して影響がでてくる。電極支持の電池あるいは電解質支持の電池のいずれにおいても、より厚い電解質あるいは電極を使用すると、その影響の結果、電池の電位あるいは電流密度が低下せしめられ、SOFCシステムの効率に悪影響がでてくる。
【0005】
支持構造体の面においてばかりでなく、電極に対して電気接点(コンタクト)を接続することに関しても課題が存在している。典型的なSOFCは、ガス不透過性の相互接続体を有している。典型的な相互接続体は、電極が示すものとは類似しない熱膨張係数を有している。熱膨張係数に差があると、電極からの相互接続体のせん断が引き起こされ、電池における抵抗の増大が発生する。相互接続体材料によっては、電極構造体中に拡散してしまう。相互接続体の構造が不十分なものであると、可使電位や電流密度の低下が発生する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のような状況があるため、一般的な固体酸化物型燃料電池技術では、製造されるエネルギーのコストを増大させるところの、構造や製造上の欠点が問題となっている。したがって、改良された電極、電解質、SOFC、そしてSOFCスタックが必要となっている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの特定の態様において、固体酸化物型燃料電池スタックが開示される。この固体酸化物型燃料電池は、少なくとも2個の固体酸化物型燃料電池を包含する。これらの2個の固体酸化物型燃料電池は、共通の電極を分有している。
【0008】
もう1つの態様において、固体酸化物型燃料電池スタックが開示される。この固体酸化物型燃料電池は、一体化された複数の層を有している。複数の層には、第1のアノード層、第1の電解質層、第1のカソード層、第2の電解質層、そして第2のアノード層が含まれる。第1の電解質層は、第1のアノード層の上に位置している。第1のカソード層は、第1の電解質層の上に位置している。第2の電解質層は、第1のカソード層の上に位置しており、また、第2のアノード層は、第2の電解質層の上に位置している。
【0009】
別の1態様において、固体酸化物型燃料電池スタックが開示される。この固体酸化物型燃料電池は、少なくとも2個の固体酸化物型燃料電池を包含する。これらの固体酸化物型燃料電池は、ガス不透過性の相互接続体層を有していない。
【0010】
もう1つの態様において、固体酸化物型燃料電池の形成方法が開示される。この方法は、カソード層、アノード層及びアノード層とカソード層の間に配置された電解質層を含む固体酸化物型燃料電池を形成することと、固体酸化物型燃料電池を酸化性雰囲気中で緻密化処理することを包含する。
【0011】
別の1態様において、一体化された複数の微細流路(マイクロチャネル)を含むアノード層、そのアノード層の上に配置された電解質層、そして一体化された複数の微細流路を含むカソード層を含む固体酸化物型燃料電池が開示される。カソード層は、電解質層の上に位置している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、添付の図面を参照することにより、当業者がより良好に理解できるようになり、また、その多数の目的、構成要件、そして利点が明らかとなるであろう。なお、異なる図面において同一の参照番号を使用した場合には、同様であるかもしくは同一の部材を示すものとする。
【0013】
1態様に従うと、本発明は、固体酸化物型燃料電池スタックに向けられる。この燃料電池スタックは、2個もしくはそれ以上の固体酸化物型燃料電池(SOFC)を有している。これらの燃料電池の2個が、1つの共通の電極層を分有している。電極は、微細流路を包含してもよく、また、固体酸化物型燃料電池スタックに対して、回路の形で、外部的に電気的に接続されていてもよい。回路は、並列回路であってもよく、直列回路であってもよく、さもなければ直列/並列混成回路であってもよい。共通の電極を利用している上記した態様の特定の構造体の場合、並列回路の形成が適合している。
【0014】
図1は、固体酸化物型燃料電池スタックの1つの例示的な態様を図示したものである。このスタックは、電解質層104、108及び112によって分離された電極層102、106、110及び114を包含する。それぞれの電極層は、微細流路116を包含する。電極の種類に依存して、微細流路116内を酸化剤もしくは燃料が通過し、また、電解質層104、108及び112を横切ってイオンが輸送される。
【0015】
ある特定の態様において、電極102はアノードであり、そして電極106はカソードである。アノード102及びカソード106は、電解質104によって分離されて、単一形の固体酸化物型燃料電池を形成している。酸素イオンは、電解質104を横切って輸送されて燃料と反応することができ、アノード102とカソード106の間に電位差を発生させる。カソード106は、電解質108によってアノード110から分離されている。ここでもまた、酸素イオンは、電解質108を横切って輸送されて、カソード106とアノード110の間に電位を発生させることができる。同様に、アノード110は、別の電解質112によってカソード114から分離されている。このパターンを複数回にわたって繰り返すことができる。
【0016】
この例示的な態様において、複数個の固体酸化物型燃料電池は、共通の電極を分有している。これらの電極は、燃料電池の全体を通じて単一の組成を有していてもよく、さもなければ、電極に対して機能を付与するため、異なる層あるいは濃度勾配を有していてもよい。電極106の場合には、共通の電極構造体は、カソードである。電極110の場合には、共通の電極構造体は、アノードである。スタックの配置は、隣接する固体酸化物型燃料電池のなかでいくつかの電極が分有されているようにするため、繰り返しのパターンで行うことができる。このような形状とすることによって、ガス不透過性の相互接続体バリヤを使用することに依存することが不必要となる。
【0017】
しかしながら、別法によれば、ガス不透過性の相互接続体を使用してスタックを形成してもよい。この形状の場合、複数個の電池を配置することで、直列回路の形態をとる固体酸化物型燃料電池スタックが導かれる。このスタックは、別のスタックに直列、並列又は直列/並列混成回路形状で接続してもよい。
【0018】
また、この例示的な態様は、電極102、106、110及び114のそれぞれにおいて図示されるように、微細流路116を包含してもよい。これらの微細流路の特徴的な直径は、0.1mm〜5mmである。微細流路は、一般的には約3mmよりも小さく、例えば約1mm未満である。特徴的な直径は、流体の流動方法と関連している。微細流路は、電極に一体化させてもよい。図1に示した例示的な態様において、微細流路は、電極102、106、110及び114内に埋め込まれている。微細流路の一例は、図15に図示されている。別の例示的な態様において、微細流路は、電極内に全体的もしくは部分的に埋め込まれていてもよく、さもなければ、電極層の幾何学的外形の一部として形成されていてもよい。微細流路のもう1つの例は、以下において説明する図8に示されている。
【0019】
微細流路は、例えば充填剤材料の溶解もしくは流路形成物質の酸化のようなサブトラクティブ法によって形成することができる。流路形成物質は、例えば、カーボンを主成分とする流路形成物質、例えば無定形カーボン、カーボンブラック、グラファイト又はグラファイト−樹脂複合体であることができる。微細流路116は、それらが形成されている電極構造体の機能に依存して、酸化剤あるいは燃料を流動させることが可能である。
【0020】
また、電極は、多孔質であってもよい。ある例示的な態様において、金属酸化物の還元を通じて細孔を形成することができる。別の例では、例えば充填剤材料の溶解もしくは細孔形成物質の酸化のようなサブトラクティブ法によって細孔を形成することができる。細孔形成物質は、カーボンを主成分として含む材料、例えばカーボンブラック、無定形カーボン、グラファイト又はグラファイト−樹脂複合体を包含することができる。また、相対的な粒子及び凝集サイズ分布のコントロールを通じた部分的な緻密化によって細孔を形成してもよい。
【0021】
また、電極は、一体化された集電装置(集電部材)を包含してもよい。一体化された集電装置は、電極内に埋め込まれ、かつその電極の形成に関連して形成されてもよく、また、例えばニッケルのような導電体を包含してもよい。集電装置は、電極の種類に依存して、外部接点に対して電流を誘導するか、さもなければ1個もしくはそれ以上の外部接点を形成することができる。別法に従う態様において、電極は、集電装置を包含していなくともよく、その場合、電極に対して直接的に外部接続を行うことができる。もしもカソードの出力が接続されかつアノードの出力が接続されているとすると、得られる回路は、図2に例示するように、並列回路構造体である。
【0022】
固体酸化物型燃料電池スタックは、一体化加熱プロセスを通じて形成することができる。例えば個々の燃料電池は、また、ある特定の態様において、全体としての燃料電池スタックは、焼結法によって緻密化することができる。焼結法は一般的に常圧焼結法を包含するけれども、加圧焼結法、例えば加熱加圧成形法、熱間等静圧圧縮成形法(HIP)及び熱間鍛造法がしばしば有利である。場合によっては、コストの面からHIPが回避される。圧力の適用を利用した焼結法の選択肢についてみると、ある特定の態様では加熱加圧成形法が用いられ、また、別の特定の態様では熱間鍛造法が用いられる。加熱加圧成形法及び熱間鍛造法のどちらも、一般的には一方向あるいは一軸方向について行われるが、熱間鍛造法は、一般的に、実質的な熱間変形、例えば複雑な成形ダイのキャビティにおける充填処理を包含する。一般的には、直径の収縮を防止するため、熱間鍛造よりもむしろ、加熱加圧成形と組み合わさったより低い圧力が有利である。圧力と温度を操作して、熱処理のサイクルの1サイクルの期間が約60分間以内となるように調整してもよい。別法によれば、サイクルの期間が約45分間、30分間、15分間又は10分間以内となるように操作を行ってもよい。
【0023】
燃料電池又は燃料電池スタックの一体化処理を行う場合、SOFCは、その電池厚さが約10mm以下、例えば約5mm以下となるように形成することができる。別の態様は、4mm又は3mm以下の電池厚さをもったSOFCを包含する。さらに、処理によって得られる固体酸化物型燃料電池スタックは、電解質の厚さが100μm以下であり、電極の厚さが最大で約3mmである。しかしながら、一体化処理を通じて、より大きな厚さをもった電池を任意に形成することができる。
【0024】
電解質は、ジルコニア、セリア、ガリア及びその他の既知のイオン性伝導体を含むいろいろな材料から形成することができる。酸素イオン伝導性は、例えばイットリウム、スカンジウム、サマリウム、イッテルビウム及びガドリニウムのような物質でもって高められる。例えば、電解質は、なかんずく、イットリア安定化ジルコニア、スカンジアドープジルコニア、イッテルビアドープジルコニア、酸化サマリウムドープセリア、酸化ガドリニウムドープセリア又はカルシアドープセリアから形成することができる。電解質との関連において、アノードは、ニッケル及びイットリア安定化ジルコニア又はニッケル及び酸化ガドリニウム安定化ジルコニアから形成することができる。ニッケルは、一般的に、素地のアノードかもしくは前処理後のアノードに含まれるニッケル酸化物の還元を通じて製造される。カソードは、イットリア安定化ジルコニアと組み合わせて使用される場合には、ランタンストロンチウムマンガナイトから形成することができる。別法によれば、カソードは、なかんずく、ランタンストロンチウムフェライト又はランタンストロンチウムコバルトフェライトを含むことができる。
