ステアリングホイール
【課題】使用時の握り心地を良好としたステアリングホイールを提供すること。
【解決手段】本発明のステアリングホイールは、回動操舵時に把持する略円環状のリング部Rを備える構成とされ、リング部Rが、芯材2と、芯材2の外周を全周にわたって覆うように配置される被覆層5と、を備える。被覆層5が、リング部Rの断面における芯材2を中心とした周方向側で硬度を異ならせるように、リング部Rの回動中心軸側RIとなる領域を、リング部の回動中心軸から離れた側ROとなる領域より、軟質領域9の占有率を大きくして、硬度を低下させて構成されている。
【解決手段】本発明のステアリングホイールは、回動操舵時に把持する略円環状のリング部Rを備える構成とされ、リング部Rが、芯材2と、芯材2の外周を全周にわたって覆うように配置される被覆層5と、を備える。被覆層5が、リング部Rの断面における芯材2を中心とした周方向側で硬度を異ならせるように、リング部Rの回動中心軸側RIとなる領域を、リング部の回動中心軸から離れた側ROとなる領域より、軟質領域9の占有率を大きくして、硬度を低下させて構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操舵時に把持する略円環状のリング部を備える構成のステアリングホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ステアリングホイールとしては、リング部が、芯材(芯金)の外周を全周にわたって被覆層により覆われた構成のものが知られている。通常、この被覆層は、ポリウレタン樹脂等の軟質合成樹脂や、木等の硬質材料から形成されている。使用時において、リング部を把持する際に、手とリング部との接触面積や圧力分布は一定ではないことから、使用時の握り心地を良好にするために、被覆層の硬度をリング部の断面における芯材を中心とした周方向側で、異ならせることが望ましい。
【0003】
そして、ステアリングホイールとして、リング部における芯材の外周を覆う被覆層を、異なる材料から構成しているものもあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−219159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のステアリングホイールでは、確かに、被覆層を、リング部の車両搭載時における上半分を覆う領域と下半分を覆う領域とで、分割している構成であるものの、硬度を異ならせている記載はなく、不明であった。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、使用時の握り心地を良好としたステアリングホイールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るステアリングホイールは、回動操舵時に把持する略円環状のリング部を備える構成とされ、
リング部が、芯材と、芯材の外周を全周にわたって覆うように配置される被覆層と、を備える構成のステアリングホイールであって、
被覆層が、リング部の断面における芯材を中心とした周方向側で硬度を異ならせるように、リング部の回動中心軸側となる領域を、リング部の回動中心軸から離れた側となる領域より、軟質領域の占有率を大きくして、硬度を低下させて構成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明のステアリングホイールでは、運転者が操舵時に把持するリング部において芯材の外周を覆っている被覆層において、リング部の回動中心軸側となる領域を軟質領域として、リング部の回動中心軸から離れた側となる領域より硬度を低下させるように、リング部の断面における芯材を中心とした周方向側で、被覆層の硬度を異ならせている。ステアリングホイールでは、リング部における回動中心軸側の領域が、運転者が手でリング部を握り込むように把持した際に、運転者の指先が接触する領域であり、運転者の手との接触面積も小さく、かつ、把持時にリング部にかかる圧力も小さい。また、ステアリングホイールにおいて、リング部における回動中心軸から離れた側の領域は、運転者が手でリング部を握り込むように把持した際に、運転者の掌が接触する領域であり、運転者の手との接触面積が大きく、かつ、リング部にかかる圧力が大きい。そして、本発明のステアリングホイールでは、把持時に指先が接触することとなるリング部の回動中心軸側の領域を、軟質領域として、把持時に掌が接触することとなるリング部の回動中心軸から離れた側の領域よりも、硬度を低下させていることから、手でリング部を握り込むように把持した際に、指先を軟質の領域に部分的に食い込ませつつ、掌を硬質の領域に広い範囲で当てることができ、軟質の領域と硬質の領域とを逆の構成とする場合と比較して、手になじみやすく、使用時の握り心地を良好とすることができる。また、本発明のステアリングホイールでは、掌が当たる領域が硬質であることから、走行時に振動が手に伝わりやすく、路面状態(状況)も良好に把握することができる。
【0009】
したがって、本発明のステアリングホイールでは、使用時の握り心地を良好とすることができる。
【0010】
具体的には、本発明のステアリングホイールにおいて、被覆層を、合成樹脂製とするとともに、芯材の外周側を略全周にわたって覆う硬質層部と、硬質層部の外周側を覆うとともに硬質層部より硬度を低く設定される軟質層部と、を有する構成として、
軟質層部を、リング部の中心軸側となる領域の肉厚をリング部の中心軸から離れた側の肉厚よりも、大きく設定する構成とすることが好ましい。
【0011】
上記構成のステアリングホイールでは、被覆層が、芯材の外周側を略全周にわたって覆う硬質層部と、硬質層部の外周側を覆う軟質層部との2種類の合成樹脂からなる二層構造とされ、軟質層部の肉厚を変化させることにより、リング部の回動中心軸側の領域を軟質領域とし、リング部の回動中心軸から離れた側の領域を軟質領域より硬質の硬質領域としていることから、製造が容易である。
【0012】
さらに、上記構成のステアリングホイールにおいて、軟質層部を、リング部の断面において、リング部の回動中心軸から離れた側にかけて、肉厚を薄くするように構成して、硬質層部の外周側を略全域にわたって覆う構成とすれば、触感や見栄えが均等となることから、使用時において、運転者がリング部を握り込んだ際に、硬度の差による違和感を生じがたく、好ましい。
【0013】
なお、具体的には、軟質領域の範囲を、運転者が把持する位置に応じて、下記のように適宜変更することも可能である。
【0014】
例えば、軟質領域を、ステアリングホイールの車両搭載時におけるリング部の断面において、芯材の中心を通る上下方向に略沿った中心線を基準として、下端側を、中心線を越えてリング部の回動中心軸から離れた側まで位置させ、上端側を、中心線よりもリング部の回動中心軸側に位置させるような領域に、形成すれば、軟質領域が、上下方向に沿った中心線に対して、下端側を外方に向け、上端側を内方に向けるように傾斜して配置されることから、リング部の前後の中央より前方の部位を把持する場合に、好ましい。
【0015】
また、軟質領域を、ステアリングホイールの車両搭載時におけるリング部の断面において、芯材の中心を通る上下方向に略沿った中心線を基準として、上端側と下端側とを中心線と略一致させるような領域に、形成すれば、軟質領域が、中心線よりもリング部の回動中心軸から離れた側の略全域にわたって配置されることから、リング部の前後の中央付近の部位を把持する場合に、好ましい。
【0016】
さらに、軟質領域を、ステアリングホイールの車両搭載時におけるリング部の断面において、芯材の中心を通る上下方向に略沿った中心線を基準として、下端側を、中心線よりもリング部の回動中心軸側に位置させ、上端側を、中心線を越えてリング部の回動中心軸から離れた側まで位置させるような領域に、形成すれば、軟質領域が、上下方向に沿った中心線に対して、下端側を内方に向け、上端側を外方に向けるように傾斜して配置されることから、リング部の前後の中央より後方の部位を把持する場合に、好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態であるステアリングホイールの概略平面図である。
【図2】図1のステアリングホイールにおいて、リング部の断面図であり、図1のII−II部位に対応する。
【図3】実施形態のステアリングホイールのリング部を把持した状態を示す断面図である。
【図4】把持試験に使用される実施例1〜3及び比較例1〜5のリング部の概略断面図である。
【図5】把持試験の試験結果を示すグラフ図である。
【図6】把持試験において、男性被験者の試験結果を示すグラフ図である。
【図7】把持試験において、女性被験者の試験結果を示すグラフ図である。
【図8】実施例1,2及び比較例1,3のリング部における内下方の領域の硬度を測定したグラフ図である。
【図9】把持試験において、実施例1〜3及び比較例1〜5のリング部と、従来のステアリングホイールのリング部と、の握り心地を比較したグラフ図である。
【図10】本発明の変形例であるリング部の断面図である。
【図11】本発明のさらなる変形例であるリング部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態のステアリングホイールWは、図1に示すように、回動操舵時に把持する略円環状のリング部Rと、リング部Rの中央に配置されるボス部Bと、リング部Rとボス部Bとを連結する複数本(実施形態の場合、2本)のスポーク部Sと、を備えて構成されている。なお、実施形態では、スポーク部Sは、図1に示すように、直進操舵時のステアリングホイールWにおいて、ボス部Bの左右両縁付近から、外方に向かうように、斜め後方に延びるように形成されている。
【0019】
