説明

ステントをコーティングするシステムおよび方法

ステントの重量を測定する装置と、ステントをステント支持体に位置合わせする装置と、ステントをコーティングする装置と、ステントを乾燥する装置と、ステントを検査する装置とを含んだ、ステントをコーティングするシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステントをコーティングするシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最小限の侵襲性外科的処置(例えば、経皮経管的冠動脈形成術(PTCA))はますます一般的になってきている。PTCA処置では、カテーテルを冠動脈に挿入して、冠動脈を少なくとも部分的に閉塞する狭窄患部の部位に血管形成術用バルーンを位置決めすることを必要とする。その後、バルーンを膨張させて狭窄部を圧迫し、管腔を広げることにより、十分な血液が冠動脈を流れるようにする。
【0003】
PTCAおよび他の狭窄治療処置の後、かなりの数の患者が、再狭窄症または他の血管閉塞問題を経験する。これらの問題は、先の狭窄部位で生じやすい。
【0004】
再狭窄症および他の同様の問題を回避するのを助けるために、ステントが、ステント・デリバリー・カテーテルを用いて、先の狭窄部位において血管に埋め込まれてもよい。ステントはチューブ状構造であって、先の狭窄部位または患部に送達され、同じくバルーンを用いて拡張され、その部位の血管壁を押し付ける。ステントのこの構造によって、開放脈管内腔の維持が促進される。ステントは、血管形成術の際に埋め込むことができる。
【0005】
ステントはまた、薬物を局所送達するために用いることもできる。例えば、血管形成術に続いて先の狭窄部位に適用される放射線療法および薬物送達治療は、治癒過程を助けること、および、再狭窄症および他の同様の問題の危険性を大幅に減らすことがわかっている。薬物の局所送達は、特に、高用量の全身性投与が特定部位において効果を発揮しなければならない場合に、薬物を全身送達するよりも好ましい場合が多い。薬物を高用量で全身投与することは、悪影響を生じることが多い。局所送達の1つの提案方法は、ステントの表面に薬物をコーティングすることである。
【0006】
ステントは、典型的には、プライマ層および薬物層でコーティングされる。プライマ層は、ステントへの薬物層の接着を向上させるために、ステントと薬物層との間に塗布される。場合によっては、薬物層は、ステントに直接塗布されてもよい。
【0007】
ステントにコーティング層を塗布するのに、一般的には、噴霧コーティングが用いられる。噴霧コーティングシステムは、典型的には、噴霧ノズルと、容器から噴霧ノズルにコーティング物質を供給するポンプとを含む。コーティング物質は、ノズルを通して噴霧され、ステントの表面に塗布される。
【0008】
しかし、現在の噴霧コーティングシステムは、非効率的で、信頼性が低く、欠陥率が高くなる。さらに、現在のシステムを用いてステントにコーティングされた薬物の種類を追跡するのは難しい。ステントのコーティングの種類が追跡できないことは、危険な結果をもたらしかねない。さらに、現在のシステムの中には、長期間薬物へ暴露されるため、操作者を健康上の危険にさらしかねないものもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、効率がよく、高信頼性の、操作者が健康上の危険にさらされるのを低減するコーティングシステムおよび方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、効率がよく、高信頼性で、操作者が健康上の危険にさらされるのを低減する、ステントをコーティングするシステムおよび方法に関する。
【0011】
本発明の一態様によれば、ステントの重量を測定する装置は、ステント支持体にステントを取付けおよび取り外す、ステント取付けおよび取り外し用アセンブリと、ステントがステント支持体から取り外された後、ステントの重量を測定するはかりアセンブリと、を含む。
【0012】
本発明の別の態様によれば、特定の位置で使用するステントの重量を測定する装置を製造する方法は、その位置の地面振動を測定するステップと、地面振動の周波数内容を決定するステップと、装置の質量を考慮して装置の取付部材の弾性を選ぶことによって、装置の上下方向振動の固有周波数を選択し、固有周波数が地面振動の大部分の周波数成分よりも小さくなるようにするステップと、取付部材の減衰特性を選択することによって装置の上下方向振動の減衰比(減衰比は、0.1〜2.0)を選択するステップと、を含む。
【0013】
本発明のさらに別の態様によれば、ステントをステント支持体に位置合わせする方法は、ステント支持体とステント支持体に取り付けられたステントとを、ステント支持体の第1支持要素を下方位置に、ステント支持体の第2支持要素を上方位置にして、垂直位置に配置するステップであって、ステントの下端が第1支持要素の円錐部分と対向し、ステントの上端が第2支持要素の円錐部分と対向しているステップと、ステント支持体およびステントのデジタル画像を取得するステップと、ステント支持体およびステントのデジタル画像を分析して、ステントの上端の垂直位置を算出するステップと、ステントの上端の位置に基づいて、第2支持要素の所望の位置を算出するステップと、位置決め装置を用いて第2支持要素を所望の位置へ移動するステップであって、第2支持要素の移動によって、第1および第2支持要素の円錐部分がステントの各端部と係合するようになり、ステントをステント支持体のコア要素まわりの中心に置き、ステントをステント支持体の長手方向に固定するステップと、を含む。
【0014】
本発明のさらに別の態様によれば、ステントをステント支持体に位置合わせする装置は、ステント支持体を垂直位置に位置決めするためにステント支持体の第1支持要素を受けるステント支持体受け台と、ステント支持体に取り付けられたステントを撮像するデジタル撮像装置と、ステント支持体およびステント支持体に取り付けられたステントのデジタル画像を受け取るために、デジタル撮像装置に接続されたコンピュータであって、ステント支持体およびステント支持体に取り付けられたステントのデジタル画像からステントの上端の位置を算出し、ステントの上端の位置に基づいてステント支持体の第2支持要素の所望の位置を算出する、コンピュータと、第2支持要素を所望の位置に移動する位置決め装置と、を含む。
【0015】
本発明のさらに別の態様によれば、ステントをコーティングする装置は、第1ステントを支持し、可動部材に結合された第1支持体と、第2ステントを支持し、可動部材に結合された第2支持体であって、可動部材は、支持体のうちの一方を噴霧ゾーン内に位置決めし、他方の支持体を乾燥ゾーン内に位置決めするように構成され、噴霧ゾーン内のステントは噴霧コーティングでき、乾燥ゾーン内のステントは乾燥される、第2支持体と、を含む。
【0016】
本発明の別の態様によれば、ステントコーティング装置は、ステントを支持する回転可能な支持体であって、支持体の円筒形軸線まわりにステントを回転させることが可能な支持体と、支持体の下方に位置決めされ、上向きに作動して、支持体に対してステントが回転しないようにステントの外側表面に力を加えることができる把持機構と、を含む。
【0017】
本発明のさらに別の態様によれば、ステントをコーティングする装置は、噴霧ノズルがステントの上方に位置決めされているときにステントにコーティング物質を塗布する噴霧ノズルと、噴霧ノズルをクリーニングするための溶媒用容器と、噴霧ノズルを溶媒でクリーニングすることを可能にするために、ステントの上方位置から容器の上方位置に噴霧ノズルを移動するように噴霧ノズルに結合された可動支持部材と、を含む。
【0018】
本発明のさらに別の態様によれば、ステントをコーティングする方法は、ステントをコーティングする噴霧ノズルに気体と液体とを供給するステップであって、噴霧ノズルはノズルに供給された気体および液体から噴霧プルームを生成する、ステップと、コーティングの間に噴霧ノズルに気体と液体を供給する前に、気体流特性と液体流特性とを監視するステップと、気体流特性と液体流特性とを調整して、噴霧ノズルへの気体と液体の選択された流動特性を得るステップとを含み、この調整は、監視された気体流特性と液体流特性に基づいている。
【0019】
本発明のさらに別の態様によれば、ステントをコーティングする装置は、ステントに噴霧する噴霧ノズルであって、ノズルに供給された液体および気体から生成された噴霧プルーム(spray plume)を噴霧するように適合されている、噴霧ノズルと、噴霧中にノズルへの気体流を監視および制御する気体流制御システムと、噴霧中にノズルへの液体流を監視および制御する液体流制御システムと、を含む。
【0020】
本発明の別の態様によれば、コーティングの間にステントを支持する支持アセンブリは、近位端が回転可能なスピンドル内に置かれた第1支持要素と、第1支持要素の遠位端から延びる支持ワイヤであって、支持ワイヤの近位端は、第1支持要素の遠位端に結合されている、支持ワイヤと、支持ワイヤの遠位端を支持するクランプ要素と、を含み、支持ワイヤの近位端と遠位端は、第1支持要素が回転スピンドルによって回転するときに、支持ワイヤが第1支持要素と同軸線回転するように位置決めされている。
【0021】
本発明の別の態様によれば、コーティング後のステントを乾燥する方法は、ステント上のコーティング剤を乾燥するために、可動支持部材に取り付けられた複数のコーティング後のステントをオーブン内に搬送するするステップと、追加のコーティング後のステント上のコーティング剤を乾燥するために、追加のステントをオーブン内に搬送できるように、複数のステントのうちの1つを定期的に取り除き、追加のコーティング後のステントを可動支持部材上に置くステップと、を含む。
【0022】
本発明の別の態様によれば、コーティング後のステントを乾燥する装置は、オーブン内で乾燥している間に、可動支持部材によって支持された複数のコーティング後のステントを搬送する可動支持部材を含んだオーブンと、追加のステント上のコーティング剤を乾燥するために追加のステントをオーブン内に搬送できるよう、オーブンから可動支持部材上の乾燥したステントを取り除き、追加のコーティング後のステントを可動支持部材上に置くことができる移送機構体と、を含む。
【0023】
本発明の別の態様によれば、コーティング後のステントを乾燥する装置は、オーブン支持部材によって支持された複数のコーティング後のステントを搬送するオーブン支持部材を含んだオーブンであって、ステントはオーブン支持部材の動きを通して搬送される、オーブンと、オーブンから取り除かれたステントを支持し、オーブン内への設置を待っている追加のステントを支持するバッファ支持部材と、を含む。
【0024】
本発明の別の態様によれば、長手軸線を有するシリンダを検査する方法は、
シリンダを長手軸線まわりに回転させる複数のローラを含んだローラアセンブリにシリンダを設けるステップと、シリンダを照射するステップと、ローラアセンブリを用いて長手軸線まわりにシリンダを回転させるステップと、シリンダの少なくとも一部の少なくとも1つの画像を生成するステップと、画像を分析して欠陥についてシリンダを検査するステップと、を含む。
【0025】
本発明の別の態様によれば、長手軸線を有するシリンダを検査するシステムは、シリンダをその長手軸線まわりに回転させる複数のローラを備えたローラアセンブリと、シリンダを照射する光源と、シリンダの少なくとも一部の画像を生成するカメラと、ローラアセンブリと光源とカメラを制御し、画像を分析して欠陥についてシリンダを検査するコンピュータシステムとを含む。
【0026】
本発明の別の態様によれば、長手軸線と長さと幅とを有するシリンダを検査する方法は、シリンダをシリンダの長手軸線まわりに回転するステップと、シリンダを照射するステップと、検査カメラを用いて、シリンダの長さの少なくとも一部とシリンダの幅の少なくとも一部の画像を生成するステップであって、シリンダは、少なくとも一部を光源と検査カメラとの間に置かれている、ステップと、画像を分析して欠陥についてシリンダを検査するステップと、を含む。
【0027】
本発明の別の態様によれば、長手軸線と長さと幅とを有するシリンダを検査するシステムは、シリンダをシリンダの長手軸線まわりに回転させる支持台と、シリンダを照射する光源と、シリンダの長さの少なくとも一部とシリンダの幅の少なくとも一部の画像を生成する検査カメラであって、シリンダは、少なくとも一部を光源と検査カメラとの間に置かれている、検査カメラと、支持台と光源と検査カメラとを制御し、画像を分析して欠陥を特定するコンピュータシステムと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】円筒形状のステントの斜視図である。
【図2】ステント支持体の斜視図である。
【図3】ステントの両端を支持するステント支持体の第1および第2支持要素の円錐部分を示した斜視図である。
【図4】ステントの両端を支持するステント支持体の第1および第2支持要素の円錐部分を示した斜視図である。
【図5】本発明によるステントの重量を測定する装置の斜視図である。
【図6】図5で示された装置のバッファおよびロボットアームの斜視図である。
【図7】図5で示された装置のうちのステント取付けおよび取り外し用アセンブリの斜視図であり、ステント取付けおよび取り外し用アセンブリは、ステント支持グリッパアセンブリと、ステントグリッパアセンブリと、第1および第2コア要素案内部とを含む。
【図8】図7で示されたステント支持グリッパアセンブリの第1支持要素グリッパの斜視図であり、第1支持要素が第1支持要素グリッパ内で保持されている。
【図9】図8で示された第1支持要素グリッパの別の斜視図であり、第1支持要素は第1支持要素グリッパ内で保持されていない。
【図10】図7で示されたステント支持グリッパアセンブリの第2支持要素グリッパの斜視図であり、第2支持要素は第2支持要素グリッパ内で保持されている。
【図11】図7で示されたステントグリッパアセンブリと第1および第2コア要素案内部の詳細な斜視図である。
【図12】図7および図11で示されたステントグリッパアセンブリのステントグリッパの斜視図である。
【図13】図7および図11で示された第1コア要素案内部の下側フィンガの斜視図である。
【図14】図7および図11で示された第2コア要素案内部の下側フィンガの斜視図である。
【図15】図5で示された装置のはかりアセンブリの斜視図である。
【図16】図15で示されたはかりアセンブリのステントネスト(stent nest)の斜視図である。
【図17】図5で示された装置の取付け部の斜視図である。
【図18】ステントの振れを低減するような方法でステント支持体上にステントを取り付けるための、本発明の例示的な装置の斜視図である。
【図19】噴霧コーティング装置の概略図である。
【図20】ステント支持体の第2支持要素を備えない、ステント支持体のコア要素に取り付けられたステントの斜視図である。
【図21】ステント支持体の第2支持要素を備えた、ステント支持体のコア要素に取り付けられたステントの斜視図である。
【図22】ステント支持体受け台内に垂直に取り付けられたステントとステント支持体の斜視図である。
【図23】第1コア要素支持体によって支持されているコア要素の自由端の斜視図である。
【図24】第1コア要素支持体の断面図である。
【図25】第2コア要素支持体の斜視図である。
【図26】位置決め装置の斜視図である。
【図27】ステント支持体の第2支持要素の位置を制御するフィードバック制御ループを示した概略図である。
【図28】ステントの振れがあるステント支持体に取り付けられたステントの図である。
【図29】ステントの一端における冠部の斜視図である。
【図30】ステントの一端における冠部の斜視図である。
【図31】例示的なステントコーティングおよび乾燥装置を示している。
【図32】図31に示された装置において噴霧ゾーンと乾燥ゾーンとを分けるバッフルの拡大図を示している。
【図33】図31に示された装置の噴霧ゾーンの拡大図を示している。
【図34A】図31に示された装置の乾燥ゾーンの拡大図を示している。
【図34B】図31に示された装置の乾燥ゾーンの拡大図を示している。
【図35】キャップ固定具の拡大図を示している。
【図36】図35のキャップ固定具の上方に位置する噴霧ノズルの概略側面図を示している。
【図37A】キャップ固定具内の溶媒の液面高さを制御する実施形態を示している。
【図37B】キャップ固定具内の溶媒の液面高さを制御する実施形態を示している。
【図38A】噴霧ノズルに送られる液体流および気体流を制御するシステムの概略図を示している。
【図38B】計量ポンプを示した図31の装置の図を示している。
【図39】ステント上の噴霧ノズルの概略図を示している。
【図40A】噴霧および乾燥工程中にステントを支持するステント支持アセンブリの拡大図を示している。
【図40B】噴霧および乾燥工程中にステントを支持するステント支持アセンブリの拡大図を示している。
【図40C】噴霧および乾燥工程中にステントを支持するステント支持アセンブリの拡大図を示している。
【図40D】マンドレルに取り付けられたステントの軸線方向の断面を示している。
【図40E】マンドレルに取り付けられたステントの軸線方向の断面を示している。
【図41A】図31からのステントグリッパの拡大図を示している。
【図41B】図31からのステントグリッパの拡大図を示している。
【図41C】図31からのステントグリッパの拡大図を示している。
【図42】コーティング後のステントの走査型電子顕微鏡画像を示している。
【図43】コーティング後のステントの走査型電子顕微鏡画像を示している。
【図44】コーティング後のステントの走査型電子顕微鏡画像を示している。
【図45】コーティング後のステントの走査型電子顕微鏡画像を示している。
【図46】コーティング後のステントの走査型電子顕微鏡画像を示している。
【図47】例示的な乾燥装置を示している。
【図48】乾燥装置の拡大図を示している。
【図49】乾燥装置の移送機構の拡大図を示している。
【図50】ステントグリッパの近くにおける図49の移送機構の拡大図を示している。
【図51】図47〜図50で示された位置から180°回転した9枚の取付板を備えた、図4の移送機構の図を示している。
【図52】後壁および側壁を取り除いた、図51で示された装置200の後部から見た図を示している。
【図53】ステントグリッパの近くにおけるオーブンダイヤルの拡大図を示している。
【図54】別の例示的な乾燥装置を示している。
【図55】オーブンの筐体の内部を示した、図54で示された例示的な乾燥装置の背面図を示している。
【図56】図54で示されたステント乾燥装置の搭載部の筐体の拡大図を示している。
【図57】図54で示された乾燥装置の上面図を示している。
【図58A】コンベアベルトの拡大図を示している。
【図58B】図58Aのコンベアベルトにおけるステントマンドレル支持体を示している。
【図59】コンベアオーブン内の時間の関数として温度のグラフを示している。
【図60】従来のバッチオーブン内の時間の関数として温度のグラフを示している。
【図61】本発明の様々な態様によるステントを検査する例示的なシステムを示した3次元設計の概略図である。
【図62】図61におけるシステムの詳細を示した3次元設計の概略図である。
【図63】図61におけるシステムの詳細を示した3次元設計の概略図である。
【図64】本発明の種々の態様によるステントを検査する例示的なシステムを示した3次元設計の概略図である。
【図65】図64におけるシステムの詳細を示した3次元設計の概略図である。
【図66A】本発明の様々な態様によるステント検査用システムの詳細を示した3次元設計の概略図である。
【図66B】本発明の様々な態様による例示的な光源の側面図である。
【図67】ステントから突出する欠陥部の例示的な画像を示している。
【図68】ステントから突出する欠陥部の例示的な画像を示している。
【図69】本発明の様々な態様によるステントを検査する例示的な工程を図示した工程フロー図である。
【図70】本発明の様々な態様によるステントに関連する欠陥部を特定する例示的な工程を図示した工程フロー図である。
【図71】本発明の様々な態様による例示的な画像における基準点の位置を示している。
【図72】欠陥部がステントの支柱の間に存在しているステントの構造の2次元画像を示している。
【図73】欠陥部を特定するのを助けるためにステントの構造が取り除かれている、図72における2次元画像を示している。
【図74】本発明の様々な態様によるステントを検査する例示的な工程を図示した工程フロー図である。
【図75】本発明の様々な態様によるステントに関連する欠陥部を特定する例示的な工程を図示した工程フロー図である。
【図76】図75で説明した工程の要素を図示したステントの一部の例示的な画像である。
【図77】図75で説明した工程の要素を図示したステントの一部の例示的な画像である。
【図78】図75で説明した工程の要素を図示したステントの一部の例示的な画像である。
【図79】図75で説明した工程の要素を図示したステントの一部の例示的な画像である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明で用いられるステントは、ステントが埋め込まれる身体管腔に適合する任意の構造パターンを有してもよい。典型的には、ステントは、円周方向および長手方向に延びる、相互接続した構造要素または支柱のパターンまたは網目模様から構成されている。一般に、支柱は、血管の内腔壁と接し、血管の開通性を維持するように設計されたパターンで配列されている。特定の設計目標を達成するために、当分野では、無数の支柱パターンが公知である。ステントのより重要な設計特性のいくつかは、半径方向またはフープ強度、拡張率または適用範囲、および長手方向の柔軟性である。本発明の実施形態は、実質的に如何なるステント設計にも適用可能であり、したがって、任意の特定のステント設計またはパターンに限定されない。ステントパターンの一実施形態は、支柱から構成される円筒リングを含んでもよい。円筒リングは、支柱を接続することによって連結されてもよい。
【0030】
いくつかの実施形態においては、ステントは、支柱のパターンをチューブ状にレーザ切断することによって、チューブから形成されてもよい。ステントはまた、金属またはポリマーシートをレーザ切断し、そのパターンを円筒形ステントの形状に丸め、長手方向に溶接してステントを形成することによって、形成されてもよい。ステントを形成する他の方法は既知であり、金属またはポリマーシートを化学的にエッチングし、丸めた後に溶接してステントを形成するステップを含む。
【0031】
図1は、複数の支柱12から形成されたステント10を示している。複数の支柱12は、半径方向に拡張可能であり、隣接する支柱12の間に横方向の開口または隙間16を残しながら、隣接する支柱12の間に配置された要素14を接続することによって相互に連結されている。支柱12および接続要素14は、外側の組織接触面と内側表面とを有するチューブ状のステント本体を画定している。
【0032】
ステント10の支柱12の断面は、矩形または円形形状であってもよい。支柱の断面はこれらに限定されず、したがって他の断面形状も、本発明の実施形態において適用可能である。さらに、他のステントパターンが本発明の実施形態において容易に適用可能であるため、パターンは、図示されているものに限定されるべきではない。
【0033】
ステントは、任意の数の層でコーティングされていてもよい。例えば、ステントのコーティングは、以下の4つの種類の層のうちの1つ以上を備えていてもよい。
【0034】
(a)ポリマーおよび薬剤を含む、あるいはポリマーを含まない薬剤を含み得る薬剤層、
(b)1つ以上のポリマーを含む任意のプライマ層であり、埋め込み可能な基体または先に形成された層の上の後続の各層の接着を向上させ得る、プライマ層、
(c)薬剤の放出速度を制御する方法として機能し得る任意のトップコート層、
(d)コーティング剤の生体適合性を改善し得る任意の生体適合性の上塗り層。
【0035】
薬剤層は、純粋薬剤としてステントに直接塗布されてもよい。あるいは、薬剤は、マトリックスとして生分解性ポリマーと組み合わすことができ、その場合、薬剤はポリマーと結合しても結合しなくてもよい。任意のプライマ層は埋め込み可能な基体と薬剤層との間に塗布されて、埋め込み可能な基体への薬剤層の接着を向上させてもよく、このプライマ層は任意に薬剤を含むことができる。純粋な薬剤層を、生分解性ポリマーを備える層の間に挟むことができる。任意のトップコート層は、膜として作用して生物活性剤の放出速度を制御してもよく、任意に薬剤を含むことができる。生体適合性の上塗り層は、例えば急性血液適合性を向上することによってコーティング剤の生体適合性を向上するために塗布されてもよく、薬剤を含むこともできる。
【0036】
薬剤層および任意のプライマ層内のポリマーは、生体安定性、生体吸収性、生分解性または生物浸食性であってもよい。生体安定性とは、生分解性ではないポリマーを意味する。生分解性、生体吸収性および生物浸食性といった用語は、同義的に用いられ、血液などの体液に曝されると完全に分解および/または浸食され得、身体によって徐々に再吸収、吸収および/または取り除かれ得るポリマーを意味する。ポリマーの分解ならびに最終的な吸収および除去の工程は、例えば、加水分解、代謝工程、バルクまたは表面浸食等が原因で生じることもある。
【0037】
治療用薬剤は、治療または予防効果を発揮できる任意の物質を含むことができる。治療用薬剤の例として、例えば、アクチノマイシンDまたはその誘導体および類似体(ウィスコンシン州53233、ミルウォーキー、ウェストセントポールアベニュー1001にあるSigma−Aldrich社によって製造されたもの、またはMerck社から入手可能なCOSMEGEN)などの抗増殖性物質が挙げられる。アクチノマイシンDの別名には、ダクチノマイシン、アクチノマイシンIV、アクチノマイシンI、アクチノマイシンXおよびアクチノマイシンCがある。生物活性剤も、抗腫瘍、抗炎症、抗血小板、抗凝固、抗線維素、抗トロンビン、抗有糸分裂、抗生、抗アレルギー及び抗酸化物質の部類に入り得る。このような抗腫瘍および/または抗有糸分裂物質の例として、パクリタキセル(例えば、コネチカット州スタンフォードにあるBristol−Myers Squibb Co.社によるTAXOL(登録商標))、ドセタキセル(例えば、独国フランクフルトにあるAventis S.A.社製のTaxotere(登録商標))、メトトレキサート、アザチオプリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、フルオロウラシル、塩酸ドキソルビシン(例えば、ニュージャージー州ピーパックにあるPharmacia & Upjohn社製のAdriamycin(登録商標))、およびマイトマイシン(例えば、コネチカット州スタンフォードにあるBristol−Myers Squibb Co.社製のMutamycin(登録商標))が挙げられる。このような抗血小板、抗凝固、抗線維素および抗トロンビン物質の例として、アスピリン、ナトリウムヘパリン、低分子量ヘパリン、ヘパリン類似物質、ヒルジン、アルガトロバン、フォルスコリン、バピプロスト、プロスタサイクリンおよびプロスタサイクリン類似体、デキストラン、D−phe−pro−arg−クロロメチルケトン(合成抗トロンビン)、ジピリダモール、糖タンパクIIb/IIIa血小板膜受容体拮抗抗体、組換体ヒルジン、およびAngiomax a(マサチューセッツ州ケンブリッジにあるBiogen,Inc.社)などのトロンビン阻害薬が挙げられる。このような細胞増殖抑制または抗増殖剤の例として、アンギオペプチン、カプトプリルなどのアンギオテンシン変換酵素阻害薬(例えば、コネチカット州スタンフォードにあるBristol−Myers Squibb Co.社製のCapoten(登録商標)およびCapozide(登録商標))、シラザプリルまたはリシノプリル(例えば、ニュージャージー州ホワイトハウスステーションにあるMerck&Co.,Inc.社製のPrinivil(登録商標)およびPrinzide(登録商標))、カルシウムチャネル遮断薬(ニフェジピンなど)、コルヒチン、タンパク質、ペプチド、線維芽細胞増殖因子(FGF)拮抗薬、魚油(ω−3脂肪酸)、ヒスタミン拮抗薬、ロバスタチン(HMG−CoA還元酵素の阻害薬、コレステロール低下薬、ニュージャージー州ホワイトハウスステーションにあるMerck & Co.,Inc.社製の商品名Mevacor(登録商標))、モノクローナル抗体(血小板由来増殖因子(PDGF)受容体の特異抗体など)、ニトロプルシド、ホスホジエステラーゼ阻害薬、プロスタグランジン阻害薬、スラミン、セロトニン遮断薬、ステロイド、チオプロテアーゼ阻害薬、トリアゾロピリミジン(PDGF拮抗薬)、および一酸化窒素が挙げられる。抗アレルギー物質の例は、ペルミロラストカリウムである。適切な薬剤となり得る他の治療物質または治療薬には、シスプラチン、インスリン感作物質、受容体チロシンキナーゼ阻害薬、カルボプラチン、αインターフェロン、遺伝子操作された上皮細胞、ステロイド性抗炎症薬、非ステロイド性抗炎症薬、抗ウイルス薬、抗癌薬、抗凝固薬、フリーラジカルスカベンジャー、エストラジオール、抗生物質、一酸化窒素供与体、スーパーオキシドジスムターゼ、スーパーオキシドジスムターゼ模倣体、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−アミノ−TEMPO)、タクロリムス、デキサメタゾン、ABT−578、クロベタソール、細胞増殖抑制薬、これらのプロドラッグ、これらのコドラッグ、およびこれらの組み合わせが含まれる。他の治療物質または治療薬には、ラパマイシンおよびその構造誘導体または機能類似体(例えば、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン(everolimus)、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシンおよび40−O−テトラゾール−ラパマイシン)が含まれ得る。
【0038】
