説明

スピロヘータ及びその他の偏性細胞内細菌性疾患の治療及び管理のために免疫調節化合物を用いる方法及び組成物

スピロヘータ及び/又はその他の偏性細胞内細菌性疾患又は障害を治療、予防及び/又は管理する方法を開示する。具体的な方法は、免疫調節化合物を単独で又は第2の活性剤と組み合わせて投与することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(1.発明の分野)
本発明は、免疫調節化合物を単独で又は他の療法と組み合わせて使用する、各種のスピロヘータ及びその他の偏性細胞内細菌性疾患又は障害を治療、予防及び/又は管理する方法に関する。本発明はまた、医薬組成物及び投与計画に関する。
【背景技術】
【0002】
(2.発明の背景)
(2.1 スピロヘータ及びその他の偏性細胞内細菌性疾患)
スピロヘータ及びその他の偏性細胞内細菌性疾患は、治療が困難な場合がある。従来、当該疾患の療法は、高用量の抗生物質である。しかし、長期にわたる多段階の疾患進行のため、これらの疾患の多くで抗生物質耐性が発生する。抗生物質の使用は、当該疾患に対する第一線の防御であるが、主として考慮に入れられていることは、スピロヘータ及びその他の偏性細胞内細菌性疾患が、多段階を有することが多く、その段階のそれぞれが、それ自体、独特の基礎をなす病変の集合を有することである。これらには、限定されるものではないが、関節、皮膚、神経、胃腸、眼及び歯周組織の慢性炎症、並びに回帰熱をはじめとするマラリア様症状が含まれる。
【0003】
スピロヘータ細菌性疾患の例が、ライム病である。ライム病は、3種の病原性スピロヘータ細菌:ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、B.アフゼリイ(B.afzelii)、及びB.ガリニイ(B.garinii)によって引き起こされるマダニ媒介性疾患である。ライム病は、北米、ヨーロッパ及びアジアに固有であり、米国では最も一般的に報告される節足動物媒介性疾病である。2000年に18,000を超える症例が報告された。ライム病の臨床徴候としては、限局性遊走性紅斑、それに続く、特に神経系、心臓又は関節を襲う播種性感染症、及び後に続く遅発性又は持続性感染症を挙げることができる。若干の患者は、初期の静脈内又は経口での抗生物質治療の数カ月又は数年後でさえ、持続性関節炎症を示している。さらに、初期の抗生物質治療にもかかわらず、ある割合の患者は、数年間持続することもある筋骨格痛、神経認知障害又は疲労などの症状を持ち続ける(Steere, A.C.の論文、N. Engl. J. Med., 354 (2): 115〜125 (2001)及びSteereらの論文, J. Clin. Invest., 113: 1093〜1101 (2004))。
【0004】
抗生物質などの各種の従来療法が、現在、ライム病などのスピロヘータ及びその他の偏性細胞内細菌性疾患に対して考慮されているが、これらの疾患の安全で、効果的で且つ便利な療法に対する継続的な必要性がなお存在する。特に必要なのは、スピロヘータ及びその他の偏性細胞内細菌性障害の感染から生じる急性及び/又は慢性症状を治療、予防及び/又は管理する能力を有する療法である。
【0005】
(2.2 IMiDS(商標))
TNF-αの異常な生成に関連する疾患を処置するのに安全且つ有効に使用することができる化合物を提供する目的でいくつかの研究が行われている。例えば、Marriott, J.B.ら, Expert Opin. Biol Ther. 1(4): 1-8 (2001); G.W. Mullerら, Journal of Medicinal Chemistry, 39(17): 3238-3240 (1996);及びG.W. Mullerら, Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 8: 2669-2674 (1998)参照。LPSにより刺激されるPBMCによってTNF-α生成を強く阻害する能力に関して選択された化合物群に着目した研究がいくつかある。L.G. Corralら, Ann. Rheum. Dis. 58: (Suppl I) 1107-1 113 (1999)。これらの化合物はIMiD(商標)(Celgene Corporation)又は免疫調節薬と呼ばれ、TNF-αの強力な阻害を示すだけでなく、LPS誘発単球IL1β及びIL12の生成に著しい阻害を示す。LPS誘発IL6も免疫調節化合物によって、部分的にではあるが、阻害される。これらの化合物は、LPS誘発IL10の強力な刺激剤である(同上)。IMiD(商標)の特定の例としては、米国特許第6,281,230号及び第6,316,471号(双方ともG.W. Mullerらのもの)に記載されている置換2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)フタルイミド及び置換2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドールが挙げられるが、それらに限定されない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(3.発明の要旨)
本発明は、スピロヘータ及び/又はその他の偏性細胞内細菌性疾患又は障害を治療、予防及び/又は管理する方法を包含する。該方法は、当該治療、予防、又は管理を必要とする患者に対して、治療又は予防有効量の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物(例えば、水和物)、立体異性体、若しくはプロドラッグを投与することを含む。
【0007】
いくつかの実施態様では、免疫調節化合物は、スピロヘータ及び/又はその他の偏性細胞内細菌性疾患又は障害を治療、予防又は管理するために通常的に使用される療法と組み合わせて投与される。
【0008】
本発明は、免疫調節化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性体、若しくはプロドラッグ、及び第2の又は付加的な活性剤を含む医薬組成物、単一単位剤形、投与計画、並びにキットを包含する。第2の活性剤としては、薬物の特定の組合せ、又は「カクテル」が挙げられる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(4.発明の詳細な説明)
一実施態様において、本発明は、スピロヘータ及び/又はその他の偏性細胞内細菌性疾患又は障害を治療、管理及び/又は予防する方法であって、患者に対して治療又は予防有効量の本発明の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性体、若しくはプロドラッグを投与することを含む方法を包含する。
【0010】
別の実施態様において、免疫調節化合物は、スピロヘータ及び/又はその他の偏性細胞内細菌性疾患又は障害を治療、管理及び/又は予防する別の薬剤(「第2の活性剤」)又は方法と組み合わせて投与される。免疫調節化合物の投与と組み合わせて使用できる方法又は療法としては、抗生物質の投与が挙げられるが、それに限定されない。
【0011】
他の実施態様において、免疫調節化合物を、限定されるものではないが抗生物質などの第2の活性剤と任意選択で組み合わせて含む組成物及びキットも、本発明に包含される。
【0012】
(4.1 定義)
本明細書に用いられているように、且つ特に指定がなければ、「医薬として許容し得る塩」という用語は、医薬として許容され得る無毒な酸(無機酸及び有機酸を含む)から調製される塩を指す。好適な無毒な酸としては、酢酸、アルギン酸、アントラニル酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エテンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、フロ酸、グルコン酸、グルタミン酸、グルコレン酸(glucorenic)、ガラクツロン酸、グリシド酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、プロピオン酸、リン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、硫酸、酒石酸、及びp-トルエンスルホン酸などが挙げられるが、それらに限定されない。好適なものとして、塩酸、臭化水素酸、リン酸、及び硫酸がある。
【0013】
本明細書に用いられているように、且つ特に指定がなければ、「溶媒和物」という用語は、非共有結合的分子間力によって結合された化学量論量又は非化学量論量の溶媒をさらに含む、本発明の化合物又はその塩を意味する。溶媒が水である場合、溶媒和物は水和物である。
【0014】
本明細書に用いられているように、且つ特に指定がなければ、「プロドラッグ」という用語は、加水分解し、酸化し、或いは生物学的条件下(インビトロ又はインビボ)で反応して、該化合物を提供することが可能である化合物の誘導体を意味する。プロドラッグの例としては、生物加水分解性アミド、生物加水分解性エステル、生物加水分解性カルバミン酸塩、生物加水分解性炭酸塩、生物加水分解性ウレイド及び生物加水分解性リン酸塩類似体などの生物加水分解性成分を含む化合物が挙げられるが、それらに限定されない。プロドラッグの他の例としては、-NO、-NO2、-ONO又は-ONO2成分を含む化合物が挙げられる。プロドラッグは、典型的には、「バージャーの医化学、及び創薬(Burger's Medicinal Chemistry and Drug Discovery)」, 172-178, 949-982 (Manfred E. Wolff編, 第5版, 1995)、及び「プロドラッグのデザイン(Design of Prodrugs)」(H. Bundgaard編, Elselvier、New York 1985)に記載されている方法などのよく知られている方法を用いて調製され得る。
【0015】
本明細書に用いられているように、且つ特に指定がなければ、「生物加水分解性カルバミン酸塩」、「生物加水分解性炭酸塩」、「生物加水分解性ウレイド」及び「生物加水分解性リン酸塩」という用語は、1)化合物の生物学的活性に干渉せず、摂取、作用の持続又は作用の発生などのインビボの有益な特性をその化合物に付与することができ、或いは2)生物学的に不活性であるが、生物学的に活性な化合物にインビボで変換される化合物のカルバミン酸塩、炭酸塩、ウレイド又はリン酸塩をそれぞれ意味する。生物加水分解性カルバミン酸塩の例としては、低級アルキルアミン、置換エチレンジアミン、アミノ酸、ヒドロキシアルキルアミン、複素環式アミン及び複素芳香族アミン、並びにポリエーテルアミンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0016】
本明細書に用いられているように、且つ特に指定がなければ、「立体異性体」という用語は、鏡像異性的/立体異性的に純粋な本発明の化合物及び鏡像異性的/立体異性的に富化された本発明の化合物の全てを包含する。
【0017】
本明細書に用いられているように、且つ特に指定がなければ、「立体異性的に純粋」又は「鏡像異性的に純粋」という用語は、化合物が1つの立体異性体を含み、その対となる立体異性体又は鏡像異性体を実質的に含まないことを意味する。例えば化合物が80%、90%、又は95%以上のある立体異性体と、20%、10%又は5%未満の対となる立体異性体とを含む場合に、その化合物は立体異性的又は鏡像異性的に純粋である。特定の場合において、本発明の化合物は、化合物が約80%ee(鏡像異性体過剰率)以上、好ましくは特定のキラル中心に関して90%ee以上、より好ましくは特定のキラル中心に関して95%eeである場合に、光学的に活性である、或いはキラル中心に関して立体異性的/鏡像異性的に純粋(すなわち、実質的にR型又は実質的にS型)であるとみなされる。
【0018】
本明細書に用いられているように、且つ特に指定がなければ、「立体異性的に富化された」又は「鏡像異性的に富化された」という用語は、本発明の化合物のラセミ混合物並びに他の立体異性体混合物(例えばR/S=30/70、35/65、40/60、45/55、55/45、60/40、65/35及び70/30)を包含する。
【0019】
本明細書に用いられているように、且つ特に指定がなければ、「治療する」、「治療している」、及び「治療」という用語は、患者が特定の疾患又は障害に罹患している際に起こる、疾患若しくは障害の重篤度を軽減する、或いは疾患若しくは障害の進行を遅延させる、又は緩慢にする作用を意図する。
【0020】
本明細書に用いられているように、且つ特に指定がなければ、「予防する」、「予防している」、及び「予防」という用語は、患者が特定の疾患又は障害に罹患し始める前に起こる、該疾患若しくは障害の重篤度を阻害又は軽減する作用を意図する。いくつかの実施態様において、「予防する」、「予防している」、又は「予防」という用語は、ある疾患又は障害の発生に対して「事前に治療する」、「事前に治療している」又は「事前治療」という用語と同義であり得る。
【0021】
本明細書に用いられているように、且つ特に指定がなければ、「管理する」、「管理している」、及び「管理」という用語は、特定の疾患若しくは障害に既に罹患したことがある患者において、その疾患若しくは障害の再発を予防すること、及び/又は疾患若しくは障害に罹患した患者が緩解状態を維持する時間を長くすることを包含する。この用語は、該疾患若しくは障害の閾値、発達及び/又は持続時間を調整すること、或いは患者が該疾患若しくは障害に応答する途上を変化させることを含む。
【0022】
本明細書に用いられているように、且つ特に指定がなければ、化合物の「治療有効量」という用語は、該疾患若しくは障害の治療又は管理に治療利益をもたらすのに、或いは該疾患若しくは障害に関連する1以上の症状を遅延又は最小限とするのに十分な量である。化合物の治療有効量とは、該疾患若しくは障害の治療又は管理に治療利益をもたらす、単独又は他の療法と組み合わせた治療薬の量を意味する。「治療有効量」という用語は、全体的な療法を向上させる、疾患若しくは障害の症状若しくは原因を軽減若しくは回避する、又は別の治療薬の治療効力を増強する量を含み得る。
【0023】
本明細書に用いられているように、且つ特に指定がなければ、化合物の「予防的有効量」は、疾患若しくは障害、又は該疾患若しくは障害に関連する1以上の症状を予防する、或いはその再発を予防するのに有効な量である。化合物の予防有効量とは、該疾患の予防に予防利益をもたらす、単独又は他の療法と組み合わせた治療薬の量を意味する。「予防有効量」という用語は、全体的な予防を向上させる、又は別の予防薬の予防効力を増強する量を含み得る。
【0024】
本明細書に用いられているように、且つ特に指定がなければ、「増強している」、又は「増強する」という用語は、免疫応答に関連して使用する場合、抗原性又は免疫原性薬剤が、免疫調節化合物で治療された又はされる患者に対して投与される場合に、当技術分野で公知である任意の抗体濃度測定の常法、例えば、比濁分析、免疫電気泳動法、ラジオイムノアッセイ及びELISAにより測定した際に、同量のその抗原性又は免疫原性薬剤の単独が投与される患者に比べて、抗体の形成が増強されることを意味する。いくつかの実施態様において、本発明の方法が使用される場合、抗体の形成は、当該方法が使用されない場合に得られる抗体形成と比べて約5%、10%、20%、50%、100%又はそれ以上増加する。
【0025】
本明細書に用いられているように、且つ特に指定がなければ、「免疫原」という用語は、対象において免疫応答、すなわち、抗体の形成を誘発することが可能である任意の外来対象物を意味する。免疫原としては、動物、植物、細菌、原虫、寄生虫、ウイルス由来の抗原、又はそれらの組合せが挙げられるが、それらに限定されない。免疫原は、限定されるものではないが、ポリペプチド、ペプチド、タンパク質、糖タンパク質、及び多糖をはじめとする、対象において免疫応答をもたらす任意の物質であり得る。
【0026】
(4.2 免疫調節化合物)
本発明の化合物は商業的に購入することができるか、又は本明細書に開示されている特許又は特許公開に記載されている方法に従って調製することができる。さらに、既知の分解剤又はキラルカラム、並びに他の標準的な合成有機化学技術を用いて、光学的に純粋な組成物を非対称的に合成又は分割することが可能である。本発明に使用される化合物は、ラセミ体であるか、立体異性的に富化されているか、或いは立体異性的に純粋な免疫調節化合物、及びその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性体、及びプロドラッグを含んでもよい。
【0027】
本発明に使用される化合物は、分子量が約1,000g/モル未満の小有機分子であり、タンパク質、ペプチド、オリゴヌクレオチド、オリゴ糖又は他の巨大分子ではない。
【0028】
本明細書に用いられているように、且つ特に指定がなければ、「免疫調節化合物」及び「IMiD(商標)」(Celgene Corporation)という用語は、TNF-α、LPS誘発単球IL-1β及びIL1-2を顕著に阻害し、IL-6生成を部分的に阻害する小有機分子を包含する。具体的な免疫調節化合物について以下に説明する。
【0029】
TNF-αは、急性炎症時にマクロファージ及び単球によって生成される炎症性サイトカインである。TNF-αは、細胞内の広範な伝達事象に関与する。理論に制限されることなく、本発明の免疫調節化合物によって発揮される生物学的効果の1つは、TNF-αの合成を低減することである。本発明の免疫調節化合物は、TNF-αmRNAの分解を促進させる。
【0030】
さらに、理論に制限されることなく、本発明に使用される免疫調節化合物は、T細胞の強力な共刺激剤でもあり、用量依存的に細胞増殖を著しく増強することがある。本発明の免疫調節化合物は、また、CD4+T細胞部分集合体よりCD8+T細胞部分集合体に対してより高い共刺激効果を有することがある。加えて、それらの化合物は、好ましくは抗炎症特性を有し、T細胞を効率的に共刺激する。さらに、理論に制限されることなく、本発明に使用される免疫調節化合物は、サイトカインの活性化を介して間接的に、またナチュラルキラー(「NK」)細胞に対して直接的に、という双方で作用し得る可能性があり、限定されるものではないが、IFN-γ又はIL-12などの有益なサイトカインを生成するNK細胞の能力を増強する。さらに、特定の理論に制限されることなく、免疫調節化合物で活性化されたNK細胞は、感染細胞に結合すること、及び限定されるものではないがグランザイムB及びパーフォリンなどのNK細胞の細胞内容物を放出することによって感染赤血球を直接的に殺すことができる。
【0031】
さらに、理論に制限されることなく、本発明の免疫調節化合物は、樹状細胞及びNK細胞の活性化を介して赤血球中のスピロヘータ細菌負荷を低減及び/又は排除することができる。さらに、理論に制限されることなく、本発明の免疫調節化合物は、抗炎症性メディエーターの免疫調節を介してスピロヘータ又はその他の偏性細胞内細菌性疾患又は障害の慢性疾患症状を治療するのに使用することができる。
【0032】
免疫調節化合物の具体的な例としては、米国特許第5,929,117号に開示されているような置換スチレンのシアノ及びカルボキシ誘導体;米国特許第5,874,448号及び同第5,955,476号に開示されているような1-オキソ-2-(2,6-ジオキソ-3-フルオロピペリジン-3-イル)イソインドリン及び1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジオキソ-3-フルオロピペリジン-3-イル)イソインドリン;米国特許第5,798,368号に記載されている四置換2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン;米国特許第5,635,517号、同第6,476,052号、同第6,555,554号及び同第6,403,613号に開示されている化合物を含むが、それらに限定されない1-オキソ及び1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン(例えばサリドマイドの4-メチル誘導体);米国特許第6,380,239号に記載されているインドリン環の4位又は5位が置換された1-オキソ及び1,3-ジオキソイソインドリン(例えば4-(4-アミノ-1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)-4-カルバモイルブタン酸);米国特許6,458,810号に記載されている2位が2,6-ジオキソ-3-ヒドロキシピペリジン-5-イルで置換されたイソインドリン-1-オン及びイソインドリン-1,3-ジオン(例えば2-(2,6-ジオキソ-3-ヒドロキシ-5-フルオロピペリジン-5-イル)-4-アミノイソインドリン-1-オン);米国特許第5,698,579号及び同第5,877,200号に開示されている一群の非ポリペプチド環状アミド;米国特許第6,281,230号及び同第6,316,471号に記載されているようなアミノサリドマイド、並びにアミノサリドマイドの類似体、加水分解生成物、代謝物質、誘導体及び前駆体、及び置換2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)フタルイミド及び置換2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドール;並びに2003年3月6日に公開された米国特許公開第2003-0045552号A1、2006年8月15日に発行された米国特許第7,091,353号、及び国際出願第PCT/US01/50401号(国際公開第WO02/059106号)に示されているようなイソインドール-イミド化合物が挙げられるが、それらに限定されない。本明細書中に特定されている特許及び特許出願の各々の全体は、引用により本明細書中に組み込まれている。免疫調節化合物は、サリドマイドを含まない。
【0033】
本発明の他の具体的な免疫調節化合物としては、引用により本明細書中に組み込まれている米国特許第5,635,517号に記載されているベンゾ環がアミノに置換された1-オキソ及び1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリンが挙げられるが、それらに限定されない。これらの化合物は構造Iを有する:
【化1】