なお、実施形態における前後・上下・左右の方向は、特に断らない限り、車両に搭載させたステアリングホイールWの直進操舵時を基準とするものであり、ステアリングホイールWを車体側に組み付ける図示しないステアリングシャフト(リング部Rの回動中心軸Aと一致)の軸方向に沿った上下を上下方向とし、ステアリングシャフトの軸直交方向である車両の前後を前後方向とし、ステアリングシャフトの軸直交方向である車両の左右を左右方向として、前後・上下・左右の方向を示すものである。
【0020】
ステアリングホイールWは、図1,2に示すように、リング部R,ボス部B,スポーク部Sの各部を連結するように配置される芯材としてのステアリングホイール芯金1と、リング部R及びスポーク部Sにおけるリング部R側の部位においてステアリングホイール芯金1の外周側を被覆する被覆層5と、被覆層5の外周側を略全面にわたって覆う外皮13と、ボス部Bの上部を覆うように配置されるパッド14と、ボス部Bの下部を覆うように配置される図示しないロアカバーと、を備えて構成されている。そして、リング部Rは、芯材としてのリング部芯金2と、リング部芯金2の外周を全周にわたって覆う被覆層5と、被覆層5の外周を覆う外皮13と、を備えて構成されている。
【0021】
ステアリングホイール芯金1は、図1に示すように、リング部Rの部位に配置されるリング部芯金2と、ステアリングシャフトに連結される図示しないボス部芯金と、ボス部芯金とリング部芯金2とを連結する4本のスポーク部芯金3と、から構成されている。リング部芯金2は、図2に示すように、下方を開口させた断面略逆U字形状とされている。
【0022】
被覆層5は、リング部芯金2の外周側と、リング部R近傍となるスポーク部芯金3の外周側と、に、配設されている。実施形態の場合、被覆層5は、図2に示すように、内周側に配置される硬質層部6と、硬質層部6の外周側に配置されて硬質層部6より硬度を低く設定される軟質層部7、とから構成されている。なお、実施形態の場合、被覆層5は、断面形状を、長軸を上下方向に略沿わせた略楕円形状として、構成されている。
【0023】
硬質層部6は、リング部芯金2の外周側と、スポーク部芯金3におけるリング部R近傍となる部位の外周側と、を、略全周にわたって覆うように、構成されている。実施形態の場合、硬質層部6は、リング部芯金2の外周側を覆うリング部Rの部位において、外形形状を、被覆層5(軟質層部7)より小さく、かつ、被覆層5(軟質層部7)の外形形状と略相似形の略楕円形状として、中心C1を、リング部芯金2における中心C2と一致している被覆層5(軟質層部7)の中心C3に対して、中心C3よりもやや上方であって、かつ、リング部Rの回動中心軸Aから離れた側(以下「リング部外方側RO」とする)に、ずらすようにして、リング部芯金2の外周側を全周にわたって覆っている。
【0024】
軟質層部7は、リング部芯金2の外周側とスポーク部芯金3におけるリング部R近傍となる部位の外周側において、硬質層部6の外周側を全面にわたって覆うように、構成されている。実施形態の場合、軟質層部7は、リング部芯金2の外周側を覆うリング部Rの部位において、外形形状を、中心C3をリング部芯金2の中心C2に一致させて、長軸を上下方向に略沿わせた略楕円形状として、構成されるもので、硬質層部6におけるリング部Rの部位の外周側を全周にわたって覆っている。
【0025】
すなわち、実施形態の被覆層5では、軟質層部7と略相似形として軟質層部7(被覆層5)より小形とされている硬質層部6が、軟質層部7に対して、中心C1をずらすように、偏心して形成されていることから、硬質層部6の外周側を全周にわたって覆う軟質層部7が、リング部Rの断面における周方向に沿って、肉厚を異ならせるように構成されることとなる。実施形態の場合、軟質層部7は、リング部Rの断面において、リング部Rの回動中心軸A(図1参照)側(以下「リング部内方側RI」とする)を最も肉厚とし、リング部Rの断面における周方向に沿って、リング部外方側ROにかけて肉厚を薄くするように、構成されている。詳細には、硬質層部6は、中心C1を、図2に示すように、軟質層部7の中心C3に対して、リング部外方側ROであって、かつ、僅かに上方となる位置にずらすように、偏心されて配置されていることから、軟質層部7は、リング部Rの断面において、リング部内方側RIであってかつ下方となる領域を最も肉厚とし、リング部外方側ROにかけて、肉厚を薄くするように構成されている。なお、実施形態のステアリングホイールWでは、この硬質層部6の被覆層5に対する偏心状態は、平面視におけるリング部Rの全周にわたって略同一とされている。
【0026】
そして、実施形態では、図2に示すように、被覆層5において、軟質層部7が肉厚とされているリング部内方側RIの領域が、軟質領域9とされ、軟質層部7が薄肉とされているリング部外方側ROの領域が、軟質領域9より硬度の高い硬質領域10とされている。詳細には、軟質領域9は、リング部Rの断面において、リング部芯金2の中心C2を通る上下方向に略沿った中心線CLを基準として、下端9a側を、中心線CLを越えてリング部外方側ROまで位置させ、上端9b側を、中心線CLよりもリング部内方側RIに位置させるような領域に、形成されている。
【0027】
実施形態の被覆層5では、硬質層部6の硬度は、70〜100程度(望ましくは、75〜95程度)(SRIS 0101;アスカーC型硬度計)の範囲内に設定することが望ましく、軟質層部7の硬度は、45〜65程度(望ましくは、50〜60程度)(SRIS 0101;アスカーC型硬度計)の範囲内に設定することが、適度な握り心地を得るために、望ましい。
【0028】
軟質層部7を構成する合成樹脂としては、従来からステアリングホイールの被覆層に使用されているものを使用することができ、例えば、ポリウレタン樹脂やシリコーン樹脂等を使用することができる。また、硬質層部6を構成する合成樹脂としては、ポリプロピレンやエポキシ樹脂等を使用することができる。
【0029】
なお、実施形態では、軟質層部7は、硬度(SRIS 0101;アスカーC型硬度計)58のシリコーン樹脂から形成され、硬質層部6は、硬度(SRIS 0101;アスカーC型硬度計)89のエポキシ樹脂から形成されている。また、軟質層部7は、軟質領域9を構成する厚肉の領域において最も厚肉の部位の肉厚を、10mm程度に設定され、硬質領域10を構成する薄肉の領域において最も薄肉の部位の肉厚を、0〜1mm程度の範囲内に設定されている。
【0030】
被覆層5の外周側を全周にわたって覆うように配置される外皮13は、実施形態の場合、天然皮革や合成皮革等の皮革材料から、形成されている。
【0031】
次に、本発明の要件を満たす実施例1〜3のリング部R1〜R3を有したステアリングホイールと、本発明の要件から外れた比較例1〜5のリング部R4〜R8を有したステアリングホイールと、の把持時における握り心地を評価した評価試験について、説明をする。実施例1〜3,比較例1〜5のリング部R1〜R8は、それぞれ、図4に示すように、軟質層部7と硬質層部6とにより、被覆層5の領域を二分させた被覆層5を、有している。すなわち、実施例1〜3,比較例1〜5のリング部R1〜R8における被覆層5は、軟質層部7のみで軟質領域9が構成され、硬質層部6のみで硬質領域10が構成されている。なお、図4は、リング部R1〜R8において、運転者の右手が握る部位の断面であり、図上における上側が、車両搭載時における下方であり、右側が、車両搭載時におけるリング部外方側ROである。また、図4ではリング部芯金が省略されているが、被覆層5の略中央には、実施形態のステアリングホイールと同様に、リング部芯金が配設されている。
【0032】
具体的には、実施例1〜3のリング部R1,R2,R3の被覆層5A,5B,5Cは、軟質領域9A,9B,9Cをリング部内方側RIに位置させ、硬質領域10A,10B,10Cをリング部外方側ROに位置させて構成されている。詳細には、実施例1のリング部R1の被覆層5Aでは、リング部内方側RIに配置される軟質領域9Aは、実施形態のステアリングホイールWにおけるリング部Rの被覆層5と同様に、リング部R1の断面において、リング部芯金の中心を通る上下方向に略沿った中心線CLを基準として、下端側を、中心線CLを越えてリング部外方側ROまで位置させ、上端側を、中心線CLよりもリング部内方側RIに位置させるような領域に、形成されている。すなわち、実施例1のリング部R1では、被覆層5Aを構成する軟質領域9Aと硬質領域10Aとの境界線DLは、下方をリング部外方側ROに向けるように、中心線CLに対して傾斜している。実施例2のリング部R2の被覆層5Bでは、リング部内方側RIに配置される軟質領域9Bは、リング部R2の断面において、中心線CLを基準として、上端側と下端側とを中心線CLと略一致させるような領域に、形成されている。すなわち、実施例2のリング部R2では、被覆層5Bは、軟質領域9Bと硬質領域10Bとにより、内外で略二分されるもので、軟質領域9Bと硬質領域10Bとの境界線DLは、中心線CLと略一致されている。実施例3のリング部R3の被覆層5Cでは、リング部内方側RIに配置される軟質領域9Cは、リング部R3の断面において、中心線CLを基準として、下端側を、中心線CLよりもリング部内方側RIに位置させ、上端側を、中心線CLを越えてリング部外方側ROまで位置させるような領域に、形成されている。すなわち、実施例3のリング部R3では、被覆層5Cを構成する軟質領域9Cと硬質領域10Cとの境界線DLは、下方をリング部内方側RIに向けるように、中心線CLに対して傾斜している。
【0033】
比較例1,2のリング部R4,R5の被覆層5D,5Eは、被覆層5D,5Eの領域を、軟質領域9D,9Eと硬質領域10D,10Eとにより上下で略二分させて構成されている。詳細には、比較例1のリング部R4の被覆層5Dでは、リング部R4の断面において、軟質領域9Dが、リング部R4の下側の領域に配置され、硬質領域10Dが、リング部R4の上側の領域に配置されるもので、被覆層5Dを構成する軟質領域9Dと硬質領域10Dとの境界線DLは、中心線CLと略直交するように略左右方向に沿って形成されている。また、比較例2のリング部R5の被覆層5Eでは、比較例1と逆として、リング部R5の断面において、軟質領域9Eが、リング部R5の上側の領域に配置され、硬質領域10Eが、リング部R5の下側の領域に配置されるもので、被覆層5Eを構成する軟質領域9Eと硬質領域10Eとの境界線DLが、中心線CLと略直交するように略左右方向に沿って形成されている。
