説明

スパッタターゲット利用改善

長手方向端領域におけるスパッタターゲットの利用改善のための装置および方法が提供される。端領域の腐食の集中は広げられ、これによりターゲットの有用寿命が延びる。これは、より広い中央領域においてより大きな比率のターゲット材料が取り入れられ、ターゲットはより長期間利用されるので、効率の改善をもたらし、無駄を低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本出願は、2005年12月13日に出願された、米国仮特許出願第60/749,789号の利益を主張するものであり、その内容は参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明はプラズマスパッタリングまたはスパッタエッチング作業におけるターゲット利用改善に関する。より詳細には、より大きい比率の原料を利用して基板をコーティングすることができるような、スパッタリング原料(すなわち、スパッタ「ターゲット」)のより均一な利用改善に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
スパッタコーティング装置は一般的に既知である。典型的な装置では、エネルギー放電を使用して、不活性ガス、例えばアルゴンの原子を励起してイオン化ガスまたはプラズマを形成する。エネルギープラズマは、磁場の印加によりスパッタターゲットの表面に導かれる(加速される)。スパッタターゲットは、典型的には矩形スラブまたはシートまたはプレートの形態で提供される。プラズマは、ターゲットの表面に衝撃を与え、それによってその表面を腐食させ、ターゲット材料を放出させる。その後、放出されたターゲット材料は金属またはプラスチックまたはガラスなどの基板上に蒸着され、基板上にターゲット材料の薄膜コーティングを提供し得る。この工程はまた、プラズマ放電を支持するの磁場を使用するのでマグネトロンスパッタリングと呼ばれることもある。
【0004】
アルゴンなどの基底状態のガスからプラズマを生成するために、真空チャンバにおいて負電圧の陰極が適用され、別個の電極または真空チャンバ自体は陽極として機能し得る。このように、プラズマ放電は、アルゴンなどの不活性ガスまたは不活性ガスと反応ガスとの混合により維持される。例えば、本出願の譲受人により譲受された米国特許第5,399,253号に例示される1つの構成では、スパッタターゲット自体は陰極として提供される。これにより、プラズマは確実にスパッタターゲット表面の真上で効率よく生成される。また、‘253特許に示されるように、プラズマを導くのに使用される磁場は、スパッタターゲット(陰極)の裏側に位置付けられ、プラズマがターゲットに衝撃を与える表面とは反対側のターゲットの背面に対向した一連の磁石により生成されるか、または生成され得る。
【0005】
ターゲットのより均一な腐食を促進するために、ターゲットの長軸に平行に延在し、長手方向に延びる磁石は、結果的に生じる磁場をターゲットに対して側方向すなわちターゲットの長軸に直交する方向にシフトさせるために、側方向に移動され得るかまたはその長手方向軸回りに回転され得る。‘253特許は、これを行うために1つの実施形態を開示している。その特許において、1対または複数対の逆方向の(極性配向を示す)、長手方向に延びる永久磁石が、移動しない外側永久磁石フレームと略同一平面上に配置され、その外側永久磁気フレーム内に位置付けられる。ターゲットの長軸に平行する方向に延びるこれらの磁石はその各長手方向軸を中心に回転可能である。‘253特許においてより詳細に記載されるように、外側永久磁石フレーム内のこれらの磁石の回転により、スパッタターゲットの反対表面において、対応して誘発される磁場(「トンネル」磁場)の側方向シフトを引き起こし、ひいてはその表面の側方向へのより均一なプラズマ衝撃を生成する。
【0006】
しかしながら、磁場のこの側方向シフトは、プラズマの、ターゲット長手方向端領域に衝撃を与える部分には実質的になんら影響を及ぼさない。これは、上記の長手方向に延びる磁石はターゲットの全長に延在しないので、その回転は端領域では磁場にほとんど影響を及ぼさないからである。また、外側磁石フレームは移動しないので、ターゲットの長手方向端領域に隣接する磁場は、すでに説明したように磁石の回転に基づいて側方向にシフトするターゲットの中央領域に位置する磁場と比較すると相対的に停滞している。その結果、ターゲットの長手方向端領域におけるプラズマ衝撃は、端領域間に位置する中央領域と比較すると相対的に集中している。結果的に、ターゲットの中央領域に存在する傾向にある。
【0007】
スパッタリング作業におけるスパッタターゲットは、典型的には任意の位置で完全に腐食(貫通)されるとすぐに、または腐食(貫通)される前に交換される。相対的により集中した腐食は端領域に発生し、ここでは磁場および結果的にはプラズマ衝撃経路が停滞しているので、ターゲットプレート全体は通常は、中央領域からの腐食が交換を必要とするであろうよりもずっと前に交換される。その結果、端領域における深い腐食がターゲットを貫通しないように、プレートは十分早期に交換されるためので、ターゲットプレートにおける相当量のスパッタ原料が無駄にされる。代替的には、ステップ状ターゲットプレート構造が採用され、ターゲットプレートは中央領域よりも端領域の方が相対的に厚い。このように、端領域におけるより集中した腐食はそれらの領域におけるより厚いターゲットによって調整され、ターゲットプレートがより長期間採用され得るので、より大きな比率の中央領域材料が使用され得る。しかしながら、このステップ状構造も望ましいものではない。1つには、これもまた無駄にされる材料が−このときは端領域において−生じる。別の不都合としては、かかるターゲットは高価で、ターゲット交換の手間が増加することである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