(式中、X及びYの一方はC=Oであり、X及びYの他方はC=O又はCH2であり、R2は、水素又は低級アルキル、特にメチルである。)。具体的な免疫調節化合物としては:
1-オキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-アミノイソインドリン;
1-オキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-アミノイソインドリン;
1-オキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-6-アミノイソインドリン;
1-オキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-7-アミノイソインドリン;
1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-アミノイソインドリン;及び
1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-アミノイソインドリンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0034】
本発明の他の具体的な免疫調節化合物は、それぞれが引用により本明細書中に組み込まれている米国特許第6,281,230号、同第6,316,471号、同第6,335,349号及び同第6,476,052号並びに国際特許出願第PCT/US97/13375号(国際公開第WO98/03502号)に記載されているような一群の置換2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)フタルイミド及び置換2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドールに属する。代表的な化合物は、以下の式の化合物である:
【化2】

(式中、X及びYの一方はC=Oであり、X及びYの他方はC=O又はCH2であり;
(i)R1、R2、R3及びR4の各々は、互いに独立に、ハロ、炭素原子数1〜4のアルキル、又は炭素原子数1〜4のアルコキシであるか、或いは(ii)R1、R2、R3及びR4の1つは、-NHR5であり、R1、R2、R3及びR4の残りは水素であり;
R5は水素、又は炭素原子数1〜8のアルキルであり;
R6は水素、炭素原子数1〜8のアルキル、ベンジル又はハロであり;
R6は、X及びYがC=Oであり、且つ(i)R1、R2、R3及びR4の各々がフルオロであるか、或いは(ii)R1、R2、R3及びR4の1つがアミノである場合は、水素以外である。)。
【0035】
この群を代表する化合物は、以下の式の化合物である:
【化3】

(式中、R1は、水素又はメチルである。)。個別の実施態様において、本発明は、これらの化合物の鏡像異性的に純粋な形態(例えば光学的に純粋な(R)又は(S)鏡像体)の使用を包含する。
【0036】
本発明のさらに他の具体的な免疫調節化合物は、それぞれが引用により本明細書中に組み込まれている米国特許公開第2003/0096841号及び第2003/0045552号、並びに国際出願第PCT/US01/50401号(国際公開第WO02/059106号)に開示されている一群のイソインドール-イミドに属する。代表的な化合物は、式IIの化合物、並びにその医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、ラセミ体、及び立体異性体の混合物である:
【化4】

(式中、X及びYの一方はC=Oであり、他方は、CH2又はC=Oであり;
R1は、H、(C1〜C8)アルキル、(C3〜C7)シクロアルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、ベンジル、アリール、(C0〜C4)アルキル-(C1〜C6)ヘテロシクロアルキル、(C0〜C4)アルキル-(C2〜C5)ヘテロアリール、C(O)R3、C(S)R3、C(O)OR4、(C1〜C8)アルキル-N(R6)2、(C1〜C8)アルキル-OR5、(C1〜C8)アルキル-C(O)OR5、C(O)NHR3、C(S)NHR3、C(O)NR3R3'、C(S)NR3R3'又は(C1〜C8)アルキル-O(CO)R5であり;
R2は、H、F、ベンジル、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル又は(C2〜C8)アルキニルであり;
R3及びR3'は、独立に、(C1〜C8)アルキル、(C3〜C7)シクロアルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、ベンジル、アリール、(C0〜C4)アルキル-(C1〜C6)ヘテロシクロアルキル、(C0〜C4)アルキル-(C2〜C5)ヘテロアリール、(C0〜C8)アルキル-N(R6)2、(C1〜C8)アルキル-OR5、(C1〜C8)アルキル-C(O)OR5、(C1〜C8)アルキル-O(CO)R5又はC(O)OR5であり;
R4は、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、(C1〜C4)アルキル-OR5、ベンジル、アリール、(C0〜C4)アルキル-(C1〜C6)ヘテロシクロアルキル又は(C0〜C4)アルキル-(C2〜C5)ヘテロアリールであり;
R5は、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、ベンジル、アリール、又は(C2〜C5)ヘテロアリールであり;
R6の各基は、独立に、H、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、ベンジル、アリール、(C2〜C5)ヘテロアリール又は(C0〜C8)アルキル-C(O)O-R5であるか、或いはR6基が結合して、ヘテロシクロアルキル基を形成することが可能であり;
nは、0又は1であり;
*は、キラル-炭素中心を表す。)。
【0037】
式IIの具体的な化合物において、nが0の場合は、R1は、(C3〜C7)シクロアルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、ベンジル、アリール、(C0〜C4)アルキル-(C1〜C6)ヘテロシクロアルキル、(C0〜C4)アルキル-(C2〜C5)ヘテロアリール、C(O)R3、C(O)OR4、(C1〜C8)アルキル-N(R6)2、(C1〜C8)アルキル-OR5、(C1〜C8)アルキル-C(O)OR5、C(S)NHR3又は(C1〜C8)アルキル-O(CO)R5であり;
R2は、H又は(C1〜C8)アルキルであり;
R3は、(C1〜C8)アルキル、(C3〜C7)シクロアルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、ベンジル、アリール、(C0〜C4)アルキル-(C1〜C6)ヘテロシクロアルキル、(C0〜C4)アルキル-(C2〜C5)ヘテロアリール、(C5〜C8)アルキル-N(R6)2、(C0〜C8)アルキル-NH-C(O)O-R5、(C1〜C8)アルキル-OR5、(C1〜C8)アルキル-C(O)OR5、(C1〜C8)アルキル-O(CO)R5又はC(O)OR5であり、他の可変部分も同じ定義を有する。
【0038】
式IIの他の具体的な化合物において、R2は、H又は(C1〜C4)アルキルである。
【0039】
式IIの他の具体的な化合物において、R1は、(C1〜C8)アルキル又はベンジルである。
【0040】
式IIの他の具体的な化合物において、R1は、H、(C1〜C8)アルキル、ベンジル、CH2OCH3、CH2CH2OCH3、又は
【化5】