【0034】
比較例3〜5のリング部R6,R7,R8の被覆層5F,5G,5Hは、軟質領域9F,9G,9Hをリング部外方側ROに位置させ、硬質領域10F,10G,10Hをリング部内方側RIに位置させて構成されている。詳細には、比較例3のリング部R6の被覆層5Fでは、リング部外方側ROに配置される軟質領域9Fは、リング部R6の断面において、中心線CLを基準として、下端側を、中心線CLを越えてリング部内方側RIまで位置させ、上端側を、中心線CLよりもリング部外方側ROに位置させるような領域に、形成されている。すなわち、比較例3のリング部R6では、被覆層5Fを構成する軟質領域9Fと硬質領域10Fとの境界線DLは、下方をリング部内方側RIに向けるように、中心線CLに対して傾斜している。比較例4のリング部R7の被覆層5Gでは、リング部外方側ROに配置される軟質領域9Gは、リング部R7の断面において、中心線CLを基準として、上端側と下端側とを中心線CLと略一致させるような領域に、形成されている。すなわち、比較例4のリング部R7では、被覆層5Gは、軟質領域9Gと硬質領域10Gとにより、内外で略二分されるもので、軟質領域9Gと硬質領域10Gとの境界線DLは、中心線CLと略一致されている。比較例5のリング部R8の被覆層5Gでは、リング部外方側ROに配置される軟質領域9Hは、リング部R8の断面において、中心線CLを基準として、下端側を、中心線CLよりもリング部外方側ROに位置させ、上端側を、中心線CLを越えてリング部内方側RIまで位置させるような領域に、形成されている。すなわち、比較例5のリング部R8では、被覆層5Hを構成する軟質領域9Hと硬質領域10Hと、の境界線DLは、下方をリング部外方側ROに向けるように、中心線CLに対して傾斜している。
【0035】
図5〜7,9に、上記実施例1〜3,比較例1〜5のリング部R1〜R8を有したステアリングホイールの把持試験結果を示す。被験者は、107人(うち、男性:72人、女性:35人)であり、各ステアリングホイールのリング部R1〜R8において、前後の中央より前方となるスポーク部Sから前方に離れた領域FP(図1の二点鎖線参照)を把持した際に、最も握りやすく触感が良好なものを回答してもらった。図5は、被験者全体の把持試験結果を示すグラフである。図6は男性被験者の把持試験結果を示すグラフであり、図7は女性被験者の把持試験結果を示すグラフである。なお、被験者には、図3のAに示すようにリング部Rを握り込むタイプの人と、図3のBに示すようにリング部Rを強く握り込まず親指を添えるタイプの人と、が、混在している。また、図9には、実施例1〜3,比較例1〜5のリング部R1〜R8を有したステアリングホイールを把持した際の握り心地を、従来のステアリングホイールと比較したグラフ図が示されている。
【0036】
図5のグラフでは、実施例1のリング部R1を握りやすく感じる人が最も多かった。これは、以下のような理由に起因すると推測される。
【0037】
まず、被覆層5D,5Eが上下で2分割される比較例1と比較例2とのリング部R4,R5を比較すれば、図5に示すように、硬質領域10Dを上側に配置させた比較例1のリング部R4を握りやすく感じる人が、軟質領域9Eを上側に配置させた比較例2のリング部R5を握りやすく感じる人の4倍程度いた。リング部R4,R5の上側の領域は、把持時に運転者の掌Pが接触する領域であり、このことから、掌Pが当たる領域を硬くすることが望まれていると推測できる。
【0038】
また、軟質領域9F,9G,9Hをリング部外方側ROに設けた比較例3〜5のリング部R6,R7,R8では、リング部R6の下端側の領域において、軟質領域9Fを中心線CLよりもリング部内方側RIまで延ばした比較例3のリング部R6を、他の比較例4,5のリング部R7,R8と比較して、握りやすく感じる人が多かった。リング部Rにおける下端側であってリング部内方側RIの領域は、把持時に運転者の親指を除いた指の指先Fが接触する領域であり、このことから、指先Fが当たる領域を柔らかくすることが望まれていると推測できる。
【0039】
なお、男性被験者の試験結果のみを表した図6のグラフでは、比較例1のリング部R4を握りやすく感じる人が最も多かったが、この図6のグラフでは、比較例1,実施例1,実施例2の各リング部R1,R2,R4を握りやすく感じる人の数の差が僅差であった。これに対し、女性被験者の試験結果のみを表した図7のグラフでは、実施例1のリング部R1を握りやすく感じる人が突出して多かった(2番目に多い実施例2,比較例1のリング部R2,R4の2倍以上)。図8に、実施例1,2及び比較例1,3のリング部R1,R2,R4,R6におけるリング部内方側RIにおける下端近傍の領域(内下方領域Ra,図2参照)の硬度を測定したグラフ図を示す。図8に示すように、実施例1のリング部R1が、内下方領域Raの硬度を最も低くして、次に、比較例1のリング部R3の内下方領域Raの硬度が低く、実施例2及び比較例3のリング部R2,R6の内下方領域Raの硬度が、略同等で、最も高い。このリング部Rにおける内下方領域Raは、男女差区別なく(手の大きさに関係なく)、把持時に人差し指が当たる領域である。そして、この硬度測定試験結果と、男女別の試験結果と、から考察すると、男性は指先の当たる部位を適度に柔らかくされたものを好み、女性は指先の当たる部位を柔らかくされたものを好むと推察できる。
【0040】
また、上記把持試験では、男性被験者数が女性被験者数の2倍程度と、男女の比率が均等ではないことから、男女比を同率とした場合、実施例1のリング部R1を選択する被験者がさらに伸び、比較例1のリング部R4を選択する被験者の伸びが抑えられて、実施例1のリング部R1を選択する被験者数と比較例1のリング部R4を選択する被験者数との差がさらに大きくなると推測される。
【0041】
さらに、図3Bに示すようにリング部Rを強く握り込まず親指を添えるタイプの人は、リング部Rを握り込むタイプの人(図3A参照)と比較して、親指以外の指でリング部Rを握り込まず、逆に、リング部内方側RIの上側となる領域に当てる親指TFを、しっかりリング部Rに押し当てる傾向があることから、軟質領域9を、親指TFの当たるリング部内方側RIにおける上側(内上方側領域Rb,図2参照)まで配置させることが好ましく、このような点においては、比較例1のリング部R4は、好ましくない。
【0042】
図9は、各リング部R1〜R8の握り心地を、現在使用している車両のステアリングホイールと比較した回答結果を示すグラフ図である。この図9のグラフ図において、現在のステアリングホイールに対して握り心地がよいと回答した人数が最も多いのは、実施例1のリング部R1であり、次いで、実施例2、比較例1と続いている。また、実施例1のリング部R1は、実施例2のリング部R2及び比較例1のリング部R4と比較して、握り心地のよさを判別できないという回答も、少ない。この点から、実施例1のリング部R1は、従来のステアリングホールとの握り心地に差を感じやすいと推測される。
【0043】
そのため、上記試験結果から、運転者の掌が当たるリング部外方側ROの領域を硬質領域10として、運転者の指先が当たるリング部内方側RIの領域を軟質領域9とすることが望ましく、さらには、軟質領域9を、人差し指の当たる内下方領域Raの硬度を最も低下させ、かつ、親指の当たる内上方側領域Rbにかけて配置させるような、実施例1のリング部R1を使用することが最適であると推測される。
【0044】
また、上記把持試験においては、図5のグラフ図に示すように、実施例2のリング部R2は、比較例1のリング部R4よりも評価した人数が少なく、実施例3のリング部R3は、比較例3のリング部R5よりも評価した人数が少ないが、この把持試験は、各ステアリングホイールWのリング部Rにおいて、前後の中央より前方となるスポーク部Sから前方に離れた領域FPを把持した際の触感を評価したものである。運転者によるリング部Rの把持位置は、実際の運転時には一定ではなく、また、運転者の好み等もあって、例えば、リング部Rにおいて、前後の略中央となるスポーク部Sの前側で隣接した領域CPや、また、リング部Rにおいて、前後の中央より後方となるスポーク部Sから後方に離れた領域RPを把持する場合もある(図1の二点鎖線参照)。そして、このような把持位置の変化に伴って、運転者のリング部Rの握り方も微妙に変化することとなる。具体的には、スポーク部Sから前方に離れた領域FPにおいては、運転者は、手の甲を左右の外方でかつやや後方に向けるようにして、リング部Rを把持しているが、リング部Rの後方に行くにつれて、手の甲を左右の外方から前方に向けることとなり、スポーク部Sの前側で隣接した領域CPにおいては、運転者の手は、甲を左右の外方に向けるようにしてリング部を把持することとなり、スポーク部Sから後方に離れた領域RPにおいては、運転者の手は、甲を前方に向けるようにして、リング部Rを把持することとなる。そのため、さらなる良好な握り心地を得るためには、運転者のリング部Rの握り方に応じて、平面視におけるリング部Rの周方向に沿って、被覆層5における軟質領域9と硬質領域10との配置位置を徐々に変化させることが好ましい。例えば、リング部Rにおける前後の中央付近となるスポーク部Sの前側で隣接した領域CPでは、実施例2のように、軟質領域9を、中心線CLよりもリング部外方側ROの略全域にわたって配置させることが好ましく、また、リング部Rにおける前後の中央より後方となるスポーク部Sから後方に離れた領域RPでは、実施例3のように、軟質領域9を、中心線CLに対して、下端側を内方に向け、上端側を外方に向けるように傾斜して配置させることが好ましい。