当業者には理解されるように、従来のスパッタリング装置では、腐食の一番強い(深い)地点は、ターゲットからスパッタされる全材料のうちの相対的に少ししか寄与しない。それにもかかわらず、この地点は寿命、それ故にターゲット全体の最大ターゲット利用を決定することが多い。
【0009】
そこで、当該技術分野ではおよび単に端領域間に位置する中央領域に対してだけでなく、スパッタターゲットの端領域からより多くの均一な腐食を提供する必要性がある。好適には腐食(すなわち腐食の深さ)は、従来の機器を使用するよりもより同一に近い割合で端領域と中央領域の両方において達成されることになる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の概要
スパッタリング装置は、中央領域と、前記中央領域の何れかの端に位置付けられる2つの端領域を有するスパッタターゲットが動作時にその上に配置される磁気アセンブリを含む。磁気アセンブリはターゲット上方に磁場を生成するのに効果的である。磁気アセンブリは中央磁石アレンジメントを囲む外側磁石フレームを有する。外側磁石フレームは、中央磁気アレンジメントの何れかの側に位置付けられる第1および第2の長手方向に延びる磁気側方向部材と、フレームの対向する長手方向端に位置付けられそれらを画成する第1および第2の磁気端部材とを含む。第1の磁気端部材はターゲットの第1の長手方向端領域上方の磁場において非静止変調を生成するのに効果的である。
【0011】
スパッタリング方法は、中央領域と、中央領域の何れかの端に位置付けられた第1およ
び第2の長手方向端領域とを有するターゲット表面を備えたスパッタターゲットを設ける工程と、ターゲット表面上方に磁場を生成する工程と、磁場によりターゲット表面にプラズマを導き、それによりプラズマがターゲット表面に衝撃を与え、腐食する工程と、ターゲット表面の第1の端領域上方の磁場を変調して、それによりその第1の端領域におけるターゲットの腐食の集中を広げる工程とを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
好適な実施形態の詳細な説明
本明細書で使用されるように、「磁石」および「磁気部材」という用語は、当技術分野で既知の従来の永久磁気ならびに磁極および対応する磁場を生成するのに効果的な、他の任意の既知または従来構造もしくは装置、例えば、界磁コイルまたは従来の電磁石を含む。
【0013】
スパッタターゲットの長手方向端領域における腐食はより均一にされ、全ターゲット利用は、ターゲットの端領域に位置付けられる磁場(またはその一部)の変調を通じて改善される。この変調は、時間依存運動を有する一連の永久磁石かまたは、力が時間とともに変化し可変の強度の場を生成し得る電磁石の何れかを、ターゲットの端領域に隣接して設けることにより達成され得る。さらなる代替において、これら2つの方法の組み合わせが使用可能であろう。
【0014】
以下に記載の実施形態では、外側永久磁石フレームの端はターゲットに対して側方向、すなわち、ターゲットの長軸に直交して移動され得る永久磁石(または一連の磁石)に置き換えられる。ターゲットの端領域におけるこれらの可動磁石は、従来装置の長手方向に延びる磁気棒の移動または回転がほとんど影響を及ぼさないターゲットの長手方向端領域における磁場、それ故に端領域におけるプラズマ経路を変調するの効果的である。
【0015】
図1は、スパッタリング装置に対する磁気アセンブリ10の平面図を示す。図2は図1の磁気アセンブリ10を組み込んだスパッタリング装置の断面図を示す。図2から分かるように、磁気アセンブリ10は、動作時にプラズマにより衝撃が与えられるであろう表面22に対して、概ねスパッタターゲット20の下に位置付けられるべきである。典型的には、スパッタターゲット10は、基底状態の不活性ガスを励起してプラズマを発生させるプラズマ放電を生成するための陰極(またはその一部)として設けられる。本実施形態ではかかる構成が前提とされるが、これは必ずしも必須ではない。上記の図に戻り、陰極アセンブリは、ハウジング30と、冷却チャネル34を備える冷却プレート32とターゲット20とを含む。アセンブリ全体は、例えば締め付け可能な分離手段42によって、真空チャンバ40上にフランジが付けられる。スパッタリングターゲット20は、ネジ46を備えた保持フレーム44とコンタクトフォイル48とによって冷却プレート32に押圧される。加えて、真空チャンバは、本実施形態では同時に陽極を形成して陰極アセンブリの周囲を包囲するが接触しないように設置される、シールド50に嵌合される。構成全体は、例えば、ターゲットが例えば145×450mmの典型的なサイズである矩形として構成される。冷却プレート32の裏側に磁気アセンブリ10が設置されるが、これは図1の平面図に図示される。
【0016】
