説明

ストレージスイッチ、記憶領域サイズ変更方法

【課題】 データのマイグレーション処理の作業負荷を軽減させるストレージスイッチを提供する。
【解決手段】 ストレージスイッチであって、移行元仮想ディスクより容量の大きい移行先仮想ディスクを作成するマイグレーション先作成部2と、移行元仮想ディスクと同サイズとなる第1記憶領域を移行先仮想ディスクに作成し、ホストからの移行元仮想ディスクへのライト要求の処理を第1記憶領域と移行元仮想ディスクとに行うミラー領域を作成し、また移行先仮想ディスク内で第1記憶領域とは異なる第2記憶領域を作成し、ホストからの第2記憶領域へのリード要求、ライト要求の処理を第2記憶領域に行うミラー領域を作成し、作成したミラー領域を合わせた合成ミラー領域を作成するミラー領域作成部3と、仮想ターゲットに合成ミラー領域を接続するVT接続部4と、移行元仮想ディスクから第1記憶領域へのデータ移行を行うマイグレーション処理部5とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想ディスクの記憶領域サイズを変更するストレージスイッチ、記憶領域サイズ変更方法、記憶領域サイズ変更プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
業務システムの運用が継続して行われることで、運用データのデータ量が増加し、それに伴い大容量の記憶領域を確保する必要が出てくる。このため、記憶容量の大きな磁気ディスク装置等の物理ディスクを新たに用意し、用意した物理ディスクに基づき記憶容量の大きな仮想ディスクを作成し、データ移行(マイグレーション)を行う必要がある。マイグレーションは、一般的にストレージスイッチに新たに物理ディスクを接続し、現在使用している仮想ディスクからデータを移行する処理に利用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
仮想ディスクの領域拡張を繰り返すと、1つの仮想ディスクが複数の物理ディスクに分散したり、同一の物理ディスクであっても不連続領域に割り当てられたりし、スペース効率とアクセス効率の低下を招く。
【0004】
従来のマイグレーションで複数Extentを持つ仮想ディスクを1つのExtentに集めることは可能だが、マイグレーションはコピー元の仮想ディスクとコピー先の仮想ディスクの容量が同一である必要がある。また、たとえ先の仮想ディスクの容量が大きく指定されたときでも、先の仮想ディスクの拡張部分へのアクセスはマイグレーションの完了を待たねばならない。
【0005】
新たな物理ディスクは、現在使用している物理ディスクよりも容量が大きい場合が多い。この場合、マイグレーションの完了を待って領域拡張を行う必要があるため、マイグレーション処理と領域拡張との少なくとも2ステップの作業工程となる。このようにユーザは2ステップを行う必要があるためユーザの作業負荷が高い。
【0006】
また、一般に仮想ディスクは、容量を縮小することはできないが、仮想ディスクを作成時の予測よりも容量が少なくてよかったような場合に、使わない無駄な領域が発生してしまう。
【0007】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、マイグレーションと領域拡張を同時に行うことにより、マイグレーション完了を待たずに拡張部分にアクセスできるストレージスイッチ、記憶領域サイズ変更方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ストレージスイッチは、データが移行される元の記憶領域であるデータ移行元記憶領域より容量の大きい記憶領域であって、データが移行される先の記憶領域であるデータ移行先記憶領域を作成する移行先記憶領域作成部と、前記データ移行元記憶領域と同じサイズ分の記憶領域である第1記憶領域を前記データ移行先記憶領域内に作成し、ホストからの前記データ移行元記憶領域へのライト要求に対する処理が、前記第1記憶領域と前記データ移行元記憶領域とで行われるよう制御するミラー領域である第1ミラー領域を作成する第1ミラー領域作成部と、前記データ移行先記憶領域内で、前記第1記憶領域とは異なる記憶領域である第2記憶領域を作成し、ホストからの前記第2記憶領域へのライト要求に対する処理が、前記第2記憶領域で行われるよう制御するミラー領域である第2ミラー領域を作成する第2ミラー領域作成部と、前記第1ミラー領域と前記第2ミラー領域とを合わせた合成ミラー領域を作成する合成ミラー領域作成部と、ホストからのリード要求、ライト要求の受付インターフェイスである仮想ターゲットを前記合成ミラー領域に接続する仮想ターゲット接続部と、前記データ移行元記憶領域から前記第1記憶領域へのデータ移行を行うデータ移行部と、を備える。
【0009】
また、ストレージスイッチは、データが移行される元の記憶領域であるデータ移行元記憶領域より容量の小さい記憶領域であって、データが移行される先の記憶領域であるデータ移行先記憶領域を作成する移行先記憶領域作成部と、前記データ移行先記憶領域と同じサイズ分の記憶領域である第1記憶領域を前記データ移行元記憶領域内に作成し、ホストからの前記データ移行元記憶領域へのライト要求に対する処理が前記第1記憶領域と前記データ移行元記憶領域とで行われるよう制御するミラー領域である第1ミラー領域を作成する第1ミラー領域作成部と、ホストからのリード要求、ライト要求の受付インターフェイスである仮想ターゲットを前記第1ミラー領域に接続する仮想ターゲット接続部と、前記データ移行元記憶領域から前記第1記憶領域へのデータ移行を行うデータ移行部と、を備える。
【0010】
記憶領域サイズ変更方法は、データが移行される元の記憶領域であるデータ移行元記憶領域より容量の大きい記憶領域であって、データが移行される先の記憶領域であるデータ移行先記憶領域を作成し、前記データ移行元記憶領域と同じサイズ分の記憶領域である第1記憶領域を前記データ移行先記憶領域内に作成し、ホストからの前記データ移行元記憶領域へのライト要求に対する処理が前記第1記憶領域と前記データ移行元記憶領域とで行われるよう制御するミラー領域である第1ミラー領域を作成し、前記データ移行先記憶領域内で、前記第1記憶領域とは異なる記憶領域である第2記憶領域を作成し、ホストからの前記第2記憶領域へのライト要求に対する処理が前記第2記憶領域で行われるよう制御するミラー領域である第2ミラー領域を作成し、前記第1ミラー領域と前記第2ミラー領域とを合わせた合成ミラー領域を作成し、ホストからのリード要求、ライト要求の受付インターフェイスである仮想ターゲットを前記合成ミラー領域に接続し、
前記データ移行元記憶領域から前記第1記憶領域へのデータ移行を行うことをストレージスイッチが実行する。
【発明の効果】
【0011】
