ステント・グラフトの取り付け具
【課題】種々の形態のステントに血管グラフトを取り付ける新規な取り付け具を提供する。
【解決手段】取り付け具は、カバーを、ステント部材12の選択された交差部に対して相対的に固定し、カバー20がしわになったり、縮れたり、ステントが半径方向に拡張する際にすべり落ちたりするのを防止する。好ましい実施の形態においては、取り付け具は、ステントカバーを通り抜けるとともに、選択された交差部間でステント部材のまわりに巻き付き、選択された交差部で交差しているステント部材のまわりに結び付けられる連続フィラメント30を含んでいる。
【解決手段】取り付け具は、カバーを、ステント部材12の選択された交差部に対して相対的に固定し、カバー20がしわになったり、縮れたり、ステントが半径方向に拡張する際にすべり落ちたりするのを防止する。好ましい実施の形態においては、取り付け具は、ステントカバーを通り抜けるとともに、選択された交差部間でステント部材のまわりに巻き付き、選択された交差部で交差しているステント部材のまわりに結び付けられる連続フィラメント30を含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にはステント・グラフト(stent-graft)に関するものであり、とくには交差しているステント部材にカバー(covering)又はグラフト(graft)を取り付けるための装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ステント・グラフトは、外科的処置において、種々の血管障害を処置するのに用いられる。ステント・グラフトは、グラフト又はカバーを、該グラフト又はカバーを構造的に支持するステント又はステントフレームと組み合わせてなる結合体を含んでいる。このような結合体におけるステントは、一般的には管状であり、典型的には、種々の方法で互いにクロスし又は交差しているワイヤ又は薄い金属部材などの構造素材からなる開かれたフレーム構造又はメッシュを含んでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ある1つのステント・グラフトの構造においては、編まれたステントが配設され、ここで背向する螺旋状のステント部材が互いに重なり合いクロスしている交差部を形成している。編まれたステントは、患者の管腔内に配置するために半径方向に収縮するとともに、それが開かれた内腔を形成する形態に半径方向に拡張するようになっている。ステント・グラフトに係るステントは、ステントの内側又は外側に配置されたカバー又は裏地(liner)であり、ステントフレームを覆ってステントの内腔を通る流体通路を画成する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の典型的な実施態様によれば、交差しているステント部材(intersecting stent members)にステントカバー又はグラフトを取り付けるための取り付け具(attachment)が、ステントカバーを繰り返し通り抜けるとともに、あるステント部材のまわりに巻き付いている(wrapping)連続フィラメント(continuousfilament)を含んでいる。このステント部材は、該ステント部材ともう1つのステント部材との交差部(intersection)と隣り合っている。連続フィラメントは、その交差部のまわりに結び付けられ(knotted)、さらに引き続いて、カバーを繰り返し通り抜けるとともに交差しているステント部材のまわりに巻き付いている。典型的な実施の形態においては、フィラメントは縫合糸(suture)であり、交差しているステント部材は編まれたステントの端部を形成し、カバーは織られたダクロン(wovendacron)及び拡張された薄いポリテトラフロロエチレン(thin expanded polytetrafloroethlene)の積層を含んでいる。
【0005】
本発明は、ステント部材が、グラフトにしわ(wrinkles)及び縮れ(crimps)を生じさせることなく自由に蝶番回転(hinge)又はピボット回転する(pivot)ことを可能にしつつ、種々の形態のステントに血管グラフトを取り付ける取り付け具を提供することができる。典型的な実施態様によれば、連続的なフィラメントは、交差しているステント部材によって形成されたステント端部の境界部にある(circumscribing)複数の隣り合う交差部に結び付けられ(knotted)、かつ円周方向に連続している交差しているステント部材に結び付けられている。ステント部材間のこの結び付けは、カバーを繰り返し通り抜けるとともに、隣り合う交差部を相互に接続するステント部材の一部分のまわりに巻き付くフィラメントを生じさせる(entail)。カバーの端部は、選択されたクロスしている(crossing)交差部間のフレーム部材の輪郭(contour)に追随(follow)していてもよい。結び付けられた各ループ(loop)は、交差している各ステント部材上のいくつかの連続するループの1つを含んでいてもよい。このループは、フィラメントの介在ループ、又は、オプションである、介在交差部を好ましく長手方向に取り囲むその他の拘束部材、例えばリング又はワイヤループなどである。
【0006】
取り付け具はまた、交互にクロスしているクリンプ交差部(crimped intersection)を含んでいる編まれたステント部の端部に設けられていてもよい。交互にクロスしているクリンプ交差部間に結び付けが再び実施される。フィラメントはステント部材の一部分のまわりに巻き付けられ、さらにクロス交差部(crossingintersection)で交差しているステント部材のまわりに長手方向に結び付けられ、かつクリンプ交差部で、交差しているステント部材のまわりに水平方向に結び付けられる。
【0007】
取り付け具は、ステント部材を軸方向に反転させることにより形成された、ステントの編まれた部分の端部に設けられてもよい。連続フィラメントは、ステント部材によって形成されたステントの境界部にある複数の隣り合う交差部に結び付けられてもよい。このフィラメントは、カバーを繰り返し通り抜け、隣り合う交差部を相互に接続しているステント部材の反転部分(すなわち転回部(turn))のまわりに巻き付く。フレーム部材の輪郭は、選択されたクロス交差部間のカバーの端部に追随していてもよい。
より特定すれば、本発明は以下の項目に関し得る。
(項目1)
ステントカバーと、管状のステントが交差しているステント部材との間の取り付け具であって、
上記ステントカバーを繰り返し通り抜けるとともに、上記ステント部材の少なくとも1つに巻き付いているフィラメントと、
上記の交差しているステント部材の少なくとも1つの交差部を取り巻くとともに、上記交差部に近い部位で上記カバーに取り付けられた拘束部材とを含んでいる取り付け具。
(項目2)
上記拘束部材が、上記の交差しているステント部材の1つ又は複数の交差部で、上記の交差しているステント部材のまわりに結び付けられた、上記フィラメントの一部分を含んでいる、項目1に記載の取り付け具。
(項目3)
上記フィラメントが縫合糸である、項目2に記載の取り付け具。
(項目4)
上記フィラメントがワイヤである、項目2に記載の取り付け具。
(項目5)
上記の交差しているステント部材が編まれたものである、項目2に記載の取り付け具。
(項目6)
該取り付け具が、上記ステント部材によって形成されたステントの編まれた部分の端部に配置されている、項目2に記載の取り付け具。
(項目7)
上記フィラメントが、上記ステント部材によって形成されたステントの境界部にある複数の隣り合う交差部に結び付けられている、項目2に記載の取り付け具。
(項目8)
上記フィラメントが上記カバーを繰り返し通り抜け、隣り合う交差部を相互に接続するステント部材の一部分に巻き付けられている、項目7に記載の取り付け具。
(項目9)
上記カバーの端部が、相互に接続された隣り合う交差部間の上記フレーム部材の輪郭に追随している、項目8に記載の取り付け具。
(項目10)
上記カバーが、織られたダクロン及び拡張された薄いポリテトラフロロエチレンの積層を含んでいる、項目2に記載の取り付け具。
(項目11)
上記フィラメントが、円周方向に連続する上記の交差しているステント部材の各々のまわりに、複数の連続したループを形成している、項目2に記載の取り付け具。
(項目12)