磁気アセンブリ10は、さらに説明されるように中央磁石アレンジメント14を取り囲むまたは囲む外側磁石フレーム12を含み、冷却プレート32およびターゲット20を通過して、露出したターゲット表面22上方にリング状の電子トラップ(単数または複数)を形成する、トンネル状の磁場(単数または複数)15を生成する。磁気アセンブリ10の裏側には、裏側磁場フローを閉鎖するために強磁性材料のポールプレート60が設けられる。プラズマ放電を生成するために、陽極50に対して、陰極体30またはターゲット20にはそれぞれ負の電圧が印加される。(代替的には、陰極は中間または高周波数の数
100HzからkHzの範囲内のAC電源で動作され得る。ACとDC源の組み合わせまたは重複もまた可能である。)
中央磁石アレンジメント14は好適には、長手方向に延び、各長手方向軸回りに回転可能である、反対に極性配向された1対の棒磁石を含む。これは、図2および図3aを参照すると最も良く分かる。「反対に極性配向される」とは、1対のうち第1の磁石、例えば磁石14aは北極が上方を向き、ターゲット20に向かうように配向され、1対のうち第2の磁石、例えば磁石14bは北極が下向き、ターゲット20から離れるように配向される。すなわち、1対の磁石14aおよび14bは回転範囲全体に亘って共通の極(北または南)が常に反対の方向を向くように、各長手方向軸回りの回転に対して配置される。中央磁気アレンジメント14は図2に示すような1対の磁石14aおよび14bを有し得るか、または複数対の反対に配向される磁石を有し得る。中央磁気アレンジメント14の磁石はトンネル磁場15が、上記で説明されるようにターゲット表面に対して側方向にシフトされ得、全体が参照により本明細書に組み込まれる特許第5,399,253号においてさらに詳細に記載される。しかしながら、それらはすでに説明されたように、ターゲットの長手方向端領域の磁場にほとんど影響を及ぼさない。中央磁気アレンジメント14における磁石の動作(回転)についてはすでに、‘253特許において詳細に記載され、ここではさらに記載しない。回転可能磁石14a、14bに加えて、代替配置が中央磁気アレンジメント14において採用され、上記磁場における側方向シフトを達成し得る。例えば、非回転可能永久磁石は、同様の影響を有して側方向、前後に平行移動され得るが、回転可能な構成が好適である。
【0017】
図1を再び参照すると、外側磁気フレーム12は、中央磁気アレンジメント14の何れかの側に位置付けられる、第1および第2の長手方向に延びる磁気側方向部材16および17を含む。外側磁気フレーム12はまた、フレーム12の対向する長手方向端に位置付けられた第1および第2の磁気端部材18および19を含む。磁気側方向および端部材16、17、18および19はともに、中央磁気アレンジメント14を実質的に取り囲むフレーム12を画成する。磁気端部材18および19は、それらがターゲット20下方で、中央磁気アレンジメント14の作用が磁場にほとんどまたは全く影響を及ぼさない、その各長手方向端領域の下に位置付けられるのでそのように呼ばれる。磁気端部材18、19は、好適には図1の矢印で示されるように少なくとも側方向に移動可能である。動作時において、端部材18、19の側方向移動は、ターゲット20の長手方向端領域上方(表面22上方)の磁場に変調を生成して、それによりターゲット表面22上のプラズマの経路を変調するのにするのに効果的である。このように、プラズマ衝撃はもはや端領域における固定経路に沿って集中されない。それで、これらの領域のターゲット腐食はより均一に広げられる。その結果、端領域の腐食の割合(深さ)は中央領域の腐食に近づけられ、これはターゲットが長期間利用され得ることを意味する。これは、その表面積が端領域よりもずっと大きい中央領域におけるターゲットのより完全な腐食(使用)を可能とするので、実質的に有利である。その結果、実質的により大きい全体比率のターゲット材料が基板をスパッタコーティングするのに取り入れられて利用され得る。
【0018】
磁気端部材18および19の側方向移動は任意の従来または適切な手段により達成され得、その正確な構造は重大ではない。例えば、それらはティースバーおよびギアアレンジメントを介してなど、回転磁石14aおよび14bを駆動(回転)させるのに使用される駆動手段に連結され得る。1つのこのような実施形態が図3および図3aに示される。この実施形態では磁気端部材18は1つまたは一連の側方向に延びるトラック46に摺動可能に担持されるキャリッジ45上に設けられる。この実施形態では、キャリッジの移動は回転磁石14aおよび14b用の駆動機構に連結される。図に見られるように、各回転磁石14aおよび14bは各磁石駆動ギア102a、102bに連結される。磁石駆動ギア102a、102bは動作可能に伝達ギア103に係合され、伝達ギア103は駆動ギア104に動作可能に係合される。駆動ギア104は、駆動モータまたはサーボM(概略的
に示される)などの駆動機構に連結される。図3および図3aから理解されるように、駆動機構は駆動ギア104を回転させると、そのギア104は今度は伝達ギア103を回転させ、伝達ギア103は今度は磁気ギア102a、102bを回転させる。図示される実施形態では、磁石ギア102a、102bはともに同じ方向に回転し、伝達ギア103としては反対方向となる。
【0019】
