説明

スナップファスナ

貫通孔(12)があけられた第1の薄肉壁部(14)を、同様に貫通孔(16)があけられた第2の薄肉壁部(18)に固定するのに適したスナップファスナであって、このスナップファスナが、第1の薄肉壁部(14、18)でその貫通孔(12、16)内に配置しうる基部(20)と、基部(20)から離れる方向に延在する頭部(22)とを具えており、頭部(22)は、オス型差込片を呈するようになっており、頭部(22)は、1つ又は2つ以上の押圧素子又は保持素子(28)に対する案内部材又は溝部材(24)を有しており、押圧素子又は保持素子は、少なくとも1つのばね(26)により、案内部材又は溝部材(24)の端部を越えて突出する位置に押圧されるようになっており、案内部材又は溝部材(24)から突出する押圧素子又は保持素子(28)の端部は、薄肉壁部(14、18)に対し垂直となるように重なるプレート(38)内に形成されており、頭部(22)には、ハウジングとして、(可撓性材料の)固定用カムか又は可撓性の固定用表面を有する板ばね装置(42)のような固定用突起部が設けられており、ハウジングは、薄肉壁部(14、18)の貫通孔(16、12)内にはめ込むことにより、ハウジングが一方の薄肉壁部(リヤパネル)(14)のみを把持しうるようになっているとともに、把持解除装置(釈放手段)(46)がハウジング内に設けられ、把持解除装置(46)により押圧素子(28)を前面からハウジング内に後退させうるようになっており、ハウジングは、他方の薄肉壁部(フロントパネル)(18)から取り外すことができるようになっているスナップファスナを提供する。本発明によれば、基部(20)の支持平面(45)と薄肉壁部(フロントパネル(18)の関連のエッジ平面(47)との間に延在する圧縮ばね(49)を基部(20)の支持平面(45)上に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貫通孔があけられた、ハウジングの壁部、ドアリーフ(扉)、シャッタ等のような第1の薄肉壁部を、同様に貫通孔があけられた、ハウジングのフレーム(骨組み)のような薄肉壁の壁部支持体、ドアフレーム、壁部の孔のエッジ等のような第2の薄肉壁部に固定するのに適したスナップファスナであって、このスナップファスナが、第1の(又は第2の)薄肉壁部でその貫通孔内に配置しうる基部と、この基部から離れる方向に延在する頭部とを具えており、前記頭部は、縦断面においてこの頭部の端部から前記基部に向かう方向で、最初は増大し続いて減少する直径を有し、前記頭部は、前記直径の方向で外向きの放射状に作用するばね力を釈放させることにより、前記薄肉壁部の貫通孔により形成されるか支持されるアンダーカットのメス型差込片により収容しうるオス型差込片を呈するようになっており、前記頭部は、1つ又は2つ以上の押圧素子又は保持素子に対する案内部材又は溝部材を有しており、この又はこれらの押圧素子又は保持素子は、少なくとも1つのばねにより、前記案内部材又は溝部材の端部を越えて突出する位置に押圧されるようになっており、この案内部材又は溝部材から突出する前記押圧素子又は保持素子の端部は、前記薄肉壁部に対し垂直に延在する投影線で三角形をしており、前記基部は前記薄肉壁部の貫通孔の長手エッジを覆うプレートにより形成されており、前記頭部には、ハウジングとして、(可撓性材料の)固定用カムか又は可撓性の固定用表面を有する板ばね装置のような固定用突起部が設けられており、このハウジングは、前記薄肉壁部の貫通孔内にはめ込むことにより、このハウジングが一方の前記薄肉壁部(リヤパネル)のみを把持しうるようになっているとともに、把持解除装置(釈放手段)が前記ハウジング内に設けられ、この把持解除装置により前記押圧素子を前面から前記ハウジング内に後退させうるようになっており、前記ハウジングは、他方の前記薄肉壁部(フロントパネル)から取り外すことができるようになっており、前記固定用突起部の保持領域と一方では前記押圧素子の保持領域及び他方では前記基部の支持平面との間の寸法は、前記押圧素子を後退させた際に前記固定用突起部が遊びをもって前記フロントパネルと接触するように選択されている当該スナップファスナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
上述した種類のスナップファスナは国際公開WO2008/128560から既知である。
【0003】
この既知のスナップファスナには、この種の複数のスナップファスナを用いて一方の壁部を他方の壁部に固定した場合に、一方の壁部を他方の壁部から取り外すことができるようにする状態に、これらのスナップファスナを同時にもたらすことが困難であるという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開WO2008/128560
