ストレプトグラミン誘導体
【課題】 新規の抗生物質誘導体の提供
【解決手段】下記の一般式で表されるストレプトグラミン誘導体。
【化1】
式中、
R1はエチルでありR2及びXはHであり、そしてYはHまたはOHである。
【解決手段】下記の一般式で表されるストレプトグラミン誘導体。
【化1】
式中、
R1はエチルでありR2及びXはHであり、そしてYはHまたはOHである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規シュウドペプチドである、ストレプトグラミン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般式(I)
【0003】
【化1】
【0004】
式中、
R1はメチルまたはエチル基を表し、R2は水素原子を表し、そしてX及びYは一緒になってオキソ基を形成するか、あるいは、R1はエチル基を表し、R2及びXは水素原子を表し、そしてYは水素原子またはヒドロキシル基を表すか、あるいは、R1はエチル基を表し、R2はヒドロキシル基を表し、そしてX及びYは一緒になってオキソ基を形成する、
で示されるストレプトグラミンの一部(B群の化合物)は、A群の成分と組み合わせた場合、殺菌作用の相乗効果をもたらす。かようなストレプトグラミンは、一般式(II)
【0005】
【化2】
【0006】
(式中、基R1、R2、X、及びYは上に定義されたとおりである)のシネルギスチン(synergistin)誘導体からの新規な製造方法により、効果的に製造することができる。
【0007】
R1がエチルであり、そしてR2が水素である一般式(I)の生成物は、プリスチナマイシン(pristinamycin)IBという名で知られている。R1がメチルであり、そしてR2が水素である一般式(I)の生成物は、ベルナマイシンBδという名で知られている。R1がエチルであり、そしてR2が水素である一般式(II)の生成物は、プリスチナマイシンIAという名で知られている。R1がメチルであり、そしてR2が水素である一般式(II)の生成物は、プリスチナマイシンICまたはベルナマイシンBγという名で知られている。R1がエチルであり、そしてR2がヒドロキシルである一般式(II)の生成物は、プリスチナマイシンIDという名で知られている。
【0008】
脱メチル化の一般的な方法はすでに知られている(例えば、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4参照)。しかしながら、これらの方法は、反応が起こらないか、またはこれらの生成物に対して操作条件が分解するかのいずれかの理由で、ストレプトグラミンのような壊れやすい生成物に対して適応することができなかった。また、他の方法は、最終生成物から完全には除去できない有毒な反応物を伴い、このことは、製薬学的な観点から受容できない。
【非特許文献1】Tet.Lett.,18、1567(1977)
【非特許文献2】J.Org.Chem.,49、2795(1984)
【非特許文献3】J.C.S.Chem.Comm.,905(1989)
【非特許文献4】Tet.Lett.,33、6991(1992)
【発明の開示】
【0009】
今回、酢酸媒質中での過ヨウ素酸塩との処理、及びそれに続く水性の酸性媒質中での処理またはインサイチューにおけるホルムアルデヒドを消費することのできる試薬を用いて処理することで、対応する一般式(II)の誘導体を脱メチル化することにより、新規ストレプトグラミン誘導体を包含する、一般式(I)で示されるストレプトグラミン誘導体を提供できることを見出し、そして特に、新規ストレプトグラミン誘導体が本発明の主題を形成する。
【0010】
具体的には、一般式、
【0011】
【化3】
【0012】
(式中、R1はエチル基を表し、R2及びXは水素原子を表し、そしてYは水素原子またはヒドロキシル基を表す)で示されるストレプトグラミン誘導体であって、一般式、
【0013】
【化4】
【0014】
(式中、R1、R2、X、及びYは上に定義されたとおりである)で示されるシネルギスチン(synergistin)誘導体を酢酸溶媒中で過ヨウ素酸塩を用いて処理し、次いで水性楳質中で処理することによる脱メチル化により得ることのできる、ストレプトグラミン誘導体、が提供される。
【0015】