典型的には、ステントは、ステントのコーティング操作の間はステント支持体に取り付けられる。図2を参照すると、ステント支持体20は、第1支持要素22とコア要素24と第2支持要素26とを含んでもよい。ステント支持体の第1支持要素は、例えば、シャンクであってもよい。ステント支持体の第2支持要素は、例えば、コレットであってもよい。第1支持要素22は、コーティングの間に、第1支持要素22の長手軸線まわりに回転運動するようにモータ(図示せず)に接続されていてもよい。
【0039】
第1支持要素22は、好ましくは、例えば、約15°から約75°、より狭くは約30°から約60°の角度で内側方向に細くなっている円錐部分28を含む。場合によっては、角度は約45°にできる。図示された実施形態においては、コア要素24の第1端部は、第1支持要素22の円錐部分28に恒久的に固定されている。あるいは、第1支持要素は、コア要素の端部を受ける孔を含んでもよく、コア要素の端部は、孔にねじ込むためにねじ山がつけられてもよい。第1支持要素22はまた外周溝30を含んでもよい。
【0040】
第2支持要素26も、内側方向に小さくなる角度を有する円錐部分32を含み、この角度は、第1支持要素の円錐部分28のテーパー角と同一であっても異なっていてもよい。第2支持要素26は貫通孔を有する。コア要素24の第2端部(自由端)は、第2支持要素26の貫通孔を通って内部にまで突き出ることができ、その孔に圧入または摩擦嵌めして、第2支持要素26がコア要素24上で自由に移動するのを防ぐことができる。第2支持要素26は外周溝34を含んでもよい。
【0041】
ステント支持体20は、第1および第2支持要素22、26の円錐部分28、30によってステント24を支持する。図3は、第1支持要素22の円錐部分28がステント24の一端を支持していることを示し、図4は、第2支持要素26の円錐部分32がステント24の他端を支持していることを示している。図3、4および以降の図のいくつかにおいて、ステントの端部リングにおける支柱のみが示され、ステントの残りにおける支柱は示されていない。第1および第2支持要素22、26の円錐部分28、30が互いに向かって進められると、ステント24が自動的にコア要素24のまわりで中心にくるようになり、また円錐部分28、30がステント支持体20の長手方向にステント24を固定する。ステント24とステント支持体20の間の唯一の接触部は、円錐部分28、30とステント24の両端の内側リムとの間の接合面である。
【0042】
本発明の一態様によれば、ステント支持体に取り付けられたステントは、本発明のコーティングシステムにおけるパレットに達する。いくつかの好ましい実施形態においては、各パレットは、5〜100、好ましくは10〜50、より好ましくは15〜40、最も好ましくは20〜30のステントおよびステント支持体を保持できるが、各パレットは、概して、任意の数のステントおよびステント支持体を保持してもよい。各ステント支持体は、例えば、2次元マトリックスシンボル、バーコードラベルまたはRFIDタグといった識別情報を含んでもよい。識別情報は、例えば、ステント支持体に取り付けられたステントの種類、ステントに塗布されるコーティング物質の種類、塗布される各コーティング物質の量および/または使用されるコーティング方法を含んでもよい。パレットも、例えば、2次元マトリックスシンボル、バーコードラベルまたはRFIDタグといった識別情報を含んでもよく、パレット上のステントの種類および位置を特定する。
【0043】
コーティングシステムは、ステント支持体とパレットによって与えられる情報を読み取る読取機を含んでもよい。読取機は、例えば、カメラ、バーコードスキャナ、またはRFID読み取り機といった撮像装置であってもよい。
【0044】
コーティングシステムは、ステント支持体とパレットによって与えられる情報を確認してもよい。例えば、コーティングシステムは撮像装置を用いて、ステント支持体20の第2支持要素26の位置を決定してもよく、この撮像装置を用いてステントの長さを推定することもできる。推定されたステントの長さが、ステント支持体によって与えられるステントの長さと一致しない場合は、コーティングシステムは、ステントのコーティングを進行しない。
【0045】
正しいステントがステント支持体に取り付けられると、コーティングシステムのロボットアームがパレットからステントとステント支持体とを取り除き、それらをコーティングシステムのステント計量装置に送る。ステント計量装置では、コーティングされていないステントの重量を測定する。この重量を用いて、後に、コーティングされていないステントとコーティング後のステントの重量を比較することによって、コーティング後のステント上のコーティング剤の量を決定してもよい。さらに、コーティングされていないステントの重量は、確認のために読取機によって特定されたステントの重量と比較されてもよい。
【0046】
コーティングされていないステントの重量が測定された後、同じまたは異なるロボットアームが、ステントをステント支持体に位置合わせするために、ステントとステント支持体とをコーティングシステムの装置に送る。コーティング操作の効率を上げるために、ステントの軸線がステント支持体の軸線に位置合わせされていることが望ましい。ステントの軸線とステント支持体の軸線との位置がずれていると、コーティング物質がステントに不均一に塗布される原因となる可能性がある。ステントのコーティング剤の量のこの変化によって、コーティング重量が許容範囲外のステントの数が増加し、それによってステントの欠陥率が上がる可能性がある。
【0047】
ステントがプライマ層を必要とする場合、ステントは噴霧コーティング装置に送られ、プライマ層をコーティングされる。その後、ステントのプライマは、オーブンなどの乾燥装置内で乾燥されてもよい。プライマ層を検査ステーションで検査して、何らかのコーティング欠陥が存在するかどうかを決定してもよい。コーティング欠陥がある場合、ステントは、欠陥品として拒絶される可能性がある。さらに、同じまたは異なるステント計量装置においてコーティング後のステントの重量を測定し、コーティングされていないステントとコーティング後のステントの重量を比較することによって、ステント上のプライマコーティングの量を測定してもよい。プライマコーティングの量が許容範囲外である場合、ステントはまた欠陥品として拒絶される可能性がある。
【0048】
ステントの重量を測定してプライマコーティングの量が測定された後、ステントは、次に、同じまたは異なるステント支持体に取り付けられ、ステントをステント支持体に位置合わせする装置に送られる。
【0049】
次に、ステントは噴霧コーティング装置に送られ、薬剤層でコーティングされる。その後、薬物層を有するステントが、同じかまたは異なる乾燥装置内で乾燥されてもよい。薬剤層を検査ステーションで検査して、何らかのコーティング欠陥が存在するかどうかを決定してもよい。コーティング欠陥が存在する場合、ステントは、欠陥品として拒絶される可能性がある。さらに、ステント計量装置においてコーティング後のステントの重量を測定し、プライマと薬剤の両方でコーティングされたステントの重量を、プライマのみでコーティングされたステントと比較することによって、ステント上の薬剤コーティングの量が測定されてもよい。薬剤コーティングの量が許容範囲外の場合、ステントは欠陥品として拒絶される可能性がある。
【0050】
以下は、本発明の好ましいステント・コーティング・システムのいくつかの構成要素の詳細な説明である。
【0051】
ステントの重量を測定する装置
現在、ステントの重量を測定するには、ステントおよびステント支持体を手動で操作する必要がある。操作者は、ステントをステント支持体から取り外し、ステントの重量を測定するためにステントをはかりの上に置かなければならない。操作者がはかりを手動で操作しなければならない場合、操作者はステント支持体を脇に置く必要がある可能性がある。ステントの重量が正しく測定された後、操作者はステント支持体を取り上げ、ステントをステント支持体に取り付ける。
【0052】
この手動による手順はいくつかの欠点を有する。第1に、ステントを手動で操作すると、ステントまたはステントのコーティングを損傷する可能性がある。さらに、手動の手順には時間を要する。ステントをステント支持体から取り外すこと、およびステントをステント支持体に取り付けることは、繊細で時間を要する仕事であり、操作者は、ステントまたはステントのコーティングを損傷しないように注意しなければならない。さらに、操作者が、はかりを手動で操作するために、ステント支持体を脇に置く必要がある場合は、操作者は、誤ったステント支持体を取り上げてそのステントを取り付ける可能性もある。これは、ステント支持体が、通常、ステント支持体に取り付けられたステントの種類と、ステント上にコーティングされた薬物を識別する情報を有することから、危険な結果をもたらしかねない。
【0053】
したがって、ステントまたはステントのコーティングを損傷する危険性またはステントを誤ったステント支持体に取り付ける危険性が最小の、効率よく自動的にステントの重量を測定する方法および装置が必要である。
【0054】
本発明によるステントの重量を測定する装置により、ステントの重量を測定する現在の装置および方法に伴う上記の欠点を克服することができる。図5は、本発明のこのような装置の例40を示している。装置40は、バッファ42と、ロボットアーム44と、ステント取付けおよび取り外し用アセンブリ46と、それぞれがはかり50を有するはかりアセンブリ48とを含む。
【0055】
バッファ42は、ステント10がはかり50上で重量を測定される前および後に、ステント支持体20を、ステント10を取り付けた状態で保存するために用いられる。ロボットアーム44は、ステント支持体20をバッファ42からステント取付けおよび取り外し用アセンブリ46へ移動する。ステント取付けおよび取り外し用アセンブリ46は、ステント10をステント支持体20から取り除き、ステント10をはかり50上に置いて重量を測定する。ステント10の重量が測定された後、ステント取付けおよび取り外し用アセンブリ46は、ステント10をはかり50から取り除き、ステント10をステント支持体20に取り付ける。ロボットアーム44は、ステント10とステント支持体20とをステント取付けおよび取り外し用アセンブリ46からバッファ42へ移動する。
【0056】
バッファ42は、コーティング工程の様々な段階にあるステント20を保存するために用いられてもよい。ステント10は、ステント10がコーティングされる前、およびステントのコーティング(例えば、ポリマーコーティング、薬剤コーティング、乾燥等)を含む様々な工程のうちの任意の1つの工程の後に、重量が測定されてもよい。これらの工程は、ステントの重量測定と同期しない。状況によっては、短期間、重量が測定されるいくつかのステント20を計量装置40内に受け入れてもよいが、他の状況では、相対的に長い期間、ステントを計量装置40に受け入れることはできない。バッファが設けられていない場合、ステントは、重量が測定される前に、コーティングステーション(またはコーティング工程の任意の他の段階)で保持される必要がある。結果的に、コーティングステーションは、はかり50がステントの重量を測定するのに利用可能となるまで、遊び状態のままになる。あるいは、重量を測定するためにはかり50にステントが送られない場合、はかり50が遊び状態のままになる。
【0057】
本発明のバッファは、任意の適切な構成および構造を有してもよい。例えば、図6に示すように、バッファ42は円形板52と、その円形板52の縁部に沿って円形に配置されているステント支持体20を受ける1つ以上の受け台54とを有してもよい。各受け台54は、ステント支持体20の第1支持要素22を保持し、それによって、図6に示すように、ステント支持体20を垂直位置に置いてもよい。バッファ42は、バッファ板52を回転させる電気または油圧モータ(図示せず)と、制御装置(図示せず)とを含んでもよく、この制御装置はバッファ板52の回転を制御して、特定のステント支持体20をピックアップ用のロボットアーム44に位置合わせすることができる。
【0058】
あるいは、本発明のバッファは、コンベアベルトと類似であってもよく、コンベアベルト上に固定間隔または可変間隔で間隔を空けた受け台を含んでもよい。コンベアベルトの動きは、特定のステント支持体20をピックアップ用のロボットアーム44に位置合わせするように制御されてもよい。
【0059】
バッファ42の受け台54は、コーティング工程の特定の段階にあるステント10を受け入れるように指定されてもよい。図6に示すように、受け台54は、クリーン(すなわち、コーティングされる前)で、重量を測定する必要があるステントを保持するために用いられてもよい。別の受け台54は、クリーンで重量が測られたステントを保持するために用いられてもよい。別の受け台54を用いて、焼成され(すなわち、コーティングされ、オーブン内で乾燥され)、重量が測定されていないステントを保持してもよい。さらに別の受け台54を用いて、焼成され(すなわち、コーティングされ、オーブン内で乾燥され)、重量が測定されたステントを保持してもよい。
【0060】
ロボットアーム44を用いて、様々な機能を果たしてもよい。好ましくは、ロボットアーム44は、ステント支持体20を把持および保持し、バッファ42の受け台54からステント支持体20を取り上げてステント支持体20をバッファ42の受け台54内に置き、ステント取付けおよび取り外し用アセンブリ46からステント支持体20を取り上げてステント支持体20をステント取付けおよび取り外し用アセンブリ46上に置き、および/またはステント支持体20をバッファ42とステント取付けおよび取り外し用アセンブリ46との間に移動することができる。
【0061】
ロボットアーム44は、ステント支持体20を把持し保持するのに用いることができる任意の適切な構造形態を有してもよい。例えば、図6で示された実施形態においては、ロボットアーム44は、ステント支持体20の第1支持要素22を把持するステント支持グリッパ56と、ステント支持体20を真っ直ぐに保つためにステント支持体20のコア要素24の自由端を保持するホルダ58とを有する。ステント支持グリッパ56は2つのフィンガ60a、60bを有してもよく、この2つのフィンガは、相互に離れるように動いて、第1支持要素22をフィンガ60a、60bの間に置くことができ、また相互の方向に向かって動いて、第1支持要素22を把持することができる。コア要素ホルダ58は先端に、ステント支持体20のコア要素24を受け入れ、保持する溝62を有してもよい。
【0062】
ロボットアーム44は、2つの位置の間を移動可能であってもよい。ロボットアーム44の第1の位置が図6で示されている。図6では、ロボットアーム44はバッファ42の隣に位置決めされ、ステント支持体20を垂直位置に保持することができる。第2の位置では、ロボットアーム44は、ステント取付けおよび取り外し用アセンブリ46の隣に位置決めされ、ステント支持体20を水平位置に保持する。ロボットアーム44が第1位置から第2位置に移動すると、ロボットアーム44は、ステント支持体20をバッファ42からステント取付けおよび取り外し用アセンブリ46へ移動する。ロボットアーム44が第2位置から第1位置へと移動すると、ロボットアーム44は、ステント支持体20をステント取付けおよび取り外し用アセンブリ46からバッファ42へ移動する。
【0063】
第1および第2位置の間でロボットアームを移動させるために、ロボットアーム44は第1および第2部材64、66を有し、それら部材のそれぞれは、図6で示されるように見た場合に、略三角形の構成を有する。2つの部材64、66の間の接合面68は、垂直位置または水平位置のいずれからも45°にある。第1部材64は、接合面68において第2部材66に対して回転することができる。言い換えると、第1部材64は、接合面68に対して垂直な軸線まわりに回転することができる。第1部材64が、図6で示されている第1位置から180°回転すると、ステント支持体20は、バッファ42における垂直位置からステント取付けおよび取り外し用アセンブリ46のすぐ上の水平位置まで移動される。第1部材64が、図6に示すように、第1位置に回転して戻ると、ステント支持体20は、水平位置から図6で示された垂直位置に移動して戻る。
【0064】
さらに、ロボットアーム44全体は、図6で示された第1位置すなわちより低い位置と、第2位置すなわちより高い位置との間を垂直に移動してもよい。
【0065】
ステント支持体20をバッファ42からステント取付けおよび取り外し用アセンブリ46へ移動するために、ロボットアーム44は、最初に、バッファ42の隣の第1位置およびより低い垂直位置に置かれる。次に、ロボットアーム44は、ステント支持体20の第1支持要素22とステント支持体20のコア要素24を保持するコア要素ホルダ58とを把持する、ロボットアーム44のステント支持グリッパ56で、ステント支持体20を把持する。この時点では、ステント支持体20は、依然としてバッファ42の受け台54内に置かれている。次に、ロボットアーム44は、図6に示すように、ステント支持体20を受け台54から出して持ち上げるために、より高い垂直位置へ上げられる。次に、ロボットアーム44の第1部材64が、第2部材66に対して180°回転して、図6で示された垂直位置からステント取付けおよび取り外し用アセンブリ46のすぐ上の水平位置へステント支持体20を移動する。次に、ロボットアーム44は、ロボットアーム44のより高い垂直位置からより低い垂直位置へ下げられて、ステント支持体20をステント取付けおよび取り外し用アセンブリ46上に置く。
【0066】
ステント取付けおよび取り外し用アセンブリ46は、ステント10をステント支持体20に取付け、またはステント10をステント支持体20から取り外すために用いられる。この目的を達成するために、アセンブリ46は、ステント支持グリッパアセンブリ70とステントグリッパアセンブリ72を備えてもよい。ステント支持グリッパアセンブリ70は、ステント10がステント支持体20に取り付けられまたはステント支持体20から取り外されているときに、ステント支持体20を保持するために用いられる。ステントグリッパアセンブリ72は、ステント10がステント支持体20に取り付けられまたはステント支持体20から取り外されているときに、ステント10を保持するために用いられる。
【0067】
図7に示すように、ステント支持グリッパアセンブリ70は、長手方向のレール78に沿って長手方向76に移動可能なプラットフォーム74を含んでもよい。ステント支持グリッパアセンブリ70はさらに、第1支持要素グリッパ80と第2支持要素グリッパ82とを含んでもよい。第1および第2支持要素グリッパ80、82は、プラットフォーム74に取り付けられ、プラットフォーム74上の長手方向のプラットフォームレール84に沿って長手方向76に互いに独立して移動可能である。言い換えると、第1および第2支持要素グリッパ80、82は、プラットフォーム74の一部として長手方向76に移動するか、または、プラットフォーム74に対して長手方向76に移動することができる。あるいは、ステント支持グリッパアセンブリ70はプラットフォーム74を含まなくてもよい。代わりに、第1および第2支持要素グリッパ80、82は、長手方向に移動するためにレール78上に直接取り付けられてもよい。
【0068】
図8に示すように、第1支持要素グリッパ80は、ステント支持体20の第1支持要素22を把持および保持するために用いられる。第1支持要素グリッパ80は、上向きに延び、横方向88に移動可能な2つのフィンガ86を含んでもよい。2つのフィンガ86は相互に離れるように移動することにより、第1支持要素22を2つのフィンガ86の間に置くことができる。さらに、2つのフィンガ86は相互の方向に向かって移動することにより、第1支持要素22を把持することができる。2つのフィンガ86は、溝30で第1支持要素22を把持してもよい。言い換えると、2つのフィンガ86が第1支持要素22を把持しているときは、フィンガ86は、第1支持要素22の溝30内に置かれている。好ましくは、フィンガ86の長手方向の寸法は、溝30の幅とほぼ同じかまたはそれよりも僅かに小さく、その結果、フィンガ86は、溝30内に置かれると、第1支持要素22の長手方向の動きを制限する可能性がある。さらに、フィンガ86はそれぞれ、第1支持要素22を受け入れる溝(または切除部)90(または第1支持要素22の溝30)を含んでもよい。フィンガ86の溝90は、第1支持要素22がフィンガ86の間で確実に強固に保持されることを助ける。溝90のうちの一方または両方は、略半円形の構成を有してもよく、半円形の半径は、第1支持要素22の直径(または第1支持要素22の溝30の直径)とほぼ同じかまたはそれよりも僅かに大きくてもよい。あるいは、溝90のうちの一方または両方は、略三角形の構成を有してもよい。図8で示された実施形態では、溝90のうちの一方は、三角形の構成(図9を参照のこと)を有するが、他方の溝90は矩形の構成を有する。
【0069】
図10に示すように、第2支持要素グリッパ82は、ステント支持体20の第2支持要素26を把持および保持するために用いられる。第2支持要素グリッパ82は、上向きに延び、横方向88に移動可能な2つのフィンガ92を含んでもよい。2つのフィンガ92は相互に離れるように移動することにより、第2支持要素26を2つのフィンガ92の間に置くことができる。また、2つのフィンガ92は相互の方向に向かって移動することにより、第2支持要素26を把持することができる。好ましくは、2つのフィンガ92は、第2支持要素26の溝34で第2支持要素26を把持している。好ましくは、フィンガ92の長手方向の寸法は、溝34の幅とほぼ同じかまたはそれよりも僅かに小さく、その結果、フィンガ92は、溝34内に置かれると、第2支持要素26の長手方向の動きを制限する可能性がある。さらに、フィンガ92はそれぞれ、第2支持要素26を受け入れる溝94(または第1支持要素26の溝34)を含んでもよい。フィンガ92の溝94は、第2支持要素26がフィンガ92の間で確実に強固に保持されることを助ける。溝94のうちの一方または両方は、略半円形の構成を有してもよく、半円形の半径は、第2支持要素26の直径(または第2支持要素26の溝34の直径)とほぼ同じかまたはそれよりも僅かに大きくてもよい。あるいは、溝94のうちの一方または両方は、略三角形の構成を有してもよい。図10で示された実施形態では、溝94のうちの一方は、三角形の構成を有するが、他方の溝94は矩形の構成を有する。
【0070】
好ましくは、第2支持要素グリッパ82はまた、ステント支持体20のコア要素24の自由端を保持するコア要素ホルダ96を含む。コア要素ホルダ96は、コア要素24の自由端を受け入れ、保持する溝98を有する。
【0071】
ステント10をステント支持体20から取り外している間、ステントグリッパアセンブリ72は、ステント10を把持および保持し、第1および第2支持要素グリッパ80、82はそれぞれ、ステント支持体20の第1および第2支持要素22、26を把持および保持する。この時点では、第1および第2支持要素グリッパ80、82は、プラットフォームレール84に沿って、長手方向76に相互に離れるように移動してもよい。この動きによって、ステント支持体20の第2支持要素26がステント支持体20のコア要素24から取り外される。第1支持要素グリッパ80の動きはまた、ステント支持体20のコア要素24をステント10の中空の中心部から引き出す。その結果、ステント10はステント支持体20から取り外される。
【0072】
ステント10をステント支持体20に取り付けている間、ステントグリッパアセンブリ72は、ステント10がステント支持体20の第1および第2支持要素22、26ならびにコア要素24とほぼ同軸線になる位置、およびステントが第1および第2支持要素22、26の間にある位置に、ステント10を置く。第1および第2支持要素グリッパ80、82は、ステント支持体20の第1および第2支持要素22、26を相互の方向に向かうように長手方向76に移動する。この動きによって、ステント支持体20のコア要素24が、ステント10の中空の中心部を通過するようになる。また、この動きによって、第2支持要素26がステント支持体20のコア要素24に取り付けられる。その結果、ステント10はステント支持体20に取り付けられる。
【0073】
図11に示すように、ステントグリッパアセンブリ72は、好ましくは、長手方向のレール102に沿って長手方向76に移動可能なプラットフォーム100を含む。この長手方向のレール102は、ステント支持グリッパアセンブリ70が移動可能に置かれる長手方向のレール78の横に並べて、平行に配置されている。
【0074】
ステントグリッパアセンブリ72は、ステントグリッパアセンブリ72のプラットフォーム100に取り付けられ、プラットフォーム100と共に移動可能なステントグリッパ104を含んでもよい。あるいは、ステントグリッパアセンブリ72は、プラットフォーム100を含まなくてもよい。代わりに、ステントグリッパ104は、長手方向に移動するために、レール102上に直接取り付けられてもよい。
【0075】
ステントグリッパ104はまた、横方向88に移動可能であってもよく、少なくとも3つの横方向の位置を有してもよい。第1の横方向の位置(すなわち、真ん中の位置)は、上述のように、ステント10がステント支持体20に取り付けられるか、またはステント支持体20から取り外されるときに、ステントグリッパ104がステント10を把持および保持する位置である。この位置では、上述のように、ステント10は、第1および第2支持要素22、26ならびにステント支持体20のコア要素24とほぼ同軸線である。ステントグリッパ104の第2の横方向の位置は、図11に示すように、ステントグリッパ104が第1の横方向の位置から後退している、引き込み位置である。ステントグリッパ104は、ステント10をステント支持体20に正しく取り付けた後にステント10を解放した後に、引き込み位置へ移動する。ステントグリッパ104が引き込まれることによって、ロボットアーム44は第2支持要素グリッパ82からバッファ42へステント10を移動することができる。ステントグリッパ104の第3の横方向の位置は突き出た位置であり、この突き出た位置では、ステントグリッパ104は、ステント10をはかり50上に置くか、またはステント10をはかり50から取り除くために、はかりアセンブリ48のうちの1つ内に突き出る。
【0076】
図12に示すように、ステントグリッパ104は、3組のフィンガ106a、106bを有してもよいが、1組、2組または4組を含む任意の適切な数のフィンガペアを有してもよい。本実施形態では、3つの上側のフィンガ106aが一体に形成され、3つの下側のフィンガ106bも一体に形成されている。各ペアのフィンガ106a、106bは、相互に離れる方向に移動することにより、ステント10をフィンガ106a、106bの間に置くことができ、相互の方向に向かって移動することにより、ステント10をフィンガ106a、106bの間で把持することができる。各ペアのフィンガ106a、106bはまた、上述の溝90と同様または同一の溝を含んでもよい。
【0077】
図12に示すように、ステントグリッパ104はまた、脱落防止体108を含んでもよい。脱落防止体108は、ステントを真っ直ぐに保持し、コア要素24を抜き出し、挿入している間にステントが動かないようにするために用いられてもよい。
【0078】
図11に示すように、装置40は、ステントグリッパアセンブリ72に取り付けられた第1および第2コア要素案内部110、112を含んでもよいが、一般に、任意の適切な位置に置かれた任意の数のコア要素案内部を含んでもよい。以下に詳細に説明するように、各コア要素案内部110、112を用いてステント支持体20の柔軟なコア要素24を案内し、真っ直ぐにし、これにより、ステントを取り付けている間に、コア要素24がステント支持体20のステント10と第2支持要素26とを通過できるようにする。
【0079】
好ましくは、各コア要素案内部110、112は、コア要素24を案内する孔114、116を含む。コア要素24の自由端は、孔114、116の第1開口から入って、孔114、116の第2開口から出る。孔114、116は、好ましくは、コア要素24の自由端を捕捉する大きい第1開口と、コア要素24を案内し、中心に置くための小さい第2開口とを有する。図13に示すように、例えば、第1コア要素案内部110の孔114は、円筒形部分118と円筒形部分118に接続された円錐部分120とを有する。円錐部分120は、支持台122と先端部124とを有し、支持台74は孔114の第1開口126を画定している。孔114の円筒形部分118は、孔114の第2開口128を画定している。動作中、コア要素24の自由端は、第1コア要素案内部110の方向に移動するので、コア要素24の自由端は、孔114の第1開口126によって捕捉される。コア要素24の移動が続くと、円錐部分120はコア要素24の自由端を、孔114の小さい円筒形部分118内に案内する。
【0080】
同様に、図14に示すように、第2コア要素案内部112の孔116が、円筒形部分130と、円筒形部分130に接続された円錐部分132とを有してもよい。
【0081】
図11に示すように、第1コア要素案内部110は、例えば、上側フィンガ110aと下側フィンガ110bといった一対のフィンガ110a、110bを含む。フィンガ110a、110bは、フィンガ110a、110bが離れている開放位置とフィンガ110a、110bが相互に隣接している閉鎖位置との間で移動することができる。2つのフィンガ110a、110bは、閉じているときは、第1コア要素案内部110の孔114を画定する。好ましくは、フィンガ110a、110bの間の接合面は、孔114を上側の半分部分と下側の半分部分とに分ける。同様に、第2コア要素案内部112もまた開放位置と閉鎖位置との間で移動可能な一対のフィンガ112a、112bを含んでもよい。2つのフィンガ112a、112bは、閉じているときは、第2コア要素案内部112の孔116を画定することが好ましい。フィンガ112a、112bの間の接合面は、好ましくは、孔116を上側の半分部分と下側の半分部分とに分ける。
【0082】