【0025】
図3は、固体酸化物型燃料電池の例示的な一態様を示したものである。図示のSOFCは、一方の側にアノード302が隣接し、他方の側にカソード306が隣接した電解質304を有している。メッシュ308は、アノード302と組み合わさっていることが示されている。しかしながら、メッシュは、電池及びスタックの機械的一体性を高めるため、あるいは外側の集電装置に対する接続を改良するため、種々の電極構造体中に組み込まれていてもよい。
【0026】
層302、304及び306は、種々の低コスト製造手段を使用して形成することができる。これらの製造手段は、テープキャスティング、スクリーン印刷、テープカレンダー加工、多層セラミック加工、溶射コーティング、リソグラフィックデポジッション、押出し加工及びコーティング、そして共押出し加工を包含する。このようにして形成された電池は、例えば常圧焼結によって、さもなければ好ましくは加圧焼結、例えば加熱加圧成形、熱間鍛造又は加熱等静圧圧縮成形によって焼結することができる。電池は、スタックのなかに組み入れてもよく、また、そのスタックは、一体化された構造体を形成するため、鍛造技術を利用して焼結される。
【0027】
アノード302は、ニッケル酸化物とイットリア安定化ジルコニア又はガドリニウム安定化セリアの組み合わせを使用して形成することができる。メッシュ308は、例えばニッケルメッシュのような金属メッシュであることができ、また、メッシュ308は、電極中に埋め込んでもよい。電解質304は、なかんずく、ジルコニアもしくはセリアから形成することができる。電解質材料は、例えばイットリウム、スカンジウム、サマリウム、イッテルビウム又はガドリニウムの酸化物のような安定剤で安定化されていてもよい。例えば、電解質は、イットリア安定化ジルコニア、スカンジアドープジルコニア、イッテルビアドープジルコニア、酸化サマリウムドープセリア又は酸化ガドリニウムドープセリアから形成することができる。例示的な一態様において、イットリア安定化ジルコニアは、約8モル%よりも多量に、例えば少なくとも約8.5モル%又は少なくとも約9モル%の量でイットリアを有している。例えば、約10モル%のイットリアを含有するイットリア安定化ジルコニアを使用することができる。カソードは、ランタンストロンチウムマンガナイト、ランタンストロンチウムフェライト又はランタンストロンチウムコバルトフェライトから形成することができる。
【0028】
電極内におけるガス輸送は、細孔及び微細流路の形成を通じて促進することができる。図4は、電極402の内部に細孔形成物質404と流路形成物質406が含まれている状態を示したものである。また、電極402は、408で示されるところの集電メッシュを有することもできる。流路形成物質406及び細孔形成物質404は、流路及び細孔を残すため、例えば酸化のようなサブトラクティブ法を使用して電極から除去することができる。例えば、流路形成物質及び細孔形成物質の50%を、例えば酸化によって除去することができる。別の例においては、流路形成物質及び細孔形成物質の80%、90%又は95%よりも多量を除去することができる。もう1つの例示的な態様において、得られる電極402が5重量%未満の流路形成物質又は細孔形成物質を含むようにするため、流路形成物質及び細孔形成物質を実質的に除去してもよい。例えば、電極402は、流路形成物質又は細孔形成物質を3重量%、1重量%又は0.5重量%未満の量で含むことができる。
【0029】
図5Aは、還元性雰囲気下で加熱加圧成形サイクルを実施した後の、細孔形成物質を有するカソードの一例を示したものである。この例示的な態様において、カソードは、11.4m2/gまで磨砕したランタンストロンチウムマンガナイトであって、約15.8重量%又は40容量%のカーボンブラックを有するようにイットリア安定化ジルコニア及びカーボンブラックと湿式混合したものを包含する。図5Bは、900℃の空気中で10時間にわたって熱処理した後の電極を示している。この例のカソードは、30%の開放細孔率を有している。
【0030】
図6A及び図6Bに示したもう1つの例は、アノードを示したものである。アノードは、12.5m2/gまで磨砕したニッケル酸化物をイットリア安定化ジルコニア及びカーボンブラックと混合することを通じて形成される。図6Aは、還元性雰囲気中で加熱加圧成形サイクルを実施した後のアノードを示す。図6Bは、900℃の空気中で10時間にわたって燃焼又は熱処理した後の電極を示す。この例のアノードは、12%の開放細孔率を有している。
【0031】
図7A、図7B、図7C及び図7Dは、燃焼プロセスによって得られた細孔をさらに例示したものである。図7Aは、細孔形成物質を燃焼除去した後のアノードの一例を示したものであり、また、このアノードは、ニッケル及びイットリア安定化ジルコニアを主として有している。図7Bは、アノード成分と一緒に23.5重量%まで混合したグラファイトの、酸化後に得られた細孔分布を示したものである。得られた細孔率の合計は、47%である。合計細孔面積は、約0.752m2/gであり、また、平均細孔直径は、約0.689μmである。
【0032】
図7Cは、カーボンブラックの酸化を通じて形成された同様なアノードを示している。カーボンブラックは、ニッケル及びイットリア安定化ジルコニアと一緒に約23.5重量%で含まれている。カーボンブラックは、平均0.5μmまで磨砕した。図7Dは、酸化又は燃焼後の細孔のサイズ分布を示している。得られたアノードは、50%を超える細孔率、約1.899m2/gの合計細孔面積及び約0.315μmの平均細孔直径を有している。
【0033】
電解質は、いろいろな技法によって形成することができる。参考のために示すと、本願明細書においてその番号を参照することによって内容を記載したものとする、2004年6月9日付けで出願された米国特許出願第 号(代理人整理番号:1035−FC4289)、2003年6月9日付けで出願された米国特許出願第60/477,147号のノンプロビジョナル出願、が挙げられる。このようにして形成された、カソード、電解質及びアノードを含む複数の層は、常用のセラミック加工技術を使用して一緒に積層することができる。
【0034】
微細流路は、細孔の形成と同様な手法で、例えば流路形成性の繊維、ロッド又はメッシュのような流路形成性構造体を含ませることによって形成することができる。これらの流路形成物質は、電極構造体を通る流体の輸送を可能ならしめる微細流路を残すため、例えば酸化もしくは燃焼除去のようなサブトラクティブ法によって実質的に除去することができる。
【0035】
微細流路を含む電池を一体的に形成するための別の方法は、非サブトラクティブ法によって微細流路が形成される図8に示される通りである。ここで、微細流路は、適所における成形(現場成形)によって形成される。アノード806、電解質808及びカソード810を含む固体酸化物型燃料電池構造体を2個の流路形成用成形型802の間でプレス成形することができる。成形型802は、固体酸化物型燃料電池804に押し付けたときに部分流路814を形成可能な突起パターン812を有することができる。一例において、成形型802は、グラファイトから形成することができ、また、加熱加圧成形サイクルの間にSOFCにプレス成形することができる。しかしながら、別の好ましい態様によると、グラファイト以外の材料から成形型802を形成してもよい。もう1つの別の態様によると、スタックの微細流路を押出し成形もしくは現場流延法によって形成してもよい。流路の上に、それに対応可能な部分流路をもったもう1つの電池を載置すると、電極微細流路を備えたスタックが得られる。
【0036】
図9は、単一形のSOFC電池を示したものである。この単一形のSOFC電池は、アノード902、電解質904、そしてカソード906を包含する。アノード902は、図中“A”で示される厚さを有し、電解質904は、“B”で示される厚さを有し、そしてカソード906は、“C”で示される厚さを有する。この電池もしくは複数の電池のスタックを熱処理、例えば加熱加圧成形、熱間鍛造又は熱間等静圧圧縮成形によって一体化処理すると、個々の電池のサイズや焼結電池材料を小さくすることができる。これらの電池あるいはスタックをもって、電解質−あるいは電極−支持方式の電池とは対照的に、電池支持方式のSOFCあるいはスタック支持方式のSOFCを効果的に形成することができる。アノード及びカソードの有効厚さ、“A”又は“C”は、約150μm未満まで下げることができる。電解質の厚さ“B”は、約100μm未満まで下げることができ、また、約40μm未満、約30μm未満、又は約10μm未満であってもよい。電池又はスタックにモノリス熱処理を施した場合には、約100μm未満の薄い電解質と約150μm未満の薄い電極を組み合わせて使用することが可能となる。
【0037】
図10Aは、固体酸化物型燃料電池(SOFC)に組み込んだ厚い電解質を示している。電解質は、数百μmの厚さをもつことが示されている。図10Bは、約40μmの別の電解質を示している。
【0038】
図11は、固体酸化物型燃料電池及び固体酸化物型燃料電池スタックを製造する方法の一例を示している。電池の各層は、工程1102として示すように形成することができる。層形成方法は、テープキャスティング、スクリーン印刷、テープカレンダー加工、多層セラミック加工、溶射コーティング、リソグラフィックデポジッション、押出し加工及びコーティング、そして共押出し加工を包含する種々の低コスト製造手段で有利に実施することができる。複数の電池は、工程1104として示すように、一緒に熱処理する。熱処理は、なかんずく、加熱加圧成形、熱間等静圧圧縮成形又は熱間鍛造を包含することができる。工程1102及び1104は、加熱加圧成形、熱間等静圧圧縮成形又は熱間鍛造を組み入れた特定の同時焼成技法において同時的に実施することができる。熱処理は、還元性雰囲気において、あるいは好ましくは、非還元性雰囲気、例えば酸化性雰囲気において、実施することができる。もしも熱処理を還元性雰囲気において行うのであるならば、工程1106として示すように、引き続く酸化工程を実施することができる。酸化工程は、流路形成物質及び細孔形成物質を除去するために使用してもよい。この酸化によって、アノード内の一部のニッケルあるいは種々の電極内のワイヤメッシュのニッケルを酸化させることができる。次いで、工程1108として示すように、引き続いた還元工程を実施することができる。しかしながら、酸化雰囲気中で加熱加圧成形を行った場合、追加の酸化及び還元工程の数を減らすことができる。
【0039】
スタックは、工程1110として示すように、封止を行うことができ、また、工程1112として示すように、接点に接続する。これらの工程の順序は、処理方法に応じて変更してもよい。
【0040】
図12は、加熱加圧成形の1サイクルを例示したものである。固体酸化物型燃料電池あるいは固体酸化物型燃料電池スタックを熱間鍛造する短縮された処理サイクルが示されている。所望とする温度が達成された後、1時間よりも短い期間にわたって圧力(力)を適用することができる。このような短縮された処理サイクルを適用すると、固体酸化物型燃料電池スタックのコストを下げ、かつ製造を加速することができる。図12に示した圧力は47kNの高さであるが、好ましい範囲は、約0.1〜約20kNの間であることができ、例えば、約0.1〜約10kNの間である。
【0041】
