説明

ストロボ装置

【課題】閃光発光の照射域がより円形に近い実用にかなったストロボ装置を提供する。
【解決手段】ターゲットライト4を中心に、その周りに3つの直管形状をした閃光放電管1〜3を配置している。各閃光放電管1〜3は、ターゲットライト4を中心とする円に接し、その長手方向がその円の接線と平行となるような形で円周に沿って配置している。それにより、3つの閃光放電管1〜3は、円が内接する三角形を形作るように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を撮影するための閃光発光が可能なストロボ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水中では、水深が深くなるにつれ光が減衰する。そのため、水中での撮影では、光量不足を補うためにストロボ装置が必須のものとなっている。しかし、撮影装置に内蔵(搭載)されたストロボ装置では光量不足を補えるのは困難なのが実情である。また、水中にはプランクトンや砂などが浮遊していることが多く、そのような浮遊物が存在する状況では、内蔵のストロボ装置が発光させる閃光の光軸は撮影装置のレンズの光軸とほぼ一致するため、浮遊物での光の反射によってその浮遊物が写ってしまうマリンスノー現象が発生しやすい。これらのことから、水中で撮影を行う場合、撮影装置とは別に、閃光発光が可能な外付けのストロボ装置を用意するのが普通となっている。そのストロボ装置(以降、内蔵のストロボ装置と区別するために「外部ストロボ装置」と表記する)では、閃光発光する方向(発光軸)とレンズの光軸のなす角度を比較的に大きくさせられることから、マリンスノー現象の発生を回避させることができる。その角度を大きくさせると、つまり外部ストロボ装置を撮影装置から大きく離すと、閃光発光により照射される対象が分かりにくくなるため、その対象を確認できるように、指向性を有する光を発光させるためのターゲットライトを搭載した外部ストロボ装置が製品化されている(特許文献1)。
【0003】
空気中と比較して、水中では光の散乱が大きい。このため、水中撮影用の外部ストロボ装置では、大きな光量で閃光発光を行えることが求められる。その閃光発光にはキセノンフラッシュランプ等の閃光放電管が用いられるのが普通である。その閃光放電管による閃光発光の光量は、その長さを長くするほど大きくすることができる。しかし、外部ストロボ装置にはコンパクト性も要求される。このため、円形状の閃光放電管を採用した外部ストロボ装置が製品化されている。
【0004】
閃光放電管を円形状とすることにより、全体の大きさを抑えつつ、その長さをより長くすることができる。しかし、そのような閃光放電管は、機械的量産が行えないため高価である。また、閃光放電管は、その長さが長くなると、供給した電気量のなかで光に変換される割合、つまり電気量−光量の変換効率は低くなる傾向がある。このため、それを発光させるための回路もより高価となる。なぜなら、より高い電圧を印加することが必要となって、トランスやコンデンサ等もそれに合わせなくてはならないからである。装置全体の重量もより重くなる。これらのことから、現在では、直管形状の短い閃光放電管を採用するのが多くなっている。短い閃光放電管を採用するのは、装置の大型化を抑えるためである。
【0005】
直管形状の閃光放電管は円形状のそれと比較して、安価に製造することができる。しかし、その長さが短いと、大きな光量は得にくい。このことから、従来の外部ストロボ装置のなかには、閃光放電管を複数、配置したものがある。例えば特許文献2に記載された従来の外部ストロボ装置では、2つの閃光放電管をT字型、或いはL字型に配置している。図5は、その外部ストロボ装置の外観図であり、2つの閃光放電管401、402はT字型に配置されている。T字型、或いはL字型に閃光放電管を配置するのは、閃光発光の照射域をより円形とするためである。
【0006】
2つの直管形状の閃光放電管を直線上に並べる、或いはそれらを平行に並べるような配置を行う場合と比較すれば、それらをT字型、或いはL字型に配置することにより、照射域をより円形に近づけることはできる。しかし、実際には不十分なのが実情である。水中での光の散乱の大きさや、人間の視覚特性、閃光発光を行う状況などにより、光量が比較的に少ない照射域に存在する被写体はより光量が不足しているように見えるのが普通である。このこともあって、照射域の形状が円形から異なるほど、適切な撮影が行える範囲は狭くなる傾向がある。このため、適切な撮影が行える範囲をより広くするためにも、より円形に近い照射域を実現させることが重要と考えられる。