1回のユーザオペレーションでマイグレーションと記憶領域サイズの変更とを行うことができるためユーザの作業負荷を軽減することができ、又、マイグレーション処理中に変更領域への書き込みが可能となるため、ユーザに対する利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態に係るストレージスイッチのハードウェア構成の一例を示す図である。
【図2】実施の形態1に係るストレージスイッチの機能ブロックを示す図である。
【図3】本実施の形態の仮想ディスク管理テーブルを説明するための図である。
【図4】本実施の形態のミラーディスク管理テーブルを説明するための図である。
【図5】本実施の形態のVT接続ディスクリストを説明するための図である。
【図6】本実施の形態のVT管理テーブルを説明するための図である。
【図7】実施の形態1に係る、ケース1の動作を説明するための図である。
【図8】実施の形態1に係る、ケース1で処理がキャンセルされた場合を説明するための図である。
【図9】実施の形態1に係る、ケース2の動作を説明するための図である。
【図10】実施の形態1に係る、ケース2の処理でバックアップに戻した状態を説明するための図である。
【図11】実施の形態1に係る、ケース3の動作を説明するための図である。
【図12】実施の形態1に係る、ケース4の動作を説明するための参考図である。
【図13】実施の形態1の処理制御部の処理の一例を示すフローチャートである。
【図14】実施の形態1に係るケース1の処理の一例を示すフローチャートである。
【図15】実施の形態1に係るケース1の処理によるデータ構造の遷移を示す図である。
【図16】実施の形態1に係るケース2の処理の一例を示すフローチャートである。
【図17】実施の形態1に係るケース2の処理によるデータ構造の遷移を示す図である。
【図18】実施の形態1に係るケース3の処理の一例を示すフローチャートである(その1)。
【図19】実施の形態1に係るケース3の処理の一例を示すフローチャートである(その2)。
【図20】実施の形態1に係るケース3の処理によるデータ構造の遷移を示す図である。
【図21】実施の形態1に係るケース4の処理の一例を示すフローチャートである(その1)。
【図22】実施の形態1に係るケース4の処理の一例を示すフローチャートである(その2)。
【図23】実施の形態1に係るケース4の処理によるデータ構造の遷移を示す図である。
【図24】実施の形態2に係るストレージスイッチの機能ブロックを示す図である。
【図25】実施の形態2に係るストレージスイッチの動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
実施の形態1におけるストレージスイッチのハードウェア構成の一例を図1に示す。ストレージスイッチ100は、演算装置であるCPU(Central Processing Unit)50、揮発性の記憶装置であるRAM(Random Access Memory)51、本実施の形態を実現するためのファームウェアが予め記憶された不揮発性の記憶装置であるROM(Read Only Memory)52を備える。また、ストレージスイッチ100は、図示しない物理的な磁気ディスク装置、および仮想ディスクを使用する図示しない運用サーバ(ホスト)とSAN(Storage Area Network)接続するためのSANインターフェイス53を備える。さらに、ストレージスイッチ100は、ストレージスイッチ100に対するマイグレーション処理の実行指示を行う図示しない管理サーバとLAN(Local Area Network)接続可能なLANインターフェイス54を備える。
【0014】
次に、実施の形態1におけるストレージスイッチ100の機能ブロックの一例を図2に示す。ストレージスイッチ100は、処理制御部1、マイグレーション先作成部2(移行先記憶領域作成部)、ミラー領域作成部3(第1ミラー領域作成部、第2ミラー領域作成部、合成ミラー領域作成部)、VT接続部4(仮想ターゲット接続部、接続変更部)、マイグレーション処理部5(データ移行部)、領域削除部6(無効化部)を備える。
【0015】
マイグレーション先作成部2は、マイグレーション元の仮想ディスク(以下、マイグレーション元仮想ディスク)(データ移行元記憶領域)より容量の大きい記憶領域であるマイグレーション先の仮想ディスク(以下、マイグレーション先仮想ディスク)(データ移行先記憶領域)を作成する。
【0016】
ミラー領域作成部3は、マイグレーション元仮想ディスクと同じサイズ分の記憶領域(以下、図2の説明においては第1記憶領域と称す)を、マイグレーション先仮想ディスクに作成する。ミラー領域作成部3は、運用サーバからのマイグレーション元仮想ディスクへのライト要求に対する処理が、第1記憶領域とマイグレーション元仮想ディスクとで行われるよう制御するミラー領域(以下、図2の説明においては第1ミラー領域と称す)を作成する。
【0017】
またミラー領域作成部3は、マイグレーション元仮想ディスク内で、第1記憶領域とは異なる記憶領域(以下、図2の説明においては第2記憶領域と称す)を作成する。ミラー領域作成部3は、運用サーバからの第2記憶領域へのライト要求に対する処理が、第2記憶領域で行われるよう制御するミラー領域(以下、図2の説明においては第2ミラー領域と称す)を作成する。
【0018】
さらに、ミラー領域作成部3は、上述にて作成された第1ミラー領域と第2ミラー領域とを合わせた合成ミラー領域を作成する。
【0019】
VT接続部4は、運用サーバからのリード要求、ライト要求を受け付ける仮想インターフェイスである仮想ターゲット(以下、VT)を合成ミラー領域に接続する。
【0020】
またVT接続部4は、マイグレーション処理部5によるマイグレーション処理が完了した場合、VTの接続先を合成ミラー領域からマイグレーション先仮想ディスクへ変更する。
【0021】
マイグレーション処理部5は、マイグレーション元仮想ディスクから第1記憶領域へのデータ移行(マイグレーション処理)を行う。
【0022】
領域削除部6は、VT接続部4によってVTの接続先がマイグレーション先仮想ディスクに変更になった後に、ミラーの解除と、マイグレーション元仮想ディスクの記憶領域を運用サーバから扱えないように削除(無効)にする。尚、マイグレーション元仮想ディスクの記憶領域は必要に応じそのまま残る場合もある(詳細は後述)。
【0023】
尚、ミラー領域作成部3のその他の機能、および処理制御部1に関しては後述する。図2で示した各機能ブロックは、図1に示した各ハードウェアとファームウェアとが協働することで実現される。すなわち、ROM52に予め記憶されているファームウェアがRAM51上に展開され、展開されたファームウェアがCPU50によって演算実行されることで実現される。尚、仮想ディスクは、SANインターフェイス53を介して接続されている磁気ディスク装置の記憶領域に仮想的なディスクボリュームが割り当てられることで実現される。
【0024】
