説明

ストリーム受信装置

【課題】ハードウェアとソフトウェアのバランスのとれたパケット処理が可能なストリーム受信装置を提供する。
【解決手段】デジタルチューナ(1)はデジタル放送を受信して、TSパケット(TS)を抽出し、TS処理部(2a)は、抽出されたTSパケット(TS)から処理対象であるTSパケット(TS)を選択すると共に、当該処理対象TSパケット(TS)をSI情報を含むSIパケット(TS(PSI)と映像音声データを含むAVパケット(TS(AV))とに選別し、SIバッファ(3)はSIパケット(TS(PSI))を蓄え、SI処理部(4)はSIパケット(TS(PSI))からSI情報(SI)を抽出し、CPU(9)は処理対象TSパケット(TS)が抽出されていない時に、SI処理部(4)にSI情報(SI)を抽出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にデジタル放送或いはIEEE1394インタフェースなどのデジタル伝送路を介して伝送されるTSパケットの処理システムに関し、特に番組情報をプログラマブルに受信するストリーム受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルテレビ等のストリーム受信装置では、トランスポートストリーム(Transport Stream:以降、「TS」と略称す)の分離が行われる。一般にTS分離処理においては、固定長のTSパケットから、番組構成テーブルやデスクランブル鍵元情報などの番組固有情報(Program Specific Information:以降、「PSI」と称す)が抽出される。PSIからは、選局した番組を受信するための情報が抽出される。
【0003】
しかしながら、米欧で番組取得情報の取得ステップが異なったり、地域毎の放送の運用の違いにより、PSI情報の内容が多岐に渡ったりしている。そのために分離処理は規格上、尤度を持った運用が可能である。つまり、デジタル放送受信機においては、各市場に応じたTS処理が可能なように、プログラマブルに構成するのが一般的である。具体例としては、演算量の大きい放送デスクランブル回路やTS選択/PSI取得のデータ選択回路をハードウェアで実装し、日米欧で異なるTS構造の判断やPSIの比較などの全体の制御をプロセッサによるソフト処理で制御する方式が考案されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−64583号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の方式は、日米欧の各地域でTS構造の異なる部分に関しては、処理内容を切替えて制御する場合には効果的である。TS分離時には順次処理が行われるので、ソフトウェアの処理とハードウェアの処理とのバランスが全体的に最適化される必要がある。さもないと、負荷の大きい個所で他の処理が受け付けられない場合が存在し、逆に効果が下がる問題がある。一般的には、TS分離時のパケット処理において、Video/Audioデータを分離する処理に比べて、PSIの番組情報をフィルタリングしてメモリに展開する処理の演算量が高い。また、同一放送で転送されるパケット列でも処理量は様々である。
【0005】
近年のデジタル放送受信機は、複数のチューナによる2番組表示や、HDD等の蓄積デバイスを利用した同時録画/再生など、複数番組の同時受信が一般的になりつつある。この場合、上述の方式ではパケット処理を高速に処理する必要性があるが、デジタル放送の受信処理量は普遍である。そのため、複数番組の同時受信に耐えるには、並列処理化が必要とされ、ハードウェアとソフトウェアのバランスの最適がより一層重要になり、具現化は難しい。
上述の問題に鑑みて、本発明は、ハードウェアとソフトウェアのバランスのとれたパケット処理が可能なストリーム受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明はストリーム受信装置であって、
デジタル放送を受信して、TSパケットを抽出するデジタルチューナ手段と、
前記抽出されたTSパケットから処理対象であるTSパケットを選択すると共に、当該処理対象TSパケットをSI情報を含むSIパケットと映像音声データを含むAVパケットとに選別するTS処理手段と、
前記SIパケットを蓄えるSIバッファ手段と、