図13は、固体酸化物型燃料電池を形成する一例を示している。工程1302において示すように、一部の電極の層を形成する。工程1304として示すように、部分電極内に集電メッシュを配置する。さらに加えて、部分電極の上もしくはその内部に微細流路形成ロッドを配置してもよい。引き続いて、工程1306として示すように、第1の電極を形成するために残っている材料で層を形成する。次いで、工程1308として示すように、電解質の層を形成する。工程1310として示すように、部分第2電極材料からなる引き続きの層を電解質層の上に配置する。工程1312として示すように、部分第2電極材料の上に集電メッシュを配置する。工程1314として示すように、第2電極を形成するための残りの材料を集電メッシュと部分第2電極の上に層状に配置する。集電体の他に、微細流路形成メッシュを部分電極と一緒に配置してもよい。電池は、スタックを形成するため、別々にあるいはその他の電池と一緒に、加圧成形するかもしくは加熱加圧成形してもよい。
【0042】
上記した固体酸化物型燃料電池は、発電のためのSOFCシステムに組み込んでもよい。図14は、SOFCシステムの一例を示したものである。このシステムは、燃料システム1402、空気システム1404、SOFCスタック1408、そして電力調整装置1410を包含する。また、このシステムは、SOFCスタックの所望とする運転温度に依存して、リフォーマー(改質装置)1406を包含してもよい。
【0043】
燃料は、燃料システム1402に供給される。燃料システム1402は、燃料のクリーニング及び(又は)リフォーミングや反応のために調製物中の燃料を加熱することを行ってもよい。燃料システム1402は、熱交換器、コンプレッサ、ポンプ、吸着床及びその他の構成要素を包含してもよい。燃料は、燃料システム1402から出た後、リフォーマー1406に供給される。リフォーマー1406は、燃料から水素及びその他の分子を生成させるために使用することができる。典型的には、リフォーマー1406は、典型的には低温のSOFCシステムのために使用される。高温のSOFCシステムは、内的リフォーミングの利点を具えることができ、したがって、リフォーミング前の燃料を利用する。
【0044】
空気は、空気システム1404に供給される。空気システム1404は、空気のクリーニング、圧縮、精製及び(又は)加熱を行ってもよい。空気システムは、その他の構成要素のなかでも、コンプレッサ、吸着床、メンブラン及び熱交換器を包含してもよい。
【0045】
燃料と空気は、SOFCスタック1408に供給される。燃料は、通常、SOFCスタック内の燃料電池のアノードを横切るようにして供給され、また、空気は、通常、カソードを横切るようにして供給される。SOFCの場合、カソードから電解質を横切ってアノードに輸送された酸素によって電位が発生せしめられる。この電位の調整を、SOFCスタック1408に電気的に接続されている電力調整装置1410によって実施する。電力調整装置1410は、グリッドあるいは回路に対して電力を供給することができる。SOFCスタックからの排気は、熱交換のために、あるいはリフォメーションプロセスにおいて使用することができる。
【0046】
図15は、空気雰囲気下において加熱加圧成形サイクルを行って得た微細流路を含む電極を備えた固体酸化物型燃料電池スタックの一例を示している。この例示した態様において、加熱加圧成形サイクルの間にグラファイト−樹脂複合ロッドを酸化することによって微細流路を形成した。ロッドは、図13に示したプロセス(図中、工程1304と1312が微細流路形成物質の配置を示す)と同様な手法に従って電極の本体に埋め込んだ。固体酸化物型燃料電池スタックを1MPaの圧力の下で1300℃で加熱加圧成形した。別の態様の場合には、約0.01MPa〜約100MPaの圧力の下で、例えば約0.1MPa〜約50MPaの間あるいは約0.5MPa〜約20MPaの間の圧力の下で、固体酸化物型燃料電池スタックを加熱加圧成形することができる。
【0047】
以上に説明した事項は、説明を目的としたものであり、何ら限定的なものではなく、また、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の範囲に包含される変更、改良及びその他の態様をすべて包含することを意図したものであることを理解されたい。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲及びそれらの等価物の最も広い許容可能な解釈を通じて、法令によって許される範囲の最大限のものとなるように決定されるべきものであり、上記した詳細な説明によって制限あるいは限定されるべきものではない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】固体酸化物型燃料電池スタックの一例を示した模式図である。
【図2】図1の固体酸化物型燃料電池スタックに対する電気的接続によって達成される回路の一例を示した模式図である。
【図3】固体酸化物型燃料電池の一例を示した模式図である。
【図4】電極の一例の形成を示した模式図である。
【図5A】電極の一例の形成を示した電子顕微鏡写真である。
【図5B】電極の一例の形成を示した電子顕微鏡写真である。
【図6A】電極の一例の形成を示した電子顕微鏡写真である。
【図6B】電極の一例の形成を示した電子顕微鏡写真である。
【図7A】電極の一例の形成を示した電子顕微鏡写真である。
【図7B】累積侵入量と細孔サイズの関係をプロットしたグラフである。
【図7C】電極の一例の形成を示した電子顕微鏡写真である。
【図7D】累積侵入量と細孔サイズの関係をプロットしたグラフである。
【図8】ガス流路の形成のための装置の一例を示した模式図である。
【図9】固体酸化物型燃料電池の一例を示した模式図である。
【図10A】固体酸化物型燃料電池の一例を示した電子顕微鏡写真である。
【図10B】固体酸化物型燃料電池の一例を示した電子顕微鏡写真である。
【図11】固体酸化物型燃料電池スタックの形成方法の一例を示した系統図である。
【図12】固体酸化物型燃料電池スタックにおける温度及び出力の経時変化をプロットしたグラフである。
【図13】固体酸化物型燃料電池スタックの形成方法の一例を示した系統図である。
【図14】SOFCシステムの一例を示した模式図である。
【図15】固体酸化物型燃料電池スタックの一例を示した電子顕微鏡写真である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には固体酸化物型燃料電池(SOFC)に関し、さらに詳しく述べると、商業的に実施可能なSOFCとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体酸化物型燃料電池(SOFC)は、エネルギーを製造するために慣用されている燃焼機関やタービンの代替となるものである。燃料電池技術は、より高い効率及び環境に対するより低い影響を伴って発電を行うことができ、また、燃料電池技術は、CO、NOx及びSOxの放出量がより少ないことが一般的である。固体酸化物型燃料電池は、燃料源として、天然ガス、ケロセン及びディーゼル燃料を特に使用することができる。しかしながら、多くの種類の典型的なSOFCは、単位出力当たりの高いコストに苦しめられている。
【0003】
固体酸化物型燃料電池は、円筒状及び平板状のSOFCを含めたいろいろな形態で製造することができる。円筒形のSOFCは、通常、酸化ストロンチウムをドーピングしたランタンマンガナイト(LSM)からなる多孔質の支持体チューブを使用する。平板状のSOFCは、電解質で支持した構造体あるいは電極で支持した構造体を利用することができる。電解質で支持した構造体は、一般的に、大きな厚さをもったイットリア安定化ジルコニアから形成される。これらの厚さのある電解質は、高いイオン抵抗値を有しており、したがって、電位の低下を発生する。
【0004】
電極で支持したSOFCは、構造体を支持したカソード又はアノードを用いて形成することができる。例えばランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)のようなカソードは、イットリア安定化ジルコニアに近い熱膨張係数を有している。他方において、アノード支持電池は、一般的に、ニッケル及びイットリア安定化ジルコニアを用いて形成される。ニッケルを含有したイットリア安定化ジルコニアの熱膨張係数は、イットリア安定化ジルコニアからなる電解質のそれよりも大きい値である。カソード支持電池及びアノード支持電池の双方において、電極の厚さが大きくなると、反応体の拡散や電極の抵抗に対して影響がでてくる。電極支持の電池あるいは電解質支持の電池のいずれにおいても、より厚い電解質あるいは電極を使用すると、その影響の結果、電池の電位あるいは電流密度が低下せしめられ、SOFCシステムの効率に悪影響がでてくる。
【0005】
支持構造体の面においてばかりでなく、電極に対して電気接点(コンタクト)を接続することに関しても課題が存在している。典型的なSOFCは、ガス不透過性の相互接続体を有している。典型的な相互接続体は、電極が示すものとは類似しない熱膨張係数を有している。熱膨張係数に差があると、電極からの相互接続体のせん断が引き起こされ、電池における抵抗の増大が発生する。相互接続体材料によっては、電極構造体中に拡散してしまう。相互接続体の構造が不十分なものであると、可使電位や電流密度の低下が発生する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のような状況があるため、一般的な固体酸化物型燃料電池技術では、製造されるエネルギーのコストを増大させるところの、構造や製造上の欠点が問題となっている。したがって、改良された電極、電解質、SOFC、そしてSOFCスタックが必要となっている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの特定の態様において、固体酸化物型燃料電池スタックが開示される。この固体酸化物型燃料電池は、少なくとも2個の固体酸化物型燃料電池を包含する。これらの2個の固体酸化物型燃料電池は、共通の電極を分有している。
【0008】
もう1つの態様において、固体酸化物型燃料電池スタックが開示される。この固体酸化物型燃料電池は、一体化された複数の層を有している。複数の層には、第1のアノード層、第1の電解質層、第1のカソード層、第2の電解質層、そして第2のアノード層が含まれる。第1の電解質層は、第1のアノード層の上に位置している。第1のカソード層は、第1の電解質層の上に位置している。第2の電解質層は、第1のカソード層の上に位置しており、また、第2のアノード層は、第2の電解質層の上に位置している。
【0009】
別の1態様において、固体酸化物型燃料電池スタックが開示される。この固体酸化物型燃料電池は、少なくとも2個の固体酸化物型燃料電池を包含する。これらの固体酸化物型燃料電池は、ガス不透過性の相互接続体層を有していない。
【0010】
もう1つの態様において、固体酸化物型燃料電池の形成方法が開示される。この方法は、カソード層、アノード層及びアノード層とカソード層の間に配置された電解質層を含む固体酸化物型燃料電池を形成することと、固体酸化物型燃料電池を酸化性雰囲気中で緻密化処理することを包含する。
【0011】
別の1態様において、一体化された複数の微細流路(マイクロチャネル)を含むアノード層、そのアノード層の上に配置された電解質層、そして一体化された複数の微細流路を含むカソード層を含む固体酸化物型燃料電池が開示される。カソード層は、電解質層の上に位置している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、添付の図面を参照することにより、当業者がより良好に理解できるようになり、また、その多数の目的、構成要件、そして利点が明らかとなるであろう。なお、異なる図面において同一の参照番号を使用した場合には、同様であるかもしくは同一の部材を示すものとする。
【0013】