ここで、仮想ディスクについて説明する。ストレージスイッチ100では、仮想ディスクは仮想ディスク管理テーブルにより管理制御される。図3は、仮想ディスク管理テーブルが複数の実ディスクから構成されているときの模式図である。仮想ディスク管理デーブルは、実ディスクを特定するアドレス情報(装置アドレス1、・・・、装置アドレスn)と仮想ディスクに割り当てる領域のオフセット(オフセット1、・・・、オフセットn)とサイズ(サイズ1、・・・、サイズn)の集合からなる。
【0025】
ストレージスイッチ100では、仮想ディスク管理テーブルに従って運用サーバからのI/O要求に対する仮想ディスク上のアドレスが、実ディスクのアドレスに変換されて、実ディスクにI/Oが発行される。
【0026】
ミラーの仮想ディスクが作成されるときは、図4に示すミラーディスク管理テーブルが作成される。このミラーディスク管理テーブルに従ってミラーの仮想ディスクはI/Oの制御を行う。ミラーディスク管理テーブルは、マイグレーション元仮想ディスクの仮想ディスク管理テーブルへのポインタと、マイグレーション先仮想ディスクの仮想ディスク管理テーブルへのポインタとを有する。
【0027】
ミラーディスクに対するライト処理は、ミラーディスク管理テーブルに従って、両方の仮想ディスクに実行される。リード処理はマイグレーション元の仮想ディスクに対して実行される。
【0028】
また、ストレージスイッチ100は、VT接続ディスクリストを作成することで、ミラーディスクと仮想ディスクとを統合して新たな仮想ディスクを作成することができる。VT接続ディスクリストは、図5に示すように、例えばミラーディスク管理テーブルへのポインタと、仮想ディスク管理テーブルへのポインタとを有する。
【0029】
運用サーバからのリード要求、ライト要求を受け付ける仮想インターフェイスであるVTは、VT管理テーブルを有している。VTは、このVT管理テーブルにエントリされている仮想ディスク等に対して、運用サーバからのリード要求、ライト要求が発行されるように制御する。VT管理テーブルは、図6に示すように配下の複数の仮想ディスクの仮想ディスク管理テーブルをポイントしている。仮想ディスクがミラーディスクと仮想ディスクの統合でできているときは、VT接続ディスクリストへのポインタがVT管理テーブルに設定されている。
【0030】
ここで、実施の形態1におけるストレージスイッチ100の動作について、4つのケースに分けて説明する。まず、ストレージスイッチ100の基本動作であるケース1について、図7、図8を参照しつつ説明する。
【0031】
まず、マイグレーション先作成部2は、ユーザからマイグレーション処理の開始指示があった場合、マイグレーション先仮想ディスクをマイグレーション元仮想ディスクよりも大きなサイズに領域拡張して作成する(図7(A)参照)。
【0032】
次に、ミラー領域作成部3は、マイグレーション元仮想ディスク(以降、A1と表記)とマイグレーション先仮想ディスクのコピーサイズ部分(以降、A3と表記)からミラーの仮想ディスク(以降、A2と表記)を作成する(図7(B)参照)。ミラー領域作成部3は、ミラーの仮想ディスク(A2)とマイグレーション先仮想ディスクの拡張部分(以降、B3と表記)とから新しいミラー仮想ディスク(A2+B2)を作成する。VT接続部4は、作成された仮想ディスク(A2+B2)をVTに接続する(図7(B)参照)。
【0033】
A2に対するホストからのライト要求はミラー処理によりA1、A3に実施される。A2に対するリード要求はA1から読み出される。B2に対するリード要求およびライト要求はそのままB3に実施される。
【0034】
ケース1におけるマイグレーション処理部5は、上述の各処理が完了次第、マイグレーション処理すなわちA1からA3へのコピーを実施する。
【0035】
A1とA3が等価状態になったら、VT接続部4はVTのリンクをマイグレーション先仮想ディスク(A3+B3)へつなぎ換える。領域削除部6はミラーの解体を行い、さらに、マイグレーション元仮想ディスク(A1)を削除する(図7(C)参照)。
【0036】
このように、拡張領域であるB3へのミラーを作成することで、ストレージスイッチ100は、一般の(非拡張の)マイグレーション処理と異なり、マイグレーション処理中であっても、拡張されたB3の領域に対しVTに接続される運用サーバからのライト要求を、ミラーを介して対処することができる。
【0037】
上述のケース1によるマイグレーション処理の開始後は、B3にデータが書き込まれた場合、マイグレーション処理をキャンセルしてマイグレーション処理前のA1のみの構成に戻すことはできない。たとえキャンセルされた場合でも、図8に示すようにA1+B3の仮想ディスクの構成(すなわち、移行元の磁気ディスク装置と移行先の磁気ディスク装置との両方に跨った構成)となってしまい、磁気ディスク装置の物理的入れ替えができなくなる。また、マイグレーション処理が完了し、運用を行った後に、マイグレーション処理完了時点の状態に戻したい場合でも戻すことはできない。
【0038】
この問題を解決するための手段として、以下にケース2を説明する。
【0039】
マイグレーション元仮想ディスクに拡張可能な記憶領域が有る場合のストレージスイッチ100の動作(ケース2)を、図9、図10を参照しつつ説明する。
【0040】
まず、マイグレーション元仮想ディスクに拡張する容量が有るときには、マイグレーション処理完了後の状態に復元することが可能となるよう、マイグレーション元仮想ディスクとマイグレーション先仮想ディスクの両方の仮想ディスクが拡張される(図9(A)参照)。マイグレーション元仮想ディスクの拡張領域の作成(B1)は、本実施の形態ではマイグレーション先作成部2が行う。
【0041】
次に、ミラー領域作成部3は、マイグレーション元仮想ディスクのA1+B1とマイグレーション先仮想ディスクのA3+B3からミラーの仮想ディスクA2+B2を作成する。その後、VT接続部4は、作成されたミラーの仮想ディスクA2+B2にVTを接続する(図9(B)参照)。
【0042】
仮想ディスクA2+B2に対するライト要求は通常のマイグレーションと同様に、ミラー処理によってA1+B1とA3+B3に実施される。仮想ディスクA2+B2に対するリード要求はA1+B1から読み出される。
【0043】
拡張したB1、B3の領域は、ミラーにより最初から常に等価状態であるため、マイグレーション処理部5はA1からA3に対してだけマイグレーション処理を実施する。A1とA3が等価状態になったら、VT接続部4はVTのリンクをマイグレーション先仮想ディスク(A3+B3)へつなぎ換え、領域削除部6はミラーの解体を行う(図9(C)参照)。
【0044】
尚、VTのリンクをA3+B3からA1+B1につなぎ戻すことで、マイグレーション処理完了時点のバックアップへ戻すことができる(図10参照)。
【0045】