前記SIバッファから前記SIパケットを読み出して、SI情報を抽出するSI処理手段と、
前記処理対象TSパケットが抽出されていない時に、前記SI処理手段に前記SI情報を抽出させる制御手段とを備える。
【0007】
前記抽出されたSI情報は前記SIバッファ手段に蓄えられることが望ましい。
【0008】
前記TS処理手段は、
複数のSIパケットを抽出する場合には、一定量バッファ蓄積の蓄積順序を保持し、
前記SIバッファ手段から当該SIパケットを読出する場合には、当該蓄積順序に基づいて、当該SIパケットが到着した順番に処理して、内部での処理遅延を軽減することが望ましい。
【0009】
前記TS処理手段は、
前記処理対象TSパケットをデスクランブルするTS処理部を備え、前記処理対象パケットはデスクランブルされた後に、前記SIパケットと前記AVパケットに選別されることが望ましい。
【0010】
本発明のストリーム受信装置は、
前記AVパケットを出力するAV出力部と、
前記AVパケットを伸張してAVデータを生成するAVデコーダ部と、
前記AVデータを出力のフォーマットに応じたAV信号に変換して出力する映像・音声出力部とをさらに備えることが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、TS処理内容に問わず最短のTS処理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(第1の実施の形態)
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態にかかるストリーム受信装置100aは、デジタルチューナ1、TS処理部2a、SIバッファ3a、SI処理部4a、AV出力部5、AVデコーダ部6、映像・音声出力部7、AV出力端子8、およびCPU9aを含む。デジタルチューナ1は、デジタル放送波を受信して、TSパケット(以降、「TS」と称す)を抽出する。
【0013】
TS処理部2aは、抽出されたTSパケットが含む情報に応じてTSパケットを選別して、SIバッファ3aとAV出力部5とにそれぞれ出力する。具体的には、サービス情報(Service Information:以降、「SI」と称す)を有するTSパケット(以降、「TS(SI)」と称す)は、SIバッファ3aに出力される。TS(SI)でないパケット、つまり、Video/Audioパケット(以降、「TS(AV)」と称す)はAV出力部5に出力される。AV出力部5は、TS(AV)を解析して、AVエレメンタリーストリーム(以降、「ES(AV)」と称す)を生成する。
【0014】
SIバッファ3aは、TS処理部2aから入力されたTS(SI)を一次的に格納する。SI処理部4aは、SIバッファに格納されているTS(SI)からSIを抽出するSI処理を行う。抽出されたSIは、SI処理部4aからSIバッファ3aに戻される。TS処理部2a、SIバッファ3a、SI処理部4a、およびAV出力部5は、TSから映像、音声、およびSIを含む種々の情報を抽出するTS分離部10aを構成している。
【0015】
AVデコーダ部6は、TS分離部10a(AV出力部5)から出力されるES(AV)をデコードして、音声データDaおよび映像データDvを生成する。映像・音声出力部7は、映像データDvおよび音声データDaのそれぞれを出力方式に応じた映像信号Sv或いは音声信号Saに変換して、AV出力端子8を介して出力する。CPU9aは、ストリーム受信装置100aの全体動作を制御すると共に、TS分離部に各種番組取得情報を設定する。
【0016】
図2に示すフローチャートを参照して、ストリーム受信装置100aにおいて、主にTS分離部10aによって実現されるTS分離処理について説明する。ストリーム受信装置100aに電源が投入された時点で、以下に述べるTS分離処理が開始される。
【0017】
先ず、ステップS200において、TSが受信されたか否かが判断される。TSが受信されると、Yesと判断されて、制御は次のテップS210に進む。
【0018】
ステップS210においては、TS処理部2aによって、受信されたTSが取得すべき処理対象であるか否かが判断される。具体的には、受信したTSのPacketID(以降、「PID」と称す)が、CPU9aによって設定される取得すべきTSのPIDと一致するか否かが判断される。なお、CPU9aは、リモコンなどの入力手段によってユーザが再生を指示するコンテンツを構成するTSのPIDを設定する。二つのPIDが一致する場合にはYesと判断され、同TSが取得されて、制御は次のステップS220に進む。
