説明

スピロ四級アンモニウム系の合成方法

スピロ四級アンモニウム系、及びスピロ四級アンモニウム陽イオンを含有する電解質を製造するための方法。その方法は、反応溶媒及び電解質溶媒の双方として役に立つことができる媒体中でスピロアンモニウム系が形成される合成工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
背景
発明の分野
本発明は、概して、スピロ四級アンモニウム系を合成するための方法に関する。特に、本発明は、スピロ四級アンモニウム塩を含有する電解質を製造するための方法、及びそれによって得られる電解質に関する。
【0002】
関連技術の説明
スピロ四級アンモニウム系は多くの用途において有用であることが判っている。例えば、以下のようなスピロ四級アンモニウム塩が血圧の調節のための新規なコリン作用薬としてBlicke及びHotellingによって記載されており(Blicke,F.F.;Hotelling,E.B. J.Am.Chem.Soc.1954,76,5099)、そして、2DのH及び13CNMRによって特徴付けられている(R.A.Aitkin,ARKIVOC2002(iii)63−70):
【0003】
【化1】

【0004】
より近年、本発明の関心のあるところであるが、スピロ四級アンモニウム塩が非水性電解質組成物、特に、電気化学セル及び高容量のキャパシタ(すなわち、ウルトラキャパシタまたはスーパーキャパシタ)等のエネルギー貯蔵装置において使用するための非水性電解質組成物の製造において記載されている(Ue,M.,et al.,S.J.Electrochem.Soc.1994,141,2989−2996。また、米国特許6,469,888(Otsuki)及びWO2005/022571(Ono)を参照されたい。)。スピロ四級アンモニウム塩、特にスピロ四級アンモニウムテトラフルオロボレート塩及びスピロ四級アンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド塩、を含有する電解質は、化学的にそして電気化学的に安定であり、炭素電極と適合し、低い粘度と密度を有し、広い温度範囲で高導電性であり、そして、使用可能な広い温度範囲で高いエネルギー密度を提供することができる。これらの性質及び他の性質は、スピロ四級アンモニウムテトラフルオロボレート塩またはスピロ四級アンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド塩を含有する電解質を、電気二重層キャパシタ等のある種の電気化学的貯蔵装置における使用について理想的に適合したものとする。
【0005】
しかしながら、電解質適用のためのこれらの塩を製造する従来の方法は、複雑でありそして非経済的である。例えば、スピロ四級アンモニウムテトラフルオロボレート電解質を製造するための一つの従来法は多工程のプロセスを含む。そのプロセスでは、まず、アンモニア(v.Braun,et al.,Chem.Ber.,1924,57,187)または環状アミン、例えばピロリジン(v.Braun,et al.,Chem.Ber.,1916,49,970)のジハロアルカン(好ましくは臭化物またはヨウ化物)でのアルキル化を経て、ハロゲン化スピロアンモニウムが形成される。これらのハロゲン化物はまた、有機金属の反応を経て得ることもできる(Thomas,et al.,J.Am.Chem.Soc.,2003,EN125,29,8870−88)。そして、そのハロゲン化物中間体は水中で膜透析によって処理されて水酸化スピロアンモニウム溶液が形成され、そして、その溶液をヒドロフルオロホウ酸と反応させて所望のスピロ四級アンモニウムテトラフルオロボレートを形成することができる。電気化学的装置で使用するためには、そのスピロ四級アンモニウムテトラフルオロボレート組成物を低い水分含量まで乾燥することが必要である。最後に、スピロアンモニウムテトラフルオロボレートを乾燥溶媒または乾燥溶媒の混合物に溶解し、所望により乾燥用の分子篩を通し、無水の生成物が製造される。生成物の水分濃度及び望みの純度に応じて、二以上の精製及び/または乾燥工程を用いることが必要になることがある。
【0006】
発明者らは、スピロ四級アンモニウムテトラフルオロボレート塩を含有する電解質を製造するためのより経済的な方法に対する要求を認識していた。本発明は、これら及び他の要求を充足する。
【0007】
発明の要旨
