説明

ストレージシステムおよび起動方法

【課題】上位側の装置の起動に連動して起動させ、上位側の装置から順番に起動させることを課題とする。
【解決手段】上位装置である基本装置30と、接続I/F部90(増設装置10A1が待機状態でも作動する)との間で行なわれるOOBシーケンスが、所定の段階に移行したことをOOBシーケンス監視部100により検知する。OOBシーケンス監視部100による検知に基づいて電力供給制御部110は、起動電力供給部120に電力の供給を指示する。増設装置10A1が起動すると、同様に、増設装置10A2の接続I/F部との間でOOBシーケンスが行なわれる。その結果、上位側の増設装置から順番に起動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ストレージシステム等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記憶媒体に加えて外部からのアクセスを制御する制御部を備えた記憶装置(以下、基本装置)に対し、記憶媒体を増設するための記憶装置(以下、増設装置)を接続して大容量を実現する記憶システムが利用されている。
【0003】
増設装置は、基本装置に対して第一の増設装置、第一の増設装置に対して第二の増設装置と、一続きに接続される。
【0004】
このような記憶システムを正常に起動するには、オペレータは、初めに基本装置を起動し、以降、基本装置側の増設装置から順番に起動する必要があった。
【0005】
具体的には、オペレータは、基本装置および増設装置の筐体各々に設置された電源スイッチを順番どおりに、押し忘れなく押すことで、記憶システムを正常に起動させていた。ここで、例えば、オペレータが途中で増設装置の電源スイッチを押し忘れると、増設装置が順番どおりに起動されない。その結果、基本装置が一部の増設装置だけを認識することになり、記憶システムとしては正常に作動しない。
【0006】
ところが、基本装置に接続される増設装置の数が多い場合には、このような作業は、オペレータにとって大変負担であった。
【0007】
そこで、オペレータの負担を軽減するため、簡易な手順で記憶システムを起動する種々の方法が提案されている。
【0008】
例えば、記憶媒体を実装する筐体内のいずれの位置に記憶媒体が実装されたかを検知し、検知結果と、予め設定されたアルゴリズムとに基づいて電力を供給する順番を決定し、その順番どおりに電力を供給する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−213584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記の方法では、記憶媒体の実装位置を基準に決定された順番で各装置が起動することになり、必ずしも基本装置側の増設装置から順番に起動させることができず、記憶システムが正常に起動しないという課題があった。
【0011】
開示の技術は、上位側の装置の起動に連動して起動することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、このストレージシステムは、データを記憶する記憶媒体を有する第1の装置と、回線を介して前記第1の装置に接続され、前記記憶媒体に対して読み書き指示されるデータを第1の装置との間で送受信する第2の装置とを備えたストレージシステムにおいて、前記第1の装置に電力を供給する電力供給手段と、前記電力供給手段から前記第1の装置へ部分的に供給される待機電力によって作動し、前記データの送受信前に前記回線を介して前記第2の装置との間で行われる存在を確認するための第1の初期化シーケンスまたはインタフェース種別を認識するための第2の初期化シーケンスを実行する通信制御手段と、前記待機電力の供給によって作動し、前記第2の装置と前記回線を介して行われる前記第1の初期化シーケンスと前記第2の初期化シーケンスのうち少なくともいずれか一方が実行されたことを検知する検知手段と、前記待機電力の供給によって作動し、前記検知手段による前記第1の初期化シーケンスと前記第2の初期化シーケンスのうち少なくともいずれか一方の実行の検知に基づいて、前記電力供給手段に、前記第1の装置に対する起動電力の供給を指示する電力供給指示手段と、を備えたことを要件とする。
【0013】