上記拘束部材が、上記フィラメントとは別のフィラメントに形成された結び目である、項目1に記載の取り付け具。
(項目13)
上記拘束部材がリングである、項目1に記載の取り付け具。
(項目14)
上記拘束部材がU字形留め金である、項目1に記載の取り付け具。
(項目15)
上記拘束部材が、上記の交差しているステント部材を長手方向に取り巻いている、項目1に記載の取り付け具。
(項目16)
カバーをステントに取り付ける方法であって、
交差しているステント部材を有するステントフレームを準備するステップと、
上記カバーを上記フレームに位置決めするステップと、
フィラメントを上記ステント部材の1つに沿って繰り返し上記ステントカバーを通り抜けさせるとともに、上記の繰り返される通り抜けの間に上記ステント部材のまわりにフィラメントを巻き付けるステップと、
上記ステント部材の交差部のまわりのフィラメントを第2のステント部材に結び付けるステップとを含んでいる方法。
(項目17)
上記フィラメントが縫合糸である、項目16に記載の方法。
(項目18)
上記フィラメントがワイヤである、項目16に記載の方法。
(項目19)
上記の交差しているステント部材が編まれたものである、項目16に記載の方法。
(項目20)
上記ステント部材によって形成されたステントの編まれた部分の端部に上記取り付け具を位置決めするステップをさらに含んでいる、項目16に記載の方法。
(項目21)
上記ステント部材によって形成された上記ステントの端部において、連続するステント部材のまわりに上記フィラメントを巻き付けるとともに、上記ステント端部の境界部にある複数の隣り合う交差部に上記フィラメントを結び付けるステップをさらに含んでいる、項目16に記載の方法。
(項目22)
上記ステント部材の巻き付け及び上記カバーの端部が、上記の連続するステント部材の輪郭に追随している、項目21に記載の方法。
(項目23)
上記カバーが、織られたダクロン及び拡張された薄いポリテトラフロロエチレンの積層を含んでいる、項目16に記載の方法。
(項目24)
上記巻き付けの各々が、各ステント部材上におけるいくつかの連続した巻き付けの1つを含んでいる、項目16に記載の方法。
(項目25)
ステントカバーと、交差しているステント部材の編まれた部分の端部との間の取り付け具であって、
該取り付け具が、上記ステントカバーを繰り返し通り抜けるとともに、上記ステント部材の少なくとも1つのまわりに巻き付いている縫合糸を含んでいて、
該取り付け具が、上記ステントの編まれた部分の端部に位置決めされ、
上記縫合糸が、上記ステントの境界部にある上記ステント部材の1つ又は複数の交差部で上記の交差しているステント部材のまわりに結び付けられ、上記カバーを繰り返し通り抜け、上記交差部を相互に接続しているステント部材の部分のまわりに巻き付いている取り付け具。
(項目26)
複数の位置で互いに交差している複数の編まれたステント部材と、
上記ステント部材を覆って配置されたカバーと、
上記位置中の選択された1つの位置に結び付けられるとともに、上記カバーを通り抜けて上記ステント部材のまわりに巻き付いている接続部材とを含んでいて、
上記の選択された位置の間において、上記ステント部材が上記の選択された位置にピボット回転可能な形態で相互に結合され、上記カバーが上記の選択された位置で上記ステント部材に固定されているステント・グラフト。
(項目27)
上記カバーの上記端部が、上記の選択された位置間で上記ステント部材の輪郭に追随している、項目26に記載のステント・グラフト。
(項目28)
上記カバーが、上記の選択された位置間で上記ステント部材と重なっている対角エッジで終端している、項目27に記載のステント・グラフト。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】二股のステント・グラフトのイリアック伸長部を示す図である。
【図2】二股のステント・グラフトの二股部を示す図である。
【図3】交差しているステント部材にカバーを取り付ける前における、図1に示すイリアック伸長部の近位端を示す図である。
【図4】本発明の典型的な実施の形態に係る連続フィラメントを伴った交差しているステント部材に取り付けられたカバーを伴った、図1に示すイリアック伸長部の近位端を示す図である。
【図5A】本発明の典型的な実施の形態に係る、図1に示すイリアック伸長部の近位端で、交差しているステント部材にカバーを取り付ける方法の第1ステップを示す図である。
【図5B】本発明の典型的な実施の形態に係る、図1に示すイリアック伸長部の近位端で、交差しているステント部材にカバーを取り付ける方法の第2ステップを示す図である。
【図5C】本発明の典型的な実施の形態に係る、図1に示すイリアック伸長部の近位端で、交差しているステント部材にカバーを取り付ける方法の第3ステップを示す図である。
【図5D】本発明の典型的な実施の形態に係る、図1に示すイリアック伸長部の近位端で、交差しているステント部材にカバーを取り付ける方法の第4ステップを示す図である。
【図5E】本発明の典型的な実施の形態に係る、図1に示すイリアック伸長部の近位端で、交差しているステント部材にカバーを取り付ける方法の第5ステップを示す図である。
【図6】本発明の典型的な実施の形態に係る、交差しているステント部材にカバーを固定する連続フィラメントにより形成された結び目の特徴を示す1つの交差部における取り付け具をステントの内側からみた図である。
【図7】交差しているステント部材にカバーを固定する結び目を伴った連続フィラメントの特徴を示す1つの交差部における取り付け具をステントの外側からみた図である。
【図8】交差しているステント部材を一体的に保持しているクリンプを有するクリンプ交差部を備えた、図1に示すイリアック伸長部の遠位端を示す図である。
【図9】連続的な結び付けと、選択されたクロスしている交差部の長手方向の結び目と、ステント部材の選択されたクリンプ交差部の直下の横方向の結び目とを示す図である。
【図10】本発明の典型的な実施の形態に係る二股のステント・グラフトの近位端において取り付け具を形成する方法における1つのステップを示す図である。
【図11】本発明の典型的な実施の形態に係る二股のステント・グラフトの近位端において取り付け具を形成する方法における、図10に示すステップに続くステップを示す図である。
【図12】ステントの外側からみた、図11と同じステップを示す図である。
【図13】本発明の典型的な実施の形態に係る、交差しているステント部材の軸方向の転回部に適合する取り付け具を形成する方法における1つのステップを示す図である。
【図14】完成した状態における図13に係る取り付け具を示す図である。
【図15】本発明の典型的なもう1つの代替的な実施の形態に係る、連続フィラメント及びピボット回転可能な拘束手段を伴った、交差しているステント部材に取り付けられたカバーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
出願人は、好ましい代替的な実施の形態により本発明を説明するが、本発明がこれらの実施の形態に限定されるものでないということが理解されるべきである。さらに、図面は必ずしも正しい縮尺であらわされている訳ではないということが理解されるべきである。ある場合においては、出願人は、本発明を理解するのに必要でない細部は省略している。
【0010】
以下、図面を参照しつつ本発明を説明する。なお、図面中において、同一の参照番号は同一の要素を示している。これらの図面は、限定的なものではなく例示的なものであることが意図され、本発明に係る装置の説明を容易にするために添付されている。
【0011】