本発明は、スピロ四級アンモニウム系を製造するための経済的な手段、及び、特に、そのような系から誘導される電解質を提供する。発明者らは、単一溶媒または溶媒の混合物が、スピロ四級アンモニウム合成の反応溶媒、及びそのようなスピロ四級アンモニウム系に基づく電解質のための電解質溶媒、の双方として機能する方法を発見した。発明者らは、スピロ四級アンモニウム系を効率的に生成する条件下、電解質溶媒中で、環状アミン等の含窒素化合物を反応させることによってスピロ四級アンモニウム系を形成する好ましい方法を発見した。本明細書で使用され場合、用語「電解質溶媒」は、電解質用途に適している溶媒を包含するような広い意味が意図されている。好ましい溶媒としては、例えば、アセトニトリル(ACN)、炭酸プロピレン(PC)、及びガンマブチロラクトン(GBL)等が挙げられる。発明者らは、電解質溶媒中で直接、スピロ四級アンモニウム系を合成することが可能であり、そして望ましい、ということを認識するに至った。本発明の好ましい方法は、別個の反応溶媒及び電解質溶媒についての必要性を排除し、これにより、従来法と比較して、スピロ四級アンモニウム電解質を製造するためのより簡便で、より効率的で、そしてより経済的な方法を提供する。
【0008】
従って、本発明の好ましい態様の一つの目的は、スピロ四級アンモニウム系を合成するための経済的な方法を提供することである。
本発明の好ましい態様の別の目的は、スピロ四級アンモニウム電解質を製造するための経済的な方法を提供することである。
【0009】
そのため、本発明は、電解質溶媒中で、好ましくは水混和性の有機電解質溶媒中で、含窒素化合物の四級化を行なうことを含む、スピロ四級アンモニウム系の製造方法を提供する。本発明のある好ましい態様では、スピロ四級アンモニウム陽イオンとテトラフルオロボレート陰イオンまたはビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド陰イオンとで特徴付けられる電解質を形成するために、前記の溶媒に金属テトラフルオロボレートまたは金属ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドを添加する、追加の工程を含む。
【0010】
本発明の別の態様は、非水性電解質を製造する方法を提供する。その方法は、好ましくは有機溶媒中で塩基の存在下、環状アミンとジハロアルカンまたはジハロヘテロアルカン等のアルキル化剤とを、スピロ四級アンモニウム系を含有する溶液、好ましくは電解質溶液を効率的に生成する条件下、反応させることを含む。ある好ましい態様において、本発明の方法は、さらに、精製された溶液を製造する工程を含み、その工程では、四級化反応中に生成した沈殿物の少なくとも一部が当該溶液から除かれる。ある好ましい態様はさらに、スピロ四級アンモニウムテトラフルオロボレート電解質及び/またはスピロ四級アンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド電解質を製造するために、前記の溶液または精製された溶液に金属テトラフルオロボレート及び/または金属ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドを添加する工程を含む。
【0011】
発明の詳細な説明
簡潔さ及び低費用等の望ましい特徴を有する、スピロ四級アンモニウム系の合成方法が提供される。また、スピロ四級アンモニウム電解質を製造する望ましい方法も提供される。好ましい態様において、本発明の方法は、少なくとも一種の環状アミンを提供すること、及びその環状アミンをアルキル化剤との反応によって四級化すること、を含む。本発明の方法の好ましい態様によれば、四級化反応は、少なくとも一部は、有機溶媒中で塩基の存在下に行なわれ、スピロ四級アンモニウム系を含有する溶液を形成する。所望により、四級化反応中に生成した沈殿物の少なくとも一部を溶液から除くことによって、該溶媒とスピロ四級アンモニウム系を含有する精製された溶液を得ることができる。金属テトラフルオロボレート及び/または金属ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドをその溶液または精製された溶液に添加して、スピロ四級アンモニウムテトラフルオロボレート電解質またはスピロ四級アンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド電解質を形成することができる。
【0012】
本明細書において、スピロ系は、少なくとも一つのスピロ接合点を有する化学物質(化合物及びイオン等)である。スピロ接合点は二つの環構造が一つの中心(四級窒素原子等)で連結した場合に存在する。用語「四級窒素」は、窒素原子が四つの他の原子、例えば四つの炭素原子、に共有結合した窒素を意味する。用語「四級アンモニウム」は、通例、四級窒素を有する一価化学イオンを意味する。本発明のスピロ四級アンモニウム系は、モノスピロ構造(一つのスピロ中心)及び直線状のポリスピロ構造(例えば、ジスピロ(二つのスピロ中心)及びトリスピロ(三つのスピロ中心)等)、例えば以下の構造:
【0013】
【化2】

【0014】
並びに、少なくとも一つの縮合炭化水素または橋かけ炭化水素、及び/またはヘテロ環系、
例えば、以下の構造:
【0015】
【化3】

【0016】
を有するものを包含する。
さらに、本発明のスピロ四級アンモニウム塩は、モノ−、ビス−及びトリ−の四級構造、またはより高次の四級構造を包含し、例えば、以下の構造を包含する:
【0017】
【化4】