である。
【0041】
式IIの他の具体的な化合物において、R1は、
【化6】

である
(式中、QはO又はSであり、R7の各基は、独立に、H、(C1〜C8)アルキル、(C3〜C7)シクロアルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、ベンジル、アリール、ハロゲン、(C0〜C4)アルキル-(C1〜C6)ヘテロシクロアルキル、(C0〜C4)アルキル-(C2〜C5)ヘテロアリール、(C0〜C8)アルキル-N(R6)2、(C1〜C8)アルキル-OR5、(C1〜C8)アルキル-C(O)OR5、(C1〜C8)アルキル-C(CO)R5又はC(O)R5、或いはR7の隣接基を合わせて、二環式アルキル又はアリール環を形成することが可能である。)。
【0042】
式IIの他の具体的な化合物において、R1はC(O)R3である。
【0043】
式IIの他の具体的な化合物において、R3は、(C0〜C4)アルキル-(C2〜C5)ヘテロアリール、(C1〜C8)アルキル、アリール又は(C0〜C4)アルキル-OR5である。
【0044】
式IIの他の具体的な化合物において、ヘテロアリールは、ピリジル、フリル又はチエニルである。
【0045】
式IIの他の具体的な化合物において、R1はC(O)OR4である。
【0046】
式IIの他の具体的な化合物において、C(O)NHC(O)のHを(C1〜C4)アルキル、アリール又はベンジルで置換することが可能である。
【0047】
また、この群の化合物の例としては、[2-(2,6-ジオキソ-ピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4-イルメチル]-アミド;(2-(2,6-ジオキソ-ピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4-イルメチル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル;4-(アミノメチル)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン;N-(2-(2,6-ジオキソ-ピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4-イルメチル)-アセトアミド;N-{(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル)-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)メチル}シクロプロピル-カルボキサミド;2-クロロ-N-{(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)メチル}アセトアミド;N-(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)-3-ピリジルカルボキサミド;3-{1-オキソ-4-(ベンジルアミノ)イソインドリン-2-イル}ピペリジン-2,6-ジオン;2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-4-(ベンジルアミノ)イソインドリン-1,3-ジオン;N-{(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)メチル}プロパンアミド;N-{(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)メチル}-3-ピリジルカルボキサミド;N-{(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)メチル}ヘプタンアミド;N-{(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)メチル}-2-フリルカルボキサミド;{N-(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)カルバモイル}メチル酢酸;N-(2-(2,6-ジオキソ(3ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)ペンタンアミド;N-(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)-2-チエニルカルボキサミド;N-{[2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル]メチル}(ブチルアミノ)カルボキサミド;N-{[2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル]メチル}(オクチルアミノ)カルボキサミド;及びN-{[2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル]メチル}(ベンジルアミノ)カルボキサミドが挙げられるが、それらに限定されない。
【0048】
本発明のさらに他の具体的な免疫調節化合物は、それぞれが引用により本明細書中に組み込まれている米国特許出願公開第2002/0045643号、国際公開第WO98/54170号及び米国特許第6,395,754号に開示されている一群のイソインドール-イミドに属する。代表的な化合物は、式IIIの化合物、並びにその医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、ラセミ体、及び立体異性体の混合物である:
【化7】

(式中、X及びYの一方はC=Oであり、他方は、CH2又はC=Oであり;
Rは、H又はCH2OCOR'であり;
(i)R1、R2、R3又はR4の各々は、互いに独立に、ハロ、炭素原子数1〜4のアルキル、又は炭素原子数1〜4のアルコキシであるか、或いは(ii)R1、R2、R3又はR4の1つは、ニトロ又は-NHR5であり、R1、R2、R3又はR4の残りは水素であり;
R5は、水素、又は炭素原子数1〜8のアルキルであり;
R6は、水素、炭素原子数1〜8のアルキル、ベンゾ、クロロ又はフルオロであり、
R'は、R7-CHR10-N(R8R9)であり;
R7は、m-フェニレン又はp-フェニレン又は-(CnH2n)-であり、nは、0から4の値であり;
互いに独立にとらえたR8及びR9の各々は、水素、又は炭素原子数1〜8のアルキルであるか、或いは合わせてとらえたR8及びR9は、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン又は-CH2CH2X1CH2CH2-であり、X1は-O-、-S-又は-NH-であり;
R10は、水素、炭素原子数〜8のアルキル、又はフェニルであり;
*は、キラル-炭素中心を表す。)。
【0049】
他の代表的な化合物は、以下の式の化合物である:
【化8】

(式中、X及びYの一方はC=Oであり、X及びYの他方はC=O又はCH2であり;
(i)R1、R2、R3又はR4の各々は、互いに独立に、ハロ、炭素原子数1〜4のアルキル、又は炭素原子数1〜4のアルコキシであるか、或いは(ii)R1、R2、R3及びR4の1つは、-NHR5であり、R1、R2、R3及びR4の残りは水素であり;
R5は水素、又は炭素原子数1〜8のアルキルであり;
R6は水素、炭素原子数1〜8のアルキル、ベンゾ、クロロ又はフルオロであり;
R7は、m-フェニレン又はp-フェニレン又は-(CnH2n)-であり、nは、0から4の値であり;
互いに独立にとらえたR8及びR9の各々は、水素、又は炭素原子数1〜8アルキルであり、或いは合わせてとらえたR8及びR9は、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン又は-CH2CH2X1CH2CH2-であり、X1は-O-、-S-又は-NH-であり;
R10は、水素、炭素原子数〜8のアルキル、又はフェニルである。)。
【0050】
他の代表的な化合物は、以下の式の化合物である:
【化9】

(式中、X及びYの一方はC=Oであり、X及びYの他方はC=O又はCH2であり;
R1、R2、R3及びR4の各々は、互いに独立に、ハロ、炭素原子数1〜4のアルキル、又は炭素原子数1〜4のアルコキシであるか、或いは(ii)R1、R2、R3及びR4の1つは、ニトロ又は保護アミノであり、R1、R2、R3及びR4の残りは、水素であり;
R6は水素、炭素原子数1〜8のアルキル、ベンゾ、クロロ又はフルオロである。)。
【0051】
他の代表的な化合物は、以下の式の化合物である:
【化10】

(式中、X及びYの一方はC=Oであり、X及びYの他方はC=O又はCH2であり;
(i)R1、R2、R3及びR4の各々は、互いに独立に、ハロ、炭素原子数1〜4のアルキル、又は炭素原子数1〜4のアルコキシであるか、或いは(ii)R1、R2、R3及びR4の1つは、-NHR5であり、R1、R2、R3及びR4の残りは水素であり;
R5は水素、炭素原子数1〜8のアルキル、又はCO-R7-CH(R10)NR8R9であり、R7、R8、R9及びR10の各々は、本明細書に定められている通りであり;
R6は、炭素原子数1〜8のアルキル、ベンゾ、クロロ又はフルオロである。)。
【0052】
それらの化合物の具体的な例は、以下の式の化合物である:
【化11】

(式中、X及びYの一方はC=Oであり、X及びYの他方はC=O又はCH2であり;
R6は水素、炭素原子数1〜8のアルキル、ベンジル、クロロ又はフルオロであり;
R7は、m-フェニレン、p-フェニレン又は-(CnH2n)-であり、nは、0から4の値であり;
互いに独立にとらえたR8及びR9の各々は、水素、又は炭素原子数1〜8のアルキルであり、或いは合わせてとらえたR8及びR9は、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン又は-CH2CH2X1CH2CH2-であり、X1は-O-、-S-又は-NH-であり;
R10は、水素、炭素原子数1〜8のアルキル、又はフェニルである。)。
【0053】
本発明の最も好ましい免疫調節化合物は、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン及び3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロイソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンである。それらの化合物は、標準的な合成法(例えば引用により本明細書中に組み込まれている米国特許第5,635,517号を参照)により得ることが可能である。それらの化合物は、Celgene Corporation(NJ(ニュージャージー)州Warren)から入手可能である。4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンは、以下の化学構造を有する。
【化12】

【0054】
化合物3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンは、以下の化学構造を有する。
【化13】

【0055】
他の実施態様において、本発明の具体的な免疫調節化合物は、引用により本明細書中に組み込まれている、2005年5月5日に公開された米国特許公開第2005-0096351号A1に開示されている形態A、B、C、D、E、F、G及びHなどの3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの多型形態を包含する。例えば3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの形態Aは、非水性溶媒系から得ることが可能である非溶媒和結晶性物質である。形態Aは、約8、14.5、16、17.5、20.5、24及び26度(2θ)に大きなピークを含むX線粉末回折パターンを有し、示差走査熱分析の溶融最高温度が約270℃である。形態Aは弱い吸湿性か、又は非吸湿性であり、これまでに開示されている3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの、最も熱力学的に安定な無水多型であることが明らかである。
【0056】
3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの形態Bは、限定されるものではないがヘキサン、トルエン及び水を含む様々な溶媒系から得ることが可能である半水和結晶性物質である。形態Bは、約16、18、22及び27度(2θ)に大きなピークを含むX線粉末回折パターンを有し、且つDSC曲線からの吸熱は約146及び268℃であり、脱水と特定され、高温顕微鏡検査によって融解する。相互変換研究によれば、水性溶媒系において形態Bは形態Eへ変換し、アセトン及び他の無水系においては他の形態へ変換することが示されている。
【0057】
3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの形態Cは、限定されるものではないがアセトンなどの溶媒から得ることが可能である半溶媒和結晶性物質である。形態Cは、約15.5及び25度(2θ)に大きなピークを含むX線粉末回折パターンを有し、示差走査熱分析の溶融最高温度が約269℃である。形態Cは吸湿性でなく、RHは約85%以下であるが、より高い相対的吸湿性の形態Bに変換することが可能である。
【0058】
3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの形態Dは、アセトニトリルと水との混合物から調製された結晶性の溶媒和多型である。形態Dは、約27及び28度(2θ)に大きなピークを含むX線粉末回折パターンを有し、示差走査熱分析の溶融最高温度が約270℃である。形態Dは弱い吸湿性か、又は非吸湿性であり、典型的にストレスを受けるとより高い相対的吸湿性の形態Bに変換することが可能である。
【0059】
3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの形態Eは、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンを水中でスラリー化したり、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンをアセトンと水の割合が約9:1の溶媒系においてゆっくり蒸発させることによって得ることが可能である二水和結晶性物質である。形態Eは、約20、24.5及び29度(2θ)に大きなピークを含むX線粉末回折パターンを有し、示差走査熱分析の溶融最高温度が約269℃である。形態Eはアセトン溶媒系において形態Cに変換し、THF溶媒系においては形態Gに変換する。水性溶媒系では、形態Eは最も安定な形態であることが明らかである。形態Eに対して行った脱溶媒和実験では、約125℃で約5分間加熱した際、形態Eは形態Bへ変換可能であることが示されている。175℃で約5分間加熱した場合は、形態Bは形態Fに変換することが可能である。
【0060】
3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの形態Fは、形態Eの脱水により得ることが可能である非溶媒和結晶性物質である。形態Fは、約19、19.5及び25度(2θ)に大きなピークを含むX線粉末回折パターンを有し、示差走査熱分析の溶融最高温度が約269℃である。
【0061】
3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの形態Gは、限定されるものではないがテトラヒドロフラン(THF)などの溶媒中で形態B及びEをスラリー化することにより得ることが可能である非溶媒和結晶性物質である。形態Gは、約21、23及び24.5度(2θ)に大きなピークを含むX線粉末回折パターンを有し、示差走査熱分析の溶融最高温度が約267℃である。
【0062】
3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの形態Hは、形態Eを0%の相対湿度に曝すことによって得ることが可能である部分水和(約0.25モル)結晶性物質である。形態Hは、約15、26及び31度(2θ)に大きなピークを含むX線粉末回折パターンを有し、示差走査熱分析の溶融最高温度が約269℃である。
【0063】
本発明の他の具体的な免疫調節化合物としては、それぞれが引用により本明細書中に組み込まれている米国特許第5,874,448号及び5,955,476号に開示されているような1-オキソ-2-(2,6-ジオキソ-3-フルオロピペリジン-3-イル)イソインドリン及び1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジオキソ-3-フルオロピペリジン-3-イル)イソインドリンが挙げられるが、それらに限定されない。代表的な化合物は以下の式の化合物である:
【化14】

(式中、Yは、酸素又はH2であり;
R1、R2、R3及びR4の各々は、互いに独立に、水素、ハロ、炭素原子数1〜4のアルキル、炭素原子数1〜4のアルコキシ、又はアミノである。)。
【0064】
本発明の他の具体的な免疫調節化合物は、引用により本明細書中に組み込まれている米国特許第5,798,368号に記載されている四置換2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリンが挙げられるが、それらに限定されない。代表的な化合物は、以下の式の化合物である:
【化15】

(式中、R1、R2、R3及びR4の各々は、互いに独立に、ハロ、炭素原子数1〜4のアルキル、又は炭素原子数1〜4のアルコキシである。)。
【0065】
本発明の他の具体的な免疫調節化合物は、引用により本明細書中に組み込まれている米国特許第6,403,613号に記載されている1-オキソ及び1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリンが挙げられるが、それらに限定されない。代表的な化合物は、以下の式の化合物である:
【化16】

(式中、Yは、酸素又はH2であり;
R1及びR2の第1の基は、ハロ、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノ又はカルバモイルであり、R1及びR2の第2の基は、第1の基とは独立に、水素、ハロ、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノ又はカルバモイルであり;
R3は、水素、アルキル又はベンジルである。)。
【0066】
具体的な化合物の例は、以下の式の化合物である:
【化17】