図1及び図2は、イリアック伸長部2(iliac extension)及び二股部3(bifurcate section)を含むモジュール式の二股ステント・グラフトを示している。両者2、3は、それぞれ、螺旋状に編まれて管状のステント部を形成している交差しているステント部材12に取り付けられたステントカバー20を有している。イリアック伸長部2の近位端18は、二股部3のソケット9に取り付けられ、これにより完全な二股ステント・グラフトを形成する。図1は、ステント・グラフトのイリアック伸長部2が、交互に位置するクロス交差部及びクリンプ交差部を有するイリアック伸長部2の遠位端で交差しているステント部材12に取り付けられたカバー20を含んでいる。カバー20が取り付けられているステント・グラフトの近位端18では、隣り合うクロス交差部がステント・グラフトの境界部をなしている(circumscribe)。図2に示すように、二股部3は1つのイリアック伸長部内に伸びるようになっている脚部19と、イリアック伸長部を受け入れるようになっているソケット9とに分岐している主幹部8(trunksection)を含んでいる。イリアック伸長部2は、ソケット9内に挿入されるようになっているモジュール式の部品である。カバー20が取り付けられている主幹部9の分岐していない端部は、交互に位置するクロス交差部とクリンプ交差部とを含んでいる。脚部19の端部では、カバー20は、隣り合うクロス交差部で交差しているステント部材に取り付けられている。ソケット9の端部では、カバー20は、隣り合うクロス交差部に取り付けられている。隣り合うクロス交差部は、両者間にステント部材の反転部(reversingportions)ないしは転回部(turns)を有している。二股部3の分岐していない端部及びイリアック伸長部2の遠位端17は、円周方向に連続する六角形のセルを含む非被覆端部4で終端している。
【0012】
図11に最も良く示されているように、イリアック伸長部2の遠位端17における交差しているステント部材12は(半径方向外向きにみて)編まれ、非被覆ステント部4から離間する方向に伸びるステントセグメント(stentsegment)を形成している。このステントセグメントは、交差部14を形成している、あるパターンで相互に織られ又は編まれた少なくとも2つの連続するステント部材12によって形成されている。各交差部14において、ある1つのステント部材12は、他のステント部材12に対して相対的に半径方向外向きに位置決めされている。連続している交差部14を通る螺旋状の経路に沿う各ステント部材12に続いて、該ステント部材12はある1つの交差部では半径方向内側の位置にあり、次の交差部14では半径方向外側の位置にあってもよい。あるいは、ステント部材12は、2つの交差部14に対しては内側の位置にあり、次の2つの交差部14に対しては外側の位置にあるといった構成を繰り返すものであってもよい。典型的な編まれたステント10は、例えば、ここに参照のために編入されている、ハンス・アイ・ウォールステン(HansI Wallsten)に係る米国特許第4,655,771号明細書に開示されている。以下、図11中に示すステント部材12に取り付けられたカバー20、及び、カバー20とステント部材12との間の取り付け具をより詳細に説明する。
【0013】
二股部3(図2に示されている)はまた、編まれた構造のステント部材12も含んでいる。典型的な編まれたステント部は、第1の螺旋方向に巻かれた第1のステント集合と、これとは反対向きの第2の螺旋方向に巻かれた第2のステント集合とを含み、複数の交差部を形成している。ステント部材の第1及び第2の集合は、ソケット9及び脚部19の端部で軸方向に反転している連続するステント部材であってもよい。ステント部材12は、ニチノール(nitinol)又はステンレススチールなどのワイヤ(wire)であってもよく、あるいは、この技術分野で既知のポリマー又はその他の任意のステント材料を含んでいてもよい。
【0014】
図3及び図4は、イリアック伸長部2(図1に示されている)の近位端18などのための典型的な取り付け具を示している。ここで、ステント部材12は軸方向に反転して転回部13を形成し、反対方向に続いている。ステント部材12は、互いに横切ってクロス交差部14aを形成している。図3に示すように、カバー20は、ステント部材に適合するようにトリミングが施されている(trimmed)。第1のステント部材12aでのトリミング(trimming)が終了したときに、カバー20は、連続するフィラメント30でステント部材12に縫い合わせられ又は結び付けられることができる。フィラメント30は、ステントカバー20を通り抜け、第1のステント部材12aのまわりに巻き付き、カバー20を第1のステント部材12aに結び付ける。この結び付けは、クロス交差部14aに到達するまで繰り返される。この後、連続フィラメント30は、クロス交差部14aで、第1の交差ステント部材12a及び第2の交差ステント部材12bのまわりに結び付けられる。連続フィラメント30は、交差部14aで結び付けられた後、第2のステント部材12bに結び付けられる。図3は、ステント部材12の輪郭に追随させるためにトリミングが施されたカバー20を示している。図4は、ステント・グラフトの一部分の境界部をなすクロス交差部14aで交差ステント部材12のまわりに結び付けられ、隣り合うクロス交差部間でステント部材に結び付けられた連続フィラメント30を伴った完成された取り付け具を示している。フィラメント30は、縫合糸、ワイヤ、又は、巻き付け及び結び付けに対して十分な可撓性(flexibility)を有し、かつカバーをステントに取り付けるのに十分な強度を有するその他の材料のものであってもよい。
【0015】
図5A〜5Eは、本発明の典型的な実施の形態に係る連続的な巻き付け及び結び付け技術でもって、カバー20を第1のステント構造に取り付けるための方法における順次のステップを示している。図5A〜5Eに示すように、第1のステント構造においては、ステント部材12は、軸方向に変化する転回部13を有している。図5A〜5Eに示す、本発明の典型的な実施の形態においては、カバー20は転回部13へは伸びていないが、ステント・グラフト部の端部の境界部にある隣り合うクロス交差部のところ及びこれらの間に取り付けられている(図5A〜5Eにおいては、図1におけるイリアック骨伸長部の近位端が示されている)。
【0016】
図5Aに示すように、連続フィラメント30は、カバー20を第1のステント部材12aに結び付けている(図4に示されている)。この結び付けにおいては、フィラメント30をカバー20を通り抜けさせ、次に第1のステント部材12aに巻き付けさせ、そしてカバー20に戻すようにしている。この結び付けは、交差部14aに到達するまで繰り返されて、連続する縫い合わせ又は結び目を形成する。
【0017】
次に、図5Bに示すように、交差部14aにおいて交差ステント部材12のまわりに、フィラメント30で長手方向に第1のループ31が形成される。第1のループ31は、交差部14aにおいて、両方の交差ステント部材12a、12bのまわりを回り、交差しているステント部材12が、カバー20を交差部14aに固定しつつ、互いに相対的にピボット回転することを可能にする。図5Bに示す典型的な実施の形態においては、連続フィラメント30は、ほぼ、交差しているステント部材12によって形成された第1の頂点(apex)でステント10の内側からステント10の外側へ、カバー20を通り抜けさせられる。そして、フィラメント30は、ほぼ、交差しているステント部材12によって形成された長手方向の反対側の頂点で交差部14aのまわりを回らされる。この後、連続するフィラメント30は、再び、第1の頂点に最も近いカバー20の部分を通り抜けさせられる。図5Cは、フィラメント30で交差部14aのまわりにつくられた第2のループ32を示している。第2のループ32は、第1のループ31と同じ方法で形成される。
【0018】
図5Dは、第1及び第2のループ31、32を通り抜けているフィラメント30を示している。この後、フィラメント30は、かたく締まるように引っ張られ、長手方向の結び目33(knot)が形成される。これにより、カバー20が交差部14aで交差しているステント部材12に固定される(図5Eに示されている)。
【0019】
最後に、図5Eに示すように、連続フィラメント30が第2のステント部材12bに結び付けられる(図4に示されている)。
【0020】
再び図5Aに示すように、連続フィラメント30は、カバー20を通り抜けさせられる。結び付けを開始する前に、フィラメント30をカバー20及びステント10に固定するために結び目がつくられる。
【0021】
図6及び図7は、それぞれ、クロス交差部14aにおけるステントカバー20と交差ステント部材12との間の取り付け具の内面図及び外面図を示している。カバー20は、長手方向の結び目33及び連続フィラメント30の連続的な結び付けによってステント・グラフトの交差しているステント部材12に取り付けられている。この取り付け具は、ステント部材12によって形成された編まれたステント部の端部に位置決めされている。
【0022】