【0018】
好ましい態様において、本発明のスピロ四級アンモニウムテトラフルオロボレート電解質またはスピロ四級アンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド電解質は、溶媒中で、スピロ四級アンモニウム系を効率的に生成する条件下で、環状アミン、ポリハロゲン化アルカンまたはポリハロゲン化ヘテロアルカンまたは擬ハロアルカン(pseudohaloalkane)、金属塩基、及び、アルカリ金属またはアルカリ土類金属テトラフルオロボレートまたはアルカリビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドを混合することによって製造される。発明者らは、特定の動作理論に拘束されまたは限定されることを意図するものではないが、適切な条件下でそれらの反応物を一つにすることによって、以下の一般的な反応スキームに従って進行する反応をもたらすと考えられる:
【0019】
【化5】

【0020】
反応スキーム中、X’及びX’’は、独立に、ハロゲンまたは擬ハロゲン(pseudohalogenides)であり、
nは、独立に、約0〜約6の整数であり、
は、独立に、CH、CHF、CF、CH、CFであり、
は、CF、CH、CR、CHF、CF、CHR、CR、NH、O、S、3〜8員の環または3〜8員のヘテロ環、または各環が3〜8員である多環またはヘテロ多環であり、
は、独立に、(a)H、(b)C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、またはC〜Cアルケニル基、または(c)約1〜約6の鎖長を有するヘテロアルキル基、であり、そして、Rは、CF、CH、CR、CHF、CF、CHR、CR、NH、OまたはSである。
【0021】
通例、酸素、硫黄または窒素から選択される一つ以上の追加のヘテロ原子を有していてもよい、非置換のまたは置換された、環状の二級または三級のアミンが、本発明での使用に適用できる。ある好ましい態様において、スピロ化合物及びポリスピロ化合物を合成するために使用される。そして、ある態様では、マルチ−スピロ構造及び/または橋かけ部を有するスピロ構造を合成するために、三級アミンを用いることもできる。一つ以上の他のスピロ化合物またはスピロ部分からポリスピロ構造を構築する場合に、三級アミンは特に有用である。
【0022】
好ましい環状二級アミンには、ピロリジン及びピペリジン等の一つの窒素原子を有するアミン、イミダゾリジン、ピラゾリジン及びピペラジン等の複数の窒素原子を有するアミン、及び、酸素原子及び/または硫黄原子及び/または追加の窒素原子を含有するアミン等のヘテロ環構造を有するアミン(例えば、モルホリン、イミダゾール、イソチアゾール、オキサジアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,3−トリアゾール及び1,3,4−チアジアゾール等)、が包含されるが、これらに限定されるものではない。これらの環状アミンは、当分野で既知の慣用的な方法で得ることができる。好ましくは、環状アミンは、反応系に原料として導入することができ、または、反応系内で原料(例えばアンモニア等)から製造されることもできる。
【0023】
好ましくは、環状アミンは、約4員環〜約7員環、より好ましくは約5員環〜約6員環を有する。本発明はまた、スピロ塩の混合物を導く四級化のために、異なった構造の二種以上の環状アミンが使用される方法、または、スピロ塩の混合物を導く四級化のために、異なった鎖長を有する複数のジハロアルカンまたは複数の異性体またはその双方が使用される方法、を意図している。
【0024】
本発明で使用される環状アミンの例には、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピロリン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、キノリン、β−カルボリン、フェノキサジン、フェノチアジン、オキサゾール、チアゾール、フラザン、インドリン、イミダゾール、イミダゾリジン、キヌクリジン及びピラゾリジン等が包含されるが、これらに限定されるものではない。好ましい環状アミンは、ピロリジン、ピペリジン、イミダゾリジン、ピペラジン及びモルホリン等の二級アミンを包含し、特に好ましくはピロリジン及びピペリジンである。
【0025】
一般に、本発明での使用に適したアルキル化剤は、二級アミンの窒素原子をアルキル化するために十分に反応性である二つ以上のハロゲン原子を有するアルキル化剤である。スピロ化合物の形成において、可能性のある環の大きさは重要な要素である。なぜなら、環の員数が小さすぎたり大きすぎたりすると、スピロ構造に代わって二つの環の間に橋かけ構造が形成されるであろうからである。そのため、好ましいアルキル化剤は、二つのハロゲン原子の間に約3〜約6個の炭素原子、より好ましくは約4〜約5個の炭素原子の分岐鎖、またはより好ましくは直鎖を有する。より好ましくは、鎖の各末端にハロゲン原子を有する直鎖のアルキル化剤であり、例えば、ジハロアルカン及びジハロヘテロアルカン等である。
【0026】
そのような化合物は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素からなる群から独立に選択される二つのハロゲン原子(好ましくは、塩素及び臭素)でハロゲン化されている。
好ましいヘテロアルカンは、酸素及び硫黄からなる群から選択される一つ以上の原子を含む化合物である。エーテル基の形態で一つ以上の酸素原子を含むヘテロアルカンは電気化学的に安定であることが知られており、そのため好ましい。
【0027】
ある態様において、アルキル化剤は以下の構造:
【0028】
【化6】