各コア要素案内部110、112は2つの位置の間を移動できる。各コア要素案内部110、112の第1の位置は、ステントグリッパ104の第1の位置(真ん中の位置)と同じである。各コア要素案内部110、112が、コア要素案内部110、112の第1の位置にあるとき、孔114、116はステント10とステント支持体20の第1および第2支持要素22、26と略軸線方向に整列し、ステント支持体20のコア要素24を案内する機能を果たす。各コア要素案内部110、112の第2の位置は、ステントグリッパ104の引き込み位置と同様の引き込み位置である。
【0083】
コア要素案内部110、112は、ステントを取り付けている間において任意の適切な方法で用いられてもよい。例えば、ステントグリッパ104がステント10をステント取付けのために第1の位置に移動した後に、第1および第2コア要素案内部110、112が第1および第2コア要素案内部110、112の第1の位置へ移動して、ステント支持体のコア要素24を案内してもよい。この時点では、ステント10とコア要素案内部110、112の孔114、116はほぼ同軸線に配置されている。次に、第1支持要素グリッパ80は、第1支持要素22とコア要素24をステント10および第2支持要素26の方へ移動させてもよい。この動きによって、コア要素24が、第1コア要素案内部110の孔114、ステント10、第2コア要素案内部112の孔116、第2支持要素26を順に通り抜ける。第1支持要素グリッパ80が第1支持要素22とコア要素24を第2支持要素26の方向へ移動するときに、第2支持要素グリッパ82は、第2支持要素26を第1支持要素22とコア要素24の方向へ移動してもよい。ステント10と第2支持要素26がコア要素24に取り付けられた後に、各コア要素案内部110、112のフィンガ110a、110b、112a、112bが開いて、コア要素案内部110、112をステント支持体20のコア要素24から外す。
【0084】
図5に示すように、装置40は、ステント10の重量を測定する2つのはかりアセンブリ48を含んでもよいが、例えば、1つ、3つまたは4つのはかりアセンブリといった、任意の数のはかりアセンブリを含んでもよい。図示された実施形態では、はかりアセンブリ48とステントグリッパアセンブリ72とは、ステント支持グリッパアセンブリ70の反対側に置かれているが、同じ側に置くこともできる。ステント10をはかりアセンブリ48のうちの1つに置くために、ステントグリッパアセンブリ72とステント支持グリッパアセンブリ70とを長手方向に位置決めして、このはかりアセンブリ48に位置合わせすることができる。
【0085】
図15に示すように、各はかりアセンブリ48は、ハウジング134と、ハウジング134内に置かれたはかり50と、はかり50上に載っているステントネスト136とを含む。図示された実施形態では、好ましくは、ハウジング134はドア(図示せず)を有し、このドアを開くと、ステントグリッパ104は、ステント10をはかり50の上に置くか、またはステント10をはかり50から取り除くことができる。ドアを閉めると、空気擾乱および騒音の影響からはかり50を隔離することができる。空気擾乱と騒音は、はかりの感度が高いことから、はかり50の精度に影響を与える可能性がある。
【0086】
はかり50は、市販されているはかりなど、ステントの重量を測定するのに適した任意のはかりであってもよい。例えば、はかり50は、オハイオ州コロンバスにあるMettler−Toledo社製のUMX5 Microbalanceなどのマイクロバランスであってもよい。秤量皿を含むUMX5 Microbalanceの最大容量は、2.1gである。このはかりが測定可能なコーティング後のステントの重量は約0.4gである。
【0087】
図16に示すように、ステントネスト136は、水平部材138と、水平部材138から上向きに延びる複数の垂直部材140とを有する。ステントネスト136の水平部材138は、はかり50の上に載り、ステント10は垂直部材140の頂部に載っている。各垂直部材140の頂部表面142は、ステント10を載せることができる切欠部144を含んでもよい。ステントグリッパ104が、ステント10を垂直部材140の切欠部144内に置くために、ステントグリッパ104の下側フィンガ106bはそれぞれ、ステントネスト136の2つの隣接する垂直部材140の間の空間146にまで延びる必要がある。したがって、2つの隣接する垂直部材140の間の空間146は、ステントグリッパ104の下側フィンガ106bを収容するのに十分な幅と十分な高さであることが好ましい。
【0088】
ステント10がステントネスト136上に置かれた後、はかり50はステントの重量の測定を開始する。はかり50によって測定される重量の信号は、一般に、一定のステント重量と、時間とともに変動する擾乱とを含む。ステントの重量が軽いので、擾乱が測定信号の大部分を占めることもある。擾乱の影響を最小にするために、はかり50は、測定信号内の擾乱(振動)が、所定の期間、特定の値を下回るまでステントの重量を測定しない。
【0089】
好ましくは、ステントネスト136は、はかり50に取付けまたは接合されていない。代わりに、ステントネスト136は単に、ステントネスト136の重力作用で、はかり50の頂部に載っているだけである。ステントグリッパ104がステントネスト136と衝突する場合、はかり50を損傷せず、ステントネスト136をはかり50から落下させるだけであろうから、このようにすることは望ましいといえる。
【0090】
図5に示すように、ステントの重量を測定する装置40はさらに、はかり50に伝わる地面振動の量を低減する複数の取付部148を含んでもよい。本発明者らは、はかり50が受ける擾乱の大部分が地面からはかり50へ伝わることと、地面振動が一般に、予測可能な周波数内容を有することとを見出した。本発明者らは、さらに、はかり50に伝わる地面振動の量を、装置40の質量を考慮に入れて、取付部の材料の弾性と減衰特性を注意深く選択することによって、大幅に低減できることを見出した。好ましくは、最初に地面振動が測定され、地面振動の周波数内容が決定される。次に、主として装置40の質量と取付部148の弾性との関数であるシステムの固有周波数が、システムの固有周波数が、地面振動の大部分の周波数成分よりも小さくなるように選択される。システムの固有周波数は、地面振動の周波数成分の60%よりも小さくてもよく、好ましくは80%よりも小さく、より好ましくは90%よりも小さく、最も好ましくは95%よりも小さくてもよい。このようなシステムの固有周波数は、はかり50に伝わる地面振動の量を大幅に低減することができる。装置40の質量と取付部148の弾性および減衰特性との関数であるシステムの減衰比は、好ましくは約0.1〜2.0であり、より好ましくは約0.4〜1.2であり、最も好ましくは約0.6〜1.0である。
【0091】
上述のステントの重量を測定する装置40は、いくつかの方法で操作することができる。ステントの重量を測定する装置40を操作する1つの方法によれば、最初のステップは、ロボットアーム44を使用して、重量をはかるステント10をバッファ42からステント支持グリッパアセンブリ70に移動することである。ロボットアーム44は、重量を測定するステント10を取り上げるために、バッファ42の隣の第1の位置に置かれている。この時点では、ロボットアーム44は、より低い垂直位置にある。ロボットアーム44のステント支持グリッパ56が、ステント支持体20の第1支持要素22を把持し、コア要素ホルダ58がステント支持体20のコア要素24を保持した状態で、ロボットアーム44は、ステント10を取り付けたステント支持体20を把持する。この時点では、ステント支持体20は、依然としてバッファ42の受け台54内にある。その後、ロボットアーム44は、ステント支持体20を受け台54の外に持ち上げるために、図6に示すように、ロボットアーム44のより高い垂直位置まで上げられる。次に、ロボットアーム44の第1部材64が第2部材66に対して180°回転して、図6に示すように、ステント支持体20を垂直位置からステント支持グリッパアセンブリ70のすぐ上の水平位置まで移動する。
【0092】
次のステップでは、ステント支持グリッパアセンブリ70は、ロボットアーム44からステント支持体20を受け取り、ステント10をステント支持体20から取り除く。ロボットアーム44からステント支持体20を受け取るために、ステント支持グリッパアセンブリ70の第1および第2支持要素グリッパ80、82は、それぞれ、ステント支持体20の第1および第2支持要素22、26の下に位置決めされる。次に、第1および第2支持要素グリッパ80、82のフィンガ86、92は離れるように位置決めされ、ステント支持体20の第1および第2支持要素22、26をそれぞれ受け入れる。次に、ロボットアーム44は、ロボットアーム44のより高い垂直位置からより低い垂直位置に下がり、ステント支持体20の第1および第2支持要素22、26を、それぞれ第1および第2支持要素グリッパ80、82のフィンガ86、92の間に置く。この時点では、第1支持要素グリッパ80のフィンガ86は、第1支持要素22の溝30に位置合わせされていることが好ましく、第2支持要素グリッパ82のフィンガ92は、第2支持要素26の溝34に位置合わせされている。次に、第1支持要素グリッパ80のフィンガ86は相互の方向に向かって移動して、第1支持要素22を第1支持要素22の溝30で把持し、第2支持要素グリッパ82のフィンガ92もまた相互の方向に向かって移動して、第2支持要素26を第2支持要素26の溝34で把持する。次に、ステント支持グリッパアセンブリ70は長手方向に移動して、ステント10をステントグリッパアセンブリ72のステントグリッパ104に位置合わせし、これにより、ステントグリッパ104はステント10を把持して、取り外すことができる。
【0093】
この時点では、ステントグリッパアセンブリ72のステントグリッパ104は、ステント10の重量を測定するために用いられるはかり50に位置合わせされていることが好ましい。ステント10がステントグリッパ104に位置合わせされると、ステントグリッパ104は、ステントグリッパ104のフィンガ106a、106bがステント10を把持するために開いた状態で、ステントグリッパ104の第2の位置(引き込み位置)から第1の位置(真ん中の位置)まで移動する。ステントグリッパ104の第1の位置に到達した後、ステントグリッパ104はフィンガ106a、106bを閉じて、ステント10を把持する。次に、ステント支持グリッパアセンブリ70の第1および第2支持要素グリッパ80、82が、相互に離れるように長手方向76に移動する。この動きによって、ステント支持体20の第2支持要素26がステント支持体20のコア要素24から取り除かれる。この動きによって、ステント支持体20のコア要素24もまた、ステント10の中空の中心部から引き出される。その結果、ステント10が、ステント支持体20から取り除かれる。
【0094】
この時点では、ステントグリッパ104は、ステント10をはかり50の上に置くために、ステントグリッパ104の第3の位置までさらに突き出てもよい。あるいは、ステントグリッパ104は、引き込み位置に戻ってもよい。次に、ステント支持グリッパアセンブリ70は、ステント支持体20の第2支持要素26をステント支持体20のコア要素24に取付け、ステント支持体20をステントグリッパ104の片側まで移動し、その後に、ステントグリッパ104が引き込み位置からステントグリッパ104の第3の位置まで突き出てステント10をはかり50の上に置いてもよい。第2支持要素26をコア要素24に取り付けるには、第1および第2コア要素案内部110、112が第1および第2コア要素案内部110、112の第1の位置へ移動してコア要素24を案内し、その後、第1および第2支持要素グリッパ80、82が、ステント支持体20の第1および第2支持要素22、26を相互の方向に向かって移動して、第2支持要素26をコア要素24に取り付けることを必要とする可能性がある。
【0095】
ステント10をはかり50の頂部のステントネスト136上に置くために、ステントグリッパ104は、ステントグリッパ104の下側フィンガ106bを、ステントネスト136の2つの隣接する垂直部材140の間の各空間146内にまで突き出して、ステント10を垂直部材140の切欠部144内に置く。次に、ステントグリッパ104の上側および下側のフィンガ106a、106bは離れる方向に移動して、ステント10を解放する。
【0096】
ステント10がステントネスト136上に置かれた後は、はかりアセンブリのハウジング134のドアが閉じられ、はかり50がステントの重量の測定を開始する。はかり50によって測定された信号は一般に、一定のステント重量と、時間とともに変動する擾乱とを含む。ステントの重量は軽いので、擾乱は、測定信号の大部分を占めることもある。擾乱の影響を最小にするために、はかり50は、測定信号内の擾乱(振動)が、所定の期間、特定の値を下回るまでステントの重量を測定しない。
【0097】
ステントの重量の読み取り値を得た後、ステント10は、はかり50から取り除かれ、再びステント支持体20に取り付けられる。ステント10をステント支持体20に取り付けるこの手順は、上述のように、第2支持要素26がコア要素24に取り付けられ、ステントグリッパ104の片側に移動したかどうかによって、変更されてもよい。上記の状態である場合は、ステントグリッパ104は、ステント10をはかり50から引き込み位置へ移動させてもよく、これにより、ステント支持グリッパアセンブリ70が第2支持要素26をコア要素24から取り外し、第2支持要素26とコア要素24をステントグリッパ104の異なる側に置くことができる。次に、ステントグリッパ104はステント10を引き込み位置から真ん中の位置へ移動することができ、これにより、ステント10をステント支持体20に取り付けることができる。上記の状態でない場合は(すなわち、第2支持要素26とコア要素24がすでにステントグリッパ104の異なる側にある場合)、ステントグリッパ104はステント10をはかり50から直接真ん中の位置へ移動してもよく、これにより、ステント10はステント支持体20に取り付けることができる。
【0098】
ステントグリッパ104がステント10を第1(真ん中)の位置へ移動した後、ステント支持体のコア要素24を案内するために、第1および第2コア要素案内部110、112も第1および第2コア要素案内部110、112の第1の位置へ移動し、この結果、コア要素24は、ステント10と第2支持要素26とを通過することができる。この時点では、ステント10とコア要素案内部110、112の孔114、116は、ほぼ同軸線状に配置されている。次に、第1支持要素グリッパ80は、第1支持要素22とコア要素24をステント10と第2支持要素26の方向へ移動してもよい。この動きによって、コア要素24は、第1コア要素案内部110の孔114、ステント10、第2コア要素案内部112の孔116、第2支持要素26を順に通過する。第1支持要素グリッパ80が第1支持要素22を第2支持要素26の方向へ移動するとき、第2支持要素グリッパ82はまた、第2支持要素26を第1支持要素22の方向に移動してもよい。ステント10と第2支持要素26がコア要素24に取り付けられた後、コア要素案内部110、112のフィンガ110a、110b、112a、112bは開いて、コア要素案内部110、112をステント支持体20のコア要素24から外す。
【0099】
ステント10がステント支持体20に取り付けられた後、ロボットアーム44が、ステント支持体20をステント支持グリッパアセンブリ70からバッファ42へ移動してもよい。この目的を達成するために、ロボットアーム44は、ステント支持グリッパアセンブリ70からステント支持体20を取り上げる位置に置かれる。ステント支持グリッパアセンブリ70は、ステント支持体20の第1支持要素22がロボットアーム44のステント支持グリッパ56に位置合わせされる位置に、ステント支持体20を移動することが好ましく、ステント支持体20のコア要素24はロボットアーム44のコア要素ホルダ58に位置合わせされる。次に、第1支持要素グリッパ80のフィンガ86が相互に離れる方向に移動して、第1支持要素22を解放し、第2支持要素グリッパ82のフィンガ92もまた相互に離れる方向に移動して、第2支持要素26を解放する。次に、ロボットアーム44が下方に下がってステント支持体20を把持する(このとき、ロボットアーム44のステント支持グリッパ56がステント支持体20の第1支持要素22を把持し、コア要素ホルダ58がステント支持体20のコア要素24を保持する)。次に、ロボットアーム44は上方に上がり、ステント支持グリッパアセンブリ70からステント支持体20を持ち上げる。ロボットアーム44の第1部材64は、図6に示すように、第2部材66に対して180°回転して、ステント支持体20をこの水平位置から垂直位置へ移動する。次に、ロボットアーム44は下方に下がり、ステント支持体20をバッファ42の受け台54内に置く。
【0100】
ステントをステント支持体に位置合わせする装置
噴霧コーティングは一般に、コーティング層をステントに塗布するために用いられる。噴霧コーティング装置は、典型的には、噴霧ノズルと、容器から噴霧ノズルへコーティング物質を供給するポンプとを含む。コーティング物質はノズルを通して噴出され、コーティング物質のプルームを形成する。
【0101】
コーティング作業の間、ステント支持体は、コーティング物質のプルームを通してステントを軸線方向または直線的に移動する。ノズルは、ステントの軸線方向の移動とは別にまたはそれに加えて、ステントの軸線に沿って移動してもよい。ステントがステントの一端から他端へ噴霧ノズルのプルームを通って移動すると、コーティング物質がステント上に堆積される。プルームを選択された回数通過した後、コーティング物質をさらに噴霧する前に、堆積したコーティング物質を乾燥するか、または乾燥工程を施してもよい。噴霧および乾燥ステップは、所望の量のコーティング物質がステント上に堆積するまで繰り返される。
【0102】
ノズルによって噴出されたコーティング物質は、噴霧ノズルのプルーム内で均一に分布していない。コーティング物質の濃度は、ノズルの長手軸線に沿った領域、または長手軸線近くの領域で最も高い。ノズルの軸線からの距離が増すにつれて、コーティング物質の濃度は低くなる。
【0103】
コーティング作業の効率を上げるために、高濃度のコーティング物質を有するプルームの領域(すなわち、ノズルの軸線に沿った領域またはノズルの軸線近くの領域)内にステントを置くことが望ましい。ステントをプルームの所望の領域内に確実に留まらせるには、ステントの軸線が、ステント支持体の軸線に位置合わせされていることが重要である。ステント支持体とステントとが同軸線上にない場合、ステントは、回転中にステント支持体の軸線まわりで振動し、その結果、ステントが高濃度のコーティング物質を有するプルームの領域に出入りして移動する原因となる。これは、コーティング作業の効率を下げるだけでなく、ステントの表面に不均一なコーティングパターンを生成することになる。
【0104】
さらに、ステントの軸線とステント支持体の軸線とがずれていると、ノズルの軸線近くに置かれたステントが、ノズルの軸線から相対的に離れて置かれたステントよりもコーティング物質を多く受ける状態で、コーティング物質がステントに均一に塗布されなくなる。ステントコーティングの量のこの変動は、許容範囲外のコーティング重量を有するステントの数を増やし、それによって、ステントの欠陥率を上げることになる。位置ずれは予測できないため、噴霧の割合または継続時間を調節することによってこれらの変動を補正することは難しい。
【0105】
現在、ステントをステント支持体と確実に正しく位置合わせする効率的で信頼性の高い方法は存在しない。
【0106】
ステントをステント支持体に位置合わせする本発明の装置は、ステントの軸線とステント支持体の軸線とを正しく位置合わせして、ステントをステント支持体上に確実に、効率的且つ正確に取り付けることができる。図18は、本発明の例示的な装置1000を示している。装置1000は、ステント支持体20を垂直位置に位置決めするためにステント支持体20を受け入れるステント支持体受け台1012と、デジタルカメラなどのデジタル撮像装置1020と、コンピュータ1014(図27)と、位置決め装置1018とを含む。装置1000は、図18に示すように、追加の構成部品を含んでもよく、それについては以下に説明する。
【0107】
噴霧コーティングは一般に、コーティング層をステントに塗布するために用いられる。ステントの噴霧コーティングは、典型的には、ステントをステント支持体に取付け、次いで、ノズルから取り付けられたステントへコーティング物質を噴霧することを含む。図19は、ステント10をコーティングする噴霧コーティング装置1032を示している。この装置では、ポンプ1034が、容器1036からホース1040を通して噴霧ノズル1038へコーティング物質を供給する。コーティング物質は、ノズル1038を通して噴出されて、コーティング物質のプルーム1042を生成する。ノズル1038は、ガス供給器1043によって供給されたガスでコーティング物質を霧化するガスアシスト型外部混合噴霧器であることが好ましい。
【0108】
コーティング物質は、噴霧ノズル1038のプルーム1042内で均一に分布していない。コーティング物質の濃度は、ノズル1038の軸線1048に沿った領域または軸線1048近くの領域において最も高い。ノズル1038の軸線1048からの距離が増すにつれて、コーティング物質の濃度は低くなる。言い換えると、プルーム1042の周辺近くの領域よりも、ノズル1038の軸線1048に沿った領域または軸線1048近くの領域の容積単位当たりのコーティング物質液滴の方が多い。
【0109】
コーティング作業中、ステント10は、ステント支持体20上に支持され、ステント支持体20とステント10は、矢印1044によって示されるように、第1支持要素22(図19)の軸線まわりに回転する。回転速度は、約0.1rpm〜約300rpm、より狭くは約30rpm〜約200rpmにできる。例として、回転速度は約150rpmにすることもできる。
【0110】
好ましくは、ステント支持体20とステント10は、矢印1046によって示されるように、プルーム1042を通って軸線方向または直線的に移動する。あるいはまたはさらに、ノズル1038は、ステント10の軸線に沿って移動することも可能である。コーティング物質は、ステント10がステント10の一端から他端へ噴霧ノズル1038のプルーム1042を通って移動するときに、ステント10に堆積される。プルーム1042を選択された回数通過した後、コーティング物質をさらに噴霧する前に、堆積したコーティング物質を乾燥するか、または乾燥工程を施してもよい。噴霧および乾燥ステップは、所望の量のコーティング物質がステント10上に堆積するまで繰り返すことができる。ノズルまたはステントは、約1mm/秒〜約12mm/秒、例えば約6mm/秒で移動することができる。
【0111】
ステントの振れを減らすために好ましいのは、ステント10を固定するために第1および第2支持要素22、26によって加えられる対抗力が十分あるが、過大ではないことである。第1に、対抗力は、ステント支持体20上のステント10の何らかの大きな移動を防ぐのに十分であることが好ましい。ステント10がコーティング作業中にステント支持体20に対して移動すると、ステント10は、高濃度のコーティング物質を有するプルームの所望の領域内に留まらないことになる。代わりに、ステント10は、回転軸線(すなわち、第1支持要素22の軸線)まわりで振動し、それによって、ステント10が、高濃度のコーティング物質を有するプルームの領域に出入りして移動する。
【0112】
さらに、コーティングをステントの表面に確実に均一に塗布するには、コーティング作業の間において、ステント10がステント支持体20に回転可能に固定され、ステント支持体20と共に回転することが好ましい。ステント10が、ステント支持体20に対して回転して摺動する場合、ステント10は一定の速度で回転しないことになる。結果的に、ステントの表面のいくつかの領域は、他の領域よりも長期間、コーティング噴霧に曝され、その結果ステントの表面上に均一なコーティングが得られる。ステント10は、ステントの両端部とステント支持体20の支持要素22、26との間の摩擦力によってステント支持体20に回転可能に固定され、摩擦力は対抗力の関数である。したがって、対抗力が十分大きく、コーティング作業中においてステント10がステント支持体20に確実に回転可能に固定されることが好ましい。
【0113】
第2に、対抗力は過大でないことが好ましい。ステント10の両端に過大な力が加わると、ステント10が曲がり、ステント10の真ん中部分が突き出ることもある。ステント支持体20が回転するとき、ステント10の突き出た真ん中部分は、高濃度のコーティング物質を有するプルームの領域に出入りして移動する可能性がある。対抗力は、大部分が第2支持要素26の位置の関数であるので、所望のステント支持力は、第2支持要素26の位置を調節することによって達成することができる。
【0114】
さらに、不十分なまたは過大な対抗力によって、ステントの末端冠部1106(図29および図30)上のコーティング欠陥の数または程度が増すこともある。対抗力が不十分である場合、ステント10の末端冠部1106と支持要素22、26の円錐部分28、32との間に隙間が存在して、コーティング材料がその隙間に蓄積することもある。ステント10が円錐部分28、32に対して移動するとき、隙間にある乾燥コーティング材料が末端冠部1106に付着して、冠部1106上に過剰なコーティング材料が残ることもある。あるいは、隙間にある乾燥コーティング材料が円錐表面28、32に付着して、冠部1106上のコーティング材料が不十分となることもある。過大な対抗力は末端冠部1106と円錐部分28、32との間の接触面積を増やす可能性があるために、過大な対抗力はまた、末端冠部1106と円錐部分28、32との間のコーティング材料を過剰にすることもある。接触面積が増えると、末端冠部1106と円錐部分28、32との間に蓄積されるコーティング材料を増やす可能性がある。コーティング材料の蓄積が増加すると、上述のように、ステントのコーティング欠陥がより発生しやすくなる。
【0115】
本発明のいくつかの実施形態では、各支持要素22、26の円錐部分28、32は、円錐部分28、32とステント10の末端冠部1106との間の接触を低減する1つ以上の形状体を含んでもよいことに留意すべきである。例えば、各円錐部分28、32は、円錐部分28、32の支持台から先端部に延びる隆起部を含んでもよい。好ましくは、隆起部は、ステントの端部が円錐部分28、32と係合すると、各冠部1106の頂部が隆起部の頂部と係合するような寸法にされ、また間隔を空けられている。これによって、円錐部分28、32とステント10の末端冠部1106との間の接触がさらに低減する。
【0116】
本発明の別の態様は、最適な対抗力を達成し、ステントの振れを確実に且つ効果的に減らすための、ステントをステント支持体に取り付ける方法に関する。この方法の好ましい実施形態においては、図20に示すように、ステント10は、最初に、コア要素24をステント10の中空の中心を通して突き出すことによって、ステント支持体20のコア要素24に取り付けられる。次に、図21に示すように、第2支持要素26もまたコア要素24に取り付けられる。この時点では、ステント10は、第1および第2支持要素22、26の間に位置するが、第2支持要素26は、第1および第2支持要素22、26の間にステント10を挟むのに十分なほどには前方に進んでいない。第1および第2支持要素22、26の間の距離はステント10の長さよりも大きく、ステント10は第1および第2支持要素22、26の間でコア要素24に沿って自由に動く。
【0117】
次に、ステント10が取り付けられたステント支持体20は、図22に示すように、第1支持要素22を下方位置にし、第2支持要素26を上方位置にして、垂直位置に置かれる。ステント支持体20とステント10を垂直位置に保持するために、第1支持要素22をステント支持受け台1012内に置き、次にステント支持ホルダ1050(図23)を用いてステント支持体20を垂直位置に保持する。ステント支持ホルダ1050は、好ましくは、一対のはさみのように回動可能に接続された一対のグリッパ(図18)を含み、各グリッパは、ステント支持体20を受けるV字形の溝(図18)を有する。グリッパは回動して開いて、ステント支持体20を受け入れ、また回動して閉じて、ステント支持体20をV字形の溝によって形成された開口内に保持することができる。この位置において、ステント10の下端は、ステント10の重みも加わって、第1支持要素22の円錐部分28上に載っている。第1支持要素22の円錐部分28に作用するステント10の重量は、ステント10の下端をコア要素24のまわりの中心に置く傾向がある。
【0118】
この時点では、ステント10の設置をし直して、ステント10が確実に第1支持要素22の円錐部分28上に正しく設置されるようにしてもよい。ステント10は、いくつかの方法で設置をし直してもよい。例えば、ステント10は、第1支持要素22を振動させることによって、または第1支持要素22を振動させるために、第1支持要素22を軽く叩くことによって設置をし直してもよい。第1支持要素22の振動は、ステント10を第1支持要素22の円錐部分28上に正しく設置する傾向がある。あるいは、ステント10は、ステント10を第1支持要素22から持ち上げ、ステント10を解放することによって設置し直されてもよい。さらに、ステント10は、例えば、ステント10を軽く叩くなど、ステント10を操作することによって設置し直されてもよい。
【0119】
さらに、図18および図23に示すように、装置1000は、ステント10をステント支持体20のコア要素24のまわりで保持し、中心に置くために用いることができる2つのステントホルダ1062、1064を有してもよい。好ましくは、ステントホルダ1062、1064のうちの一方は、ステント10の頂部を保持し、中心に置き、他方のホルダは、ステント10の底部分を保持し、中心に置く。各ステントホルダ1062、1064は、好ましくは、一対のはさみのように回動可能に接続された一対のグリッパ(図18)を含み、各グリッパは、ステント10を保持するV字形の溝(図18)を有する。グリッパは回動して開いて、ステント10を受け入れ、また回動して閉じて、ステント10をV字形の溝によって形成された開口内で保持することができる。