上記処理に用いる過ヨウ素酸塩は、都合よくは、過ヨウ素酸テトラ−n−ブチルアンモニウムまたは過ヨウ素酸アルカリ(過ヨウ素酸ナトリウム)である。この反応は、エチレングリコールの存在下または非存在下で、塩素化溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、またはトリクロロエタン)、エステル(例えば、酢酸エチル)、ニトリル(例えば、アセトニトリル)のような溶媒中で、あるいはテトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、または場合によってはこれらの溶媒の混合物中で行われる。この反応は、20及び40℃の間の温度で行われる。
【0016】
次の処理は、ホルムアルデヒドを遊離する、水性媒質中での加水分解である。強酸が添加される均質な水性媒質中で、または直接に酸性もしくは非酸性の二相の媒質中で得られた生成物を処理することにより、この工程を行うことが可能であり、特に、この工程は、ジクロロメタン/水の混合物中で行われることができる。この場合、好ましくは、水性媒質のpHは弱酸性であり、媒質の酸性度は、強酸または弱酸の添加により等しく提供されると理解される。
【0017】
用いる酸は、特に、トリフルオロ酢酸、硫酸、塩酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、またはギ酸から選択されることができる。酸性媒質中での処理は、0及び40℃の間の温度で行われる。
【0018】
次の処理が行われる場合、さらにインサイチューにおいてホルムアルデヒドを消費することのできる試薬を加えることも可能であり、この試薬は、水性媒質中、ヒドロキシルアミン、亜硫酸水素塩(例えば、亜硫酸水素ナトリウム)、または過酸化水素から都合よく選択される。この工程は、好ましくは、1及び7の間のpHで、0及び40℃の間の温度で二相の媒質中で行われる。
【0019】
このようにして得られた一般式(I)の生成物は、必要な場合、結晶化、沈殿、フラッシュクロマトグラフィー、またはHPLCのような常法により精製されることができる。
【0020】
上記のストレプトグラミン誘導体の中で、R1がエチル基を表し、R2及びXが水素原子を表し、そしてYが水素原子またはヒドロキシル基を表す一般式(I)の生成物は、ストレプトグラミン族の新規な生成物である。
【0021】
含まれるいかなる制限もなしに示された以下の実施例は、本発明による方法を例示する。
【実施例1】
【0022】
540gの未精製のプリスチナマイシンI[プリスチナマイシンIA 72.2%(433g)、プリスチナマイシンIB 4.2%(25g)、プリスチナマイシンIc 2.67%(16g)、プリスチナマイシンID 3.17%(19g)]を、1460cm3のジクロロメタン、500cm3の酢酸、及び40cm3のエチレングリコールの混合物中、三首フラスコ中で、溶液中に置く。温度を30℃に保ちながら、97.5gの過ヨウ素酸テトラ−n−ブチルアンモニウムを加える。30℃で3時間撹拌後、撹拌しながら、2000cm3の脱塩水を添加することにより反応を停止する。水相を沈降により分離して除き、そして有機相を2000cm3の脱塩水で再び洗浄する。水相を沈降により分離して除き、そして有機相を800cm3の容量に濃縮する。濃縮物に1000cm3のメチルエチルケトンを加え、そしてこの混合物を減圧下(1.5kPa)で1300cm3の容量に濃縮する。2400cm3の総容量までメチルエチルケトンを加え、そしてこの混合物を0℃に冷却する。沈殿した固形物を濾過して取り除き、250cm3のメチルエチルケトンで3回洗浄し、そして次に減圧下(1.5kPa)40℃で乾燥させる。このようにして441gの白色の固形物を得、この生成物を8800cm3の0.25N塩酸中に溶解し、そして1時間撹拌し、次に、3500cm3のジクロロメタンで抽出し、水相のpHを30%水酸化ナトリウムで4に調整する。有機相を沈降により分離して取り出し、3500cm3の水で洗浄し、そして次に、約1100cm3の容量まで減圧下(30℃で50kPa)で乾燥状態まで濃縮する。この溶液に2200cm3のエタノールを加え、そして減圧下での蒸留を1800cm3に濃縮するまで続ける。次に、3500cm3のエタノールを加える。得られた結晶を10℃で濾過して取り除き、そして次に、330cm3の冷エタノールで3回すすぎ、次に、減圧下(1.5kPa)40℃で乾燥させる。このようにして、白色の80.7%純粋な結晶、すなわち、290.4gのプリスチナマイシンIBを含んでいる形態において、360gのプリスチナマイシンIBを得る。
【0023】
さらに、41.2%の転化収率に相当する、1.1%のベルナマイシンBδを得、そして63%の転化収率に相当する、R1がエチルであり、そしてR2がヒドロキシルである一般式(I)のプリスチナマイシン2%を得た(HPLCアッセイ)。
【実施例2】
【0024】