【0029】
(式中、X’、X’’、n、R、R、R及びRは上記で定義されたものである)を有する。
ハロゲンとして、X’及び/またはX’’は、独立して、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素であることができ、臭素または塩素が好ましい。Xがフッ素である態様では、反応は、好ましくは触媒の存在下に行なわれる。このため、Xがフッ素である態様は好ましいものではない。擬ハロゲンとして、X’及び/またはX’’は、独立して、例えば、トシル(p−トルエンスルホニル)、メシル(メタンスルホニル)及び/またはトリフリル(トリフルオロメタンスルホニル)であることができる。
【0030】
〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、またはC〜Cアルケニル基として、Rは、非置換でもまたは置換されていてもよく、分岐でもよくまたは非分岐でもよく、飽和でも不飽和であってもよい。ヘテロアルキルとして、Rは、例えば、−C2jOC2k+1、−C2jCOCH2k+1(ここで、j及びkは正の整数であり、そしてj+kは約6より大きくない)であることができる。
【0031】
特に好ましいアルキル化剤には、以下:
【0032】
【化7】

【0033】
(式中、g及びhは、独立に、約1〜約4の整数であり、X及びXは、独立に、Cl、BrまたはIであり、そして、AはO、S、CHFまたはCFである)が包含される。
【0034】
さらに好ましくは、アルキル化剤は、1,3−ジハロプロパン、1,4−ジハロブタン及び1,5−ジハロペンタン(ここで、二つのハロゲン原子は同一のハロゲンでもよく、異なったハロゲンでもよい)である。他の非常に好ましいアルキル化剤としては、例えば1,4−ジブロモペルフルオロブタン等の、約3〜約5個の炭素原子を有するペルフルオロジハロアルカンが挙げられる。そのようなペルフルオロジハロアルカンは、その高い電気化学的安定性の観点から好ましい。
【0035】
本発明はまた、二種以上のアルキル化剤の混合物を用いる方法を意図している。
金属テトラフルオロボレートは、好ましくは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のテトラフルオロボレートであり、カリウムテトラフルオロボレートが特に好ましい。金属ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド化合物は、好ましくは、アルカリ土類金属のビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドである。上記の一般的な反応スキームに示された反応物はテトラフルオロボレート化合物及び/またはビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド化合物を含んでいるが、本発明では、得られた電解質が少なくとも+/−1.5Vの電位差で電気化学的に安定であるという条件で、電解質陰イオンを形成することができるいずれもの部分を用いることができる、ということを理解されたい。
【0036】
好ましい塩基は、金属イオンを含有する塩基である。ある好ましい態様において、金属は、形成される沈殿物が、ろ過、結晶化、イオン透析、逆浸透またはそれらの組み合わせによって、その沈殿物の少なくとも一部を反応媒体から除去することを可能にするような反応媒体中の溶解度を有するように、選択される。例えば、具体的な金属は、そのそれぞれのハロゲン化物塩が反応媒体として選択された有機溶媒中で低い溶解度を有するように、選択することができる。特に有用なものは高い形成エネルギーを有する組み合わせである。なぜなら、それらは高い反応収率を達成することに寄与し、それゆえ、溶液中に残存する未反応の成分を減少、または事実上、排除するからである。
【0037】
アルカリ、アルカリ土類または金属イオンは、互いに独立して選択されることができるが、いくらかの適用では、一つのイオンタイプのみの場合に精製がより容易であろう。
一般に、適した塩基は無機化合物であり、それは水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化カルシウム等のアルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カルシウム及び酸化マグネシウム等のアルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム及び水素化カルシウム等のアルカリ金属水素化物及びアルカリ土類金属水素化物、リチウムアミド、ナトリウムアミド及びカリウムアミド等のアルカリ金属アミド、炭酸リチウム及び炭酸カルシウム等のアルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩、水酸化金属アルミニウム、塩基性酸化亜鉛、塩基性酸化スズ、塩基性酸化ジルコニウム及びチタンオキシドヒドロキシド等の塩基性金属オキシドヒドロキシド、有機金属化合物(特に、メチルリチウム、ブチルリチウム及びフェニルリチウム等のアルカリ金属アルキル)、塩化メチルマグネシウム等のハロゲン化アルキルマグネシウム、並びに、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド及びジメトキシマグネシウム等のアルカリ金属アルコキシド及びアルカリ土類金属アルコキシド、を包含する。
【0038】
特に好ましい塩基は、以下の式:M(CO、M(CO、M(PO、M(PO及びM(OH)(式中、Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、a、b及びcは適切な化学量論に従う整数である(例えば、塩基が炭酸カリウムである場合、M=K,a=2そしてc=3である))、の一つ以上に従うアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、リン酸塩及び水酸化物、または水酸化アルミニウム、を包含する。より好ましいものは、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ土類金属炭酸塩であり、炭酸カリウムがもっとも好ましい。本発明はまた、上記塩基の二種以上の混合物を用いる方法を意図している。
【0039】
本発明で用いるための好ましい溶媒は、反応媒体及び電解質溶媒の双方として使用することができる溶媒である。本発明の本質的な経済的利点は、四級化反応媒体及び電解質溶媒の双方として、共通の溶媒または溶媒混合物を使用できることであり、これによって、スピロ四級アンモニウム塩を含有する電解質を製造するための従来の方法に伴う複雑さと費用を低減する。特に有用な溶媒は、以下の性質の一つ以上を有する溶媒であり、その性質は、有機系であり水と混和する、概して非反応性、電気化学的に酸化または還元することが困難、高い誘電率、広範囲の電圧での安定性、及び約−60℃〜約300℃の動作温度範囲、である。
【0040】
好ましい有機溶媒は、アセトニトリル、プロピオニトリル、フェニルアセトニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル及びアクリロニトリル等のモノニトリル類、スクシノニトリル及びグルタロニトリル等のジニトリル類、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル及び炭酸エチルメチル等の炭酸有機エステル類、ガンマブチロラクトン及び関連化合物等のラクトン類、スルホラン類及びメチルスルホラン、メチルプロピルケトン及びメチルイソブチルケトン等のケトン類、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、及びこれらの二種以上の混合物、を包含する。
【0041】
ある好ましい態様において、スピロ四級アンモニウム系は次の構造:
【0042】
【化8】