図8及び図9は、イリアック伸長部2(図1に示されている)の遠位端17又は二股部3(図2に示されている)の非分岐端部などのための、交互に位置するクロス交差部14aとクリンプ交差部14bとを含むステント構造のための典型的な取り付け具を示している。クリンプ交差部14bでは、ステント部材12同士が接触し、クリンプ16で一体的に固定されている。図8は、交互に位置するクリンプ交差部とクロス交差部とを含むステント部の端部で、ステント部材12に適合する(conform)ようにトリミングが施されたカバー20を示している。図9は、交互に位置するクリンプ交差部とクロス交差部とを含むステント部の端部で、カバー20の交差しているステント部材12への取り付けが終了した取り付け具を示している。この実施の形態に係る取り付け具は、ステント部材12上の連続フィラメント30の結び付けと、クロス交差部14aにおける連続フィラメント30に形成された長手方向の結び目33と、ステント部材12のクリンプ交差部14bにおいてクリンプ16の直下で連続フィラメント30に形成された横方向の結び目34とを含んでいる。
【0023】
図10〜図12は、交差しているステント部材12へのカバー20の取り付け具を形成するための方法を示している。ここで、交差しているステント部材は、ステントの編まれた部分の端部に、クロス交差部14aとクリンプ交差部14bとを交互に形成している。図10は、クリンプ交差部14bを伴った二股部3(図2に示されている)の近位端18を示している。図10に示すように、カバー20は、交互に位置するクリンプ交差部とクロス交差部とを含むステント部の端部で、ステント部材12に適合するようにトリミングが施され、又は輪郭がつくられている。
【0024】
図11及び図12は、それぞれ、ステントの内側及び外側からみた完成された取り付け具を示している。連続フィラメント30は、ステント部材12によって形成されたステント部の境界部にある複数の隣り合う交差部14に結び付けられている。図11に示すように、連続フィラメント30は、カバー20を繰り返し通り抜け、隣り合う交差部14を相互に接続するステント部材12の部分のまわりを回っている。この後、連続フィラメント30がクロス交差部14aに到達したときに、上記のように長手方向の結び目33(図12に示されている)が形成される。連続フィラメント30に結び目33が形成された後、連続フィラメント30は、再び、カバー20を繰り返し通り抜け、隣り合う交差部14を相互に接続しているステント部材12の他の部分のまわりを回らされる。この後、連続フィラメント30がクリンプ交差部14bに到達したときに、横方向の結び目34(図12に示されている)が形成される。横方向の結び目34は、クリンプ交差部14bで両ステント部材のまわりに連続フィラメント30のループを2つ形成し、ループ内にカバー20を捕らえる(capture)ことにより形成される。この後、連続フィラメント30は、ループを通り抜けさせられ、ピンと張るように強く引っ張られ、結び目34が形成される。
【0025】
図13及び図14は、二股部3(図2に示されている)のソケット9の端部などのための典型的な取り付け具を示している。ここで、ステント部材12は転回部13を形成し、カバー20は、転回部13によって形成されたステント・グラフトの波形の(scalloped)端部に取り付けられている。図13に示すように、カバー20は、転回部13で、ステント部材12と整合するように輪郭がつくられ、又はトリミングが施されている。図13に示すように、カバー20の輪郭がつくられた端部は、転回部13によってステント部材12に形成された波形の端部と一致する(coincide)。
【0026】
連続フィラメント30は、ステント部材12によって形成されたステント部の境界部にある複数の隣り合うクロス交差部14aに結び付けられている。図14に示すように、連続フィラメント30は、カバー20を繰り返し通り抜け、ステント部材12の転回部13のまわりを回っている。この後、連続フィラメント30がクロス交差部14aに到達したときに、上記のように長手方向の結び目33が形成される。連続フィラメント30に結び目33が形成された後、連続フィラメント30は、再び、カバー20を繰り返し通り抜け、ステント部材12に形成された他の転回部13のまわりを回らされる。
【0027】
典型的なステントは、腹部大動脈瘤(AAA)を処置するための形態のものであり、二股部3のソケット9に接続されたイリアック伸長部2を伴った二股部3を含んでいる。イリアック伸長部2及び二股部3は、それぞれ、図1及び図2に示されている。典型的なステントは、本発明に係る取り付け具の種々の実施の形態を含む。結びつけ(lashing)と、長手方向の結び目33(knot)と、横方向の結び目34(図12に示されている)とを含んでいる取り付け具は、二股部3の主幹部8の非被覆端部と、イリアック伸長部2の近位端17とに設けられている。結び付けと、長手方向の結び目33(図4に示すように)とを含んでいる取り付け具は、イリアック伸長部2(図1に示されている)の近位端18と、二股部3(図2に示されている)の脚部19の遠位端とに設けられている。波形の転回部13のまわりで伸びている結び付け部と、長手方向の結び目33(図14に示されている)とを含んでいる取り付け具は、二股部3(図2に示されている)のソケット9の遠位端に設けられている。
【0028】
そして、図15に示すように、カバー20はまた、本発明の代替的で典型的な実施の形態に係るピボット回転可能な(pivotal)拘束部材41と連続するフィラメント30の組み合わせを用いてステント部材12に取り付けられていてもよい。図3に示すように、カバー20は、ステント部材12に適合するようにトリミングが施されている。第1のステント部材12aでのトリミングが終了したときに、カバー20は、連続フィラメント30でもってステント部材12に縫い合わせられ又は結び付けられることができる。フィラメント30は、ステントカバー20を通り抜け、第1のステント部材12aのまわりに巻き付き、カバー20を第1のステント部材12aに結び付ける。この結び付けは、クロス交差部14aに到達するまで繰り返される。この後、連続フィラメント30は、第2のステント部材12bに結び付けられる。連続フィラメント30は、カバー20を、ステント・グラフトの一部、好ましくはその端部の境界部にあるクロス交差部14a間の交差しているステント部材12に結びつける。フィラメント30は、縫合糸又はワイヤであってもよく、あるいは結び付けに対して十分な可撓性を有するとともに、カバーをステントに結びつけるのに十分な強度を有するその他の材料であってもよい。結び付けと隣り合うクロス交差部14aにおいて、ピボット回転可能な拘束部材41は、交差部を形成する両ステント部材のまわりに、カバー20を通って配置されている。ピボット回転可能な拘束部材は、連続フィラメント30とは別のフィラメントに形成された結び目であってもよい。これに代えて、ピボット回転可能な拘束部材は、リング又はU字形留め金、あるいは互いに相対的なピボット回転が可能である、交差部においてフィラメントを固定するその他の構造物であってもよい。
【0029】
この明細書では、本発明は特定の実施の形態を参照しつつ説明ないしは図示されている。しかし、本発明は示された詳細なものに限定されるものではなく、本発明を逸脱することなく特許請求の範囲と等価な範囲及び視野内で、種々の修正がきめ細かくなされてもよい。
【符号の説明】
【0030】