【0007】
なお、外部ストロボ装置のなかには、撮影装置のレンズ部まわりに取り付けることを想定したものがある(特許文献3、4)。しかし、そのような外部ストロボ装置では、発光軸がレンズの光軸と非常に良く一致するため、マリンスノー現象がより発生しやすい。そのために、小さい被写体を近くで撮影するようなケースでの利用のみを想定したものとなっている。
【特許文献1】特開2001−228517号公報
【特許文献2】特開2001−228516号公報
【特許文献3】特開平10−274799号公報
【特許文献4】特開平9−218442号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、閃光発光の照射域がより円形に近い実用にかなったストロボ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1〜第3の態様のストロボ装置は共に、被写体を撮影するための閃光発光が可能なものであり、それぞれ以下の手段を具備する。
第1の態様のストロボ装置は、閃光発光される方向からの視点で円周に沿って複数、配置した直管形状の閃光放電管と、複数の閃光放電管を同時に閃光発光させることが可能な放電管発光制御手段と、を具備する。
【0010】
なお、上記複数の閃光放電管として3つの閃光放電管を円周に沿って配置することにより、該3つの閃光放電管を三角形状に配置している、ことが望ましい。また、円周内に配置した、閃光発光が照射される被写体を確認可能とするための発光ライト、及び該発光ライトの点灯制御を行うライト発光制御手段を備えている、ことが望ましい。
【0011】
第2の態様のストロボ装置は、閃光発光が照射される被写体を確認可能とするための発光ライトと、発光ライトの点灯制御を行う発光ライト制御手段と、発光ライトを中心にする形でその周りに配置された複数の直管形状の閃光放電管と、複数の閃光放電管を同時に閃光発光させることが可能な放電管制御手段と、を具備する。
【0012】
なお、上記第1、或いは第2の態様における放電管発光制御手段は、閃光放電管毎に用意した、コンデンサを用いて閃光発光させるための電圧を印加する複数の電圧印加手段と、複数の電圧印加手段がそれぞれ有するコンデンサを充電する充電手段と、該コンデンサの充電状態を監視する充電監視手段と、を備えている、ことが望ましい。また、複数の電圧印加手段がそれぞれ有するコンデンサは並列に充電手段と整流素子を介して接続され、充電監視手段は、複数の電圧印加手段のうちの一つが有するコンデンサの充電状態を監視する、ことが望ましい。
【0013】
第3の態様のストロボ装置は、閃光発光させる複数の閃光放電管と、閃光放電管毎に用意した、コンデンサを用いて閃光発光させるための電圧を印加する複数の電圧印加手段と、複数の電圧印加手段がそれぞれ有するコンデンサを充電する充電手段と、コンデンサの充電状態を監視する充電監視手段と、を具備する。
【0014】
なお、上記複数の電圧印加手段がそれぞれ有するコンデンサは並列に充電手段と整流素子を介して接続され、充電監視手段は、複数の電圧印加手段のうちの一つが有するコンデンサの充電状態を監視する、ことが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、複数の直管形状の閃光放電管を、閃光発光される方向からの視点で円周に沿って配置し、それら複数の閃光放電管を同時に閃光発光させる。複数の閃光放電管を配置することにより、閃光発光の照射域(達する光量が一定以上となる範囲)は、各閃光放電管から達する光量の累算によって決定されるものとなる。その照射域の形状は、複数の閃光放電管を円周に沿って配置することにより、円形に近いものとなる。このため、円形に近い実用にかなった照射域が実現される。
【0016】
本発明では、閃光放電管毎に、コンデンサを用いて閃光発光させるための電圧を印加する電圧印加手段を用意し、各閃光放電管はそれぞれ1つの電圧印加手段による電圧の印加によって閃光発光させる。