1態様に従うと、本発明は、固体酸化物型燃料電池スタックに向けられる。この燃料電池スタックは、2個もしくはそれ以上の固体酸化物型燃料電池(SOFC)を有している。これらの燃料電池の2個が、1つの共通の電極層を分有している。電極は、微細流路を包含してもよく、また、固体酸化物型燃料電池スタックに対して、回路の形で、外部的に電気的に接続されていてもよい。回路は、並列回路であってもよく、直列回路であってもよく、さもなければ直列/並列混成回路であってもよい。共通の電極を利用している上記した態様の特定の構造体の場合、並列回路の形成が適合している。
【0014】
図1は、固体酸化物型燃料電池スタックの1つの例示的な態様を図示したものである。このスタックは、電解質層104、108及び112によって分離された電極層102、106、110及び114を包含する。それぞれの電極層は、微細流路116を包含する。電極の種類に依存して、微細流路116内を酸化剤もしくは燃料が通過し、また、電解質層104、108及び112を横切ってイオンが輸送される。
【0015】
ある特定の態様において、電極102はアノードであり、そして電極106はカソードである。アノード102及びカソード106は、電解質104によって分離されて、単一形の固体酸化物型燃料電池を形成している。酸素イオンは、電解質104を横切って輸送されて燃料と反応することができ、アノード102とカソード106の間に電位差を発生させる。カソード106は、電解質108によってアノード110から分離されている。ここでもまた、酸素イオンは、電解質108を横切って輸送されて、カソード106とアノード110の間に電位を発生させることができる。同様に、アノード110は、別の電解質112によってカソード114から分離されている。このパターンを複数回にわたって繰り返すことができる。
【0016】
この例示的な態様において、複数個の固体酸化物型燃料電池は、共通の電極を分有している。これらの電極は、燃料電池の全体を通じて単一の組成を有していてもよく、さもなければ、電極に対して機能を付与するため、異なる層あるいは濃度勾配を有していてもよい。電極106の場合には、共通の電極構造体は、カソードである。電極110の場合には、共通の電極構造体は、アノードである。スタックの配置は、隣接する固体酸化物型燃料電池のなかでいくつかの電極が分有されているようにするため、繰り返しのパターンで行うことができる。このような形状とすることによって、ガス不透過性の相互接続体バリヤを使用することに依存することが不必要となる。
【0017】
しかしながら、別法によれば、ガス不透過性の相互接続体を使用してスタックを形成してもよい。この形状の場合、複数個の電池を配置することで、直列回路の形態をとる固体酸化物型燃料電池スタックが導かれる。このスタックは、別のスタックに直列、並列又は直列/並列混成回路形状で接続してもよい。
【0018】
また、この例示的な態様は、電極102、106、110及び114のそれぞれにおいて図示されるように、微細流路116を包含してもよい。これらの微細流路の特徴的な直径は、0.1mm〜5mmである。微細流路は、一般的には約3mmよりも小さく、例えば約1mm未満である。特徴的な直径は、流体の流動方法と関連している。微細流路は、電極に一体化させてもよい。図1に示した例示的な態様において、微細流路は、電極102、106、110及び114内に埋め込まれている。微細流路の一例は、図15に図示されている。別の例示的な態様において、微細流路は、電極内に全体的もしくは部分的に埋め込まれていてもよく、さもなければ、電極層の幾何学的外形の一部として形成されていてもよい。微細流路のもう1つの例は、以下において説明する図8に示されている。
【0019】
微細流路は、例えば充填剤材料の溶解もしくは流路形成物質の酸化のようなサブトラクティブ法によって形成することができる。流路形成物質は、例えば、カーボンを主成分とする流路形成物質、例えば無定形カーボン、カーボンブラック、グラファイト又はグラファイト−樹脂複合体であることができる。微細流路116は、それらが形成されている電極構造体の機能に依存して、酸化剤あるいは燃料を流動させることが可能である。
【0020】
また、電極は、多孔質であってもよい。ある例示的な態様において、金属酸化物の還元を通じて細孔を形成することができる。別の例では、例えば充填剤材料の溶解もしくは細孔形成物質の酸化のようなサブトラクティブ法によって細孔を形成することができる。細孔形成物質は、カーボンを主成分として含む材料、例えばカーボンブラック、無定形カーボン、グラファイト又はグラファイト−樹脂複合体を包含することができる。また、相対的な粒子及び凝集サイズ分布のコントロールを通じた部分的な緻密化によって細孔を形成してもよい。
【0021】
また、電極は、一体化された集電装置(集電部材)を包含してもよい。一体化された集電装置は、電極内に埋め込まれ、かつその電極の形成に関連して形成されてもよく、また、例えばニッケルのような導電体を包含してもよい。集電装置は、電極の種類に依存して、外部接点に対して電流を誘導するか、さもなければ1個もしくはそれ以上の外部接点を形成することができる。別法に従う態様において、電極は、集電装置を包含していなくともよく、その場合、電極に対して直接的に外部接続を行うことができる。もしもカソードの出力が接続されかつアノードの出力が接続されているとすると、得られる回路は、図2に例示するように、並列回路構造体である。
【0022】
固体酸化物型燃料電池スタックは、一体化加熱プロセスを通じて形成することができる。例えば個々の燃料電池は、また、ある特定の態様において、全体としての燃料電池スタックは、焼結法によって緻密化することができる。焼結法は一般的に常圧焼結法を包含するけれども、加圧焼結法、例えば加熱加圧成形法、熱間等静圧圧縮成形法(HIP)及び熱間鍛造法がしばしば有利である。場合によっては、コストの面からHIPが回避される。圧力の適用を利用した焼結法の選択肢についてみると、ある特定の態様では加熱加圧成形法が用いられ、また、別の特定の態様では熱間鍛造法が用いられる。加熱加圧成形法及び熱間鍛造法のどちらも、一般的には一方向あるいは一軸方向について行われるが、熱間鍛造法は、一般的に、実質的な熱間変形、例えば複雑な成形ダイのキャビティにおける充填処理を包含する。一般的には、直径の収縮を防止するため、熱間鍛造よりもむしろ、加熱加圧成形と組み合わさったより低い圧力が有利である。圧力と温度を操作して、熱処理のサイクルの1サイクルの期間が約60分間以内となるように調整してもよい。別法によれば、サイクルの期間が約45分間、30分間、15分間又は10分間以内となるように操作を行ってもよい。
【0023】
燃料電池又は燃料電池スタックの一体化処理を行う場合、SOFCは、その電池厚さが約10mm以下、例えば約5mm以下となるように形成することができる。別の態様は、4mm又は3mm以下の電池厚さをもったSOFCを包含する。さらに、処理によって得られる固体酸化物型燃料電池スタックは、電解質の厚さが100μm以下であり、電極の厚さが最大で約3mmである。しかしながら、一体化処理を通じて、より大きな厚さをもった電池を任意に形成することができる。
【0024】
電解質は、ジルコニア、セリア、ガリア及びその他の既知のイオン性伝導体を含むいろいろな材料から形成することができる。酸素イオン伝導性は、例えばイットリウム、スカンジウム、サマリウム、イッテルビウム及びガドリニウムのような物質でもって高められる。例えば、電解質は、なかんずく、イットリア安定化ジルコニア、スカンジアドープジルコニア、イッテルビアドープジルコニア、酸化サマリウムドープセリア、酸化ガドリニウムドープセリア又はカルシアドープセリアから形成することができる。電解質との関連において、アノードは、ニッケル及びイットリア安定化ジルコニア又はニッケル及び酸化ガドリニウム安定化ジルコニアから形成することができる。ニッケルは、一般的に、素地のアノードかもしくは前処理後のアノードに含まれるニッケル酸化物の還元を通じて製造される。カソードは、イットリア安定化ジルコニアと組み合わせて使用される場合には、ランタンストロンチウムマンガナイトから形成することができる。別法によれば、カソードは、なかんずく、ランタンストロンチウムフェライト又はランタンストロンチウムコバルトフェライトを含むことができる。
【0025】
図3は、固体酸化物型燃料電池の例示的な一態様を示したものである。図示のSOFCは、一方の側にアノード302が隣接し、他方の側にカソード306が隣接した電解質304を有している。メッシュ308は、アノード302と組み合わさっていることが示されている。しかしながら、メッシュは、電池及びスタックの機械的一体性を高めるため、あるいは外側の集電装置に対する接続を改良するため、種々の電極構造体中に組み込まれていてもよい。
【0026】
層302、304及び306は、種々の低コスト製造手段を使用して形成することができる。これらの製造手段は、テープキャスティング、スクリーン印刷、テープカレンダー加工、多層セラミック加工、溶射コーティング、リソグラフィックデポジッション、押出し加工及びコーティング、そして共押出し加工を包含する。このようにして形成された電池は、例えば常圧焼結によって、さもなければ好ましくは加圧焼結、例えば加熱加圧成形、熱間鍛造又は加熱等静圧圧縮成形によって焼結することができる。電池は、スタックのなかに組み入れてもよく、また、そのスタックは、一体化された構造体を形成するため、鍛造技術を利用して焼結される。
【0027】
アノード302は、ニッケル酸化物とイットリア安定化ジルコニア又はガドリニウム安定化セリアの組み合わせを使用して形成することができる。メッシュ308は、例えばニッケルメッシュのような金属メッシュであることができ、また、メッシュ308は、電極中に埋め込んでもよい。電解質304は、なかんずく、ジルコニアもしくはセリアから形成することができる。電解質材料は、例えばイットリウム、スカンジウム、サマリウム、イッテルビウム又はガドリニウムの酸化物のような安定剤で安定化されていてもよい。例えば、電解質は、イットリア安定化ジルコニア、スカンジアドープジルコニア、イッテルビアドープジルコニア、酸化サマリウムドープセリア又は酸化ガドリニウムドープセリアから形成することができる。例示的な一態様において、イットリア安定化ジルコニアは、約8モル%よりも多量に、例えば少なくとも約8.5モル%又は少なくとも約9モル%の量でイットリアを有している。例えば、約10モル%のイットリアを含有するイットリア安定化ジルコニアを使用することができる。カソードは、ランタンストロンチウムマンガナイト、ランタンストロンチウムフェライト又はランタンストロンチウムコバルトフェライトから形成することができる。
【0028】
電極内におけるガス輸送は、細孔及び微細流路の形成を通じて促進することができる。図4は、電極402の内部に細孔形成物質404と流路形成物質406が含まれている状態を示したものである。また、電極402は、408で示されるところの集電メッシュを有することもできる。流路形成物質406及び細孔形成物質404は、流路及び細孔を残すため、例えば酸化のようなサブトラクティブ法を使用して電極から除去することができる。例えば、流路形成物質及び細孔形成物質の50%を、例えば酸化によって除去することができる。別の例においては、流路形成物質及び細孔形成物質の80%、90%又は95%よりも多量を除去することができる。もう1つの例示的な態様において、得られる電極402が5重量%未満の流路形成物質又は細孔形成物質を含むようにするため、流路形成物質及び細孔形成物質を実質的に除去してもよい。例えば、電極402は、流路形成物質又は細孔形成物質を3重量%、1重量%又は0.5重量%未満の量で含むことができる。