【0045】
すなわち、実施形態のステアリングホイールWでは、運転者が操舵時に把持するリング部Rにおいて芯材(リング部芯金2)の外周を覆っている被覆層5において、リング部Rの回動中心軸A側(リング部内方側RI)となる領域を軟質領域9として、リング部Rの回動中心軸Aから離れた側(リング部外方側RO)となる領域より硬度を低下させるように、リング部Rの断面におけるリング部芯金2を中心とした周方向側で、被覆層5の硬度を異ならせている。詳細に説明すれば、通常、ステアリングホイールWでは、リング部Rにおけるリング部内方側RIの領域が、運転者が手Hでリング部Rを握り込むように把持した際に、運転者の指先Fが接触する領域であり、運転者の手Hとの接触面積も小さく、かつ、把持時にリング部Rにかかる圧力も小さい。また、ステアリングホイールWにおいて、リング部外方側ROの領域は、運転者が手Hでリング部Rを握り込むように把持した際に、運転者の掌Pが接触する領域であり、運転者の手Hとの接触面積が大きく、かつ、リング部Rにかかる圧力が大きい。そして、実施形態のステアリングホイールWでは、把持時に指先Fが接触することとなるリング部内方側RIの領域を、軟質領域9として、把持時に掌Pが接触することとなるリング部外方側ROの領域(硬質領域10)よりも、硬度を低下させていることから、手Hでリング部Rを握り込むように把持した際に、指先Fを軟質領域9に部分的に食い込ませつつ、掌Pを硬質領域10に広い範囲で当てることができ、上述した比較例3〜5のごとく、軟質の領域と硬質の領域とを逆の構成とする場合と比較して、手になじみやすく、使用時の握り心地を良好とすることができる。また、実施形態のステアリングホイールWでは、掌Pが当たる領域が硬質であることから、走行時に振動が手Hに伝わりやすく、路面状態(状況)も良好に把握することができる。
【0046】
したがって、実施形態のステアリングホイールWでは、使用時の握り心地を良好とすることができる。
【0047】
そして、実施形態のステアリングホイールWでは、被覆層5を、合成樹脂製とするとともに、ステアリングホイール芯金1(リング部芯金2)の外周側を略全周にわたって覆う硬質層部6と、硬質層部6の外周側を覆うとともに硬質層部6より硬度を低く設定される軟質層部7と、を有する構成として、軟質層部7を、リング部内方側RIの領域の肉厚をリング部外方側ROの肉厚よりも、大きく設定している。すなわち、実施形態のステアリングホイールWでは、被覆層5が、リング部芯金2の外周側を略全周にわたって覆う硬質層部6と、硬質層部6の外周側を覆う軟質層部7との2種類の合成樹脂からなる二層構造とされ、軟質層部7の肉厚を、変化させることにより、リング部内方側RIの領域を軟質領域9とし、リング部外方側ROの領域を、軟質領域9より硬質の硬質領域10としていることから、被覆層の領域を、リング部芯金を跨ぎつつ、単純に軟質層部と硬質層部とに2分割して製造する場合と比較して、製造が容易である。特に、実施形態のステアリングホイールWでは、リング部芯金2が断面略逆U字形状とされていることから、硬質層部6により、リング部芯金2の外周側を略全周にわたって覆うことが望ましい。勿論、このような点を考慮しなければ、被覆層の領域を、リング部芯金を跨ぎつつ、単純に軟質層部と硬質層部とに2分割させた構成としてもよい。また、硬質層部を構成する材料も、合成樹脂に限らず、例えば、アルミニウム等の金属材料から形成してもよい。
【0048】
さらに、実施形態のステアリングホイールWでは、軟質層部7を、リング部Rの断面において、リング部外方側ROにかけて、肉厚を薄くするように構成して、硬質層部6の外周側を略全域にわたって覆う構成としていることから、触感や見栄えが均等となり、また、使用時において、運転者がリング部Rを握り込んだ際に、硬度の差による違和感を生じがたい。勿論、このような点を考慮しなければ、被覆層を、硬質領域において軟質層部を備えず、硬質層部が露出されるように、構成してもよい。なお、実施形態のステアリングホイールWでは、被覆層5の外表面側(軟質層部7の外表面側)に、別体の外皮13を配置させているが、実施形態のごとく、被覆層を、軟質層部により硬質層部の外周側を全面にわたって覆う構成とする場合、別体の外皮を配置させず、軟質層部の成形時に外表面側に形成されるスキン層を露出させるように構成してもよい。
【0049】
なお、実施形態のステアリングホイールWでは、軟質領域9の範囲を、平面視におけるリング部Rの全周にわたって略同一とされている。しかしながら、リング部Rの握り心地をさらに向上させるためには、軟質領域9の範囲を、リング部Rにおいて、運転者が把持する位置に応じて適宜変更することも可能である。
【0050】
具体的には、軟質領域9の範囲をリング部Rにおける平面視の周方向に沿って徐変させる場合、リング部Rにおける前後の中央より前方となるスポーク部Sから前方に離れた領域FPでは、上記評価試験の実施例1のリング部R1及び図2のリング部Rのごとく、軟質領域9は、中心線CLに対して、下端側をリング部外方側ROに向け、上端側をリング部内方側RIに向けるように傾斜して配置されることとなる。そして、リング部Rにおける前後の中央付近となるスポーク部Sの前側で隣接した領域CPでは、上記評価試験の実施例2のリング部R2及び図10に示すリング部R2´のごとく、軟質領域9B´は、中心線CLよりもリング部内方側RIの略全域にわたって配置されることとなる。詳細には、このリング部R2´では、硬質層部6が、中心C4を、図10に示すように、軟質層部7の中心C3に対して、リング部外方側ROにずらすように、偏心されて配置されていることから、軟質層部7が、リング部R2´の断面において、リング部内方側RIであってかつ上下の中央付近となる領域を最も肉厚とし、リング部外方側ROにかけて、肉厚を薄くするように構成されている。また、リング部Rにおける前後の中央より後方となるスポーク部Sから後方に離れた領域RPでは、上記評価試験の実施例3のリング部R3及び図11に示すリング部R3´のごとく、軟質領域9C´は、中心線CLに対して、下端側をリング部内方側RIに向け、上端側をリング部外方側ROに向けるように傾斜して配置されることとなる。詳細には、このリング部R2´では、硬質層部6が、中心C5を、図11に示すように、軟質層部7の中心C3に対して、リング部外方側ROであって、かつ、僅かに下方となる位置にずらすように、偏心されて配置されていることから、軟質層部7が、リング部R3´の断面において、リング部内方側RIであってかつ上方となる領域を最も肉厚とし、リング部外方側ROにかけて、肉厚を薄くするように構成されている。そして、このように、平面視におけるリング部Rの周方向に沿って、軟質領域9(9A),9B(9B´),9C(9C´)の配置位置を徐々に変化させるような構成とすれば、平面視におけるリング部Rの周方向の全周にわたって、握り心地が良好となる。なお、このような軟質領域9の形状変化は、ステアリングホイールWの直進操舵時を主に考慮して設定されているが、実施例1〜3のような軟質領域の形状は、勿論、回転操舵時にも、運転者に不快感を与えるものではなく、使用時には常時、良好な握り心地を得ることができる。
【符号の説明】
【0051】
1…ステアリングホイール芯金、
2…リング部芯金(芯材)、
5…被覆層、
6…硬質層部、
7…軟質層部、
9…軟質領域、
10…硬質領域、
A…回動中心軸、
R…リング部、
W…ステアリングホイール。
【技術分野】
【0001】
本発明は、操舵時に把持する略円環状のリング部を備える構成のステアリングホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ステアリングホイールとしては、リング部が、芯材(芯金)の外周を全周にわたって被覆層により覆われた構成のものが知られている。通常、この被覆層は、ポリウレタン樹脂等の軟質合成樹脂や、木等の硬質材料から形成されている。使用時において、リング部を把持する際に、手とリング部との接触面積や圧力分布は一定ではないことから、使用時の握り心地を良好にするために、被覆層の硬度をリング部の断面における芯材を中心とした周方向側で、異ならせることが望ましい。
【0003】
そして、ステアリングホイールとして、リング部における芯材の外周を覆う被覆層を、異なる材料から構成しているものもあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−219159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のステアリングホイールでは、確かに、被覆層を、リング部の車両搭載時における上半分を覆う領域と下半分を覆う領域とで、分割している構成であるものの、硬度を異ならせている記載はなく、不明であった。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、使用時の握り心地を良好としたステアリングホイールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るステアリングホイールは、回動操舵時に把持する略円環状のリング部を備える構成とされ、
リング部が、芯材と、芯材の外周を全周にわたって覆うように配置される被覆層と、を備える構成のステアリングホイールであって、