また、拡張した領域に対しVTに接続される運用サーバからライト要求が行われる可能性があるため、拡張マイグレーション開始後は、キャンセルして元に戻すことはできない。キャンセルするとA1からA3へのマイグレーションのみが元にもどりA1+B1の仮想ディスクとなる。
【0046】
上述のケース1では、バックアップへ戻すことが出来ないが、その分使用するディスク領域が少なくて済む。ケース1、ケース2のどちらの方式で拡張マイグレーションを行うかは、処理制御部1によってユーザが任意に選択可能である。
【0047】
上述のケース1、ケース2では、マイグレーション先仮想ディスクの拡張を行った後にミラーを作成しマイグレーション処理を実施したが、次にマイグレーション処理中に領域拡張を行う方式について、ケース3、ケース4として説明する。
【0048】
まず、ケース3について図11を参照しつつ説明する。ケース3では、一般のマイグレーションの開始時と同様に、マイグレーション先作成部2はマイグレーション先仮想ディスクとして、マイグレーション元仮想ディスクと同一サイズの領域をマイグレーション先仮想ディスクに確保する。
【0049】
次に、ミラー領域作成部3は、マイグレーション元仮想ディスクA1とマイグレーション先仮想ディスクのコピーサイズ部分A3から、ミラーの仮想ディスクA2を作成する。VT接続部4は、この仮想ディスクA2にVTを接続する(図11(A)参照)。A2に対するライト要求はミラー処理によりA1、A3に実施される。A2に対するリード要求はA1に対し実施され、A1から読み出される。
【0050】
マイグレーション処理部5は、マイグレーション処理としてA1からA3へのコピーを実施する。ここで、マイグレーション先の領域拡張がLANインターフェイス54を介して指示されたとき、マイグレーション先作成部2は、仮想ディスクB3を作成し、A3に連結させマイグレーション先仮想ディスクA3+B3を作成する(図11(B)参照)。ミラー領域作成部3は、ミラーの仮想ディスクA2と仮想ディスクB3に基づき仮想ディスクA2+B2を作成する。VT接続部4は、この仮想ディスクA2+B2(=B3)をVTに接続する。B2に対するリード要求およびライト要求はそのままB3に実施される。
【0051】
マイグレーション処理部5によるマイグレーション処理によって、A1とA3が等価状態になったら、VT接続部4はVTのリンクをマイグレーション先仮想ディスクA3+B3へつなぎ換える。その後、領域削除部6はミラーの解体を行い、マイグレーション元仮想ディスクA1を削除する(図11(C)参照)。
【0052】
ケース4は、ケース3の例に対し、上述ケース2のバックアップ機能を加えたケースである。バックアップが必要な場合は、ケース2の方式と同様にマイグレーション元とマイグレーション先の両方が拡張され、仮想ディスクB1と仮想ディスクB3が作成される。その後、A1+B1とA3+B3からミラーの仮想ディスクA2+B2が作成され、このミラーの仮想ディスクがVTに接続される(図12参照)。
【0053】
仮想ディスクA2+B2に対するライト要求は通常のマイグレーションと同様に、ミラー処理によってA1+B1とA3+B3に実施される。仮想ディスクA2+B2に対するリード要求はA1+B1に実施され、A1+B1から読み出される。マイグレーション処理は、ケース2同様A1からA3に対してだけに実施される。
【0054】
次に、実施の形態1におけるストレージスイッチ100の処理について、図13から図23のフローチャート、およびデータ構成の状態図に基づき説明する。まず、上述のケース1からケース4までの実施方式を統括制御するユニットである処理制御部1の処理について、図13に基づき説明する。
【0055】
処理制御部1によってLANインターフェイス54を介してユーザよりマイグレーション処理の開始指示が受け付けられる。その後、処理制御部1は、マイグレーション処理部5によるマイグレーション処理が現在実施中であるかを判定する(S1)。
【0056】
ここで、マイグレーション処理が実施中でない場合(S1、No)、次に処理制御部1は、バックアップが必要かを判定する(S2)。ここで、バックアップが不要である場合(S2、No)、ケース1の処理が実施され(S4)、バックアップが必要である場合(S2、Yes)、ケース2の処理が実施される(S5)。尚、ケース2の処理が実施された後に、復元が必要である場合(S8、Yes)、バックアップされた仮想ディスクにVTがつなぎ戻されることでデータが復元される(S9)。
【0057】
一方、S1でマイグレーション処理が実施中である場合(S1、Yes)、処理制御部1は、バックアップが必要かを判定する(S3)。ここで、バックアップが不要である場合(S3、No)、ケース3の処理が実施され(S6)、バックアップが必要である場合(S3、Yes)、ケース4の処理が実施される(S7)。尚、S7の処理が実施された後に、復元が必要である場合(S10、Yes)、バックアップされた仮想ディスクにVTがつなぎ戻されることでデータが復元される(S11)。
【0058】
尚、S1の判定は、処理制御部1に備えられた機能であるマイグレーション処理部5の稼動状態を監視する機能に基づき判定され、S2、S3の判定は、ユーザからのマイグレーション処理開始指示に含まれる電文で、所定フラグのビット値が1であるか0であるかに基づき判定される。さらに、S8、S10は、ストレージスイッチ100がユーザから所定電文を受信した場合、復元が必要と判定される。
【0059】
次に、ケース1(図13のS4)の処理について、図14のフローチャートを参照しつつ説明する。以下のケース1の説明では、図7のディスク構成に基づき説明しているため、図7も適宜参照する必要がある。
【0060】
マイグレーション先作成部2は、マイグレーション先仮想ディスクをマイグレーション元よりも大きなサイズに領域拡張して作成する(S21)。ここでマイグレーション先作成部2は、マイグレーション先仮想ディスクの仮想ディスク管理テーブルA3とB3を作成する。尚、仮想ディスクに対応する実ディスクの装置アドレス、サイズなどは管理サーバからの指示情報にもとづく。
【0061】
ミラー領域作成部3は、マイグレーション元仮想ディスクA1とマイグレーション先仮想ディスクのコピーサイズ部分A3からミラーの仮想ディスクA2を作成し、さらに、ミラーの仮想ディスクA2とマイグレーション先仮想ディスクの拡張部分B3から新しい仮想ディスクA2+B2を作成する。VT接続部4は、VTに、作成されたミラーの仮想ディスクA2+B2を接続する(S22)。
【0062】
マイグレーション処理部5は、A1からA3へのコピーを、A1とA3とが等価状態になるまで実施する(S23、およびS24、Noのループ)。
【0063】
A1とA3が等価状態になった場合(S24、Yes)、VT接続部4はVTのリンクをマイグレーション先仮想ディスク(A3+B3)へつなぎ換える。領域削除部6は、ミラーの解体、およびマイグレーション元仮想ディスクA1を削除する(S25)。
