説明

スタンプ装置

【課題】 タイル表面の所定の箇所にマーカー物質を連続して転写することができるスタンプ装置を提供する。
【解決手段】 搬送コンベア1によってパレット2が搬送されてくると、パレット2の先端をセンサ22bが検知し、第2のセンサ22がオンになるとスタンパー11が下降し、スタンパー11の外周面に設けた転写部12がタイル3上面に押し付けられ、マーカー物質を転写する。次いで、スタンパー11は下降位置において回転し、次列のタイル3の上面に転写部12を押し付けてマーカー物質を転写する。このときスタンパー11のターゲット14は第3のセンサ23の検出位置から外れ、再度第3のセンサ23がターゲット14を検出するまでスタンパー11は回転を継続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイルの表面に着色インクなどのマーカー物質を転写するスタンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
壁にタイルを貼り付ける場合に、1枚づつ貼り付けていたのでは手間がかかるとともにタイル同士の間隔にもばらつきが生じる。そこで、従来から複数のタイルをまとめて1つのタイルユニットとし、このタイルユニットごと壁に貼り付けることが行われている。
【0003】
上記のタイルユニットを製作するには、メッシュシートの上に複数のタイルの裏面を貼り付ける方法と、複数のタイルの上面に結合紙を貼り付ける方法(特許文献1)がある。
【0004】
メッシュシートの上に複数のタイルの裏面を貼り付けたタイルユニットの場合には、メッシュシートごと壁面に貼り付けることになるが、タイルの上面を結合紙で連結したタイルユニットにあっては、壁に貼り付けた後に結合紙を剥がすことになる。
【0005】
上記の結合紙を剥がすと、タイル表面に接着剤が残ることになる。接着剤としてはデンプンなどの水で洗い流しやすい材料を用いているが、デンプンなどは無色透明に近いので、完全に落としきれていないことが分からない場合がある。そしてデンプンなどの接着剤が残ってしまうと、汚れやカビ発生の原因になる。
【0006】
上記の不利を解消するため、特許文献2では、接着剤としてデンプンに二糖類を添加することが提案されている。また特許文献3では接着剤を塗布する前のタイルの表面に着色性のマーカー物質を塗布し、このマーカー物質が消えるまで洗浄することで接着剤がなくなったことを確認することが提案されている。
【0007】
【特許文献1】特開平3−252379号公報
【特許文献2】特開2001−240827号公報
【特許文献3】特願2004−353239号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2に開示される方法では、デンプンなどの接着剤自体が見にくいという問題が解決されていない。
【0009】
また特許文献3に提案される方法では図3に示すようなローラ100を用いてマーカー物質をタイル表面に転写するようにしている。上記のローラ100の表面には斜めに転写部101が突設されている。このようなローラを用いたスタンプ装置としては、図4に示すものが考えられる。
【0010】
即ちローラ100をアーム102先端に取り付け、自重またはスプリング等の弾発力でローラ100をパレット104上のタイル105表面に押し付け、パレット104が移動する際のタイルとローラとの摩擦力でローラ100を回転せしめ、この回転によってインク供給ローラ106から前記転写部101に供給されたインク(マーカー物質)をタイル105表面に転写する装置が考えられる。
【0011】
上記のような構成のスタンプ装置では、転写部101が斜めの線状に形成されており、隣接するタイルに跨るようにマーカー物質が転写される。その結果、マーカー物質がタイルのエッジ部分或いはタイルの目地部(側面)に入り込み、後に着色されたマーカー物質を洗い流すことが困難になる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため本発明に係るスタンプ装置は、複数枚のタイルを所定の間隔でセットしたパレットを搬送する搬送コンベアと、前記搬送コンベアの上方に昇降可能に配置され且つタイルの上面にマーカー物質を転写するスタンパーと、前記パレット上にタイルがセットされているか否かを検知する第1のセンサと、前記パレットがスタンプ位置にあるか否かを検知する第2のセンサと、前記スタンパーに設けられたターゲットを検知する第3のセンサとを有する。
【0013】
前記スタンパーの具体例としては、筒体の周面に転写部を有する回転式とし、且つコンベアとは独立して回転駆動する構造が考えられる。また、前記転写部は個々のタイル上面毎に転写するスポット形状にすることが考えられる。更に転写されるマーカー物質としてはタイル表面に接着剤が残っているか否かを確認する着色物質が挙げられる。尚、接着剤の有無を確認するマーカー物質は、接着剤が水溶性であるのでマーカー物質も水溶性とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、タイル表面の端部から一定の距離を設けた所定の箇所、例えば洗い落としやすい表面の中央位置にのみマーカー物質を転写することができるので、洗浄作業等が楽になり、洗い残しがなくなる。
【0015】
また、本発明によれば、複数のタイルを整列してセットしたパレットの位置を検知し、これに応じてスタンパーを昇降動・回転せしめるようにしたので、パレットとパレットとの間隔が一定でなくとも、タイルの所定箇所にマーカー物質を正確に転写することができる。したがって、長時間連続して運転してもマーカー転写位置がずれることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。図1は本発明に係るスタンプ装置の側面図、図2は本発明に係るスタンプ装置の平面図である。
図中1は搬送コンベアであり、この搬送コンベア1上に複数のパレット2が載置され、各パレット2にはユニットタイルとなる複数のタイル3…が所定の配列でセットされている。
【0017】
また、搬送ラインの途中にスタンプ装置10が配置されている。スタンプ装置10はスタンパー11、第1のセンサ21、第2のセンサ22及び第3のセンサ23から構成される。
【0018】
前記スタンパー11は筒状をなす回転ローラの外周面に所定間隔で転写部12が設けられている。この転写部12はスポンジなどからなり、マーカー物質供給ローラ13に接触することでマーカー物質が転写部12に含浸される。
【0019】