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上述した欠点が回避されるように、上述した種類のスナップファスナを改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、前記基部の前記支持平面と前記薄肉壁部(フロントパネル)の関連のエッジ平面との間に延在する圧縮ばね、特にコイルばね又は凹面の板ばねを前記基部の前記支持平面上に配置することにより、上述した目的を達成する。
【0007】
上述したようにすることにより、個々のスナップファスナに細心の注意を払うことなく、スナップファスナは、一方の壁部を他方の壁部から取り外し得る状態に自動的に押しこまれる。
【0008】
本発明の更なる改良によれば、圧縮ばねを、長方形又は正方形の断面を有する頭部を基部の付近で囲むコイルばねとする。このようにすることにより、スナップファスナが壁部に対して回転しないようにする。
【0009】
本発明のこの構成によれば、圧縮ばねが基部の支持平面に固定される。これにより、ばねは消失せず、且つ装着時には既に正しい位置にあるようになるという利点が得られる。
【0010】
本発明の他の例によれば、コイルばねをディスクにより基部の支持平面に対して押圧させ、これにより壁部上でのコイルばねの力の分布を改善する。
【0011】
更に、ディスクが、圧縮状態にあるコイルばねの軸線延長部を囲むリングを形成しており、これにより、支持平面と薄肉壁部(フロントパネル)のエッジ平面との間に正の係合圧力による連結を形成する例が可能となる。これにより、ばねの力に依存しない、特に確実な固定が可能となる利点が得られる。
【0012】
一方、ディスクを有さないか、或いはディスクを有するもこのディスクを環状としない形態の例によれば、構成が簡単となるという利点が得られとともに、遊びも圧縮ばね又はコイルばねにより補償されることにより広範な遊びを克服しうる可能性が得られる。ばねにより支持される遊びは、電気システムに短絡が生じた場合にドア又はシャッタを持ち上げて発生ガスを逃がすか又は圧力を軽減させるようにする作用をもする。
【0013】
例えば、パネルの厚さが異なる場合に、スナップファスナを変えることなくこれらのパネルを互いに正確に固定することができる。
【0014】
従来技術におけるように、基部内で回転自在に支持された作動ピンにより釈放手段を形成しうる。本発明によれば、作動ピンを、圧縮ばねを通して及びディスクが存在する場合にはこれを通して突出させ且つ押圧素子に向いたその内側前端で放射状のウェブを形成するようにし、この放射状のウェブは保持素子の凹所内に係合させるとともに、作動ピンを釈放方向で回転させた場合に、保持素子をばね力に抗して引き戻すようにする。
【0015】
本発明の一例では、作動ピンの代わりに、保持素子の凹所まで延在する軸線方向の孔を設け、平坦なブレードを有するねじ回しをこの孔内に挿入することにより、ブレードをもって保持素子を引き戻すようにすることもできる。このようにすることにより、作動ピンが必要としなくなり、スナップファスナの製造費が低減される。
【0016】
或いはまた、作動ピンの外側端部に、トルク適用工具用のレセプタクル(収容部)を設けることができるも、コンパクトにするためにこのレセプタクルの端部が基部を越えて延在しないようにする。
【0017】
この場合、レセプタクルに適合する工具であって、これによりスナップファスナを緩める当該工具が必要となる。
【0018】
他の選択肢では、作動ピンの外側端部に、基部の端部を越えて延在しうるきざみ付き回転ノブのような取っ手を設けるようにすることができる。
【0019】
ばねを新たに設計した結果として、一方の薄肉壁部を他方の薄肉壁部から取り除くために、ばねを更に引き出す必要がない程度に充分に、このばねがスナップファスナを手動でなく押し出すようにする。更に、このばねはクランプ領域を拡大させる。このようにすることにより、壁部が首尾よく連結されたかを検査する手段を提供するという追加の利点が得られる。その理由は、この連結が失敗した場合には、このばねがスナップファスナを再度元の状態にもどし、これにより壁部が係合されていないことを示す為である。
【0020】
以下に本発明を図示する実施例につき更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1A】図1Aは、本発明によるスナップファスナの実施例の一形態を示す、軸線に沿う断面図である。