(式中、R1及びR2の第1の基は、ハロ、炭素原子数1〜4のアルキル、炭素原子数1〜4のアルコキシ、各アルキルの炭素原子数が1〜4のジアルキルアミノ、シアノ又はカルバモイルであり;
R1及びR2の第2の基は、第1の基とは独立に、水素、ハロ、炭素原子数1〜4のアルキル、炭素原子数1〜4のアルコキシ、アルキルの炭素原子数が1〜4のアルキルアミノ、各アルキルの炭素原子数が1〜4のジアルキルアミノ、シアノ又はカルバモイルであり;
R3は、水素、炭素原子数1〜4のアルキル、又はベンジルである。)。具体的な例としては、1-オキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-メチルイソインドリンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0067】
他の代表的な化合物は、以下の式の化合物である:
【化18】

(式中、R1及びR2の第1の基は、ハロ、炭素原子数1〜4のアルキル、炭素原子数1〜4のアルコキシ、各アルキルの炭素原子数が1〜4のジアルキルアミノ、シアノ又はカルバモイルであり;
R1及びR2の第2の基は、第1の基とは独立に、水素、ハロ、炭素原子数1〜4のアルキル、炭素原子数1〜4のアルコキシ、アルキルの炭素原子数が1〜4のアルキルアミノ、各アルキルの炭素原子数が1〜4のジアルキルアミノ、シアノ又はカルバモイルであり;
R3は、水素、炭素原子数1〜4のアルキル、又はベンジルである。)。
【0068】
本発明の他の具体的な免疫調節化合物としては、引用により本明細書中に組み込まれている米国特許第6,380,239号及び2006年4月20日に公開された同時係属米国公開第2006-0084815号A1に記載されているインドリン環の4位又は5位が置換された1-オキソ及び1,3-ジオキソイソインドリンが挙げられるが、それらに限定されない。代表的な化合物は、以下の式の化合物、及びその塩である:
【化19】

(式中、C*で示される炭素原子は、(nが0でなく、R1がR2と同じでない場合に)キラル中心を構成し;X1及びX2の一方は、アミノ、ニトロ、炭素原子数1〜6のアルキル、又はNH-Zであり、X1及びX2の他方は、水素であり;R1及びR2の各々は、互いに独立に、ヒドロキシ又はNH-Zであり;R3は、水素、炭素原子数1〜6のアルキル、ハロ又はハロアルキルであり;Zは水素、アリール、炭素原子数1〜6のアルキル、ホルミル、又は炭素原子数1〜6のアシルであり;nは、0、1又は2の値を有し;X1がアミノであり、nが1又は2である場合は、R1及びR2は、共にヒドロキシではない。)。
【0069】
さらなる代表的な化合物は、以下の式の化合物である:
【化20】

(式中、C*で示される炭素原子は、nが0でなく、R1がR2でない場合にキラル中心を構成し;X1及びX2の一方は、アミノ、ニトロ、炭素原子数1〜6のアルキル、又はNH-Zであり、X1及びX2の他方は、水素であり;R1及びR2の各々は、互いに独立に、ヒドロキシ又はNH-Zであり;R3は、炭素原子数1〜6のアルキル、ハロ又は水素であり;Zは水素、アリール、又は炭素原子数1〜6のアルキル若しくはアシルであり;nは、0、1又は2の値を有する。)。
【0070】
具体的な例としては、それぞれ以下の構造を有する2-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-4-カルバモイル-酪酸及び4-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-4-カルバモイル-酪酸、並びにそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、プロドラッグ及び立体異性体が挙げられるが、それらに限定されない。
【化21】

【0071】
他の代表的な化合物は、以下の式の化合物、及びその塩である:
【化22】

(式中、C*で示される炭素原子は、nが0でなく、R1がR2でない場合にキラル中心を構成し;X1及びX2の一方は、アミノ、ニトロ、炭素原子数1〜6のアルキル、又はNH-Zであり、X1及びX2の他方は、水素であり;R1及びR2の各々は、互いに独立に、ヒドロキシ又はNH-Zであり;R3は、炭素原子数1〜6のアルキル、ハロ又は水素であり;Zは水素、アリール、又は炭素原子数1〜6のアルキル若しくはアシルであり;nは、0、1又は2の値を有する。)。
【0072】
具体的な例としては、それぞれ以下の構造を有する4-カルバモイル-4-{4-[(フラン-2-イル-メチル)-アミノ]-1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル}-酪酸、4-カルバモイル-2-{4-[(フラン-2-イル-メチル)-アミノ]-1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル}-酪酸、2-{4-[(フラン-2-イル-メチル)-アミノ]-1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル}-4-フェニルカルバモイル-酪酸、及び2-{4-[(フラン-2-イル-メチル)-アミノ]-1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル}-ペンタン二酸、並びにそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、プロドラッグ及び立体異性体が挙げられるが、それらに限定されない。
【化23】

【0073】
それらの化合物の他の具体的な例は、以下の式の化合物である:
【化24】

(式中、X1及びX2の一方は、ニトロ又はNH-Zであり、X1及びX2の他方は、水素であり;
R1及びR2の各々は、互いに独立に、ヒドロキシ又はNH-Zであり;
R3は、炭素原子数1〜6のアルキル、ハロ又は水素であり;
Zは、水素、フェニル、炭素原子数1〜6のアシル、又は炭素原子数1〜6のアルキルであり;
nは、0、1又は2の値を有し;
X1及びX2の一方がニトロであり、nが1又は2である場合は、R1及びR2は、ヒドロキシ以外であり;
-COR2及び-(CH2)nCOR1が異なる場合は、C*で示される炭素原子は、キラル中心を構成する。)。他の代表的な化合物は、以下の式の化合物である:
【化25】

(式中、X1及びX2の一方は、炭素原子数1〜6のアルキルであり;
R1及びR2の各々は、互いに独立に、ヒドロキシ又はNH-Zであり;
R3は、炭素原子数1〜6のアルキル、ハロ又は水素であり;
Zは、水素、フェニル、炭素原子数1〜6のアシル、又は炭素原子数1〜6のアルキルであり;
nは、0、1又は2の値を有し;
-COR2及び-(CH2)nCOR1が異なる場合は、C*で示される炭素原子は、キラル中心を構成する。)。
【0074】
本発明のさらに他の具体的な免疫調節化合物としては、引用により本明細書中に組み込まれている米国特許第6,458,810号に記載されている2位が2,6-ジオキソ-3-ヒドロキシピペリジン-5-イルで置換されたイソインドリン-1-オン及びイソインドリン-1,3-ジオンが挙げられるが、それらに限定されない。代表的な化合物は、以下の式の化合物である:
【化26】