2 イリアック伸長部、3 二股部、4 ステントの非被覆部、8 基幹部、9 ソケット、12 交差しているステント部材、13 転回部、14 交差部、14a クロス交差部、14bクリンプ交差部、16 クリンプ、17 遠位端、18 近位端、19 脚部、20 カバー、30 フィラメント、31 第1のループ、32 第2のループ、34 長手方向の結び目、34横方向の結び目、41 ピボット回転可能な拘束部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にはステント・グラフト(stent-graft)に関するものであり、とくには交差しているステント部材にカバー(covering)又はグラフト(graft)を取り付けるための装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ステント・グラフトは、外科的処置において、種々の血管障害を処置するのに用いられる。ステント・グラフトは、グラフト又はカバーを、該グラフト又はカバーを構造的に支持するステント又はステントフレームと組み合わせてなる結合体を含んでいる。このような結合体におけるステントは、一般的には管状であり、典型的には、種々の方法で互いにクロスし又は交差しているワイヤ又は薄い金属部材などの構造素材からなる開かれたフレーム構造又はメッシュを含んでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ある1つのステント・グラフトの構造においては、編まれたステントが配設され、ここで背向する螺旋状のステント部材が互いに重なり合いクロスしている交差部を形成している。編まれたステントは、患者の管腔内に配置するために半径方向に収縮するとともに、それが開かれた内腔を形成する形態に半径方向に拡張するようになっている。ステント・グラフトに係るステントは、ステントの内側又は外側に配置されたカバー又は裏地(liner)であり、ステントフレームを覆ってステントの内腔を通る流体通路を画成する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の典型的な実施態様によれば、交差しているステント部材(intersecting stent members)にステントカバー又はグラフトを取り付けるための取り付け具(attachment)が、ステントカバーを繰り返し通り抜けるとともに、あるステント部材のまわりに巻き付いている(wrapping)連続フィラメント(continuousfilament)を含んでいる。このステント部材は、該ステント部材ともう1つのステント部材との交差部(intersection)と隣り合っている。連続フィラメントは、その交差部のまわりに結び付けられ(knotted)、さらに引き続いて、カバーを繰り返し通り抜けるとともに交差しているステント部材のまわりに巻き付いている。典型的な実施の形態においては、フィラメントは縫合糸(suture)であり、交差しているステント部材は編まれたステントの端部を形成し、カバーは織られたダクロン(wovendacron)及び拡張された薄いポリテトラフロロエチレン(thin expanded polytetrafloroethlene)の積層を含んでいる。
【0005】
本発明は、ステント部材が、グラフトにしわ(wrinkles)及び縮れ(crimps)を生じさせることなく自由に蝶番回転(hinge)又はピボット回転する(pivot)ことを可能にしつつ、種々の形態のステントに血管グラフトを取り付ける取り付け具を提供することができる。典型的な実施態様によれば、連続的なフィラメントは、交差しているステント部材によって形成されたステント端部の境界部にある(circumscribing)複数の隣り合う交差部に結び付けられ(knotted)、かつ円周方向に連続している交差しているステント部材に結び付けられている。ステント部材間のこの結び付けは、カバーを繰り返し通り抜けるとともに、隣り合う交差部を相互に接続するステント部材の一部分のまわりに巻き付くフィラメントを生じさせる(entail)。カバーの端部は、選択されたクロスしている(crossing)交差部間のフレーム部材の輪郭(contour)に追随(follow)していてもよい。結び付けられた各ループ(loop)は、交差している各ステント部材上のいくつかの連続するループの1つを含んでいてもよい。このループは、フィラメントの介在ループ、又は、オプションである、介在交差部を好ましく長手方向に取り囲むその他の拘束部材、例えばリング又はワイヤループなどである。
【0006】
取り付け具はまた、交互にクロスしているクリンプ交差部(crimped intersection)を含んでいる編まれたステント部の端部に設けられていてもよい。交互にクロスしているクリンプ交差部間に結び付けが再び実施される。フィラメントはステント部材の一部分のまわりに巻き付けられ、さらにクロス交差部(crossingintersection)で交差しているステント部材のまわりに長手方向に結び付けられ、かつクリンプ交差部で、交差しているステント部材のまわりに水平方向に結び付けられる。
【0007】
取り付け具は、ステント部材を軸方向に反転させることにより形成された、ステントの編まれた部分の端部に設けられてもよい。連続フィラメントは、ステント部材によって形成されたステントの境界部にある複数の隣り合う交差部に結び付けられてもよい。このフィラメントは、カバーを繰り返し通り抜け、隣り合う交差部を相互に接続しているステント部材の反転部分(すなわち転回部(turn))のまわりに巻き付く。フレーム部材の輪郭は、選択されたクロス交差部間のカバーの端部に追随していてもよい。
より特定すれば、本発明は以下の項目に関し得る。
(項目1)
ステントカバーと、管状のステントが交差しているステント部材との間の取り付け具であって、
上記ステントカバーを繰り返し通り抜けるとともに、上記ステント部材の少なくとも1つに巻き付いているフィラメントと、
上記の交差しているステント部材の少なくとも1つの交差部を取り巻くとともに、上記交差部に近い部位で上記カバーに取り付けられた拘束部材とを含んでいる取り付け具。
(項目2)
上記拘束部材が、上記の交差しているステント部材の1つ又は複数の交差部で、上記の交差しているステント部材のまわりに結び付けられた、上記フィラメントの一部分を含んでいる、項目1に記載の取り付け具。
(項目3)
上記フィラメントが縫合糸である、項目2に記載の取り付け具。
(項目4)
上記フィラメントがワイヤである、項目2に記載の取り付け具。
(項目5)
上記の交差しているステント部材が編まれたものである、項目2に記載の取り付け具。
(項目6)
該取り付け具が、上記ステント部材によって形成されたステントの編まれた部分の端部に配置されている、項目2に記載の取り付け具。
(項目7)
上記フィラメントが、上記ステント部材によって形成されたステントの境界部にある複数の隣り合う交差部に結び付けられている、項目2に記載の取り付け具。
(項目8)
上記フィラメントが上記カバーを繰り返し通り抜け、隣り合う交差部を相互に接続するステント部材の一部分に巻き付けられている、項目7に記載の取り付け具。
(項目9)
上記カバーの端部が、相互に接続された隣り合う交差部間の上記フレーム部材の輪郭に追随している、項目8に記載の取り付け具。
(項目10)
上記カバーが、織られたダクロン及び拡張された薄いポリテトラフロロエチレンの積層を含んでいる、項目2に記載の取り付け具。
(項目11)
上記フィラメントが、円周方向に連続する上記の交差しているステント部材の各々のまわりに、複数の連続したループを形成している、項目2に記載の取り付け具。
(項目12)
上記拘束部材が、上記フィラメントとは別のフィラメントに形成された結び目である、項目1に記載の取り付け具。
(項目13)
上記拘束部材がリングである、項目1に記載の取り付け具。
(項目14)
上記拘束部材がU字形留め金である、項目1に記載の取り付け具。
(項目15)
上記拘束部材が、上記の交差しているステント部材を長手方向に取り巻いている、項目1に記載の取り付け具。
(項目16)
カバーをステントに取り付ける方法であって、
交差しているステント部材を有するステントフレームを準備するステップと、
上記カバーを上記フレームに位置決めするステップと、
フィラメントを上記ステント部材の1つに沿って繰り返し上記ステントカバーを通り抜けさせるとともに、上記の繰り返される通り抜けの間に上記ステント部材のまわりにフィラメントを巻き付けるステップと、
上記ステント部材の交差部のまわりのフィラメントを第2のステント部材に結び付けるステップとを含んでいる方法。
(項目17)
上記フィラメントが縫合糸である、項目16に記載の方法。
(項目18)
上記フィラメントがワイヤである、項目16に記載の方法。
(項目19)
上記の交差しているステント部材が編まれたものである、項目16に記載の方法。
(項目20)
上記ステント部材によって形成されたステントの編まれた部分の端部に上記取り付け具を位置決めするステップをさらに含んでいる、項目16に記載の方法。
(項目21)
上記ステント部材によって形成された上記ステントの端部において、連続するステント部材のまわりに上記フィラメントを巻き付けるとともに、上記ステント端部の境界部にある複数の隣り合う交差部に上記フィラメントを結び付けるステップをさらに含んでいる、項目16に記載の方法。
(項目22)