【図1B】図1Bは、図1Aによる実施例の一形態の頂面図である。
【図1C】図1Cは、図1BにおけるラインE‐Eに沿う断面図である。
【図1D】図1Dは、図1Aによる実施例の底面図である。
【図1E】図1Eは、押圧素子及び釈放装置を示す拡大斜視図である。
【図2】図2A〜2Dは、図1の場合よりも薄肉にした壁部に適用した図1Aと同じスナップファスナを図1A〜1Eに対応して示す図であり、図2Eは他の種類の釈放装置を示す拡大斜視図である。
【図3】図3は、図1A及び1Bによるスナップファスナの構成を示す分解図である。
【図4A】図4Aは、スナップファスナの側面図である。
【図4B】図4Bは、図4AのラインB‐Bに沿う軸線方向断面図である。
【図4C】図4Cは、図4AのラインA‐Aに沿う断面図である。
【図4D】図4Dは、図4Aによる実施例の頂面図である。
【図4E】図4Eは、図1Aとは相違して薄肉壁部内に装着する前の状態で、図4Aのスナップファスナを示す斜視図である。
【図5】図5A〜5Dは、図4Aに類似する構成であるが、ハンドホイールの無い状態で示すスナップファスナの種々の図である。
【図6A】図6Aは、作動ピンを有さず、ねじ回しにより押圧素子を直接取り外す形態のスナップファスナを示す斜視図である。
【図6B】図6Bは、ねじ回しにより図6Aのスナップファスナから取り外した押圧素子を示す斜視図である。
【図7A】図7Aは、本発明の更なる説明のための断面図である。
【図7B】図7Bは、本発明の更なる説明のための頂面図である。
【図7C】図7Cは、本発明の更なる説明のための他の断面図である。
【図7D】図7Dは、本発明の更なる説明のための斜視図である。
【図8】図8A〜8Fは、U字状の保持用ばねによる異なる固定を行う他の形態のスナップファスナの種々の図を示す。
【図9】図9A〜9Eは、凹面の板ばねの形態の圧縮ばねを有し、小型のホイールにより釈放を行う他の形態のスナップファスナの種々の図を示す。
【図10A】図10Aは、2つの薄肉壁部と、スナップファスナとを互いに分離させた状態を示す縦断面図である。
【図10B】図10Bは、一方の薄肉壁部は外されているも、他方の薄肉壁部は依然として保持しているスナップファスナを示す縦断面図である。
【図10C】図10Cは、スナップファスナが双方の薄肉壁部に押し込まれているが、板ばねは依然として弛緩している状態を示す縦断面図である。
【図10D】図10Dは、板ばねを押圧して2つの薄肉壁部を互いにしっかりと保持した状態を示す縦断面図である。
【図10E】図10Eは、図10Dの頂面図である。
【図10F】図10Fは、図10Dの斜視図である。
【図10G】図10Gは、2つの薄肉壁部と、スナップファスナとを互いに分離させた状態を示す斜視図である。
【図10H】図10Hは、一方の薄肉壁部は外されているも、他方の薄肉壁部は依然として保持しているスナップファスナを示す斜視図である。
【図10I】図10Iは、スナップファスナが双方の薄肉壁部に押し込まれているが、板ばねは依然として弛緩している状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
頂面図を示している図1Bの断面ラインD‐Dに沿う第1の軸線方向断面図である図1Aには、貫通孔12があけられたハウジングの壁部、ドアリーフ、シャッタ等のような第1の薄肉壁部14を、同様に貫通孔16があけられたハウジングのフレーム、ドアフレーム、壁部の孔のエッジ等のような薄肉壁の壁部支持体のような第2の薄肉壁部18に固定するのに適したスナップファスナが示されており、このスナップファスナは、第1の薄肉壁部14又は第2の薄肉壁部18においてその貫通孔12又は16内に配置しうる基部20と、この基部20から離れて延在する頭部22とを具えており、この頭部22はその縦断面においてこの頭部22の端部から基部20に向かう方向で、最初は増大し、続いて減少する直径を有しており(図1Aにおける参照符号30を参照)、この頭部22は、直径の方向で外向きの放射状に作用するばね力(図1Bの断面ラインE‐Eに沿う断面図である図1Cにおける圧縮ばね26を参照)を釈放させることにより、薄肉壁部14の貫通孔12により形成されるか支持されるアンダーカットのメス型差込片により収容しうるオス型差込片を有している。