説明

ステアリングコラムへのブラケット取付構造

【課題】ブラケットの取付作業性を大幅に改善することができて周方向のガタも防止できるステアリングコラムへのブラケット取付構造を提供すること。
【解決手段】スイッチユニット等のコンビネーションスイッチが装着されるブラケット2を、ステアリングコラムの筒状壁部1に取り付けるブラケット取付構造において、ブラケット2の内周部に、筒状壁部1に外挿される抜け止め用弾性片22と回り止め用弾性片23とを周方向に分散して配設する。各弾性片22,23はそれぞれ自由端部にフック型爪部24とくさび型爪部25を有し、これら爪部24,25を筒状壁部1の係合孔11,12に個別にスナップ結合させる。くさび型爪部25はその両外側壁を例えば階段状に形成することによって、突出方向の先端部から基端部に向かって幅寸法が漸増する形状に形成されており、対応する係合孔12の幅寸法wに比して、該爪部25の先端部が幅狭で基端部が幅広となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のステアリングホイールの近傍に設置されてコンビネーションスイッチ等が装着されるブラケットをステアリングコラムに取り付けるための取付構造に係り、特に、この種のブラケットをステアリングコラムの一端部から突出する筒状壁部にスナップ結合可能としたステアリングコラムへのブラケット取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のステアリングホイールの近傍に設置されているコンビネーションスイッチには、ライトコントロールスイッチユニットやワイパーコントロールスイッチユニット等が具備されている。これらスイッチユニットは専用のブラケットに装着されており、このブラケットがステアリングコラムに一体的に取り付けられる。また、このブラケットには、エアーバッグシステム等の電気的接続手段である回転コネクタが装着されることも多い。ステアリングコラムの内部空間を貫通するステアリングシャフトはステアリングホイール(ハンドル)に連結され、このステアリングシャフトをステアリングコラムがベアリング等を介して回動自在に支持している。
【0003】
スイッチユニット等が装着されたブラケットをステアリングコラムに取り付けるための取付構造としては、従来、ステアリングコラムの一端部に台座部を設け、この台座部にブラケットをねじ止めによって固定するという取付構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】EP0675023
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来のブラケット取付構造では、ステアリングコラムの台座部にブラケットを位置合わせしてから、複数箇所をねじ止め固定するという煩雑な作業が必要となるため、ブラケットの取付作業性が悪いという問題があった。
【0005】
そこで、ブラケットの取付作業性を改善するために、ブラケットの内周部に複数の弾性片を周方向に分散して設け、これら弾性片をステアリングコラムの一端部に外挿してスナップ結合させるという取付構造が考えられる。すなわち、ステアリングコラムの一端部に突設された筒状壁部(コラムパイプ)に複数の係合孔を開設しておき、これら係合孔にブラケットの対応する各弾性片の爪部がスナップ結合されるようにしておけば、煩雑なねじ止め作業を行うことなくブラケットをステアリングコラムに簡単に取り付けることができて抜け止め強度も確保しやすい。しかるに、かかるブラケット取付構造を採用した場合、公差等を考慮して、周方向に沿う係合孔の幅寸法をそこに挿入される弾性片の爪部の幅寸法よりも若干大きく設定しておかねばならないため、ステアリングコラムに対してブラケットが周方向にガタついてしまうという別の問題が発生する。それゆえ、かかるブラケット取付構造を採用する場合には、ステアリングコラムの筒状壁部にスナップ結合させたブラケットの各弾性片を締結バンド等によって固く締め付けるというガタ防止作業が別途必要となり、よってブラケットの取付作業性を改善する顕著な効果は期待できない。
【0006】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ブラケットの取付作業性を大幅に改善することができて周方向のガタも防止できるステアリングコラムへのブラケット取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明は、複数のスイッチユニットが装着されるブラケットをステアリングコラムの一端部に突設された筒状壁部に取り付けるブラケット取付構造において、前記ブラケットの内周部に前記筒状壁部へ外挿される複数の弾性片を周方向に分散して配設し、これら複数の弾性片の自由端部にそれぞれ内方へ突出する爪部を設けて、これら爪部を前記筒状壁部に開設された複数の係合孔に個別にスナップ結合させると共に、これら爪部のうちの少なくとも1つを、その突出方向の先端部から基端部に向かって幅寸法が漸増する形状に形成されたくさび型爪部となし、このくさび型爪部がスナップ結合される前記係合孔の両内側壁間の幅寸法に比して、該くさび型爪部の前記先端部が幅狭で前記基端部が幅広であるという構成にした。