(式中、*で示される炭素原子は、キラル中心を構成し;
Xは、-C(O)-又は-CH2-であり;
R1は、炭素原子数1〜8のアルキル、又は-NHR3であり;
R2は、水素、炭素原子数1〜8のアルキル、又はハロゲンであり、
R3は、水素であり;
無置換の炭素原子数1〜8のアルキル、又は炭素原子数1〜8のアルコキシ、ハロ、アミノ、若しくは炭素原子数1〜4のアルキルアミノで置換された、炭素原子数1〜8のアルキル;
炭素原子数3〜18のシクロアルキル;
無置換フェニル、又は炭素原子数1〜8のアルキル、炭素原子数1〜8のアルコキシ、ハロ、アミノ、若しくは炭素原子数1〜4のアルキルアミノで置換されたフェニル;
無置換ベンジル、又は炭素原子数1〜8のアルキル、炭素原子数1〜8のアルコキシ、ハロ、アミノ、若しくは炭素原子数1〜4のアルキルアミノで置換されたベンジル、或いは-COR4であり;
R4は、水素であり;
無置換の炭素原子数1〜8のアルキル、又は炭素原子数1〜8のアルコキシ、ハロ、アミノ、若しくは炭素原子数1〜4のアルキルアミノで置換された、炭素原子数1〜8のアルキル;
炭素原子数3〜18のシクロアルキル;
無置換フェニル、又は炭素原子数1〜8のアルキル、炭素原子数1〜8のアルコキシ、ハロ、アミノ、若しくは炭素原子数1〜4のアルキルアミノで置換されたフェニル;或いは
無置換ベンジル、又は炭素原子数1〜8のアルキル、炭素原子数1〜8のアルコキシ、ハロ、アミノ、若しくは炭素原子数1〜4のアルキルアミノで置換されたベンジルである。)。
【0075】
本発明の化合物は商業的に購入するか、又は本明細書に開示されている特許又は特許公開に記載されている方法に従って調製することが可能である。さらに、公知の分割剤又はキラルカラム、並びに他の標準的な合成有機化学技術を用いて、光学的に純粋な化合物を非対称的に合成又は分割することが可能である。
【0076】
本発明の様々な免疫調節化合物は、1つ以上のキラル中心を含み、鏡像異性体のラセミ混合物又はジアステレオ異性体の混合物として存在することが可能である。本発明は、当該化合物の立体異性的に純粋な形態の使用、並びにそれらの形態の混合物の使用を包含する。例えば等量又は不等量の本発明の特定の免疫調節化合物の鏡像異性体を含む混合物を本発明の方法及び組成物に使用することができる。キラルカラム又はキラル分割剤などの標準的な技術を使用してこれらの異性体を非対称的に合成又は分解することができる。例えばJacques, J.らの文献、「鏡像異性体、ラセミ体、及び分割(Enantiomers, Racemates and Resolutions)」(Wiley-Interscience, New York, 1981)、Wilen, S. H.らの論文, Tetrahedron 33: 2725 (1977)、Eliel, E.L.の文献,「炭素化合物の立体化学(Stereochemistry of Carbon Compounds)」(McGraw-Hill, NY, 1962)及びWilen, S.H.の文献,「分割剤、及び光学分割の表(Tables of Resolving Agents and optical Resolutions)」, 268頁 (E.L. Eliel編, Univ. of Notre Dame Press, Notre Dame, IN, 1972)を参照されたい。
【0077】
描写の構造とその構造に与えられた名称との間に相違がある場合は、描写の構造がより重要視されることに留意されたい。加えて、構造又は構造の一部の立体化学が、例えば太線又は点線で示されていない場合は、その構造又は構造の一部は、そのすべての立体異性体を包含するものと解釈される。
【0078】
(4.3 第2の活性剤)
本発明の方法では、免疫調節化合物を他の薬理活性化合物(第2の活性剤)と併用することが可能である。特定の組合せは、スピロヘータ及び/又は他の偏性細胞内細菌性疾患の治療、予防及び/又は管理に相乗的に作用すると考えられている。また、免疫調節化合物は特定の第2の活性剤に伴う有害作用を軽減する働きをすることが可能であり、いくつかの第2の活性剤は免疫調節化合物に伴う有害作用を軽減するために使用可能である。
【0079】
本発明の方法においては、1以上の第2の有効成分又は薬剤を免疫調節化合物とともに使用することが可能である。第2の活性剤は、大分子(例えばタンパク質)又は小分子(例えば合成無機、有機金属、又は有機分子)であり得る。
【0080】
本発明の一実施態様では、第2の活性剤は免疫調節化合物の投与に伴う有害作用を軽減、除去又は防止する。特定の免疫調節化合物及び治療される疾患又は障害によって、有害作用としては、傾眠及び催眠、めまい及び起立性低血圧症、好中球減少症;好中球減少症、HIVウイルス量の増加、徐脈、スチィーヴンズ-ジョンソン症候群及び毒性表皮壊死症を原因とする感染、並びに発作(例えば大発作痙攣)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0081】
具体的な第2の活性剤としては、限定されるものではないがアンピシリン、テトラサイクリン、ペニシリン、セファロスポリン、ストレプトマイシン、クラリスロマイシン、カナマイシン、エリスロマイシン、アジスロマイシン、ドキシサイクリン、セフトリアキソン、オフロキサシン、及びレボフロキサシンなどの治療用又は予防用抗生物質が挙げられるが、それらに限定されない。
【0082】
一実施態様において、本発明は、スピロヘータ又はその他の偏性細胞内細菌性疾患を治療又は管理する方法あって、それを必要とする患者に治療有効量の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性体、若しくはプロドラッグ、並びに第2の活性剤を投与することを含む方法を包含する。第2の活性剤の例としては、アンピシリン、テトラサイクリン、ペニシリン、セファロスポリン、ストレプトマイシン、カナマイシン、エリスロマイシン、アジスロマイシン、ドキシサイクリン、セフトリアキソン、オフロキサシン、及びレボフロキサシンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0083】
一実施態様において、本発明は、スピロヘータ又はその他の偏性細胞内細菌性疾患を予防する方法であって、それを必要とする患者に予防有効量の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性体、若しくはプロドラッグ、並びに第2の活性剤を投与することを含む方法を包含する。第2の活性剤の例としては、アンピシリン、テトラサイクリン、ペニシリン、セファロスポリン、ストレプトマイシン、カナマイシン、エリスロマイシン、アジスロマイシン、ドキシサイクリン、セフトリアキソン、オフロキサシン、及びレボフロキサシンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0084】
(4.4 治療及び予防の方法)
本発明の方法は、様々なスピロヘータ及び/又はその他の偏性細胞内細菌性疾患又は障害を治療、予防及び/又は管理する方法を包含する。
【0085】
本発明により包含される方法は、スピロヘータ及び/又はその他の偏性細胞内細菌性疾患又は障害に罹患している、又は罹患しているおそれのある患者(例えば、ヒト)に対して、本発明の1以上の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性体、若しくはプロドラッグを投与することを含む。
【0086】
特定の理論に制限されることなく、本発明で使用される化合物は、NK細胞に直接的に作用することによって、又は順次NK細胞の機能能力を増強できるサイトカインの産生を刺激することによって、NK細胞の機能能力を増強する能力があると考えられる。この強化された自然免疫応答が、本発明で使用される化合物の効力の原因であると考えられる。
【0087】
本発明の一実施態様は、本明細書中に記載のスピロヘータ細菌性疾患であるライム病の治療、予防及び/又は管理を包含する。本発明の別の実施態様は、ライム病に付随する症状の治療、予防及び/又は管理を包含する。
【0088】
本発明の一実施態様は、スピロヘータ細菌性疾患である回帰熱の治療、予防及び/又は管理を包含する。回帰熱は、1世紀以上にわたりマダニ媒介性疾患として認識され、米国を始めとする世界中で観察されてきた。回帰熱をもたらす細菌は、いくつかのボレリア(Borrelia)菌株の任意の1つに由来し、一般には、形態及び生理学的にライム病をもたらす細菌に類似している。回帰熱のいくつかの変種は、シラミ媒介性でもある可能性がある。回帰熱の臨床的特徴としては、数ある症状の中でも、悪寒を伴う高発熱、頭痛、筋痛、関節痛及び咳が挙げられる(Parola及びRaoultの論文, Clin. Infect. Dis., 32: 897〜928 (2001)、及びステッドマン医学大辞典 (Stedman's Medical Dictionary)、26版、Williams及びWilkins、Baltimore (1995))。本発明の別の実施態様は、回帰熱に付随する症状の治療、予防及び/又は管理を包含する。
【0089】
本発明の一実施態様は、リケッチア症として知られている、偏性細胞内細菌性疾患の部類に由来する疾患の治療、予防及び/又は管理を包含する。リケッチア症は、最も古い既知の節足動物媒介性疾患に含まれる。マダニ媒介性リケッチア症は、アメリカ、ヨーロッパ、アジア及びアフリカで知られている。米国におけるリケッチア症の1つの顕著な形態が、デルマセントル(Dermacentor)属の2以上のマダニ種によって運ばれるリケッチア・リケッチイ(Rickettsia rickettsii)の感染によって引き起こされるロッキー山紅斑熱である。リケッチア症の典型的な臨床症状としては、発熱、頭痛、筋肉痛、発疹、局所リンパ節症、及びその他の症状が挙げられる。その他のタイプのリケッチア症としては、流行性発疹チフス、地方病性発疹チフス、都市チフス、草原性チフス、再燃チフス、東洋紅斑熱、メキシコチフス、オーストラリアマダニチフス、シュトゥットガルト病、ヨーロッパチフス、発疹チフス、ボタン熱、満州チフス、メキシコチフス、ツツガムシ病、リケッチア痘、小チフス、北クィーンズランドチフス、クィーンズランドマダニチフス、ブリル-ジンサー病、ショップチフス、及びシベリアマダニチフスが挙げられるが、それらに限定されない(Parola及びRaoultの論文, Clin. Infect. Dis., 32: 897〜928 (2001)、及びステッドマン医学大辞典 (Stedman's Medical Dictionary)、26版、Williams及びWilkins、Baltimore (1995))。本発明の別の実施態様は、リケッチア症に付随する症状の治療、予防及び/又は管理を包含する。
【0090】
本発明の一実施態様は、スピロヘータ細菌性疾患の1種であるレプトスピラ症の治療、予防及び/又は管理を包含する。ワイル病及びその他のタイプのレプトスピラ症は、レプトスピラ(Leptospira)属に由来するスピロヘータ細菌の感染によって引き起こされる。世界中で最も広範に拡がった人畜共通感染症であると推定されるレプトスピラ症は、温暖な気候でとりわけ一般的である。米国における最も高い発生は、Hawaii(ハワイ)州である。それは、感染動物の尿との直接的又は間接的接触によって拡がる。症状のスペクトルは、極めて広く、ワイル病では、重症症状を示す。レプトスピラ症の一般的症状としては、数ある中でも、発熱、悪寒、頭痛、筋痛、腹痛及び結膜紅潮が挙げられる。レプトスピラ症を有する患者のある割合が、黄疸及び5から10%の死亡率を伴う重症形態である黄疸形態の疾患を有する。レプトスピラ症は、ライム病のそれに類似した慢性症状を伴う可能性がある(Levett,P.N.の論文, Clin. Microbiol, Rev., 14 (2): 296〜326 (2001))。本発明の別の実施態様は、レプトスピラ症に付随する症状の治療、予防及び/又は管理を包含する。
【0091】
本発明の一実施態様は、偏性細胞内細菌性疾患であるクラミジアの治療、予防及び/又は管理を包含する。米国では毎年数百万人を襲う一般的な性行為媒介性疾患であるクラミジアは、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)種の細菌の感染に由来する。クラミジア感染症は、無症候性である場合もあるが、深刻な後遺症としては、数ある中でも、骨盤の炎症性疾患、子宮外妊娠、及び不妊又は不妊症を挙げることができる(Centers for Disease Control and Prevention, Morbidity and Mortality Weekly Report, 51 (RR-6); 1〜86 (2002))。本発明の別の実施態様は、クラミジアに付随する症状の治療、予防及び/又は管理を包含する。
【0092】
本発明の一実施態様は、スピロヘータ細菌性疾患である、梅毒、フランベジア、ピンタ及び/又はベジェルの治療、予防及び/又は管理を包含する。梅毒は、スピロヘータ細菌種トレポネーマ・パラジウム(Treponema palladium)の感染によって引き起こされる全身性性病である。一次感染に続いて、梅毒は、増大する症候の重症度により類別されるいくつかの感染段階として進行する。梅毒の様々な段階の徴候及び症状としては、数ある中でも、感染部位の潰瘍又は下疳、皮膚発疹、皮膚粘膜損傷、リンパ節症、並びに心臓、眼及び聴覚の異常が挙げられる。梅毒の任意の段階で起こり得る神経梅毒には、認知機能不全、運動又は感覚欠陥、脳神経麻痺、及び髄膜炎の症状又は徴候を伴う場合がある(Centers for Disease Control and Prevention, Morbidity and Mortality Weekly Report, 51 (RR-6); 1〜86 (2002))。非性病性形態の梅毒も知られている。ある種の非性病性梅毒である感染性熱帯性疾患、フランベジアは、スピロヘータのトレポネーマ・ペルテヌエ(Treponema pertenue)の感染によって引き起こされる。フランベジアの症状としては、四肢上の痂皮性肉芽種性潰瘍の発生が挙げられ、いくつかの場合には、骨の病変が生じることもある。非性病性梅毒のその他の種類としては、スピロヘータのT.カラテウム(T.carateum)によって引き起こされるピンタ、及びT.パラジウム(T.palladium)によって引き起こされるベジェルが挙げられる(ステッドマン医学大辞典 (Stedman's Medical Dictionary)、26版、Williams及びWilkins、Baltimore (1995))。本発明の別の実施態様は、梅毒、フランベジア、ピンタ及び/又はベジェルに付随する症状の治療、予防及び/又は管理を包含する。
【0093】
本発明の一実施態様は、歯周病として知られる細菌性疾患の治療、予防及び/又は管理を包含する。歯周病は、偏性細胞内細菌又はそれらの副産物を挙げることのできる細菌プラークの蓄積の結果としての、歯を取り囲む靭帯の慢性炎症を含む。それは、隣接歯上の細菌プラークに応答して発生し、数ある症状の中でも歯肉炎、歯槽骨及び歯周靭帯の破壊及び歯のゆるみによって特徴付けられる(ステッドマン医学大辞典 (Stedman's Medical Dictionary)、26版、Williams及びWilkins、Baltimore (1995))。本発明の別の実施態様は、歯周病に付随する症状の治療、予防及び/又は管理を包含する。
【0094】
本発明の一実施態様は、限定されるものではないがアナプラズマ(Anaplasma)、バルトネラ(Bartonella)、ボレリア(Borrelia)、クラミジア(Chlamydia)、コキシエラ(Coxiella)、エールリキア(Ehrlichia)、リケッチア(Rickettsia)、及びトレポネーマ(Treponema)属由来の細菌の感染によって引き起こされる偏性細胞内細菌性疾患及び障害の治療、予防及び/又は管理を包含する。本発明の別の実施態様は、限定されるものではないが上で言及した属由来の細菌の感染に付随する症状の治療、予防及び/又は管理を包含する。
【0095】
本発明の別の実施態様は、限定されるものではないがアナプラズマ・ファゴシトフィルム(Anaplasma phagocytophilum)、バルトネラ・クィンタナ(Bartonella quintana)、B.ヘンセラエ(B.henselae)、B.バシリフォルミス(B.bacilliformis)、B.エリザベータエ(B.elizabethae)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、B.カウカシカ(B.caucasica)、B.クロシドゥラエ(B.crocidurae)、B.ドットニイ(B.duttonii)、B.ヘルミシイ(B.hermsii)、B.ヒスパニカ(B.hispanica)、B.ラチシェウィ(B.latyschewii)、B.マゾッティ(B.mazzottii)、B.パルケリ(B.parkeri)、B.ペルシカ(B.persica)、B.レクレンチス(B.recurrentis)、B.ツリカタエ(B.turicatae)、B.ベネズエレンシス(B.venezuelensis)、クラミジア・ニューモニア(Chlamydia pneumoniae)、C.プシッタチ(C.psittaci)、C.トラコマチス(C.trachomatis)、コキシエラ・ブルネティ(Coxiella burnetti)、エールリヒア・カニス(Ehrlichia canis)、E.カフェエンシス(E.chaffeensis)、E.エウィンギイ(E.ewingii)、レプトスピラ・インテロガンス(Leptospira interrogans)、リケッチア・アカリ(Rickettsia akari)、R.アエストラリス(R.australis)、R.コノリイ(R.conorii)、R.ヤポニカ(R.japonica)、R.モッセリ(R.mosseri)、R.プロワゼキイ(R.prowazekii)、R.リケッチイ(R.rickettsii)、R.センネツ(R.sennetsu)、R.シビリカ(R.sibirica)、R.ツツガムシ(R.tsutsugamushi)、R.チフィ(R.typhi)、トレポネーマ・カラテウム(Treponema carateum)、T.パラジウム(T.palladium)、及びT.ペルテヌエ(T.pertenue)などの細菌の感染によって引き起こされる偏性細胞内細菌性疾患及び障害の治療、予防及び/又は管理を包含する。本発明の別の実施態様は、限定されるものではないが上述の細菌の感染に付随する症状の治療、予防及び/又は管理を包含する。
【0096】
本発明の別の実施態様は、限定されるものではないがアナプラズマ症、塹壕熱、猫ひっかき病、カリオン病、オロヤ熱、心内膜炎、ライム病、回帰熱、オウム病、クラミジア、Q熱、エールリヒア症、腺熱、レプトスピラ症、ワイル病、リケッチア症、リケッチア痘、ボタン熱、東洋紅斑熱、地方病性発疹チフス、流行性発疹チフス、再燃チフス、ブリル-ジンサー病、ロッキー山紅斑熱、ツツガムシ病、満州チフス、オーストラリアマダニチフス、シュトゥットガルト病、ヨーロッパチフス、発疹チフス、北クィーンズランドマダニチフス、クィーンズランドマダニチフス、ショップチフス、シベリアチフス、ピンタ、梅毒、フランベジア及び歯周病をはじめとする偏性細胞内細菌性疾患及び障害の治療、予防及び/又は管理を包含する。本発明の別の実施態様は、限定されるものではないが上述の偏性細胞内細菌性疾患及び障害に付随する症状の治療、予防及び/又は管理を包含する。
【0097】
スピロヘータ及び/又はその他の偏性細胞内細菌性疾患若しくは障害の予防を必要とする患者は、限定されるものではないが人口統計、遺伝因子、及び職場環境をはじめとする様々な因子に基づいて決定することができる。細菌への高レベルの曝露がありそうな地域に居住する又は旅行する者が当該患者の一例である。高レベルの細菌及びこのような細菌を伝播させ得る昆虫ベクターに典型的に曝露される者(例えば、風土病地域の研究者)は、やはり当該患者のもう一つの例である。
【0098】
本発明の一実施態様において、本発明の免疫調節化合物は、約0.10から約150mg/日の量を経口で、単一又は分割した日用量で投与され得る。特定の実施態様において、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドール-1,3-ジオンは、約0.1から約1mg/日の量、或いは1日おきに約0.1から約5mgの量で投与され得る。
【0099】
特定の実施態様において、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンは、約1から約25mg/日の量、或いは1日おきに約10から約50mgの量で投与され得る。別の実施態様において、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンは、約50mg/日の量で投与され得る。別の実施態様において、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンは、約25mg/日の量で投与され得る。別の実施態様において、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンは、約10mg/日の量で投与され得る。
【0100】
(4.4.1 第2の活性剤又は療法を用いる組合せ療法)