【0064】
図15(A)を参照しつつS22の処理の詳細を説明する。ミラー領域作成部3は、ミラーディスク管理テーブルA2を作成し、ミラーディスク管理テーブルA2にマイグレーション元仮想ディスクA1とマイグレーション先仮想ディスクA3の仮想ディスク管理テーブルをミラーディスク管理テーブルに登録する。その後、ミラー領域作成部3は、新たにVT接続ディスクリストを作成し、ミラーディスク管理テーブルA2と仮想ディスク管理テーブルB2(=B3)をVT接続ディスクリストに登録する。
【0065】
VT接続部4は、VT管理テーブルの仮想ディスク管理テーブルA1へのポインタをVT接続ディスクリストA2+B2へのポインタに置き換える。
【0066】
図15(B)を参照しつつS25の処理の詳細を説明する。VT接続部4は、仮想ディスク管理テーブルA3と仮想ディスク管理テーブルB3から新たな仮想ディスク管理テーブルA3+B3を作成し、VT管理テーブルのポインタをVT接続ディスクリストA2+B2から仮想ディスク管理テーブルA3+B3へ置き換える。領域削除部6は、仮想ディスク管理テーブルA1とミラーディスク管理テーブルA2を削除する。
【0067】
次に、ケース2(図13のS5)の処理について、図16のフローチャートを参照しつつ説明する。以下のケース2の説明では、図9のディスク構成に基づき説明しているため、図9も適宜参照する必要がある。
【0068】
マイグレーション元仮想ディスクに拡張可能な容量が有るときには、マイグレーション元仮想ディスクとマイグレーション先仮想ディスクの両方が拡張される(S31)。ここで、拡張されたマイグレーション元の仮想ディスク管理テーブルA1+B1とマイグレーション先の仮想ディスク管理テーブルA3+B3が作成される。拡張前の仮想ディスク管理テーブルA1は削除される。仮想ディスクに対応する実ディスクの装置アドレス、サイズなどは管理サーバからの指示情報にもとづく。
【0069】
次に、ミラー領域作成部3は、マイグレーション元仮想ディスクのA1+B1とマイグレーション先仮想ディスクA3+B3からミラーの仮想ディスクA2+B2を作成する(S32)。その後、VT接続部4は、作成されたミラーの仮想ディスクA2+B2をVTに接続する(S33)。
【0070】
マイグレーション処理部5は、A1からA3に対するマイグレーション処理をA1とA3が等価状態になるまで実施する(S34、およびS35、Noのループ)。A1とA3が等価状態になった場合(S35、Yes)、VT接続部4はVTのリンクをマイグレーション先仮想ディスクA3+B3へつなぎ換え、領域削除部6はミラーの解体を行う(S36)。尚、A1+B1はバックアップとして保持される。
【0071】
図17(A)を参照しつつS32、S33の処理の詳細を説明する。ミラー領域作成部3は、ミラーディスク管理テーブルA2+B2を作成し、ミラーディスク管理テーブルにマイグレーション元仮想ディスクA1+B1と、マイグレーション先仮想ディスクA3+B3の仮想ディスク管理テーブルA2+B2を登録する。ミラー領域作成部3は、VT接続ディスクリストを作成し、ミラーディスク管理テーブルA2+B2を登録する。
【0072】
VT接続部4は、VT管理テーブルのマイグレーション元仮想ディスクへのポインタを、作成されたVT接続ディスクリストA2+B2へのポインタに置き換える。
【0073】
図17(B)を参照しつつS36の処理の詳細を説明する。VT接続部4は、VT管理テーブルのVT接続ディスクリストA2+B2のポインタを仮想ディスク管理テーブルA3+B3へのポインタに置き換える。領域削除部6は、ミラーディスク管理テーブルA2+B2とVT接続ディスクリストA2+B2を削除する。仮想ディスク管理テーブルA1+B1はバックアップ用として保持される。
【0074】
次に、ケース3(図13のS6)の処理について、図18、図19のフローチャートを参照しつつ説明する。以下のケース3の説明では、図11のディスク構成に基づき説明しているため、図11も適宜参照する必要がある。
【0075】
マイグレーション先作成部2はマイグレーション先仮想ディスクとして、マイグレーション元仮想ディスクと同一サイズの領域をマイグレーション先に確保する(S41)。マイグレーション先作成部2は、マイグレーション先の仮想ディスク管理テーブル(A3)を作成する。仮想ディスクに対応する実ディスクの装置アドレスは管理サーバからの指示情報にもとづく。
【0076】
次に、ミラー領域作成部3は、マイグレーション元仮想ディスクA1とマイグレーション先仮想ディスクのコピーサイズ部分A3からミラーの仮想ディスクA2を作成する(S42)。VT接続部4は、この仮想ディスクA2をVTに接続する(S43)。
【0077】
マイグレーション処理部5は、マイグレーション処理としてA1からA3へのコピーを実施する(S44)。ここで、マイグレーション先の領域拡張指示がLANインターフェイス54を介してあった場合(S45、Yes)、マイグレーション先作成部2は、仮想ディスクB3を作成し、A3に連結させマイグレーション先仮想ディスクA3+B3を作成する(S46)。
【0078】
ミラー領域作成部3は、ミラーの仮想ディスクA2と仮想ディスクB3とに基づき仮想ディスクA2+B2を作成する(S47)。VT接続部4は、この仮想ディスクA2+B2(=B3)をVTに接続する(S48)。
【0079】
マイグレーション処理部5は、引き続きマイグレーション処理としてA1からA3へのコピーを、A1とA3とが等価状態になるまで実施する(S49、およびS50、Noのループ)。ここで、A1とA3とが等価状態になった場合(S50、Yes)、VT接続部4はVTのリンクをマイグレーション先仮想ディスクA3+B3へつなぎ換える。その後、領域削除部6はミラーの解体を行い、マイグレーション元仮想ディスクA1を削除する(S51)。
【0080】
図20(A)を参照しつつS42、S43の処理の詳細を説明する。ミラー領域作成部3は、ミラーディスク管理テーブルA2を作成し、ミラーディスク管理テーブルA2にマイグレーション元の仮想ディスク管理テーブルA1とマイグレーション先の仮想ディスク管理テーブルA3を登録する。その後、ミラー領域作成部3は、VT接続ディスクリストA2を作成し、ミラーディスク管理テーブルA2を登録する。VT接続部4は、VT管理テーブルのマイグレーション元の仮想ディスク管理テーブルA1へのポインタを作成された接続ディスクリストA2へのポインタに置き換える。
【0081】
図20(B)を参照しつつS46、S47、S48の処理の詳細を説明する。マイグレーション先作成部2は、マイグレーション先の拡張部分に対する仮想ディスク管理テーブルB3を作成する。仮想ディスクに対応する実ディスクの装置アドレス、サイズなどは管理サーバからの指示情報にもとづく。ミラー領域作成部3は、VT接続ディスクリスト(A2+B2)を作成し、ミラーディスク管理テーブルA2と仮想ディスク管理テーブルB2(=B3)を登録する。VT接続部4は、VT管理テーブルのVT接続ディスクリストA2へのポインタをVT接続ディスクリストA2+B2へのポインタに置き換える。