また、この方法は、データを記憶する記憶媒体を有する第1の装置と、回線を介して前記第1の装置に接続され、前記記憶媒体に対して読み書き指示されるデータを第1の装置との間で送受信する第2の装置とを備えたストレージシステムが前記第1の装置を起動する起動方法であって、前記データの送受信前に前記回線を介して前記第2の装置との間で行われる存在を確認するための第1の初期化シーケンスまたはインタフェース種別を認識するための第2の初期化シーケンスを実行する通信制御ステップと、前記通信制御ステップによって前記第2の装置と前記回線を介して行われる前記第1の初期化シーケンスと前記第2の初期化シーケンスのうち少なくともいずれか一方が実行されたことを検知する検知ステップと、前記検知ステップにおける前記第1の初期化シーケンスと前記第2の初期化シーケンスのうち少なくともいずれか一方の実行の検知に基づいて、前記第1の装置に対する起動電力の供給を指示する電力供給指示ステップと、を含んだことを要件とする。
【発明の効果】
【0014】
上位装置が起動すると、必ずインタフェースとの間で初期化シーケンスが行なわれるので、上位装置の起動に連動して記憶装置が起動することが可能となる。上位装置に対して、このような記憶装置の機能を有する下位装置が一続きに接続されれば、初めに上位装置を起動し、以降、上位装置側の装置から順番に起動する必要がある場合でも、オペレータは、最上位の装置の電源スイッチを押すだけでよい。このように、オペレータの負担を軽減することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】増設装置の概要を説明するための図である。
【図2】実施例1に係る増設装置の構成を示すブロック図である。
【図3】各部の処理を示すシーケンス図である。
【図4】実施例2に係る増設装置の構成を示すブロック図である。
【図5】制御部が行なう処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】起動が完了するまでの時間が各装置で異なることを説明する図である。
【図7】実施例2の変形例を説明するための図である。
【図8】制御部が行なう処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】実施例2の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照して、開示の技術に係る増設装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
まず、図1を用いて増設装置の概要を説明する。図1は、増設装置の概要を説明するための図である。
【0018】
図1に示すように、増設装置10A1〜10Anは、外部からのアクセスを制御する基本装置30に対して一続きに接続される。また、増設装置10A1〜10Anは、基本装置30とともに記憶システム40を構成し、例えば、ホストコンピュータ20が基本装置30に接続される。
【0019】
また、基本装置30および増設装置10A1〜10Anは、例えば、記憶システム40が外部の電源50に接続されても、部分的に電力が供給された待機状態となる。そして、各装置は、筐体に設置された電源スイッチを押された時など、所定のタイミングで起動するが、起動するまでは待機状態を維持する。
【0020】
次に、図2を用いて実施例1に係る増設装置の構成を説明する。増設装置10A1〜10Anは、全て同様の構成であるので、代表して増設装置10A1の構成を説明する。図2は、実施例1に係る増設装置の構成を示すブロック図である。
【0021】
図2に示すように、増設装置10A1は、上位装置である基本装置30および下位装置である増設装置10A2と通信可能に接続される。装置間の接続に使用するケーブルは、本実施例では、例えば、4レーンのマルチレーンとする。
【0022】
増設装置10A1は、制御部70と、HDD(Hard Disk Drive)80A1〜80Anと、SAS(Serial Attached SCSI)に準拠した接続I/F部90と、OOB(Out Of Band)シーケンス監視部100と、電力供給制御部110と、起動電力供給部120と、を備える。接続I/F部90、OOBシーケンス監視部100および電力供給制御部110には、増設装置10A1が待機状態の際にも、電力が供給される。
【0023】