【0043】
(式中、J及びKは、独立して、アルキル部、ヘテロアルキル部、アリールアルキル部、ヘテロアリールアルキル部またはポリ環状部である)を含む。本発明はまた、複数の上記の構造を有するポリスピロ系が形成されるという方法を意図している。例えば、ある態様では、スピロ四級アンモニウム系は次の構造:
【0044】
【化9】

【0045】
(式中、X’、X’’、n、R、R、及びRは上記のように定義され、Rは四級アンモニウムスピロ接合点である)を含む。さらに、本発明は、異なった構造を有するスピロ系及び/またはポリスピロ系の混合物が合成される方法を意図している。
【0046】
約4員〜約7員の環を有するスピロ四級アンモニウム系が好ましく、約5員〜約6員の環を少なくとも一つ有するスピロ四級アンモニウム系がより好ましい。ある非常に好ましい態様では、スピロ四級アンモニウム系は以下の構造:
【0047】
【化10】

【0048】
(式中、zは、独立に、約0〜約5の整数、好ましくは約2〜約3の整数である)を有する。そのようなスピロ四級アンモニウム系の例として、6−アゾニアスピロ[5.5]ウンデカン、5−アゾニアスピロ[4.5]ウンデカン及び5−アゾニアスピロ[4.4]ノナン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
好ましいテトラフルオロボレートには、リチウムテトラフルオロボレート、ナトリウムテトラフルオロボレート及びカリウムテトラフルオロボレート等のアルカリテトラフルオロボレート、マグネシウムテトラフルオロボレート、カルシウムテトラフルオロボレート、ストロンチウムテトラフルオロボレート及びバリウムテトラフルオロボレート等のアルカリ土類テトラフルオロボレート、及び、例えば銀テトラフルオロボレートまたは亜鉛テトラフルオロボレート等の遷移金属テトラフルオロボレートが包含され、カリウムテトラフルオロボレート及び銀テトラフルオロボレートがより好ましい。
【0050】
好ましいビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドには、アルカリビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(例えば、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ナトリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド及びカリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド)、アルカリ土類ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(例えば、マグネシウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、カルシウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ストロンチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、バリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド)、または金属ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、が包含され、カリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド及びナトリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドがより好ましい。
【0051】
このようなスピロ四級アンモニウム陽イオンとテトラフルオロボレート陰イオンまたはビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド陰イオンとを有する電解質は、特定の用途、例えば、電気化学的酸化または還元に対する高い安定性と共に高いイオン導電率が要求される電気化学セル(例えばスーパーキャパシタ)、において特に有益である性質を有することが知られている。
【0052】
スピロ四級アンモニウムテトラフルオロボレート塩またはスピロ四級アンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド塩は、単離することができ、そして、合成反応におけるイオン性溶媒としてその溶融した形態で使用することができる。
【0053】
ある好ましい態様において、四級化反応は沈殿副生成物(例えば、塩の不溶部分)を生じる。好ましくは、この沈殿物の少なくとも一部を除いて、スピロ四級アンモニウム系の少なくとも一部と溶媒の少なくとも一部とを含有する精製された溶液が製造される。その沈殿物を除くために、ろ過、限外ろ過、透析、イオン交換及び逆浸透等の任意の慣用的な方法を用いることができる。好ましくは、沈殿物はろ過方法によって、より好ましくは冷却ろ過によって除去される。そのような方法では、精製された生成物はろ液である。