この頭部22には、1つ又は2つ以上の押圧素子又は保持素子28に対する案内部材又は溝部材24が形成されており、押圧素子又は保持素子28は、少なくとも1つのばね26により、案内部材又は溝部材24の端部を越えて突出する位置に押圧され、案内部材又は溝部材24から突出する押圧素子又は保持素子28の端部30は、薄肉壁部14又は18に対し垂直に延在する投影面内で三角形状となり、基部20は、薄肉壁部18における貫通孔16の長手エッジ36を覆うプレート38により形成されている。頭部22には、ハウジング44として、(可撓性材料の)固定用カムか又は可撓性の固定用表面40を有する板ばね装置42のような固定用突起部が設けられており、このハウジング44を薄肉壁部14にける貫通孔12内にはめ込むことにより、このハウジングが一方の薄肉壁部(リヤパネル)14のみを把持しうるようになっているとともに、把持解除装置(釈放手段)46がハウジング44内に設けられ、この把持解除装置により押圧素子28を前面からハウジング44内に後退させうるようになっている。ハウジング44は、他方の薄肉壁部18(フロントパネル)から取り外すことができ、固定用突起部42の保持領域と、一方では押圧素子28の保持領域及び他方では基部20の支持平面との間の寸法は、押圧素子28を後退させた際に固定用突起部42が遊びをもってフロントパネル18と接触するように選択されている。
【0023】
本発明によれば、基部20の支持平面45と、これに関連する薄肉壁部18(フロントパネル)のエッジ平面47との間に圧縮ばね49が配置されている。このエッジ平面47と圧縮ばね49との間にはディスク151(図7A参照)を設け、この圧縮ばねがこのディスクにより基部20の支持平面45(図1C参照)に対し押圧されるようにしうる。ディスク51はコイル(圧縮)ばね49の軸線延長部を囲むリング53をも形成し、これにより、ある力が加えられて圧縮ばね49が完全に圧縮された場合に、支持平面45と薄肉壁部(フロントパネル)18のエッジ平面47との間に正の係合圧力による連結を形成するようにしうる。この状態を図1Aに且つ図1Cにも示してある。パネル14、18すなわち薄肉壁部が図1におけるよりも一層薄肉である場合には、例えば、図2Aにおいて明らかなように、本発明による圧縮ばねがないと、もはや正の係合連結を生ぜしめることができず、スナップファスナが緩められてしまう。このことは、弛緩し、従って、摩擦係合を達成する圧縮ばね49により回避される。
【0024】
このようにすることにより、プレート38がディスク又はリング53から離間される(図2A参照)。
【0025】
図3においても明らかなように、圧縮ばね49は、基部20の付近で断面が長方形又は正方形である頭部22を囲むコイルばねであり、基部も円形にすることができる。
【0026】
圧縮ばね49が頭部又は基部から不所望に滑り落ちるのを回避させるために、圧縮ばね49を基部20の支持平面45に固定させることができる。このことは、コイルばね49がある圧力で頭部22の断面形状部を越えて押圧され、これにより緊締されるようにこのコイルばね49の直径を形成することにより達成しうるが、ばね力は、圧力を平衡化させるために軸線方向の移動を可能にするのに充分な値にする必要がある。
【0027】
或いはまた、板ばね装置42又は押圧素子28により、コイルばね49がスナップ固定用の素子から滑り落ちるのを回避することもできる。更に、板ばね装置42がディスク51を固着し、このディスクの端部でこのディスクが内方に突出する突起部55を有するようにしうる(図3参照)。これらの突起部は頭部22における対応する溝に入り込み、これによりこれらが互いに回転しないようにされる。
【0028】
U字状に曲げられた板ばね装置42は、その底部(クロスピース)の領域で、頭部22から突出する肩部61上に保持される貫通孔59を有しうる。図8A〜8FによるU字状の板ばね装置442は、肩部61により保持する代わりに、ハウジング446より成る横方向の突起部461により適所に保持することもできる。
【0029】
押圧素子28を引き戻す釈放手段46は、基部20内で回転自在に装着されている作動ピン63又は163(図3参照)により形成しうる。本発明によれば、作動ピンが圧縮ばね49を通して及びディスク52が存在する場合にはこれを通して突出し、押圧素子28に向いたその内側前端で放射状のウェブ65を形成するようにする。この放射状のウェブ65は保持素子28の凹所67内に係合しており、このウェブ65は、作動ピン63、163を釈放方向で回転させた場合に、保持素子28をばね力26に抗してハウジング内に引き戻す。
【0030】
作動ピン63、163の代わりに、保持素子28の凹所67まで延在する軸線方向の孔69を設け、平坦なブレード71を有するねじ回し73をこの孔69内に挿入することにより、ブレード71をもって保持素子28を引き戻すようにすることもできる。