【0019】
ステップS220において、TS処理部2aによって、取得されたTSに対するデスクランブル処理が実行される。具体的には、CPU9aが各受信機の有する限定受信(Conditional Accsess:以降、「CA」と略す)情報から読み出したデスクランブル鍵KをTS処理部2aに設定する。TS処理部2aは、設定されたデスクランブル鍵Kに基づいて、TSをデスランブルする。デスクランブル処理が完了すると、制御は次のステップS230に進む。
【0020】
ステップS230において、TS処理部2aによって、デスクランブルされたTSがPSIを含む(以降、「TS(PSI)」と称す)か否かが、CPU9aによって設定されるPSI選択パターンPtrnに基づいて判断される。処理対象TSがTS(PSI)の場合はYesと判断されて、制御は次のステップS240へ進む。
【0021】
ステップS240において、処理対象のTS(PSI)がSIバッファ3aに転送される。SIバッファ3aはTS(PSI)をPID毎に蓄積するため、少なくとも1つ以上のバンクを備えている。TS処理部2aからSIバッファ3aへのTS(PSI)の転送が完了すると、制御は次のステップS260に進む。
【0022】
一方、上述のステップS230において、処理対象TSがPSIでないと判断(No)される場合、制御はステップS250に進む。
【0023】
ステップS250において、PSIでない処理対象TS(ステップS220でデスランブル済)はAV出力部5に出力される。これは、PSIでないTSは、VideoもしくはAudioのTS(AV)であるからである。AV出力部5は、入力されたTS(AV)をES(AV)に変換すると共に、AVデコーダ部6のデコード状態に応じてES(AV)を出力する。AVデコーダ部6は、AV出力部5から入力されるES(AV)から音声データDaおよび映像データDvを生成する。AVデコーダ部6は音声データDaおよび映像データDvをデコードして、音声信号Saおよび映像信号Svを生成する。映像・音声出力部7は音声信号Saおよび映像信号Svを出力フォーマットに変換した後に、AV出力端子8から出力する。そして、制御は次のステップS260に進む。
【0024】
ステップS260においては、処理対象TSを受信している(ステップS200およびS210で共にYes)か否かが判断される。Yesと判断される場合、制御は次のステップS270に進む。Noと判断される場合、制御はステップS270をジャンプして上述のステップS200に戻る。上述のように、ステップS240およびS250を経由している場合は、処理対象TSを受信しているので、Yesと判断されて、制御は次のステップS270に進む。
【0025】
ステップS270において、処理対象のTSの処理に供されていた受信バッファがすべて解放される。そして、制御は上述のステップS200に戻る。
【0026】
一方、上述のステップS200およびS210において共にNo,つまりTSが受信されていないか、受信されたTSは処理対象でない場合には、制御はステップS300に進む。なお、この時点では、ストリーム受信装置100aにおいては処理対象TSはないので、当初のCPU帯域は未使用状態である。
【0027】
ステップS300aにおいて、TS(PSI)がSIバッファ3aからSI処理部4aに読み出される。このTS(PSI)は、上述のステップS240でTS処理部2aからSIバッファ3aに一次的に転送されたものである。そして、制御は次のステップS310aに進む。
【0028】
ステップS310aにおいて、SIがSIバッファ3aに転送される。具体的には、SI処理部4aは、SIバッファ3aから入力されたTS(PSI)を、同TS(PSI)の入力形式とCPU9aから指示されるPSI選択パターンPtrnとに基づいて、フィルタリングする。フィルタリングによって取得されたSIはTS処理部2aを介してSIバッファ3aに入力される。CPU9aは、TS処理部2aを介してSI処理部4aからSIバッファ3aに入力されるSIを検知して、SIに基づいて所望の番組の選局が可能になる。そして、制御は前述のステップS260に進む。