本発明の具体的な方法は、本発明の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性体、又はプロドラッグを、1以上の第2の活性剤又は他の療法と組み合わせて投与することを含む。本発明の免疫調節剤の例は、本明細書に開示されている(例えば、5.2の項を参照されたい)。第2の活性剤及び他の療法の例も本明細書に開示されている(例えば、5.3の項を参照されたい)。
【0101】
患者への免疫調節化合物及び第2の活性剤の投与を、同一又は異なる投与経路により同時に又は順次に行うことが可能である。特定の活性剤に対して採用される特定の投与経路の適合性は、活性剤自体(例えば血液流に入る前に分解することなく経口投与できるかどうか)、及び治療される疾病に依存することになる。本発明の免疫調節化合物の好ましい投与経路は、経口である。本発明の第2の活性剤又は成分の好ましい投与経路は、当業者によく知られている。例えば、「メルクマニュアル(The Merck Manual)」, 1023-1041 (第17版, 1999)を参照されたい。
【0102】
投与される第2の活性剤の量は、使用される特定の薬剤、治療又は管理される疾病の種類、疾病の重篤度及び病期、並びに患者に対して同時投与される本発明の免疫調節化合物及び任意の随意の追加的な活性剤の量に基づいて決定することができる。当業者ならば、当技術分野で公知の常法に従って具体的な量を決定することができる。最初はその療法に通常使用される第2の活性剤の量から始め、前記の因子に従って量を調整する。例えば、「医師用卓上参考書(Physician's Desk Reference)」(第56版, 2004)を参照されたい。
【0103】
本発明の一実施態様において、第2の活性剤は静脈又は皮下投与され、約1から約1000mg、約5から約500mg、約10から約350mg、又は約50又は約200mgの量を毎日1回又は2回投与される。第2の活性剤の具体的な量は、使用される具体的な薬剤、治療又は管理される疾病の種類、疾病の重篤度及び病期、並びに患者に対して同時に投与される本発明の免疫調節化合物及び任意の随意の追加的な活性剤の量に依存することになる。
【0104】
一実施態様において、免疫調節化合物は約0.1から約150mg、好ましくは約1から約25mg、より好ましくは約2から約10mgの量で、単独又は本明細書に開示されている第2の活性剤(例えば、5.3の項を参照されたい)と組み合わせて、通常の療法の前、最中、又は後に毎日経口投与することができる。
【0105】
(4.4.2 繰り返し療法)
特定の実施態様において、本発明の予防又は治療薬剤が患者に繰り返して投与される。繰返し療法は、一定期間にわたって活性剤を投与した後に、一定期間休止し、この一連の投与を繰り返すことを含む。繰り返し療法は、1つ以上の療法に対する抵抗の発生を抑え、療法の1つの副作用を回避又は低減し、且つ/又は治療の効果を向上させることが可能である。
【0106】
その結果、本発明の1つの具体的な実施態様において、本発明の免疫調節化合物は、約1週間又は2週間の休止期間を含む4から6週間サイクルで、単一又は分割用量を毎日投与される。本発明は、さらに、投与サイクルの頻度、数及び長さを増加させることを可能にする。したがって、本発明の他の具体的な実施態様は、単独で投与する場合に、典型的な場合に比べてより多くのサイクルに対して本発明の免疫調節化合物を投与することを包含する。さらに他の具体的な実施態様において、本発明の免疫調節化合物は、通常第2の活性成分が投与されていない患者では容量規定毒性を引き起こすであろう、より多くのサイクルについて投与される。
【0107】
一実施態様において、本発明の免疫調節化合物は、約0.1から約150mgの用量で毎日、又は3から4週間連続的に投与された後に1から2週間休止される。4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンは、好ましくは、初期用量を0.1から5mg/日として、療法に絶えられる限り(毎週)1から10mg/日ずつ最大50mg/日まで増加させながら毎日且つ連続的に投与される。特定の実施態様において、3-(4-アミノ-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンは、約1、5、10又は25mg/日、好ましくは約10mg/日の用量で4から6週間サイクルのうち3から4週間にわたって投与された後に、1から2週間休止される。
【0108】
本発明の一実施態様において、本発明の免疫調節化合物及び第2の活性成分は、4から6週間のサイクルを通じて、第2の活性成分の前に本発明の免疫調節化合物を30から60分間投与する形で経口投与される。本発明の他の実施態様において、本発明の免疫調節化合物と第2の活性成分との組合せが、サイクル毎に約90分間にわたって静脈注射される。具体的な実施態様において、1サイクルは、約1から約25mg/日の3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン及び約50から約200mg/m2/日の第2の活性成分を3から4週間にわたって毎日投与した後に1から2週間休止することを含む。他の具体的な実施態様において、各サイクルは、約5から約10mg/日の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン及び約50から約200mg/m2/日の第2の活性成分を3から4週間にわたって毎日投与した後に1から2週間休止することを含む。典型的には、組合せ治療が患者に投与される間のサイクルの数は、約1から約24サイクル、より典型的には約2から約16サイクル、さらにより典型的には4から3サイクルである。
【0109】
(4.5 医薬組成物及び剤形)
個別の単一単位剤形の調製に医薬組成物を使用することが可能である。本発明の医薬組成物及び剤形は、本発明の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性体、又はプロドラッグを含む。本発明の医薬組成物及び剤形は、1つ以上の賦形剤をさらに含むことが可能である。
【0110】
本発明の医薬組成物及び剤形は、1つ以上のさらなる活性成分を含むことも可能である。結果として、本発明の医薬組成物及び剤形は、本明細書に開示されている活性成分(例えば免疫調節化合物及び第2の活性剤)を含む。随意の第2の、又は追加的な活性成分の例は本明細書に開示されている(例えば、5.3の項を参照されたい)。
【0111】
本発明の単一単位剤形は、患者に対する経口、粘膜(例えば経鼻、舌下、腔口、頬又は直腸)、非経口(例えば皮下、静脈、静脈内ボーラス、筋肉内又は動脈内)、局所(例えば点眼剤又は他の眼科製剤)、経皮投与に好適である。剤形の例としては、下記のものが挙げられるが、それらに限定されない:錠剤;カプレット;軟弾性ゼラチンなどのカプセル;カシェ剤;トローチ;ロゼシジ;分散液;坐薬;粉末;煙霧剤(例えば経鼻スプレー又は吸入剤);ゲル;懸濁液(例えば水性又は非水性懸濁液、水中油エマルジョン又は油中水液体エマルジョン)、溶液及びエリキシルを含む、患者に対する経口又は粘膜投与に好適な液体剤形;患者に対する非経口投与に好適な液体剤形;局所投与に好適な点眼剤又は他の眼科製剤;並びに患者に対する非経口投与に好適な液体剤形を提供するように復元できる無菌固形物(例えば結晶又は非結晶固形物)である。
【0112】
本発明の剤形の組成、形状及び種類は、典型的にはそれらの用途に応じて変わることになる。例えば、疾病の急性治療に使用される剤形は、同じ疾病の慢性治療に使用される剤形よりも1つ以上の活性成分をより多く含有することができる。同様に、非経口剤形は、同じ疾病を治療するのに使用される経口剤形よりも1つ以上の活性成分をより少なく含有することができる。本発明に包含される具体的な剤形が互いに異なるこれら及び他の様式は、当業者に容易に理解されるであろう。例えば、「レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」, 第18版, Mack Publishing, PA(ペンシルバニア)州Easton (1990)を参照されたい。
【0113】
典型的な医薬組成物及び剤形は、1つ以上の賦形剤を含む。好適な賦形剤は、製薬業の当業者によく知られており、好適な賦形剤の非限定的な例が本明細書に提示されている。特定の賦形剤が、医薬組成物又は剤形への導入に好適であるかどうかは、その剤形が患者に投与される方式を含むが、それに限定されない、当該技術分野でよく知られている様々な因子に依存する。例えば、錠剤などの経口剤形は、非経口剤形での使用に適さない賦形剤を含有することができる。特定の賦形剤の適合性は、剤形における具体的な活性成分にも依存し得る。例えば、乳糖などのいくつかの賦形剤によって、又は水に曝露した場合に、いくつかの活性成分の分解が加速され得る。1級又は2級アミンを含む活性成分は、特にこうした加速分解をしやすい。結果的に、本発明は、乳糖及び他の単糖又は二糖類を含有していてもごくわずかしか含まない医薬組成物及び剤形を包含する。本明細書に用いられているように、「無乳糖」という用語は、乳糖が存在しているとしても、その量は、活性成分の分解速度を実質的に上昇させるのに不十分なものであることを意味する。
【0114】
本発明の無乳糖組成物は、当該技術分野でよく知られており、例えば米国薬局方(USP) 25-NF20 (2002)に列記されている賦形剤を含むことが可能である。概して、無乳糖組成物は、医薬として適合可能且つ医薬として許容し得る量の活性成分、結合剤/充填剤及び潤滑剤を含む。好ましい無乳糖剤形は、活性成分、微結晶セルロース、アルファ化デンプン、及びステアリン酸マグネシウムを含む。
【0115】
本発明は、水はいくつかの化合物の分解を促進させうるため、活性成分を含む無水医薬組成物及び剤形をさらに包含する。例えば、水を(例えば5%)添加することは、保存寿命、又は調合物の経時的安定性等の特性を決定付けるために長期保存をシミュレートする手段として医薬技術分野で広く受け入れられている。例えば、Jens T. Carstensen, 「薬剤安定性:原理及び実際(Drug Stability: Principles & Practice)」, 第2版, NY(ニューヨーク)州ニューヨークMarcel Dekker, 1995年, 379-80頁を参照されたい。実際、水及び熱は、いくつかの化合物の分解を加速させる。したがって、調合物の製造、処理、梱包、保管、出荷及び使用時に水分及び/又は湿気に触れることが多いため、調合物に対する水の影響は、極めて大きいことがある。
【0116】
本発明の無水医薬組成物及び剤形は、無水又は低水分含有成分及び低水分又は低湿度条件を用いて調製され得る。乳糖、及び1級又は2級アミンを含む少なくとも1つの活性成分を含む医薬組成物及び剤形は、製造、梱包及び/又は保管時に水分及び/又は湿気との実質的な接触が想定される場合は、無水であることが好ましい。
【0117】
無水医薬組成物は、その無水特性が維持されるように調製、且つ保管されるべきである。よって、無水組成物は、それらを好適な調合キットに含むことができるように、水への曝露を防止することが知られている材料を使用して梱包されるのが好ましい。好適な梱包の例としては、気密密封箔、プラスチック、単位容量容器(例えばバイアル)、ブリスタ包装及びストリップ包装が挙げられるが、それらに限定されない。
【0118】
本発明は、活性成分が分解する速度を低減する1つ以上の化合物を含む医薬組成物及び剤形をさらに包含する。本明細書において「安定剤」と称する当該化合物としては、アスコルビン酸などの酸化防止剤、pH緩衝剤又は塩緩衝剤が挙げられるが、それらに限定されない。
【0119】
賦形剤の量及び種類と同様に、剤形における活性成分の量及び具体的な種類は、患者に投与される経路を含むが、それらに限定されない要因に応じて異なることもある。しかし、本発明の典型的な剤形は、本発明の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性体、若しくはプロドラッグを約0.10から約150mg含む。典型的な剤形は、本発明の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性体若しくはプロドラッグを約0.1、1、2、5、7.5、10、12.5、15、17.5、20、25、50、100、150又は200mg含む。特定の実施態様において、剤形は、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンを約1、2、5、10、25又は50mg含む。特定の実施態様において、剤形は、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンを5、10、25又は50mg含む。典型的な剤形は、第2の活性成分を1から約1000mg、約5から約500mg、約10から約350mg、又は約50から約200mg含む。勿論、前記薬剤の具体的な量は、使用される具体的な薬剤、治療又は管理されている疾病及び障害の種類、並びに患者に対して同時に投与される本発明の免疫調節化合物及び任意の随意の追加的な活性剤の量に依存することになる。
【0120】
(4.5.1 経口剤形)
経口投与に好適である本発明の医薬組成物は、錠剤(例えば咀嚼性錠剤)、カプレット、カプセル及び液体(例えば矯味シロップ)を含むが、それらに限定されない個別の剤形として提供され得る。当該剤形は、所定量の活性成分を含有し、当業者によく知られている製薬方法で調製され得る。概略的に、「レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」, 第18版, Mack Publishing, PA(ペンシルバニア)州Easton (1990)を参照されたい。
【0121】
本発明の典型的な経口剤形は、均質混和剤中の活性成分と少なくとも1つの賦形剤とを従来の医薬調合技術に従って混合させることによって調製される。賦形剤は、投与に望まれる製剤の形態に応じて広範な形態をとることができる。例えば、経口液体又は噴霧剤形での使用に好適な賦形剤としては、水、グリコール、油、アルコール、香料、防腐剤及び着色剤が挙げられるが、それらに限定されない。固形経口剤形(例えば粉末、錠剤、カプセル及びカプレット)での使用に好適な賦形剤の例としては、デンプン、砂糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤及び崩壊剤が挙げられるが、それらに限定されない。
【0122】
錠剤及びカプセルは、投与が容易であるために、最も有利な経口剤形であり、その場合は固形賦形剤が採用される。望まれる場合は、標準的な水性又は非水性技術によって錠剤にコーティングすることが可能である。当該剤形は、製薬方法のいずれかによって調製され得る。概して、医薬組成物及び剤形は、活性成分と、液体担体、微粉化固体担体、又はその両方とを均一且つ密に混合し、次いでその生成物を必要に応じて所望の形に成形することによって調製される。
【0123】
例えば、錠剤を圧縮又は成形によって調製することが可能である。任意に賦形剤と混合された粉末又は顆粒などの自由流動形態の活性成分を好適な機械で圧縮することによって、圧縮錠剤を調製することが可能である。不活性液体希釈剤で湿潤させた粉末状化合物の混合物を好適な機械で成形することによって成形錠剤を製造することが可能である。
【0124】
本発明の経口剤形に使用できる賦形剤の例としては、結合剤、充填剤、崩壊剤及び潤滑剤が挙げられるが、それらに限定されない。医薬組成物及び剤形での使用に好適な結合剤としては、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン又は他のデンプン、ゼラチン、アカシアなどの天然及び合成ガム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、粉末状トラガカント、グアールガム、セルロース及びその誘導体(例えばエチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば第2208、2906及び2910)、微結晶セルロース、及びそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0125】
微結晶セルロースの好適な形態としては、AVICEL-PH-101、AVICEL-PH-103、AVICEL RC-581、AVICEL-PH-105(FMC Corporation,American Viscose Division,Avicel Sales、PA(ペンシルバニア)州Marcus Hookより入手可能)、及びそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。具体的な結合剤は、AVICEL RC-581として販売されている微結晶セルロースとナトリウムカルボキシメチルセルロースの混合物である。好適な無水又は低水分賦形剤又は添加剤としては、AVICEL-PH-103(商標)及びStarch1500LMが挙げられる。
【0126】
本明細書に開示されている医薬組成物及び剤形での使用に好適な充填剤の例としては、タルク、炭酸カルシウム(例えば顆粒又は粉末)、微結晶セルロース、粉末状セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、及びそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。本発明の医薬組成物における結合剤又は充填剤は、典型的には、医薬組成物又は剤形の約50から約99重量%存在する。
【0127】
水性環境に曝されると崩壊する錠剤を提供するために、本発明の組成物に崩壊剤が使用される。過大量の崩壊剤を含有する錠剤は、保管時に崩壊することがあり、過小量の崩壊剤を含有する錠剤は、所望の速度で、又は所望の条件下で崩壊しないことがある。したがって、活性成分の放出を不利に変化させるほど過大でもなく過小でもない十分量の崩壊剤を使用して、本発明の固体経口剤形を形成するべきである。使用される崩壊剤の量は、調合物の種類によって異なり、当業者にとって容易に区別可能である。典型的な医薬組成物は、約0.5から約15重量%の崩壊剤、好ましくは約1から約5重量%の崩壊剤を含む。
【0128】
本発明の医薬組成物及び剤形に使用できる崩壊剤としては、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモ又はタピオカデンプン、他のデンプン、アルファ化デンプン、他のデンプン、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ゴム、及びそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0129】
本発明の医薬組成物及び剤形に使用できる潤滑剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽鉱油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素化植物油(例えば落花生油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及びダイズ油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリル酸エチル、寒天、及びそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。さらなる潤滑剤としては、例えば、シロイドシリカゲル(W.R. Grace Co.(MD(メリーランド)州Baltimore)製AEROSIL200)、合成シリカの凝集噴霧剤(Degussa Co.(TX(テキサス)州Plano)により市販)、CAB-O-SIL(Cabot Co.(MA(マサチューセッツ)州Boston)が販売する焼成二酸化ケイ素生成物)、及びそれらの混合物が挙げられる。潤滑剤は、使用されるとしても、典型的には、それらが導入される医薬組成物又は剤形の約1重量%未満の量で使用される。
【0130】
本発明の好ましい固形経口剤形は、本発明の免疫調節化合物、無水乳糖、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸、コロイド無水シリカ及びゼラチンを含む。
【0131】
(4.5.2 遅延放出剤形)
本発明の活性成分は、当業者によく知られている制御放出手段又は送達デバイスによって投与され得る。例としては、それぞれ引用により本明細書中に組み込まれている米国特許第3,845,770号、3,916,899号、3,536,809号、3,598,123号、並びに4,008,719号、5,674,533号、5,059,595号、5,591,767号、5,120,548号、5,073,543号、5,639,476号、5,354,556号及び5,733,566号に記載されている活性成分が挙げられるが、それらに限定されない。前記剤形は、例えばヒドロプロピルメチルセルロース、他の重合体マトリックス、ゲル、透析膜、浸透系、多層コーティング、微粒子、リポソーム、マイクロスフェア、又はそれらの組合せを用いて、1以上の活性成分の徐放又は放出制御を提供するように使用され、様々な比率の所望の放出プロファイルで提供することができる。本明細書に記載されている制御放出調合物を含む、当業者に知られている好適な制御放出調合物を、本発明の活性成分と共に使用するために容易に選択することが可能である。したがって、本発明は、制御放出に向けて構成された錠剤、カプセル、ジェルキャップ及びカプレットを含むが、それらに限定されない経口投与に好適な単一単位剤形を包含する。