【0008】
このようにブラケットの内周部に配設した複数の弾性片のうちの少なくとも1つがくさび型爪部を有していると、ステアリングコラムの筒状壁部に開設されている係合孔の幅寸法に公差等による若干のばらつきがあっても、この係合孔に挿入されるくさび型爪部の幅寸法を先端部と基端部との間のどこかで必ず該係合孔の幅寸法と略合致させることができるため、くさび型爪部の両外側壁と該係合孔の両内側壁との間のガタをなくすことが可能となる。すなわち、ブラケットをステアリングコラムの一端部に外挿してスナップ結合させるという作業性に優れたブラケット取付構造を採用しつつ、ステアリングコラムに対するブラケットの周方向のガタを効果的に抑制することができるため、煩雑なねじ止め作業や締結バンド等を用いたガタ防止作業を省略することができる。
【0009】
上記の構成において、係合孔の両内側壁と当接可能なくさび型爪部の両外側壁がいずれも階段状に形成されていると、係合孔の内側壁に対してくさび型爪部の外側壁を略正対させて接触面積を増大させることができるため、ブラケットに過大な回転力が作用したときにも、くさび型爪部が対応する係合孔から外れにくくなる。ただし、くさび型爪部の両外側壁を先窄まりな傾斜面として形成することも可能である。
【0010】
また、上記の構成において、ブラケットの複数の弾性片は、くさび型爪部を有する回り止め用弾性片と、対応する係合孔の天井壁に係止される爪部を有する抜け止め用弾性片とからなることが好ましく、こうすることによって、複数の弾性片が協働してステアリングコラムに対するブラケットの回り止めと抜け止めとを行う高信頼性の取付構造が簡単に実現できる。
【0011】
また、上記の構成において、くさび型爪部が溝部を介して第1突起部と第2突起部とに分断されており、係合孔の両内側壁と当接可能な該くさび型爪部の両外側壁の一方が第1突起部に形成され、他方が第2突起部に形成されていると、くさび型爪部を有する弾性片に対して第1突起部と第2突起部とを僅かに近接させる撓みが溝部の存在で許容されるため、くさび型爪部の両外側壁を対応する係合孔の両内側壁に圧着させることが可能となり、その場合、ブラケットの周方向のガタをより確実になくすことができる。ただし、くさび型爪部を、溝部がなくて第1突起部と第2突起部とを連結させた形状に形成することも可能である。
【0012】
また、上記の構成において、ブラケットの内周部に、内方へ突出して筒状壁部の上縁の切欠きに挿入される位置決め突起が設けられていると、この位置決め突起が該切欠きに挿入されるようにしてブラケットを筒状壁部に外挿していけば、自動的にブラケットが筒状壁部に対して周方向にほぼ位置決めされた状態になるため、くさび型爪部を対応する係合孔に容易にスナップ結合させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によるステアリングコラムへのブラケット取付構造は、ブラケットの内周部に配設した複数の弾性片をステアリングコラムの筒状壁部に外挿してスナップ結合させるというものであって、各弾性片の自由端部にそれぞれ設けた爪部のうちの少なくとも1つが、その突出方向の先端部から基端部に向かって幅寸法が漸増する形状に形成されたくさび型爪部となっており、筒状壁部の係合孔に対するくさび型爪部の挿入量が、この係合孔の幅寸法のばらつきに応じて変化するようにしてあるため、くさび型爪部の両外側壁と係合孔の両内側壁との間のガタをなくすことができ、よってステアリングコラムに対するブラケットの周方向のガタを効果的に抑制することができる。それゆえ、筒状壁部に外挿してスナップ結合させるだけでブラケットをステアリングコラムにガタつきなく確実に取り付けることが可能となり、煩雑なねじ止め作業や締結バンド等を用いたガタ防止作業が省略できるため、ブラケットの取付作業性が大幅に改善する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
発明の実施の形態を図面を参照して説明すると、図1は本発明の実施形態例に係るブラケットをステアリングコラムの筒状壁部に取り付けた状態を示す断面図、図2は図1に対応する分解断面図、図3は図1のA−A線に沿って見たブラケットと筒状壁部の断面図、図4は図3に対応する分解断面図、図5は図1の要部拡大図、図6は図5のB−B線に沿って見た要部断面図、図7は該ラケットを下方から見た要部斜視図、図8はブラケットのくさび型爪部が筒状壁部の係合孔に浅く挿入されている場合を示す説明図である。