【0031】
図2E及び図3によれば、作動ピン63の外側端部に、トルク適用工具用のレセプタクルを、好ましくはフィリップス社製のヘッドレセプタクル75を設けることができるも、このレセプタクルの端部が基部を越えて延在しないようにする。
【0032】
これに代えて又はこれに加えて、作動ピン63の外側端部に、基部20の端部を越えて延在しうるきざみ付きノブ77のような取っ手を設けることができる(例えば、図4E、図1E又は図3を参照)。
【0033】
作動ピン63、163には、ハウジング内で止め輪79を含めることができる。この止め輪79は、一方では作動ピン63又は163の環状溝81内に延在し、他方では環状溝83内に延在する。図4A、4B及び4Cは、薄肉壁部が保持されていない場合の、すなわち薄肉壁部がスナップ固定されていない場合の非装着状態で図1Aによるスナップファスナを示す。又、カップ状の環状ディスク51は保持素子28上に直に位置しており、従って、このディスクが滑り落ちないようになっていることも分かる。
【0034】
円形のばね49の代わりに方形のコイルばね(図示せず)を用いることもでき、この方形のコイルばねを頭部22の形状に良好に適合させ、これが占めるスペースを少なくするようにしうる。
【0035】
図9A〜9Eによれば、コイルばね49の代わりに凹面の板ばね249を圧縮ばねとして作用させることができる。
【0036】
図10A〜10Iは、図1Cに示す板ばね装置42の代わりに可撓性の固定用カムを設けた実施例を示している。この機能は、図10Bによる押圧素子又は保持素子328により達成される。
【0037】
図示するように、図10A〜10Iによる実施例は以下のように機能する。
【0038】
図10A及び図10Gでは、貫通孔12及び16をそれぞれ有する2つの薄肉壁部14及び18と、スナップファスナ310とは互いに分離されている。板ばね349及び保持素子328は弛緩している。
【0039】
図10B及び図10Hでは、頭部322及び2つの保持素子328を有するスナップファスナ310がドアリーフ18等の貫通孔16内に押し込まれているも、板ばね349は依然として弛緩しており、保持素子328は、スナップファスナ310が薄肉壁部18の貫通孔16から滑り落ちないようにしている。
【0040】
図10C及び図10Iでは、保持素子328が完全に押し込まれるまで、スナップファスナ310を保持した薄肉壁部18が、貫通孔12を有する壁部支持体14に取り付けられているが、板ばね349は依然として弛緩している。(この状態は、壁部18を壁部14から引きはがすことができる釈放状態でもある。)
【0041】
図10D及び図10E、図10Fでは、ユーザの親指により基部320を湾曲した板ばね349の力に抗して押圧し、これによりこの板ばねを平坦にした後に、保持素子328が跳ね返り、2つの壁部14及び18が互いにしっかりと保持されている。
【0042】
壁部18は、適切なソケットレンチか又はねじ回しのような工具により壁部支持体14から取り外される。この場合、ねじ回しのブレードを、保持素子まで延在する孔32内に挿入し、このブレードを、図10Dから図10Cへ移ることに相当するように、保持素子328が完全に引き戻されるまで回す。この時点で、壁部支持体14の貫通孔12のエッジが自由に解放されるまで、湾曲した板ばね349がスナップファスナを引き戻し、図10Bに示す状態が得られるようにする。
【0043】
望ましくは、ねじ回しを更に回すことにより、保持素子310を壁部支持体14から分離させるようにする。
【0044】
後者の実施例には、経済的に製造しうるという利点がある。その理由は、ばね42が省略される為である。しかし、壁部の厚さ及び壁部支持体の厚さは、薄肉壁部が最初に自由に釈放されるまで、壁部支持体が自由に釈放されないように選択する必要がある。
【0045】
図1A〜10Iによる実施例では、より大きなトレランスが許容される。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は産業的には、スイッチキャビネットの構成やファサードの構成に適用しうる。
【符号の説明】
【0047】
10、310 スナップファスナ
12 貫通孔
14 第1の薄肉壁部、ハウジング壁部
16 貫通孔
18 第2の薄肉壁部、壁部支持体
20、320 基部
22、322 頭部
24 案内部材、溝部材
26 ばね
28,328 押圧素子、保持素子
36 長手エッジ
38 プレート
40、440 固定用表面
42、442 板ばね装置
44 ハウジング
45 支持平面
46,446 釈放手段