【0054】
ある好ましい態様において、アルカリ金属またはアルカリ土類金属テトラフルオロボレート、またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドをその溶液または精製された溶液に添加した際に沈殿物が形成され、そして、その沈殿物も同様に、例えばろ過によって、除かれる。得られたろ液は、所望の電解質を非常に高い収率で含有している。
【0055】
ある好ましい態様では、四級化反応で形成された沈殿物と金属テトラフルオロボレートまたは金属ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドの添加で形成された沈殿物を、一つの工程で除去することができる。
【0056】
電解質溶媒の量に対する環状アミン等の含窒素反応物の割合は、電解質溶液における所望の陽イオン濃度に応じて調節することができる。例えば、ある好ましい態様では、1モルの環状二級アミンを1リットルの溶媒に添加することができる。特定の用途のためにより高濃度の溶液が必要であれば、溶媒に対する環状アミンの大きな割合(例えば、溶媒1リットル当たり10モルのアミン)を適用することができる。反対に、より低濃度の溶液が望まれる場合は、小さな割合(例えば、溶媒1モル当たり0.1モルのアミン)を適用することができる。具体的な用途に応じて、上記の値より大きいまたは小さい割合を適用することもできる。
【0057】
含窒素化合物以外の反応物は、具体的な反応の化学量論及び反応効率に依存するであろう。ある好ましい態様では、合成反応は周囲圧力で実施される
実施例
実施例1:(スピロ−1,1’−ビピロリジニウムテトラフルオロボレート、5−アゾニアスピロ[4.4]ノナンテトラフルオロボレート)
約35.5g(0.5モル)のピロリジン、72.5g(0.5モル)の1,4−ジクロロブタン及び138g(1.0モル)の炭酸カリウムを500mlのアセトニトリルに添加する。その溶液を混合し、好ましくは周囲圧力で、約6時間、加熱還流する。その後、混合物を冷却し、ろ過する。
【0058】
試料を採取し、HNMR(300MHz;CDCl)で同定した:2.22[m,CH2,8H],3.79[m,CH2N,8H]。試料は、中程度の選択性を示した。
カリウムテトラフルオロボレートを得られたろ液に添加し、激しく撹拌した。そして、沈殿物をろ過で除いた。
【0059】
ろ液は、非常に良好な収率で、所望の生成物溶液を含んでいる。
実施例2:(スピロ−1,1’−ビピロリニウムテトラフルオロボレート、5−アゾニアスピロ[4.4]ノナンテトラフルオロボレート)
約35.5g(0.5モル)のピロリジン、72.5g(0.5モル)の1,4−ジクロロブタン、触媒量の臭化カリウム(及び/またはヨウ化カリウム)及び138g(1.0モル)の炭酸カリウムを500mlのアセトニトリルに添加する。その溶液を混合し、約6時間、加熱還流する。その後、混合物を冷却し、ろ過する。
【0060】
試料を採取し、HNMR(300MHz;CDCl)で同定した:2.22[m,CH2,8H],3.79[m,CH2N,8H]。試料は、中程度の選択性を示した。
カリウムテトラフルオロボレートを得られたろ液に添加し、激しく撹拌した。そして、沈殿物をろ過で除いた。
【0061】
ろ液は、非常に良好な収率で、所望の生成物溶液を含んでいる。
実施例3:(スピロ−1,1’−ビピロリニウムテトラフルオロボレート、5−アゾニアスピロ[4.4]ノナンテトラフルオロボレート)
約35.5g(0.5モル)のピロリジン、108g(0.5モル)の1,4−ジブロモブタン及び138g(1.0モル)の炭酸カリウムを500mlのアセトニトリルに添加する。その溶液を混合し、約6時間、加熱還流する。その後、混合物を冷却し、ろ過する。
【0062】
試料を採取し、HNMR(300MHz;CDCl)で同定した:2.22[m,CH2,8H],3.79[m,CH2N,8H]。試料は、非常に良好な選択性を示した。
【0063】
カリウムテトラフルオロボレートを得られたろ液に添加し、激しく撹拌した。そして、沈殿物をろ過で除いた。
ろ液は、非常に良好な収率で、所望の生成物溶液を含んでいる。
【0064】
実施例4:(スピロ−1,1’−ビピロリニウムテトラフルオロボレート、5−アゾニアスピロ[4.4]ノナンテトラフルオロボレート)
約35.5g(0.5モル)のピロリジン、108g(0.5モル)の1,4−ジブロモブタン、138g(1.0モル)の炭酸カリウム及び78.7g(0.625モル)のカリウムテトラフルオロボレートを500mlのアセトニトリルに添加する。その溶液を混合し、約6時間、加熱還流する。その後、混合物を冷却し、ろ過する。
【0065】