キャリッジ45はその側壁から延びるティースバー105を有する。ティースバー105は伝達ギア103の歯が相補的に係合される一連の歯を有し、そのギア103は回転すると、キャリッジ45はトラック46上を側方向に摺動される。図2を簡単に参照すると、磁石14aおよび14bの回転方向は時計回りおよび反時計回りで行ったり来たりして、その極は、ターゲット20に対向するフレーム磁石(磁気側方向部材16および17)の共通極に対して逆極性の関係で互いに対向することはないことが望ましい。(例えば、図2において、これは、北極が装置のセンターラインに向かって互いに対向するように磁石14a、14bが配向されるべきでないことを意味する)。そうでなければ、トンネル状の場15は遮断されるか、妨害され得る。
【0020】
言い換えると、駆動機構は磁石14a、14bが交互に反対方向に回転されるように動作されて、それらがターゲット20に対向するフレーム磁石(16および17)の極と逆極性の関係で互いに対して逆極性に配向される場合を避ける。このような動作に従って、キャリッジ45は、磁石14a、14bが第1の方向に回転されるとある程度まで1方向に側方向摺動されることになる。その後、キャリッジは、磁石14a、14bが第1の方向と反対の第2の方向に回転されると反対方向に側方向摺動されることになる。それ故に、キャリッジ45(ゆえに磁気端部材18の)の側方向変位は、磁石14a、14bの交互に変わる方向の回転により統治されて対向する側方向に振動するターゲット20の中央領域における磁場の側方向シフト(または走査移動)と同じ周波数を有することになる。しかしながら、一定の環境では、磁石14a、14bを完全に回転させて、それらが一時的にトンネル磁場15を妨害し、プラズマを遮断又は妨害するように上述のように配向されることが望ましいことがあり得ることに注意すべきである。このような「全(over)」回転は、キャリッジをトラック46上の側方向移動の許容範囲を超えさせてしまう傾向にあるので、かかる完全な回転は伝達ギア103に動作可能に係合されるティースバー105では不可能または望ましくないことがあり得る。従って、伝達ギア103からティースバー105を一時的に外すための手段も含み得る、例えばキャリッジ45は降下位置に留められ、伝達ギア103はティースバース105とは係合し得ない。通常の動作を再開することが所望されると、キャリッジ45はティースバー105と伝達ギア103が再係合される動作位置に上昇され得る。
【0021】
1つの典型的なターゲット20は200mmの幅を有する。好適な実施形態では、キャリッジ45(および磁気端部材18)は、ターゲット20に対して側(幅)方向に延びる100mmの長さを有し、9mmの振幅で中間位置回りに振動させられる。他の振動振幅、例えば6、7、8、10、12、14、16、18,20、25、30mmなども可能である。1つの実施形態では、振動振幅はターゲット幅のパーセント、例えば、4、5、6、7、8、9、10、20パーセントなどに基づいて選択される。図示される実施形態(図3、図3a)では、キャリッジ45(および端部材18)の側方向摺動移動は周波数および方向において、ターゲット20の表面における磁場15の側方向シフト(走査)と同期である。但し、好適な実施形態では、駆動機構100は、キャリッジ45(端部材18)がターゲット20の中央領域の上の磁場15の側方向シフト(走査移動)に対して同期反対移動(同一周波数だが反対方向)で側方向に移動するように構成される。これは、例えば、当業者には理解されるように、図3および図3aに図示される伝達ギア103とティースバー105との間にさらなる回転ギアを介在させることにより行われる。キャリッジ45に対するこの同期反対移動モードの動作は図4および図5に示される。図4は、
キャリッジ45(磁気端部材18)およびターゲット20下方の中央磁石アレンジメント14の磁石14a、14bの同期反対移動動作に基づいた変調磁場に応じたターゲット20上方のプラズマ配向のシミュレーションを平面図で示す。図4aから分かるように、このシミュレーションでは、プラズマループの端部(ターゲットの長手方向端領域に位置付けられる)は、キャリッジ45(ファントムで示される)が図に対して下方位置にある場合は図の下方にシフトされ、同時にプラズマループの中央部分は磁石14a、14bの回転位置に応じて図の上方にシフトされる。このように、プラズマループの端および中央部分は、上述の同期反対移動モードの動作に従って、同じ周波数で反対方向に変調される。図4bは、キャリッジ45が中心に位置付けられて、また磁石14a、14bは図4aとは逆方向に半分回転された瞬間のシステムを図示する。図4cは図4aと反対の場合を図示し、今度はキャリッジ45および磁石14a、14bの双方が移動の周期に沿って上向きシフトおよびそのループの中央部分の下向きシフトが生じている。
【0022】
図5は本発明の実施形態により磁場を変調する効果を示した、比較実験中のプラズマ分布を撮った写真を示す。実験は、本明細書で開示される同期反対移動モードの動作に応じたプラズマ場変調を、磁石14a、14bの交互の回転のみに基づいたターゲット20の中央領域での変調に排他的に基づいたものと比較した。同期反対移動動作は、図5a〜図5cの上側画像に示され、磁石14a、14bだけの振動回転(端部材18の移動なし)が下側画像に示される。これらの図における上側および下側画像を比較すると、従来において(下側画像に示される)プラズマが概ね停滞したままの長手方向端領域では特に、ターゲット20表面22上においてより完全な側方向プラズマ走査が生じる。