47 エッジ平面
49、249、349 圧縮ばね
51、151 ディスク
53 リング
55 突起部
57 溝
59 貫通孔
61、461 肩部
63、163 作動ピン
65 ウェブ
67 凹所
69 孔
71 ブレード
73 ねじ回し
75 フィリップス社製のヘッドレセプタクル
77 きざみ付きノブ
79 止め輪
81 環状溝
83 環状溝
D 直径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔(12)があけられた、ハウジングの壁部、ドアリーフ、シャッタ等のような第1の薄肉壁部(14)を、同様に貫通孔(16)があけられた、ハウジングのフレーム、ドアフレーム、壁部の孔のエッジ等のような薄肉壁の壁部支持体のような第2の薄肉壁部(18)に固定するのに適したスナップファスナであって、このスナップファスナが、第1の(又は第2の)薄肉壁部(14、18)でその貫通孔(12、16)内に配置しうる基部(20)と、この基部(20)から離れる方向に延在する頭部(22)とを具えており、前記頭部(22)は、縦断面においてこの頭部(22)の端部から前記基部(20)に向かう方向で、最初は増大し続いて減少する直径(D)を有し、前記頭部(22)は、前記直径(D)の方向で外向きの放射状に作用するばね力を釈放させることにより、前記薄肉壁部(14、18)の貫通孔により形成されるか支持されるアンダーカットのメス型差込片により収容しうるオス型差込片を呈するようになっており、前記頭部(22)は、1つ又は2つ以上の押圧素子又は保持素子(28)に対する案内部材又は溝部材(24)を有しており、この又はこれらの押圧素子又は保持素子は、少なくとも1つのばね(26)により、前記案内部材又は溝部材(24)の端部を越えて突出する位置に押圧されるようになっており、この案内部材又は溝部材(24)から突出する前記押圧素子又は保持素子(28)の端部は、前記薄肉壁部(14、18)に対し垂直となるように重なるプレート(38)内に形成されており、前記頭部(22)には、ハウジングとして(可撓性材料の)固定用カムか又は可撓性の固定用表面を有する板ばね装置(42)のような固定用突起部が設けられており、このハウジングは、前記薄肉壁部(14、18)の貫通孔(16、12)内にはめ込むことにより、このハウジングが一方の前記薄肉壁部(リヤパネル)(14)のみを把持しうるようになっているとともに、把持解除装置(釈放手段)(46)が前記ハウジング(44)内に設けられ、この把持解除装置(46)により前記押圧素子(28)を前面から前記ハウジング(44)内に後退させうるようになっており、前記ハウジング(44)は、他方の前記薄肉壁部(フロントパネル)(18)から取り外すことができるようになっており、前記固定用突起部(72)の保持領域と一方では前記押圧素子(28)の保持領域及び他方では前記基部(20)の支持平面(45)との間の寸法は、前記押圧素子(28)を後退させた際に前記固定用突起部(40)が遊びをもって前記フロントパネル(18)と接触するように選択されている当該スナップファスナにおいて、前記基部(20)の前記支持平面(45)と前記薄肉壁部(フロントパネル)(18)の関連のエッジ平面(47)との間に延在する圧縮ばね(49)が前記基部(20)の前記支持平面(45)上に配置されていることを特徴とするスナップファスナ。
【請求項2】
請求項1に記載のスナップファスナにおいて、前記圧縮ばね(49)は、長方形又は正方形の断面を有する頭部(22)を前記基部(20)の付近で囲むコイルばねであることを特徴とするスナップファスナ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のスナップファスナにおいて、前記圧縮ばね(49)は前記基部(20)の前記支持平面(45)に固定されていることを特徴とするスナップファスナ。
【請求項4】
請求項1に記載のスナップファスナにおいて、前記コイルばね(49)はディスク(51)により前記基部(20)の前記支持平面(45)に対して押圧されていることを特徴とするスナップファスナ。
【請求項5】