【0132】
すべての制御放出医薬製品は、非制御放出性製品と比較して薬物療法を向上させるという共通の目標を有する。理想的には、医学的治療における最適に設計された制御放出性製剤の使用は、最短時間で状態を治癒又は抑制するのに最小量の薬物を採用することによって特徴付けられる。制御放出性調合物の利点としては、薬物の活性の延長、投与頻度の低減、患者コンプライアンスの向上が挙げられる。加えて、制御放出性調合物を使用して、作用の発生時間、又は薬物の血中濃度などの他の特性に影響を及ぼすことができるため、副作用(例えば有害作用)の発生に影響を及ぼすことができる。
【0133】
たいていの制御放出性調合物は、所望の治療効果を即座にもたらす一定量の薬剤(活性成分)を最初に放出し、別の量の薬剤を徐々に且つ連続的に放出して、長期間にわたってこの治療又は予防効果のレベルを維持するように設計される。体内でこの一定の薬剤レベルを維持するために、代謝され、体内から排泄される薬剤の量に匹敵する速度で薬剤を剤形から放出させなければならない。活性成分の制御放出は、pH、温度、酵素、水又は他の生理的条件又は化合物を含むが、それらに限定されない様々な条件によって刺激され得る。
【0134】
(4.5.3 非経口剤形)
非経口剤形は、皮下、静脈内(ボーラス注射を含む)、筋肉内及び動脈内を含むが、それらに限定されない様々な経路によって患者に投与することができる。それらの投与は、典型的には、汚染物質に対する患者の自然防御を回避するので、非経口剤形は、好ましくは、無菌であるか、又は患者への投与前に滅菌することが可能である。非経口投与の例としては、注射用溶液、医薬として許容し得る注射用ビヒクルに溶解又は懸濁させる乾燥製品、注射用懸濁液、及びエマルジョンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0135】
本発明の非経口剤形を提供するのに使用できる好適なビヒクルは、当業者によく知られている。例としては、注射用水USP;限定されるものではないが、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、ブドウ糖注射液、ブドウ糖及び塩化ナトリウム注射液及び乳酸加リンゲル注射液などの水性ビヒクル;限定されるものではないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールなどの水和性ビヒクル;並びに限定されるものではないが、トウモロコシ油、綿実油、落花生油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル及び安息香酸ベンジルなどの非水性ビヒクルが挙げられるが、それらに限定されない。
【0136】
また、本明細書に開示されている1以上の活性成分の溶解度を高める化合物を本発明の非経口剤形に配合することも可能である。例えば、シクロデキストリン及びその誘導体を使用して、本発明の免疫調節化合物及びその誘導体の溶解度を高めることが可能である。例えば、引用により本明細書に組み込まれている米国特許第5,134,127号を参照されたい。
【0137】
(4.5.4 局所及び粘膜剤形)
本発明の局所及び粘膜剤形としては、噴霧剤、煙霧剤、溶液、エマルジョン、懸濁液、点眼剤若しくは他の眼科製剤又は当業者に知られている他の形態が挙げられるが、それらに限定されない。例えば、「レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」, 第16及び18版, Mack Publishing, Easton, PA (1980 & 1990)、及び「医薬剤形概論(Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms)」, 第4版, Lea & Febiger, Philadelphia (1985)を参照されたい。口腔内の粘膜組織を治療するのに好適な剤形を洗口液又は経口ゲルとして調合することが可能である。
【0138】
本発明に包含される局所及び粘膜剤形を提供するのに使用できる好適な賦形剤(例えば担体及び希釈剤)及び他の材料は、製薬業界の当業者によく知られており、所定の医薬組成物又は剤形が適用される特定の組織に依存する。この事実を考慮すると、非毒性で且つ医薬として許容し得る溶液、乳剤、又はゲルを形成するのに典型的な賦形剤には、水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン-1,3-ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱物油、及びその混合物が含まれるが、これらに限定されない。望まれる場合は、保湿剤又は湿潤剤を医薬組成物及び剤形に添加することが可能である。こうした追加的な成分の例は当技術分野でよく知られている。例えば、「レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」, 第16及び18版, Mack Publishing, Easton, PA (1980 & 1990)を参照されたい。
【0139】
医薬組成物又は剤形のpHを調節して、1つ以上の活性成分の送達を向上させることもできる。同様に、溶媒担体の極性、そのイオン強度又は張度を調節して、送達を向上させることが可能である。ステアリン酸塩などの化合物を添加して、送達を向上させるように、1つ以上の活性成分の親水性又は親油性を有利に変化させることも可能である。この点において、ステアリン酸塩は、調合物の脂質ビヒクルとして、乳化剤又は界面活性剤として、且つ送達促進剤又は浸透促進剤として機能することが可能である。活性成分の異なる塩、水和物又は溶媒和物を使用して、得られる組成物の特性をさらに調節することが可能である。
【0140】
(4.5.5 キット)
典型的には、本発明の活性成分は、同時に、又は同一の投与経路で患者に投与されないのが好ましい。したがって、本発明は、医療実務者によって使用されると、患者に対する適切な量の活性成分の投与を簡潔化することが可能であるキットを包含する。
【0141】
本発明の典型的なキットは、本発明の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性体、若しくはプロドラッグの剤形を含む。本発明に包含されるキットは、追加的な活性成分をさらに含むことが可能である。追加的な活性成分の例としては、本明細書に開示されている活性成分(例えば、5.3の項を参照されたい)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0142】
本発明のキットは、活性成分を投与するのに使用されるデバイスをさらに含むことが可能である。当該デバイスの例としては、シリンジ、点滴バッグ、貼付剤及び吸入器が挙げられるが、それらに限定されない。
【0143】
本発明のキットは、移植用細胞又は血液、並びに1つ以上の活性成分を投与するのに使用できる医薬として許容し得るビヒクルをさらに含むことが可能である。例えば、活性成分が、非経口投与に向けて再構成しなければならない固体形態で提供される場合は、キットは、活性成分を溶解させて、非経口投与に好適である無粒子の無菌溶液を形成することができる好適なビヒクルの密封容器を含むことが可能である。医薬として許容し得るビヒクルとしては、注射用水USP;塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、ブドウ糖注射液、ブドウ糖及び塩化ナトリウム注射液及び乳酸加リンゲル注射液を含むが、それらに限定されない水性ビヒクル;エチルアルコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールを含むが、それらに限定されない水和性ビヒクル;並びにトウモロコシ油、綿実油、落花生油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル及び安息香酸ベンジルを含むが、それらに限定されない非水性ビヒクルが挙げられるが、それらに限定されない。
【実施例】
【0144】
(5.実施例)
以下、実施例により本発明の特定の実施態様を示すが、本発明はそれらに限定するものではない。
【0145】
(5.1 サイトカイン産生の調節)
ヒト対象における本発明の免疫調節化合物の臨床評価を支援するために、一連の非臨床的な薬理学及び毒物学研究を実施した。これらの研究は、研究計画のための国際的に承認されたガイドラインに従い、且つ特に指定がなければ、優良試験所基準(GLP)の要件を遵守して実施された。
【0146】
ヒトPBMC及びヒト全血のLPS刺激に続くTNF-α産生の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-イル)ピペリジン-2,6-ジオン及びサリドマイドによる阻害が、インビトロで調べられた(Mullerらの論文, Biooeg. Med. Chem. Lett. 9: 1625〜1630, 1999)。PBMC及びヒト全血のLPS刺激に続くTNF-α産生の阻害に関する4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンのIC50は、それぞれ、〜24nM(6.55ng/mL)及び〜25nM(6.83ng/mL)であった。インビトロ研究は、サリドマイドに類似しているが、それに比べて少なくとも200倍より強力である、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-イル)ピペリジン-2,6-ジオンに関する薬理学的な活性プロファイルを示唆した。インビトロ研究は、また、2.73から27.3ng/mL(0.01から0.1μM)の濃度の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンが、MM.IS及びHs Sultan細胞の増殖の50%阻害を達成したことを立証した。
【0147】
PBMC及びヒト全血のLPS刺激に続くTNF-α産生の阻害に関する3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-イル)ピペリジン-2,6-ジオンのIC50は、それぞれ、〜100nM(25.9ng/mL)及び〜480nM(103.6ng/mL)であった。対照的に、サリドマイドは、PBMCのLPS刺激に続くTNF-α産生の阻害に関して〜194μM(50.2μg/mL)のIC50を有した。インビトロ研究は、サリドマイドに類似しているが、それに比べて少なくとも50から2000倍より強力である、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-イル)ピペリジン-2,6-ジオンに関する薬理学的な活性プロフィールを示唆した。該化合物は、T-細胞受容体(TCR)の活性化による一次誘発に続くT-細胞増殖の刺激でサリドマイドに比べてほぼ50から100倍より強力であることが示された。3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-イル)ピペリジン-2,6-ジオンは、また、PBMC(IL-2)又はT-細胞(IFN-γ)のTCR活性化に続くIL-2及びIFN-γ産生の増大でサリドマイドに比べてほぼ50から100倍より強力である。加えて、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-イル)ピペリジン-2,6-ジオンは、PBMCによる炎症誘発性サイトカイン、TNF-α、IL-1β、及びIL-6のLPS-で刺激された産生の用量依存性阻害を示し、一方、それは、抗炎症性サイトカインIL-10の産生を高めた。
【0148】
(5.2 効力の測定)
免疫調節化合物の抗スピロヘータ細菌効力は、当技術分野で公知の方法を使用して測定できる。一般に、免疫調節化合物で前以て処理されたPMBC又はNK細胞を、スピロヘータ細菌に感染した赤血球と共存培養する。共存培養された細胞から、当技術分野で公知の方法を使用して、細菌負荷及び/又はサイトカインプロフィールを測定し、免疫調節化合物の抗スピロヘータ細菌活性を評価する。
【0149】
(5.3 毒物学研究)
心血管及び呼吸機能に対する3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオンの効果を、麻酔したイヌで調べる。2群のビーグル犬(2/性別/群)を使用する。一方の群は、3種の用量のビヒクルのみを受け入れ、他方の群は、3種の上昇性用量の3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオンを受け入れる(2、10、及び20mg/kg)。全ての場合に、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン又はビヒクルの用量は、少なくとも30分間の間隔で隔てられた頚静脈を介する点滴によって継続的に投与される。
【0150】
33-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオンで誘発される心血管及び呼吸の変化は、ビヒクル対照群に比較した場合に全ての用量で微小である。ビヒクルと治療群との間の唯一の統計的に有意な差異は、低用量の3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオンの投与に続く、動脈血圧の小さな増加(94mmHgから101mmHgへ)である。この効果は、ほぼ15分間持続し、より高用量では観察されない。大腿部血流、呼吸パラメーター、及びQtc間隔の偏差は、対照及び治療群の双方で共通であり、治療関連性とは考えられない。本明細書中で引用される参照文献の全ては、引用によりその全体で組み込まれている。本発明を、特定の実施態様に関して説明してきたが、当業者にとって、添付の特許請求の範囲により説明される本発明の精神及び範囲から逸脱しないで、様々な変更及び修正をなし得ることは明らかであろう。
【0151】
(5.4 患者におけるサイクリング療法)
特定の実施態様において、本発明の免疫調節化合物は、寄生虫又は原虫性疾患を有する患者に周期的に投与される。サイクリング療法は、ある期間は第1薬剤を投与し、続いてある期間休止し、この一連の投与を繰り返すことを含む。サイクリング療法は、1つ以上の療法に対する耐性の発生を低減し、1つの療法の副作用を回避又は低減し、且つ/又は治療の効力を向上させることができる。
【0152】
特定の実施態様において、予防又は治療用薬剤は、約4から6週間のサイクルで、毎日約1又は2回投与される。1サイクルは、3から4週間の治療又は予防用薬剤の投与、及び少なくとも1から2週間の休止を含むことができる。投与されるサイクルの数は、約1から約24サイクル、より典型的には約2から約16サイクル、より典型的には約4から約8サイクルである。
【0153】
例えば、4週間のサイクルでは、1日目に、25mg/日の3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの投与を開始する。22日目に、該化合物の投与を止め、1週間休止する。29日目に、25mg/日の3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの投与を開始する。
【0154】
前記の本発明の実施態様は例示に過ぎず、当業者ならば通常の実験で、具体的な化合物、材料及び手順の多くの等価物を認識し、或いは確認することができるであろう。このような等価物はすべて本発明の範囲内にあるものと考えられ、添付の特許請求の範囲に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピロヘータ及び/又はその他の偏性細胞内細菌性疾患又は障害を治療、管理又は予防する方法であって、患者に対して、治療又は予防有効量の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、若しくは立体異性体を投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
スピロヘータ及び/又はその他の偏性細胞内細菌性疾患又は障害を治療、管理又は予防する方法であって、患者に対して、治療又は予防有効量の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、若しくは立体異性体、及び治療又は予防有効量の第2の活性剤を投与することを含む、前記方法。
【請求項3】
前記疾患又は障害が、アナプラズマ症、塹壕熱、猫ひっかき病、カリオン病、オロヤ熱、心内膜炎、ライム病、回帰熱、オウム病、クラミジア、Q熱、エールリヒア症、腺熱、レプトスピラ症、ワイル病、リケッチア症、リケッチア痘、ボタン熱、東洋紅斑熱、地方病性発疹チフス、流行性発疹チフス、再燃チフス、ブリル-ジンサー病、ロッキー山紅斑熱、ツツガムシ病、満州チフス、オーストラリアマダニチフス、シュトゥットガルト病、ヨーロッパチフス、発疹チフス、北クィーンズランドマダニチフス、クィーンズランドマダニチフス、ショップチフス、シベリアチフス、ピンタ、梅毒、フランベジア、又は歯周病である、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記疾患又は障害が、アナプラズマ(Anaplasma)、バルトネラ(Bartonella)、ボレリア(Borrelia)、クラミジア(Chlamydia)、コキシエラ(Coxiella)、エールリキア(Ehrlichia)、レプトスピラ(Leptospira)、リケッチア(Rickettsia)又はトレポネーマ(Treponema)属由来の細菌種によって引き起こされる、請求項1又は2記載の方法。
【請求項5】
前記疾患又は障害が、アナプラズマ・ファゴシトフィルム(Anaplasma phagocytophilum)、バルトネラ・クィンタナ(Bartonella quintana)、B.ヘンセラエ(B.henselae)、B.バシリフォルミス(B.bacilliformis)、B.エリザベータエ(B.elizabethae)、ボレリア・アフゼリイ(Borrelia afzelli)、B.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)、B.カウカシカ(B.caucasica)、B.クロシドゥラエ(B.crocidurae)、B.ドットニイ(B.duttonii)、B.ガリニ(B.garinii)、B.ヘルミシイ(B.hermsii)、B.ヒスパニカ(B.hispanica)、B.ラチシェウィ(B.latyschewii)、B.マゾッティ(B.mazzottii)、B.パルケリ(B.parkeri)、B.ペルシカ(B.persica)、B.レクレンチス(B.recurrentis)、B.ツリカタエ(B.turicatae)、B.ベネズエレンシス(B.venezuelensis)、クラミジア・ニューモニア(Chlamydia pneumoniae)、C.プシッタチ(C.psittaci)、C.トラコマチス(C.trachomatis)、コキシエラ・ブルネティ(Coxiella burnetti)、エールリヒア・カニス(Ehrlichia canis)、E.カフェエンシス(E.chaffeensis)、E.エウィンギイ(E.ewingii)、F.センネツ(F.sennetsu)、レプトスピラ・インテロガンス(Leptospira interrogans)、リケッチア・アカリ(Rickettsia akari)、R.アエストラリス(R.australis)、R.コノリイ(R.conorii)、R.ヤポニカ(R.japonica)、R.モッセリ(R.mosseri)、R.プロワゼキイ(R.prowazekii)、R.リケッチイ(R.rickettsii)、R.センネツ(R.sennetsu)、R.シビリカ(R.sibirica)、R.ツツガムシ(R.tsutsugamushi)、R.チフィ(R.typhi)、トレポネーマ・カラテウム(Treponema carateum)、T.パラジウム(T.palladium)、又はT.ペルテヌエ(T.pertenue)種の細菌によって引き起こされる、請求項1又は2記載の方法。
【請求項6】
前記第2の活性剤が、抗生物質である、請求項2記載の方法。
【請求項7】
前記抗生物質が、アンピシリン、テトラサイクリン、ペニシリン、クラリスロマイシン、セファロスポリン、ストレプトマイシン、カナマイシン、エリスロマイシン、アジスロマイシン、ドキシサイクリン、セフトリアキソン、オフロキサシン、又はレボフロキサシンである、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記免疫調節化合物が4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンである、請求項1又は2記載の方法。
【請求項9】
前記免疫調節化合物が鏡像異性的に純粋である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記免疫調節化合物が3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンである、請求項1又は2記載の方法。
【請求項11】
前記免疫調節化合物が鏡像異性的に純粋である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記免疫調節化合物が式(I)である、請求項1又は2のいずれか一項記載の方法:
【化1】