【0120】
ステント支持体20とステント10とが垂直位置に置かれたとき、好ましくは、コア要素24の自由端は、第1支持要素22の軸線上の一地点で中心に位置し、固定され、これによりコア要素24が確実に直線状になり、第1支持要素22の軸線と確実に一致するようにされる。コア要素24の自由端が中心に位置していない場合、コア要素24は、コア要素24の柔軟性のために、必ずしも真っ直ぐで、第1支持要素22の軸線と一致するとは限らない。これは、ステントの振れを測定するのを困難にする。この理由は、ステント10の位置は、ステントの振れとコア要素24の位置の両方により生じるからである。ステントの振れとコア要素の位置の影響を分離することは難しいことが多い。さらに、第1支持要素22が、ステントの外側表面の360°のデジタル画像を生成するために回転している場合、コア要素24とステント10は、第1支持要素22の軸線まわりに振動する可能性がある。この振動は、ステントの外側表面の高品質なデジタル画像を生成することを困難にする。
【0121】
コア要素24の自由端を中心に合わせることは、任意の適切な方法で達成されてもよい。例えば、図23に示すように、コア要素支持体1068を用いて、コア要素24の自由端を中心に合わせることができる。コア要素支持体1068は、図24に示すように、好ましくは、円筒形の構成を有しており、円錐形内側キャビティ1070と孔1072とを含む。円錐形キャビティ1070は、支持台1074と先端部1076とを有し、支持台1074は、円筒形の支持体1068の底端部表面1080に開口78を画定している。好ましくは、孔1072は、円錐形キャビティ1070の先端部1076から円筒形支持体1068の頂端部表面1082まで同軸線状に延在している。
【0122】
装置1000では、図23に示すように、コア要素支持体1068は、円錐形キャビティ1070と孔1072の軸線が第1支持要素22の軸線と一致するように位置付けられていることが好ましい。さらに、コア要素支持体1068は、好ましくは、第1支持要素22の軸線に沿って移動することができる。
【0123】
動作中、ステント支持体20とステント10とが垂直位置に置かれた後、コア要素支持体1068は、開口1078がコア要素24の自由端と対向した状態で、コア要素24の自由端上の位置から、コア要素24の自由端の方へ移動し始める。支持体1068のこの動きによって、支持体1068の開口1078は、コア要素24の自由端を捕捉することができ、円錐形のキャビティ1070が自由端を孔1072内に案内することが可能となる。好ましくは、孔1072は十分に小さく、この結果、好ましくはコア要素24の自由端が中心に置かれ、第1支持要素22の軸線上の一地点に固定され、またコア要素24が直線状になり、第1支持要素22の軸線と一致する。開口1078は十分に大きく、この結果、好ましくは開口1078が常にコア要素24の自由端を捕捉することができる。
【0124】
あるいは、図25に示すように、コア要素24の自由端は、異なるコア要素支持体1084によって支持されてもよい。コア要素支持体1084は、矢印1090、1092によって示されているようにそれぞれ回動する2つの回動平板1086、1088を備えたはさみ状の機構を含む。対向するくさび形の切欠部を備えたクランプ部1094、1096が、回動平板1086、1088の遠位端にそれぞれ結合されている。コア要素24の自由端は、対向するくさび形の切欠部の頂部でクランプされているが、依然として回転することができる。この構成によって、ステント支持体20は、コア要素24を大きく振動させることなく回転することができる。
【0125】
ステント支持体20およびステント10が正しく位置決めされた後、垂直に位置するステント支持体20およびステント10のデジタル画像が、デジタル撮像装置1020で撮像される。図18で示された装置1000は、デジタル画像の品質を改善するために、ステント支持体20およびステント10を輪郭だけで照射するバックライト1022(図18)を含んでもよい。装置1000はまた、ステント支持体20およびステント10の画像を撮像装置1020のレンズに反射させる鏡などの1つ以上の反射部材1098を含んでもよく、この結果、撮像装置1020は、ステント支持体20およびステント10と直接対向していなくてもよい。次に、ステント支持体20およびステント10のデジタル画像がコンピュータ1014によって分析され、ステントの上端の垂直位置を算出する。ステントの上端の算出された垂直位置に基づいて、コンピュータ1014は、第2支持要素26の所望の位置を算出することができる。
【0126】
ステントの上端の位置と第2支持要素26の所望の位置との間の関係は、実験的に決定されてもよい。例えば、ステントの上端の所定の位置に対して、第2支持要素26が様々な位置に置かれてもよく、ステントの振れは、これらの位置のそれぞれについてコンピュータ1014によって計算される。許容可能なステントの振れを生成する第2支持要素の位置はそれぞれ、許容位置と表すことができる。ステントの最も小さい振れを生成する位置は、所望位置と表されてもよい。ステントの上端の全ての位置についてこの工程を繰り返すことによって、ステントの上端の位置と第2支持要素26の所望位置との間の関係が確立される。この関係は、ステントの上端の垂直位置に基づいて、第2支持要素26の所望位置を計算するために用いることができる。好ましくは、第2支持要素26を所望位置に位置決めするために用いられる位置決め装置1018は十分な精度を有し、この結果、第2支持要素26は所望位置または少なくとも許容位置にばらつきなく位置決めされる。
【0127】
第2支持要素26の所望位置が得られた後、位置決め装置1018を用いて、第2支持要素26を第2支持要素26の最初の位置から所望位置まで移動する。第2支持要素26がステント10の方向へ進むと、第1および第2支持要素22、26の円錐部分28、32がステント10の各端部と係合して、ステント10をコア要素24まわりの中心に置き、ステント10をステント支持体20の長手方向に固定する。第2支持要素26とコア要素24との間の締り嵌めによって、第2支持要素26とステント10とが組み合わせ状態を維持し、後続の操作、処理およびコーティング中も正しく位置合わせされた状態を維持することを確実にする。
【0128】
好ましい実施形態では、位置決め装置1018は、図26に示すように、フォーク部材1100を含む。位置決め装置1018を用いて第2支持要素26を移動する場合、フォーク部材1100は、第2支持要素26の外周溝30内に突き出る。好ましくは、フォーク部材1100の脚部1101の間の距離は、溝30の直径よりも大きく、その結果、フォーク部材1100は、溝30内で自由に上下に動く。ただし、フォーク部材1100の脚部1101の間の距離は、第2支持要素26の直径よりも小さいことが好ましい。
【0129】
第2支持要素26を下向きに移動するために、フォーク部材1100は、溝30の下側面と係合する。また第2支持要素26を上向きに移動するために、フォーク部材1100は、溝30の上側面と係合する。この構成は、溝30の位置と寸法およびフォーク部材1100の寸法が与えられる限り、第2支持要素26と位置決め装置1018との間の相対位置を正確に決定することができるため、有利である。結果的に、第2支持要素26の位置は、位置決め装置1018の位置から計算することができ、位置決め装置1018の位置を調節することによって制御できる。
【0130】
ステント10がステント支持体20に取り付けられた後、ステント支持体20およびステント10の第2のデジタル画像を撮像して、第2支持要素26が所望位置に十分に近いかどうかを決定してもよい。コンピュータ1014は、第2デジタル画像から第2支持要素26の正確な位置を算出し、所望位置と比較することができる。正確な位置と所望位置との間の差が許容限度を超える場合、第2支持要素26は位置決めし直すことができる。この工程は、図27に示すように、フィードバック制御ループを形成し、その差が許容限度内となるまで繰り返すことができる。あるいは、数回の試みがうまくいかなかった後に、ステント10およびステント支持体20を欠陥品として破棄することができる。
【0131】
あるいはまたはさらに、ステントの振れは、第2支持要素26が正確に位置決めされているかどうかを決定するために用いられてもよい。ステントの振れが許容限度を上回る場合、第2支持要素26は不正確に位置決めされていると見なされ、ステント10は取り付けし直されるか、欠陥品として破棄されてもよい。
【0132】
ステントの振れは、様々に定義できる。図28に示すように、ステントの振れは、ステント10の軸線とコア要素24の軸線との間の半径方向の距離1104として定義できる。この距離1104は、コア要素24の軸線に沿って変化するので、ステントの振れは、コア要素24の軸線に沿った平均半径方向距離または最大半径方向距離として定義できる。
【0133】
ステントの振れは、種々の方法で決定されてもよい。例えば、ステントの振れは、ステント支持体20およびステント10の1つ以上のデジタル画像から決定できる。しかし、多くの場合、ステントの振れは、ステント支持体20およびステント10の単一のデジタル画像を撮像することでは正確に決定できない。例えば、ステントの振れの方向が、デジタル画像に対して垂直に生じている場合、振れは、デジタル画像から全く検出できない。ステントの振れの方向がデジタル画像に対して平行である場合のみ、ステントの振れは単一のデジタル画像から正確に決定できない。したがって、ステントの振れを決定するには、ステント支持体20およびステント10の2つ以上の画像を用いることが望ましい。好ましい実施形態では、ステント支持体20およびステント10のデジタル画像は、少なくとも180°のステントの回転に対して、1°〜90°のステントの回転毎に撮像され、ステントの振れがそのデジタル画像から決定される。例えば、ステント支持体20およびステント10のデジタル画像は、180°または360°に対して、5°のステントの回転毎に撮像されてもよい。多くの場合、ステントの真の振れは、デジタル画像から検出されるステントの最大の振れである。
【0134】
ステントの製造者は2つ以上の種類のステントを製造することが多いので、場合によっては、正しい種類のステントがステント支持体20に取り付けられていることを確認することが望ましい。ステントの種類は、様々な方法でステント10のデジタル画像から決定されてもよい。例えば、異なる種類のステントが異なる長さを有する場合、ステント10の長さは、デジタル画像から計算することができ、ステント支持体20に取り付けられたステントの種類を決定するために用いることができる。ステント10の長さは、ステント10の2つの端部の間の距離を測定することによって決定できる。あるいは、ステント10の一端が常に同じ位置にある場合、ステントの長さは、他端の位置から計算することができる。異なる種類のステントが異なる端部冠部1106(図29)を有する場合、ステントの種類は、ステントの端部における、端部冠部1106の数から決定できる。端部冠部1106の数は、ステントの外側表面の360°のデジタル画像から決定できる。異なる種類のステントが異なる種類の端部冠部を有する場合、ステントの種類は、ステントの端部における、端部冠部の種類から決定することもできる。例えば、1つの種類のステントの一端が4つのU字形の端部冠部1108(図30)と5つのW字形の端部冠部1110(図30)とを有してもよく、別の種類のステントの一端が6つのU字形の端部冠部1108と3つのW字形の端部冠部1110とを有してもよい。場合によっては、2つ以上のこれらのステントの形状が、ステントの種類を決定するために共に使用されてもよい。
【0135】
また、異なる種類の端部冠部1108、1110を用いて、ステント10の向きを決定してもよい。例えば、ステントの第1の端部の端部冠部が全てU字形の端部冠部1108であり、第2の端部が4つのU字形の端部冠部1108と5つのW字形の端部冠部1110とを有してもよい。ステントの第2端部が、第2支持要素26と対向するステント10の上端でなければならない場合、ステントの端部における端部冠部1108、1110の種類を検査して、ステント10が正しい向きであることを確認できる。
【0136】
ステントをコーティングする装置
VALVEMATE7040制御システムを備えたEFD780S噴霧装置(ロードアイランド州イーストプロビデンスにあるEFD Inc.社製)などの噴霧装置は、ステントに組成物を塗布するために用いることができる。EFD780S噴霧装置は、エアアシスト型外部混合噴霧器である。組成物は、空気によって小滴に霧化され、ステントの表面に均一に塗布される。エアアシスト型内部混合噴霧器を含む別の種類のコーティング用アプリケータ(例えば、IVEK SonicAirノズル)、超音波アプリケータ(例えば、ニューヨーク州ミルトンにあるSonoTek Co.社製のAccu−MistノズルまたはMicroMistノズル)または液滴分配装置を組成物の塗布に用いることができる。
【0137】
組成物を塗布する間、ステントを均一で完全に容易にコーティングするために、ステントをステントの中心の長手軸線まわりに回転させることができる。ステントの回転は、約0.1rpm〜約300rpm、より狭くは約30rpm〜約200rpmにすることができる。例として、ステントは、約150rpmで回転することができる。ステントはまた同じ軸線に沿って直線方向に移動することもできる。ステントは、約1mm/秒〜約30mm/秒、例えば、約6mm/秒、または少なくとも2つの通過点(すなわち、噴霧ノズルを前後に通り過ぎる)の最小値で移動することができる。他の用途では、噴霧ノズルはステント上を移動するように考案することができる。ステントはノズルの下方で、所望速度で回転する。
【0138】
ノズルは、微細な液滴の形で、ステント上にコーティング材料を堆積することができる。噴霧装置の噴霧圧力は、約5psi〜約30psiの範囲に維持することができる。液滴の大きさは、溶液の粘度、溶媒の表面張力、溶液の供給速度および噴霧圧力といった要因に依存する。噴霧ノズルからの組成物の流量は、約0.01mg/秒〜約1.0mg/秒、例えば約0.1mg/秒にすることができる。噴霧ノズルから送出される組成物のうちの数パーセントのみが噴霧設定の輸送効率に応じて最終的にステントに堆積される。例として、組成物が約1mgの固体物を送出するように噴霧される場合、噴霧される固体物のうちの約100マイクログラム、すなわち約10%のみがステントに堆積されると予測される。組成物中の固体物の割合は、典型的には、0.1wt%〜15wt%の範囲、例えば約5wt%にすることができる。
【0139】
コーティング後のステントにおけるコーティング欠陥を低減または除去するために、過剰な溶媒が、工程内の乾燥サイクル中に塗布されたコーティング材料から取り除かれる。コーティング内に残る過剰なポリマー塗布または過剰な溶媒は、密封形状のためにステント上のコーティング液滴の湿潤性が良好ではないことから、プールウェブ(ステントの支柱間に蓄積される過剰な材料)などのコーティング欠陥の原因となる可能性がある。
【0140】
コーティング材料の過剰な塗布を避けるために、コーティング工程は、複数の層を噴霧形成するステップを複数回繰り返すことを含んでもよい。繰り返しは、噴霧ノズルの移動(またはステントの移動)を単回または複数回通過させることを含んでもよい。通過は、ステントの一端(例えば、近位端)から他端(例えば、遠位端)までである。繰り返しはそれぞれ、継続時間中に、例えば約0.5秒〜約20秒、例えば約10秒にすることができる。各繰り返しによって塗布される乾燥コーティングの量は、(ステント表面の)約1μg/cm〜約75μg/cm、例えば、約20μg/cm未満にすることができる。
【0141】
上述のように、コーティング組成物は、溶媒に溶解したポリマーおよび薬物を含むことができる。各繰り返しの後に、相当な量の溶媒を除去することを含む工程内乾燥を実行することができる。一実施形態においては、繰り返しの間の工程内乾燥後のコーティング内には、5%未満、3%未満、より狭くは1%未満の溶媒が残る可能性がある。コーティング工程が完了すると、溶媒の全てまたは実質的に全てが、ステント上のコーティング材料から除去され得る。任意の適切な回数で組成物の塗布を繰り返した後に溶媒の除去を行うことにより、所望の厚みまたは重量のコーティングを形成することができる。しかし、ポリマーの塗布が過剰であると、コーティング欠陥の原因となる可能性がある。
【0142】
コーティング材料でコーティングされたステントは、溶媒を室温または常温で蒸発させることによって乾燥することができる。使用された特定の溶媒の揮発性によって、溶媒は、実質的にステントと接触するとすぐに蒸発する。あるいは、コーティング後のステントに対して様々な乾燥工程を施すことによって、溶媒を除去することができる。コーティング後のステントを加熱することによって乾燥時間を減らし、製造スループットを増すことができる。例えば、オーブン内で中程度の温度(例えば、60℃)で適切な継続時間(例えば、2〜4時間)ステントを焼成することによって、または、温風を当てることによって、溶媒の除去を実現できる。使用される溶媒および工程内の乾燥時間によっては、工程内乾燥の後にコーティング内にいくらかの残留溶媒が残ることもある。溶媒の沸点が高いほど、工程内の乾燥工程において溶媒を除去することは難しくなる。残留溶媒を除去するために、複数回の堆積段階が完了すると、コーティング後のステントは、典型的には、最終の乾燥ステップとしてオーブン内で乾燥される。残留溶媒は、有害な生物学的影響と、放出率とコーティング特性を変え得る可塑化効果を有する可能性がある。オーブンのエネルギー源は、従来のオーブンから赤外線オーブンまたはUVまでも範囲に含むことができる。
【0143】
溶媒の蒸発は、各繰り返しの間に温ガスを吹き付けることによって引き起こすことができ、それによって、コーティング欠陥を防ぎ、活性剤と溶媒との間の相互作用を最小にすることができる。ステントは、温ガスを吹き出すノズルの下に位置決めされてもよい。温ガスは、コーティング組成物において使用された溶媒の揮発性が低い実施形態(例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC))に特に適する可能性がある。温ガスの温度は、約25℃〜約200℃、より狭くは約40℃〜約90℃にすることができる。例として、温ガスは、約60℃の温度で、約5,000フィート/分の流速で、約10秒間吹き付けることができる。
【0144】
約3秒〜約60秒、より狭くは約10秒〜約20秒の硬化時間の後、ガスをステントに吹き付けることにより、残留溶媒を除去してコーティングを形成することができる。典型的にはこのような溶媒は迅速に除去されるため、コーティング組成物が揮発性の溶媒を含む場合、硬化時間は特に短い。本明細書で用いられる場合、「揮発性溶媒」とは、常温で17.54トールよりも大きい蒸気圧を有する溶媒を意味し、「不揮発性溶媒」とは、常温で17.54トール以下の蒸気圧を有する溶媒のことを意味する。
【0145】
任意の適切なガスが使用可能であり、例として、空気、アルゴンまたは窒素が挙げられる。温ガスの流量は、約20立方フィート/分(CFM)(0.57立方メートル/分(CMM))〜約80CFM(2.27CMM)、より狭くは約30CFM(0.85CMM)〜約40CFM(1.13CMM)にすることができる。温ガスは、約3秒〜約60秒間吹き付けることができる。例として、暖かい空気の吹き付けは、約50℃の温度で、約40CFMの流量で、約10秒間行うことができる。
【0146】
本発明の実施形態は、図31において正面図で示されている例示的な噴霧コーティング装置2200によって示される。装置2200は、2つのステントを同時に処理するように構成されている。しかし、装置2200は、必要に応じて、1つのステントのみを処理することもできる。装置2200は、噴霧ゾーン2202と乾燥ゾーン2204とを有し、同時に、1つのステントをコーティングし、別のステントを乾燥することができる。ステント支持アセンブリ2208、2222は、噴霧ゾーン2202と乾燥ゾーン2204との間を回転ドラムによって移動することができ、これにより、同時に、一方のステント支持アセンブリ上でステントに噴霧し、別のステント支持アセンブリ上で別のステントを乾燥することができる。
【0147】
噴霧ゾーン2202は、移動可能なステント支持アセンブリ2208の上方に取り付けられた噴霧ノズル2206を有する。ステント支持アセンブリ2208は、モータ(図示せず)によって駆動されるギアシステムに接続されたスピンドルに挿入される。このモータは、コーティング工程中、矢印2242で示されるように、ステント支持アセンブリ2208に回転運動を与える。ホース2210は、噴霧ノズル2206にガスを供給し、液体のコーティング材料がポート2212を介して噴霧ノズル2206に供給される。配管または管路(図示せず)により、ポート2212を液体のコーティング材料源に接続することができる。噴霧ノズル2206は、双頭矢印2205で示されるように、y方向に沿って、すなわち、ステント支持アセンブリ2208の軸線に沿って、移動することができる。噴霧ノズル2206はまた、矢印2207で示されるようにx方向に沿って移動することもできる。
【0148】
噴霧ゾーン2202は、上部ホッパ2214Aと下部ホッパ2214Bとを含む。下部ホッパ2214Bは、ホッパ2214A、2214Bの位置に真空を生成する排気システムに接続され、過剰飛散から生じる過剰なコーティング材料を収集する。排気システムは、コーティング工程の全てまたは一部の間に作動することができる。噴霧ノズル2206の先端をクリーニングするために、以下でより詳細に説明する、上部ホッパ2214Aと隣接するウェットキャップデバイス(wetcap device)2216が存在する。
【0149】
噴霧ノズル2206は、取付ブラケットブロック2218に取り付けられたノズルホルダ2220内にある。取付ブラケットブロック2218は、ステントにコーティング材料を塗布している間、ノズルホルダ2220および噴霧ノズル2206のx方向の前後の動きを制御できる線形スライドに結合されている。取付ブラケットブロック2218はまた摺動ステージに結合され、これにより、噴霧サイクルが完了した後に、ノズルホルダ2220が噴霧ノズル2206と共に、上部ホッパ2214Aの上の位置までy方向に前後に側方に移動することができる。ノズルホルダ2220が噴霧ノズル2206と共に側方に移動することによって、噴霧ゾーン内の経路をクリーニングし、ドラムを回転させて乾燥ゾーン2204にあるステントを噴霧ゾーン2202にまで進め、コーティング材料を受けることができる。側方移動の動きによって、噴霧ゾーン内の経路をクリーニングし、ドラムを回転させて乾燥ゾーンにあるステントを噴霧ゾーンにまで進め、より多くのコーティング材料を受けることができる。
【0150】
乾燥ゾーン2204は、乾燥の間にコーティング後のステントを支持する移動可能ステント支持アセンブリ2222の上に位置決めできる、乾燥ノズル2224を含む。ステント支持アセンブリ2222は、モータ(図示せず)によって駆動されるギアシステムに接続されたスピンドルに挿入され、モータは、矢印2243で示されるように、乾燥工程中に、ステント支持アセンブリ2222に回転運動を与える。いくつかの実施形態においては、同じモータがステント支持アセンブリ2208、2222に回転運動を与える。乾燥ノズル2224は、乾燥ノズル2224のための加熱空気を生成する電気ヒータ2230を含む。乾燥ノズル2224は、移動可能であり、双頭矢印2245で示されるように、図31に示された位置からステント支持アセンブリ2222の上の乾燥位置までx方向に移動することができる。乾燥ノズル2224をステント支持アセンブリ2222の上方に位置決めすることにより、乾燥ノズル2224が、新たにコーティングされたステント上に温ガスを吹き付けることによって、噴霧ゾーン2202内でコーティングされたステントを乾燥することができる。以下で詳細に説明するように、ステントを漸進回転させるステントグリッパ2250、2252が、ステント支持アセンブリ2222の下に置かれている。
【0151】
取付ブラケット2220、したがってノズル2206の移動は、モータ(図示せず)によって達成される。乾燥ノズル2224の移動は、モータ(図示せず)によって行われる。モータは、ノズル2206、2224の動きに対して予めプログラムされた命令を有する制御装置によって制御することができる。
【0152】
乾燥ノズル2224および噴霧ノズル2206の側方移動は、空圧式スライドまたはモータ駆動の線形スライドで達成されてもよい。乾燥ノズルが側方移動することによって、位置合わせドラムが回転するが、また、乾燥時間および噴霧時間における差にも対応できる。乾燥ノズル2224が側方移動することは、結果的に乾燥空気をステントから離れるように偏向させて過乾燥を防ぎ、その間に、他のステントがステントの噴霧サイクルを終了する。したがって、噴霧サイクルと乾燥サイクルは、工程に柔軟性をもたせるために、継続時間が同じでなくてもよい。
【0153】
ステント支持アセンブリ2208、2222はその遠位端を、それぞれクランプ部2226、2227によって支持されている。ステント支持アセンブリ2222の近位端は、スピンドルまたは端部キャップ2228によって支持されているように図示されている。ステント支持アセンブリ2208の遠位端は、同じように支持されているが、噴霧ノズル2206によって隠されている。端部キャップ2228は、矢印2232で示されるように回転する回転ドラム2240に取付けまたは結合されている。回転ドラム2240は回転して、ステント支持アセンブリ2208、2222の位置を逆にし、その結果、ステント支持アセンブリ2208が乾燥ゾーン2204内に位置し、ステント支持アセンブリ2222が噴霧ゾーン2202内に位置するようにすることができる。
【0154】
はさみ状の端部支持体によって、部品をスピンドルに自動的に搭載/取り外ししやすくなっている。支持体はバッフル2244に取り付けられているので、ドラムの割出回転の間、マンドレルの端部は支持されている。これによって、コーティングを損傷する可能性のある、コレットを備えたコアワイヤの振動を防止する。このような振動は、ドラムの割出回転の加速/減速を制限するであろう。
【0155】
いくつかの実施形態においては、装置2200は、自動化工程の一部として用いることができる。ロボットアーム(図示せず)が、まだコーティングされていないステントを含むステント支持アセンブリ2208、2222のシャフトを、端部キャップまたはスピンドルの孔に位置合わせすることができる。コーティングが完了後、ロボットアームはステント支持アセンブリを端部キャップまたはスピンドルから取り除くことができる。スピンドル内部にコレットを把持することにより、自動的に開閉して、部品の自動的な搭載/取り外しを可能にすることができる。
【0156】
噴霧ゾーン2202と乾燥ゾーン2204とは、回転ドラム2240の裏板2248に取り付けられたバッフル2244によって分離されている。バッフル2244は、噴霧ゾーン2202と乾燥ゾーン2204との間の熱および質量移動を低減または除去するように構成されている。具体的には、バッフル2244は、ノズル2206から噴霧されたコーティング材料が、乾燥ゾーン2202内で乾燥されているステントと接触するのを減らすか、または防止する。さらに、バッフル2244は、噴霧ゾーン2202と乾燥ゾーン2204との間の伝導熱伝達または対流熱伝達を減らすかまたは防止する熱バリアとして機能する。具体的には、バッフル2244は、乾燥ノズル2224からの加熱ガスが原因の噴霧ゾーン2202への伝導熱伝達を減らすかまたは防ぐ。バッフル2244はまた、コーティング材料を乾燥ゾーン2204に移送するか、または加熱空気を噴霧ゾーン2202に移送する空気流を遮断する。
【0157】
バッフル2244は、噴霧ゾーン2202と乾燥ゾーン2204との間の断熱を実現する材料から製造することができる。さらに、このような材料は、噴霧およびコーティング工程中にも熱的特性および機械的特性を維持すべきである。例えば、材料は、コーティング材料に用いられる溶媒に対して不溶性であるべきであり、乾燥ノズル2224からの熱が原因で生じる特性の有意な変化に対して耐性があるべきである。例えば、バッフル2244は、少なくとも部分的に、ポリマーまたはプラスチック材料で製造することができる。バッフル2244の拡大図が図32に示されている。バッフル2244は、断熱を実現する2枚の外側のポリマー板2302、2304を有する複合構造体である。バッフル2244は内側金属支持体2306を有して、バッフル2246に堅固な構造支持体を提供する。金属層2306は、バッフル2244を通る熱伝導を低減するチャネルまたは空隙2308を有し、このチャネルまたは空隙はまた、端部支持機構体を収容するのに必要な空間をステント支持アセンブリに与え、図11Cに示すように、ノズルに対するアセンブリの位置合わせを向上させる。例示的な一実施形態では、バッフル2244は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から製造された外側層と、ステンレス鋼でできた内側層とを有する。バッフル2244の構造は、図32に示された構造に限定されない。
【0158】
上述のように、複数回の噴霧/乾燥サイクルでステントをコーティングすることが望ましい。装置2200は、噴霧ゾーン2202において先に塗布されたコーティング層が乾燥ゾーン2204で乾燥されている間に、噴霧ゾーン2202でステントに対する噴霧を可能にするように設計されている。噴霧と乾燥を同時に行うことによって、連続する噴霧および乾燥作業の遊び時間を減らすかまたはなくし、これによりコーティング作業のスループットを向上させる。
【0159】