【0023】
上述の図3および3aに図示された駆動機構100の実施形態は限定的でなく、駆動機構の特定構造は本発明には重大でなく、多くの代替ギア構造または代替駆動機構構造が採用されて、磁気端部材18の所望の振動および磁石14a、14bの所望の回転を達成することができるであろうことは理解されるべきである。特定用途の要求(所望の振動周波数および振幅、周期など)に基づいて、このような他の駆動機構を実行することは十分に当業者の範囲内にある。上記のようなギア機構が使用される場合は、当業者は振動の所望程度の振動、回転などを達成するために、個々のギアに適したパラメータを決定することが可能であり、例えば、ギア直径、歯サイズおよび歯ピッチのような変数は必要以上の実験をせずに当業者により容易に最適化され得ることはさらに理解されるべきである。
【0024】
ターゲット20の端領域の磁石の側方向振動に関する前述の考察は、第1の磁気端部材18に関して行われた。しかしながら、同じことが対向する長手方向端領域の磁石、すなわち第2の磁気端部材19の側方向振動に対しても等しく適用することは理解されるであろう。同様の駆動機構100が回転磁石14a、14bの両端に設けられると、第1および第2の磁気端部材18および19は、隣接する駆動機構への動作結合を介して、上記に説明したのと同様の方法で振動され得る。代替的には、駆動機構が磁石14a、14bの一方の端だけに設けられた場合は、さらなる連結またはギアが使用されて、対向する磁気端部材19は駆動機構100に連結され得る。代替的には、磁気端部材18および19の一方または両方が回転磁石14a、14bを駆動する駆動機構とは別に、独立して作動され、所望の周期および振幅の振動を達成し得る。独立した作動手段を使用した場合も、適切な手段(コンピュータコントローラまたはマイクロコンピュータのような)を使用して、端部材18および19の振動の適切な周波数および位相を確保して、所望であればそれらが確実に回転磁石14a、14bの振動回転に対して同期(連動または反対移動)とし得る。
【0025】
磁気端部材18および19は図3に概略的に示されるように、キャリッジ45に配置される永久磁石として設けられ得る。これらの磁石の磁気誘導は望ましくは、ターゲット20の長縁に隣接して配置される磁気側方向部材16および17で使用されるような磁石の
範囲にある。また、側方向部材16および17および端部材18および19における磁石の極性は同一である。選択された設定において、このマグネトロン構成は約350Gのターゲットの上に磁場を生成する。当然のことながら、キャリッジ45または側方向部材16および17における磁石の磁気強度および数の観点からの詳細設計は、特定用途、ターゲット材料料、サイズ、寸法などに基づいて変更または最適化され、当業者によって選択され得る。
【0026】
別の実施形態では、ターゲット20の長手方向端領域の下に位置付けられたキャリッジ(単数または複数)45は上述の側方向振動の代わりに、またはそれに加えて、ターゲットの長軸に平行した方向に移動または振動され得る。キャリッジ45のかかる長手方向振動が共通の駆動機構100を使用して、磁石14a、14bの回転振動と同調して達成しようとするなら、長手方向軸回りのギア(例えば、伝達ギア103)回転を回転軸に沿った長手方向並進運動に変換するのに、異なる動力伝達構造、例えば、当技術分野では既知の円錐惑星ギア機構(図示せず)が必要となるであろう。再び、動力伝達/駆動機構の正確な構造は本発明にとっては重大ではなく、その実施は必要以上の実験をしないで十分に当業者の範囲内にある。
【0027】
磁気端部材18および19の純粋に側方向および/または長手方向振動/移動の代替に、ターゲット20の長手方向端領域の下の任意の他の移動(循環または曲線または傾斜経路に沿った、またはこれらの組み合わせなどの)もまた検討され、これらの領域における従来の固定磁石の改善をもたらす。これは、従来ではこれらの領域の磁石は固定されていたからである。それゆえに、ターゲットの長手方向端領域上方の磁場(およびその結果プラズマ場)が停滞し、これはターゲット表面の腐食の経路が停滞することを意味する。これはターゲットの非常に集中された腐食をもたらし、その表面積の大部分(中央領域)の腐食に基づいて保障されるであろうよりも早期にターゲット20の交換を余儀なくする。そのために、ターゲット上方の磁場およびプラズマ場の変調を生成することになる長手方向端領域の任意の移動は、ターゲット20の端領域における腐食の集中を広げ、そのためにその有用寿命を延ばすという効果を有する。上述の側方向振動はこれを達成するための1つの実施形態であるが、ターゲットの長手方向端領域における場のいかなる変調も、これらの領域の腐食の集中を広げるという点において改善をもたらさなければならない。磁石を移動させること以外に、ヨークまたはヨークと磁石の組み合わせが磁場変調の手段を与えるのに導入可能であろう。その効果はシミュレーション(図4)において見ることができる。これはまた図5においても見ることができるが、図5では、プラズマがターゲットの中央および端領域双方の上方において変調される本設計に基づいたターゲット20上方のプラズマ走査(上側画像)を、プラズマは中央領域の上方のみ走査され、端領域では静止している従来の設計と比較している。上記に指摘するように、端領域における磁気変調の導入により、端領域のより大きい面積に亘って腐食が広がる。これは長手方向端領域における局部的腐食深さスポットを低下させ、それによりターゲット利用が増加する。