【0029】
図5Aは、還元性雰囲気下で加熱加圧成形サイクルを実施した後の、細孔形成物質を有するカソードの一例を示したものである。この例示的な態様において、カソードは、11.4m2/gまで磨砕したランタンストロンチウムマンガナイトであって、約15.8重量%又は40容量%のカーボンブラックを有するようにイットリア安定化ジルコニア及びカーボンブラックと湿式混合したものを包含する。図5Bは、900℃の空気中で10時間にわたって熱処理した後の電極を示している。この例のカソードは、30%の開放細孔率を有している。
【0030】
図6A及び図6Bに示したもう1つの例は、アノードを示したものである。アノードは、12.5m2/gまで磨砕したニッケル酸化物をイットリア安定化ジルコニア及びカーボンブラックと混合することを通じて形成される。図6Aは、還元性雰囲気中で加熱加圧成形サイクルを実施した後のアノードを示す。図6Bは、900℃の空気中で10時間にわたって燃焼又は熱処理した後の電極を示す。この例のアノードは、12%の開放細孔率を有している。
【0031】
図7A、図7B、図7C及び図7Dは、燃焼プロセスによって得られた細孔をさらに例示したものである。図7Aは、細孔形成物質を燃焼除去した後のアノードの一例を示したものであり、また、このアノードは、ニッケル及びイットリア安定化ジルコニアを主として有している。図7Bは、アノード成分と一緒に23.5重量%まで混合したグラファイトの、酸化後に得られた細孔分布を示したものである。得られた細孔率の合計は、47%である。合計細孔面積は、約0.752m2/gであり、また、平均細孔直径は、約0.689μmである。
【0032】
図7Cは、カーボンブラックの酸化を通じて形成された同様なアノードを示している。カーボンブラックは、ニッケル及びイットリア安定化ジルコニアと一緒に約23.5重量%で含まれている。カーボンブラックは、平均0.5μmまで磨砕した。図7Dは、酸化又は燃焼後の細孔のサイズ分布を示している。得られたアノードは、50%を超える細孔率、約1.899m2/gの合計細孔面積及び約0.315μmの平均細孔直径を有している。
【0033】
電解質は、いろいろな技法によって形成することができる。参考のために示すと、本願明細書においてその番号を参照することによって内容を記載したものとする、2004年6月9日付けで出願された米国特許出願第 号(代理人整理番号:1035−FC4289)、2003年6月9日付けで出願された米国特許出願第60/477,147号のノンプロビジョナル出願、が挙げられる。このようにして形成された、カソード、電解質及びアノードを含む複数の層は、常用のセラミック加工技術を使用して一緒に積層することができる。
【0034】
微細流路は、細孔の形成と同様な手法で、例えば流路形成性の繊維、ロッド又はメッシュのような流路形成性構造体を含ませることによって形成することができる。これらの流路形成物質は、電極構造体を通る流体の輸送を可能ならしめる微細流路を残すため、例えば酸化もしくは燃焼除去のようなサブトラクティブ法によって実質的に除去することができる。
【0035】
微細流路を含む電池を一体的に形成するための別の方法は、非サブトラクティブ法によって微細流路が形成される図8に示される通りである。ここで、微細流路は、適所における成形(現場成形)によって形成される。アノード806、電解質808及びカソード810を含む固体酸化物型燃料電池構造体を2個の流路形成用成形型802の間でプレス成形することができる。成形型802は、固体酸化物型燃料電池804に押し付けたときに部分流路814を形成可能な突起パターン812を有することができる。一例において、成形型802は、グラファイトから形成することができ、また、加熱加圧成形サイクルの間にSOFCにプレス成形することができる。しかしながら、別の好ましい態様によると、グラファイト以外の材料から成形型802を形成してもよい。もう1つの別の態様によると、スタックの微細流路を押出し成形もしくは現場流延法によって形成してもよい。流路の上に、それに対応可能な部分流路をもったもう1つの電池を載置すると、電極微細流路を備えたスタックが得られる。
【0036】
図9は、単一形のSOFC電池を示したものである。この単一形のSOFC電池は、アノード902、電解質904、そしてカソード906を包含する。アノード902は、図中“A”で示される厚さを有し、電解質904は、“B”で示される厚さを有し、そしてカソード906は、“C”で示される厚さを有する。この電池もしくは複数の電池のスタックを熱処理、例えば加熱加圧成形、熱間鍛造又は熱間等静圧圧縮成形によって一体化処理すると、個々の電池のサイズや焼結電池材料を小さくすることができる。これらの電池あるいはスタックをもって、電解質−あるいは電極−支持方式の電池とは対照的に、電池支持方式のSOFCあるいはスタック支持方式のSOFCを効果的に形成することができる。アノード及びカソードの有効厚さ、“A”又は“C”は、約150μm未満まで下げることができる。電解質の厚さ“B”は、約100μm未満まで下げることができ、また、約40μm未満、約30μm未満、又は約10μm未満であってもよい。電池又はスタックにモノリス熱処理を施した場合には、約100μm未満の薄い電解質と約150μm未満の薄い電極を組み合わせて使用することが可能となる。
【0037】
図10Aは、固体酸化物型燃料電池(SOFC)に組み込んだ厚い電解質を示している。電解質は、数百μmの厚さをもつことが示されている。図10Bは、約40μmの別の電解質を示している。
【0038】
図11は、固体酸化物型燃料電池及び固体酸化物型燃料電池スタックを製造する方法の一例を示している。電池の各層は、工程1102として示すように形成することができる。層形成方法は、テープキャスティング、スクリーン印刷、テープカレンダー加工、多層セラミック加工、溶射コーティング、リソグラフィックデポジッション、押出し加工及びコーティング、そして共押出し加工を包含する種々の低コスト製造手段で有利に実施することができる。複数の電池は、工程1104として示すように、一緒に熱処理する。熱処理は、なかんずく、加熱加圧成形、熱間等静圧圧縮成形又は熱間鍛造を包含することができる。工程1102及び1104は、加熱加圧成形、熱間等静圧圧縮成形又は熱間鍛造を組み入れた特定の同時焼成技法において同時的に実施することができる。熱処理は、還元性雰囲気において、あるいは好ましくは、非還元性雰囲気、例えば酸化性雰囲気において、実施することができる。もしも熱処理を還元性雰囲気において行うのであるならば、工程1106として示すように、引き続く酸化工程を実施することができる。酸化工程は、流路形成物質及び細孔形成物質を除去するために使用してもよい。この酸化によって、アノード内の一部のニッケルあるいは種々の電極内のワイヤメッシュのニッケルを酸化させることができる。次いで、工程1108として示すように、引き続いた還元工程を実施することができる。しかしながら、酸化雰囲気中で加熱加圧成形を行った場合、追加の酸化及び還元工程の数を減らすことができる。
【0039】
スタックは、工程1110として示すように、封止を行うことができ、また、工程1112として示すように、接点に接続する。これらの工程の順序は、処理方法に応じて変更してもよい。
【0040】
図12は、加熱加圧成形の1サイクルを例示したものである。固体酸化物型燃料電池あるいは固体酸化物型燃料電池スタックを熱間鍛造する短縮された処理サイクルが示されている。所望とする温度が達成された後、1時間よりも短い期間にわたって圧力(力)を適用することができる。このような短縮された処理サイクルを適用すると、固体酸化物型燃料電池スタックのコストを下げ、かつ製造を加速することができる。図12に示した圧力は47kNの高さであるが、好ましい範囲は、約0.1〜約20kNの間であることができ、例えば、約0.1〜約10kNの間である。
【0041】
図13は、固体酸化物型燃料電池を形成する一例を示している。工程1302において示すように、一部の電極の層を形成する。工程1304として示すように、部分電極内に集電メッシュを配置する。さらに加えて、部分電極の上もしくはその内部に微細流路形成ロッドを配置してもよい。引き続いて、工程1306として示すように、第1の電極を形成するために残っている材料で層を形成する。次いで、工程1308として示すように、電解質の層を形成する。工程1310として示すように、部分第2電極材料からなる引き続きの層を電解質層の上に配置する。工程1312として示すように、部分第2電極材料の上に集電メッシュを配置する。工程1314として示すように、第2電極を形成するための残りの材料を集電メッシュと部分第2電極の上に層状に配置する。集電体の他に、微細流路形成メッシュを部分電極と一緒に配置してもよい。電池は、スタックを形成するため、別々にあるいはその他の電池と一緒に、加圧成形するかもしくは加熱加圧成形してもよい。
【0042】
上記した固体酸化物型燃料電池は、発電のためのSOFCシステムに組み込んでもよい。図14は、SOFCシステムの一例を示したものである。このシステムは、燃料システム1402、空気システム1404、SOFCスタック1408、そして電力調整装置1410を包含する。また、このシステムは、SOFCスタックの所望とする運転温度に依存して、リフォーマー(改質装置)1406を包含してもよい。
【0043】
燃料は、燃料システム1402に供給される。燃料システム1402は、燃料のクリーニング及び(又は)リフォーミングや反応のために調製物中の燃料を加熱することを行ってもよい。燃料システム1402は、熱交換器、コンプレッサ、ポンプ、吸着床及びその他の構成要素を包含してもよい。燃料は、燃料システム1402から出た後、リフォーマー1406に供給される。リフォーマー1406は、燃料から水素及びその他の分子を生成させるために使用することができる。典型的には、リフォーマー1406は、典型的には低温のSOFCシステムのために使用される。高温のSOFCシステムは、内的リフォーミングの利点を具えることができ、したがって、リフォーミング前の燃料を利用する。
【0044】
空気は、空気システム1404に供給される。空気システム1404は、空気のクリーニング、圧縮、精製及び(又は)加熱を行ってもよい。空気システムは、その他の構成要素のなかでも、コンプレッサ、吸着床、メンブラン及び熱交換器を包含してもよい。
【0045】
燃料と空気は、SOFCスタック1408に供給される。燃料は、通常、SOFCスタック内の燃料電池のアノードを横切るようにして供給され、また、空気は、通常、カソードを横切るようにして供給される。SOFCの場合、カソードから電解質を横切ってアノードに輸送された酸素によって電位が発生せしめられる。この電位の調整を、SOFCスタック1408に電気的に接続されている電力調整装置1410によって実施する。電力調整装置1410は、グリッドあるいは回路に対して電力を供給することができる。SOFCスタックからの排気は、熱交換のために、あるいはリフォメーションプロセスにおいて使用することができる。
【0046】
図15は、空気雰囲気下において加熱加圧成形サイクルを行って得た微細流路を含む電極を備えた固体酸化物型燃料電池スタックの一例を示している。この例示した態様において、加熱加圧成形サイクルの間にグラファイト−樹脂複合ロッドを酸化することによって微細流路を形成した。ロッドは、図13に示したプロセス(図中、工程1304と1312が微細流路形成物質の配置を示す)と同様な手法に従って電極の本体に埋め込んだ。固体酸化物型燃料電池スタックを1MPaの圧力の下で1300℃で加熱加圧成形した。別の態様の場合には、約0.01MPa〜約100MPaの圧力の下で、例えば約0.1MPa〜約50MPaの間あるいは約0.5MPa〜約20MPaの間の圧力の下で、固体酸化物型燃料電池スタックを加熱加圧成形することができる。