制御部70は、HDD80A1〜80Anに対するデータの読み書きを制御する。また、制御部70は、増設装置10A1に接続される上位装置または下位装置との通信や、増設装置10A1を介して接続される装置間の通信を制御する。
【0024】
具体的には、制御部70は、電力が供給されると、ROM(Read Only Memory)等から読み出したファームウェアに基づいて起動する。その結果、増設装置10A1が起動することとなる。起動した制御部70は、下位の増設装置10A2との間でOOBシーケンスと呼ばれる初期化シーケンスを行う。
【0025】
OOBシーケンスは、HDDに対して読み書きされるデータを送受信する前に各装置間で実行される。具体的には、装置間では、COMINITと呼ばれ、存在を確認するための信号や、COMSASまたはCOMWAKEと呼ばれ、SASかSATA(Serial ATA)かを認識するための信号のやりとり等が行なわれる。
【0026】
HDD80A1〜80Anは、基本装置30にデータの書き込みを指示された制御部70からデータを受け取って記憶する。
【0027】
接続I/F部90は、上位装置と接続するための機能部であり、起動した上位装置との間では、OOBシーケンスが実行される。また、接続I/F部90は、上記したケーブルが接続されるため、物理的に4つのポートを備える。また、接続I/F部90は、レジスタを備え、ポートからデータや信号を送受信する際に、各ポートの使用状況に基づいてレジスタの状態を更新する。例えば、接続I/F部90は、OOBシーケンスの実行中に上記したCOMINITを受信するが、その際のポートの使用状況に基づいてレジスタの状態を更新する。
【0028】
なお、接続I/F部90を制御部70の一部として備えるようにしてもよい。しかし、本実施例のように、接続I/F部90を独立させれば、接続I/F部90に電力を供給すればよいので、待機状態の際の消費電力を削減することができる。
【0029】
OOBシーケンス監視部100は、OOBシーケンスの状況を監視する処理部であり、特に、アクセス部101と、受信判定部102と、電力供給指示部103と、を備える。
【0030】
アクセス部101は、受信判定部102からの指示により、接続I/F部90のレジスタの状態を読み出す。
【0031】
受信判定部102は、所定の間隔でアクセス部101に対して接続I/F部90のレジスタの状態を読み出すように指示する。そして、受信判定部102は、アクセス部101が読み出したレジスタの状態に基づいて接続I/F部90における各ポートの使用状況を判定する。そして、受信判定部102は、レジスタの状態に基づいて2つのポートが使用中であると判定すると、上位装置からCOMINITを受信したと判断する。そして、受信判定部102は、電力供給指示部103に対し、制御信号を出力する。
【0032】
電力供給指示部103は、受信判定部102から制御信号を受け取ると、電力供給制御部110に対し、制御信号を出力する。
【0033】
電力供給制御部110は、制御部70への電力供給を制御する。具体的には、電力供給制御部110は、OOBシーケンス監視部100から制御信号を受け取ると、起動電力供給部120に対し、制御信号を出力する。続いて、電力供給制御部110は、OOBシーケンス監視部100に対して制御信号を出力し、作動停止を指示する。こうすることによって、電力供給制御部110に対し、制御信号を繰り返し出力することを回避できる。また、OOBシーケンス監視部100へ電力を供給する必要がなくなり、消費電力を削減できる。
【0034】
起動電力供給部120は、電力供給制御部110から制御信号を受け取ると、制御部70に電力を供給する。
【0035】
次に、図3を用いて制御部70へ電力が供給されるまでに各部で行われる処理の流れを説明する。図3は、各部の処理を示すシーケンス図であり、各部の処理は、増設装置10A1が待機状態の際に実行される。
【0036】
まず、OOBシーケンス監視部100において、受信判定部102は、アクセス部101に対し、接続I/F部90のレジスタの状態を読み出ように指示する(I1)。アクセス部101は、かかる指示に応じて接続I/F部90のレジスタの状態を読み出し、結果を通知する(R1)。このような処理が所定の間隔で繰り返される。
【0037】
接続I/F90は、起動した上位装置との間で行なわれるOOBシーケンスにより、各ポートの使用状況が変化すると、使用状況に基づいてレジスタの状態を更新する(ステップS101)。