【0028】
スパッタテストによると、本発明は、典型的には約30%から35%、40%から45%までである従来設計の陰極のターゲット利用を増加させ、ターゲット材料の実質的な無駄を無くすことにより優れた付加価値を生じ得る。
【0029】
図6aおよび図6bは、本明細書に記載するように端領域における磁場の変調に対して、従来のように端領域における停滞した磁場に基づいて、ターゲット20の中央領域(暗線)におけるロケーションと長手方向端領域におけるロケーションの腐食プロファイルの比較を示す。図6aは本設計を使用した深さプロファイルを図示し、図6bは従来の設計を使用した深さプロファイルを図示する。端領域と中央領域における最も深い腐食ポイント間の比率は、ターゲット利用に対する信頼し得る指標であり、値1は理想的な深さ比率を表す。腐食プロファイルは、本明細書に記載されるように変調された端領域磁場(図6
a)ならびに従来の停滞した端領域磁場(図6b)を使用した各ターゲットに対して作成されて、これらの図のデータを生成した。従来の構成(6b)に対する結果は、端領域腐食が中央領域腐食よりずっと深く、ターゲット寿命を制限することを示す。これに対して、変調場端領域構成の端領域腐食は中央領域腐食よりほんの少し深いだけで、それによりターゲット寿命およびターゲット利用が増加する。端領域は全ターゲット面積の極一部でしかないので、端領域における局部的ターゲット利用の少しの増加でさえも、ターゲット20全体の全ターゲット利用に対して大きな影響力を与える。静止磁場は一定に保たれ(磁石の強度、それゆえに磁場の強度は変化しない)、変調のみが導入されるので、中央領域の腐食は影響されない。プラズマ特性およびひいては膜蒸着特性は高品質に維持され得る。
【0030】
上述の磁場変調は、主として永久磁石を使用して、ターゲット20の長手方向端領域においてそれらを移動させることに基づいて説明した。しかしながら、代替的に、ターゲットの長手方向端領域のエリアに設置されるコイルからの磁場を使用した電磁変調を用いた磁場の変調により同様の効果が達成され得るであろう。図7はこのようなコイルの中央軸を通る側からの概略断面図を示す。コイルの巻き数ならびに軟鉄コアのサイズおよび形状は、どの位の強度の場が所望されるか、有効な電力および電圧などに依存して技術的に認識される原則に基づいて当業者により選択され得る。
【0031】
端領域磁場の変調に基づく実験的腐食パターン結果(図6a)を磁気端部材18,19の振動に基づくプラズマ分布に対する数学的モデル(図4に図示されるシミュレーション)と比較して、我々は磁場(ゆえにプラズマ場)振動の数学的シミュレーションはターゲット20に結果的に生じる実際の腐食パターンを確実に予測できると結論付けた。変調の大きさは、ターゲット表面22における磁場に影響を及ぼして、プラズマ進路を変更させて、ひいては腐食パターンに影響を及ぼすのに十分な大きさである。選択された構成では、ターゲットの上面における磁場強度が、約200Gの平均値周辺を変調し、振幅は100〜150Gの範囲である。
【0032】
ターゲット原料のより均一な使用に加えて、本発明のさらなる利点は、長手方向端領域は中央領域と比べるとより均一に腐食され、これはターゲットが交換される前により大きい比率の中央領域材料が取り入れられ得ることを意味するので、ターゲット全体の利用を改善するのにステップ状ターゲットを必要としないことである。これにより、全ターゲット寿命が維持または増加さえもすることにより、ターゲットの材料コストの費用はかなり低減する。
【0033】
本発明をより大きい面積のコーティング用途のブロードバンドに使用して、薄膜スパッタコーティング(プラズマによりターゲット20から除去されるターゲット原料の)を、例えば平坦なパネルディスプレイ、ソーラーセルから建築用ガラスに至る範囲の基板に塗布し得る。半導体用途または他の大きな物体の表面処理もまた、本発明の範囲内である。本発明は単一の陰極において、または単一の陰極として、いわゆるインライン型コーティング用途ならびに多陰極ターゲットソースの一部として使用され得る。
【0034】
本発明は、従来では磁場が相対的に静止しているか、または停滞しているターゲット20の長手端領域上方の磁場を変調することを含むことが、以上により明白であろう。本明細書では、磁場の端領域変調を達成するための少なくとも1つの実施形態が記載されている。但し、本明細書において課題および少なくとも1つの実践的解決策を確認した上で、当業者はターゲットの端領域の磁場を変調するための他のモードおよび手段を考案することが可能であろう。従って、ターゲットの端領域(単数または複数)において磁場を変調する本発明の方法は、当業者には他のものも明らかであるように、開示された構造または装置を排他的に使用することに限定されるべきではない。
【0035】
本発明は一定の好適実施形態に関して記載されたが、本発明はこれにより限定されるべきでないことは理解されるべきである。本開示を読むと当業者には明白となるであろう多くの変形を成し得、例えば、添付の請求項に規定される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本教示を特定用途、または特別なターゲット材料に適応させ得る。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本明細書に開示されるスパッタリング装置の一実施形態による磁気アセンブリの平面図である。