【0082】
図20(C)を参照しつつS51の処理の詳細を説明する。VT接続部4は、仮想ディスク管理テーブルA3、仮想ディスク管理テーブル(B3)から新たな仮想ディスク管理テーブルA3+B3を作成し、VT管理テーブルのVT接続ディスクリストA2+B2と置き換える。領域削除部6は、VT接続ディスクリストA2+B2、仮想ディスク管理テーブルA1、A3、B3(=B2)とミラーディスク管理テーブルA2を削除する。
【0083】
次に、ケース4(図13のS7)の処理について、図21、図22のフローチャートを参照しつつ説明する。尚、S61からS65までの処理は、ケース3の処理と同様であるため、ここでの説明を割愛する(S41からS45を参照)。
【0084】
拡張要求が発生した場合(S65、Yes)、ケース2の方式と同様にマイグレーション元とマイグレーション先の両方が拡張され、仮想ディスクB1と仮想ディスクB3が作成される(S66)。尚、S66の処理は図16のS31の処理に対応する。
【0085】
次に、A1+B1とA3+B3からミラーの仮想ディスクA2+B2が作成される(S67)。尚、S67の処理は図16のS32に対応する。作成されたミラーの仮想ディスクがVTに接続される(S68参照)。尚、S68の処理は図16のS33の処理に対応する。
【0086】
マイグレーション処理部5は、引き続きマイグレーション処理としてA1からA3へのコピーを、A1とA3とが等価状態になるまで実施する(S69、およびS70、Noのループ)。ここで、A1とA3とが等価状態になった場合(S70、Yes)、VT接続部4はVTのリンクをマイグレーション先仮想ディスクA3+B3へつなぎ換え、領域削除部6はミラーの解体を行う(S71)。尚、A1+B1はバックアップとして保持される。
【0087】
図23(A)を参照しつつS66、S67、S68の処理の詳細を説明する。マイグレーション元仮想ディスクA1が拡張され、マイグレーション元仮想ディスクA1+B1が作成される。B1に対応する実ディスクの装置アドレス、サイズなどは管理サーバからの指示情報にもとづく。またマイグレーション先仮想ディスクA3が拡張され、マイグレーション元仮想ディスクA3+B3が作成される。B3に対応する実ディスクの装置アドレス、サイズなどは管理サーバからの指示情報にもとづく。
【0088】
マイグレーション先作成部2は、仮想ディスク管理テーブルA1+B1と仮想ディスク管理テーブルA3+B3を作成する。ミラー領域作成部3は、ミラーディスク管理テーブルA2+B2(=(A1+B1)/(A3+B3))を作成する。またミラー領域作成部3は、VT接続ディスクリスト(A2+B2)を作成し、ミラーディスク管理テーブル(A2+B2)を登録する。
【0089】
VT接続部4は、VT管理テーブルのVT接続ディスクリスト(A2)へのポインタをVT接続ディスクリスト(A2+B2)へのポインタに置き換える。
【0090】
図23(B)を参照しつつS71の処理の詳細を説明する。VT接続部4は、VT管理テーブルのVT接続ディスクリスト(A2+B2)へのポインタを仮想ディスク管理テーブル(A3+B3)のポインタに置き換える。領域削除部6は、VT接続ディスクリスト(A2+B2)とミラーディスク管理テーブル(A2+B2)を削除する。仮想ディスク管理テーブル(A1+B1)はバックアップ用として保持される。
【0091】
(実施の形態2)
実施の形態1では、仮想ディスクの記憶容量を拡張するためのマイグレーション処理について説明したが、実施の形態2では、仮想ディスクを縮小するためのマイグレーション処理について説明する。
【0092】
実施の形態2におけるストレージスイッチの機能ブロックを図24に示す。尚、ハードウェア構成は、実施の形態1のストレージスイッチ100と同様であるためここでの説明を割愛する。
【0093】
ストレージスイッチ200は、マイグレーション先作成部22(移行先記憶領域作成部)、ミラー領域作成部23(第1ミラー領域作成部)、VT接続部24(仮想ターゲット接続部)、マイグレーション処理部5(データ移行部)、領域削除部6を備える。
【0094】
マイグレーション先作成部22は、マイグレーション元仮想ディスク(データ移行元記憶領域)より容量の小さい記憶領域であるマイグレーション先仮想ディスク(データ移行先記憶領域)を作成する。
【0095】
ミラー領域作成部23は、マイグレーション先仮想ディスクと同じサイズ分の記憶領域(ここでは第1記憶領域として説明する)をマイグレーション元仮想ディスク内に作成し、ホストからのマイグレーション元仮想ディスクへのライト要求に対する処理が第1記憶領域とマイグレーション元仮想ディスクとで行われるよう制御するミラー領域を作成する。
【0096】
VT接続部24は、ホストからのリード要求、ライト要求を受け付けるインターフェイスである仮想ターゲットに、ミラー領域作成部23にて作成された第1ミラー領域を接続する。
【0097】
尚、マイグレーション処理部5、領域削除部6は、上述実施の形態1と同様である。
【0098】
次に、実施の形態2におけるストレージスイッチ200の動作について、図25を参照しつつ説明する。
【0099】
まず、マイグレーション先作成部22は、マイグレーションの開始時にマイグレーション先仮想ディスクをマイグレーション元仮想ディスク(A1)よりも小さなサイズ(A3)に領域縮小して作成する(図25(A)参照)。
【0100】
次に、ミラー領域作成部23は、A3と同じサイズになるよう、図25のA1’を除いたマイグレーション元仮想ディスクのマイグレーション対象部分と、マイグレーション先仮想ディスク(A3)とのミラー仮想ディスク(A2)を作成する。そして、VT接続部24は、ミラーの仮想ディスク(A2)にVTを接続する(図25(B)参照)。
【0101】
A2に対するライト要求はミラー処理によりA1とA3に実施される。A2に対するリード要求はA1に実施され、A1から読み出される。尚、A1’はミラーディスクA2にマッピングされないため、A1’に対するアクセスは出来ない。
【0102】
マイグレーション処理部5は、マイグレーション処理としてA1からA3へのコピーを実施する。
【0103】
コピーが等価状態になったら、VT接続部24はVTのリンクをマイグレーション先仮想ディスク(A3)へつなぎ換える。そして、領域削除部6はミラーの解体を行い、マイグレーション元仮想ディスク(A1)を削除する。
【0104】
また、縮小マイグレーション中にキャンセルする場合は、VTのリンクをミラーディスクA2から仮想ディスクA1につなぎ戻し、ミラーディスク(A2)の削除を行う。
【0105】
マイグレーション後にバックアップに戻す場合は、VTのリンクを仮想ディスクA3から仮想ディスクA1につなぎ戻す。