【0038】
ステップS101として示した処理後に、アクセス部101が、接続I/F部90のレジスタの状態を読み出し、結果を通知すると(R2)、受信判定部102は、レジスタの状態から4ポート中1ポートが使用中であると判定する(ステップS102)。
【0039】
さらに、接続I/F90は、OOBシーケンスにより、各ポートの使用状況が変化すると、使用状況に基づいてレジスタの状態を更新する(ステップS103)。
【0040】
ステップS103として示した処理後に、アクセス部101が、接続I/F部90のレジスタの状態を読み出し、結果を通知すると(R3)、受信判定部102は、レジスタの状態から4ポート中2ポートが使用中であると判定する(ステップS104)。その結果、受信判定部102は、接続I/F90がCOMINITを受信したと判断する(ステップS105)。そして、受信判定部102は、電力供給指示部103に対し、制御信号を出力する(I2)。
【0041】
電力供給指示部103は、制御信号を受け取ると、電力供給制御部110に対し、制御信号を出力する(I3)。
【0042】
そして、電力供給制御部110は、制御信号を受け取ると、起動電力供給部120に対して制御信号を出力する(ステップS106)。その結果、制御信号を受け取った起動電力供給部120により制御部70へ電力が供給される。続いて、電力供給制御部110は、OOBシーケンス監視部100の受信判定部102に対して制御信号を出力し(I4)、制御信号を受け取った受信判定部102は、作動を停止する(ステップS107)。
【0043】
なお、上記のシーケンス図では、受信判定部102は、4ポート中2ポートが使用中であると判定した結果、接続I/F90がCOMINITを受信したと判断すると説明したが、あくまで一例である。その他、COMINITを受信したと判断する条件は、4ポート中全ポートが使用中であった場合としてもよいし、4ポート中3ポートが使用中であった場合としてもよい。
【0044】
図1に示す基本装置30には、上述してきたような構成の増設装置10A1〜10Anが接続される。オペレータが基本装置30の筐体に設置された電源スイッチを押すと、まず、基本装置30が起動する。起動した基本装置30と、接続I/F部90との間では、OOBシーケンスが行なわれるので、増設装置10A1は、基本装置30が起動すると、自動で制御部70に電力を供給することになる。さらに、起動した制御部70と、増設装置10A2における接続I/F部との間では、同様にOOBシーケンスが行われる。その結果、増設装置10A2も、同様に自動で制御部に電力を供給する。
【0045】
以降の増設装置についても同様であり、次々に制御部へ電力が供給される。したがって、基本装置30の起動に連動して、増設装置10A1〜10Anを、基本装置30側の増設装置から順番に自動で起動することが可能となる。
【実施例2】
【0046】
実施例1では、増設装置の制御部に電力が自動で供給される場合を説明したが、実施例2では、制御部への電力供給が自動で停止される場合を説明する。
【0047】
図4を用いて実施例2に係る増設装置の構成を説明する。図4は、実施例2に係る増設装置の構成を示すブロック図である。実施例1と同じ処理動作をし、同じ機能を有する各部については、説明を省略し、以下では、制御部70、電力供給制御部110および起動電力供給部120についてのみ説明を行う。
【0048】
制御部70は、リンク状態監視部71と、終了処理実行部72と、を備える。
【0049】
リンク状態監視部71は、接続I/F部90が備えるポートの使用状況を監視し、全ポートが未使用となったか否かを判定する。
【0050】
具体的には、リンク状態監視部71は、所定の間隔で接続I/F部90のレジスタの状態を読み出し、読み出したレジスタの状態に基づいて、各ポートの使用状況を判定する。
【0051】
そして、リンク状態監視部71は、全ポートが未使用であると判定した場合には、終了処理実行部72に対し、終了処理の開始を指示する制御信号を出力する。
【0052】
終了処理実行部72は、リンク状態監視部71から制御信号を受け取ると、終了処理を行う。具体的には、終了処理実行部72は、制御信号を受け取ると、まず、制御部70が下位装置との通信に用いる全ポートを閉じる。
【0053】