上記ステント部材の巻き付け及び上記カバーの端部が、上記の連続するステント部材の輪郭に追随している、項目21に記載の方法。
(項目23)
上記カバーが、織られたダクロン及び拡張された薄いポリテトラフロロエチレンの積層を含んでいる、項目16に記載の方法。
(項目24)
上記巻き付けの各々が、各ステント部材上におけるいくつかの連続した巻き付けの1つを含んでいる、項目16に記載の方法。
(項目25)
ステントカバーと、交差しているステント部材の編まれた部分の端部との間の取り付け具であって、
該取り付け具が、上記ステントカバーを繰り返し通り抜けるとともに、上記ステント部材の少なくとも1つのまわりに巻き付いている縫合糸を含んでいて、
該取り付け具が、上記ステントの編まれた部分の端部に位置決めされ、
上記縫合糸が、上記ステントの境界部にある上記ステント部材の1つ又は複数の交差部で上記の交差しているステント部材のまわりに結び付けられ、上記カバーを繰り返し通り抜け、上記交差部を相互に接続しているステント部材の部分のまわりに巻き付いている取り付け具。
(項目26)
複数の位置で互いに交差している複数の編まれたステント部材と、
上記ステント部材を覆って配置されたカバーと、
上記位置中の選択された1つの位置に結び付けられるとともに、上記カバーを通り抜けて上記ステント部材のまわりに巻き付いている接続部材とを含んでいて、
上記の選択された位置の間において、上記ステント部材が上記の選択された位置にピボット回転可能な形態で相互に結合され、上記カバーが上記の選択された位置で上記ステント部材に固定されているステント・グラフト。
(項目27)
上記カバーの上記端部が、上記の選択された位置間で上記ステント部材の輪郭に追随している、項目26に記載のステント・グラフト。
(項目28)
上記カバーが、上記の選択された位置間で上記ステント部材と重なっている対角エッジで終端している、項目27に記載のステント・グラフト。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】二股のステント・グラフトのイリアック伸長部を示す図である。
【図2】二股のステント・グラフトの二股部を示す図である。
【図3】交差しているステント部材にカバーを取り付ける前における、図1に示すイリアック伸長部の近位端を示す図である。
【図4】本発明の典型的な実施の形態に係る連続フィラメントを伴った交差しているステント部材に取り付けられたカバーを伴った、図1に示すイリアック伸長部の近位端を示す図である。
【図5A】本発明の典型的な実施の形態に係る、図1に示すイリアック伸長部の近位端で、交差しているステント部材にカバーを取り付ける方法の第1ステップを示す図である。
【図5B】本発明の典型的な実施の形態に係る、図1に示すイリアック伸長部の近位端で、交差しているステント部材にカバーを取り付ける方法の第2ステップを示す図である。
【図5C】本発明の典型的な実施の形態に係る、図1に示すイリアック伸長部の近位端で、交差しているステント部材にカバーを取り付ける方法の第3ステップを示す図である。
【図5D】本発明の典型的な実施の形態に係る、図1に示すイリアック伸長部の近位端で、交差しているステント部材にカバーを取り付ける方法の第4ステップを示す図である。
【図5E】本発明の典型的な実施の形態に係る、図1に示すイリアック伸長部の近位端で、交差しているステント部材にカバーを取り付ける方法の第5ステップを示す図である。
【図6】本発明の典型的な実施の形態に係る、交差しているステント部材にカバーを固定する連続フィラメントにより形成された結び目の特徴を示す1つの交差部における取り付け具をステントの内側からみた図である。
【図7】交差しているステント部材にカバーを固定する結び目を伴った連続フィラメントの特徴を示す1つの交差部における取り付け具をステントの外側からみた図である。
【図8】交差しているステント部材を一体的に保持しているクリンプを有するクリンプ交差部を備えた、図1に示すイリアック伸長部の遠位端を示す図である。
【図9】連続的な結び付けと、選択されたクロスしている交差部の長手方向の結び目と、ステント部材の選択されたクリンプ交差部の直下の横方向の結び目とを示す図である。
【図10】本発明の典型的な実施の形態に係る二股のステント・グラフトの近位端において取り付け具を形成する方法における1つのステップを示す図である。
【図11】本発明の典型的な実施の形態に係る二股のステント・グラフトの近位端において取り付け具を形成する方法における、図10に示すステップに続くステップを示す図である。
【図12】ステントの外側からみた、図11と同じステップを示す図である。
【図13】本発明の典型的な実施の形態に係る、交差しているステント部材の軸方向の転回部に適合する取り付け具を形成する方法における1つのステップを示す図である。
【図14】完成した状態における図13に係る取り付け具を示す図である。
【図15】本発明の典型的なもう1つの代替的な実施の形態に係る、連続フィラメント及びピボット回転可能な拘束手段を伴った、交差しているステント部材に取り付けられたカバーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
出願人は、好ましい代替的な実施の形態により本発明を説明するが、本発明がこれらの実施の形態に限定されるものでないということが理解されるべきである。さらに、図面は必ずしも正しい縮尺であらわされている訳ではないということが理解されるべきである。ある場合においては、出願人は、本発明を理解するのに必要でない細部は省略している。
【0010】
以下、図面を参照しつつ本発明を説明する。なお、図面中において、同一の参照番号は同一の要素を示している。これらの図面は、限定的なものではなく例示的なものであることが意図され、本発明に係る装置の説明を容易にするために添付されている。
【0011】
図1及び図2は、イリアック伸長部2(iliac extension)及び二股部3(bifurcate section)を含むモジュール式の二股ステント・グラフトを示している。両者2、3は、それぞれ、螺旋状に編まれて管状のステント部を形成している交差しているステント部材12に取り付けられたステントカバー20を有している。イリアック伸長部2の近位端18は、二股部3のソケット9に取り付けられ、これにより完全な二股ステント・グラフトを形成する。図1は、ステント・グラフトのイリアック伸長部2が、交互に位置するクロス交差部及びクリンプ交差部を有するイリアック伸長部2の遠位端で交差しているステント部材12に取り付けられたカバー20を含んでいる。カバー20が取り付けられているステント・グラフトの近位端18では、隣り合うクロス交差部がステント・グラフトの境界部をなしている(circumscribe)。図2に示すように、二股部3は1つのイリアック伸長部内に伸びるようになっている脚部19と、イリアック伸長部を受け入れるようになっているソケット9とに分岐している主幹部8(trunksection)を含んでいる。イリアック伸長部2は、ソケット9内に挿入されるようになっているモジュール式の部品である。カバー20が取り付けられている主幹部9の分岐していない端部は、交互に位置するクロス交差部とクリンプ交差部とを含んでいる。脚部19の端部では、カバー20は、隣り合うクロス交差部で交差しているステント部材に取り付けられている。ソケット9の端部では、カバー20は、隣り合うクロス交差部に取り付けられている。隣り合うクロス交差部は、両者間にステント部材の反転部(reversingportions)ないしは転回部(turns)を有している。二股部3の分岐していない端部及びイリアック伸長部2の遠位端17は、円周方向に連続する六角形のセルを含む非被覆端部4で終端している。
【0012】