20gのプリスチナマイシンI[プリスチナマイシンIA 76.5%(15.3g)、プリスチナマイシンIB 7%(1.4g)]を、28cm3の1,2−ジクロロエタン、70cm3の酢酸、及び2cm3のエチレングリコールの混合物中、三首フラスコ中で、溶液中に置く。温度を25℃に保ちながら、4.9gの過ヨウ素酸ナトリウムを加える。6時間撹拌後、撹拌しながら、100cm3の脱塩水を添加することにより反応を停止する。水相を沈降により分離して除き、そして有機相を50cm3の脱塩水で再び洗浄する。水相を沈降により分離して除き、そして有機相を減圧下で乾燥状態まで濃縮する。この固形物を400cm3のメチルイソブチルケトンに溶解し、そして生成物を320cm3次いで80cm3の0.2N硫酸で2回抽出する。これらの水相を合わせ、そして次に、400cm3のジクロロメタンで抽出する。有機相を沈降により分離して除き、30℃で減圧下(30kPa)で乾燥状態まで濃縮し、そして次に、40℃で減圧下(150Pa)で乾燥させると、72%(9g)のプリスチナマイシンIB及び5.6%(0.7g)のプリスチナマイシンIAを含んでいる12.5gの白色の固形物を得る。転化収率:84.9%。
【実施例3】
【0025】
540gの未精製のプリスチナマイシンI(プリスチナマイシンIA 433g、プリスチナマイシンIB 25g、プリスチナマイシンIC 16g、プリスチナマイシンID
19g)を、1460cm3のジクロロメタン、500cm3の酢酸、及び40cm3のエチレングリコールの混合物中、三首フラスコ中で、溶液中に置く。温度を30℃に保ちながら、97.5gの過ヨウ素酸テトラ−n−ブチルアンモニウムを加える。30℃で3時間撹拌後、撹拌しながら、34.7gのヒドロキシルアミン塩酸塩を含んでいる2000cm3の脱塩水を添加することにより反応を停止する。水相を沈降させ、次に分離して除く。有機相を2000cm3の水で洗浄する。沈降及び分離後、有機相をシロップに濃縮する。この濃縮物に2500cm3の酢酸エチルを注ぎ、そして次に、この溶液を1300cm3の最終容量に濃縮する。この懸濁液を5℃で濾過する。結晶を400cm3の新しい酢酸エチルで3回洗浄し、そして1500Paの残留圧(residual pressure)下で40℃で乾燥させる。このようにして、91%のプリスチナマイシンIBアッセイを与える331gの白色の生成物を得る。
【実施例4】
【0026】
(111.1gのプリスチナマイシンIA及び35.6gのプリスチナマイシンIBを含んでいる)180gの未精製のプリスチナマイシンIを、444cm3のジクロロメタン、128cm3の酢酸、及び10cm3のエチレングリコールの混合物中、三首フラスコ中で、溶液中に置く。25.9gの過ヨウ素酸テトラ−n−ブチルアンモニウムを加える。32℃で4時間撹拌後、撹拌しながら、1100cm3の生水を添加することにより反応を停止する。二相を沈降させ、そして分離する。有機相を、各場合において、1400cm3の生水で連続して4回再び洗浄する。これらの4回の洗浄物のpHを、沈降を促進するために5mlの標準塩酸で低い方へ再調整する。これらの4回の洗浄、沈降、及び分離を35℃で行う。有機相を約2倍に濃縮する。この濃縮物に600cm3の酢酸エチルを徐々に注ぎ、約1/3を加えた後、結晶化が開始される。添加後、フラスコ中の一定容量、すなわち、約600cm3を保つために、酢酸エチルの供給を付随する蒸留と共に続ける。約800cm3の一定容量までの蒸留後、懸濁液を0℃に冷却し、そして濾過する。フィルターケークを0℃で125cm3の酢酸エチルで2回洗浄し、そして恒量まで40℃で減圧下(1.5kPa)で乾燥させる。110gのプリスチナマイシンIBを含んでいる120gの淡いベージュ色の生成物を得る。
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規シュウドペプチドである、ストレプトグラミン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般式(I)
【0003】
【化1】
【0004】
式中、
R1はメチルまたはエチル基を表し、R2は水素原子を表し、そしてX及びYは一緒になってオキソ基を形成するか、あるいは、R1はエチル基を表し、R2及びXは水素原子を表し、そしてYは水素原子またはヒドロキシル基を表すか、あるいは、R1はエチル基を表し、R2はヒドロキシル基を表し、そしてX及びYは一緒になってオキソ基を形成する、
で示されるストレプトグラミンの一部(B群の化合物)は、A群の成分と組み合わせた場合、殺菌作用の相乗効果をもたらす。かようなストレプトグラミンは、一般式(II)
【0005】
【化2】