終了処理実行部72は、その後の終了処理ではバックアップ等を行い、続いて電力供給制御部110に対し、電力供給の停止を指示する制御信号を出力する。制御信号を受け取った電力供給制御部110は、起動電力供給部120に対し、制御信号を出力する。そして、起動電力供給部120は、電力供給制御部110から制御信号を受け取ると、制御部70への電力供給を停止する。
【0054】
なお、終了処理でポートの閉鎖を行なわなくとも、制御部70への電力供給が停止されれば、下位装置の接続I/F部におけるポートが未使用となる。その結果、下位装置の制御部は、終了処理を開始することとなる。しかし、本実施例では、終了処理でポートの閉鎖を優先して行なうので、下位装置の制御部に対し、速やかに終了処理を開始させることができる。
【0055】
次に、図5を用いて制御部70が行なう処理動作を説明する。図5に示した処理フローは、制御部70において、所定の間隔で繰り返し実行される。
【0056】
制御部70は、接続I/F部90のレジスタの状態を読み出すと(ステップS201)、レジスタの状態に基づいて、全ポートが未使用であるか否かを判断する(ステップS202)。
【0057】
全ポートが未使用であると判定した場合には(ステップS202肯定)、制御部70は、ポートの閉鎖や(ステップS203)、バックアップ等の終了処理を行い(ステップS204)、処理を終了する。
【0058】
図1に示す基本装置30には、上述してきたような構成の増設装置10A1〜10Anが接続される。オペレータが基本装置30の筐体に設置された電源スイッチを押すと、まず、基本装置30が待機状態となる。基本装置30が待機状態となることで、増設装置10A1の接続I/F部90における全ポートが未使用になり、制御部70は、自動で終了処理を開始する。制御部70における終了処理では、ポートの閉鎖が行われるので、増設装置10A2の接続I/F部における全ポートも未使用となる。その結果、増設装置10A2の制御部は、自動で終了処理を開始する。
【0059】
以降の増設装置についても同様であり、次々に制御部への電力供給が停止される。したがって、基本装置30の待機状態に連動して、増設装置10A1〜10Anの制御部への電力供給を、基本装置30側から順番に自動で停止することが可能となる。
【実施例3】
【0060】
さて、これまで本開示の技術の実施例について説明したが、本開示の技術は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下に示すように、(1)〜(3)にそれぞれ区分けして異なる実施例を説明する。
【0061】
(1)待機状態のない記憶システム
上記の実施例では、各装置を待機状態から起動させることを前提に説明を行ったが、各装置を待機状態にせずに、例えば、装置内のいずれの部分にも電力が供給されない状態から一斉に起動する場合がある。例えば、各筐体に起動切替スイッチを設置し、各装置が起動までに待機状態を維持する段階を設けるか否かを選択できるようにしてもよい。
【0062】
ところで、各装置の制御部が起動を完了するまでの時間はそれぞれ異なるため、起動までに待機状態を維持する段階を設けない方法で起動する場合には、例えば、図6の上段に示すように、上位装置の制御部70aの起動が完了する前に、下位装置の制御部70bの起動が完了してしまうことがある。
【0063】
このとき、増設装置が実施例2で説明した機能を有する場合には、図6下段に示すように、制御部70bが、接続I/F部90bの全ポートが未使用であると判定する。その結果、制御部70bは、終了処理を開始してしまう。
【0064】
上記した状況を防止するために、各制御部が、起動を完了してから所定の時間経過した後にポートの使用状況の監視を開始するようにしてもよい。具体的には、制御部70には、図4で示した各部に加え、さらにタイマを備え、タイマは、制御部70が起動を完了してから、例えば、1分後にリンク状態監視部71に対して制御信号を出力する。リンク状態監視部71は、制御信号を受け取った後、ポートの使用状況の監視を開始する。
【0065】
(2)コマンド送信を行なう基本装置
基本装置によっては、任意の増設装置に対して所定のコマンドを送信し、送信対象の増設装置の制御部に終了処理を行わせることができるものもある。
【0066】
ところが、増設装置が実施例2で説明した機能を有する場合には、送信対象の増設装置のみではなく、以降に接続された増設装置の制御部も終了処理を開始してしまう。