図11に最も良く示されているように、イリアック伸長部2の遠位端17における交差しているステント部材12は(半径方向外向きにみて)編まれ、非被覆ステント部4から離間する方向に伸びるステントセグメント(stentsegment)を形成している。このステントセグメントは、交差部14を形成している、あるパターンで相互に織られ又は編まれた少なくとも2つの連続するステント部材12によって形成されている。各交差部14において、ある1つのステント部材12は、他のステント部材12に対して相対的に半径方向外向きに位置決めされている。連続している交差部14を通る螺旋状の経路に沿う各ステント部材12に続いて、該ステント部材12はある1つの交差部では半径方向内側の位置にあり、次の交差部14では半径方向外側の位置にあってもよい。あるいは、ステント部材12は、2つの交差部14に対しては内側の位置にあり、次の2つの交差部14に対しては外側の位置にあるといった構成を繰り返すものであってもよい。典型的な編まれたステント10は、例えば、ここに参照のために編入されている、ハンス・アイ・ウォールステン(HansI Wallsten)に係る米国特許第4,655,771号明細書に開示されている。以下、図11中に示すステント部材12に取り付けられたカバー20、及び、カバー20とステント部材12との間の取り付け具をより詳細に説明する。
【0013】
二股部3(図2に示されている)はまた、編まれた構造のステント部材12も含んでいる。典型的な編まれたステント部は、第1の螺旋方向に巻かれた第1のステント集合と、これとは反対向きの第2の螺旋方向に巻かれた第2のステント集合とを含み、複数の交差部を形成している。ステント部材の第1及び第2の集合は、ソケット9及び脚部19の端部で軸方向に反転している連続するステント部材であってもよい。ステント部材12は、ニチノール(nitinol)又はステンレススチールなどのワイヤ(wire)であってもよく、あるいは、この技術分野で既知のポリマー又はその他の任意のステント材料を含んでいてもよい。
【0014】
図3及び図4は、イリアック伸長部2(図1に示されている)の近位端18などのための典型的な取り付け具を示している。ここで、ステント部材12は軸方向に反転して転回部13を形成し、反対方向に続いている。ステント部材12は、互いに横切ってクロス交差部14aを形成している。図3に示すように、カバー20は、ステント部材に適合するようにトリミングが施されている(trimmed)。第1のステント部材12aでのトリミング(trimming)が終了したときに、カバー20は、連続するフィラメント30でステント部材12に縫い合わせられ又は結び付けられることができる。フィラメント30は、ステントカバー20を通り抜け、第1のステント部材12aのまわりに巻き付き、カバー20を第1のステント部材12aに結び付ける。この結び付けは、クロス交差部14aに到達するまで繰り返される。この後、連続フィラメント30は、クロス交差部14aで、第1の交差ステント部材12a及び第2の交差ステント部材12bのまわりに結び付けられる。連続フィラメント30は、交差部14aで結び付けられた後、第2のステント部材12bに結び付けられる。図3は、ステント部材12の輪郭に追随させるためにトリミングが施されたカバー20を示している。図4は、ステント・グラフトの一部分の境界部をなすクロス交差部14aで交差ステント部材12のまわりに結び付けられ、隣り合うクロス交差部間でステント部材に結び付けられた連続フィラメント30を伴った完成された取り付け具を示している。フィラメント30は、縫合糸、ワイヤ、又は、巻き付け及び結び付けに対して十分な可撓性(flexibility)を有し、かつカバーをステントに取り付けるのに十分な強度を有するその他の材料のものであってもよい。
【0015】
図5A〜5Eは、本発明の典型的な実施の形態に係る連続的な巻き付け及び結び付け技術でもって、カバー20を第1のステント構造に取り付けるための方法における順次のステップを示している。図5A〜5Eに示すように、第1のステント構造においては、ステント部材12は、軸方向に変化する転回部13を有している。図5A〜5Eに示す、本発明の典型的な実施の形態においては、カバー20は転回部13へは伸びていないが、ステント・グラフト部の端部の境界部にある隣り合うクロス交差部のところ及びこれらの間に取り付けられている(図5A〜5Eにおいては、図1におけるイリアック骨伸長部の近位端が示されている)。
【0016】
図5Aに示すように、連続フィラメント30は、カバー20を第1のステント部材12aに結び付けている(図4に示されている)。この結び付けにおいては、フィラメント30をカバー20を通り抜けさせ、次に第1のステント部材12aに巻き付けさせ、そしてカバー20に戻すようにしている。この結び付けは、交差部14aに到達するまで繰り返されて、連続する縫い合わせ又は結び目を形成する。
【0017】
次に、図5Bに示すように、交差部14aにおいて交差ステント部材12のまわりに、フィラメント30で長手方向に第1のループ31が形成される。第1のループ31は、交差部14aにおいて、両方の交差ステント部材12a、12bのまわりを回り、交差しているステント部材12が、カバー20を交差部14aに固定しつつ、互いに相対的にピボット回転することを可能にする。図5Bに示す典型的な実施の形態においては、連続フィラメント30は、ほぼ、交差しているステント部材12によって形成された第1の頂点(apex)でステント10の内側からステント10の外側へ、カバー20を通り抜けさせられる。そして、フィラメント30は、ほぼ、交差しているステント部材12によって形成された長手方向の反対側の頂点で交差部14aのまわりを回らされる。この後、連続するフィラメント30は、再び、第1の頂点に最も近いカバー20の部分を通り抜けさせられる。図5Cは、フィラメント30で交差部14aのまわりにつくられた第2のループ32を示している。第2のループ32は、第1のループ31と同じ方法で形成される。
【0018】
図5Dは、第1及び第2のループ31、32を通り抜けているフィラメント30を示している。この後、フィラメント30は、かたく締まるように引っ張られ、長手方向の結び目33(knot)が形成される。これにより、カバー20が交差部14aで交差しているステント部材12に固定される(図5Eに示されている)。
【0019】
最後に、図5Eに示すように、連続フィラメント30が第2のステント部材12bに結び付けられる(図4に示されている)。
【0020】
再び図5Aに示すように、連続フィラメント30は、カバー20を通り抜けさせられる。結び付けを開始する前に、フィラメント30をカバー20及びステント10に固定するために結び目がつくられる。
【0021】
図6及び図7は、それぞれ、クロス交差部14aにおけるステントカバー20と交差ステント部材12との間の取り付け具の内面図及び外面図を示している。カバー20は、長手方向の結び目33及び連続フィラメント30の連続的な結び付けによってステント・グラフトの交差しているステント部材12に取り付けられている。この取り付け具は、ステント部材12によって形成された編まれたステント部の端部に位置決めされている。
【0022】
図8及び図9は、イリアック伸長部2(図1に示されている)の遠位端17又は二股部3(図2に示されている)の非分岐端部などのための、交互に位置するクロス交差部14aとクリンプ交差部14bとを含むステント構造のための典型的な取り付け具を示している。クリンプ交差部14bでは、ステント部材12同士が接触し、クリンプ16で一体的に固定されている。図8は、交互に位置するクリンプ交差部とクロス交差部とを含むステント部の端部で、ステント部材12に適合する(conform)ようにトリミングが施されたカバー20を示している。図9は、交互に位置するクリンプ交差部とクロス交差部とを含むステント部の端部で、カバー20の交差しているステント部材12への取り付けが終了した取り付け具を示している。この実施の形態に係る取り付け具は、ステント部材12上の連続フィラメント30の結び付けと、クロス交差部14aにおける連続フィラメント30に形成された長手方向の結び目33と、ステント部材12のクリンプ交差部14bにおいてクリンプ16の直下で連続フィラメント30に形成された横方向の結び目34とを含んでいる。
【0023】
図10〜図12は、交差しているステント部材12へのカバー20の取り付け具を形成するための方法を示している。ここで、交差しているステント部材は、ステントの編まれた部分の端部に、クロス交差部14aとクリンプ交差部14bとを交互に形成している。図10は、クリンプ交差部14bを伴った二股部3(図2に示されている)の近位端18を示している。図10に示すように、カバー20は、交互に位置するクリンプ交差部とクロス交差部とを含むステント部の端部で、ステント部材12に適合するようにトリミングが施され、又は輪郭がつくられている。
【0024】