【0006】
(式中、基R1、R2、X、及びYは上に定義されたとおりである)のシネルギスチン(synergistin)誘導体からの新規な製造方法により、効果的に製造することができる。
【0007】
R1がエチルであり、そしてR2が水素である一般式(I)の生成物は、プリスチナマイシン(pristinamycin)IBという名で知られている。R1がメチルであり、そしてR2が水素である一般式(I)の生成物は、ベルナマイシンBδという名で知られている。R1がエチルであり、そしてR2が水素である一般式(II)の生成物は、プリスチナマイシンIAという名で知られている。R1がメチルであり、そしてR2が水素である一般式(II)の生成物は、プリスチナマイシンICまたはベルナマイシンBγという名で知られている。R1がエチルであり、そしてR2がヒドロキシルである一般式(II)の生成物は、プリスチナマイシンIDという名で知られている。
【0008】
脱メチル化の一般的な方法はすでに知られている(例えば、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4参照)。しかしながら、これらの方法は、反応が起こらないか、またはこれらの生成物に対して操作条件が分解するかのいずれかの理由で、ストレプトグラミンのような壊れやすい生成物に対して適応することができなかった。また、他の方法は、最終生成物から完全には除去できない有毒な反応物を伴い、このことは、製薬学的な観点から受容できない。
【非特許文献1】Tet.Lett.,18、1567(1977)
【非特許文献2】J.Org.Chem.,49、2795(1984)
【非特許文献3】J.C.S.Chem.Comm.,905(1989)
【非特許文献4】Tet.Lett.,33、6991(1992)
【発明の開示】
【0009】
今回、酢酸媒質中での過ヨウ素酸塩との処理、及びそれに続く水性の酸性媒質中での処理またはインサイチューにおけるホルムアルデヒドを消費することのできる試薬を用いて処理することで、対応する一般式(II)の誘導体を脱メチル化することにより、新規ストレプトグラミン誘導体を包含する、一般式(I)で示されるストレプトグラミン誘導体を提供できることを見出し、そして特に、新規ストレプトグラミン誘導体が本発明の主題を形成する。
【0010】
具体的には、一般式、
【0011】
【化3】
【0012】
(式中、R1はエチル基を表し、R2及びXは水素原子を表し、そしてYは水素原子またはヒドロキシル基を表す)で示されるストレプトグラミン誘導体であって、一般式、
【0013】
【化4】
【0014】
(式中、R1、R2、X、及びYは上に定義されたとおりである)で示されるシネルギスチン(synergistin)誘導体を酢酸溶媒中で過ヨウ素酸塩を用いて処理し、次いで水性楳質中で処理することによる脱メチル化により得ることのできる、ストレプトグラミン誘導体、が提供される。
【0015】
上記処理に用いる過ヨウ素酸塩は、都合よくは、過ヨウ素酸テトラ−n−ブチルアンモニウムまたは過ヨウ素酸アルカリ(過ヨウ素酸ナトリウム)である。この反応は、エチレングリコールの存在下または非存在下で、塩素化溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、またはトリクロロエタン)、エステル(例えば、酢酸エチル)、ニトリル(例えば、アセトニトリル)のような溶媒中で、あるいはテトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、または場合によってはこれらの溶媒の混合物中で行われる。この反応は、20及び40℃の間の温度で行われる。
【0016】
次の処理は、ホルムアルデヒドを遊離する、水性媒質中での加水分解である。強酸が添加される均質な水性媒質中で、または直接に酸性もしくは非酸性の二相の媒質中で得られた生成物を処理することにより、この工程を行うことが可能であり、特に、この工程は、ジクロロメタン/水の混合物中で行われることができる。この場合、好ましくは、水性媒質のpHは弱酸性であり、媒質の酸性度は、強酸または弱酸の添加により等しく提供されると理解される。
【0017】
用いる酸は、特に、トリフルオロ酢酸、硫酸、塩酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、またはギ酸から選択されることができる。酸性媒質中での処理は、0及び40℃の間の温度で行われる。
【0018】