【0029】
ステップS260においては、上述のように処理対象TSを受信している場合か否かが判断される。この度は、上述のようにステップS300aおよびS310aを経由しているので、Noと判断される。そして、制御はステップS200に戻る。
【0030】
上述のように、処理対象TSを受信しているときには、リアルタイムにTSからTS(PSI)を抽出する第1のフィルタリング(S230)を行い、抽出されたTS(PSI)をSIバッファ3aにバッファリング(S240)しておく。そして、処理対象TSを受信していない処理のブランキング期間(たとえば、受信不要なNullパケット到着時や、プロセッサ処理がハードウェア処理待ちする隙間)を利用し、SIバッファ3aにバッファリングされているTS(PSI)からSIを抽出する第2のフィルタリング(S300a、S310a)を行うことで、TS(AV)のリアルタイム処理(S250)のためにリアルタイム処理が出来なかったSI処理を可能にし、TS分離処理の全体性能を向上させている。
【0031】
TSを受信(S200)してから、TS(PSI)およびTS(AV)を転送するまでは、TSのPSI処理(S240)/AV出力処理(S250)に関係なく、TSレベルまでの処理である。それ故に、TS受信からTS(PSI)およびTS(AV)の転送まで処理(S200〜S250)を、リアルタイムにTS(PSI)からSIを抽出する場合に比べて高速にできる。また、TS(PSI)からSIを抽出する処理は、TS分離およびAVデコードのないCPU9aの余剰帯域で対応できるため、高速かつ効率的にTS受信処理を実現できる。
【0032】
図3に、SIバッファ3aの内部構造を示す。同図において、SIバッファ3aの上半分には、ステップS240でTS処理部2aから転送され、ステップS300aでSI処理部4aに読み出されるTS(PSI)が示されている。そして、SIバッファ3aの下半分には、ステップS310aでTS(PSI)から抽出された後にSIバッファ3aに格納されているSIが示されている。なお、説明の便宜上、本例においては、SIバッファ3aにバッファリングされているTS(PSI)は全て、SIを含んでいるものとする。
【0033】
つまり、本例においては、188バイトのTS(PSI)が6つバッファリングされている。6つのTS(PSI)のそれぞれは、TSヘッダH(斜線部)、NullデータDn(白地)、およびSIデータ部(黒地)で構成されている。TSヘッダHは、TSがSIを有している、SI用パケット識別子である。本例においては、SIは6つのSIデータ部1、2、3、4、5、および6が6つのTS(PSI)に分散して格納されている。
【0034】
これら6つのTS(PSI)は、ステップS300aにおいて、SIバッファ3aからSI処理部4aに読み出される。SI処理部4aは、6つのTS(PSI)のそれぞれからSIデータ部1〜6を抽出して、SIバッファ3aに格納させる。このように、SIバッファ3aにSIバッファには、SIとSIが抽出される前のTS(PSI)が同時あるいは排他的に蓄積される。
【0035】
上述のように、本実施の形態においてはTS(PSI)のフィルタリング処理を二段階に分散して行われる。つまり、受信したTSをTS(PSI)とTS(AV)に選別する第一の分離時は、PSIの比較処理を行わずに、外部メモリであるSIバッファに一旦蓄積して、TS分離の基本処理で受信できる範囲内にとどめる。そして、受信したTSが選択されないTS処理ブランキング期間に、このTS(PSI)をSIバッファから逐次読み出して、PSI選択を行うことで処理が最短で行われる。
【0036】
(第2の実施の形態)
以下に、図4、図5、および図6を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかるストリーム受信装置について説明する。上述の第1の実施の形態においては、SIが1種類であることを前提に構成されているのに対して、本実施の形態においては複数種類のSIを前提として構成されている。これは、実際の放送受信装置やTS録画機器においては、1番組を受信する場合に複数のSIを同時に抽出するのが一般的であるとの現実に対応するものである。
【0037】