【0106】
尚、縮小マイグレーション開始後は、縮小した領域へのアクセスができなくなり、その領域に書かれているデータは破棄されるため、本機能を使う場合は、運用サーバ上のファイルシステムによって事前に縮小領域を使わなくするなどの保障が必要がある。
【0107】
以上、本実施の形態によれば、以下の付記で示す技術的思想が開示されている。
(付記1) データが移行される元の記憶領域であるデータ移行元記憶領域より容量の大きい記憶領域であって、データが移行される先の記憶領域であるデータ移行先記憶領域を作成する移行先記憶領域作成部と、
前記データ移行元記憶領域と同じサイズ分の記憶領域である第1記憶領域を前記データ移行先記憶領域内に作成し、ホストからの前記データ移行元記憶領域へのライト要求に対する処理が、前記第1記憶領域と前記データ移行元記憶領域とで行われるよう制御するミラー領域である第1ミラー領域を作成する第1ミラー領域作成部と、
前記データ移行先記憶領域内で、前記第1記憶領域とは異なる記憶領域である第2記憶領域を作成し、ホストからの前記第2記憶領域へのライト要求に対する処理が、前記第2記憶領域で行われるよう制御するミラー領域である第2ミラー領域を作成する第2ミラー領域作成部と、
前記第1ミラー領域と前記第2ミラー領域とを合わせた合成ミラー領域を作成する合成ミラー領域作成部と、
ホストからのリード要求、ライト要求の受付インターフェイスである仮想ターゲットを前記合成ミラー領域に接続する仮想ターゲット接続部と、
前記データ移行元記憶領域から前記第1記憶領域へのデータ移行を行うデータ移行部と、
を備えるストレージスイッチ。
(付記2) 付記1に記載のストレージスイッチにおいて、さらに、
前記データ移行部によって前記データ移行元記憶領域から前記第1記憶領域へのデータ移行が完了した場合、前記仮想ターゲットの接続先を前記合成ミラー領域から前記データ移行先記憶領域へ変更する接続変更部を備えるストレージスイッチ。
(付記3) 付記2に記載のストレージスイッチにおいて、
前記接続変更部によって接続先が前記データ移行先記憶領域に変更になった後に、前記データ移行元記憶領域を無効にする無効化部を備えるストレージスイッチ。
(付記4) 付記1に記載のストレージスイッチにおいて、
前記第1ミラー領域作成部によって作成された前記第1ミラー領域は、さらに、ホストからの前記データ移行元記憶領域へのリード要求に対する処理が前記データ移行元記憶領域で行われるよう制御し、
前記第2ミラー領域作成部によって作成された前記第2ミラー領域は、さらに、ホストからの前記第2記憶領域へのリード要求に対する処理が前記第2記憶領域で行われるよう制御することを特徴とするストレージスイッチ。
(付記5) 付記1に記載のストレージスイッチにおいて、さらに、
前記データ移行元記憶領域に拡張可能な記憶領域が有る場合、
前記第2ミラー領域作成部によって作成された前記第2ミラー領域は、さらに、ホストからの前記第2記憶領域へのリード要求、およびライト要求に対する処理が前記拡張可能な記憶領域でも行われるよう制御することを特徴とするストレージスイッチ。
(付記6) 付記1に記載のストレージスイッチにおいて、
前記データ移行部は、前記仮想ターゲット接続部によって仮想ターゲットが前記合成ミラー領域に接続された後にデータ移行を行うことを特徴とするストレージスイッチ。
(付記7) 付記1に記載のストレージスイッチにおいて、さらに、
ホストからのリード要求、ライト要求の受付インターフェイスである仮想ターゲットを前記第1ミラー領域に接続する第1ミラー領域接続部を備え、
前記データ移行部は、前記第1ミラー領域接続部によって仮想ターゲットが前記第1ミラー領域に接続された後にデータ移行を行い、
前記第2ミラー領域作成部、前記合成ミラー領域作成部、前記仮想ターゲット接続部は、前記データ移行部によるデータ移行の最中にそれぞれの処理を行うことを特徴とするストレージスイッチ。
(付記8) データが移行される元の記憶領域であるデータ移行元記憶領域より容量の小さい記憶領域であって、データが移行される先の記憶領域であるデータ移行先記憶領域を作成する移行先記憶領域作成部と、
前記データ移行先記憶領域と同じサイズ分の記憶領域である第1記憶領域を前記データ移行元記憶領域内に作成し、ホストからの前記データ移行元記憶領域へのライト要求に対する処理が前記第1記憶領域と前記データ移行元記憶領域とで行われるよう制御するミラー領域である第1ミラー領域を作成する第1ミラー領域作成部と、
ホストからのリード要求、ライト要求の受付インターフェイスである仮想ターゲットを前記第1ミラー領域に接続する仮想ターゲット接続部と、
前記データ移行元記憶領域から前記第1記憶領域へのデータ移行を行うデータ移行部と、
を備えるストレージスイッチ。
(付記9) データが移行される元の記憶領域であるデータ移行元記憶領域より容量の大きい記憶領域であって、データが移行される先の記憶領域であるデータ移行先記憶領域を作成し、
前記データ移行元記憶領域と同じサイズ分の記憶領域である第1記憶領域を前記データ移行先記憶領域内に作成し、ホストからの前記データ移行元記憶領域へのライト要求に対する処理が前記第1記憶領域と前記データ移行元記憶領域とで行われるよう制御するミラー領域である第1ミラー領域を作成し、
前記データ移行先記憶領域内で、前記第1記憶領域とは異なる記憶領域である第2記憶領域を作成し、ホストからの前記第2記憶領域へのライト要求に対する処理が前記第2記憶領域で行われるよう制御するミラー領域である第2ミラー領域を作成し、
前記第1ミラー領域と前記第2ミラー領域とを合わせた合成ミラー領域を作成し、
ホストからのリード要求、ライト要求の受付インターフェイスである仮想ターゲットを前記合成ミラー領域に接続し、
前記データ移行元記憶領域から前記第1記憶領域へのデータ移行を行うことをストレージスイッチが実行する記憶領域サイズ変更方法。
(付記10) 付記9に記載の記憶領域サイズ変更方法において、さらに、
前記データ移行元記憶領域から前記第1記憶領域へのデータ移行が完了した場合、前記仮想ターゲットの接続先を前記合成ミラー領域から前記データ移行先記憶領域へ変更することを特徴とする記憶領域サイズ変更方法。
(付記11) 付記10に記載の記憶領域サイズ変更方法において、さらに、
仮想ターゲットの接続先が前記データ移行先記憶領域に変更になった後に、前記データ移行元記憶領域を無効にする処理をストレージスイッチが実行することを特徴とする記憶領域サイズ変更方法。
(付記12) 付記9に記載の記憶領域サイズ変更方法において、
前記第1ミラー領域は、さらに、ホストからの前記データ移行元記憶領域へのリード要求に対する処理が前記データ移行元記憶領域で行われるよう制御し、
前記第2ミラー領域は、さらに、ホストからの前記第2記憶領域へのリード要求に対する処理が前記第2記憶領域で行われるよう制御することを特徴とする記憶領域サイズ変更方法。