次の処理が行われる場合、さらにインサイチューにおいてホルムアルデヒドを消費することのできる試薬を加えることも可能であり、この試薬は、水性媒質中、ヒドロキシルアミン、亜硫酸水素塩(例えば、亜硫酸水素ナトリウム)、または過酸化水素から都合よく選択される。この工程は、好ましくは、1及び7の間のpHで、0及び40℃の間の温度で二相の媒質中で行われる。
【0019】
このようにして得られた一般式(I)の生成物は、必要な場合、結晶化、沈殿、フラッシュクロマトグラフィー、またはHPLCのような常法により精製されることができる。
【0020】
上記のストレプトグラミン誘導体の中で、R1がエチル基を表し、R2及びXが水素原子を表し、そしてYが水素原子またはヒドロキシル基を表す一般式(I)の生成物は、ストレプトグラミン族の新規な生成物である。
【0021】
含まれるいかなる制限もなしに示された以下の実施例は、本発明による方法を例示する。
【実施例1】
【0022】
540gの未精製のプリスチナマイシンI[プリスチナマイシンIA 72.2%(433g)、プリスチナマイシンIB 4.2%(25g)、プリスチナマイシンIc 2.67%(16g)、プリスチナマイシンID 3.17%(19g)]を、1460cm3のジクロロメタン、500cm3の酢酸、及び40cm3のエチレングリコールの混合物中、三首フラスコ中で、溶液中に置く。温度を30℃に保ちながら、97.5gの過ヨウ素酸テトラ−n−ブチルアンモニウムを加える。30℃で3時間撹拌後、撹拌しながら、2000cm3の脱塩水を添加することにより反応を停止する。水相を沈降により分離して除き、そして有機相を2000cm3の脱塩水で再び洗浄する。水相を沈降により分離して除き、そして有機相を800cm3の容量に濃縮する。濃縮物に1000cm3のメチルエチルケトンを加え、そしてこの混合物を減圧下(1.5kPa)で1300cm3の容量に濃縮する。2400cm3の総容量までメチルエチルケトンを加え、そしてこの混合物を0℃に冷却する。沈殿した固形物を濾過して取り除き、250cm3のメチルエチルケトンで3回洗浄し、そして次に減圧下(1.5kPa)40℃で乾燥させる。このようにして441gの白色の固形物を得、この生成物を8800cm3の0.25N塩酸中に溶解し、そして1時間撹拌し、次に、3500cm3のジクロロメタンで抽出し、水相のpHを30%水酸化ナトリウムで4に調整する。有機相を沈降により分離して取り出し、3500cm3の水で洗浄し、そして次に、約1100cm3の容量まで減圧下(30℃で50kPa)で乾燥状態まで濃縮する。この溶液に2200cm3のエタノールを加え、そして減圧下での蒸留を1800cm3に濃縮するまで続ける。次に、3500cm3のエタノールを加える。得られた結晶を10℃で濾過して取り除き、そして次に、330cm3の冷エタノールで3回すすぎ、次に、減圧下(1.5kPa)40℃で乾燥させる。このようにして、白色の80.7%純粋な結晶、すなわち、290.4gのプリスチナマイシンIBを含んでいる形態において、360gのプリスチナマイシンIBを得る。
【0023】
さらに、41.2%の転化収率に相当する、1.1%のベルナマイシンBδを得、そして63%の転化収率に相当する、R1がエチルであり、そしてR2がヒドロキシルである一般式(I)のプリスチナマイシン2%を得た(HPLCアッセイ)。
【実施例2】
【0024】
20gのプリスチナマイシンI[プリスチナマイシンIA 76.5%(15.3g)、プリスチナマイシンIB 7%(1.4g)]を、28cm3の1,2−ジクロロエタン、70cm3の酢酸、及び2cm3のエチレングリコールの混合物中、三首フラスコ中で、溶液中に置く。温度を25℃に保ちながら、4.9gの過ヨウ素酸ナトリウムを加える。6時間撹拌後、撹拌しながら、100cm3の脱塩水を添加することにより反応を停止する。水相を沈降により分離して除き、そして有機相を50cm3の脱塩水で再び洗浄する。水相を沈降により分離して除き、そして有機相を減圧下で乾燥状態まで濃縮する。この固形物を400cm3のメチルイソブチルケトンに溶解し、そして生成物を320cm3次いで80cm3の0.2N硫酸で2回抽出する。これらの水相を合わせ、そして次に、400cm3のジクロロメタンで抽出する。有機相を沈降により分離して除き、30℃で減圧下(30kPa)で乾燥状態まで濃縮し、そして次に、40℃で減圧下(150Pa)で乾燥させると、72%(9g)のプリスチナマイシンIB及び5.6%(0.7g)のプリスチナマイシンIAを含んでいる12.5gの白色の固形物を得る。転化収率:84.9%。
【実施例3】
【0025】
540gの未精製のプリスチナマイシンI(プリスチナマイシンIA 433g、プリスチナマイシンIB 25g、プリスチナマイシンIC 16g、プリスチナマイシンID