複数のSIに対応するためには、TS(SI)毎に付与されたPIDを複数設定して、TSを受信することが必要である。そのために、本実施の形態にかかる100bは、図4に示すように、ストリーム受信装置100aおいて、TS分離部10aがTS分離部10bに交換されている。また、TS分離部10bは、TS分離部10aにおいて、TS処理部2a、SIバッファ3a、SI処理部4a、およびCPU9aがそれぞれ、TS処理部2b、SIバッファ3b、SI処理部4b、およびCPU9bに交換されている。結果、その動作が若干異なる。
【0038】
図5に示すフローチャートを参照して、ストリーム受信装置100bのTS分離動作について具体的に説明する。図5に示すフローチャートは、図2に示したフローチャートにおいて、ステップS300aおよびS310aがそれぞれ、ステップS300bおよびS310bに変更されている。さらに、ステップS240とS260との間にステップS400が追加され、ステップS200およびS210とステップS300aとの間にステップS410が追加され、ステップS310aとS260との間にステップS420が追加されている。以下、これら変更あるいは追加されたステップに重点をおいて述べる。
【0039】
上述のように、TSが受信される(S200:Yes)と、受信したTSはTS処理部2bに入力される。TS処理部2bでは、処理対象であると判断(S210:Yes)されたTSがデスクランブル(S220)される。デスクランブルされたTSがPSIと判断される場合(S230:Yes)には、同TSはSIバッファ3bに転送される(S240)。
【0040】
図6に、SIバッファ3bの内部構造を示す。SIバッファ3bは図3に示したSIバッファ3aと同様に、TS処理部2bから転送されるTS(SRI)を格納する領域と、SI処理部4bによって抽出されたSIを格納する領域を備えている。さらに、同図においては、これらの2つの領域の上に、複数の番組のSIを管理するためのBANK別管理情報Ibankを格納する領域が設けられている。
【0041】
そして、ステップS400において、SIバッファ3bの各BANKは、SIの種類毎にバッファに書き込んだバンクのサイズをライトポインタ(以降、「WP」と称す)に上乗せして、BANK別管理情報Ibankに書き込む。また、蓄積残量が一定量以上になった場合は、BANK番号を図6に示すBN(Buffer Number)空間に書き込む。蓄積残量は、WPとリードポインタ(以降、「RP」と称す)の差で表すことができる。これら、BANK別管理情報IbankやBN空間に書き込まれる情報を制御情報Icと呼ぶ。制御情報IcはTS(PSI)と共に、TS処理部2bから入力される。BANK別管理情報生成が終了すると、制御は上述のステップS260に進む。
【0042】
PSIでない(S230:No)、つまりAVであると判断されたTS(AV)は、AV出力部5へ転送される(S250)。一方、TS受信がない(S200:No)或いは受信したTSが処理対象でない(S210:No)の場合、制御はステップS410に進む。なお、この時点では、当初のCPU帯域が残っている。
【0043】
ステップS410において、SIバッファ3bの格納状態を判定するBN情報が最上位から入力される。一番初めに一定量蓄積されたバッファのデータが判断される。バッファデータが確定されると、BNが削除される。
【0044】
そして、ステップS300bにおいて、SIバッファ3bでバッファされているTS(PSI)が、制御情報Icと共にSI処理部4bに読み出される。SI処理部4bでは、CPU9aで指示されたPSI選択パターンPtrnと制御情報Icに応じてフィルタリングを行い、複数の番組のSIを取得して、バッファ3bに出力する(S310)。CPU9aは、このPSIデータ出力を検知し、番組情報に応じた選局をすることが可能となる。
【0045】
そして、ステップS420において、SI処理部4bに入力した(S300b)SIのデータサイズを該当するBANK番号のWPに上乗せする。これにより、消費(処理された)データのエリアは上書が許可されている結果、SIバッファ3bをリング構造で使用し、WPとRPのとの差にも基づいて、残量管理ができる。
【0046】
TS(AV)のAVデコーダ6への転送(S250)、BANK別管理情報生成(S400)、およびBANK別管理情報生成(S420)の何れかの後に、処理対象TSが受信されていれば(S260:Yes)、受信バッファが解放される(S270)。一方、処理対象TSが受信されていなければ(S260:No)、制御は最初のTS受信確認(S200)に戻る。