請求項4に記載のスナップファスナにおいて、前記ディスク(51)は圧縮状態にあるコイルばね(49)の軸線延長部を囲むリング(53)を形成しており、これにより、前記支持平面(45)と前記薄肉壁部(フロントパネル)(18)の前記エッジ平面(47)との間に正の係合圧力による連結を形成しうるようにしたことを特徴とするスナップファスナ。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載のスナップファスナであって、前記釈放手段(46)が前記基部内で回転自在に支持されている作動ピン(63、163)により形成されているスナップファスナにおいて、前記作動ピン(63、163)は、前記圧縮ばね(49)を通して及び前記ディスク(52)が存在する場合にはこれを通して突出し且つ前記押圧素子(28)に向いたその内側前端で放射状のウェブ(65)を形成するようになっており、この放射状のウェブ(65)は前記保持素子(28)の凹所(67)内に係合しているとともに、前記作動ピン(63、163)を釈放方向で回転させた場合に、前記保持素子(28)をばね力に抗して引き戻すようになっていることを特徴とするスナップファスナ。
【請求項7】
請求項6に記載のスナップファスナにおいて、前記作動ピン(63、163)に代えて、前記保持素子(28)の前記凹所(67)まで延在する軸線方向の孔(69)が設けられており、平坦なブレード(71)を有するねじ回し(73)をこの孔(69)内に挿入することにより、このブレード(71)をもって前記保持素子(28)を引き戻しうるようになっていることを特徴とするスナップファスナ。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項に記載のスナップファスナにおいて、前記作動ピン(63、163)の外側端部に、トルク適用工具用のレセプタクルが設けられており、このレセプタクルの端部が基部(20)を越えて延在しないようにしたことを特徴とするスナップファスナ。
【請求項9】
請求項1〜7の何れか一項に記載のスナップファスナにおいて、前記作動ピン(63、163)の外側端部に、頭部の端部を越えて延在するきざみ付き回転ノブのような取っ手を設けられていることを特徴とするスナップファスナ。
【請求項10】
請求項1又は2に記載のスナップファスナにおいて、前記圧縮ばねが凹面の板ばね(249、349)であることを特徴とするスナップファスナ。
【請求項11】
請求項1又は2に記載のスナップファスナにおいて、前記ハウジング(446)により形成された横方向の突起部(461)によりU字状板ばね(442)が適所に保持されていることを特徴とするスナップファスナ。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図1D】
image rotate

【図1E】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図2D】
image rotate

【図2E】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図4D】
image rotate

【図4E】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図5D】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図7C】
image rotate

【図7D】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図8C】
image rotate

【図8D】
image rotate

【図8E】
image rotate

【図8F】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図9C】
image rotate

【図9D】
image rotate

【図9E】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図10C】
image rotate

【図10D】
image rotate

【図10E】
image rotate

【図10F】
image rotate

【図10G】
image rotate

【図10H】
image rotate

【図10I】
image rotate


【公表番号】特表2012−522941(P2012−522941A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502462(P2012−502462)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【国際出願番号】PCT/EP2009/005207
【国際公開番号】WO2010/112052
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(506254581)
【Fターム(参考)】