【0047】
以上に説明した事項は、説明を目的としたものであり、何ら限定的なものではなく、また、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の範囲に包含される変更、改良及びその他の態様をすべて包含することを意図したものであることを理解されたい。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲及びそれらの等価物の最も広い許容可能な解釈を通じて、法令によって許される範囲の最大限のものとなるように決定されるべきものであり、上記した詳細な説明によって制限あるいは限定されるべきものではない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】固体酸化物型燃料電池スタックの一例を示した模式図である。
【図2】図1の固体酸化物型燃料電池スタックに対する電気的接続によって達成される回路の一例を示した模式図である。
【図3】固体酸化物型燃料電池の一例を示した模式図である。
【図4】電極の一例の形成を示した模式図である。
【図5A】電極の一例の形成を示した電子顕微鏡写真である。
【図5B】電極の一例の形成を示した電子顕微鏡写真である。
【図6A】電極の一例の形成を示した電子顕微鏡写真である。
【図6B】電極の一例の形成を示した電子顕微鏡写真である。
【図7A】電極の一例の形成を示した電子顕微鏡写真である。
【図7B】累積侵入量と細孔サイズの関係をプロットしたグラフである。
【図7C】電極の一例の形成を示した電子顕微鏡写真である。
【図7D】累積侵入量と細孔サイズの関係をプロットしたグラフである。
【図8】ガス流路の形成のための装置の一例を示した模式図である。
【図9】固体酸化物型燃料電池の一例を示した模式図である。
【図10A】固体酸化物型燃料電池の一例を示した電子顕微鏡写真である。
【図10B】固体酸化物型燃料電池の一例を示した電子顕微鏡写真である。
【図11】固体酸化物型燃料電池スタックの形成方法の一例を示した系統図である。
【図12】固体酸化物型燃料電池スタックにおける温度及び出力の経時変化をプロットしたグラフである。
【図13】固体酸化物型燃料電池スタックの形成方法の一例を示した系統図である。
【図14】SOFCシステムの一例を示した模式図である。
【図15】固体酸化物型燃料電池スタックの一例を示した電子顕微鏡写真である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2個の固体酸化物型燃料電池を含み、かつこれらの2個の固体酸化物型燃料電池が共通の電極を分有している、固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項2】
前記共通の電極がカソードである、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項3】
前記共通の電極がアノードである、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項4】
前記2個の固体酸化物型燃料電池の第1の電池は、第1の電極、第1の電解質及び第2の電極を含み、かつ前記2個の固体酸化物型燃料電池の第2の電池は、第2の電極、第2の電解質及び第3の電極を含み、その際、前記第2の電極が前記共通の電極である、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項5】
前記2個の固体酸化物型燃料電池の1つとともに第2の共通の電極を分有する第3の固体酸化物型燃料電池をさらに含む、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項6】
前記共通の電極が微細流路を含む、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項7】
前記固体酸化物型燃料電池のそれぞれが、それぞれの第2の電極、共通の電極及び微細流路を備えた第2の電極を含む、請求項6に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項8】
前記微細流路は、0.1mm〜5mmの特徴的直径を有している、請求項6に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項9】
前記微細流路は、サブトラクティブ法によって形成されたものである、請求項6に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項10】
前記微細流路は、カーボンを含む流路形成物質を酸化することによって形成されたものである、請求項6に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項11】
前記流路形成物質は、無定形カーボン、カーボンブラック、グラファイト又はグラファイト−樹脂複合体である、請求項10に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項12】
前記微細流路は、非サブトラクティブ法によって形成されたものである、請求項6に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項13】
前記微細流路は、現場において成形されたものである、請求項12に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項14】
集電装置をさらに含む、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項15】
前記集電装置が前記共通の電極に埋め込まれている、請求項14に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項16】
前記固体酸化物型燃料電池のそれぞれが、それぞれの第2の電極、共通の電極及び集電装置を備えた第2の電極を包含する、請求項15に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項17】
前記集電装置がニッケルを含む、請求項14に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項18】
該スタックがガス不透過性の相互接続体を有していない、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項19】
前記2個の固体酸化物型燃料電池は、複数個の電極を含み、かつ該固体酸化物型燃料電池スタックは、それぞれの電極の外側エッジ部に接続された電気接点をさらに有している、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項20】
前記2個の固体酸化物型燃料電池は、加熱加圧成形によって接合されている、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項21】
前記加熱加圧成形工程は、60分間以内のサイクル期間を有する加熱加圧成形サイクルを包含する、請求項20に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項22】
前記共通の電極は、サブトラクティブ法によって形成された多孔質構造体を有している、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項23】
前記共通の電極は、細孔形成物質の酸化によって形成された多孔質構造体を有している、請求項22に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項24】
前記細孔形成物質がカーボンを含む、請求項23に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項25】
前記細孔形成物質は、カーボンブラック又は無定形カーボンである、請求項24に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項26】
前記2個の固体酸化物型燃料電池のうちの少なくとも一方の電池は、その厚さが10mm以下である、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項27】
前記2個の固体酸化物型燃料電池のうちの少なくとも一方の電池は、その厚さが5mm以下である、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項28】
前記2個の固体酸化物型燃料電池のうちの少なくとも一方の電池は、その厚さが3mm以下である、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項29】
前記2個の固体酸化物型燃料電池のうちの少なくとも一方の電池において、その電池の電解質の厚さは100μm以下であり、かつ前記共通の電極の厚さは5mm以下である、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項30】
前記2個の固体酸化物型燃料電池は、それぞれ、電解質を有しており、かつ前記2個の固体酸化物型燃料電池のそれぞれの電解質は、ジルコニア、セリア及びガリアからなる群から選ばれる材料を含んでいる、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項31】
前記材料は、スカンジウム、サマリウム、ガドリニウム及びイットリウムからなる群から選ばれる安定化物質で安定化されている、請求項30に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項32】
前記材料は、イットリア安定化ジルコニアを含む、請求項31に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項33】
前記2個の固体酸化物型燃料電池は、少なくとも1個のアノードを備え、かつ前記少なくとも1個のアノードは、ニッケル及びイットリア安定化ジルコニアを含む、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項34】
前記少なくとも1個のアノードは、ニッケル酸化物及びイットリア安定化ジルコニアを含む素地体の還元によって形成されたものである、請求項33に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項35】
前記2個の固体酸化物型燃料電池は、少なくとも1個のアノードを備え、かつ前記少なくとも1個のアノードは、ニッケル及びガドリニウム安定化セリアを含む、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項36】
前記少なくとも1個のアノードは、ニッケル酸化物及びガドリニウム安定化セリアを含む素地体の還元によって形成されたものである、請求項33に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項37】
前記固体酸化物型燃料電池は、少なくとも1個のカソードを備え、かつ前記少なくとも1個のカソードは、ランタンストロンチウムマンガナイト、ランタンストロンチウムフェライト及びランタンストロンチウムコバルトフェライトからなる群から選ばれる材料を含む、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項38】