【0067】
そこで、基本装置の種別に基づいて、増設装置の各制御部がポートの使用状況の監視を中断するようにしてもよい。
【0068】
具体的には、図7に示すように、制御部70が、実施例2で説明した各部に加え、基本装置認識部73を備えるようにする。
【0069】
基本装置認識部73は、基本装置30と通信し、基本装置30がコマンド送信を行なう基本装置であれば、リンク状態監視部71に対し、ポートの使用状況の監視を中断するように制御する。
【0070】
図8を用いて制御部70が行なう処理動作を説明する。図8に示した処理フローは、起動後の制御部70において実行される。
【0071】
制御部70は、基本装置30と通信し(ステップS301)、基本装置30がコマンド送信を行なう基本装置であるか否かを判断する(ステップS302)。
【0072】
コマンド送信を行なう基本装置である場合には(ステップS302肯定)、制御部70は、リンク状態監視部71によるポートの使用状況の監視を中断して(ステップS303)通常処理を行う(ステップS304)。
【0073】
また、制御部70には、ポートの使用状況の監視を再開させる監視再開制御部を備えるようにしてもよい。具体的には、監視再開制御部は、基本装置30から、監視の再開を指示する制御信号を受け付けると、リンク状態監視部71によるポートの使用状況の監視を再開するように制御する。
【0074】
(3)監視状態の制御
また、増設装置が実施例2で説明した機能を有する場合には、いずれかの増設装置でハード故障等が起こると、下位の増設装置における接続I/F部のポートが未使用となり、その結果、制御部が終了処理を開始し、以降に接続された増設装置の制御部も次々に終了処理を開始してしまう。
【0075】
そこで、基本装置からの指示に基づいてポートの使用状況の監視を一時的に中断するようにしてもよい。
【0076】
具体的には、図9に示すように、制御部70が、実施例2で説明した各部に加え、監視状態制御部74を備えるようにする。
【0077】
監視状態制御部74は、基本装置30から、監視の中断を指示する制御信号を受け付けると、リンク状態監視部71に対し、ポートの使用状況の監視を中断するように制御する。
【0078】
その後、監視状態制御部74は、基本装置30から、監視の再開を指示する制御信号を受け付けると、リンク状態監視部71に対し、ポートの使用状況の監視を再開するように制御する。
【0079】
以上の実施例1〜3を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0080】
(付記1)上位装置と所定のインタフェースで接続される記憶装置であって、
当該の記憶装置を起動させるための電力を供給する電力供給手段と、
当該の記憶装置へ部分的に電力を供給する待機電源による電力供給で作動し、前記インタフェースを介して行なう前記上位装置との通信を制御する通信制御手段と、
前記待機電源による電力供給で作動し、前記上位装置と前記インタフェースとの間で行われる所定の初期化シーケンスが、所定の段階に移行したことを検知する検知手段と、
前記待機電源による電力供給で作動し、前記検知手段による検知に基づいて前記電力供給手段に電力の供給を指示する電力供給指示手段と、
を備えたことを特徴とする記憶装置。
【0081】
(付記2)前記インタフェースが上位装置との通信に使用する全ポートのリンクダウンを検知するリンクダウン検知手段と、
前記リンクダウン検知手段による検知に基づいて当該の記憶装置の終了処理を行なう終了処理手段と、
をさらに備えたことを特徴とする付記1に記載の記憶装置。
【0082】
(付記3)前記終了処理手段は、下位装置との通信に使用するポートの閉鎖を優先して行うことを特徴とする付記2に記載の記憶装置。
【0083】
(付記4)前記リンクダウン検知手段は、前記電力供給手段による電力供給で作動した後、所定の時間が経過してから検知を開始することを特徴とする付記2または3に記載の記憶装置。
【0084】
(付記5)外部からのアクセスを制御する制御部を備えた基本装置と通信して当該基本装置の種別を判定し、判定結果に基づいて前記リンクダウン検知手段による検知を中断させる第一検知中断手段をさらに備えたことを特徴とする付記2、3または4に記載の記憶装置。
【0085】