被覆層が、リング部の断面における芯材を中心とした周方向側で硬度を異ならせるように、リング部の回動中心軸側となる領域を、リング部の回動中心軸から離れた側となる領域より、軟質領域の占有率を大きくして、硬度を低下させて構成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明のステアリングホイールでは、運転者が操舵時に把持するリング部において芯材の外周を覆っている被覆層において、リング部の回動中心軸側となる領域を軟質領域として、リング部の回動中心軸から離れた側となる領域より硬度を低下させるように、リング部の断面における芯材を中心とした周方向側で、被覆層の硬度を異ならせている。ステアリングホイールでは、リング部における回動中心軸側の領域が、運転者が手でリング部を握り込むように把持した際に、運転者の指先が接触する領域であり、運転者の手との接触面積も小さく、かつ、把持時にリング部にかかる圧力も小さい。また、ステアリングホイールにおいて、リング部における回動中心軸から離れた側の領域は、運転者が手でリング部を握り込むように把持した際に、運転者の掌が接触する領域であり、運転者の手との接触面積が大きく、かつ、リング部にかかる圧力が大きい。そして、本発明のステアリングホイールでは、把持時に指先が接触することとなるリング部の回動中心軸側の領域を、軟質領域として、把持時に掌が接触することとなるリング部の回動中心軸から離れた側の領域よりも、硬度を低下させていることから、手でリング部を握り込むように把持した際に、指先を軟質の領域に部分的に食い込ませつつ、掌を硬質の領域に広い範囲で当てることができ、軟質の領域と硬質の領域とを逆の構成とする場合と比較して、手になじみやすく、使用時の握り心地を良好とすることができる。また、本発明のステアリングホイールでは、掌が当たる領域が硬質であることから、走行時に振動が手に伝わりやすく、路面状態(状況)も良好に把握することができる。
【0009】
したがって、本発明のステアリングホイールでは、使用時の握り心地を良好とすることができる。
【0010】
具体的には、本発明のステアリングホイールにおいて、被覆層を、合成樹脂製とするとともに、芯材の外周側を略全周にわたって覆う硬質層部と、硬質層部の外周側を覆うとともに硬質層部より硬度を低く設定される軟質層部と、を有する構成として、
軟質層部を、リング部の中心軸側となる領域の肉厚をリング部の中心軸から離れた側の肉厚よりも、大きく設定する構成とすることが好ましい。
【0011】
上記構成のステアリングホイールでは、被覆層が、芯材の外周側を略全周にわたって覆う硬質層部と、硬質層部の外周側を覆う軟質層部との2種類の合成樹脂からなる二層構造とされ、軟質層部の肉厚を変化させることにより、リング部の回動中心軸側の領域を軟質領域とし、リング部の回動中心軸から離れた側の領域を軟質領域より硬質の硬質領域としていることから、製造が容易である。
【0012】
さらに、上記構成のステアリングホイールにおいて、軟質層部を、リング部の断面において、リング部の回動中心軸から離れた側にかけて、肉厚を薄くするように構成して、硬質層部の外周側を略全域にわたって覆う構成とすれば、触感や見栄えが均等となることから、使用時において、運転者がリング部を握り込んだ際に、硬度の差による違和感を生じがたく、好ましい。
【0013】
なお、具体的には、軟質領域の範囲を、運転者が把持する位置に応じて、下記のように適宜変更することも可能である。
【0014】
例えば、軟質領域を、ステアリングホイールの車両搭載時におけるリング部の断面において、芯材の中心を通る上下方向に略沿った中心線を基準として、下端側を、中心線を越えてリング部の回動中心軸から離れた側まで位置させ、上端側を、中心線よりもリング部の回動中心軸側に位置させるような領域に、形成すれば、軟質領域が、上下方向に沿った中心線に対して、下端側を外方に向け、上端側を内方に向けるように傾斜して配置されることから、リング部の前後の中央より前方の部位を把持する場合に、好ましい。
【0015】
また、軟質領域を、ステアリングホイールの車両搭載時におけるリング部の断面において、芯材の中心を通る上下方向に略沿った中心線を基準として、上端側と下端側とを中心線と略一致させるような領域に、形成すれば、軟質領域が、中心線よりもリング部の回動中心軸から離れた側の略全域にわたって配置されることから、リング部の前後の中央付近の部位を把持する場合に、好ましい。
【0016】
さらに、軟質領域を、ステアリングホイールの車両搭載時におけるリング部の断面において、芯材の中心を通る上下方向に略沿った中心線を基準として、下端側を、中心線よりもリング部の回動中心軸側に位置させ、上端側を、中心線を越えてリング部の回動中心軸から離れた側まで位置させるような領域に、形成すれば、軟質領域が、上下方向に沿った中心線に対して、下端側を内方に向け、上端側を外方に向けるように傾斜して配置されることから、リング部の前後の中央より後方の部位を把持する場合に、好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態であるステアリングホイールの概略平面図である。
【図2】図1のステアリングホイールにおいて、リング部の断面図であり、図1のII−II部位に対応する。
【図3】実施形態のステアリングホイールのリング部を把持した状態を示す断面図である。
【図4】把持試験に使用される実施例1〜3及び比較例1〜5のリング部の概略断面図である。
【図5】把持試験の試験結果を示すグラフ図である。
【図6】把持試験において、男性被験者の試験結果を示すグラフ図である。
【図7】把持試験において、女性被験者の試験結果を示すグラフ図である。
【図8】実施例1,2及び比較例1,3のリング部における内下方の領域の硬度を測定したグラフ図である。
【図9】把持試験において、実施例1〜3及び比較例1〜5のリング部と、従来のステアリングホイールのリング部と、の握り心地を比較したグラフ図である。
【図10】本発明の変形例であるリング部の断面図である。
【図11】本発明のさらなる変形例であるリング部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態のステアリングホイールWは、図1に示すように、回動操舵時に把持する略円環状のリング部Rと、リング部Rの中央に配置されるボス部Bと、リング部Rとボス部Bとを連結する複数本(実施形態の場合、2本)のスポーク部Sと、を備えて構成されている。なお、実施形態では、スポーク部Sは、図1に示すように、直進操舵時のステアリングホイールWにおいて、ボス部Bの左右両縁付近から、外方に向かうように、斜め後方に延びるように形成されている。
【0019】
なお、実施形態における前後・上下・左右の方向は、特に断らない限り、車両に搭載させたステアリングホイールWの直進操舵時を基準とするものであり、ステアリングホイールWを車体側に組み付ける図示しないステアリングシャフト(リング部Rの回動中心軸Aと一致)の軸方向に沿った上下を上下方向とし、ステアリングシャフトの軸直交方向である車両の前後を前後方向とし、ステアリングシャフトの軸直交方向である車両の左右を左右方向として、前後・上下・左右の方向を示すものである。
【0020】
ステアリングホイールWは、図1,2に示すように、リング部R,ボス部B,スポーク部Sの各部を連結するように配置される芯材としてのステアリングホイール芯金1と、リング部R及びスポーク部Sにおけるリング部R側の部位においてステアリングホイール芯金1の外周側を被覆する被覆層5と、被覆層5の外周側を略全面にわたって覆う外皮13と、ボス部Bの上部を覆うように配置されるパッド14と、ボス部Bの下部を覆うように配置される図示しないロアカバーと、を備えて構成されている。そして、リング部Rは、芯材としてのリング部芯金2と、リング部芯金2の外周を全周にわたって覆う被覆層5と、被覆層5の外周を覆う外皮13と、を備えて構成されている。
【0021】
ステアリングホイール芯金1は、図1に示すように、リング部Rの部位に配置されるリング部芯金2と、ステアリングシャフトに連結される図示しないボス部芯金と、ボス部芯金とリング部芯金2とを連結する4本のスポーク部芯金3と、から構成されている。リング部芯金2は、図2に示すように、下方を開口させた断面略逆U字形状とされている。
【0022】
被覆層5は、リング部芯金2の外周側と、リング部R近傍となるスポーク部芯金3の外周側と、に、配設されている。実施形態の場合、被覆層5は、図2に示すように、内周側に配置される硬質層部6と、硬質層部6の外周側に配置されて硬質層部6より硬度を低く設定される軟質層部7、とから構成されている。なお、実施形態の場合、被覆層5は、断面形状を、長軸を上下方向に略沿わせた略楕円形状として、構成されている。
【0023】
硬質層部6は、リング部芯金2の外周側と、スポーク部芯金3におけるリング部R近傍となる部位の外周側と、を、略全周にわたって覆うように、構成されている。実施形態の場合、硬質層部6は、リング部芯金2の外周側を覆うリング部Rの部位において、外形形状を、被覆層5(軟質層部7)より小さく、かつ、被覆層5(軟質層部7)の外形形状と略相似形の略楕円形状として、中心C1を、リング部芯金2における中心C2と一致している被覆層5(軟質層部7)の中心C3に対して、中心C3よりもやや上方であって、かつ、リング部Rの回動中心軸Aから離れた側(以下「リング部外方側RO」とする)に、ずらすようにして、リング部芯金2の外周側を全周にわたって覆っている。
【0024】
軟質層部7は、リング部芯金2の外周側とスポーク部芯金3におけるリング部R近傍となる部位の外周側において、硬質層部6の外周側を全面にわたって覆うように、構成されている。実施形態の場合、軟質層部7は、リング部芯金2の外周側を覆うリング部Rの部位において、外形形状を、中心C3をリング部芯金2の中心C2に一致させて、長軸を上下方向に略沿わせた略楕円形状として、構成されるもので、硬質層部6におけるリング部Rの部位の外周側を全周にわたって覆っている。
【0025】