具体的には、コーティング材料の層は、噴霧ノズル2206によってステント支持アセンブリ2208に取り付けられた第1ステントに塗布される。同時に、コーティング材料が噴霧ゾーン2202内ですでに塗布された、ステント支持アセンブリ2222に取り付けられた第2ステントが、乾燥ノズル2224よって乾燥される。第1ステント上の噴霧コーティングと、第2ステントの乾燥の両方が完了すると、回転ドラム2240が回転し、第2ステント(乾燥後)を噴霧ゾーン2202に位置決めし、第1ステント(新たにコーティングされた)を乾燥ゾーン2204に位置決めする。次いで、第1ステントを乾燥ゾーン2204で乾燥してもよく、コーティング材料の層を噴霧ゾーン2202において第2ステントに塗布することができる。噴霧および乾燥は、各ステント上で所望のコーティング質量を得るのに必要な選択回数で繰り返すことができる。回転ドラム2240は時計方向または反時計方向に回転して、噴霧ゾーン2202と乾燥ゾーン2204との間で第1ステントおよび第2ステントの位置を変更できる。回転ドラム2240の動きは、モータ(図示せず)によって駆動されるベルト駆動ギアアセンブリ(図示せず)によって制御できる。ステント支持アセンブリ2208およびステント支持アセンブリ2222は、噴霧および乾燥の各サイクルにおいて回転する。矢印2232で示されるように、第1ステントは、噴霧ゾーン2202まで回転し、第2ステントは乾燥ゾーン2204まで回転し、噴霧/乾燥サイクルが完了した後、第1ステントは、ステントを乾燥するために乾燥ゾーン2204まで回転して戻され、第2ステントは、コーティング材料を受けるために噴霧ゾーン2202まで回転する。
【0160】
第1ステントの噴霧コーティングと第2ステントの乾燥の両方が完了したときに回転ドラム2240を回転させるために、噴霧ノズル2206がステント支持アセンブリ2208から離れるように移動する。さらに、乾燥ノズル2224もまたステント支持アセンブリ2222から離れるように移動し、回転ドラム2240の回転を可能にすることができる。
【0161】
噴霧ゾーン2202の拡大図が図33で示されている。噴霧ノズル2206は、矢印2402で示されるように、上部ホッパ2214Aの上の位置までx方向に移動できる。上述のように、ステント支持アセンブリ2208に取り付けられたステントにコーティング材料を塗布する間に、噴霧ノズル2206は、矢印2404で示されるように、ステント支持アセンブリ2208のy軸線に沿って直線的に移動する。噴霧ノズル2206は、噴霧サイクルが完了した後に上部ホッパ2214Aの上に位置決めされるようにx方向に側方移動でき、噴霧ノズル2206は次の噴霧サイクルを待つために、ホッパ2214Aの上でy軸線に沿った任意の位置に留まることができる。噴霧ノズル2206は、待機中、噴霧し続けるかまたは電源をオフにすることができる。または、噴霧ノズル2206はウェットキャップデバイス2216まで進んで、ノズルの先端をウェットキャップでクリーニングすることができる。
【0162】
図34A〜図34Bは、乾燥ゾーン2204の拡大図を示している。乾燥ノズル2224は、矢印2502で示されるように、ステント支持アセンブリ2222の上方の位置から離れて、図示された位置まで移動することが示されている。先端に検知ゾーン2560を有した温度プローブ2504が乾燥ノズル2224の方向に外側に突き出ている。温度プローブ2504は、乾燥ノズル2224から出る温ガス流の温度を監視する。温度プローブ2504は、ハウジング2509に結合されている。ハウジング2509と乾燥ノズル2224は両方とも、乾燥ノズル2224を温度プローブ2504に位置合わせすることを可能にし、位置合わせを維持するリニアステージに取り付けられている。温度プローブ2504と乾燥ノズル2224とはx方向に沿って前後に移動し、これにより、温度プローブ2504が乾燥ノズル2224から一定距離に留まり、温ガス流の温度の監視を続けることができるようにしている。
【0163】
図34Bは、ステント支持アセンブリ2222に取り付けられたコーティング後のステントを乾燥するための温ガスが通過するスロット開口2510を示している。偏向遮蔽板2508が、一番右側に移動した位置で乾燥ノズル2224の下方に位置決めされている。乾燥サイクルが完了したときに、乾燥ノズル2224がステント支持アセンブリ2222から離れて移動すると、偏向遮蔽板2508は、乾燥ノズル2224から出る温ガス流を下流の排気の方向へ偏向させる。均一な温度分布の空気流を提供するように乾燥ノズル2224の上方部分に位置する加熱要素(図示せず)から出た高温ガスの混合を改良するために、孔の空いた板または仕切版2516を乾燥ノズル2224に組み込むことができる。
【0164】
乾燥ノズル2224でステントを乾燥する時間は、噴霧ノズル2206でステント上のコーティング材料の層を噴霧する時間と異なってもよい。いくつかの実施形態では、噴霧ノズル2206は、ステント支持アセンブリに取り付けられたステントが乾燥し終わる前に、ステント支持アセンブリに取り付けられたステント上にコーティング層を完成させることができる。一実施形態では、噴霧ゾーン2202内で第1ステント上に層を堆積し終えた後に、噴霧ノズル2206からのコーティング材料の流れを停止することができる。回転ドラム2240が回転してステントを乾燥ゾーンから噴霧ゾーン2202内に位置決めし、新たにコーティングされたステントを乾燥ゾーン2204内に位置決めした後に、噴霧および乾燥を再度開始することができる。
【0165】
コーティング材料の流れを止めることから生じる可能性のある不具合としては、ノズルの汚損がある。このノズルの汚損は、乾燥し、ノズルを通るコーティング材料の流れを低減するかまたは妨げる、ノズル内の残留コーティング材料のことを指す。ノズルの汚損はノズルの性能を低下させ、またコーティングの重量の均一性とコーティングの質を低下させる可能性がある。代替の一実施形態においては、噴霧ノズル2206は、ノズルの汚損を最小にするために、噴霧ゾーン2204においてステント上にコーティング層を堆積し終えた後でも、コーティング材料を噴霧し続けることができる。追加のコーティング材料がステントに塗布されないように、噴霧ノズル2206は、x方向に、コーティング後のステントから離れた位置に移動することができる。噴霧ノズル2206をホッパ2214と隣接して、またはホッパ2214の上方に位置決めすることにより、堆積が完了した後に、コーティング材料がステント上にさらに堆積するのを防ぐことができる。排気システム(図示せず)が、上部ホッパ2214Aの位置に真空を生成し、噴霧ノズル2206から噴霧され続けるコーティング材料の全てまたはかなりの部分を除去する。
【0166】
上述のように、図31で示されたウェットキャップデバイス2216が、噴霧ノズル2206の先端をクリーニングするために設けられている。ウェットキャップデバイス2216は、ノズルの先端におけるコーティング材料の付着物を柔らかくするかまたは溶解することができる溶媒を用いることによって、噴霧ノズル2206の先端に蓄積される可能性のあるコーティング材料を除去することができる。図35は、ウェットキャップデバイス2216の拡大図を示している。ウェットキャップデバイス2216は開口または溶媒溜め2602を有し、この開口または溶媒溜め2602によって、外部の溶媒供給システム(図示せず)から供給された溶媒が、ノズル先端に堆積された材料を溶解または柔らかくすることができるメニスカスを形成できる。一実施形態では、溶媒は、コーティング材料で用いた溶媒と同じである。ウェットキャップデバイス2216を用いて噴霧ノズル2206の先端をクリーニングするために、噴霧ノズル2206は、x方向、y方向、またはその両方の組み合わせで移動され、キャップ固定具2216の開口2602の上方に位置決めされる。キャップ固定具2216は、矢印2604で示されるように、z方向で上向きに移動するよう構成されている。キャップ固定具2216は、噴霧ノズル2206の先端がチャンバ内の溶媒溜め2602に浸漬するのに十分な量だけ上向きに移動される。
【0167】
図36は、溶媒2702を含むキャップ固定具2216の上方に位置決めされた噴霧ノズル2206の概略的な側面図を示している。矢印2604で示されるように、キャップ固定具2216は、噴霧ノズル2206の先端2704が溶媒2702に浸漬するように、上向きに移動することができる。ノズルの先端2604は、コーティング材料を先端から除去するのに十分な期間、溶媒に浸漬された状態を維持する。ノズルの先端2704をクリーニングした後、キャップ固定具2216は下方に下がり、噴霧ノズル2206は、ステントを噴霧する位置に移動して戻る。
【0168】
ノズルの先端2704は、噴霧工程中(すなわち、コーティング層の塗布または繰り返しの間)に中断期間があるときにはいつでもキャップ固定具2216でクリーニングすることができる。具体的には、ノズル先端2704は、回転ドラム2240を備えたステント支持アセンブリ2208、2222の位置を逆にする前および/または逆にしている最中に、キャップ固定具2216でクリーニングすることができる。ノズル先端2704は、コーティング層形成/繰り返しの後ごとに、またはコーティング層形成の任意の回数においてクリーニングすることができる。一実施形態においては、ノズル先端2704は、2つのステントのコーティングが完了するときにクリーニングされる。ノズル先端2704は、コーティング後のステントがステント支持アセンブリ2208、2222から取り除かれ、コーティングされていないステントがステント支持アセンブリに取り付けられる間に、クリーニングすることができる。
【0169】
キャップ固定具2216内の溶媒溜め2602は十分な溶媒で満たされ、キャップ固定具2216が上方に移動するとき、ノズル先端2704がその溶媒に浸漬されることが重要である。キャップ固定具2216内の溶媒の液面高さは、溶媒の蒸発により時間とともに変化し得る。溶媒の液面高さを連続的または定期的に監視して溶媒の液面高さを維持することにより、キャップ固定具2216が高い位置にあるとき、ノズル先端が浸漬するようにする必要がある可能性がある。
【0170】
様々な方法を用いてキャップ固定具2216内の溶媒の液面高さを制御することにより、キャップ固定具2216が上方に移動するとき、ノズル先端2704が浸漬するようにすることができる。例示的な実施形態が図37A〜図37Bで示されている。図37Aの実施形態は、導電ループ2802を含む。導電ループ2802は一端に、キャップ固定具2216の溶媒の所望の液面高さに位置決めされた電気リード2804を有する。導電ループ2802の他端では、電気リード2806が、キャップ固定具2216内で電気リード2804の下に位置決めされている。電流が、電流源2808から導電ループ2802を通って流れる。抵抗測定器2810が、導電性ループ2802の抵抗変化を監視する。導電ループ2802は、溶媒の液面高さが電気リード2804の位置、または電気リード2804の上に留まっている限り、閉じた状態を維持する。キャップ固定具2216内の溶媒の液面高さが電気リード2804の位置より下がった場合、抵抗測定器2810は、抵抗の増加によって、開ループを検出する。抵抗測定器2810はポンプ2812と通信する。ポンプ2812は抵抗測定器2810から信号を受信して、キャップ固定具2216内の溶媒の液面高さが電気リード2804の高さに復帰するまで、溶媒タンク2814からキャップ固定具2216へ溶媒をポンプで送ることができる。ポンプ2812は、導電ループ2802が閉じることによる抵抗の減少信号を抵抗測定器2810から受信すると、溶媒のポンプ送りを停止するように構成することができる。
【0171】
同様に、導電ループは電気リード2804とノズル先端2704との間にあってもよい。この導電ループの連続性は、ノズルの先端が溶媒の中にあるかどうかを検出する。このようなループは、ノズルの先端が溶媒プールに対して位置合わせされていないノズルであっても、溶媒の低い液面高さを検出できる。
【0172】
図37Bに示されている、キャップ固定具2216内の溶媒の液面高さを制御する別の方法は、所望の高さ2804から高さ2816へ溶媒の液面高さを下げるステップを含む。液面高さは、溶媒を外部タンクに吸引することによって下げることができる。溶媒の液面高さを高さ2816まで下げることは、高さ2816に位置決めされた、メニスカスを検出する検出器2818によって決定することができる。検出器2818は、ニューヨーク州ホーポージにあるCosense,Inc.社製の超音波検出器であってもよい。除去された溶媒の量を測定することができ、したがって既知である。別のノズル先端をクリーニングする前に、既知の量の流体を測定し、キャップ固定具2216へポンプで戻して、溶媒の液面高さを高さ2804へ戻すことができる。
【0173】
さらに、装置内のどこか(キャップ固定具2216内を含む)に溶媒の泡が存在することは望ましくない。キャップ固定具2216内に位置決めされた超音波センサ2820を用いて、泡の有無を検出することができる。泡の量が選択値よりも大きい場合、ウェットキャップシステムは、溶媒を除去して新しい溶媒と交換することによって、浄化できる。
【0174】
噴霧ノズルがウェットキャップデバイス2216から離れてホッパ2214Aへ移動した後に、噴霧ノズル2206は、コーティング工程を再開始する前に、選択された回数および割合で、ホッパ2214Aの上で浄化されるようにプログラムすることができる。
【0175】
一般に、多くのパラメータが、噴霧ノズルによって塗布されたコーティング材料の1回の通過当たりの質量の大きさおよび均一性、ならびにコーティング品質に影響を与える。これらのパラメータは、図31で示された噴霧ノズル2206へのガスおよび液体供給の質量流量と、噴霧ノズル22206に供給される液ガス比と、噴霧ノズルとステント支持アセンブリ上で支持されるステントとの間の距離と、ステント支持アセンブリの回転速度と、噴霧ノズル2206の移動速度とを含む。液ガス比は、噴霧ノズルによって生成される液滴の大きさを決定するため、重要である。液ガス比が大きくなるにつれて液滴の大きさは大きくなる。装置2200は各パラメータを調節して、1回の通過当たりの所望の質量と所望のコーティング品質とを得ることができる。
【0176】
特に、コーティング工程の間全体を通して、液体およびガスの質量流量を選択されたレベルに維持することにより、1回の通過当たりに堆積されるコーティング材料の量を一定に維持することが重要である。その結果、ステントに堆積されたコーティング材料の全体の質量は一定になり、ステントごとに予測できる。
【0177】
いくつかの実施形態では、装置2200は、閉ループ連続監視システムによって、ガスおよび液体の流れを制御する。装置2200は、噴霧ノズル2206に送られる液体およびガスの質量流量を制御する組込み構成要素を含むことができる。上述のように、液体のコーティング材料およびガスが噴霧ノズル2206に供給される。液体のコーティング材料は、ホースまたはチューブ(図示せず)を通してポート2212へ供給され、ガスはホース2210を通って供給される。
【0178】
図38Aは、噴霧ノズル2206に送られる液体およびガスの流れを制御するシステム2900の構成要素の概略図を示している。システム2900のガスの流れラインには、ガス源2902と、圧力調節装置2904と、質量流量制御装置2906と、圧力変換器2908とが含まれる。液体のコーティング材料は、計量ポンプ2912、2914によって液体源2910から噴霧ノズル2206へ送られる。液体およびガスはノズル2206の先端で交わり、液滴が、ガスによってより小さい小滴に分裂する(いわゆる微粒化プロセス)。図38Bは装置2200の拡大図であって、液体のコーティング材料に対する計量ポンプ2912、2914を示している。
【0179】
質量流量制御装置2906は、ガスの選択された質量流量を維持し、圧力変換器2908は、噴霧ノズル2206へのガスラインのガス圧を監視する。質量流量制御装置2906は質量流量制御装置2906を通過するガスの質量流量を監視および制御して、噴霧ノズル2206に送られるガスの質量流量を維持する。質量流量制御装置2906は、バルブ2904と、質量流量制御装置2906のガスライン内の位置との間で生じる圧力差によって、ガスの質量流量の増減を補償することができる。質量流量の低下は、例えば、摩擦損失によって生じる場合もある。質量流量制御装置2906は、任意の適切な、市販されているガス質量流量制御装置(例えば、熱式質量流量制御装置)であってもよい。市販されている質量流量制御装置の例には、MKS Instruments,Inc.社製のMC20A高質量流量制御装置がある。質量流量制御装置2906は、検出されたガス流量変化に基づいて流量を調節するバルブを含むことができる。
【0180】
圧力変換器2908は、質量流量制御装置2906と噴霧ノズル2206との間のガスラインに位置決めされている。圧力の正のずれは、例えば、コーティング材料によってノズルが閉鎖するか、またはねじれたホースが原因で閉鎖することによって生じることもある。圧力の負のずれは、例えば、嵌合が緩い結果生じる漏れが原因である場合もある。圧力変換器2908はガスライン内の圧力変化を監視し、制御装置2909を介してバルブ2904と通信する。圧力変換器2908によって検出された背圧の選択された変化は、制御装置2909から圧力バルブ2904への制御信号によって補償される。
【0181】
計量ポンプ2912、2914は、液体の選択された流量を噴霧ノズル2206へ送る。ポンプ2912、2914は、噴霧ノズル2206への液体を正確に測定する。ポンプ2912、2914は協働して作動して、正確な測定を可能にし、連続噴霧を可能にする。一方のポンプが液体をノズル2206に分配するとき、他方のポンプは、タンク2910から液体を吸引する。ポンプは小さいほど少量の液体をより正確にノズルに分配できるため、2つのポンプを直列で使用することは、単一のより大きなポンプよりも有利である。
【0182】
さらに、上述のように、液体ライン内に泡が存在することは、一般に、望ましくない。泡の存在は、噴霧ノズル2206によってステント上に堆積された所望の質量のコーティング材料を負にずらす原因となる傾向がある。ポンプ2912、2914内の泡はまた、ポンプによって分配される液体コーティング材料の質量精度を低下させる。泡は、例えば、ポンプ2912、2914の吸引によって生成される場合もある。溶媒が揮発しやすいほど、ポンプが吸引中に泡を生成する傾向が高くなる。泡検出器は、泡検出器2916、2918、2920で示されるように、液体ラインに沿った任意の地点に位置決めすることができる。泡検出器2916、2918、2920は、液体コーティング材料内の泡の量を監視することができる。検出された量が選択された許容差よりも大きい場合、警報を伝達し、および/または是正措置をとるために、制御システムによって信号を発生することができる。是正措置には、液体ライン、ポンプを浄化すること、ラインおよび/または溶媒タンクからの漏れを検査することを含むことができる。
【0183】
図31で示された装置2200のいくつかの実施形態では、噴霧ノズル2206または乾燥ノズル2224のいずれかまたは両方と、ステント支持アセンブリとの間の距離は、調節することができる。噴霧ノズル2206は、ノズルとステント支持アセンブリとの間の距離を変更可能にするねじによって、取付ブラケット2220に結合することができる。乾燥ノズル2224も同じように取り付けられる。図39を参照すると、噴霧に関して、ステント1001より上の高さ(H)は、ステント1001上に堆積されたコーティング材料当たりの質量を制御するために用いることができる工程パラメータである。噴霧プルーム2902内の液滴の密度および大きさは、Hとともに変動する。したがって、Hは、結果として得られるコーティング特性に影響を与える。さらに、乾燥ノズル2224とステント支持アセンブリとの間の距離が、ガス流の温度および流量に加えて、追加の乾燥工程パラメータとなる。
【0184】
別の実施形態においては、噴霧ノズル2206または乾燥ノズル2224のいずれかまたは両方は、装置2200から取り外すことができる。噴霧ノズル2206は、装置2200との全ての接続部分から取り外すことができる。噴霧ノズル2206は、当分野で既知の様々な種類の取付機構(例えば、蟻継ぎ接続部、蝶形接続部、ナットおよびボルトなど)によって、取付ブラケット2220に取り外し可能に結合することができる。乾燥ノズル2224もまた、同じように、取付ブラケット(図示せず)に取り外し可能に結合することができる。ガス供給ホース2210と液体コーティング材料をポート2212に供給する液体供給ラインとが、噴霧ノズル2206へのクイック・コネクト・カップリングを有することもできる。
【0185】
このような既知の接続機構は、ノズルを繰り返し取付けおよび位置決めすることができるように構成できる。すなわち、ノズルを、取り付ける度に同じ位置に置くことができる。取り外し可能な接続によって、噴霧ノズル2206および乾燥ノズル2224を持ち上げて取り出し、ステント支持アセンブリ2208、2222に対して装置2200内の指定の位置へ戻して挿入することができる。
【0186】
ステントをコーティングする噴霧ノズルは、装置2200の外部で組み立て、調整することができる。例えば、ノズルからの噴霧プルームは、選択された特性を有するように調整することができる。選択された特性には、これらに限定されないが、ノズルへの液体およびガスの流量に対応する選択された流れ分布を含むことができる。流れ分布には、ノズル先端からの距離の関数として、液滴の速度または密度を含むことができる。次に、調整後の噴霧ノズルを噴霧装置2200内に取り付けて、取り付けたノズルからの噴霧プルームが選択された特性を有するようにすることができる。
【0187】
装置2200が自動方式で使用される場合、着脱性と反復性とは特に重要である。さらに、着脱性と反復性によって、噴霧または乾燥ノズルを様々な用途においてより適切な、汚れのないノズルと迅速に交換できる。装置2200から外してクリーニング化するために噴霧ノズルを着脱可能にすることによって、装置2200の遊び時間が減る。
【0188】
乾燥工程が、各層および各ステントに対して均一に実行されることが重要である。同一または同様の処理条件またはパラメータが、各ステントに塗布されるコーティング材料の各層に対して存在すべきである。乾燥工程パラメータは、乾燥後のポリマーおよび薬物コーティングの分子構造および形態に影響を与える可能性がある。薬物放出パラメータはコーティングの分子構造と形態に依存する。したがって、薬物放出パラメータは乾燥工程のパラメータに依存する。例えば、一般に、乾燥工程の速度は、結果として得られるコーティング結果の薬物放出速度に正比例する。
【0189】
乾燥工程の温度は乾燥の速度に直接関係するので、コーティングの均一性を得るためには、乾燥温度を制御することが重要である。一般に、層ごとおよびステントごとの乾燥工程の間の温度がより均一になるほど、所定のステントおよびそれぞれのステントへの、結果として得られるコーティングがより均一になる。
【0190】
ステントを乾燥するために用いられる温ガス流の温度は、図31で示されている電気ヒータ2230によって供給される熱を制御することによって調節されてもよい。図34A〜図34Bで示された温度センサ2506は、塗布されたコーティングの乾燥温度を測定するために、ステント支持アセンブリによって支持されたステントに隣接して位置決めされる。温度センサ2506は、ステントを通過する加熱流体の流れが大きく分裂しないようにして、ステントのできるだけ近くに位置決めされる。一実施形態では、ステント上のコーティングの乾燥温度と、センサ2506によって測定された温度との間の温度ずれもしくは温度差は、ゼロまたはほぼゼロである。他の実施形態では、測定温度と乾燥温度にずれが生じるようにして、センサ2506は十分に離れて位置決めされている。このようなずれは、以下で説明する制御システムで考慮に入れることができる。温度センサ2506は、サーミスタ、熱電対または任意の他の温度測定デバイスにすることができる。
【0191】
温度センサ2506は乾燥温度を測定して、ステント支持アセンブリに取り付けられたステントの乾燥温度を制御するためのフィードバック値(T)を得る。センサ2506は、センサワイヤによって制御システムに結合されている。閉ループシステムなど任意の適切な制御システムを用いて、コーティングの乾燥温度を所望の温度(T)に維持することができる。センサ2506によって測定された温度Tが、制御システムに送信される。制御システムはTをTと比較して、電気ヒータ2230へ信号を送信する。温度差が選択された許容差より大きい場合は、信号はヒータ2230へ指示を伝達し、乾燥ノズル2224から供給された温ガス流の温度を調節する。いくつかの実施形態では、所望の温度Tは、乾燥時間またはコーティング厚さの関数であってもよい。
【0192】
上述のように、装置2200は、ステント支持アセンブリ2208、2222を含む。一般に、マンドレルまたはロッド上でステントを支持し、ステントをマンドレルの上に位置決めすることによって、マンドレルの長さに沿ってステントを支持することができる。ステントはまた、様々な形状を有する支持体(例えば、先細りまたは先細りでない端部を備えた支持体)によって、ステントの両端で支持することもできる。このように、本発明は、本出願で開示するステント支持体に限定されない。
【0193】
図40A〜図40Cは、噴霧および乾燥工程中にステントを支持するステント支持アセンブリの拡大図を示している。ステント支持アセンブリは、遠位部すなわちシャンク1102を有している。シャンク1102の一部が、図40B、図40Cの矢印1103Aで示されるように回転するスピンドルまたは端部キャップ2228内の円筒形の孔で固定され、ステント支持アセンブリ上に取り付けられたステントのコーティングおよび乾燥中に、矢印1103Bで示されるように、ステント支持アセンブリを回転させる。ステント支持アセンブリはさらに、ステントの遠位端を支持するマンドレルコーン1104と、ステントの近位端を支持するマンドレルコーン1105とを含んでいる。図40Aで示されるように、コアワイヤ1106が、マンドレルコーン1104の先端から、マンドレルコーン空間3105を有するコレット3108を通って延びている。マンドレルコーン3104、3105は、過剰なコーティング材料を吸収するために粗面を有することができる。図示されたステント3123は、コアワイヤ3106上でマンドレルコーン3104、3105によって支持されている。
【0194】
コアワイヤ3106は、ステントよりも小さい直径を有する。例えば、コアワイヤ3106の直径は、約0.010インチ〜0.030インチである。コアワイヤ3106は、良好な寸法安定性と剛性を提供できるNitonolワイヤなどの金属材料から作ることができる。
【0195】
図40Bで示されるように、コアワイヤ3106はその近位端を心押し支持体3112によって支持されている。心押し支持体3112は、矢印3118、3120によってそれぞれ示されるように開くことができる2枚の移動可能な平板延長アーム3114、3116を備えたはさみ状の機構である。対向するくさび形またはV字形の切欠部分を備えた平板延長アーム3122、3124は、移動可能な延長アーム3114、3116の遠位端にそれぞれ結合されている。アーム3114、3116は、バッフル2244に結合された支持固定具3130によって、バッフル2244に結合されている。支持固定具3130は、平板延長アーム3114、3116を収容および支持するために用いられる2枚の端板3132(外側)、3134(内側)から構成されている。延長アーム3114、3116の近位端(乾燥ゾーン2204からの近位端と噴霧ゾーン2202からの近位端)が、心押し支持体を開閉するためにバーを引き上げまたは引き下ろすためのエアシリンダに連結された2つのバー(上方位置にあるバーと下方位置にあるバー)に接続されている。
【0196】
コアワイヤ3106の近位端は、板3122、3124の対向するくさび形の切欠部分の頂部3138、3140でクランプされる。したがって、ステント支持アセンブリは、コアワイヤ3106が回転軸線からほとんどまたは全くずれることなく回転することができる。心押し支持体3112がその軸線まわりに回転するとき、および回転ドラム2240の回転中、心押し支持体3112はコアワイヤ3106の遠位端における過剰な動きを防止する。
【0197】
図40Dで示されるように、ステント3123は、ステント3123とマンドレルコーン3104、3105との間の1:1の回転を得るために、マンドレルコーン3104、3105の間に取り付けることができる。ステント3123の端リングとマンドレルコーン3104、3105との間の隙間は、最適な接触力を提供するように調節することができ、その結果、マンドレルコーン3104、3105とステント3123の回転軸線が確実に同じになるか、または実質的に同じになる。
【0198】
しかし、加えられる力は、ステント3123に圧力をかけて、ステント3123の本体を変形させてはならない。支持体に過大または過小の力を加えることは、ステント3123がステント支持アセンブリ上に確実に載らず、ステント3123が湾曲したり、ステント3123の対向端部がマンドレルコーン3104、3105で大きく広がったり、ステント3123とマンドレルコーン3104、3105との間の接触が増加するといった問題を引き起こす可能性がある。これらは全て、コーティング欠陥につながる可能性がある。
【0199】
他の実施形態では、ステントは、マンドレルコーン3104、3105などの支持端部要素と1:1で回転しない。図40Eで示されるように、ステント3123は、ステント3123とマンドレルコーン3104、3105とが異なる回転軸線を有するように、マンドレルコーン3104、3105上に取り付けることができる。マンドレルコーン3104、3105は、回転軸線Xを有し、ステント3123は、ステントの中心を長手方向に通る回転軸線Xを有する。したがって、マンドレルコーン3104、3105とステント3123との間の接触点または接触面積は絶えず変化する。