図11及び図12は、それぞれ、ステントの内側及び外側からみた完成された取り付け具を示している。連続フィラメント30は、ステント部材12によって形成されたステント部の境界部にある複数の隣り合う交差部14に結び付けられている。図11に示すように、連続フィラメント30は、カバー20を繰り返し通り抜け、隣り合う交差部14を相互に接続するステント部材12の部分のまわりを回っている。この後、連続フィラメント30がクロス交差部14aに到達したときに、上記のように長手方向の結び目33(図12に示されている)が形成される。連続フィラメント30に結び目33が形成された後、連続フィラメント30は、再び、カバー20を繰り返し通り抜け、隣り合う交差部14を相互に接続しているステント部材12の他の部分のまわりを回らされる。この後、連続フィラメント30がクリンプ交差部14bに到達したときに、横方向の結び目34(図12に示されている)が形成される。横方向の結び目34は、クリンプ交差部14bで両ステント部材のまわりに連続フィラメント30のループを2つ形成し、ループ内にカバー20を捕らえる(capture)ことにより形成される。この後、連続フィラメント30は、ループを通り抜けさせられ、ピンと張るように強く引っ張られ、結び目34が形成される。
【0025】
図13及び図14は、二股部3(図2に示されている)のソケット9の端部などのための典型的な取り付け具を示している。ここで、ステント部材12は転回部13を形成し、カバー20は、転回部13によって形成されたステント・グラフトの波形の(scalloped)端部に取り付けられている。図13に示すように、カバー20は、転回部13で、ステント部材12と整合するように輪郭がつくられ、又はトリミングが施されている。図13に示すように、カバー20の輪郭がつくられた端部は、転回部13によってステント部材12に形成された波形の端部と一致する(coincide)。
【0026】
連続フィラメント30は、ステント部材12によって形成されたステント部の境界部にある複数の隣り合うクロス交差部14aに結び付けられている。図14に示すように、連続フィラメント30は、カバー20を繰り返し通り抜け、ステント部材12の転回部13のまわりを回っている。この後、連続フィラメント30がクロス交差部14aに到達したときに、上記のように長手方向の結び目33が形成される。連続フィラメント30に結び目33が形成された後、連続フィラメント30は、再び、カバー20を繰り返し通り抜け、ステント部材12に形成された他の転回部13のまわりを回らされる。
【0027】
典型的なステントは、腹部大動脈瘤(AAA)を処置するための形態のものであり、二股部3のソケット9に接続されたイリアック伸長部2を伴った二股部3を含んでいる。イリアック伸長部2及び二股部3は、それぞれ、図1及び図2に示されている。典型的なステントは、本発明に係る取り付け具の種々の実施の形態を含む。結びつけ(lashing)と、長手方向の結び目33(knot)と、横方向の結び目34(図12に示されている)とを含んでいる取り付け具は、二股部3の主幹部8の非被覆端部と、イリアック伸長部2の近位端17とに設けられている。結び付けと、長手方向の結び目33(図4に示すように)とを含んでいる取り付け具は、イリアック伸長部2(図1に示されている)の近位端18と、二股部3(図2に示されている)の脚部19の遠位端とに設けられている。波形の転回部13のまわりで伸びている結び付け部と、長手方向の結び目33(図14に示されている)とを含んでいる取り付け具は、二股部3(図2に示されている)のソケット9の遠位端に設けられている。
【0028】
そして、図15に示すように、カバー20はまた、本発明の代替的で典型的な実施の形態に係るピボット回転可能な(pivotal)拘束部材41と連続するフィラメント30の組み合わせを用いてステント部材12に取り付けられていてもよい。図3に示すように、カバー20は、ステント部材12に適合するようにトリミングが施されている。第1のステント部材12aでのトリミングが終了したときに、カバー20は、連続フィラメント30でもってステント部材12に縫い合わせられ又は結び付けられることができる。フィラメント30は、ステントカバー20を通り抜け、第1のステント部材12aのまわりに巻き付き、カバー20を第1のステント部材12aに結び付ける。この結び付けは、クロス交差部14aに到達するまで繰り返される。この後、連続フィラメント30は、第2のステント部材12bに結び付けられる。連続フィラメント30は、カバー20を、ステント・グラフトの一部、好ましくはその端部の境界部にあるクロス交差部14a間の交差しているステント部材12に結びつける。フィラメント30は、縫合糸又はワイヤであってもよく、あるいは結び付けに対して十分な可撓性を有するとともに、カバーをステントに結びつけるのに十分な強度を有するその他の材料であってもよい。結び付けと隣り合うクロス交差部14aにおいて、ピボット回転可能な拘束部材41は、交差部を形成する両ステント部材のまわりに、カバー20を通って配置されている。ピボット回転可能な拘束部材は、連続フィラメント30とは別のフィラメントに形成された結び目であってもよい。これに代えて、ピボット回転可能な拘束部材は、リング又はU字形留め金、あるいは互いに相対的なピボット回転が可能である、交差部においてフィラメントを固定するその他の構造物であってもよい。
【0029】
この明細書では、本発明は特定の実施の形態を参照しつつ説明ないしは図示されている。しかし、本発明は示された詳細なものに限定されるものではなく、本発明を逸脱することなく特許請求の範囲と等価な範囲及び視野内で、種々の修正がきめ細かくなされてもよい。
【符号の説明】
【0030】
2 イリアック伸長部、3 二股部、4 ステントの非被覆部、8 基幹部、9 ソケット、12 交差しているステント部材、13 転回部、14 交差部、14a クロス交差部、14bクリンプ交差部、16 クリンプ、17 遠位端、18 近位端、19 脚部、20 カバー、30 フィラメント、31 第1のループ、32 第2のループ、34 長手方向の結び目、34横方向の結び目、41 ピボット回転可能な拘束部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバーをステントに取り付ける方法であって、
交差しているステント部材を有するステントフレームを準備するステップと、
上記カバーを上記フレームに位置決めするステップと、
フィラメントを上記ステント部材の1つに沿って繰り返し上記ステントカバーを通り抜けさせるとともに、上記の繰り返される通り抜けの間に上記ステント部材のまわりにフィラメントを巻き付けるステップと、
上記ステント部材の交差部のまわりのフィラメントを第2のステント部材に結び付けるステップとを含んでいる方法。
【請求項1】
カバーをステントに取り付ける方法であって、
交差しているステント部材を有するステントフレームを準備するステップと、
上記カバーを上記フレームに位置決めするステップと、
フィラメントを上記ステント部材の1つに沿って繰り返し上記ステントカバーを通り抜けさせるとともに、上記の繰り返される通り抜けの間に上記ステント部材のまわりにフィラメントを巻き付けるステップと、
上記ステント部材の交差部のまわりのフィラメントを第2のステント部材に結び付けるステップとを含んでいる方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−29685(P2010−29685A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−228989(P2009−228989)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【分割の表示】特願2004−557210(P2004−557210)の分割
【原出願日】平成15年11月17日(2003.11.17)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【分割の表示】特願2004−557210(P2004−557210)の分割
【原出願日】平成15年11月17日(2003.11.17)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】
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