すなわち、実施形態の被覆層5では、軟質層部7と略相似形として軟質層部7(被覆層5)より小形とされている硬質層部6が、軟質層部7に対して、中心C1をずらすように、偏心して形成されていることから、硬質層部6の外周側を全周にわたって覆う軟質層部7が、リング部Rの断面における周方向に沿って、肉厚を異ならせるように構成されることとなる。実施形態の場合、軟質層部7は、リング部Rの断面において、リング部Rの回動中心軸A(図1参照)側(以下「リング部内方側RI」とする)を最も肉厚とし、リング部Rの断面における周方向に沿って、リング部外方側ROにかけて肉厚を薄くするように、構成されている。詳細には、硬質層部6は、中心C1を、図2に示すように、軟質層部7の中心C3に対して、リング部外方側ROであって、かつ、僅かに上方となる位置にずらすように、偏心されて配置されていることから、軟質層部7は、リング部Rの断面において、リング部内方側RIであってかつ下方となる領域を最も肉厚とし、リング部外方側ROにかけて、肉厚を薄くするように構成されている。なお、実施形態のステアリングホイールWでは、この硬質層部6の被覆層5に対する偏心状態は、平面視におけるリング部Rの全周にわたって略同一とされている。
【0026】
そして、実施形態では、図2に示すように、被覆層5において、軟質層部7が肉厚とされているリング部内方側RIの領域が、軟質領域9とされ、軟質層部7が薄肉とされているリング部外方側ROの領域が、軟質領域9より硬度の高い硬質領域10とされている。詳細には、軟質領域9は、リング部Rの断面において、リング部芯金2の中心C2を通る上下方向に略沿った中心線CLを基準として、下端9a側を、中心線CLを越えてリング部外方側ROまで位置させ、上端9b側を、中心線CLよりもリング部内方側RIに位置させるような領域に、形成されている。
【0027】
実施形態の被覆層5では、硬質層部6の硬度は、70〜100程度(望ましくは、75〜95程度)(SRIS 0101;アスカーC型硬度計)の範囲内に設定することが望ましく、軟質層部7の硬度は、45〜65程度(望ましくは、50〜60程度)(SRIS 0101;アスカーC型硬度計)の範囲内に設定することが、適度な握り心地を得るために、望ましい。
【0028】
軟質層部7を構成する合成樹脂としては、従来からステアリングホイールの被覆層に使用されているものを使用することができ、例えば、ポリウレタン樹脂やシリコーン樹脂等を使用することができる。また、硬質層部6を構成する合成樹脂としては、ポリプロピレンやエポキシ樹脂等を使用することができる。
【0029】
なお、実施形態では、軟質層部7は、硬度(SRIS 0101;アスカーC型硬度計)58のシリコーン樹脂から形成され、硬質層部6は、硬度(SRIS 0101;アスカーC型硬度計)89のエポキシ樹脂から形成されている。また、軟質層部7は、軟質領域9を構成する厚肉の領域において最も厚肉の部位の肉厚を、10mm程度に設定され、硬質領域10を構成する薄肉の領域において最も薄肉の部位の肉厚を、0〜1mm程度の範囲内に設定されている。
【0030】
被覆層5の外周側を全周にわたって覆うように配置される外皮13は、実施形態の場合、天然皮革や合成皮革等の皮革材料から、形成されている。
【0031】
次に、本発明の要件を満たす実施例1〜3のリング部R1〜R3を有したステアリングホイールと、本発明の要件から外れた比較例1〜5のリング部R4〜R8を有したステアリングホイールと、の把持時における握り心地を評価した評価試験について、説明をする。実施例1〜3,比較例1〜5のリング部R1〜R8は、それぞれ、図4に示すように、軟質層部7と硬質層部6とにより、被覆層5の領域を二分させた被覆層5を、有している。すなわち、実施例1〜3,比較例1〜5のリング部R1〜R8における被覆層5は、軟質層部7のみで軟質領域9が構成され、硬質層部6のみで硬質領域10が構成されている。なお、図4は、リング部R1〜R8において、運転者の右手が握る部位の断面であり、図上における上側が、車両搭載時における下方であり、右側が、車両搭載時におけるリング部外方側ROである。また、図4ではリング部芯金が省略されているが、被覆層5の略中央には、実施形態のステアリングホイールと同様に、リング部芯金が配設されている。
【0032】
具体的には、実施例1〜3のリング部R1,R2,R3の被覆層5A,5B,5Cは、軟質領域9A,9B,9Cをリング部内方側RIに位置させ、硬質領域10A,10B,10Cをリング部外方側ROに位置させて構成されている。詳細には、実施例1のリング部R1の被覆層5Aでは、リング部内方側RIに配置される軟質領域9Aは、実施形態のステアリングホイールWにおけるリング部Rの被覆層5と同様に、リング部R1の断面において、リング部芯金の中心を通る上下方向に略沿った中心線CLを基準として、下端側を、中心線CLを越えてリング部外方側ROまで位置させ、上端側を、中心線CLよりもリング部内方側RIに位置させるような領域に、形成されている。すなわち、実施例1のリング部R1では、被覆層5Aを構成する軟質領域9Aと硬質領域10Aとの境界線DLは、下方をリング部外方側ROに向けるように、中心線CLに対して傾斜している。実施例2のリング部R2の被覆層5Bでは、リング部内方側RIに配置される軟質領域9Bは、リング部R2の断面において、中心線CLを基準として、上端側と下端側とを中心線CLと略一致させるような領域に、形成されている。すなわち、実施例2のリング部R2では、被覆層5Bは、軟質領域9Bと硬質領域10Bとにより、内外で略二分されるもので、軟質領域9Bと硬質領域10Bとの境界線DLは、中心線CLと略一致されている。実施例3のリング部R3の被覆層5Cでは、リング部内方側RIに配置される軟質領域9Cは、リング部R3の断面において、中心線CLを基準として、下端側を、中心線CLよりもリング部内方側RIに位置させ、上端側を、中心線CLを越えてリング部外方側ROまで位置させるような領域に、形成されている。すなわち、実施例3のリング部R3では、被覆層5Cを構成する軟質領域9Cと硬質領域10Cとの境界線DLは、下方をリング部内方側RIに向けるように、中心線CLに対して傾斜している。
【0033】
比較例1,2のリング部R4,R5の被覆層5D,5Eは、被覆層5D,5Eの領域を、軟質領域9D,9Eと硬質領域10D,10Eとにより上下で略二分させて構成されている。詳細には、比較例1のリング部R4の被覆層5Dでは、リング部R4の断面において、軟質領域9Dが、リング部R4の下側の領域に配置され、硬質領域10Dが、リング部R4の上側の領域に配置されるもので、被覆層5Dを構成する軟質領域9Dと硬質領域10Dとの境界線DLは、中心線CLと略直交するように略左右方向に沿って形成されている。また、比較例2のリング部R5の被覆層5Eでは、比較例1と逆として、リング部R5の断面において、軟質領域9Eが、リング部R5の上側の領域に配置され、硬質領域10Eが、リング部R5の下側の領域に配置されるもので、被覆層5Eを構成する軟質領域9Eと硬質領域10Eとの境界線DLが、中心線CLと略直交するように略左右方向に沿って形成されている。
【0034】
比較例3〜5のリング部R6,R7,R8の被覆層5F,5G,5Hは、軟質領域9F,9G,9Hをリング部外方側ROに位置させ、硬質領域10F,10G,10Hをリング部内方側RIに位置させて構成されている。詳細には、比較例3のリング部R6の被覆層5Fでは、リング部外方側ROに配置される軟質領域9Fは、リング部R6の断面において、中心線CLを基準として、下端側を、中心線CLを越えてリング部内方側RIまで位置させ、上端側を、中心線CLよりもリング部外方側ROに位置させるような領域に、形成されている。すなわち、比較例3のリング部R6では、被覆層5Fを構成する軟質領域9Fと硬質領域10Fとの境界線DLは、下方をリング部内方側RIに向けるように、中心線CLに対して傾斜している。比較例4のリング部R7の被覆層5Gでは、リング部外方側ROに配置される軟質領域9Gは、リング部R7の断面において、中心線CLを基準として、上端側と下端側とを中心線CLと略一致させるような領域に、形成されている。すなわち、比較例4のリング部R7では、被覆層5Gは、軟質領域9Gと硬質領域10Gとにより、内外で略二分されるもので、軟質領域9Gと硬質領域10Gとの境界線DLは、中心線CLと略一致されている。比較例5のリング部R8の被覆層5Gでは、リング部外方側ROに配置される軟質領域9Hは、リング部R8の断面において、中心線CLを基準として、下端側を、中心線CLよりもリング部外方側ROに位置させ、上端側を、中心線CLを越えてリング部内方側RIまで位置させるような領域に、形成されている。すなわち、比較例5のリング部R8では、被覆層5Hを構成する軟質領域9Hと硬質領域10Hと、の境界線DLは、下方をリング部外方側ROに向けるように、中心線CLに対して傾斜している。
【0035】
図5〜7,9に、上記実施例1〜3,比較例1〜5のリング部R1〜R8を有したステアリングホイールの把持試験結果を示す。被験者は、107人(うち、男性:72人、女性:35人)であり、各ステアリングホイールのリング部R1〜R8において、前後の中央より前方となるスポーク部Sから前方に離れた領域FP(図1の二点鎖線参照)を把持した際に、最も握りやすく触感が良好なものを回答してもらった。図5は、被験者全体の把持試験結果を示すグラフである。図6は男性被験者の把持試験結果を示すグラフであり、図7は女性被験者の把持試験結果を示すグラフである。なお、被験者には、図3のAに示すようにリング部Rを握り込むタイプの人と、図3のBに示すようにリング部Rを強く握り込まず親指を添えるタイプの人と、が、混在している。また、図9には、実施例1〜3,比較例1〜5のリング部R1〜R8を有したステアリングホイールを把持した際の握り心地を、従来のステアリングホイールと比較したグラフ図が示されている。
【0036】
図5のグラフでは、実施例1のリング部R1を握りやすく感じる人が最も多かった。これは、以下のような理由に起因すると推測される。
【0037】
まず、被覆層5D,5Eが上下で2分割される比較例1と比較例2とのリング部R4,R5を比較すれば、図5に示すように、硬質領域10Dを上側に配置させた比較例1のリング部R4を握りやすく感じる人が、軟質領域9Eを上側に配置させた比較例2のリング部R5を握りやすく感じる人の4倍程度いた。リング部R4,R5の上側の領域は、把持時に運転者の掌Pが接触する領域であり、このことから、掌Pが当たる領域を硬くすることが望まれていると推測できる。
