説明

スパウト及びスパウト付容器

【課題】低コストで、排出口の露出が容易なスパウト及び、低コストで、衛生性及びバリア性に優れ、また一つの動作で一度に容易に排出口を露出させることができるスパウト付き容器の提供を目的とする。
【解決手段】スパウト本体21と、スパウト本体21の排出口を閉止する閉止部22とを具備し、スパウト本体21が容器本体10に液密に取り付けられる取付部24、及び容器本体の外側に位置する外側筒部25を有し、容器本体10に取り付けられるスパウト20であって、閉止部22は、外側筒部25の排出口と折り取り可能に連結されており、スパウト本体21側に向かって延びる延設部29を具備するスパウト20。また、該スパウト20が取り付けられたスパウト容器1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパウト及びスパウト付容器に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料や液体洗剤等を封入する容器としては、容器本体と、該容器本体から内容物を排出するスパウトとを有するスパウト付容器が広く用いられている。例えば、下記スパウト付容器が知られている。
(i)キャップ付のスパウトが容器本体に液密に取り付けられたスパウト付容器(例えば、特許文献1)。
(ii)排出口を閉止する閉止部が折り取り可能に形成されたスパウトが、該閉止部が外部に露出されるように、容器本体に液密に取り付けられたスパウト付容器(例えば、特許文献2)。該スパウト付容器(ii)は、前記閉止部を折り取ることによってスパウトの排出口を露出させることで、容器本体内の内容物を排出できる。
【0003】
しかし、スパウト付容器(i)は、スパウトが、スパウト本体とキャップの2つの部材からなることから、特に再閉止する必要がない使い切り用途の容器としてはコストが高くなりやすいという問題がある。
スパウト付容器(ii)は、排出口を閉止する閉止部を一度に形成するため、コスト面で有利である。しかし、スパウト付容器(ii)では、排出口と閉止部の結合部が、閉止部を折り取り可能とするために薄肉にされているため、充分に安定した衛生性及びバリア性を確保することが困難なことがある。
【0004】
一方、スパウト付容器の衛生性及びバリア性の問題を解決する容器として、下記容器が示されている。
(iii)隔壁部によって密封室と収容室に区画された袋本体を備え、スパウトが、前記隔壁部に熱融着されることで、閉止具により閉止された排出口が密封室内に密封された状態で取り付けられているスパウト付容器(例えば、特許文献3)。
しかし、スパウト付容器(iii)では、容器を開封するために、まず密封室を開封した後に、閉止具を開封するという、二段階の作業を要する。
【0005】
これに対し、密封室の開封と閉止具の開封を一連の動作として行うことが可能な容器として、下記の容器が開示されている。
(iv)排出口を閉止する閉止部が薄肉部を介して形成されたスパウトが、袋体を形成する2枚のフィルムからなる密封室で密封されており、該密封室は開封補助線によって開封できるようになっており、かつ前記閉止部に、少なくとも左右どちらか一方に張り出した開封補助板が前記開封補助線の上方に設けられているスパウト付容器(例えば、特許文献4)。スパウト付記容器(iv)は、開封補助線に沿って密封室を一端側から切り裂いて一部開封した後、密封室の外側から開封補助板を持ち、閉止部をねじ切ってそのまま密封室を切り取ることによって、開封を行う。
しかし、スパウト付容器(iv)は、開封するのは一連の動作であっても、密封室と排出口の両方を同時に開封することはできない。また、スパウト付容器(iv)は、閉止部をねじり、閉止部の開封補助板が開封補助線に触れることで密封室を開封するが、スパウトの口径が大きい場合は、開封補助線を全長に渡り切り開くのは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭61−137539号公報
【特許文献2】特開平10−7157号公報
【特許文献3】特開平11−130153号公報
【特許文献4】特開2008−302941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、使い捨て用途の容器の容器本体に取り付けるスパウトであって、低コストで、排出口を露出させることが容易なスパウトの提供を目的とする。
また、本発明は、低コストで、衛生性及びバリア性に優れ、また一つの動作で一度に容易に排出口を露出させることができるスパウト付容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のスパウトは、内容物を収容する容器本体に取り付けられ、該容器本体から内容物を排出するスパウト本体と、該スパウト本体の排出口を閉止する閉止部とを具備し、前記スパウト本体が、前記容器本体に液密に取り付けられる取付部、及び前記容器本体の外側に位置する外側筒部を有し、前記容器本体に取り付けられるスパウトであって、前記閉止部が、前記スパウト本体の外側筒部の排出口に折り取り可能に連結されており、前記スパウト本体側に向かって延びる延設部を具備している。