前記少なくとも1個のカソードは、ランタンストロンチウムマンガナイトを含む、請求項37に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項39】
第1のアノード層、
前記第1のアノード層の上に配置された第1の電解質層、
前記第1のアノード層の上に配置された第1のカソード層、
前記第1のカソード層の上に配置された第2の電解質層、及び
前記第2の電解質層の上に配置された第2のアノード層
を含む、一体化された固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項40】
前記第2のアノード層の上に配置された第3の電解質層と、前記第3の電解質層の上に配置された第2のカソード層とをさらに含む、請求項39に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項41】
集電装置をさらに含む、請求項39に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項42】
前記集電装置が前記第1のアノード層に埋め込まれている、請求項41に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項43】
前記集電装置がニッケルを含む、請求項41に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項44】
前記第1のカソード層と一体化した集電装置をさらに含む、請求項39に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項45】
前記第1及び第2のアノード層において微細流路をさらに含む、請求項39に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項46】
前記第1のカソード層において微細流路をさらに含む、請求項39に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項47】
少なくとも2個の固体酸化物型燃料電池を含む固体酸化物型燃料電池スタックであって、該燃料電池スタックは、ガス不透過性の相互接続体層を有していない、固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項48】
燃料をコンディショニングするための燃料システム、
空気をコンディショニングするための空気システム、
前記燃料システムに接続され、かつ前記空気システムに接続された固体酸化物型燃料電池スタックであって、少なくとも2個の固体酸化物型燃料電池を含み、かつこれらの少なくとも2個の固体酸化物型燃料電池が共通の電極を分有している固体酸化物型燃料電池スタック、及び
前記固体酸化物型燃料電池スタックに電気的に接続された電力調整装置
を含んでなる、固体酸化物型燃料電池システム。
【請求項49】
前記燃料システムは、前記固体酸化物型燃料電池スタックのアノードと流体で連通しており、かつ前記空気システムは、前記固体酸化物型燃料電池スタックのカソードと流体で連通している、請求項48に記載の固体酸化物型燃料電池システム。
【請求項50】
燃料をコンディショニングするための燃料システム、
空気をコンディショニングするための空気システム、
前記燃料システムに接続され、かつ前記空気システムに接続された固体酸化物型燃料電池スタックであって、該燃料電池スタックが、
第1のアノード層、
前記第1のアノード層の上に配置された第1の電解質層、
前記第1のアノード層の上に配置された第1のカソード層、
前記第1のカソード層の上に配置された第2の電解質層、及び
前記第2の電解質層の上に配置された第2のアノード層
を含む、固体酸化物型燃料電池スタック、及び
前記固体酸化物型燃料電池スタックに電気的に接続された電力調整装置
を含んでなる、固体酸化物型燃料電池システム。
【請求項51】
前記燃料システムは、前記第1のアノード層と流体で連通しており、かつ前記空気システムは、前記第1のカソード層と流体で連通している、請求項50に記載の固体酸化物型燃料電池システム。
【請求項52】
カソード層、アノード層及び該アノード層と該カソード層の間に設けられた電解質層を含む固体酸化物型燃料電池を形成すること、及び
前記固体酸化物型燃料電池を酸化性環境下において緻密化処理すること
を含んでなる、固体酸化物型燃料電池を形成する方法。
【請求項53】
前記緻密化処理を加圧焼結によって実施する、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記加圧焼結が加熱加圧成形を包含する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記加圧焼結が熱間鍛造を包含する、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
該方法を実施して、スタックの形をとる複数個の固体酸化物型燃料電池を形成し、かつ前記複数個の固体酸化物型燃料電池を一緒に緻密化処理する、請求項52に記載の方法。
【請求項57】
一体化された微細流路を含むアノード層、
前記アノード層の上に配置された電解質層、及び
前記電解質層の上に配置されたものであって、一体化された微細流路を含むカソード層
を含む、固体酸化物型燃料電池。
【請求項58】
前記カソード層又は前記アノード層の少なくとも一方の前記一体化された微細流路は、サブトラクティブ法によって形成されたものである、請求項57に記載の固体酸化物型燃料電池。
【請求項59】
前記カソード層又は前記アノード層の少なくとも一方の前記一体化された微細流路は、非サブトラクティブ法によって形成されたものである、請求項57に記載の固体酸化物型燃料電池。
【請求項60】
該固体酸化物型燃料電池は、その他の固体酸化物型燃料電池に対して並列回路の形態で電気的に接続されている、請求項57に記載の固体酸化物型燃料電池。
【請求項61】
該固体酸化物型燃料電池は、その他の固体酸化物型燃料電池に対して直列回路の形態で電気的に接続されている、請求項57に記載の固体酸化物型燃料電池。
【請求項62】
該固体酸化物型燃料電池は、その他の固体酸化物型燃料電池に対して直列/並列混成回路の形態で電気的に接続されている、請求項57に記載の固体酸化物型燃料電池。
【請求項1】
2個の固体酸化物型燃料電池を含み、かつこれらの2個の固体酸化物型燃料電池が共通の電極を分有している、固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項2】
前記共通の電極がカソードである、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項3】
前記共通の電極がアノードである、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項4】
前記2個の固体酸化物型燃料電池の第1の電池は、第1の電極、第1の電解質及び第2の電極を含み、かつ前記2個の固体酸化物型燃料電池の第2の電池は、第2の電極、第2の電解質及び第3の電極を含み、その際、前記第2の電極が前記共通の電極である、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項5】
前記2個の固体酸化物型燃料電池の1つとともに第2の共通の電極を分有する第3の固体酸化物型燃料電池をさらに含む、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項6】
前記共通の電極が微細流路を含む、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項7】
前記固体酸化物型燃料電池のそれぞれが、それぞれの第2の電極、共通の電極及び微細流路を備えた第2の電極を含む、請求項6に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項8】
前記微細流路は、0.1mm〜5mmの特徴的直径を有している、請求項6に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項9】
前記微細流路は、サブトラクティブ法によって形成されたものである、請求項6に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項10】
前記微細流路は、カーボンを含む流路形成物質を酸化することによって形成されたものである、請求項6に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項11】
前記流路形成物質は、無定形カーボン、カーボンブラック、グラファイト又はグラファイト−樹脂複合体である、請求項10に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項12】
前記微細流路は、非サブトラクティブ法によって形成されたものである、請求項6に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項13】
前記微細流路は、現場において成形されたものである、請求項12に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項14】
集電装置をさらに含む、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項15】
前記集電装置が前記共通の電極に埋め込まれている、請求項14に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項16】
前記固体酸化物型燃料電池のそれぞれが、それぞれの第2の電極、共通の電極及び集電装置を備えた第2の電極を包含する、請求項15に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項17】
前記集電装置がニッケルを含む、請求項14に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項18】
該スタックがガス不透過性の相互接続体を有していない、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項19】
前記2個の固体酸化物型燃料電池は、複数個の電極を含み、かつ該固体酸化物型燃料電池スタックは、それぞれの電極の外側エッジ部に接続された電気接点をさらに有している、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項20】
前記2個の固体酸化物型燃料電池は、加熱加圧成形によって接合されている、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項21】
前記加熱加圧成形工程は、60分間以内のサイクル期間を有する加熱加圧成形サイクルを包含する、請求項20に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項22】
前記共通の電極は、サブトラクティブ法によって形成された多孔質構造体を有している、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項23】
前記共通の電極は、細孔形成物質の酸化によって形成された多孔質構造体を有している、請求項22に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項24】