試料を採取し、HNMR(300MHz;CDCl)で同定した:2.22[m,CH2,8H],3.79[m,CH2N,8H]。試料は、非常に良好な選択性を示した。ろ液は、優れた収率で、所望の生成物溶液を含んでいる。
【0066】
実施例5:(スピロ−1,1’−ビピロリニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、5−アゾニアスピロ[4.4]ノナンビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド)
約35.5g(0.5モル)のピロリジン、108g(0.5モル)の1,4−ジブロモブタン、138g(1.0モル)の炭酸カリウム及び200g(0.625モル)のカリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドを500mlのアセトニトリルに添加する。その溶液を混合し、約6時間、加熱還流する。その後、混合物を冷却し、ろ過する。
【0067】
試料を採取し、HNMR(300MHz;CDCl)で同定した:2.22[m,CH2,8H],3.79[m,CH2N,8H]。試料は、非常に良好な選択性を示した。ろ液は、優れた収率で、所望の生成物溶液を含んでいる。
【0068】
実施例6:(スピロ−(ピペリジン−1,1’−ピロリジニウム)テトラフルオロボレート、5−アゾニアスピロ[4.5]デカンテトラフルオロボレート)
約35.5g(0.5モル)のピロリジン、115g(0.5モル)の1,5−ジブロモペンタン及び138g(1.0モル)の炭酸カリウムを500mlのアセトニトリルに添加する。その溶液を混合し、約6時間、加熱還流する。その後、混合物を冷却し、ろ過する。カリウムテトラフルオロボレートを得られたろ液に添加し、激しく撹拌した。そして、沈殿物をろ過で除いた。ろ液は、優れた収率で、所望の生成物溶液を含んでいる。
【0069】
実施例7:(8−オキサ−5−アゾニアスピロ[4.5]デカンテトラフルオロボレート)
約43.56g(0.5モル)のモルホリン、108g(0.5モル)の1,4−ジブロモブタン及び138g(1.0モル)の炭酸カリウムを500mlのアセトニトリルに添加する。その溶液を混合し、約6時間、加熱還流する。その後、混合物を冷却し、ろ過する。カリウムテトラフルオロボレートを得られたろ液に添加し、激しく撹拌した。そして、沈殿物をろ過で除いた。ろ液は、中程度の収率で、所望の生成物溶液を含んでいる。
【0070】
実施例8:(8−オキサ−5−アゾニアスピロ[4.5]デカンビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド)
約43.56g(0.5モル)のモルホリン、108g(0.5モル)の1,4−ジブロモブタン及び138g(1.0モル)の炭酸カリウムを500mlの炭酸プロピレンに添加する。その溶液を混合し、約6時間、加熱還流する。その後、混合物を冷却し、ろ過する。カリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドを得られたろ液に添加し、激しく撹拌した。そして、沈殿物をろ過で除いた。ろ液は、中程度の収率で、所望の生成物溶液を含んでいる。
【0071】
実施例9:(4,4’−スピロビモルホリニウムテトラフルオロボレート、3,9−ジオキサ−6−アゾニアスピロ[5.5]ウンデカンテトラフルオロボレート)
約43.56g(0.5モル)のモルホリン、116g(0.5モル)のビス−(2−ブロモエチル)エーテル及び138g(1.0モル)の炭酸カリウムを500mlのアセトニトリルに添加する。その溶液を混合し、約6時間、加熱還流する。その後、混合物を冷却し、ろ過する。カリウムテトラフルオロボレートを得られたろ液に添加し、激しく撹拌した。そして、沈殿物をろ過で除いた。ろ液は、中程度の収率で、所望の生成物溶液を含んでいる。
【0072】
実施例10:(スピロ−1,1’−ビピロリジニウムテトラフルオロボレート、5−アゾニアスピロ[4.4]ノナンテトラフルオロボレート)
約35.5g(0.5モル)のピロリジン、199g(0.5モル)の1,4−ジトシルブタン及び138g(1.0モル)の炭酸カリウムを500mlのアセトニトリルに添加する。その溶液を混合し、約6時間、加熱還流する。その後、混合物を冷却し、ろ過する。
【0073】
試料を採取し、HNMR(300MHz;CDCl)で同定した:2.22[m,CH2,8H],3.79[m,CH2N,8H]。試料は、中程度の選択性を示した。
カリウムテトラフルオロボレートを得られたろ液に添加し、激しく撹拌した。そして、沈殿物をろ過で除いた。
【0074】
ろ液は、中程度の収率で、所望の生成物溶液を含んでいる。
実施例11−31:
表1の予言的な(prophetic)実施例を、異なるアルキル化剤を用いたことを除いて、実施例1に記載したようにして行なった。
【0075】
【表1】