【0200】
本発明の別の態様は、ステントがコーティング中に支持体(例えば、マンドレル)と接触することに起因することもあるコーティング欠陥を低減または除去することに関する。いくつかのコーティング欠陥はコーティングパラメータを調節することによって最小限にすることができるが、他の欠陥は、ステントと、ステントがコーティング工程中に支持される装置との間の接合面の性質に起因して生じる。ステントと支持装置との間の表面接触は、組成物が塗布されるとき、液体組成物が流れ、運ばれ、集まることが可能な領域を提供できる。溶媒が蒸発すると、過剰な組成物は硬化して、ステントと支持装置との間の接触点および接触点周辺で過剰なコーティングを形成する。コーティング後のステントを支持装置から取り外すと、過剰なコーティングが装置に固着している可能性があり、それによって、必要なコーティングのうちの一部がステントから取り除かれ、裸の領域が残る。あるいは、過剰なコーティングがステントに固着している可能性があり、それによって過剰なコーティングが支柱上の凝集塊もしくはプールまたは支柱間のウェブとして残る。
【0201】
したがって、コーティング欠陥を低減または除去するには、コーティング工程中にステントと支持装置との間の接合面の影響を最小限にすることが望ましい。上述のように、ステント支持体とステントとの間の接合面または接触点は、欠陥を引き起こす可能性がある。これは特に、支持体とステントとが1:1で回転し、したがってコーティング工程中は相互に対して移動しない場合である。相対運動が生じないことにより、接触点において支持体に付着するステントによって生じる固定接触点を形成する可能性がある。
【0202】
支持体とステントとの間の接触面積は、支持体がステントとは異なる回転軸線を有する場合に最小限となり得る。上述のように、ステントの両端は、コーンなどの先細の端部上で緩く支持することができる。したがって、マンドレルが回転すると、接触点は絶えず変化する。この方法においても、ステントは支持部材に固着することがあり、その結果、固定接触点を形成する。
【0203】
本発明の実施形態は、接触点でのコーティング欠陥を最小にするために、コーティング工程中にステントの接触点を移動または変化させることを含む。図31で示したように、ステントグリッパ板2250、2252は、ステントをステント支持アセンブリ2222上で着実に保持する機構を提供し、それによって、ステント支持アセンブリが、ステント支持アセンブリとのステントの接触点を移動させることを可能にする。図41Aは、コアワイヤ3106上に置かれたステント3123の下に位置するステントグリッパ板2250、2252の、図31からの拡大図を示している。ステントグリッパ板2250、2252は、相互に距離Lだけ離して置かれている。距離Lは、コーティングされているステントの外径よりも大きい。ステントグリッパ板2250、2252は、矢印3206、3208によって示されるように相互の方向に向かって、およびステントグリッパ2250、2252の上に位置するステント支持アセンブリに向かって上向きに移動することができる。
【0204】
ステントの乾燥時には、ステントグリッパ板2250、2252は、最初に、図41Bで示されるように、ステント3123がステントグリッパ板2250とステントグリッパ板2252との間にあるように、ステント支持アセンブリへ上向きに移動する。ステント支持アセンブリの回転が止まると、ステント3123は回転しなくなる。次に、ステントグリッパ板2250、2252は、矢印3206、3208によって示されるように相互の方向に向かって移動する。ステント支持アセンブリが、矢印3214で示されるようにステント3123に対して回転している間において、図41Cで示されるように、ステントグリッパ2250、2252は相互に移動して、所定の隙間(ステント3123を静止状態に保持する隙間)にまで近づく。ステント支持アセンブリは、ステント3123とステント支持アセンブリの任意の部分との間で任意の接触点を移動するのに十分なだけ(例えば、5°未満)回転または漸進回転することができる。あるいは、ステント支持アセンブリは、5°、10°、30°、60°、90°、270°より大きく、または360°より大きく回転することができる。さらに、ステント支持アセンブリは、時計回りまたは反時計回りに回転することができる。回転または漸進回転は単方向または双方向にすることもできる。例えば、マンドレルは、1回以上前後に漸進回転することができる。
【0205】
接触点を移動するか、またはステントと支持体との間の固定接触点を破壊する代替方法がある。一実施形態においては、ステント支持体は振動して、固定接触点を破壊することができる。例えば、トランスデューサなどの超音波装置を用いて、ステント支持体またはステントグリッパを振動させることがきる。別の実施形態では、支持体に取り付けられたステントに向けて空気流または空気パフを誘導して、固定接触点の形成を防止できる。
【0206】
実施例
以下に記載する実施例および実験データは、単に例示のためであって、本発明を限定することを意味するものではない。以下の実施例は、本発明の理解を助けるために与えられるが、本発明は実施例の特定の材料または手順に限定されるものではないことを理解されたい。
【0207】
表1a〜1dおよび表2a〜2dは、例示的な噴霧コーティング装置200を用いてコーティングされたステントについての噴霧コーティング結果を含む。表1adは、機械1と称される例示的な装置についてのコーティング結果を提供し、表2a〜2dは、機械2と称される例示的な装置についてのコーティング結果を提供する。各表は、一連のステントに対するデータを表している。表1a〜1bおよび表2a〜2bは、ポリ(ブチルメタクリレート)(PBMA)プライマのコーティング結果であり、表1c〜1dおよび表2c〜2dは、プライマ層上のポリ(ビニリデンフルオリド−コ−ヘキサフルオロプロペン)(PVDF−HFP)の薬物コーティングについてのコーティング結果である。コーティング重量はμgである。噴霧の繰り返し毎に塗布されたコーティング重量の均一性を測るために、相対標準偏差(RSD)が用いられる。
【表1】



【表2】



【表3】



【表4】



【表5】



【表6】



【表7】



【表8】



【0208】
表3a〜3bは、上記のコーティング結果を得るために用いられた噴霧および乾燥パラメータを含む。表3aは、プライマと薬物コーティングを塗布するための噴霧工程パラメータを示した例を提供する。表3bは、プライマと薬物コーティングを塗布する際に用いられるいくつかの共通工程パラメータの例を示す。
【表9】



【表10】



【0209】
図42〜図46は、例示的なコーティング装置1200でコーティングされたステントの走査型電子顕微鏡による画像である。上記のように、ステントは、PBMAプライマおよびPVDF−HFPでコーティングされた。図42は、コーティング後のステントのU字形冠部を示している。図43は、コーティング後のステントの近位端を示す。図44は、コーティング後のステントの全体的なコーティングの品質を示す。図45は、コーティング後のステントの遠位端を示す。図46は、端リングの拡大図(400倍の高倍率)を示す。
【0210】
本発明の特定の実施形態を示し、説明してきたが、当業者には、広義の態様においては、本発明から逸脱することなく変更および修正が可能であることが明らかであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、このような全ての変更および修正を本発明の真の精神および範囲内にあるとして、その範囲内に包含するものとする。
【0211】
コーティング後のステントを乾燥する装置
コーティング組成物は、溶媒に溶解したポリマーを含むことができる。各繰り返しの後に、大量の溶媒の除去を含む工程内乾燥を実行できる。一実施形態においては、繰り返し間の乾燥の後には、5%未満、3%未満、またはより狭くは1%未満の溶媒がコーティング内に残っていてもよい。繰り返しの間に、ステントに工程内乾燥工程を実行することによって、溶媒の一部または全てをステント上のコーティング材料から除去することができる。任意の適切な回数を繰り返して組成物を塗布した後に溶媒を除去することにより、所望の厚さまたは重量のコーティングを形成することができる。
【0212】
コーティング材料でコーティングされたステントは、溶媒を室温または常温で蒸発させることによって、乾燥することができる。使用された特定の溶媒の揮発性によって、溶媒は、実質的にステントと接触すると蒸発し得る。あるいは、溶媒は、コーティング後のステントに様々な乾燥工程を施すことによって除去できる。例えば、繰り返しの間に、室温または温ガスをコーティング後のステントに吹き付けることにより溶媒を除去することができる。溶媒はまた、中程度の温度(例えば、60℃)で、適切な継続時間(例えば、2〜4時間)、ステントをオーブン内で焼成することによって、または温風を当てることによって、除去することもできる。使用される溶媒および工程内乾燥の時間によっては、工程内乾燥の後に、いくらかの残留溶媒がコーティング内に残ることもある。溶媒の沸点が高いほど、工程内乾燥工程中に溶媒を除去することは困難になる。残留溶媒を除去するために複数の堆積段階が完了すると、コーティング後のステントは、典型的には、最終的な乾燥ステップとしてオーブン内で乾燥される。残留溶媒は、有害な生物学的影響と、放出速度とコーティング特性を変え得る可塑化効果を有する可能性もある。オーブンのエネルギー源は、対流オーブンから赤外線オーブンまたはUVまでも範囲に含むことができる。
【0213】
本発明の様々な実施形態は、ステントに塗布されたコーティング材料を乾燥および/または硬化する装置および方法に関する。具体的には、本発明のこれらの実施形態は、薬物溶出ステントを製造するためにオーブン乾燥または硬化工程の繰り返し精度を向上させることを意図している。従来の製造工程では、ステントは、薬物−ポリマー溶液で噴霧コーティングされ、コーティングを最終的に乾燥または硬化するために、クリーン・ルーム・オーブン内に手で置かれる。焼成時間は、典型的には、30〜60分である。噴霧コーティング工程は一度に1つのステントに実行され、ステントは、作業者によって1つ1つオーブンに投入される。オーブンでは、ステントは焼成のためにバッチ毎に待機している。
【0214】
従来の工程にはいくつかの欠点がある。1つの欠点は、作業者が、ステントをオーブンに追加し、ステントをオーブンから取り除くために、オーブンのドアを繰り返し開けなければならないことである。これは、オーブン内の温度プロフィールが定常状態に達するのを妨げる可能性がある。これは、バッチ内の他のステントに悪影響を与えることもある温度変動を引き起こす可能性がある。ドアを開けることは制御できず、様々な時間間隔で生じる可能性がある。ドアが開く時間が変動することによって、ステントを乾燥する温度暴露に均一性がなくなる。
【0215】
従来の工程の他の欠点は、作業者が、典型的には、オーブン内の各ステントの乾燥時間を手動で追跡し、ステントを追加する順序またはステントをオーブンから取り出す順序を混合しないように注意を払わなければならないことである。したがって、乾燥時間の制御は作業者に依存し、この結果、乾燥時間の小さい、および場合により大きい不均一性をもたらす可能性がある。
【0216】
従来の工程のさらに別の欠点は、ステントがオーブン内の異なる位置に置かれることもあり、焼成温度の差および/または対流空気暴露の差をもたらす可能性があることである。したがって、ステントの温度履歴は、オーブン内のステントの位置に依存する。従来の工程の別の欠点は、オーブンのドアが開かれるたびに、オーブン内のステントが起こり得る微粒子汚染に曝されることである。
【0217】
以下で説明する本発明の様々な実施形態は、従来の乾燥工程のこれらの欠点を低減または除去する。ドアが開くことによる温度変動が低減または除去される。さらに、実施形態は、作業者がステントと焼成時間を追跡する必要をなくする。さらに、各ステントは、オーブン内で同じ温度プロフィールに曝されるようになる。
【0218】
本発明の実施形態は、図47で示される例示的な乾燥装置4200によって示すことができる。装置4200は、緩衝機構体4202と移送機構体4204と乾燥機構体すなわちオーブン4206とを含む。オーブン4206は、前方壁4230と側壁4232と後方壁(図示せず)とから構成される筐体によって画定されている。
【0219】
装置4200は、任意の噴霧コーティング工程と組み合わせて使用することができる。コーティング後のステントは、乾燥のために、手動で緩衝機構体4202内に位置決めすることができる。あるいは、装置4200は、ステントをコーティングするよう設計された2つ以上のモジュールを含む自動工程モジュールとすることができる。例えば、自動化システムでは、グリッパを備えたロボットアームがステントを緩衝機構体4202内に置くことができ、グリッパを備えたロボットアームが、乾燥後のステントを緩衝機構体4202から取り除くことができる。
【0220】
図48は、装置4200の拡大図を示している。緩衝機構体4202は、緩衝ダイヤル4210を含む。乾燥されるステントは、乾燥するため乾燥機構体4206への移動を待つために緩衝ダイヤル4210上に載せられ、移送機構体4204によって運ばれる。コーティング工程が乾燥工程よりも短時間の場合は、緩衝ダイヤル4210は、乾燥前のコーティング工程と乾燥工程との間の緩衝機構として作用する。ステントは一般に、ステントが乾燥可能になるよりも早く乾燥工程に供給されるので、ステントは、緩衝ダイヤル4210上に蓄えられる。乾燥機構体4206内で乾燥されたステントは緩衝機構体4202に運ばれ、そこで、ステントは装置4200から運び出されるのを待つ。
【0221】
緩衝ダイヤル4210は、周辺領域4215へ外側に放射状に延びるスポーク4213を備えた中心部4211を含む。周辺領域4215は、ステントが取り付けられるステント支持体(例えばステント支持体4214)を保持する複数の孔またはネスト4212を含む。緩衝ダイヤル4210は、矢印4218で示されるように、緩衝ダイヤル4210を回転させる回転スピンドル4216に連結されている。回転スピンドル4216は、緩衝ダイヤル4210を割出回転または個別回転または連続回転するように構成することができる。緩衝ダイヤル4210を、円周がより大きく、ステントを蓄えるための孔の数がより多い緩衝ダイヤルと交換することによって、ステントを緩衝機構体4202内に蓄える能力を高めることができる。緩衝ダイヤル4210を回転スピンドル4216に取り外し可能に結合する(例えばネジ等を用いて)ことにより、1つの緩衝ダイヤルを別の緩衝ダイヤルと交換することができる。緩衝ダイヤル4210は、取付板4220と2枚の側板4220と底板4224とを含んだハウジング上に取り付けられている。
【0222】
上述のように、ステントは、移送機構体4204によって緩衝機構体4202から乾燥機構体4206へ運ばれる。図47で示されるように、移送機構体4204は、回転可能な取付板4207上に取り付けられた移動ユニット4205を含む。取付板4207は、円筒形の遮蔽体4207A、4207Bによって支持されている。図49は、移送機構体4204の拡大図を示している。移送機構体4204は、グリッパ4402、4404を含む。グリッパ4402は、緩衝ダイヤル4210内に置かれたステント支持体を把持し、把持したステント支持体を緩衝ダイヤル4210から取り除き、把持したステント支持体を乾燥機構体4206へ移送する。グリッパ4404は、把持したステントを乾燥機構体4206から運び、そのステントを緩衝ダイヤル4210内に置き、ロボットアームによって制御されるかまたは手動で誘導される把持装置によって、装置4200から取り除かれるのを待つ。図49で示される把持装置は、部品の自動化処理の分野における当業者には既知である。
【0223】
グリッパ4402、4404はグリッパ板4406上に取り付けられている。グリッパ板4406は、遮蔽体4409上に取り付けられた垂直壁4408に対して垂直に取り付けられている。遮蔽体4409は4つの部分、すなわちバッフル頂部4410、バッフル底部4412、および2つの下部遮蔽体4414で構成されている。グリッパ板4406は、矢印4413によって示されるように、グリッパ板4406をグリッパ4402、4404と一緒に上下に移動できるアクチュエータに結合されており、これにより、グリッパは緩衝ダイヤル4210およびオーブンダイヤル4702(以下で説明)上にステント支持体を置き、およびそこから取り除くことができる(以下で説明)。グリッパ板4406の遠位端は、矢印4420、4422でそれぞれ示されるように、スライダ板4416とグリッパ板4406を移動するアクチュエータ4418に取り付けられたスライダ板4416に結合されている。
【0224】
図50は、グリッパ4402、4404近くに焦点を当てた図49の拡大図を示している。ステント支持体4214を把持して取り除くために、グリッパ板4406は、矢印4502、4504でそれぞれ示されるように、緩衝ダイヤル4210の方向および下向きに移動し、それにより、グリッパ4402は、乾燥の準備が整ったステントを保持しているステント支持体4214を把持して取り除くことができる。グリッパ板4406は移動して、グリッパ4402がその遠位端4214Aでステント支持体4214を把持できるように、グリッパ4402を位置決めする。
【0225】
またグリッパ板4406を移動させて、グリッパ4404が、乾燥後のステントを有するステント支持体(図示せず)を孔4212のうちの1つに置くことができるようにすることもできる。グリッパ4404でステント支持体4214を把持した後、グリッパ板4406は、矢印4504Aで示されるように、上方に移動して、ステント支持体4214を緩衝ダイヤル4210から取り除く。次に、グリッパ板4406は矢印4502Aの方向に移動する。
【0226】
図49の矢印4430によって示されるように、回転可能な取付板4207が回転することにより、グリッパ4402がステント支持体をオーブン4206内に置き、グリッパ4404が乾燥後のステントをオーブン4206から取り除くことができるように、グリッパ4402、4404を位置決めできる。グリッパ4402は、ステントをオーブンから取り除くこともできる。例えば、処理手順が中断される場合には、グリッパ4402を用いて全てのステントをオーブン4206から取り除くことができる。図51は移送機構体4204の図を示しており、図の取付板4207は遮蔽体4409の背面を示す図47から図50で示された位置から180°回転している。この位置において、グリッパ4402、4404(図示せず)はオーブン4206と対向している。オーブン4206は窓4602を含み、この窓を通してグリッパ4402、4404がオーブン4206の内部にアクセスできる。
【0227】
図47で示されるように、オーブン4206は、前方壁4230と側壁4232と後方壁(図示せず)とから構成される筐体によって画定されている。図52は、後方壁と側壁が除去された、図51で示した装置4200の後部から見た図を示している。オーブン4206は、ステントなどのコーティングされた医療用具を乾燥するのに適した、改良された、市販されているオーブンであってもよい。例えば、市販されているまたは特別に改良された強制空気対流オーブンを使用することもできる。例示的なオーブンは、ミネソタ州レークビルにあるDespatch Industries社製のDespatch LAC1−10強制空気対流オーブンである。改良については以下で説明する。
【0228】
装置4200は、窓4602を覆うためのドア(図示せず)を含む。ドアは、オーブン4206におけるステントの設置と取り出しの間において、窓4602を覆うかまたは密閉することができる。装置4200は、窓4602の底部から頂部へ閉じるか、または頂部から底部へ開く「ギロチン式」ドアを含む。このようにドアを開閉することによって、ドアの動きによって粒子が発生するのを低減または防止する。このような粒子は、コーティング後のステントを汚染する可能性がある。あるいは、ドアは、底部から頂部へ開くか、またはドアは、開口の両側、頂部または底部から回転式に開閉してもよい。ドアは、熱エネルギーがオーブンから逃げることを低減または防止する熱的バリアとして機能する。窓4602を通って伝わる熱は、装置4200に格納されたステントのコーティング品質、または装置4200に隣接したステントもしくはコーティング作業のコーティング品質に悪影響を及ぼす可能性がある。また、窓4602を通る熱移動を低減または防止することによって、オーブン4206内の温度がより均一になり、オーブン4206内の温度変動が減少する。
【0229】
図52を参照すると、装置4200は、オーブン4206内で乾燥中にステントを保持するオーブンダイヤル4702を含む。オーブンダイヤル4702は、周辺領域4708へ外側に放射状に延びるスポーク4706を備えた中心部4704を含む。周辺領域4708は、ステントが取り付けられたステント支持体4712を保持するための複数の孔またはネスト4710を含む。オーブンダイヤル4702は、矢印4716によって示されるように、オーブンダイヤル4702を回転させる回転スピンドル4714に取り付けられている。回転スピンドル4714は、割出速度で(すなわち、個別のステップ状の動き)オーブンダイヤル4702を回転させることができる。
【0230】
2つのグリッパ4402、4404によって、乾燥後のステントをオーブンダイヤル4702から取り除き、ステントをオーブンダイヤル4702内に設置することができる。図53は、グリッパ4402、4404近くのオーブンダイヤル4702の拡大図を示している。グリッパ板4406は、矢印4802、4804で示されるように、オーブンダイヤル4702の方向へおよび下向きに移動し、それにより、グリッパ4402は乾燥後のステントを保持するステント支持体を把持して取り除くことができる。グリッパ板4406は移動して、グリッパ4402がその遠位端4808でステント支持体4806把持できるように、グリッパ4402を位置決めする。またグリッパ板4406を移動して、グリッパ4404が、まだ乾燥していないステントを有するステント支持体を孔4710のうちの1つに置くことができるようにすることもできる。グリッパ4402でステント支持体を把持した後に、グリッパ板4406は、矢印4810によって示されるように、上方に移動し、ステント支持体をオーブンダイヤル4702から取り除く。次に、グリッパ板4406は矢印4812の方向に移動する。
【0231】
移送機構体4204は、グリッパ4404または4202がステントをオーブン4206へ移送するか、またはオーブン4206から運び出すように作動できる。このように作動するとき、ステント支持体を取り除き可能である場合は、グリッパ4404がステント支持体をオーブンダイヤル4702内に置く度に、グリッパ4402はステント支持体をオーブンダイヤル4702から取り除く。さらに、ステント支持体を取り除き可能である場合は、グリッパ4402がステント支持体を緩衝ダイヤル4210内に置く度に、グリッパ4404はステント支持体を緩衝ダイヤル4210から取り除く。
【0232】
ステント支持体がオーブンダイヤル4702上に留まっている時間は、オーブンダイヤル4702の大きさまたは円周と、オーブンダイヤル4702の割出回転速度に依存する。オーブンダイヤル4702の円周が大きくなるほど、ステント支持体上のステントがオーブンダイヤル4702上に留まる時間が長くなる。オーブンダイヤル4702は回転スピンドル4714に着脱可能に結合する(例えばネジ等を用いて)ことにより、1つのオーブンダイヤルを別のオーブンダイヤルに交換することができる。さらに、オーブンダイヤル4702の割出回転速度が遅いほど、滞留時間は長くなる。滞留時間は、プログラム可能であり調節可能であってよい。
【0233】
ステントコーティング内のポリマーおよび薬物は、温度に極めて敏感である。ポリマーと薬物は両方とも、望ましくない特質に劣化する可能性がある。さらに、このような温度変動はコーティングの特性に影響を与える可能性があるために、乾燥条件をステントごとに整合させることが重要である。
【0234】
本明細書で説明するオーブン4206のいくつかの特徴によって、コーティングを劣化させ得る温度変動を低減し、ステントの均一な乾燥を可能にできる。ギロチンドアは、ステントを設置するステップと取り除くステップとの間のオーブン4206内の温度変動を低減または除去する。さらに、回転オーブンダイヤル4702の動きによって、各ステントの温度暴露が同じになる。この結果、ステントごとの温度暴露は一定となる。さらに、オーブン4206は、温度を連続的または別々に監視する多数の温度プローブ(図示せず)を含む。温度制御装置(図示せず)が、監視された温度と所望の温度とに基づいて温度を制御する。オーブン内の所望の温度は、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、または少なくとも80℃にすることができる。
【0235】
さらに、温度は、任意の時間に、または規則的な間隔もしくは不規則な間隔で記録し、記憶することができる。このような間隔における温度は、オーブン4206内の個々のステントと関連している可能性があるので、個々のステントに対する温度履歴が得られる。例えば、温度は、ステントがオーブン内に設置されたとき、およびステントがオーブンから取り除かれたときに、ステントについて記録することができる。
【0236】
図54〜図57は、乾燥装置4900の別の例示的な実施形態を示している。図54で示されるように、装置4900は2つの部分、すなわちオーブン4904と搭載筐体4908とを含む。図55は、オーブン4904の内部を示した装置4900の背面図を示している。図56は、搭載筐体4908の拡大図を示している。図57は、図54で示された装置4900の上面断面図を示している。
【0237】
オーブン4904は、コーティング後の医療用具を乾燥するのに適した、改良された、市販されているオーブンであってもよい。例えば、オレゴン州コルネリウスにあるSheldon Manufacturing Inc.社製のモデルCR1のクリーン・ルーム・オーブンが、以下で説明するように改良されてもよい。オーブン4904は、前方壁4910と頂部壁4912と底部壁(図示せず)と側壁4914と後方壁4916とを備えたオーブン筐体を含む。後方壁4916は、開口4918と開口を密閉するドアを有する。ドアは、オーブンケースの内部を示すために取り除かれている。オーブン4904はまた、前方壁4910に2つの矩形状の前方開口4920、4922を含み、これの開口は図54において、および図55のオーブンケースの内部を通して見ることができる。
【0238】
図55で示されるように、装置4900は、オーブン4904を通って、搭載筐体4908からオーブン4904内へステントを運び、およびオーブン4904から出て搭載筐体4908へステントを戻すためのコンベアベルトまたはチェーン4924を含む。コンベアベルト4924は、オーブン内部でジグザグパターンの経路に従う。例えば、円形、楕円形、矩形、これらの組み合わせといった、他の経路が用いられてもよい。
【0239】
コンベアベルトまたはチェーン4924は、環部または穴部を備えて形成されることにより、板4928上で支持される歯を有するギア4926を用いて、オーブン筐体を通して誘導または駆動することができる。板4928は、細長い部材4930によって、オーブン4904の床部上に支持される。板4928は、オーブンケース内の空気循環を可能にする開口4932を含む。コンベアベルト4924は、「凹凸がなく」、穴部を持たなくてもよい。凹凸のないギアは、歯のないギアによって駆動し、案内することができる。例示的なベルトは、マサチューセッツ州アガワムにあるBelt Technologies,Inc.社から入手可能である。
【0240】
図56を参照すると、ステントは、装置4900上で搭載筐体4908内に搭載することができる。搭載筐体4908は、底部部分4938によって支持される頂部部分4936を有する。搭載筐体4908は、ステントをコンベアベルト4924上に搭載するために搭載筐体4908の内部へのアクセスを可能にするアクセスドア4940を有する。アクセスドア4942は、オーブン4904を通ったステントを取り外すためのアクセスを可能にする。アクセスドアが閉じられると、筐体は作業者に対し、移動するコンベアベルト4924からの安全性を提供する。図に示すように、ドア4940、4942は、搭載筐体4908の内部を見ることができるように、プラスチックまたはガラスなどの透明な材料からできた板を含むことができる。正面パネル4944と頂部パネル4946もまた、視認を可能にするために透明な材料から作ることができる。
【0241】
コンベアベルト4924は、ギア4948、4950、4952によって、搭載筐体4908の内部を通して誘導または駆動される。ギアのうちの1つ以上は、ギアを回転させ、コンベアベルト4924を駆動するモータに結合された駆動ギアである。いくつかの実施形態では、ステントをバーコードラベル付きの追跡マンドレル上に搭載した後に、バーコードリーダ4956を含む搭載筐体4908内に設置することができる。バーコードリーダ4956は、ステントを追跡する制御システムと通信する。追跡マンドレルの存在を確認するために、光感知器4958がオーブン4904の出口近くの搭載筐体4908内に含まれる。搭載筐体4908には、アクセスドアが開くときに微粒子汚染が入り込むのを低減または防止するために、正圧の濾過空気を供給することができる。
【0242】
図57は、装置4900の上面断面図を示している。追跡マンドレル上に取り付けられたステントは、コンベアベルト4924内の凹部4960に搭載される。コンベアベルト4924は、取り付けられたステントを、矢印4964で示されるように、開口4920を通ってオーブン4904内へおよびアクセストンネル4966内へ移動させる。次に、コンベアベルト4924は、ジグザグ状のパターン経路を通って、ステントをオーブンケース内へ移動させる。ステントは、矢印4970で示されるように、アクセストンネル4968と開口4922を通ってオーブン4904から出て、搭載筐体4908内に入る。