【0038】
また、軟質領域9F,9G,9Hをリング部外方側ROに設けた比較例3〜5のリング部R6,R7,R8では、リング部R6の下端側の領域において、軟質領域9Fを中心線CLよりもリング部内方側RIまで延ばした比較例3のリング部R6を、他の比較例4,5のリング部R7,R8と比較して、握りやすく感じる人が多かった。リング部Rにおける下端側であってリング部内方側RIの領域は、把持時に運転者の親指を除いた指の指先Fが接触する領域であり、このことから、指先Fが当たる領域を柔らかくすることが望まれていると推測できる。
【0039】
なお、男性被験者の試験結果のみを表した図6のグラフでは、比較例1のリング部R4を握りやすく感じる人が最も多かったが、この図6のグラフでは、比較例1,実施例1,実施例2の各リング部R1,R2,R4を握りやすく感じる人の数の差が僅差であった。これに対し、女性被験者の試験結果のみを表した図7のグラフでは、実施例1のリング部R1を握りやすく感じる人が突出して多かった(2番目に多い実施例2,比較例1のリング部R2,R4の2倍以上)。図8に、実施例1,2及び比較例1,3のリング部R1,R2,R4,R6におけるリング部内方側RIにおける下端近傍の領域(内下方領域Ra,図2参照)の硬度を測定したグラフ図を示す。図8に示すように、実施例1のリング部R1が、内下方領域Raの硬度を最も低くして、次に、比較例1のリング部R3の内下方領域Raの硬度が低く、実施例2及び比較例3のリング部R2,R6の内下方領域Raの硬度が、略同等で、最も高い。このリング部Rにおける内下方領域Raは、男女差区別なく(手の大きさに関係なく)、把持時に人差し指が当たる領域である。そして、この硬度測定試験結果と、男女別の試験結果と、から考察すると、男性は指先の当たる部位を適度に柔らかくされたものを好み、女性は指先の当たる部位を柔らかくされたものを好むと推察できる。
【0040】
また、上記把持試験では、男性被験者数が女性被験者数の2倍程度と、男女の比率が均等ではないことから、男女比を同率とした場合、実施例1のリング部R1を選択する被験者がさらに伸び、比較例1のリング部R4を選択する被験者の伸びが抑えられて、実施例1のリング部R1を選択する被験者数と比較例1のリング部R4を選択する被験者数との差がさらに大きくなると推測される。
【0041】
さらに、図3Bに示すようにリング部Rを強く握り込まず親指を添えるタイプの人は、リング部Rを握り込むタイプの人(図3A参照)と比較して、親指以外の指でリング部Rを握り込まず、逆に、リング部内方側RIの上側となる領域に当てる親指TFを、しっかりリング部Rに押し当てる傾向があることから、軟質領域9を、親指TFの当たるリング部内方側RIにおける上側(内上方側領域Rb,図2参照)まで配置させることが好ましく、このような点においては、比較例1のリング部R4は、好ましくない。
【0042】
図9は、各リング部R1〜R8の握り心地を、現在使用している車両のステアリングホイールと比較した回答結果を示すグラフ図である。この図9のグラフ図において、現在のステアリングホイールに対して握り心地がよいと回答した人数が最も多いのは、実施例1のリング部R1であり、次いで、実施例2、比較例1と続いている。また、実施例1のリング部R1は、実施例2のリング部R2及び比較例1のリング部R4と比較して、握り心地のよさを判別できないという回答も、少ない。この点から、実施例1のリング部R1は、従来のステアリングホールとの握り心地に差を感じやすいと推測される。
【0043】
そのため、上記試験結果から、運転者の掌が当たるリング部外方側ROの領域を硬質領域10として、運転者の指先が当たるリング部内方側RIの領域を軟質領域9とすることが望ましく、さらには、軟質領域9を、人差し指の当たる内下方領域Raの硬度を最も低下させ、かつ、親指の当たる内上方側領域Rbにかけて配置させるような、実施例1のリング部R1を使用することが最適であると推測される。
【0044】
また、上記把持試験においては、図5のグラフ図に示すように、実施例2のリング部R2は、比較例1のリング部R4よりも評価した人数が少なく、実施例3のリング部R3は、比較例3のリング部R5よりも評価した人数が少ないが、この把持試験は、各ステアリングホイールWのリング部Rにおいて、前後の中央より前方となるスポーク部Sから前方に離れた領域FPを把持した際の触感を評価したものである。運転者によるリング部Rの把持位置は、実際の運転時には一定ではなく、また、運転者の好み等もあって、例えば、リング部Rにおいて、前後の略中央となるスポーク部Sの前側で隣接した領域CPや、また、リング部Rにおいて、前後の中央より後方となるスポーク部Sから後方に離れた領域RPを把持する場合もある(図1の二点鎖線参照)。そして、このような把持位置の変化に伴って、運転者のリング部Rの握り方も微妙に変化することとなる。具体的には、スポーク部Sから前方に離れた領域FPにおいては、運転者は、手の甲を左右の外方でかつやや後方に向けるようにして、リング部Rを把持しているが、リング部Rの後方に行くにつれて、手の甲を左右の外方から前方に向けることとなり、スポーク部Sの前側で隣接した領域CPにおいては、運転者の手は、甲を左右の外方に向けるようにしてリング部を把持することとなり、スポーク部Sから後方に離れた領域RPにおいては、運転者の手は、甲を前方に向けるようにして、リング部Rを把持することとなる。そのため、さらなる良好な握り心地を得るためには、運転者のリング部Rの握り方に応じて、平面視におけるリング部Rの周方向に沿って、被覆層5における軟質領域9と硬質領域10との配置位置を徐々に変化させることが好ましい。例えば、リング部Rにおける前後の中央付近となるスポーク部Sの前側で隣接した領域CPでは、実施例2のように、軟質領域9を、中心線CLよりもリング部外方側ROの略全域にわたって配置させることが好ましく、また、リング部Rにおける前後の中央より後方となるスポーク部Sから後方に離れた領域RPでは、実施例3のように、軟質領域9を、中心線CLに対して、下端側を内方に向け、上端側を外方に向けるように傾斜して配置させることが好ましい。
【0045】
すなわち、実施形態のステアリングホイールWでは、運転者が操舵時に把持するリング部Rにおいて芯材(リング部芯金2)の外周を覆っている被覆層5において、リング部Rの回動中心軸A側(リング部内方側RI)となる領域を軟質領域9として、リング部Rの回動中心軸Aから離れた側(リング部外方側RO)となる領域より硬度を低下させるように、リング部Rの断面におけるリング部芯金2を中心とした周方向側で、被覆層5の硬度を異ならせている。詳細に説明すれば、通常、ステアリングホイールWでは、リング部Rにおけるリング部内方側RIの領域が、運転者が手Hでリング部Rを握り込むように把持した際に、運転者の指先Fが接触する領域であり、運転者の手Hとの接触面積も小さく、かつ、把持時にリング部Rにかかる圧力も小さい。また、ステアリングホイールWにおいて、リング部外方側ROの領域は、運転者が手Hでリング部Rを握り込むように把持した際に、運転者の掌Pが接触する領域であり、運転者の手Hとの接触面積が大きく、かつ、リング部Rにかかる圧力が大きい。そして、実施形態のステアリングホイールWでは、把持時に指先Fが接触することとなるリング部内方側RIの領域を、軟質領域9として、把持時に掌Pが接触することとなるリング部外方側ROの領域(硬質領域10)よりも、硬度を低下させていることから、手Hでリング部Rを握り込むように把持した際に、指先Fを軟質領域9に部分的に食い込ませつつ、掌Pを硬質領域10に広い範囲で当てることができ、上述した比較例3〜5のごとく、軟質の領域と硬質の領域とを逆の構成とする場合と比較して、手になじみやすく、使用時の握り心地を良好とすることができる。また、実施形態のステアリングホイールWでは、掌Pが当たる領域が硬質であることから、走行時に振動が手Hに伝わりやすく、路面状態(状況)も良好に把握することができる。
【0046】
したがって、実施形態のステアリングホイールWでは、使用時の握り心地を良好とすることができる。
【0047】
そして、実施形態のステアリングホイールWでは、被覆層5を、合成樹脂製とするとともに、ステアリングホイール芯金1(リング部芯金2)の外周側を略全周にわたって覆う硬質層部6と、硬質層部6の外周側を覆うとともに硬質層部6より硬度を低く設定される軟質層部7と、を有する構成として、軟質層部7を、リング部内方側RIの領域の肉厚をリング部外方側ROの肉厚よりも、大きく設定している。すなわち、実施形態のステアリングホイールWでは、被覆層5が、リング部芯金2の外周側を略全周にわたって覆う硬質層部6と、硬質層部6の外周側を覆う軟質層部7との2種類の合成樹脂からなる二層構造とされ、軟質層部7の肉厚を、変化させることにより、リング部内方側RIの領域を軟質領域9とし、リング部外方側ROの領域を、軟質領域9より硬質の硬質領域10としていることから、被覆層の領域を、リング部芯金を跨ぎつつ、単純に軟質層部と硬質層部とに2分割して製造する場合と比較して、製造が容易である。特に、実施形態のステアリングホイールWでは、リング部芯金2が断面略逆U字形状とされていることから、硬質層部6により、リング部芯金2の外周側を略全周にわたって覆うことが望ましい。勿論、このような点を考慮しなければ、被覆層の領域を、リング部芯金を跨ぎつつ、単純に軟質層部と硬質層部とに2分割させた構成としてもよい。また、硬質層部を構成する材料も、合成樹脂に限らず、例えば、アルミニウム等の金属材料から形成してもよい。
【0048】