【図2】磁気アセンブリだけでなく図1に図示されないスパッタリング装置の他の構成要素も示す、図1のライン2−2に沿った断面図である。
【図3】中央磁気アレンジメントの磁気棒も回転させる共通の駆動機構に連結される、本明細書に記載される磁気端アセンブリ用の側方向摺動可能キャリッジを示す平面図である。
【図3a】図3の駆動機構を図示する斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態による変調された磁場に応じた、ターゲット20上方のプラズマ場の配向のシミュレーションを示す平面図である。
【図5】端領域のプラズマ場が実質的に静止したままである従来の静止した端領域磁場と比較して、変調された端領域磁場に基づいたターゲットの端領域のプラズマ場への効果を表す実験を示す図である。
【図6a】2つのターゲットの腐食プロファイルの比較を示す図であり、端領域磁場が変調される実施形態により腐食される。
【図6b】2つのターゲットの腐食プロファイルの比較を示す図であり、端領域磁場が実質的に静止している従来の動作により腐食される。
【図7】本明細書に記載される実施形態による、磁場に変調を生成するための電磁石コイルの概略断面を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央領域と第1および第2の長手方向端領域を有するスパッタターゲットが動作時にその上に配置される磁気アセンブリを含み、前記磁気アセンブリは前記ターゲットの上方に磁場を生成するのに効果的であり、前記磁気アセンブリは中央磁石アレンジメントを囲む外側磁石フレームを有し、前記外側磁石フレームは、中央磁気アレンジメントの何れかの側に位置付けられる第1および第2の長手方向に延びる磁気側方向部材と、前記フレームの対向する長手方向端に位置付けられそれらを画成する第1および第2の磁気端部材とを含み、前記第1の磁気端部材は前記ターゲットの前記第1の長手方向端領域上方の前記磁場において非静止変調を生成するのに効果的である、スパッタリング装置。
【請求項2】
前記第2の磁気端部材は、前記ターゲットの前記第2の長手方向端領域上方の前記磁場において非静止変調を生成するのに効果的である、請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項3】
前記中央磁気アレンジメントは前記外側磁石フレームに対して移動可能であり、前記ターゲットの前記中央領域上方の前記磁場において非静止変調を生成するのに効果的である、請求項1〜請求項2に記載のスパッタリング装置。
【請求項4】
前記中央磁気アレンジメントは、反対に極性配向され、長手方向に延びる1対の永久磁石であって、各長手方向軸回りに回転可能で、それにより前記ターゲットの前記中央領域上方の前記磁場において側方向シフトを生じるのに効果的である永久磁石を含む、請求項3に記載のスパッタリング装置。
【請求項5】
前記第1の磁気端部材は、前記可動中央アレンジメントに動作可能に連結されて、前記第1の磁気端部材は可動中央アレンジメントと同期に移動して、それにより前記ターゲットの前記中央領域および前記第1の端領域上方の前記磁場の同期変調を生成する、請求項3に記載のスパッタリング装置。
【請求項6】
前記第1の磁気端部材は、前記回転可能磁石が反対方向に交互に回転されると、前記回転可能磁石の回転と同一の周波数で同調して振動するように、前記回転可能磁石に動作可能に連結されており、それにより前記ターゲットの前記中央領域および前記第1の端領域上方の前記磁場の同相変調を生成する、請求項4に記載のスパッタリング装置。
【請求項7】
前記第1の磁気端部材と前記回転可能磁石は動作可能に連結されて、前記第1の磁気端部材と前記中央領域上方の前記磁場の振動側方向シフトとの間の同期反対移動を達成する、請求項6に記載のスパッタリング装置。
【請求項8】
前記第1の磁気端部材は、前記ターゲットに対して少なくとも側方向または長手方向に移動されるように適応された永久磁石を含む、請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項9】
前記永久磁石は少なくとも1つのトラック上において側方向に摺動可能なキャリッジ上に支持される、請求項8に記載のスパッタリング装置。
【請求項10】
前記第1の磁気端部材は電磁石を含み、磁場変調は前記電磁石に供給される電力または電圧を変調することにより達成され得る、請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項11】
複数の前記ターゲットを収容するための複数の前記磁気アセンブリを含む、請求項1〜請求項10に記載のスパッタリング装置。
【請求項12】
中央領域と、中央領域の何れかの端に位置付けられた第1および第2の長手方向端領域とを有するターゲット表面を備えたスパッタターゲットを設ける工程と、前記ターゲット表面上方に磁場を生成する工程と、前記磁場により前記ターゲット表面にプラズマを導いて前記プラズマが前記ターゲット表面を腐食する工程と、前記ターゲット表面の前記第1の端領域上方の前記磁場を変調して、それによりその前記第1の端領域における前記ターゲットの腐食の集中を広げる工程と、を含むスパッタリング方法。
【請求項13】