(付記13) 付記9に記載の記憶領域サイズ変更方法において、さらに、
前記データ移行元記憶領域に拡張可能な記憶領域が有る場合、
前記第2ミラー領域は、さらに、ホストからの前記第2記憶領域へのリード要求、およびライト要求に対する処理が前記拡張可能な記憶領域でも行われるよう制御することを特徴とする記憶領域サイズ変更方法。
(付記14) 付記9に記載の記憶領域サイズ変更方法において、
前記仮想ターゲットが前記合成ミラー領域に接続された後に、前記データ移行元記憶領域から前記第1記憶領域へのデータ移行を行うことを特徴とする記憶領域サイズ変更方法。
(付記15) 付記9に記載の記憶領域サイズ変更方法において、さらに、
ホストからのリード要求、ライト要求の受付インターフェイスである仮想ターゲットを前記第1ミラー領域に接続する処理を前記ストレージスイッチが実行し、
仮想ターゲットが前記第1ミラー領域に接続された後に前記データ移行元記憶領域から前記第1記憶領域へのデータ移行を行い、
前記第2ミラー領域の作成、前記合成ミラー領域の作成、および前記合成ミラー領域への仮想ターゲットの接続は、前記データ移行元記憶領域から前記第1記憶領域へのデータ移行の最中に前記ストレージスイッチが実行することを特徴とする記憶領域サイズ変更方法。
【符号の説明】
【0108】
1 処理制御部、2、22 マイグレーション先作成部、3、23 ミラー領域作成部、4、24 VT接続部、5 マイグレーション処理部、6 領域削除部、100、200 ストレージスイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データが移行される元の記憶領域であるデータ移行元記憶領域より容量の大きい記憶領域であって、データが移行される先の記憶領域であるデータ移行先記憶領域を作成する移行先記憶領域作成部と、
前記データ移行元記憶領域と同じサイズ分の記憶領域である第1記憶領域を前記データ移行先記憶領域内に作成し、ホストからの前記データ移行元記憶領域へのライト要求に対する処理が、前記第1記憶領域と前記データ移行元記憶領域とで行われるよう制御するミラー領域である第1ミラー領域を作成する第1ミラー領域作成部と、
前記データ移行先記憶領域内で、前記第1記憶領域とは異なる記憶領域である第2記憶領域を作成し、ホストからの前記第2記憶領域へのライト要求に対する処理が、前記第2記憶領域で行われるよう制御するミラー領域である第2ミラー領域を作成する第2ミラー領域作成部と、
前記第1ミラー領域と前記第2ミラー領域とを合わせた合成ミラー領域を作成する合成ミラー領域作成部と、
ホストからのリード要求、ライト要求の受付インターフェイスである仮想ターゲットを前記合成ミラー領域に接続する仮想ターゲット接続部と、
前記データ移行元記憶領域から前記第1記憶領域へのデータ移行を行うデータ移行部と、
を備えるストレージスイッチ。
【請求項2】
請求項1に記載のストレージスイッチにおいて、さらに、
前記データ移行部によって前記データ移行元記憶領域から前記第1記憶領域へのデータ移行が完了した場合、前記仮想ターゲットの接続先を前記合成ミラー領域から前記データ移行先記憶領域へ変更する接続変更部を備えるストレージスイッチ。
【請求項3】
請求項2に記載のストレージスイッチにおいて、
前記接続変更部によって接続先が前記データ移行先記憶領域に変更になった後に、前記データ移行元記憶領域を無効にする無効化部を備えるストレージスイッチ。
【請求項4】
請求項1に記載のストレージスイッチにおいて、
前記第1ミラー領域作成部によって作成された前記第1ミラー領域は、さらに、ホストからの前記データ移行元記憶領域へのリード要求に対する処理が前記データ移行元記憶領域で行われるよう制御し、
前記第2ミラー領域作成部によって作成された前記第2ミラー領域は、さらに、ホストからの前記第2記憶領域へのリード要求に対する処理が前記第2記憶領域で行われるよう制御することを特徴とするストレージスイッチ。
【請求項5】
請求項1に記載のストレージスイッチにおいて、さらに、
前記データ移行元記憶領域に拡張可能な記憶領域が有る場合、
前記第2ミラー領域作成部によって作成された前記第2ミラー領域は、さらに、ホストからの前記第2記憶領域へのリード要求、およびライト要求に対する処理が前記拡張可能な記憶領域でも行われるよう制御することを特徴とするストレージスイッチ。
【請求項6】
データが移行される元の記憶領域であるデータ移行元記憶領域より容量の小さい記憶領域であって、データが移行される先の記憶領域であるデータ移行先記憶領域を作成する移行先記憶領域作成部と、
前記データ移行先記憶領域と同じサイズ分の記憶領域である第1記憶領域を前記データ移行元記憶領域内に作成し、ホストからの前記データ移行元記憶領域へのライト要求に対する処理が前記第1記憶領域と前記データ移行元記憶領域とで行われるよう制御するミラー領域である第1ミラー領域を作成する第1ミラー領域作成部と、
ホストからのリード要求、ライト要求の受付インターフェイスである仮想ターゲットを前記第1ミラー領域に接続する仮想ターゲット接続部と、
前記データ移行元記憶領域から前記第1記憶領域へのデータ移行を行うデータ移行部と、
を備えるストレージスイッチ。
【請求項7】
データが移行される元の記憶領域であるデータ移行元記憶領域より容量の大きい記憶領域であって、データが移行される先の記憶領域であるデータ移行先記憶領域を作成し、
前記データ移行元記憶領域と同じサイズ分の記憶領域である第1記憶領域を前記データ移行先記憶領域内に作成し、ホストからの前記データ移行元記憶領域へのライト要求に対する処理が前記第1記憶領域と前記データ移行元記憶領域とで行われるよう制御するミラー領域である第1ミラー領域を作成し、
前記データ移行先記憶領域内で、前記第1記憶領域とは異なる記憶領域である第2記憶領域を作成し、ホストからの前記第2記憶領域へのライト要求に対する処理が前記第2記憶領域で行われるよう制御するミラー領域である第2ミラー領域を作成し、
前記第1ミラー領域と前記第2ミラー領域とを合わせた合成ミラー領域を作成し、
ホストからのリード要求、ライト要求の受付インターフェイスである仮想ターゲットを前記合成ミラー領域に接続し、
前記データ移行元記憶領域から前記第1記憶領域へのデータ移行を行うことをストレージスイッチが実行する記憶領域サイズ変更方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2010−231567(P2010−231567A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−79194(P2009−79194)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【出願人】(399076998)株式会社富士通ビー・エス・シー (56)
【Fターム(参考)】