【0017】
閃光放電管は、放電開始すると抵抗値が小さくなる負性抵抗という特性を有している。1つの電圧印加手段により複数の閃光放電管に並列に電圧を印加させる場合、その特性により、放電開始タイミングのズレによって各閃光放電管に流れる電流量に差が生じやすい。その電流量の差は、閃光発光量に差を生じさせる。しかし、各閃光放電管をそれぞれ1つの電圧印加手段により電圧を印加させる場合、各閃光放電管に流れる電流量はより安定した形で等しくさせることができる。この結果、各閃光放電管の閃光発光量は高精度に等しくさせられることとなる。
【0018】
複数の電圧印加手段がそれぞれ有するコンデンサを並列に充電手段と整流素子を介して接続させる場合には、各コンデンサへの充電は蓄えられた電荷量が等しくなるように行われる。何らかの特殊な理由が無い限り、充電の開始時における各コンデンサの充電電圧は閃光発光を行えるレベル(以降「目標充電電圧」)より低い。このため、1つのコンデンサの充電電圧が目標充電電圧に達した場合、他のコンデンサも目標充電電圧に確実に達していることとなる。それにより、複数の電圧印加手段のうちの一つが有するコンデンサの充電電圧のみを監視するだけで、他のコンデンサの充電電圧も実質的に監視することができる。コンデンサ(電圧印加手段)の数に係わらず、充電電圧を監視すべきコンデンサの数は最小限に抑えられることから、充電電圧監視用の回路による大型化は回避させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施の形態のストロボ装置の外観図である。同図(a)はその斜視図、同図(b)は正面図(閃光発光の発光軸方向から見た場合のもの)である。そのストロボ装置は、デジタルカメラ等の撮影装置をマスタとして、その撮影装置の閃光発光に応答した閃光発光を行うスレーブストロボ装置(外部ストロボ装置)である。
【0020】
本実施の形態では、図1に示すように、直管形状をした3つの閃光放電管1〜3を円に接し、その長手方向がその円の接線と平行となるような形で円周に沿って配置している。それにより、3つの閃光放電管1〜3は、円が内接する三角形を形作るように配置されている。閃光発光が照射される被写体、つまり閃光発光の発光軸を確認できるようにするためのターゲットライト(フォーカスライト)4は、その円周内の中央に配置されている。それにより、3つの閃光放電管1〜3は、ターゲットライト4を中心に、その周りに配置された形となっている。閃光放電管1〜3としては、例えばキセノンフラッシュランプを採用している。ターゲットライト4としては、指向性を有する光を出射させる必要から、例えば発光ダイオード(LED)を採用している。
【0021】
図3は、ストロボ装置の照射域を説明する図である。同図(a)は図5に示す従来のストロボ装置の照射域、同図(b)は本実施の形態によるストロボ装置の照射域をそれぞれ示している。
【0022】
複数の閃光放電管を配置することにより、閃光発光の照射域は、各閃光放電管から達する光量の累算によって決定されるものとなる。その照射域は、2つの閃光放電管301、302をT字型に配置した場合、図3(a)で破線により示すものとなり、3つの閃光放電管1〜3を図1(b)に示すように3角形状に配置した場合には、図3(b)で破線により示すものとなる。それにより、3角形状に配置することで照射域はより円形に近い形状となっている。照射域がより円形に近くなっているため、より広い範囲を適切に撮影することができる。
【0023】
3つの閃光放電管1〜3はターゲットライト4の周囲に配置しているために、そのライト4から出射された光は照射域の中央、或いはそのほぼ中央を示すものとなっている。このため、被写体を照射域の中央に位置させることが容易に行えるようになっている。
【0024】
3つの閃光放電管1〜3を3角形状に配置すると、各閃光放電管1〜3とそれに内接する円の中心(ターゲットライト4が配置された位置)との距離は、各閃光放電管1〜3の長手方向上の中央で最も短くなる。このため、照射域の中央付近はそれ以外の部分より光量が大きくなる。撮影者は撮影の対象として考える被写体を中央に位置させて撮影するのが普通である。従って、そのような被写体は、より明るく撮影できることとなる。閃光放電管の数を3つ、つまり3つの閃光放電管1〜3を3角形状に配置したのはそのことも理由である。