前記ターゲット表面の前記第2の端領域上方の前記磁場を変調して、それによりその前記第2の端領域における前記ターゲットの腐食の集中を広げる工程をさらに含む、請求項12に記載のスパッタリング方法。
【請求項14】
前記ターゲット表面の前記中央領域上方の前記磁場を側方向にシフトする工程をさらに含む、請求項12〜請求項13に記載のスパッタリング方法。
【請求項15】
前記ターゲットは、前記ターゲット表面上方に前記磁場を生成するための磁気アセンブリの上に配置され、前記磁気アセンブリは中央磁石アレンジメントを囲む外側磁石フレームを有し、前記外側磁石フレームは、中央磁気アレンジメントの何れかの側に位置付けられる第1および第2の長手方向に延びる磁気側方向部材と、前記フレームの対向する長手方向端に位置付けられそれらを画成する第1および第2の磁気端部材とを含み、前記第1の磁気端部材は、前記ターゲット表面の前記第1の端領域上方の前記磁場において前記変調を生成するのに効果的である、請求項12〜請求項14に記載のスパッタリング方法。
【請求項16】
前記第1の磁気端部材は永久磁石を含み、前記方法は、前記永久磁石の交互の側方向の動きが前記ターゲット表面の前記第1の端領域上方の前記磁場の側方向変調を生じさせるように、前記第1の磁気端部材を側方向に振動させる工程をさらに含む、請求項15に記載のスパッタリング方法。
【請求項17】
前記第1の磁気端部材は電磁石を含み、前記方法は、変動する強度の磁場が前記ターゲット表面の前記第1の端領域上方に生成されて前記変調を提供するように、前記電磁石への電力または電圧入力を変調する工程をさらに含む、請求項15に記載のスパッタリング方法。
【請求項18】
前記ターゲットは陰極であるかまたはその一部を形成し、前記方法は、前記陰極と前記ターゲット表面の上方に位置付けられてそれから離間した陽極との間に電圧を印加して、その間に電気アーク放電を生成し、それにより前記陰極と前記陽極との間に存在する不活性ガスから前記プラズマを生成する工程をさらに含む、請求項12〜請求項17に記載のスパッタリング方法。
【請求項19】
前記中央磁気アレンジメントは前記外側磁石フレームに対して移動可能であり、前記ターゲットの前記中央領域上方の前記磁場において非静止変調を生成するのに効果的である、請求項15〜請求項18に記載のスパッタリング装置。
【請求項20】
前記中央磁気アレンジメントは、反対に極性配向され、長手方向に延びる1対の永久磁石を含み、前記方法は、前記長手方向に延びる永久磁石を各長手方向軸回りに回転させて、それにより前記ターゲットの前記中央領域上方の前記磁場において側方向シフトを生じる工程をさらに含む、請求項19に記載のスパッタリング方法。
【請求項21】
前記第1の磁気端部材は前記可動中央アレンジメントに動作可能に連結され、前記第1の磁気端部材は可動中央アレンジメントと同期して移動し、それにより前記ターゲットの前記中央領域および前記第1の端領域上方の前記磁場の同期変調を生成する、請求項19
に記載のスパッタリング方法。
【請求項22】
磁場は、前記ターゲット表面の前記第1の端領域上方に位置付けられた部分が第1の側方向にシフトされ、前記ターゲット表面の前記中央領域上方に位置付けられる別の部分が第1の側方向とは反対の第2の側方向にシフトされるように変調される、請求項14〜請求項21に記載のスパッタリング方法。
【請求項23】
前記第1の磁気端部材は、ターゲット表面の中央領域上方の磁場の振動側方向シフトに対して同期の反対移動で振動される、請求項16〜請求項22に記載のスパッタリング方法。
【請求項24】
前記ターゲット表面上方の前記磁場は、前記ターゲットの下方に生成されそこを貫通するトンネル磁場の形状をしており、前記トンネル磁場は上方から見るとリングまたは楕円形状を有する、請求項12〜請求項23に記載のスパッタリング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図5】
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【図7】
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【図4】
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【図6a】
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【図6b】
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【公表番号】特表2009−519375(P2009−519375A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−544730(P2008−544730)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【国際出願番号】PCT/CH2006/000690
【国際公開番号】WO2007/068133
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(596013501)オー・ツェー・エリコン・バルザース・アクチェンゲゼルシャフト (55)
【氏名又は名称原語表記】OC Oerlikon Balzers AG
【Fターム(参考)】