(式中、X及びYの一方はC=Oであり、X及びYの他方はC=O又はCH2であり、R2は、水素又は低級アルキルである。)。
【請求項13】
前記免疫調節化合物が鏡像異性的に純粋である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記免疫調節化合物が式(II)である、請求項1又は2のいずれか一項記載の方法:
【化2】

(式中、X及びYの一方はC=Oであり、他方は、CH2又はC=Oであり;
R1は、H、(C1〜C8)アルキル、(C3〜C7)シクロアルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、ベンジル、アリール、(C0〜C4)アルキル-(C1〜C6)ヘテロシクロアルキル、(C0〜C4)アルキル-(C2〜C5)ヘテロアリール、C(O)R3、C(S)R3、C(O)OR4、(C1〜C8)アルキル-N(R6)2、(C1〜C8)アルキル-OR5、(C1〜C8)アルキル-C(O)OR5、C(O)NHR3、C(S)NHR3、C(O)NR3R3'、C(S)NR3R3'又は(C1〜C8)アルキル-O(CO)R5であり;
R2は、H、F、ベンジル、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル又は(C2〜C8)アルキニルであり;
R3及びR3'は、独立に、(C1〜C8)アルキル、(C3〜C7)シクロアルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、ベンジル、アリール、(C0〜C4)アルキル-(C1〜C6)ヘテロシクロアルキル、(C0〜C4)アルキル-(C2〜C5)ヘテロアリール、(C0〜C8)アルキル-N(R6)2、(C1〜C8)アルキル-OR5、(C1〜C8)アルキル-C(O)OR5、(C1〜C8)アルキル-O(CO)R5又はC(O)OR5であり;
R4は、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、(C1〜C4)アルキル-OR5、ベンジル、アリール、(C0〜C4)アルキル-(C1〜C6)ヘテロシクロアルキル又は(C0〜C4)アルキル-(C2〜C5)ヘテロアリールであり、
R5は、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、ベンジル、アリール、又は(C2〜C5)ヘテロアリールであり;
R6の各基は、独立に、H、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、ベンジル、アリール、(C2〜C5)ヘテロアリール又は(C0〜C8)アルキル-C(O)O-R5であり、或いはR6基が結合して、ヘテロシクロアルキル基を形成し;
nは、0又は1であり;
*は、キラル-炭素中心を表す。)。
【請求項15】
前記免疫調節化合物が鏡像異性的に純粋である、請求項14記載の方法。
【請求項16】
免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、若しくは立体異性体、及び第2の有効成分を含み、該第2の有効成分が抗生物質である、医薬組成物。
【請求項17】
前記抗生物質が、アンピシリン、テトラサイクリン、ペニシリン、セファロスポリン、ストレプトマイシン、カナマイシン、エリスロマイシン、アジスロマイシン、ドキシサイクリン、セフトリアキソン、オフロキサシン、又はレボフロキサシンである、請求項16記載の医薬組成物。

【公表番号】特表2010−506937(P2010−506937A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533401(P2009−533401)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/022388
【国際公開番号】WO2008/057196
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(591120033)セルジーン・コーポレーション (84)
【氏名又は名称原語表記】CELGENE CORPORATION
【Fターム(参考)】