【0025】
水中撮影では一般的に、撮影装置と被写体との距離は、撮影画面の上方では遠く、下方では近いという場合が多い。従って、実用的には上方は下方より広い配光とするのが望ましい。このことから本実施の形態では、正面から見て上方に位置する閃光放電管1の長手方向が横方向となるように配置している。それにより、通常の使用時には、撮影画面の上方は下方より広い配光となるようにさせている。
【0026】
図4は、本実施の形態によるストロボ装置の実際の照射域を説明する図である。その照射域は、1メートル先の壁に向かって閃光発光を行った場合のものであり、予め定めた照度ごとにその照度となっている部分をそれぞれ線で表している。その図4から明らかなように、照射域は非常に円形に近いものとなっている。
【0027】
閃光発光を照射した壁は完全に平面というわけではなく、また、全てが完全に同色というわけでも無い。それらの悪条件により、図4は実際の照射域を高精度に表したものではない。それらの悪条件は共に、同じ照度となる部分を表す線の形状を歪ませる。このことから、実際の照射域は図4に示すものより更に円形に近くなる。
【0028】
図2は、本実施の形態によるストロボ装置の回路構成のブロック図である。
このストロボ装置は、装置全体の制御をCPU10が行う構成となっている。そのCPU10は、それに内蔵されたROM(例えばPROM)11に格納されたプログラムを実行することにより、その制御を行う。12は内蔵されたハードタイマである。時間の計時は、そのハードタイマ12か、或いはソフトウェアにより実現されるソフトタイマによって行われる。
【0029】
発光部21〜23は、閃光放電管1〜3の何れか一つ、それに高電圧を印加するためのメインコンデンサ、トリガー用のコイル、及び通電制御用のIGBT(Insulated Gate Bipolar transistor)を備えた閃光発光用回路である。各発光部21〜23は、IGBTドライバー回路24が出力する駆動信号がアクティブ(例えばH)となった場合に閃光発光を行う。CPU10は、ドライバー回路24に出力するIGBT作動信号S9により閃光発光を制御する。
【0030】
閃光放電管は、放電開始すると抵抗値が小さくなる負性抵抗という特性を有している。その特性により、1つの電圧源から複数の閃光放電管に電圧を印加させる場合、閃光放電管間の放電開始タイミングのズレによって各閃光放電管に流れる電流量に差が生じやすい。閃光放電管1〜3別に発光部21〜23を用意したのは、そのような電流量の差が生じないようにして、各閃光放電管1〜3の閃光発光量を安定した形で等しくさせられるようにするためである。閃光放電管1〜3別に発光部21〜23を用意した場合には、光量不足の度合いに応じて、閃光放電管1〜3を選択的に閃光発光させることも容易に行えるようになる。
【0031】
電源スイッチ(SW)回路31は、電源/モードスイッチ61への操作により不図示のバッテリからの電流を供給するための回路である。その電源/モードスイッチ61は、電源オフ、TTL(Through The Lens)モード、及びマニュアルモードのうちの何れかを選択するための切替スイッチである。電源スイッチ回路31は、その電源/モードスイッチ61が電源オフ以外の位置とされている場合に電流を供給する。その電流は、DC−DC昇圧回路(以降「昇圧回路」と略記)32により昇圧され、発光部21〜23がそれぞれ有するメインコンデンサの充電に用いられる。
【0032】
本実施の形態では、発光部21〜23の各メインコンデンサは並列に、それぞれ逆流防止用のダイオード(整流素子)34〜36を介して昇圧回路32と接続させている。そのように接続することにより、各メインコンデンサへの充電は蓄えられた電荷量が等しくなるように行わせることができる。このため、各メインコンデンサの充電電圧(電荷量)の監視は、1つのメインコンデンサの充電電圧を監視することで実用上、問題のないレベルで行うことができる。それ以外のメインコンデンサの充電電圧を監視する必要性が回避されることから、その監視用の回路は最小限で済むようになって、装置の大型化、製造コストの上昇はより容易に抑えられるようになる。