【0015】
図1と図2に示すように、ステアリングコラムの一端部に突設された筒状壁部(コラムパイプ)1に取り付けられるブラケット2には、コンビネーションスイッチの構成要素であるレバー操作スイッチ31,41を含むスイッチユニット3,4と、エアーバッグシステム等の電気的接続手段である回転コネクタ5とが装着されている。このブラケット2は合成樹脂の成形品であり、スイッチユニット3,4が組み込まれる一対の収納空所2a,2bと、回転コネクタ5が載置固定される上面板21と、図示せぬステアリングシャフトが挿通される中央開口部2cとを有し、中央開口部2cを包囲するブラケット2の内周部には2つの抜け止め用弾性片22と1つの回り止め用弾性片23とが垂設されている。これらの弾性片22,23はブラケット2の周方向に分散して配設されており、2つの抜け止め用弾性片22が180度の間隔を存して配置され、回り止め用弾性片23が各抜け止め用弾性片22と90度の間隔を存して配置されている(図7参照)。各抜け止め用弾性片22の自由端部(下端部)には、上端面が平坦なフック型爪部24が内方へ向けて突設されている。一方、回り止め用弾性片23の自由端部(下端部)には、第1突起部26と第2突起部27とを周方向に並設してなり、階段状の外側壁26a,27a(図6参照)を有するくさび型爪部25が内方へ向けて突設されている。また、回り止め用弾性片23の固定端部(上端部)には位置決め突起28が内方へ向けて突設されている。
【0016】
回り止め用弾性片23のくさび型爪部25について詳しく説明すると、第1突起部26と第2突起部27との間には溝部25aが形成されており、第1突起部26の内側壁と第2突起部27の内側壁とが溝部25aを介して対向している。第1突起部26の階段状の外側壁26aは、筒状壁部1の係合孔12の内側壁12aと当接可能である。同様に、第2突起部27の外側壁27aは係合孔12の内側壁12bと当接可能である。このくさび型爪部25は、突出方向の先端部から基端部に向かって幅寸法が漸増する形状に形成されている。つまり、図6に示すように、階段状に形成されている両外側壁26a,27aの間隔は、突出方向の先端側に向かって漸減(d1<d2<d3)している。ただし、筒状壁部1の周方向に沿う係合孔12の両内側壁12a,12b間の幅寸法w(図5参照)に比して、くさび型爪部25の先端部は幅狭(d1<w)であり、くさび型爪部25の基端部は幅広(d3>w)である。
【0017】
なお、回り止め用弾性片23の位置決め突起28は溝部25aの真上に形成されている。また、図4に示すように、この回り止め用弾性片23は自由端側を内方へ若干傾けた姿勢でブラケット2の内周部に垂設されている。
【0018】
ブラケット2はステアリングコラムの筒状壁部1に外挿してスナップ結合できるように設計されている。すなわち、筒状壁部1には2つのフック型爪部24と1つのくさび型爪部25を個別にスナップ結合させるための係合孔11,12が3箇所に開設されており、相対向する2つの係合孔11にそれぞれフック型爪部24が挿入され、かつ残り1つの係合孔12にくさび型爪部25が挿入されるようになっている。また、筒状壁部1の上縁には係合孔12の真上に切欠き13が形成されており、この切欠き13に回り止め用弾性片23の位置決め突起28を挿入させることによって、取付時のブラケット2が筒状壁部1に対して周方向にほぼ位置決めできるようになっている。なお、筒状壁部1の内壁部には複数箇所にベアリング14が配設されており、これらのベアリング14によって、筒状壁部1の内部空間を貫通する図示せぬステアリングシャフトが回動自在に支持されるようになっている。
【0019】
ブラケット2に装着された回転コネクタ5は、図2に示すように、外筒部52および底板部53を有するステータ部材51と、上部ロータ55および下部ロータ56を有してステータ部材51に回動自在に連結されたロータ部材54と、これらステータ部材51とロータ部材54との間に存する環状の収納空間に収納されたフラットケーブル57とを備えて構成される公知のものである。フラットケーブル57の両端はステータ部材51とロータ部材54に固定された状態で外部に電気的に導出されており、図示せぬステアリングホイールに連動してロータ部材54が正逆いずれかの方向へ回転すると、その回転方向に応じてフラットケーブル57が収納空間内で巻き締めあるいは巻き戻され、いずれの状態においてもロータ部材54とステータ部材51間の電気的接続がフラットケーブル57を介して維持されるようになっている。
【0020】