【0243】
アクセストンネル4966、4968は、オーブンケース内の温度変動を低減するために、回転ドア4972、4974をそれぞれ含む。回転ドア4972、4974を、チェーンが動くと回転するアイドラスプロケットに連結して、追跡マンドレルに対するドアの同期運動を提供することができる。コンベアベルト4924は、予め選択された増分(例えば、1インチ、2インチまたは3インチ)で移動することができ、それぞれに移動後は、予め選択された時間滞留することができる。コンベアベルト4924のこの移動は、プログラム可能な加速/減速および速度でサーボ制御することができる。この移動は、継続時間を0.5〜1.5秒にすることができるので、回転ドア4972、4974は極めて短時間開かれ、オーブンの内部の暴露を最小限にする。コンベアベルト4924の漸進的な移動において、図57は、第1の取出位置4990と第2の取出位置4992と第3の取出位置4994とを示している。
【0244】
図56で示されるように、ドア4940、4942上のドアインターロック機構4941によって、コンベアベルト4924が動いている間にドアが不必要に開くことが防止される。一実施形態では、インターロック機構4941は、ドア4940または4942が開いている間にコンベアベルト4924が動かないよう、チェーンの動きと同期化されている。
【0245】
図58Aは、ギアと係合する複数の孔5000を含んだコンベアベルト4924の拡大図を示している。コンベアベルト4924は、ステントを支持するマンドレルを支持する複数のマンドレル支持体5010を含む。図58Bで示されるように、マンドレル支持体5010は、マンドレルの近位端が係合可能な円筒形の凹部5020を有する。
【0246】
図54を参照すると、搭載筐体4908はまた、コンベアベルト4924上のステントの状態を表示するライトタワー4909を含むこともできる。ライトタワー4909はセンサ4958と通信することができる。例えば、ステントが第1の取出位置4990に入ると、緑色の光が点滅し得る。ステントが第2の取出位置4992に到達すると、黄色の光が明滅し、ステントが第3の取出位置4994に到達すると、赤色の光が点滅し得る。ステントが第3の取出位置4994から取り出されない場合は、全ての光が点滅し得る。ステントが第3の取出ステーション4994を越えて移動すると、センサ4958は制御システムと通信して、装置4900をロックすることができる。
【0247】
いくつかの実施形態では、ドア4940、4942が開いているかどうか、およびどのくらい長くドア4940、4942が開いているかを検出するセンサを設けることができる。センサは、警報システムに信号を送る制御システムと通信することができる。ドア4940または4942が選択された時間量(例えば、10秒)よりも長く開いた状態である場合は、警報が鳴ることができる。さらに、ドア4940または4942が割出時間において開いているか、または1滞留または割出サイクルより長く開いている場合、装置4900をロックすることができる。さらに、後部ドアを監視できる。乾燥サイクル時間を、ドアの開放の中断時間に調節することができる。開いたドアによる中断を考慮に入れるために、サイクル時間を変更するように制御システムを適合させることができる。
【0248】
図59および図60は、それぞれ、コンベアオーブンおよび従来のバッチ式オーブン内の温度を時間の関数としてプロットしたものである。図59は、コンベアオーブン内に置かれた2つの異なるセンサについてのデータを含む。図60は、従来のオーブン内に置かれた5つの異なるセンサについてのデータを含む。図60では、温度の一時的な低下はドアの開放に対応している。図59は、コンベアオーブン内の温度が、測定された時間枠全体にわたって比較的一定していることを示している。
【0249】
ステントの焼成持続時間は、滞留時間およびオーブン内のチェーンの長さの関数である。例示的な一実施形態においては、コンベアベルト4924は、105インチで、36本のステントをオーブン内に有する。チェーンの移動とチェーンの移動との間の滞留時間を100秒とすることによって、各ステントに対して合計60分の焼成時間が与えられる。
【0250】
ステントを検査する装置
ステントの欠陥を迅速に正確に検査する能力はステントの製造工程の重要な部分である。いくつかの用途では、要求される公差および/または規定が苛酷な要求となることもある。さらに、ステントの小さい寸法は、目視検査を極めて困難で時間を要するものにする場合がある。さらに、製造欠陥に加え、ステント上の薬物コーティングは、他の欠陥の可能性を導入する。例えば、コーティングは、格子構造の隙間の間にプールを生成することもあり、または異物(例えば、塵またはポリマーストランド)がステントに付着することもある。本発明の実施形態はこれらおよび他の必要性にも対応する。
【0251】
図61を参照すると、検査システム6100はステント10を検査して、製造公差に正しく適合しているかどうかを決定し、および欠陥を特定するように構成されてもよい。検査システム6100は、ローラアセンブリ6110と駆動システム6120とライト6130とカメラ6140とを含んでもよい。検査システム6100は、コンピュータ制御システムなどの任意の他の適切なシステムおよび装置とインターフェース接続されてもよい。
【0252】
ローラアセンブリ6110はステント10を所定の位置に保持し、ステント10をローラアセンブリ6110の長手軸線まわりに回転させることにより、ステント10を撮像できるようにする。ローラアセンブリ6110は任意の構成および寸法の任意のシリンダを操作するよう構成されてもよい。次に図62を参照すると、本発明の様々な態様によるローラアセンブリ6110は、下側の一対のローラ6310と上側の一対のローラ6320とを含んでもよい。ローラアセンブリ6110は、上側のローラ6320を上方に上げてステント10を2つの下側のローラ6310の間に置き、次に下方に下げて、ステント10を4つのローラ6310、6320の間に載せるように構成されてもよい。同様に、下側のローラ6310は、下方に下がってステント10を搭載しおよび取り外し、次に上方に上がってステント10を4つのローラ6310、6320で受けるように構成されてもよい。ローラ6310、6320は任意の適切な構造体または装置とインターフェース接続されてもよい。例えば、ローラ6310、6320は、上下に移動してステント10を搭載および取り外すことを可能にするように構成され得る支持面ブロック6350によって支持されてもよい。ローラ6310、6320は任意の方向に任意の方法で移動し、任意の他の所望の結果を達成するように構成されてもよい。
【0253】
ローラ6310、6320は任意の適切な寸法であってもよく、任意の方法で位置決定されてもよい。例えば、図62および図63を参照すると、ローラペア6310、6320は、撮像のためにステント10を保持するのに適した長さと幅であってもよく、2つのローラペア6310、6320の間に、カメラ6140からステント10を見ることができる隙間6410を含んでもよい。図62および図63で示されるように、カメラ6140の視野6330は、ローラアセンブリ6110によって保持されたステント10を見るために、2つの頂部ローラ6320の間の隙間6410の間を通る。
【0254】
ローラ6310、6320はステント10の損傷を避けると同時に、その上のステント10を回転させる安定表面を提供するように構成されている。ローラ6310、6320は任意の適切な材料で構成されてもよく、任意の構造特性を含んでもよい。例えば、ローラ6310、6320はゴム引きコーティングを備えることにより、ステント10を変形または圧縮せずに、および/またはステント10上にコーティングされた薬物および/もしくはステント10の構造を損傷せずに、ローラ6310、6320間にステント10を受け入れることができる。当業者であれば、本発明の態様がステント10を僅かに変形させるだけで実現でき、ステント10の構造またはステント10上のコーティングに大きな影響を与えないことを認識するであろう。さらに、ローラ6310、6320は、ステント10を強固に支持し、ローラ6310、6320がステント10の表面に対して滑る原因となり得る歪みなく回転するように構成されてもよい。ローラ6310、6320は、例えば駆動システム6120など任意の適切なシステムまたは装置とインターフェース接続されてもよい。
【0255】
ローラアセンブリ6110は、ローラ6310、6320を回転させるように構成された駆動システム6120に接続されてもよい。駆動システム6120は、ローラの回転を制御する任意の適切な数のシステムおよび/または装置を備えてもよい。例えば、本発明の一実施形態では、駆動システム6120は、コンピュータシステム上のソフトウェア動作によって独立して制御され、各電気モータが別個のローラを制御する、一連の4つの電気モータを備えてもよい。駆動システム6120は、任意の適切な結果、例えば、ローラ6310、6320を同期回転させること、および/または1つ以上のローラ6310、6320を相互に独立に回転させることといった結果を達成するために、任意の態様で構成されてもよい。駆動システム6120は、任意の方向で任意の継続時間で、および任意の適切な速度でローラ6310、6320を回転させてもよい。駆動システム6120は、カメラ6140でステント10の異なる部分を撮像するために、ステント10を所定量回転させるようにコンピュータシステムによって制御されてもよい。駆動システム6120を、カメラ6140および/または検査システム6100のうちの任意の他の構成部品とインターフェース接続されたコンピュータシステムによって制御することにより、コンピュータシステムがステント10の回転とステント10の撮像との連係を取るようにしてもよい。
【0256】
駆動システム6120は、任意の適切な方法で、例えばローラペア6310、6320と共に動くように構成された可撓性駆動シャフト6340を通して、ローラアセンブリ6110に接続され、それにより、ステント10をローラアセンブリ6110において搭載および取り除くことを可能にしてもよい。可撓駆動シャフト6340は、任意の適切な材料で構成されてもよく、任意の適切な寸法であってもよい。可撓性駆動シャフト6340は、駆動システム6120から伝達され、ローラ6310、6320を歪ませる原因となることもある、付随力を散逸させるように構成されてもよい。
【0257】
ステント10を任意の適切な方法で所定の位置に保持し、任意の所望の結果を得てもよい。例えば、図64で示された本発明の一実施形態においては、回転支持台6510によりステント10を保持して、ステント10から突き出る欠陥を検出可能にしてもよい。支持台6510は、2つのカメラ6520、6530の視野内にステント10を保持する。位置決めシステム6540を用いて支持台6510を上下させて、カメラ6520、6530がステント10の全長を撮像できるようにしてもよい。ステント10は、カメラ6520、6530と、ステント10の境界縁部を照射する光源6130との間に置かれる。図65で示されるように、支持台6510は、底部コレット620に接続されたマンドレル610を用いてステント10を所定の位置に保持してもよい。本発明のこの例示的な実施形態においては、マンドレル610はステント10の内部を通して置かれ、頂部コレット630が下方に下がり、捕捉アーム640によってマンドレル610まわりで同軸線にステント10を捕捉する。捕捉アーム640はまた、支持台6510が回転するとき、ステント10とマンドレル610とを保持するのを助けてもよい。
【0258】
マンドレル610は、任意の適切な方法でステント10と接合してもよい。例えば、マンドレル610は、ステント10の構造および/またはステント10をコーティングする薬物を損傷することを避けるために、ステントの内部と接触せずにステント10を通過するように構成されてもよい。マンドレル610は、ステント10の支持台6510への移動および支持台6510からの移動を容易にするために、頂部および底部コレット620、630に着脱可能に接続されてもよい。
【0259】
ステント10が支持台6510によって回転され、カメラ6520、6530によって撮像されている間、頂部および底部コレット620、630はステント10と係合して、ステント10を所定の位置に保持する。コレット620、630は、ステント10の各端部において、任意の適切な方法によって、例えばステント10の内部にコレット620、630の先細形および/または円錐形の端部を挿入することによって、ステント10と係合してもよい。支持台6510は、任意の方向で任意の速度で任意の継続時間、ステント10を回転させてもよい。例えば、支持台6510はステント10を5度の増分で回転させて、ステント10から突き出る欠陥をカメラ6520、6530によって撮像できるようにしてもよい。
【0260】
ステント10は、ステント10を検査する工程を自動化するために、1つ以上のロボット装置によって操作および移動されてもよい。ステント10は、任意の適切な装置またはシステムによって任意の適切な方法で操作されてもよい。例えば、図66Aを参照すると、ステント10は、移送アーム6710によって、ローラアセンブリ6110へおよびローラアセンブリ6110から移動してもよい。移送アーム6710は、ステント10を、例えば他の検査ステーションなど別のシステムおよび装置に移すように構成されてもよい。移送アーム6710は、例えば、コンピュータシステム上のソフトウェア動作によってなど、任意の方法で制御されてもよい。検査システム6100において任意の数の移送アーム6710を採用してもよく、各アームはステント10を操作および移動するための任意の適切な構造を有する。
【0261】
検査システム6100内のシリンダの検査を自動化するために、他のロボット装置が採用されてもよい。図65で示された本発明の例示的な実施形態においては、ステント10は、ロボット移送アーム6710によって支持台6510に提供されてもよく、捕捉アーム6640によって頂部コレット6630がステント10の頂部と係合してもよい。捕捉アーム6640はコレット6630を所定の位置に保持して、ステント10が回転するとき、ステント10が支持台6510上で変形しないようにするか、または別の方法で支持台6510上で動かないようにしてもよい。
【0262】
さらに、ステント10を支持台6510上に自動的に位置決めするために、スタビライザアーム6650が用いられてもよい。図65で示された本発明の例示的な実施形態においては、スタビライザアーム6650は、コレット接合面6652と1組のジョー(jaw)6654とを備えもよい。スタビライザアーム6650は、ステント10が支持台6510上にある間にジョー6654でステント10を持ち上げ、ステント10を操作してステント10が底部コレット6620と適切に接合するように構成されてもよい。例えば、底部コレット6620が、一端でステント10の内部と係合する円錐表面を備えている場合には、スタビライザアーム6650は、ステント10を持ち上げ、そのステントを底部コレット6620の円錐表面の上に落として、ステント10が底部コレット6620の上に正しく置かれるようにしてもよい。同様に、コレット接合面6652は、例えば、上部コレット6630の溝と接合することによって、頂部コレット6630と係合するよう構成されてもよい。コレット接合面6652は頂部コレット6630を上下して、円錐表面がステント10内で係合するようにしてもよい。スタビライザアーム6650は、シリンダの位置決めを操作するために、任意の他の適切な構造および装置を備えてもよい。
【0263】
検査システム6100は、検査のためにシリンダを照射するように構成された光源6130を含む。光源6130は、任意の適切な数のデバイスを備えてもよく、任意の適切な構造を有してもよい。例えば、図66Bを参照すると、本発明の様々な態様による例示的な光源6130が、ドーム型ライト6730のまわりに同心円状に配置されたリングライト6720を備えてもよい。任意の所望の構造のリングライトおよびドーム型ライト(例えば、両方ともCCS,Inc.社製のLDR2−90リングライトおよびLDM−50ドーム型ライト)が本発明に関連して用いられてもよい。本発明のこの例示的な実施形態においては、リングライト6720がステント10を取り囲んで、急角度で(すなわち、ステント10にほぼ平行に)ステント10に光を照射することにより、ステント10の表面上に影を形成し、カメラ6140がステント10を見て、ステント10の表面欠陥を検出できるようにしてもよい。リングライト6720は、ライトケース6760によって支持されてもよい。ドーム型ライト6730を採用して、リングライト6720では暗いままのステント10の部分に光を当ててもよい。ドーム型ライト6730を、半透明材料6740を含むライトケース6750によって支持して、検査されるシリンダへドーム型ライト6730から拡散光を提供してもよい。別の例示的な実施形態では、ここで図64を参照すると、光源6130は略矩形状の光源を備え、検査カメラ6520と焦点フィードバックカメラ6530にバックライトを供給してもよい。
【0264】
光源6130は、例えば、光源6130の様々な要素の位置を調節してカメラ6140に対して様々な角度からステント10を照射するように構成された光源位置決めシステムなどの、任意の他の適切なシステムおよび装置を備えてもよい。例えば、光源位置決めシステムは、ドーム型ライト6730をリングライト6720から独立して位置決めできるように構成されてもよい。リングライト6720とドーム型ライト6730とは、任意の結果を達成するために任意の適切な方法で向きを決定されてもよい。例えば、ドーム型ライト6730は、カメラ6140が、リングライト6720とドーム型ライト6730との間の隙間の間からステント10を見通すことができるように、リングライト6720内に位置決めされてもよい。
【0265】
光源6130は、例えば、波長、強度などの任意の所望の特性を有する光を提供してもよい。例えば、光源6130は、拡散光、すなわち大きな角度範囲全体にわたり散乱する光を提供し、それにより、カメラ6140が見る明るさのまぶしさおよび/または不均一な領域の生成を防ぎ、およびカメラ6140から離れるように光を散乱させるために、シリンダ上の不均一な高反射性面の傾向を補償するように構成されてもよい。さらに、光源6130は、ステント10をコーティングする薬物または他の物質に影響を与えることを避けるために、特定のスペクトルの光を提供してもよい。本発明の例示的な一実施形態では、光源6130は、ステント10をコーティングする薬物の活性化を避けるために、波長が約600nm〜約6700nmの光を提供するように構成されてもよい。
【0266】
光源6130は、任意の所望の目的を達成するために任意の適切なシステムおよび装置とインターフェース接続されてもよい。例えば、光源6130は、光源6130の強度、波長および位置を制御するように構成されたコンピュータシステムと通信してもよい。光源6130の要素によって提供される光の任意の特性(例えば、波長、強度など)が、必要に応じて、個々にまたは他の要素と合わせて制御されてもよい。例えば、本発明の例示的な一実施形態においては、リングライト6720とドーム型ライト6730とは、独立に、オフまたはオンにされてもよい。ステント10の内部の検査を容易にするために、リングライト6720がオフにされ、ドーム型ライト6730がオンにされてもよい。あるいは、ステント10または他のシリンダの表面粗さの検査を容易にするために、リングライト6720がオンにされ、ドーム型ライト6730がオフにされてもよい。
【0267】
光源6130は、検査システム6100内の任意の構造と、任意の適切な方法で相互作用してもよい。例えば、光源は、ローラ6310、6320を保持する支持面ブロック6350の構造を利用して、光源6130によって提供される照射光を含有することを助け、および/または外部光がシリンダの画像と干渉するのを防止してもよい。光源6130は、上述のように、任意の方法で、例えばカメラ6140とステント10との間などに位置決めされてもよい。あるいは、次に図64を参照すると、本発明の様々な態様による検査システム6100は、ステント10が光源6130と検査カメラ6520との間、および別の光源6130と焦点フィードバックカメラ6530との間に位置するように構成されてもよい。
【0268】
カメラ6140は、分析のために、シリンダの一部の画像を撮影する。任意の適切な種類のカメラ6140が、検査システム6100内で利用されてもよい。本発明の例示的な一実施形態では、カメラ6140は、一度に単一列の画素を撮像するように構成されたラインスキャンカメラ6140を備えてもよい。任意の適切な特性を有するラインスキャンカメラ6140(例えば、1×6000のアパーチャを備えたDalsa社のデジタルラインスキャンカメラ)が利用されてもよい。カメラ6140は、ステント10の任意の部分、ならびにステント10から突き出る任意の形状体および/または欠陥を撮像してもよい。さらに、カメラ6140は、ステント10の表面におけるアパーチャなどの形状体を撮像してもよい。シリンダの任意の他の部分および形状体も撮像されてもよい。例えば、ステント10の内部またはシリンダの表面内にアパーチャを有する他の中空シリンダが、カメラをステント10近くに移動させて、カメラ6140がアパーチャの範囲を超えて焦点を合わせて内部を撮影できるようにすることによって、検査システム6100により撮像されてもよい。カメラ6140は、カメラ6140がステント10の内部に焦点を合わせることができるように、任意の適切な距離に位置決めされてもよい。カメラ6140によって撮像された画像は、任意のフォーマットで任意の媒体内(例えば、コンピュータシステムのメモリに記憶されたデジタル画像)で生成されてもよい。
【0269】
任意の数の任意の種類のカメラ6140が、検査システム6100で採用されてもよい。例えば、図64を参照すると、本発明の様々な態様による検査システム6100は、相互に90度で対向するように位置決めされた2つのカメラ視野6520、6530を備えてもよい。本発明のこの例示的な実施形態においては、検査カメラ6520は、ステント10の一部のステント10の画像を捕捉する。ステント10は、光源6130によって背後から照射されて、ステント10の構造の幅/直径を画定する外部境界線、およびその外部境界線から突き出る任意の形状体を強調する、バックライト効果を生む。例えば、図67で示された画像は、ステント10から突き出る欠陥6810を示している。検査カメラ6520は、ステント10上の任意の寸法の任意の形状体を検査するために、任意の解像度でステント10を撮像するように構成されてもよい。図68を参照すると、突き出た欠陥6910は、欠陥6910がステント10の構造に対して極めて小さい場合であっても特定できる。例えば、本発明のいくつかの実施形態では、10マイクロメートル以下の欠陥を特定することができる。
【0270】
検査カメラ6520は、任意の所望の結果を達成するために、ステント10の複数の画像を生成してもよい。例えば、検査カメラ6520は、検査カメラ6520の視野よりも長い、ステント10の全長に沿って複数の画像を生成してもよい。位置決めシステム6540を用いて、検査カメラ6520の視野に沿ってステント10を保持する支持台6510を動かしてもよい。支持台6510はステント10を所定量(例えば5度)だけ回転させて、ステント10の新しい部分を検査カメラ6520に露出してもよく、撮像工程を繰り返してステント全体を撮像することができる。回転角度は、識別しようとする欠陥の大きさに応じて、および/または検査工程の速度を上げるために増減されてもよい。回転の各位置においてステント10の幅を画定する両縁部を同時に撮像することによって、ステント10は6180度だけ回転すればよく、一方でステント10の全周を検査できる。
【0271】
検査システム6100は、特にステント10が回転するときに、マンドレル6610まわりのステント10による任意の位置ずれを検出するように構成された焦点フィードバックカメラ6530を含んでもよい。ステント10が検査カメラ6520の方向へまたは検査カメラ6520から離れるように移動するとき、ステント10は、検査カメラ6520の焦点から外れてもよい。焦点フィードバックカメラ6530はステント10の位置ずれを検出し、検査カメラ6520が再度焦点を合わせるために、位置ずれを報告するように構成されてもよい。焦点フィードバックカメラ6530は、位置ずれを特定し、報告するために、任意の適切なシステムまたは装置と相互作用してもよい。例えば、焦点フィードバックカメラ6530をコンピュータシステムとインターフェース接続することにより、焦点フィードバックカメラ6530によって生成された画像を分析し、ステント10の位置ずれを検出し、それに基づいて検査カメラ6520が再度焦点を合わせることを可能にしてもよい。
【0272】
本発明の様々な態様によるカメラ6140は、任意の数の他のシステムおよび装置と相互作用してもよい。例えば、図61で示されるように、カメラ6140は、1つ以上のレンズ6145と合わせて利用されてもよい。レンズ6145を任意の方法で構成して、例えば、生成されるラインスキャン画像の幅を制御するために、カメラ6140が特定の長さの視野を得ることを可能にするといった、任意の所望の結果を達成してもよい。同様に、1つ以上のレンズ6145のステント10からの距離を選択して、画像の任意の適切な特性に影響を与えるようにしてもよい。例えば、レンズ6145は、ステント10により近づいてステント10のより小さい部分のより高解像度の画像を生成し、およびステント10からより離れてステント10のより大きな部分のより低解像度の画像を生成するように置かれてもよい。さらに、レンズをステント10のより近くに置くことは、ステントの動きが画像の品質に影響を与えるのを防ぐことに役立つ。
【0273】
カメラ6140はまたカメラ位置決め装置と協働して作動して、例えば、カメラ6140が検査されているシリンダの方向へ、および検査されているシリンダから離れるように移動することを可能にしてもよい。さらに、カメラ位置決め装置は、例えば単一画像においてカメラの6140の視野に入るには長すぎるシリンダの長さに沿って、カメラ6140が横方向に移動できるように構成されてもよい。
【0274】
図63を参照すると、検査システム6100は、背景マンドレル6420を含んでもよい。背景マンドレル6420は、カメラ6140によって撮像する背景を提供するために、ステント10の内径に挿入されてもよい。ステント10またはステント10上のコーティングに対する損傷を防ぐために、背景マンドレル6420は、ステント10の内部に触れずにステント10内に置かれるよう構成されてもよい。例えば、図62で示された本発明の例示的な実施形態では、ローラアセンブリ6110がステント10を完全に支持し、回転させることにより、背景マンドレル6420をステント10の内部に触れずにステント10内に置くことを可能にする。
【0275】
本発明の様々な態様による検査システム6100は、任意の方法で操作および制御されてもよい。例えば、様々なシステムおよび工程が、1つ以上のコンピュータシステム上で動作する1つ以上のソフトウェアプログラムによって制御されてもよい。コンピュータシステムは、例えば、ローラアセンブリ6110、光源6130、カメラ6140といった、検査システム6100の個々の構成要素のうちのいずれか、および検査システム6100の外にある任意の他のシステムおよび装置とインターフェース接続してもよい。コンピュータシステムによって実行および/または制御される任意の工程は、例えば、作業者または他の制御システムによって手動で操作されてもよく、および/または、例えばソフトウェアプログラムの制御によって、自動的に作動するように構成されてもよい。
【0276】
コンピュータシステムは、任意の所望の結果を達成するために、検査システム6100の任意の機能および特性を制御してもよい。例えば、コンピュータシステムは、撮像中に、ローラアセンブリ6110および/または支持台6140によってシリンダの回転および位置決めを制御してもよい。コンピュータシステムはまた、シリンダの画像を撮影する際に1つ以上のカメラ6140を制御してもよく、この制御には、ステント10の長さに沿って画像を撮影するカメラ6140を移動させ、焦点を合わせることによってステント10の全長を撮像することを含む。コンピュータシステムは焦点フィードバックカメラ6530からの入力を用いて、検査カメラ6520の焦点合わせを制御してもよい。光源6130の位置、強度、波長および他の特性が、コンピュータシステムによって制御されてもよい。コンピュータシステムはまた、例えば、ワイヤ捕捉アーム6640、スタビライザアーム6650および移送アーム6710といった、ステント10を移送し操作するための、検査システム6100の任意の形状体を制御してもよい。コンピュータシステムは、例えば、シリンダに加わる圧力を検出し、検査システム6100内の他の形状体に対してステント10の位置を測定するなどの任意の目的を達成するために、任意の適切な検知システムまたは装置とインターフェース接続されてもよい。
【0277】
コンピュータシステムは、シリンダの画像を処理および/または分析するように構成されてもよい。コンピュータシステムは、例えば、ステント10の欠陥を検査するなど、任意の適切な分析を実行するように構成されてもよい。コンピュータシステムは、任意の適切な方法で画像を処理するように構成されてもよい。例えば、コンピュータシステムは、画像が撮影されたとき、ローラアセンブリ6110または支持台6140の位置を基準にして、画像を順序付けおよび/または索引付けしてもよく、それにより、画像を、撮像された元のシリンダの部分に関連付けることができる。
【0278】