【0033】
充電電圧監視回路(以降「監視回路」と略記)33は、上記監視用の回路である。その監視回路33は、発光部21のメインコンデンサの充電状態を監視し、昇圧回路32を制御する。その監視により、発光部21のメインコンデンサの充電完了を確認した場合には、例えば充電監視信号S2をアクティブにしてその旨をCPU10に通知する。また、昇圧回路32に出力する充電電圧安定化信号S1を介して各発光部21〜23への印加電圧の安定化を制御する。それにより、メインコンデンサへの不必要な電流の供給を抑える。
【0034】
光検出回路41は、例えばフォトダイオード等の光を検出できる光検出素子、及びその光検出素子の検出信号から、その光検出素子で受光された光の立ち上がり(受光光量の増大開始)、及びその立ち下がり(受光光量の減少開始)を検出する微分回路を備えたものである。光の立ち上がり、及び立ち下がりは共に、発光開始検出信号S3、及び発光停止検出信号S4をそれぞれアクティブにすることでCPU10に通知される。
【0035】
接続部51は、マスタとなる撮影装置とケーブルで接続するためのものである。その撮影装置には、接続部51を介して、閃光発光が可能か否かを通知するための外部充電完了信号S5が出力される。その撮影装置からは、接続部51を介して、シャッタが完全に開いたことを通知するためのX信号(X接点による信号)S11や、発光期間を通知するためのTTL発光停止信号S12が入力される。
【0036】
上記信号S11、及びS12は、接続部51から変換回路52に出力される。その変換回路52は、信号S11、及びS12をCPU10が取り込める形に変換するためのものである。それにより、信号S11、及びS12は、変換回路52から信号S6、及びS7としてCPU10に出力される。その変換回路52は、信号S11、及びS12から各発光部21〜23の発光を制御するためのIGBT停止信号S8を生成してIGBTドライバー回路24に出力する。このようなことから、接続部51を介して撮影装置と接続されている場合には、ストロボ装置は、撮影装置から出力される信号S11、及びS12によって閃光発光を行うようになっている。
【0037】
TTLモード、及びマニュアルモードのそれぞれでは、サブモードとして、スレーブモード、及びワイヤモードの何れかを選択できるようになっている。サブモード切替スイッチ62は、その選択を行えるように設けられたスイッチである。スレーブモードは光検出回路41による光の検出結果に従って閃光発光を制御するモードであり、ワイヤモードは接続部51を介した撮影装置の接続に対応させるためのモードである。
【0038】
設定スイッチ64は、設定されたモードによって異なる機能が割り当てられるスイッチである。マニュアルモードの設定時には、閃光発光を撮影者(ユーザ)が調整できるように、可変光量調整値の設定スイッチとして機能する。TTLモードのスレーブモード設定時には、撮影装置の閃光発光開始から各発光部21〜23による閃光発光を開始させるまでの遅延時間の設定スイッチとして機能する。設定スイッチ64による可変光量調整値、或いは遅延時間の設定は、その位置を変化させることで行うようになっている。CPU10に設定スイッチ64から出力される信号は、その位置によって変化するようになっている。
【0039】
ターゲットライトオンーオフ(on−off)スイッチ63は、上記ターゲットライト4の点灯/消灯をユーザーが指示できるように用意したものである。CPU10は、そのスイッチ63のオン/オフ状態を監視し、そのスイッチ63がオン状態となっている間、ターゲットライト4を点灯させる。設定されたモードによっては、状況に応じて自動的に点灯/消灯を行う。
【0040】
充電表示灯72、及びTTL作動確認灯73は何れも例えば複数色の発光が可能なLEDである。CPU10は、バッテリの残量が定めた一定量以上か否かにより、充電表示灯72に異なる色の発光を行わせるようになっている。TTL作動確認灯73には、TTLモードが設定されているか否かによって異なる色の発光を行わせるようになっている。
【0041】