【0009】
本発明のスパウト付容器は、内容物を収容する容器本体と、該容器本体に取り付けられる前記スパウトと、該スパウトの前記外側筒部及び閉止部を袋状のフィルムで密封する密封部とを有するスパウト付容器であって、前記密封部における前記閉止部の延設部の先端に対応する位置に、前記スパウト本体の外側筒部を露出させるように該密封部を切断するのを補助する弱化線が形成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明のスパウトは、容器本体に取り付けるスパウトであって、低コストで、衛生性に優れ、また排出口を露出することが容易である。
また、本発明のスパウト付容器は、低コストで、衛生性及びバリア性に優れ、また一つの動作で一度に容易に排出口を露出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のスパウト付容器の一実施形態例を示した正面図である。り合わせた様子を示した断面図である。
【図2】本発明のスパウトの一実施形態例を示した斜視図である。
【図3】図2のスパウトの(A)正面図及び(B)側面図である。
【図4】図2のスパウトの平面図(A)、直線I−I’における断面図(B)、及び直線II−II’における断面図(C)である。
【図5】図1のスパウト付容器において、スパウトの閉止部を折り取って密封部を開封する様子を示した斜視図である。
【図6】本発明のスパウトの他の実施形態例を示した正面図(A)及び側面図(B)である。
【図7】本発明のスパウトの他の実施形態例を示した側面図である。
【図8】本発明のスパウト付容器の製造方法の一工程を示した平面図である。
【図9】本発明のスパウト付容器の製造方法の一工程を示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のスパウト及びスパウト付容器の実施形態の一例を示して本発明を詳細に説明する。
[スパウト付容器]
本実施形態のスパウト付容器1は、図1に示すように、フィルムを袋状に成形した、内容物を収容する容器本体10と、容器本体10に液密に取り付けられ、容器本体10から内容物を排出するスパウト20と、容器本体10におけるスパウト20の取り付け位置に袋状に形成され、スパウト20の容器本体10の外側の部分を密封する密封部30とを有している。
【0013】
(容器本体)
容器本体10は、図1に示すように、フィルムからなる胴部11及び底部12を有するスタンディングパウチである。胴部11を形成するフィルムと底部12を形成するフィルムとは底部シール部10a、側縁シール部10b、10bで溶着され、凹状の底部12が形成されている。また、胴部11は上部シール部10cにおいて溶着され、上部シール部10cにおいてスパウト20が液密に取り付けられている。
【0014】
胴部11を形成するフィルムは、少なくとも基材層とシーラント層とが積層され、最内層がシーラント層である積層フィルムが好ましい。
基材層は、印刷適性に優れ、さらに突き刺し強度、引っ張り強度、耐衝撃性等を備えたフィルムが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド、エチレンビニルアルコール共重合体等の二軸延伸フィルム又は一軸延伸フィルムが挙げられる。また、これらのフィルムに、酸素や水蒸気に対するバリア性を付与するために、アルミニウム、マグネシウム等の金属、又は酸化珪素等の酸化物を蒸着させた蒸着フィルム、ポリ塩化ビニリデン等のバリア性コート剤等をコートしたコートフィルム等を用いてもよい。基材層は、前記フィルムの単体であってもよく、積層体であってもよい。
シーラント層は、ヒートシール可能なフィルムからなる層である。ヒートシール可能なフィルムとしては、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等の未延伸フィルムや、前記樹脂を層状に押し出したものが挙げられる。
【0015】
積層フィルムは、必要に応じて、基材層とシーラント層の間に、中間層を有していてもよい。
中間層としては、例えば、酸素バリア性、水蒸気バリア性、引裂き性等の機能性を備えたフィルムが挙げられる。中間層としては、例えば、アルミニウム等の金属箔や上述の蒸着フィルム、コートフィルムが挙げられる。
基材層、シーラント層、及び必要に応じて用いる中間層からなる積層フィルムは、接着剤を用いたドライラミネート法、熱接着性樹脂を用いた押し出しラミネート法等の公知の方法で製造できる。
なお、胴部11を形成するフィルムは、ヒートシール可能なフィルムからなる単層フィルムであってもよい。