前記細孔形成物質がカーボンを含む、請求項23に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項25】
前記細孔形成物質は、カーボンブラック又は無定形カーボンである、請求項24に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項26】
前記2個の固体酸化物型燃料電池のうちの少なくとも一方の電池は、その厚さが10mm以下である、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項27】
前記2個の固体酸化物型燃料電池のうちの少なくとも一方の電池は、その厚さが5mm以下である、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項28】
前記2個の固体酸化物型燃料電池のうちの少なくとも一方の電池は、その厚さが3mm以下である、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項29】
前記2個の固体酸化物型燃料電池のうちの少なくとも一方の電池において、その電池の電解質の厚さは100μm以下であり、かつ前記共通の電極の厚さは5mm以下である、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項30】
前記2個の固体酸化物型燃料電池は、それぞれ、電解質を有しており、かつ前記2個の固体酸化物型燃料電池のそれぞれの電解質は、ジルコニア、セリア及びガリアからなる群から選ばれる材料を含んでいる、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項31】
前記材料は、スカンジウム、サマリウム、ガドリニウム及びイットリウムからなる群から選ばれる安定化物質で安定化されている、請求項30に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項32】
前記材料は、イットリア安定化ジルコニアを含む、請求項31に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項33】
前記2個の固体酸化物型燃料電池は、少なくとも1個のアノードを備え、かつ前記少なくとも1個のアノードは、ニッケル及びイットリア安定化ジルコニアを含む、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項34】
前記少なくとも1個のアノードは、ニッケル酸化物及びイットリア安定化ジルコニアを含む素地体の還元によって形成されたものである、請求項33に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項35】
前記2個の固体酸化物型燃料電池は、少なくとも1個のアノードを備え、かつ前記少なくとも1個のアノードは、ニッケル及びガドリニウム安定化セリアを含む、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項36】
前記少なくとも1個のアノードは、ニッケル酸化物及びガドリニウム安定化セリアを含む素地体の還元によって形成されたものである、請求項33に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項37】
前記固体酸化物型燃料電池は、少なくとも1個のカソードを備え、かつ前記少なくとも1個のカソードは、ランタンストロンチウムマンガナイト、ランタンストロンチウムフェライト及びランタンストロンチウムコバルトフェライトからなる群から選ばれる材料を含む、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項38】
前記少なくとも1個のカソードは、ランタンストロンチウムマンガナイトを含む、請求項37に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項39】
第1のアノード層、
前記第1のアノード層の上に配置された第1の電解質層、
前記第1のアノード層の上に配置された第1のカソード層、
前記第1のカソード層の上に配置された第2の電解質層、及び
前記第2の電解質層の上に配置された第2のアノード層
を含む、一体化された固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項40】
前記第2のアノード層の上に配置された第3の電解質層と、前記第3の電解質層の上に配置された第2のカソード層とをさらに含む、請求項39に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項41】
集電装置をさらに含む、請求項39に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項42】
前記集電装置が前記第1のアノード層に埋め込まれている、請求項41に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項43】
前記集電装置がニッケルを含む、請求項41に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項44】
前記第1のカソード層と一体化した集電装置をさらに含む、請求項39に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項45】
前記第1及び第2のアノード層において微細流路をさらに含む、請求項39に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項46】
前記第1のカソード層において微細流路をさらに含む、請求項39に記載の固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項47】
少なくとも2個の固体酸化物型燃料電池を含む固体酸化物型燃料電池スタックであって、該燃料電池スタックは、ガス不透過性の相互接続体層を有していない、固体酸化物型燃料電池スタック。
【請求項48】
燃料をコンディショニングするための燃料システム、
空気をコンディショニングするための空気システム、
前記燃料システムに接続され、かつ前記空気システムに接続された固体酸化物型燃料電池スタックであって、少なくとも2個の固体酸化物型燃料電池を含み、かつこれらの少なくとも2個の固体酸化物型燃料電池が共通の電極を分有している固体酸化物型燃料電池スタック、及び
前記固体酸化物型燃料電池スタックに電気的に接続された電力調整装置
を含んでなる、固体酸化物型燃料電池システム。
【請求項49】
前記燃料システムは、前記固体酸化物型燃料電池スタックのアノードと流体で連通しており、かつ前記空気システムは、前記固体酸化物型燃料電池スタックのカソードと流体で連通している、請求項48に記載の固体酸化物型燃料電池システム。
【請求項50】
燃料をコンディショニングするための燃料システム、
空気をコンディショニングするための空気システム、
前記燃料システムに接続され、かつ前記空気システムに接続された固体酸化物型燃料電池スタックであって、該燃料電池スタックが、
第1のアノード層、
前記第1のアノード層の上に配置された第1の電解質層、
前記第1のアノード層の上に配置された第1のカソード層、
前記第1のカソード層の上に配置された第2の電解質層、及び
前記第2の電解質層の上に配置された第2のアノード層
を含む、固体酸化物型燃料電池スタック、及び
前記固体酸化物型燃料電池スタックに電気的に接続された電力調整装置
を含んでなる、固体酸化物型燃料電池システム。
【請求項51】
前記燃料システムは、前記第1のアノード層と流体で連通しており、かつ前記空気システムは、前記第1のカソード層と流体で連通している、請求項50に記載の固体酸化物型燃料電池システム。
【請求項52】
カソード層、アノード層及び該アノード層と該カソード層の間に設けられた電解質層を含む固体酸化物型燃料電池を形成すること、及び
前記固体酸化物型燃料電池を酸化性環境下において緻密化処理すること
を含んでなる、固体酸化物型燃料電池を形成する方法。
【請求項53】
前記緻密化処理を加圧焼結によって実施する、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記加圧焼結が加熱加圧成形を包含する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記加圧焼結が熱間鍛造を包含する、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
該方法を実施して、スタックの形をとる複数個の固体酸化物型燃料電池を形成し、かつ前記複数個の固体酸化物型燃料電池を一緒に緻密化処理する、請求項52に記載の方法。
【請求項57】
一体化された微細流路を含むアノード層、
前記アノード層の上に配置された電解質層、及び
前記電解質層の上に配置されたものであって、一体化された微細流路を含むカソード層
を含む、固体酸化物型燃料電池。
【請求項58】
前記カソード層又は前記アノード層の少なくとも一方の前記一体化された微細流路は、サブトラクティブ法によって形成されたものである、請求項57に記載の固体酸化物型燃料電池。
【請求項59】
前記カソード層又は前記アノード層の少なくとも一方の前記一体化された微細流路は、非サブトラクティブ法によって形成されたものである、請求項57に記載の固体酸化物型燃料電池。
【請求項60】
該固体酸化物型燃料電池は、その他の固体酸化物型燃料電池に対して並列回路の形態で電気的に接続されている、請求項57に記載の固体酸化物型燃料電池。
【請求項61】
該固体酸化物型燃料電池は、その他の固体酸化物型燃料電池に対して直列回路の形態で電気的に接続されている、請求項57に記載の固体酸化物型燃料電池。
【請求項62】
該固体酸化物型燃料電池は、その他の固体酸化物型燃料電池に対して直列/並列混成回路の形態で電気的に接続されている、請求項57に記載の固体酸化物型燃料電池。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2007−502012(P2007−502012A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533634(P2006−533634)
【出願日】平成16年6月9日(2004.6.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/018267
【国際公開番号】WO2005/001959
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(593150863)サン−ゴバン セラミックス アンド プラスティクス,インコーポレイティド (139)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月9日(2004.6.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/018267
【国際公開番号】WO2005/001959
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(593150863)サン−ゴバン セラミックス アンド プラスティクス,インコーポレイティド (139)
【Fターム(参考)】
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