なお、本実施の形態では、閃光放電管の数として3つを採用しているが、それより多くの閃光放電管を配置するようにしても良い。より多くの閃光放電管を配置する場合には、円周に沿った配置は、半径の異なる複数の円を想定して行うようにしても良い。また、円に接し、その接線と平行となるように配置しなくとも良い。このように様々な変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態のストロボ装置の外観図であり、(a)は斜視図、(b)は正面図である。
【図2】本発明の実施の形態のストロボの回路構成のブロック図である。
【図3】ストロボ装置の照射域を説明する図であり、(a)は従来のストロボ装置の照射域、(b)は本実施の形態によるストロボ装置の照射域を示す図である。
【図4】本実施の形態によるストロボ装置の実際の照射域を説明する図である。
【図5】従来のストロボ装置の外観図である。
【符号の説明】
【0043】
1〜3 閃光放電管
4 ターゲットライト
10 CPU
11 ROM
21〜23 発光部
24 IGBTドライバー回路
34〜36 ダイオード
41 光検出回路
63 ターゲットライトオンーオフスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮影するための閃光発光が可能なストロボ装置において、
前記閃光発光される方向からの視点で円周に沿って複数、配置した直管形状の閃光放電管と、
前記複数の閃光放電管を同時に閃光発光させることが可能な放電管発光制御手段と、
を具備することを特徴とするストロボ装置。
【請求項2】
前記複数の閃光放電管として3つの閃光放電管を前記円周に沿って配置することにより、該3つの閃光放電管を三角形状に配置している、
ことを特徴とする請求項1記載のストロボ装置。
【請求項3】
前記円周内に配置した、前記閃光発光が照射される被写体を確認可能とするための発光ライト、及び該発光ライトの点灯制御を行うライト発光制御手段を備えている、
ことを特徴とする請求項1、または2記載のストロボ装置。
【請求項4】
被写体を撮影するための閃光発光が可能なストロボ装置において、
前記閃光発光が照射される被写体を確認可能とするための発光ライトと、
前記発光ライトの点灯制御を行うライト発光制御手段と、
前記発光ライトを中心にする形でその周りに配置された複数の直管形状の閃光放電管と、
前記複数の閃光放電管を同時に閃光発光させることが可能な放電管発光制御手段と、
を具備することを特徴とするストロボ装置。
【請求項5】
前記放電管発光制御手段は、前記閃光放電管毎に用意した、コンデンサを用いて閃光発光させるための電圧を印加する複数の電圧印加手段と、前記複数の電圧印加手段がそれぞれ有するコンデンサを充電する充電手段と、該コンデンサの充電状態を監視する充電監視手段と、を備えている、
ことを特徴とする請求項1乃至4記載のストロボ装置。
【請求項6】
前記複数の電圧印加手段がそれぞれ有するコンデンサは並列に前記充電手段と整流素子を介して接続され、
前記充電監視手段は、前記複数の電圧印加手段のうちの一つが有するコンデンサの充電状態を監視する、
ことを特徴とする請求項5記載のストロボ装置。
【請求項7】
被写体を撮影するための閃光発光が可能なストロボ装置において、
前記閃光発光させる複数の閃光放電管と、
前記閃光放電管毎に用意した、コンデンサを用いて閃光発光させるための電圧を印加する複数の電圧印加手段と、
前記複数の電圧印加手段がそれぞれ有するコンデンサを充電する充電手段と、
前記コンデンサの充電状態を監視する充電監視手段と、
を具備することを特徴とするストロボ装置。
【請求項8】
前記複数の電圧印加手段がそれぞれ有するコンデンサは並列に前記充電手段と整流素子を介して接続され、
前記充電監視手段は、前記複数の電圧印加手段のうちの一つが有するコンデンサの充電状態を監視する、
ことを特徴とする請求項7記載のストロボ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−298879(P2007−298879A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−128582(P2006−128582)
【出願日】平成18年5月2日(2006.5.2)
【出願人】(302045912)株式会社シー・アンド・シー (3)
【Fターム(参考)】