(付記6)外部からのアクセスを制御する制御部を備えた基本装置から所定のコマンドを受け付けた場合に、前記リンクダウン検知手段による検知を中断させる第二検知中断手段をさらに備えたことを特徴とする付記2〜5のいずれか一つに記載の記憶装置。
【0086】
(付記7)前記基本装置から所定のコマンドを受け付けた場合に、前記リンクダウン検知手段による検知を再開させる検知再開手段をさらに備えたことを特徴とする付記5または6に記載の記憶装置。
【0087】
(付記8)上位装置と所定のインタフェースで接続される記憶装置を起動する起動方法であって、
起動した上位装置との間で行われる所定の初期化シーケンスが、所定の段階に移行したことを、当該の記憶装置へ部分的に電力が供給された待機状態において検知する検知ステップと、
前記検知ステップにおける検知に基づいて、当該の記憶装置を起動させるための電力を供給する電源に電力供給を指示する電力供給指示ステップと、
を含んだことを特徴とする起動方法。
【符号の説明】
【0088】
10A1〜10An 増設装置
20 ホストコンピュータ
30 基本装置
40 記憶システム
50 電源
70 制御部
71 リンク状態監視部
72 終了処理実行部
73 基本装置認識部
74 監視状態制御部
80A1〜80An HDD
90 接続I/F部
100 OOBシーケンス監視部
101 アクセス部
102 受信判定部
103 電力供給指示部
110 電力供給制御部
120 起動電力供給部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを記憶する記憶媒体を有する第1の装置と、回線を介して前記第1の装置に接続され、前記記憶媒体に対して読み書き指示されるデータを第1の装置との間で送受信する第2の装置とを備えたストレージシステムにおいて、
前記第1の装置に電力を供給する電力供給手段と、
前記電力供給手段から前記第1の装置へ部分的に供給される待機電力によって作動し、前記データの送受信前に前記回線を介して前記第2の装置との間で行われる存在を確認するための第1の初期化シーケンスまたはインタフェース種別を認識するための第2の初期化シーケンスを実行する通信制御手段と、
前記待機電力の供給によって作動し、前記第2の装置と前記回線を介して行われる前記第1の初期化シーケンスと前記第2の初期化シーケンスのうち少なくともいずれか一方が実行されたことを検知する検知手段と、
前記待機電力の供給によって作動し、前記検知手段による前記第1の初期化シーケンスと前記第2の初期化シーケンスのうち少なくともいずれか一方の実行の検知に基づいて、前記電力供給手段に、前記第1の装置に対する起動電力の供給を指示する電力供給指示手段と
を備えたことを特徴とするストレージシステム。
【請求項2】
データを記憶する記憶媒体を有する第1の装置と、回線を介して前記第1の装置に接続され、前記記憶媒体に対して読み書き指示されるデータを第1の装置との間で送受信する第2の装置とを備えたストレージシステムが前記第1の装置を起動する起動方法であって、
前記データの送受信前に前記回線を介して前記第2の装置との間で行われる存在を確認するための第1の初期化シーケンスまたはインタフェース種別を認識するための第2の初期化シーケンスを実行する通信制御ステップと、
前記通信制御ステップによって前記第2の装置と前記回線を介して行われる前記第1の初期化シーケンスと前記第2の初期化シーケンスのうち少なくともいずれか一方が実行されたことを検知する検知ステップと、
前記検知ステップにおける前記第1の初期化シーケンスと前記第2の初期化シーケンスのうち少なくともいずれか一方の実行の検知に基づいて、前記第1の装置に対する起動電力の供給を指示する電力供給指示ステップと
を含んだことを特徴とする起動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−216128(P2011−216128A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168746(P2011−168746)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【分割の表示】特願2008−115902(P2008−115902)の分割
【原出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】