【0016】
底部12を形成するフィルムとしては、胴部11を形成するフィルムとして挙げたものと同じものが挙げられる。底部12を形成するフィルムと胴部11を形成するフィルムは、同じであっても異なっていてもよいが、それらのフィルム同士のヒートシールが容易になる点から、ともに同種の樹脂からなるシーラント層を有する積層フィルムであることが好ましい。
【0017】
また、本発明のスパウト付容器における容器本体の形態は、前述した容器本体10には限定されず、スパウト20を液密に取り付けられるものであれば特に限定されない。
例えば、容器本体10は、筒状の胴部11を形成するフィルムと底部12を形成するフィルムとが、胴部11の筒状の内面と底部12の両方の側面において、両面にヒートシール性を有する貼り合わせ部材を用いて溶着され、下端において胴部11と底部12のフィルム内面同士が溶着されたスタンディングパウチであってもよい。
なお、本発明のスパウト付容器は、再閉止する必要のない使い捨て用途に関するものであるため、容器本体の容量は、特に限定されないが100〜500ml程度である場合が多い。
【0018】
(密封部)
本実施形態のスパウト付容器1では、図1に示すように、容器本体10の外側におけるスパウト20の取り付け位置に、袋状のフィルムからなる密封部30が形成されている。すなわち、密封部30と、容器本体10の胴部11は、同一のフィルムにより形成されている。密封部30は、密封部30を形成する2枚のフィルム部分が重ね合わされた状態で、その周縁部がヒートシールされて密封空間が形成されている。そして、密封部30の内側には、スパウト20のうち後述する外側筒部25及び閉止部22が密封される。
【0019】
また、密封部30には、図1に示すように、後述するスパウト20の閉止部22における延設部29、29の先端29c、29cに対応する位置に、弱化線31が形成されている。本実施形態では、弱化線31は、密封部30の少なくとも一方に、横方向に沿って直線状に形成されている。
弱化線31は、密封部30の両面の対応する位置に形成されていてもよいが、弱化線31が密封部30の一方の面のみに形成されていれば、該弱化線31に沿って密封部30を開封してスパウト20を露出させたときに、密封部30のもう一方の面を切断せず、密封部30を容器本体10に接続された状態で残すことができ、ゴミとなる開封片を生じさせることを防止できる。
また、密封部30を完全に分離して使用したい用途の場合には、弱化線31が密封部30の両面に形成されている方が好ましい。スパウト20を露出させた後に、手でもう一方の弱化線31を引裂くことで分離することができる。
【0020】
また、弱化線31の態様は、延設部29、29の先端29c、29cに対応し、弱化線31に沿って密封部30を切断して開封できれば、横方向に沿って形成された態様には限定されない。例えば、弱化線31が横方向に対して傾斜して形成されていてもよい。また、弱化線31は直線状には限定されず、曲線状に形成されていてもよい。
また、弱化線31は、実線状に形成されていてもよく、破線状に形成されていてもよい。
弱化線31は、COレーザー等のレーザーや刃物を用いる方法等で形成できる。
【0021】
(スパウト)
本実施形態のスパウト20は、内容物を収容する容器本体に取り付けられ、該容器本体から内容物を排出するものであり、図2〜4に示すように、スパウト本体21と、閉止部22とを具備している。
【0022】
スパウト本体21は、容器本体10内に挿入される挿入部23と、容器本体10に液密に取り付けられる取付部24と、容器本体10の外側に位置する外側筒部25とを有している。また、それら挿入部23、取付部24及び外側筒部25の内部を貫通し、容器本体10の内容物が流通する流通部21aと、外側筒部25の端部に流通部21aを流通した内容物が排出される排出口21bが形成されている。また、スパウト本体21の挿入部23における取付部24側の端部には、スリット状の開口26、26が形成されている。
【0023】
スパウト本体21に挿入部23が形成されていることにより、挿入部23がスペーサーとして働き、容器本体10のスパウト20近傍でフィルム内面同士が密着することを抑制できる。つまり、例えばスパウト20を通じて容器本体10内の内容物を吸引する場合、その吸引に伴って内容物の量が減少すると、容器本体10の胴部11が窄まっていく。しかし、挿入部23があれば、該挿入部23がスペーサーとなることで容器本体10のフィルム内面同士が密着することが防げられる。そのため、容器本体10の胴部11におけるスパウト20の取り付け位置近傍の空間が減少して内容物の吸引が阻害されることが抑制される。
【0024】