図69は、本発明の様々な態様によるステント10を検査する検査システム6100によって採用可能な例示的な工程を示している。ステント10は、移送アーム6710によってローラアセンブリ6110に自動的に提供される(7010)。背景マンドレル6420が、ステント10の画像に背景を提供するためにステント10の内部を通して挿入される(7020)。光源6130がステント10を照射し(7030)、ラインスキャンカメラ6140がステント10の一部の画像を生成する(7040)。画像は、ステント10の長さの一部に沿って、単一列の画素を含む。画像は、ステント10の物理的構造との関係を記録するために索引付けされてもよい(7050)。ステント10の長さがカメラ6140の視野の外にある場合、カメラ6140および/またはステント10を移動させて、カメラ6140がステント10の全長を撮像できるようにしてもよい(7060)。この長手方向の移動を繰り返して、ステントの全長の撮像を可能にしてもよい(7065)。ローラアセンブリ6110によってステント10を回転させ(7070)、次の列の画素の撮像を可能にする。この工程は、ステント10の全体が撮像されるまで繰り返される(7075)。
【0279】
画像を分析して、任意の欠陥を特定する(7080)。図70は、本発明の様々な態様による、画像の欠陥を分析する例示的な工程(7080)を示している。ステント10の構造に対応する基準点が画像内に置かれる(7110)。基準点は、ステント10の全体的な構成を特定するために用いることができ、任意の基準に基づいて選択され得るステント10の任意の要素に対応している。例えば、図71を参照すると、支柱12の影のついた部分は、ステント10内の支柱12の開始点および終了点に対応するように選択された基準点7210を示している。基準点は、画像内の支柱12の適切な幅を決定するために用いられる(7120)。画像内の個々の支柱12の測定幅のずれを特定することによって欠陥が決定される(7130)。支柱12の形状体の任意の他の適切な寸法(例えば、支柱の高さ、長さ等)が特定され(7120)、欠陥を見つけるために分析される(7130)。例えば、ステント10について欠陥を分析し(7130)、製造工程中に生じた可能性のある任意のゆがみを検出してもよい。さらに、ステント10の支柱12の間にある欠陥は、支柱12の画像をマスキングし(7140)、画像内の残りの形状体を分析して、それら形状体がステント10内の欠陥であるかどうかを決定すること(7150)によって、特定されてもよい。例えば、図72は、マスキング前のステント10の代表的な画像を示している。この画像では、ステント10を形成する支柱12は、暗い背景上の明るい構造体によって、2次元で表されている。ステント10の支柱12間の欠陥7310は、光の陰影として表われている。欠陥7310の特定を容易にするために、次に図73を参照すると、ステント10の構造はマスクされ、その結果、画像内には、光の影が付いた欠陥7310が残る。ステント10の構造は、任意の適切な方法で画像からマスクされてもよい。例えば、コンピュータシステムで実行中のソフトウェアによって、デジタル画像においてステント10の構造が特定されてもよく、画像の背景と合致させるために、その構造が除去および/または埋め込まれてもよい。
【0280】
任意の種類の欠陥(例えば、ステント10の製造に関連する欠陥またはステント10を覆うコーティングに関連する欠陥)が、画像を分析する工程によって特定されてもよい(7080)。任意の適切なコーティングに関連する欠陥(例えば、ポリマーコーティング、薬物コーティング、薬物およびポリマーコーティングの組み合わせ、および/または任意の他のコーティング形態)が検出されてもよい。任意の数の画像を用いて、分析工程が実行されてもよい。例えば、検査システム6100は、各画像が生成された後に、シリンダの部分の単一画像を分析するか、複数の画像を一斉に処理してもよい。シリンダを検査する工程の任意の一部は、人間によって手動で、または例えばコンピュータシステム上のソフトウェア動作を用いて自動的に実行されてもよい。
【0281】
図74は、本発明の様々な態様による検査システム6100によって採用され得る別の例示的な検査工程を示している。ステント10は、移送アーム6710によって自動的に支持台6510に提供される(7505)。ステント10は、底部コレット6620に接続されたマンドレル6610の上に置かれる(7510)。ワイヤ捕捉アーム6640が、頂部コレット6630をマンドレル6610に接続するように移動させる(7515)。スタビライザアーム6650がステント10を把持し、次にステント10を持ち上げてから離し、ステント10を底部コレット6620上の円錐表面の上に置く(7520)。適切に置かれると、ステント10の内部は、ステント10がマンドレル6610に触れることなく、底部コレット6620の円錐表面に係合する。スタビライザアーム6650は、頂部コレット6630と連係して、頂部コレット6630を持ち上げてから落とし、頂部コレット6630上の円錐表面をステント10の内部に置く(7525)。
【0282】
ステント10が頂部および底部コレット6620、6630に係合した状態で、ステント10は、2つの光源6130と2つのカメラ6140、6520、6530との間に位置決めされる。この場合、各光源6130は、各カメラ6520、6530の背後からステント10を照射する(7530)。検査カメラ6520は、ステント10の全幅と、ステント10の縁部から突き出る形状体を含んだ、ステント10の画像を生成する(7535)。支持台6510が上下に動くことにより、検査カメラ6520はステント10の全長に沿って画像を生成できる(7540)。支持台6510はステント10を特定量(例えば5度)だけ回転させて、ステント10の新しい部分を検査カメラ6520に露出する(7545)。焦点フィードバックカメラ6530が、撮像工程中の任意の時点で、ステント10がマンドレル6610上で位置を変えているかどうかを監視する(7550)。位置変更が検出された場合、検査カメラ6520は、それに基づいて再度焦点を合わせる(7555)。検査カメラ6520は、例えば、カメラ6520内の焦点制御を調節し、ステント10に対してカメラを物理的に移動させるなどによって、任意の適切な方法で再度焦点を合わせられてもよい。この工程を繰り返して、ステント10の全直径の画像を捕捉してもよい(7557)。ステント10の両縁部が単一画像内で捕捉されているので、ステント10は、ステント10の全直径を撮像するのに、6180度だけ回転すればよい。
【0283】
画像を分析して、ステント10から突き出た欠陥を特定する(7560)。突き出た欠陥の画像を分析する(7560)ための例示的な工程が図75で示されている。概略の縁部位置が画像から特定される(7610)。縁部の一部を備える各支柱12については、次に図76を参照すると、支柱の開始位置7710と終了位置7720とが特定される(7620)。支柱12の縁部を画定する開始位置7710と終了位置7720との間のライン7730が分析され、外側の定義された許容範囲(すなわち、高さ、長さおよび面積)であるライン7730からの任意のずれが、潜在的な欠陥として警告される(7630)。潜在的な欠陥として警告された各ずれについては、そのずれがステント10の構造の一部であるかどうかに関して決定がなされる(7640)。例えば、支柱の縁部近くで見つけられたずれを分析して、画像内の他の形状体と比較してずれの相対的な大きさを決定し、そのずれが欠陥であるかまたはステント10の構造の一部であるかを決定してもよい。図77を参照すると、支柱12の走査において部分的に捕捉された非線形の連結部7810は、ステント10の構造の一部であると特定でき、欠陥とは見なされない。同様に、次に図78を参照すると、ずれにおいて、およびずれの両端でほぼ均一な厚みを有する非線形連結部の輪郭7910によって生じるずれが、欠陥とは対照的に、ステント10の構造の一部であると特定できる。しかし、図79で示されるように、最小の正常な支柱12の厚みよりも小さい厚みを有するずれ8010を、欠陥として特定することもできる。欠陥分析の工程(7560)は、画像内の各支柱について繰り返されてもよい。欠陥分析の工程(7560)は、任意の数の画像について、および画像内で捕捉されるステント10のいくつかの縁部または全ての縁部について、実行されてもよい。
【0284】
図で示し、および上で説明した特定の実現形態は、本発明および本発明の最良の形態の例示であって、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。実際に、簡略化のため、従来のデータ記憶、データ伝送およびシステムの他の機能的な態様は詳細に説明していないものもある。さらに、様々な図面で示された接続線は、様々な要素の間の例示的な機能上の関係および/または物理的な結合を表すことを意図している。多くの代替的または追加の機能的関係または物理的接続が実際のシステム内に存在してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステントの重量を測定する装置であって、
ステントをステント支持体に取付けおよび取り外しを行うステント取付けおよび取り外し用アセンブリと、
前記ステントが前記ステント支持体から取り外された後に前記ステントの重量を測定するはかりアセンブリと、
を備える、装置。
【請求項2】
ステント支持体の支持要素を把持するステント支持グリッパと、
前記ステント支持体のコア要素を保持するコア要素ホルダと、
を備える、ステント支持体を移動させるロボットアーム。
【請求項3】
ステント支持体の第1支持要素を把持する第1支持要素グリッパと、
前記ステント支持体の第2支持要素を把持する第2支持要素グリッパと、
を備える、ステント支持グリッパアセンブリ。
【請求項4】
一対のフィンガと脱落防止体とを有するステントグリッパを備える、ステントグリッパアセンブリ。
【請求項5】
はかりの頂部に載っている水平部材と、前記水平部材から上向きに延在する複数の垂直部材とを備える、はかりに用いられるステントネストであって、前記各垂直部材の頂部表面が切欠部を有する、ステントネスト。
【請求項6】
ステントの重量を測定する方法であって、
ステント取付けおよび取り外し用アセンブリを用いてステント支持体からステントを取り外すステップと、
はかりアセンブリを用いて、前記取り外されたステントの重量を測定するステップと、
を備える、方法。
【請求項7】
特定の位置において使用するステントの重量を測定する装置を製造する方法であって、
前記位置の地面振動を測定するステップと、
前記地面振動の周波数内容を決定するステップと、
装置の質量を考慮に入れて前記装置の取付部の弾性を選ぶことによって、前記装置の垂直振動の固有周波数を選択して、この固有周波数が前記地面振動の大部分の周波数成分よりも小さくなるようにするステップと、
前記取付部の減衰特性を選択することによって、前記装置の垂直振動の減衰比を選択するステップであって、前記減衰比が0.1〜2.0であるステップと、
を備える、方法。
【請求項8】
ステントをステント支持体に位置合わせする方法であって、
ステント支持体の第1支持要素を下方位置に、前記ステント支持体の第2支持要素を上方位置にして、前記ステント支持体と前記ステント支持体に取り付けられたステントとを垂直位置に置くステップであって、前記ステントの下端が前記第1支持要素の円錐部分と対向し、前記ステントの上端が前記第2支持要素の円錐部分と対向する、ステップと、
前記ステント支持体および前記ステントのデジタル画像を取得するステップと、
前記ステント支持体および前記ステントの前記デジタル画像を分析して、前記ステントの上端の前記垂直位置を算出するステップと、
前記ステントの上端の前記位置に基づいて前記第2支持要素の所望の位置を算出するステップと、
位置決め装置を用いて前記第2支持要素を前記所望の位置まで移動させるステップであって、前記第2支持要素の前記移動によって、前記第1および第2支持要素の前記円錐部分が前記ステントの各端部と係合し、前記ステントを前記ステント支持体のコア要素のまわりの中心に置き、前記ステントを前記ステント支持体の長手方向に固定する、ステップと、
を備える、方法。
【請求項9】
ステントをステント支持体に位置合わせする装置であって、
ステント支持体を垂直位置に位置決めするために前記ステント支持体の第1支持要素を受けるステント支持受け台と、
前記ステント支持体に取り付けられたステントを撮像するデジタル撮像装置と、
前記ステント支持体および前記ステント支持体に取り付けられた前記ステントのデジタル画像を受け取るために、前記デジタル撮像装置に接続されたコンピュータであって、前記コンピュータが、前記ステント支持体および前記ステント支持体に取り付けられた前記ステントの前記デジタル画像から前記ステントの上端の位置を算出し、前記ステントの上端の位置に基づいて、前記ステント支持体の第2支持要素の所望の位置を算出する、コンピュータと、
前記第2支持要素を前記所望の位置に移動させる位置決め装置と、
を備える、装置。
【請求項10】
ステントをコーティングする装置であって、
第1ステントを支持し、可動部材に結合された第1支持体と、
第2ステントを支持し、前記可動部材に結合された第2支持体であって、前記可動部材が、前記支持体のうちの一方を噴霧ゾーン内に位置決めし、他方の支持体を乾燥ゾーン内に位置決めするように構成され、前記噴霧ゾーン内の前記ステントを噴霧コーティングすることができ、前記乾燥ゾーン内の前記ステントを乾燥することができる、第2支持体と、
を備える、装置。
【請求項11】
ステントをコーティングする方法であって、
装置の噴霧ゾーン内に位置決めされた第1支持体上の第1ステントにコーティング材料を塗布するステップと、
前記第1ステントに前記コーティング材料を塗布する間に、前記装置の乾燥ゾーン内に位置決めされた第2支持体上で支持された第2ステントを乾燥し、前記第2支持体が、前記装置の前記乾燥ゾーン内に位置決めされるステップであって、前記装置が、前記支持体のうちの一方を前記噴霧ゾーン内に位置決めし、他方の支持体を前記乾燥ゾーン内に位置決めするように構成された可動部材を備える、ステップと、
を備える、方法。
【請求項12】
ステントをコーティングする装置であって、
装置の噴霧ゾーン内に置かれた噴霧ノズルと、
第1ステントを支持する第1支持体と、第2ステントを支持する第2支持体において、前記第1支持体および前記第2支持体が、前記支持体のうちの一方を、前記噴霧ノズルからのコーティング材料を受けるために前記噴霧ノズルの下方の前記噴霧ゾーン内に位置決めし、他方の支持体を乾燥ゾーン内に位置決めすることができる部材に結合された、第1支持体および第2支持体であって、前記乾燥ゾーン内の前記ステントが乾燥する間に、前記噴霧ノズルが前記噴霧ゾーン内の前記支持体に対して移動可能であり、前記噴霧ノズルが前記支持体がコーティング材料を受けないように移動することができる、第1支持体および第2支持体と、
を備える、装置。
【請求項13】
ステントをコーティングする方法であって、
噴霧ゾーン内に位置決めされた第1支持体上で支持された第1ステントの上方に位置決めされた噴霧ノズルによって、コーティング材料を塗布するステップと、
前記コーティング材料を前記第1ステントに塗布する間、乾燥ゾーン内に位置決めされた第2支持体上で支持された第2ステントを乾燥するステップと、
前記第2ステントが乾燥する間、前記噴霧ノズルを前記第1支持体から離れるように移動させて、前記第1ステントにコーティング材料がさらに塗布されることを防止し、前記噴霧ノズルが移動後も噴霧を続ける、ステップと、
を備える、方法。
【請求項14】
ステントをコーティングする装置であって、
ステントを支持する回転可能な支持体であって、前記支持体の円筒形軸線まわりに前記ステントを回転させることができる支持体と、
前記支持体の下に位置決めされ、上向きに作動して前記支持体に対して前記ステントが回転しないように前記ステントの外側表面に力を加えることができる把持機構と、
を備える、装置。
【請求項15】
ステントをコーティングする方法であって、
回転可能な支持体上に取り付けられたステントにコーティング材料を塗布するステップと、
前記コーティング材料を塗布した後に、把持機構によって、前記ステントの外側表面に力を加えるステップと、
前記ステントの前記外側表面に前記力を加えている間に、前記支持体を回転させるステップであって、前記力によって前記ステントが前記支持体に対して回転するのを防止する、ステップと、
を備える、方法。
【請求項16】
ステントをコーティングする装置であって、
噴霧ノズルがステントの上方に位置決めされているとき、前記ステントにコーティング材料を塗布する噴霧ノズルと、
前記噴霧ノズルをクリーニングするための溶媒用容器と、
前記噴霧ノズルを溶媒でクリーニングすることを可能にするために、前記ステント上の位置から前記容器の上方位置に前記噴霧ノズルを移動させるように前記噴霧ノズルに結合された可動支持部材と、
を備える、装置。
【請求項17】
ステントをコーティングする方法であって、
ステントをコーティングするために、噴霧ノズルからコーティング材料を噴霧するステップと、
可動支持部材が前記噴霧ノズルに結合された前記ステント上の噴霧位置から、容器内の溶媒で前記ノズルをクリーニングすることを可能にする前記容器の上方位置まで、前記噴霧ノズルを移動させるステップと、
前記噴霧ノズルを、前記容器内の前記溶媒と接触させるステップと、
を備える、方法。
【請求項18】
ステントをコーティングする噴霧ノズルをクリーニングする方法であって、
ステントをコーティングするために噴霧ノズルからコーティング材料を噴霧するステップと、
前記ノズルをクリーニングする溶媒を含んだ容器の上方に前記噴霧ノズルを位置決めするステップと、
前記噴霧ノズルおよび前記容器がクリーニング位置にあるとき、前記容器内の前記溶媒の量を維持して、前記ノズルの先端が前記容器内の前記溶媒と接触するようにするステップと、
を備える、方法。
【請求項19】
ステントをコーティングする方法であって、
ステントをコーティングする噴霧ノズルに気体と液体を供給するステップであって、前記噴霧ノズルが、前記ノズルに供給された前記気体および液体から噴霧プルームを生成する、ステップと、
前記コーティング中に前記噴霧ノズルに前記気体と液体を供給する前に、気体流特性と液体流特性とを監視するステップと、
前記気体と液体の前記噴霧ノズルへの選択された流れ特性を得るために、前記気体流特性と前記液体流特性とを調節するステップであって、前記調節が、前記監視された気体流特性および前記液体流特性に基づいている、ステップと、
を備える、方法。
【請求項20】
ステントをコーティングする装置であって、
ステントに噴霧する噴霧ノズルであって、前記噴霧ノズルが、前記ノズルに供給された液体および気体から生成された噴霧プルームを噴霧するように適合されている、噴霧ノズルと、
前記噴霧中に前記ノズルへの気体流を監視および制御する気体流制御システムと、
前記噴霧中に前記ノズルへの液体流を監視および制御する液体流制御システムと、を備える、装置。
【請求項21】
コーティング中にステントを支持する支持アセンブリであって、
近位端が回転可能なスピンドル内に置かれた第1支持要素と、
前記第1支持要素の遠位端から延在する支持ワイヤであって、前記支持ワイヤの前記近位端が、前記第1支持要素の前記遠位端に結合されている、支持ワイヤと、
前記支持ワイヤの前記遠位端を支持するクランプ要素であって、前記支持ワイヤの前記近位端および前記遠位端が、前記第1支持要素が前記回転可能なスピンドルによって回転するとき、前記支持ワイヤが前記第1支持要素と同軸線回転するように位置決めされている、クランプ要素と、
を備える、支持アセンブリ。
【請求項22】
ステントをコーティングする方法であって、
ステントをコーティングする噴霧ノズルを調整して、前記ノズルからの噴霧プルームが、選択された特性を有するようにするステップと、
前記調整された噴霧ノズルを噴霧装置内に取り付けるステップであって、前記取り付けられたノズルからの噴霧プルームが、前記選択された特性を有する、ステップと、
前記取り付けられた噴霧ノズルを用いてステントを噴霧コーティングするステップと、
を備える、方法。
【請求項23】
ステントをコーティングする装置であって、
コーティング材料を塗布する噴霧ノズルと、
コーティング後のステントを乾燥する乾燥ノズルと、
可動部材に結合された、第1ステント支持体および第2ステント支持体であって、前記可動部材が、前記ステント支持体のうちの一方を前記噴霧ノズルでコーティングするために位置決めし、他方のステント支持体を前記乾燥ノズルで乾燥するために位置決めすることができる、第1ステント支持体および第2ステント支持体と、
を備える、装置。
【請求項24】
コーティング後のステントを乾燥する方法であって、
ステント上のコーティングを乾燥するために、可動支持部材上に取り付けられた複数のコーティング後のステントをオーブン内に搬送するステップと、
前記複数のステントのうちの1つを定期的に取り除き、追加のコーティング後のステントを前記可動支持部材上に置くことにより、前記追加のステントを前記オーブン内に搬送して、前記追加のコーティング後のステント上のコーティング剤を乾燥できるようにするステップと、
を備える、方法。
【請求項25】
コーティング後のステントを乾燥する装置であって、
オーブン内で乾燥する間に、可動支持部材によって支持された複数のコーティング後のステントを搬送する可動支持部材を含んだオーブンと、
追加のステント上のコーティング剤を乾燥するために前記追加のステントを前記オーブン内に搬送することができるよう、前記オーブンから前記可動支持部材上の乾燥したステントを取り除き、前記追加のコーティング後のステントを前記可動支持部材上に配置することが可能な移動機構体と、
を備える、装置。
【請求項26】
コーティング後のステントを乾燥する装置であって、
オーブン支持部材を含むオーブンであって、前記オーブン支持部材によって支持された複数のコーティング後のステントを搬送し、前記ステントが前記オーブン支持部材の動きによって搬送される、オーブンと、
前記オーブンから取り除かれたステントを支持し、前記オーブン内に置かれることを待っている追加のステントを支持する緩衝支持部材と、
を備える、装置。
【請求項27】
コーティング後のステントを乾燥する方法であって、
ステント上のコーティング剤を乾燥するために、可動支持部材上に取り付けられた複数のコーティング後のステントをオーブン筐体内に搬送するステップであって、前記ステントが、前記可動支持部材の動きによって、前記オーブン内に搬送されるステップを備える、方法。
【請求項28】
オーブン筐体内に置かれた回転可能なダイヤルを含むオーブン筐体を備える、コーティング後のステントを乾燥する装置であって、
前記回転可能なダイヤルが複数のステントを支持して、前記ステントを前記オーブン筐体内に移送することにより、前記ステント上のコーティング剤を乾燥できるように構成され、前記ステントが、前記ダイヤルの回転によって搬送される、装置。
【請求項29】
オーブン筐体内に置かれたコンベアベルトを含むオーブン筐体を備える、コーティング後のステントを乾燥する装置であって、
前記コンベアベルトが複数のコーティング後のステントを支持して、前記ステントを前記オーブン筐体内に搬送することにより、前記ステント上のコーティング剤を乾燥できるように構成され、前記ステントが、前記オーブン筐体を通る前記ベルトの動きによって搬送される、装置。
【請求項30】
オーブンに取り付けられた筐体を備える、コーティング後のステントを乾燥する装置であって、
前記筐体がコンベアベルトを含み、前記コンベアベルトが複数のステントを支持して、前記ステントを前記オーブン筐体内に移送して乾燥し、前記ステントを前記オーブンから外に移送して、コンベアベルトから取り外すことができるように構成されている、装置。
【請求項31】
長手軸線を有するシリンダを検査する方法であって、
前記シリンダを、前記シリンダをシリンダの長手軸線まわりに回転させる複数のローラを備えたローラアセンブリに提供するステップと、
前記シリンダを照射するステップと、
前記ローラアセンブリを用いて、前記シリンダの長手軸線まわりに前記シリンダを回転させるステップと、
前記シリンダの少なくとも一部の少なくとも1枚の画像を生成するステップと、
前記画像を分析して前記シリンダの欠陥を検査するステップと、
を備える、方法。
【請求項32】
長手軸線を有するシリンダを検査するシステムであって、
前記シリンダを前記シリンダの長手軸線まわりに回転させる複数のローラを備えたローラアセンブリと、
前記シリンダを照射する光源と、
前記シリンダの少なくとも一部の画像を生成するカメラと、
前記ローラアセンブリと前記光源と前記カメラとを制御し、前記画像を分析して、前記シリンダの欠陥を検査するコンピュータシステムと、
を備える、システム。
【請求項33】
長手軸線と長さと幅とを有するシリンダを検査する方法であって、
前記シリンダをその長手軸線まわりに回転させるステップと、
前記シリンダを照射するステップと、
検査カメラを用いて、前記シリンダの長さの少なくとも一部および前記シリンダの幅の少なくとも一部の画像を生成するステップであって、前記シリンダが、光源と前記検査カメラとの間に少なくとも部分的に置かれている、ステップと、
前記画像を分析して、前記シリンダの欠陥を検査するステップと、
を備える、方法。
【請求項34】
長手軸線と長さと幅とを有するシリンダを検査するシステムであって、
前記シリンダをその長手軸線回まわりに回転させる支持台と、
前記シリンダを照射する光源と、
前記シリンダの長さの少なくとも一部および前記シリンダの幅の少なくとも一部の画像を生成する検査カメラであって、前記シリンダが、前記光源と前記検査カメラとの間に少なくとも部分的に置かれている、検査カメラと、
前記支持台と前記光源と前記検査カメラを制御し、前記画像を分析して、欠陥を特定するコンピュータシステムと、
を備える、システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34A】
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【図34B】
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【図35】
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【図36】
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【図37A】
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【図37B】
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【図38A】
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【図38B】
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【図39】
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【図40A】
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【図40B】
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【図40C】
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【図40D】
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【図40E】
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【図41A】
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【図41B】
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【図41C】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58A】
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【図58B】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66A】
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【図66B】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【図74】
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【図75】
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【図76】
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【図77】
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【図78】
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【図79】
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【公表番号】特表2010−529886(P2010−529886A)
【公表日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512228(P2010−512228)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/061806
【国際公開番号】WO2008/156920
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(507135788)アボット カーディオヴァスキュラー システムズ インコーポレイテッド (92)
【Fターム(参考)】