19g)を、1460cm3のジクロロメタン、500cm3の酢酸、及び40cm3のエチレングリコールの混合物中、三首フラスコ中で、溶液中に置く。温度を30℃に保ちながら、97.5gの過ヨウ素酸テトラ−n−ブチルアンモニウムを加える。30℃で3時間撹拌後、撹拌しながら、34.7gのヒドロキシルアミン塩酸塩を含んでいる2000cm3の脱塩水を添加することにより反応を停止する。水相を沈降させ、次に分離して除く。有機相を2000cm3の水で洗浄する。沈降及び分離後、有機相をシロップに濃縮する。この濃縮物に2500cm3の酢酸エチルを注ぎ、そして次に、この溶液を1300cm3の最終容量に濃縮する。この懸濁液を5℃で濾過する。結晶を400cm3の新しい酢酸エチルで3回洗浄し、そして1500Paの残留圧(residual pressure)下で40℃で乾燥させる。このようにして、91%のプリスチナマイシンIBアッセイを与える331gの白色の生成物を得る。
【実施例4】
【0026】
(111.1gのプリスチナマイシンIA及び35.6gのプリスチナマイシンIBを含んでいる)180gの未精製のプリスチナマイシンIを、444cm3のジクロロメタン、128cm3の酢酸、及び10cm3のエチレングリコールの混合物中、三首フラスコ中で、溶液中に置く。25.9gの過ヨウ素酸テトラ−n−ブチルアンモニウムを加える。32℃で4時間撹拌後、撹拌しながら、1100cm3の生水を添加することにより反応を停止する。二相を沈降させ、そして分離する。有機相を、各場合において、1400cm3の生水で連続して4回再び洗浄する。これらの4回の洗浄物のpHを、沈降を促進するために5mlの標準塩酸で低い方へ再調整する。これらの4回の洗浄、沈降、及び分離を35℃で行う。有機相を約2倍に濃縮する。この濃縮物に600cm3の酢酸エチルを徐々に注ぎ、約1/3を加えた後、結晶化が開始される。添加後、フラスコ中の一定容量、すなわち、約600cm3を保つために、酢酸エチルの供給を付随する蒸留と共に続ける。約800cm3の一定容量までの蒸留後、懸濁液を0℃に冷却し、そして濾過する。フィルターケークを0℃で125cm3の酢酸エチルで2回洗浄し、そして恒量まで40℃で減圧下(1.5kPa)で乾燥させる。110gのプリスチナマイシンIBを含んでいる120gの淡いベージュ色の生成物を得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式、
【化1】
(式中、R1はエチル基を表し、R2及びXは水素原子を表し、そしてYは水素原子またはヒドロキシル基を表す)で示されるストレプトグラミン誘導体であって、一般式、
【化2】
(式中、R1、R2、X、及びYは上に定義されたとおりである)で示されるシネルギスチン(synergistin)誘導体を酢酸溶媒中で過ヨウ素酸塩を用いて処理し、次いで水性楳質中で処理することによる脱メチル化により得ることのできる、ストレプトグラミン誘導体。
【請求項1】
一般式、
【化1】
(式中、R1はエチル基を表し、R2及びXは水素原子を表し、そしてYは水素原子またはヒドロキシル基を表す)で示されるストレプトグラミン誘導体であって、一般式、
【化2】
(式中、R1、R2、X、及びYは上に定義されたとおりである)で示されるシネルギスチン(synergistin)誘導体を酢酸溶媒中で過ヨウ素酸塩を用いて処理し、次いで水性楳質中で処理することによる脱メチル化により得ることのできる、ストレプトグラミン誘導体。
【公開番号】特開2007−31434(P2007−31434A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−201006(P2006−201006)
【出願日】平成18年7月24日(2006.7.24)
【分割の表示】特願平8−531510の分割
【原出願日】平成8年4月16日(1996.4.16)
【出願人】(591156825)アベンテイス・フアルマ・ソシエテ・アノニム (7)
【氏名又は名称原語表記】Aventis Pharma S.A.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月24日(2006.7.24)
【分割の表示】特願平8−531510の分割
【原出願日】平成8年4月16日(1996.4.16)
【出願人】(591156825)アベンテイス・フアルマ・ソシエテ・アノニム (7)
【氏名又は名称原語表記】Aventis Pharma S.A.
【Fターム(参考)】
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