挿入部23の長さは、挿入する容器本体10に収まる長さであればよく、容器本体10の形状によっても異なるが、容器本体10の上下方向の長さに対して10〜80%が好ましい。挿入部23の長さが前記範囲内であれば、容器本体10の胴部11のフィルム内面同士が密着することを防止して、内容物を速やかに排出するための充分な空間を確保しやすい。
【0025】
挿入部23には、取付部24側の端部から、挿入部23の長さ方向に沿ってスリット状の開口26、26が向かい合うように形成されている。すなわち、挿入部23には、流通部21aの末端である挿入部23の端部側の開口21cと、前記開口26、26の3つの開口が形成されている。開口26、26が形成されていることにより、容器本体10内の挿入部23近傍に内容物が残存することを抑制できる。
【0026】
開口26の長さ及び幅は、内容物を開口26から流通部21aに流入させて速やかに排出できる長さ及び幅であればよい。ここで、開口26の幅とは、挿入部23が開口を有していない場合の外周に沿った長さを意味する。
【0027】
本実施形態では、開口26の数は2つであるが、開口26の数は2つには限定されない。例えば、開口26は、1つであってもよく、3つ以上であってもよく、挿入部23が短い場合、口径が小さい場合は開口26はなくてもよい。
また、開口26の形状は、内容物が速やかに流通部21aに流入できる形状であればよく、スリット状には限定されない。例えば、円形状等の開口であってもよい。
【0028】
本実施形態における取付部24は、容器本体10におけるスパウト20の取り付け位置のフィルムと接合される部位である。すなわち、容器本体10上部のスパウト20の取り付け位置において、スパウト本体21の取付部24が該容器本体10を形成するフィルムで挟持され、それらフィルムと取付部24がヒートシールされることで、スパウト20が容器本体10に液密に取り付けられる。
【0029】
取付部24の形状は特に限定されないが、取付部24と容器本体10の胴部11の上部におけるフィルムとを溶着により接合させる際のヒートシールが容易に行える形状が好ましい。本実施形態では、図4(C)に示すように、流通部21aが形成された円筒部分から、幅方向に沿って両側に断面略三角形状に延びる突起部24a、24aが形成された形状である。取付部24が前記形状であれば、取付部24が円筒形状の場合に比べて、ヒートシールによりスパウト20を液密に取り付けやすい。
【0030】
外側筒部25は、スパウト本体21において容器本体10の外側に位置する部分である。例えば、外側筒部25に口を付けて排出口21bから吸うことで、容器本体10内に収容された飲料等の内容物を容易に飲むことができる。
外側筒部25の形状は特に限定されないが、飲用用途の場合、口にくわえ易い点から、円筒状が好ましい。
外側筒部25の長さは、口にくわえ易い点から、0.5〜3.0cmが好ましい。
【0031】
閉止部22は、スパウト本体21の排出口21bを閉止するものである。閉止部22は、外側筒部25の排出口21bに薄肉部25aを介してスパウト本体21と折り取り可能に連結される。
閉止部22は、図3(A)、(B)に示すように、スパウト本体21の長さ方向に対して垂直な平板状の閉止本体部27の上に、幅方向に沿った板片からなる持ち手部28が形成されている。更に、閉止本体部27の外側筒部25側の面における幅方向の両方の縁部からは、スパウト本体21側に向かって延びる板片からなる延設部29、29が互いに向かい合うように形成されている。
【0032】
閉止部22は、持ち手部28を把持して倒すことにより、薄肉部25aを介して、スパウト本体21から容易に折り取ることができる。持ち手部28の形状は、持ち手部28を把持して閉止部22を容易に折り取ることができる形状であれば平板状には限定されず、棒状等であってもよい。
【0033】
延設部29、29は、閉止部22が折り取られるのと共に密封部30の弱化線31を切断する部分である。延設部29、29は、図2に示すように、それぞれ閉止本体部27の外側筒部25側の面から垂直に延びる板片であり、閉止部本体27側の基端から順に、幅が同じ矩形状の第1延設部29aと、先端29c側にいくにしたがって前方に突き出すように幅が斬増する台形状の第2延設部29bとからなる。また、延設部29の先端29cは、図1に示すように、密封部30の弱化線31の位置と対応している。また、延設部29の先端29cは前方のみでなく後方にも突き出した形状であってもよい。
【0034】
延設部29、29により、下記のようにして密封部30の弱化線31が切断され、密封部30が開封される。
スパウト20は、スパウト本体21の外側筒部25と閉止部22とが密封部30で密封されている。閉止部22を折り取ってスパウト本体21の排出口21bを開放する際、図5に示すように、密封部30の外から持ち手部28を把持して閉止部22を後方に倒すと、同時に延設部29、29が前方、すなわち弱化線31に向かって突き出される。そして、外側筒部25の両側に位置する2つ延設部29、29の先端29c、29cが、弱化線31に接触して密封部30のフィルムを突き破ることで、密封部30が開封され、スパウト20は、排出口21bが開口された状態で露出される。