さらに、実施形態のステアリングホイールWでは、軟質層部7を、リング部Rの断面において、リング部外方側ROにかけて、肉厚を薄くするように構成して、硬質層部6の外周側を略全域にわたって覆う構成としていることから、触感や見栄えが均等となり、また、使用時において、運転者がリング部Rを握り込んだ際に、硬度の差による違和感を生じがたい。勿論、このような点を考慮しなければ、被覆層を、硬質領域において軟質層部を備えず、硬質層部が露出されるように、構成してもよい。なお、実施形態のステアリングホイールWでは、被覆層5の外表面側(軟質層部7の外表面側)に、別体の外皮13を配置させているが、実施形態のごとく、被覆層を、軟質層部により硬質層部の外周側を全面にわたって覆う構成とする場合、別体の外皮を配置させず、軟質層部の成形時に外表面側に形成されるスキン層を露出させるように構成してもよい。
【0049】
なお、実施形態のステアリングホイールWでは、軟質領域9の範囲を、平面視におけるリング部Rの全周にわたって略同一とされている。しかしながら、リング部Rの握り心地をさらに向上させるためには、軟質領域9の範囲を、リング部Rにおいて、運転者が把持する位置に応じて適宜変更することも可能である。
【0050】
具体的には、軟質領域9の範囲をリング部Rにおける平面視の周方向に沿って徐変させる場合、リング部Rにおける前後の中央より前方となるスポーク部Sから前方に離れた領域FPでは、上記評価試験の実施例1のリング部R1及び図2のリング部Rのごとく、軟質領域9は、中心線CLに対して、下端側をリング部外方側ROに向け、上端側をリング部内方側RIに向けるように傾斜して配置されることとなる。そして、リング部Rにおける前後の中央付近となるスポーク部Sの前側で隣接した領域CPでは、上記評価試験の実施例2のリング部R2及び図10に示すリング部R2´のごとく、軟質領域9B´は、中心線CLよりもリング部内方側RIの略全域にわたって配置されることとなる。詳細には、このリング部R2´では、硬質層部6が、中心C4を、図10に示すように、軟質層部7の中心C3に対して、リング部外方側ROにずらすように、偏心されて配置されていることから、軟質層部7が、リング部R2´の断面において、リング部内方側RIであってかつ上下の中央付近となる領域を最も肉厚とし、リング部外方側ROにかけて、肉厚を薄くするように構成されている。また、リング部Rにおける前後の中央より後方となるスポーク部Sから後方に離れた領域RPでは、上記評価試験の実施例3のリング部R3及び図11に示すリング部R3´のごとく、軟質領域9C´は、中心線CLに対して、下端側をリング部内方側RIに向け、上端側をリング部外方側ROに向けるように傾斜して配置されることとなる。詳細には、このリング部R2´では、硬質層部6が、中心C5を、図11に示すように、軟質層部7の中心C3に対して、リング部外方側ROであって、かつ、僅かに下方となる位置にずらすように、偏心されて配置されていることから、軟質層部7が、リング部R3´の断面において、リング部内方側RIであってかつ上方となる領域を最も肉厚とし、リング部外方側ROにかけて、肉厚を薄くするように構成されている。そして、このように、平面視におけるリング部Rの周方向に沿って、軟質領域9(9A),9B(9B´),9C(9C´)の配置位置を徐々に変化させるような構成とすれば、平面視におけるリング部Rの周方向の全周にわたって、握り心地が良好となる。なお、このような軟質領域9の形状変化は、ステアリングホイールWの直進操舵時を主に考慮して設定されているが、実施例1〜3のような軟質領域の形状は、勿論、回転操舵時にも、運転者に不快感を与えるものではなく、使用時には常時、良好な握り心地を得ることができる。
【符号の説明】
【0051】
1…ステアリングホイール芯金、
2…リング部芯金(芯材)、
5…被覆層、
6…硬質層部、
7…軟質層部、
9…軟質領域、
10…硬質領域、
A…回動中心軸、
R…リング部、
W…ステアリングホイール。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動操舵時に把持する略円環状のリング部を備える構成とされ、
該リング部が、芯材と、該芯材の外周を全周にわたって覆うように配置される被覆層と、を備える構成のステアリングホイールであって、
前記被覆層が、前記リング部の断面における前記芯材を中心とした周方向側で硬度を異ならせるように、前記リング部の回動中心軸側となる領域を、前記リング部の回動中心軸から離れた側となる領域より、軟質領域の占有率を大きくして、硬度を低下させて構成されていることを特徴とするステアリングホイール。
【請求項2】
前記被覆層が、合成樹脂製とされるとともに、前記芯材の外周側を略全周にわたって覆う硬質層部と、該硬質層部の外周側を覆うとともに前記硬質層部より硬度を低く設定される軟質層部と、を有する構成として、
前記軟質層部が、前記リング部の回動中心軸側となる領域の肉厚を、前記リング部の回動中心軸から離れた側の肉厚よりも、大きく設定されていることを特徴とする請求項1に記載のステアリングホイール。
【請求項3】
前記軟質層部が、前記リング部の断面において、前記リング部の回動中心軸から離れた側にかけて、肉厚を薄くするように構成されて、前記硬質層部の外周側を略全域にわたって覆っていることを特徴とする請求項2に記載のステアリングホイール。
【請求項4】
前記軟質領域が、前記ステアリングホイールの車両搭載時における前記リング部の断面において、前記芯材の中心を通る上下方向に略沿った中心線を基準として、下端側を、前記中心線を越えて前記リング部の回動中心軸から離れた側まで位置させ、上端側を、前記中心線よりも前記リング部の回動中心軸側に位置させるような領域に、形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のステアリングホイール。
【請求項5】
前記軟質領域が、前記ステアリングホイールの車両搭載時における前記リング部の断面において、前記芯材の中心を通る上下方向に略沿った中心線を基準として、上端側と下端側とを前記中心線と略一致させるような領域に、形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のステアリングホイール。
【請求項6】
前記軟質領域が、前記ステアリングホイールの車両搭載時における前記リング部の断面において、前記芯材の中心を通る上下方向に略沿った中心線を基準として、下端側を、前記中心線よりも前記リング部の回動中心軸側に位置させ、上端側を、前記中心線を越えて前記リング部の回動中心軸から離れた側まで位置させるような領域に、形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のステアリングホイール。
【請求項1】
回動操舵時に把持する略円環状のリング部を備える構成とされ、
該リング部が、芯材と、該芯材の外周を全周にわたって覆うように配置される被覆層と、を備える構成のステアリングホイールであって、
前記被覆層が、前記リング部の断面における前記芯材を中心とした周方向側で硬度を異ならせるように、前記リング部の回動中心軸側となる領域を、前記リング部の回動中心軸から離れた側となる領域より、軟質領域の占有率を大きくして、硬度を低下させて構成されていることを特徴とするステアリングホイール。
【請求項2】
前記被覆層が、合成樹脂製とされるとともに、前記芯材の外周側を略全周にわたって覆う硬質層部と、該硬質層部の外周側を覆うとともに前記硬質層部より硬度を低く設定される軟質層部と、を有する構成として、
前記軟質層部が、前記リング部の回動中心軸側となる領域の肉厚を、前記リング部の回動中心軸から離れた側の肉厚よりも、大きく設定されていることを特徴とする請求項1に記載のステアリングホイール。
【請求項3】
前記軟質層部が、前記リング部の断面において、前記リング部の回動中心軸から離れた側にかけて、肉厚を薄くするように構成されて、前記硬質層部の外周側を略全域にわたって覆っていることを特徴とする請求項2に記載のステアリングホイール。
【請求項4】
前記軟質領域が、前記ステアリングホイールの車両搭載時における前記リング部の断面において、前記芯材の中心を通る上下方向に略沿った中心線を基準として、下端側を、前記中心線を越えて前記リング部の回動中心軸から離れた側まで位置させ、上端側を、前記中心線よりも前記リング部の回動中心軸側に位置させるような領域に、形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のステアリングホイール。
【請求項5】
前記軟質領域が、前記ステアリングホイールの車両搭載時における前記リング部の断面において、前記芯材の中心を通る上下方向に略沿った中心線を基準として、上端側と下端側とを前記中心線と略一致させるような領域に、形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のステアリングホイール。
【請求項6】
前記軟質領域が、前記ステアリングホイールの車両搭載時における前記リング部の断面において、前記芯材の中心を通る上下方向に略沿った中心線を基準として、下端側を、前記中心線よりも前記リング部の回動中心軸側に位置させ、上端側を、前記中心線を越えて前記リング部の回動中心軸から離れた側まで位置させるような領域に、形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のステアリングホイール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−201164(P2012−201164A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66046(P2011−66046)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
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