【0047】
上述のように、本実施の形態においては、入力されるトランスポートストリームに多重されている複数の番組のSI情報を抽出できる。結果、複数の放送や、HDDなどの蓄積したTSデータ複数受信するパケット処理装置に対し、TS毎の処理演算量を平滑かつ効率よく利用できる。さらに、メモリアクセスの低速化および高ビットレートの入力などにも対応できる。
【0048】
なお、複数のSIデータを展開したバッファの管理情報の一例としてBN情報を挙げている。しかし、データ分離した内容を再度多データ入力に対し、データを受信した順に処理できる手法であれば、BN情報に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、放送や、HDDなどの蓄積したTSデータを受信するパケット処理装置に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかるストリーム受信装置の構成を示すブロック図
【図2】図1に示すストリーム受信装置による、TS分離処理を表すフローチャート
【図3】図1に示すストリーム受信装置におけるTSデータバッファリングおよびSIデータバッファリングの構成の説明図
【図4】本発明の第2の実施の形態にかかるストリーム受信装置の構成を示すブロック図
【図5】図4に示すストリーム受信装置におけるTS分離処理を表すフローチャート
【図6】第2の実施の形態にかかるストリーム受信装置における、TSデータバッファリング、SIデータバッファリング、BANK管理情報の構成の説明図
【符号の説明】
【0051】
1 デジタルチューナ
2a、2b TS処理部
3a、3b SIバッファ
4a、4b SI処理部
5 AV出力部
6 AVデコーダ部
7 映像、音声出力部
8 AV出力端子
9 CPU
100a、100b ストリーム受信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル放送を受信して、TSパケットを抽出するデジタルチューナ手段と、
前記抽出されたTSパケットから処理対象であるTSパケットを選択すると共に、当該処理対象TSパケットをSI情報を含むSIパケットと映像音声データを含むAVパケットとに選別するTS処理手段と、
前記SIパケットを蓄えるSIバッファ手段と、
前記SIバッファから前記SIパケットを読み出して、SI情報を抽出するSI処理手段と、
前記処理対象TSパケットが抽出されていない時に、前記SI処理手段に前記SI情報を抽出させる制御手段とを備えるストリーム受信装置。
【請求項2】
前記抽出されたSI情報は前記SIバッファ手段に蓄えられることを特徴とする請求項1に記載のストリーム受信装置。
【請求項3】
前記TS処理手段は、
複数のSIパケットを抽出する場合には、一定量バッファ蓄積の蓄積順序を保持し、
前記SIバッファ手段から当該SIパケットを読出する場合には、当該蓄積順序に基づいて、当該SIパケットが到着した順番に処理して、内部での処理遅延を軽減することを特徴とする請求項1に記載のストリーム受信装置。
【請求項4】
前記TS処理手段は、
前記処理対象TSパケットをデスクランブルするTS処理部を備え、前記処理対象パケットはデスクランブルされた後に、前記SIパケットと前記AVパケットに選別されることを特徴とする請求項1に記載のストリーム受信装置。
【請求項5】
前記AVパケットを出力するAV出力部と、
前記AVパケットを伸張してAVデータを生成するAVデコーダ部と、
前記AVデータを出力のフォーマットに応じたAV信号に変換して出力する映像・音声出力部とをさらに備える請求項4に記載のストリーム受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−219570(P2010−219570A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−181824(P2007−181824)
【出願日】平成19年7月11日(2007.7.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】