【0035】
延設部29の長さdは、外側筒部25より短い。弱化線31は、延設部29の長さに応じて、先端29cに対応するように形成されている。
【0036】
尚、本実施形態では、板片からなる延設部29、29を示したが、閉止部22が折り取られるのと共に密封部30の弱化線31を突き破って密封部30を開封できるものであれば、その形態は前記板片には限定されず、その数も限定されない。
例えば、図6(A)及び図6(B)に示すように、閉止本体部27の外側筒部25側の面における前方の縁部、すなわち弱化線31側の縁部から垂直に延び、途中から徐々に前方に突き出すような傾斜面を有する1枚の板片からなる延設部29Aであってもよい。
また、図4に例示した延設部29や図6に例示した延設部29Aのような板片からなる延設部の場合、図7(A)及び図7(B)に示すように、その先端29cが前方、すなわち弱化線31に向かって突き出すような曲面を有する延設部29B、29Cであってもよい。また、先端29cが前方に突き出していない板片からなる延設部であってもよい。
また、延設部は、1本又は2本以上の棒状であってもよい。
また、延設部は、前記閉止部22のように、閉止本体部27の外側筒部25側の面から延びる形態には限定されない。例えば、持ち手部28の幅方向の両側から幅方向に沿って一旦両側に延びた後に、スパウト本体21側に折れ曲がり、下方に延びた形態であってもよい。
【0037】
スパウト20の材質は、少なくとも取付部24は合成樹脂である。
スパウト20の少なくとも取付部24を形成する合成樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリエーテルサルホン、エチレン−ビニルアルコール共重合体等が挙げられる。なかでも、成型し易く加工適性に優れ、低コストである点から、ポリオレフィン樹脂が好ましい。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリエチレン系樹脂、エチレン−α−オレフィン共重合体等のオレフィン系エラストマー、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、α−オレフィン−プロピレンランダム共重合体等のポリプロピレン系樹脂や、環状ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、性能向上のためにブレンドされていてもよく、耐熱性向上等を目的として一部架橋されていてもよいが、容器本体10を形成する積層フィルムの最内層と溶着可能な同質の樹脂が好ましい。
スパウト20は、スパウト本体21及び閉止部22の全体を合成樹脂により形成することができる。
【0038】
(製造方法)
以下、スパウト付容器の製造方法について説明する。なお、ここで説明するスパウト付容器の容器本体は、前述した、筒状の胴部11を形成するフィルムと底部12を形成するフィルムとが、胴部11の筒状の内面と底部12の両方の側面において、両面にヒートシール性を有する貼り合わせ部材を用いて溶着され、下端において胴部11と底部12のフィルムの内面同士が溶着されたスタンディングパウチに関する。ただし、本発明のスパウト付容器の製造方法は、下記の方法には限定されない。
図8に示すように、底部12を形成する積層フィルム12Aをシーラント層が表となるように半折して、半折した折り線12aが上となるように、密封部30と容器本体10の胴部11を形成する積層フィルム11Aにシーラント層同士が向き合うように重ねて設置する。積層フィルム12Aは、積層フィルム12Aのうち、折り線12aを境界とした一方である第1の底面部12bの側端部12b1と他方である第2の底面部12cの側端部12c1とが重ね合わされ、第1の底面部12bの側端部12b2と第2の底面部12cの側端部12c2とが重ね合わされ、更に第1の底面部12bの下端部12b3と第2の底面部12cの下端部12c3が、積層フィルム11Aの下端部に重ね合わされるように折り畳んで設置する。
次いで、積層フィルム11A上の積層フィルム12Aにおける側端部12b1、12c1の上に貼り合わせ部材13を重ね合わせ、側端部12b2、12c2の上に貼り合わせ部材14を重ね合わせる。
その後、ヒートシール部HS1において、積層フィルム11A、積層フィルム12A及び貼り合わせ部材13をヒートシールにより溶着する。同様に、ヒートシール部HS2において、積層フィルム11A、積層フィルム12A及び貼り合わせ部材14をヒートシールにより溶着する。
【0039】
その後、積層フィルム11Aの側端部11a、11b同士を突き合わせ、それらを貼り合わせ部材にヒートシールして筒状の胴部11を形成し、更に、積層フィルム12Aの下端部12b3、12c3と胴部11の下端とを周方向の全長に亘ってヒートシールする。