次に、弾性片22,23の爪部24,25と筒状壁部1の係合孔11,12との係合構造について説明する。ブラケット2を筒状壁部1に外挿して抜け止め用弾性片22のフック型爪部24が係合孔11に挿入されると、フック型爪部24の上端面が係合孔11の天井壁11aと近接または接触して対向するため、フック型爪部24は係合孔11にスナップ結合される。これにより、ブラケット2に抜去力が作用してもフック型爪部24が天井壁11aに当接して係止されるため、ブラケット2は筒状壁部1に対して抜け止めされた状態となる。
【0021】
また、ブラケット2を筒状壁部1に外挿して回り止め用弾性片23のくさび型爪部25が係合孔12に挿入されると、くさび型爪部25の外側壁26a,27aが係合孔12の内側壁12a,12bとそれぞれ近接または接触して対向するため、くさび型爪部25は係合孔12にスナップ結合される。これにより、ブラケット2に回転力が作用してもくさび型爪部25が内側壁12a,12bに当接して係止されるため、ブラケット2は筒状壁部1に対して回り止めされた状態となる。その際、係合孔12内へのくさび型爪部25の挿入量は、係合孔12の公差等による幅寸法のばらつきに応じて変化する。つまり、くさび型爪部25は階段状に形成されている両外側壁26a,27aの間隔が突出方向の先端側に向かって漸減しているため、係合孔12の幅寸法wがばらつきの範囲内で最大であるときには、図3に示すように、くさび型爪部25は係合孔12内へ深く挿入されて、両外側壁26a,27aの基端近傍領域が係合孔12の内側壁12a,12bに当接可能となる。しかるに、係合孔12の幅寸法wがばらつきの範囲内で最小であるときには、図8に示すように、くさび型爪部25は係合孔12内へ浅く挿入されて、両外側壁26a,27aの先端近傍領域が係合孔12の内側壁12a,12bに当接可能となる。また、係合孔12の幅寸法wがばらつきの範囲内で最大と最小の間にあるときには、係合孔12内へのくさび型爪部25の挿入量は図3の状態よりも浅くて図8の状態よりも深くなる。
【0022】
以上説明したように本実施形態例にあっては、ブラケット2の内周部に配設した回り止め用弾性片23がくさび型爪部25を有しており、このくさび型爪部25がスナップ結合される筒状壁部(コラムパイプ)1の係合孔12の幅寸法wに公差等による若干のばらつきがあっても、くさび型爪部25の幅寸法をその先端部と基端部との間のどこかで必ず係合孔12の幅寸法wと略合致させられるようにしてある。そのため、くさび型爪部25の両外側壁26a,27aと係合孔12の両内側壁12a,12bとの間のガタをほとんどなくすことができ、ブラケット2が筒状壁部1に回り止めされた状態となる。また、ブラケット2の内周部に配設した抜け止め用弾性片22のフック型爪部24を筒状壁部1の係合孔11にスナップ結合させることによって、ブラケット2が筒状壁部1に抜け止めされた状態となる。すなわち、ブラケット2をステアリングコラムの筒状壁部1に外挿してスナップ結合させることによって、弾性片22,23が協働してステアリングコラムに対するブラケット2の抜け止めと回り止めとを行う高信頼性のブラケット取付構造が実現されており、ステアリングコラムに対するブラケット2の周方向のガタは効果的に抑制されている。その結果、煩雑なねじ止め作業や締結バンド等を用いたガタ防止作業を省略できて、ブラケット2の取付作業性が大幅に向上できる。
【0023】
また、本実施形態例にあっては、回り止め用弾性片23のくさび型爪部25が溝部25aを介して第1突起部26と第2突起部27とに分断されており、これら両突起部26,27の階段状の外側壁26a,27aが筒状壁部1の係合孔12の両内側壁12a,12bと当接可能となっているため、回り止め用弾性片23に対して第1突起部26と第2突起部27とを僅かに近接させる撓みが溝部25aの存在で許容されている。しかも、この回り止め用弾性片23は自由端側を内方へ若干傾けた姿勢でブラケット2の内周部に垂設されているため、くさび型爪部25は比較的強い弾性反発力で係合孔12にスナップ結合されることになる。したがって、くさび型爪部25の両外側壁26a,27aを係合孔12の両内側壁12a,12bに強い力で圧着させることが可能となり、その場合、ブラケット2の周方向のガタは完全に抑制できる。ただし、くさび型爪部25を、溝部25aがなくて第1突起部26と第2突起部27とを連結させた形状に形成した場合にも、これを係合孔12にスナップ結合させれば周方向のガタを効果的に抑制することはできる。
【0024】
また、本実施形態例にあっては、ブラケット2を筒状壁部1に取り付ける際に、回り止め用弾性片23に設けた位置決め突起28が筒状壁部1の切欠き13に挿入されるようにブラケット2を外挿していけば、自動的にブラケット2が筒状壁部1に対して周方向にほぼ位置決めされた状態になるため、くさび型爪部25を係合孔12に容易にスナップ結合させることができる。