前記スタンパー11は前記マーカー物質供給ローラ13とともにシリンダユニットなどを駆動することで昇降動する。そして、下降した位置(転写位置)でタイル3の上面に転写部12を押し付けてマーカー物質を転写する。また上昇位置は待機位置である。
【0020】
また、前記スタンパー11の一方の側面にはターゲット14が取り付けられている。このターゲット14を後述する第3のセンサ23にて検知し、基準位置でスタンパーの回転を停止させる。
【0021】
前記第1のセンサ21は搬送方向を基準にしてスタンパー11よりも上流側の搬送コンベア1の上方に設けられ、パレット2上にタイル3がセットされているか否かを検知する。第1のセンサ21によってタイル3がセットされていることが確認されると前記第2のセンサ22の信号が有効となり、以後の運転が継続する。一方、第1のセンサ21によってタイルがセットされていないことを検知した場合には、前記第2のセンサ22の信号が無効となり、スタンパーは待機位置で停止する。
【0022】
前記第2のセンサ22は2つのセンサ22a、22bからなり、これら2つのセンサ22a、22bともにパレットを検知した場合、第2のセンサ22はオンとなり、スタンパー11は転写位置まで降下する。また同時に、第3のセンサ23の信号が無効となり、スタンパーが回転する。一方、センサ22a及び/もしくはセンサ22bがパレットを検知していない場合には、第2のセンサ22はオフとなり、スタンパー11は待機位置まで上昇する。また同時に、第3のセンサ23の信号が有効となり、第3のセンサ23がスタンパー11に設けられたターゲット14を検知して、スタンパー11を基準位置で停止させる。
【0023】
尚、前記第1〜3のセンサ21、22、23は発光素子と受光素子が対になったものであるが、複雑になるのを避けるため図面では1つのブロックで表している。
【0024】
次に、上記の構成からなるスタンプ装置の作用を図1に基づいて説明する。先ず(a)に示す状態は、第1のセンサ21はパレット2上にタイル3が存在することを検知している。即ち、第2のセンサ22の信号は有効であるが、センサ22bがパレットを検知していないため第2のセンサ22はオフとなりスタンパー11は待機位置まで上昇している。更に、第3のセンサ23の信号は有効であり、第3のセンサ23はターゲット14を検知し、基準位置でスタンパー11の回転を停止している。
【0025】
(a)の状態から搬送コンベア1によってパレット2が図中右方向に搬送されてくると、2つのセンサ22a、22bともにパレットを検知し、第2のセンサ22がオンとなる。
【0026】
第2のセンサ22がオンになるとスタンパー11が転写位置まで下降し、同時に第3のセンサ23の信号が無効となるので、スタンパーが回転を始める。そして、(b)に示すように、スタンパー11の外周面に設けた転写部12がタイル3上面に押し付けられ、マーカー物質を転写する。
【0027】
次いで、(c)に示すように、スタンパー11は転写位置において回転し、次列のタイル3の上面に転写部12を押し付けてマーカー物質を転写する。
【0028】
そして、(d)に示すように、第1のセンサ21がタイルを検知していない、即ち、第2のセンサ22の信号が無効となると、スタンパー11は待機位置まで上昇する。同時に、第3のセンサ23の信号が有効となるので、スタンパー11は第3のセンサ23がターゲット14を検知するまで回転を継続し、基準位置で回転を停止する。
【0029】
上記の如くして着色されたマーカー物質を転写したならば、次工程でマーカー物質の上からデンプン等の接着剤を塗布した結合紙を貼り付けて、パレット上の複数のタイルを1つのユニットタイルとする。
【0030】
そして、壁に上記のユニットタイルを貼り付けた後に、水をかけて結合紙を剥がし、更に接着剤も洗い流す。このときマーカー物質が消えるまで洗浄することで、接着剤が残っていないことが確認できる。
【0031】
図示例では前記スタンパー11の外周面の円周方向に沿って側面視で6箇所に転写部を設けたが、スタンパーの構造については、ユニットタイルの配列、ユニットタイルを構成するタイルの形状、枚数に合わせて交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】(a)〜(d)は本発明に係るスタンプ装置の作用を説明した側面図
【図2】本発明に係るスタンプ装置の平面図
【図3】従来の転写ローラを示す図
【図4】従来のスタンプ装置の側面図
【符号の説明】
【0033】
1…搬送コンベア、2…パレット、3…タイル、10…スタンプ装置、11…スタンパー、12…転写部、13…マーカー物質供給ローラ、14…ターゲット、21…第1のセンサ、22…第2のセンサ、22a、22b…第2のセンサを構成するセンサ、23…第3のセンサ。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のタイルを所定の間隔でセットしたパレットを搬送する搬送コンベアと、前記搬送コンベアの上方に昇降可能に配置され且つタイルの上面にマーカー物質を転写するスタンパーと、前記パレット上にタイルがセットされているか否かを検知する第1のセンサと、前記パレットがスタンプ位置にあるか否かを検知する第2のセンサと、前記スタンパーに設けられたターゲットを検知する第3のセンサとを有することを特徴とするスタンプ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスタンプ装置において、前記スタンパーは筒体の周面に転写部を有する回転式であり、且つ前記搬送コンベアとは独立して回転駆動することを特徴とするスタンプ装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のスタンプ装置において、前記転写部は個々のタイル上面毎に転写するスポット状をなすことを特徴とするスタンプ装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載のスタンプ装置において、前記転写されるマーカー物質はタイル表面に接着剤が残っているか否かを確認する着色物質であることを特徴とするスタンプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−217863(P2007−217863A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−35887(P2006−35887)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】