次いで、図9に示すように、胴部11の上部からスパウト20を挿入し、スパウト20が全て胴部11に挿入されたところで、スパウト20の取付部24に対応する胴部11のフィルムで、取付部24を挟持して、胴部11の上部をヒートシールし、上部シール部10cとして液密に溶着すると共にスパウト20の取付部24と胴部11を液密に溶着する。その後、スパウト20の外側筒部25及び閉止部22の周辺を、ヒートシールにより周辺シール部30aとして液密に溶着する。周辺シール部30aの両端は上部シール部10cとつながっている。その後、上部シール部10c、周辺シール部30aの外側を切断し、最後に弱化線31を形成し、スパウト付容器を得る。
なお、内容物の充填方法は、スパウト挿入前に充填する方法、または上部シール部10cの一部を開封させておき、そこから充填する方法等がある。また、弱化線31は、胴部11を形成する前の積層フィルム11Aに設けてもよく、上部シール部10c、周辺シール部30aの外側を切断する前に設けてもよい。
【0040】
以上説明したスパウト20は、従来のキャップ付のスパウトとは異なり、1つの部材として一度に製造できるため、コストが安価である。また、スパウト20を取り付けたスパウト付容器1は、スパウト20の外側筒部25及び閉止部22が密封部30で密封されているため、衛生性に優れている。また、スパウト付容器1は、密封部30を形成するフィルムの材質にバリア性を付与することで、スパウト20、特にスパウトの薄肉部25においても水蒸気や酸素の透過を防止することができる。更に、スパウト20の閉止部22が折り取られるのと共に密封部30を開封してスパウト20の外側筒部25を露出するので、一つの動作で一度に容易に排出口21bを露出させることが可能である。
【0041】
尚、本発明のスパウト及びスパウト付容器は、前述のスパウト20及びスパウト付容器1には限定されない。
例えば、スパウト付容器の容器本体は、前述のフィルムを袋状に成形したものには限定されず、ビンやペットボトル等の容器であってもよい。また、この場合、スパウトの取付部は、ビンやペットボトル等の口部分に液密に取り付けられる形態であればよく、例えば、取付部表面に螺旋状の凹凸を形成して螺合できるようにしていてもよく、取付部をキャップ状にして螺合できるようにしてもよい。
また、スパウトの外側筒部と閉止部を密封する密封部は、前述のスパウト容器1で示した容器本体10に形成された形態には限定されない。例えば、前記のように容器本体にビンやペットボトル等を用いる場合等は、容器本体とは別に密封部のみを形成するフィルムを用意し、該フィルムを袋状に成形して外側筒部と閉止部を密封した状態で、密封部の下端がスパウト本体自体に溶着される形態であってもよい。
また、本発明のスパウトは、スパウト本体が、前述した挿入部を有していないものであってもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 スパウト付容器 10 容器本体 11 胴部 12 底部 20 スパウト 21 スパウト本体 21a 流通部 21b 排出口 22 閉止部 23 挿入部 24 取付部 25 外側筒部 26 開口 29 延設部 29c 延設部の先端 30 密封部 31 弱化線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する容器本体に取り付けられ、該容器本体から内容物を排出するスパウト本体と、該スパウト本体の排出口を閉止する閉止部とを具備し、
前記スパウト本体が、前記容器本体に液密に取り付けられる取付部、及び前記容器本体の外側に位置する外側筒部を有し、前記容器本体に取り付けられるスパウトであって、
前記閉止部が、前記スパウト本体の外側筒部の排出口と折り取り可能に連結されており、前記スパウト本体側に向かって延びる延設部を具備するスパウト。
【請求項2】
内容物を収容する容器本体と、該容器本体に取り付けられる請求項1に記載のスパウトと、該スパウトの前記外側筒部及び閉止部を袋状のフィルムで密封する密封部とを有するスパウト付容器であって、
前記密封部における前記閉止部の延設部の先端に対応する位置に、前記スパウト本体の外側筒部を露出させるように該密封部を切断するのを補助する弱化線が形成されている、スパウト付容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−51644(P2011−51644A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204693(P2009−204693)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000143880)株式会社細川洋行 (130)
【Fターム(参考)】