【0025】
また、本実施形態例にあっては、係合孔12の両内側壁12a,12bと当接可能なくさび型爪部25の両外側壁26a,27aがいずれも階段状に形成されているため、係合孔12の内側壁12a,12bに対してくさび型爪部25の外側壁26a,27aを略正対させて接触面積の増大が図れる。こうすることによってステアリングコラムに対するブラケット2の取付強度が高まり、ブラケット2に過大な回転力が作用してもくさび型爪部25が係合孔12から外れにくくなる。ただし、くさび型爪部25の両外側壁を先窄まりな傾斜面として形成してもよい。
【0026】
なお、上記実施形態例では、ブラケット2の内周部に2つの抜け止め用弾性片22と1つの回り止め用弾性片23とを配設した場合について説明しているが、これら弾性片22,23の数や配置は適宜選択可能であり、例えば、相対向する位置に2つの回り止め用弾性片23を配設してもよい。また、ブラケット2が、筒状壁部1やスイッチユニット3,4あるいは回転コネクタ5等に応じた形状に設計されることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態例に係るブラケットをステアリングコラムの筒状壁部に取り付けた状態を示す断面図である。
【図2】図1に対応する分解断面図である。
【図3】図1のA−A線に沿って見たブラケットと筒状壁部の断面図である。
【図4】図3に対応する分解断面図である。
【図5】図1の要部拡大図である。
【図6】図5のB−B線に沿って見た要部断面図である。
【図7】ブラケットを下方から見た要部斜視図である。
【図8】ブラケットのくさび型爪部が筒状壁部の係合孔に浅く挿入されている場合を示す説明図である。
【符号の説明】
【0028】
1 筒状壁部(コラムパイプ)
2 ブラケット
3,4 スイッチユニット
5 回転コネクタ
11,12 係合孔
11a 天井壁
12a,12b 内側壁
13 切欠き
14 ベアリング
22 抜け止め用弾性片
23 回り止め用弾性片
24 フック型爪部
25 くさび型爪部
26 第1突起部
26a 外側壁
27 第2突起部
27a 外側壁
28 位置決め突起
25a 溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスイッチユニットが装着されるブラケットをステアリングコラムの一端部に突設された筒状壁部に取り付けるブラケット取付構造であって、
前記ブラケットの内周部に前記筒状壁部へ外挿される複数の弾性片を周方向に分散して配設し、これら複数の弾性片の自由端部にそれぞれ内方へ突出する爪部を設けて、これら爪部を前記筒状壁部に開設された複数の係合孔に個別にスナップ結合させると共に、これら爪部のうちの少なくとも1つを、その突出方向の先端部から基端部に向かって幅寸法が漸増する形状に形成されたくさび型爪部となし、このくさび型爪部がスナップ結合される前記係合孔の両内側壁間の幅寸法に比して、該くさび型爪部の前記先端部が幅狭で前記基端部が幅広であることを特徴とするステアリングコラムへのブラケット取付構造。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記係合孔の両内側壁と当接可能な前記くさび型爪部の両外側壁がいずれも階段状に形成されていることを特徴とするステアリングコラムへのブラケット取付構造。
【請求項3】
請求項1または2の記載において、前記複数の弾性片は、前記くさび型爪部を有する回り止め用弾性片と、対応する前記係合孔の天井壁に係止される前記爪部を有する抜け止め用弾性片とからなることを特徴とするステアリングコラムへのブラケット取付構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項の記載において、前記くさび型爪部が溝部を介して第1突起部と第2突起部とに分断されており、前記係合孔の両内側壁と当接可能な該くさび型爪部の両外側壁の一方が前記第1突起部に形成され、他方が前記第2突起部に形成されていることを特徴とするステアリングコラムへのブラケット取付構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項の記載において、前記ブラケットの内周部に、内方へ突出して前記筒状壁部の上縁の切欠きに挿入される位置決め突起が設けられていることを特徴とするステアリングコラムへのブラケット取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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