【0076】
【表2】

【0077】
【表3】

【0078】
【表4】

【0079】
実施例32−43:
表2の予言的な実施例を、異なる環状アミンとアルキル化剤とを用いて、実施例4に記載したようにして行なった。
【0080】
【表5】

【0081】
【表6】

【0082】
実施例44−63:
表3の予言的な実施例を、異なる塩基、金属塩及び溶媒を用いて、実施例4に記載したようにして行なった。
【0083】
【表7】

【0084】
【表8】

【0085】
【表9】

【0086】
【表10】

【0087】
本発明のいくつかの具体的態様を説明してきたが、様々な変更、修正及び改良が当業者に容易に思いつくであろう。本明細書の開示から自明であるような、そのような変更、修正及び改良は、明細書中に明白に言及されていないとしても、本明細書の一部であることが意図されており、そして、本発明の精神と範囲に含まれることを意図している。従って、前述の記載は例としてのみのものであり、限定するものではない。本発明は、添付の特許請求の範囲に定義されるように及びその均等物によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピロ四級アンモニウム系の製造方法であって、電解質溶媒中、効率的にスピロ四級アンモニウム系を生成する条件下で、含窒素化合物を反応させることを含む、前記方法。
【請求項2】
非水性電解質の製造方法であって、
有機溶媒中、塩基の存在下で、環状アミンをアルキル化剤で四級化して、前記溶媒中のスピロ四級アンモニウム系を含有する溶液を生成すること、及び、任意に
前記四級化中に形成された沈殿物の少なくとも一部を除去することによって前記溶液を精製すること、
を含む前記方法。
【請求項3】
前記溶液または精製された溶液に金属テトラフルオロボレートまたは金属ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドを添加して、スピロ四級アンモニウムテトラフルオロボレート電解質またはスピロ四級アンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド電解質を生成すること、及び、任意に
前記添加によって形成された沈殿物の少なくとも一部を除去することによって前記電解質を精製すること、
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記添加及び前記四級化が同時に行なわれる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記スピロ四級アンモニウム系が以下の構造:
【化1】

(式中、X’及びX’’は、独立に、ハロゲンまたは擬ハロゲンであり、
nは、独立に、約0〜約6の整数であり、
は、独立に、CH、CHF、CF、CH、CFであり、
は、CF、CH、CR、CHF、CF、CHR、CR、NH、O、S、3〜8員の環または3〜8員のヘテロ環、または各環が3〜8員である多環またはヘテロ多環であり、
は、独立に、(d)H、(e)C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、またはC〜Cアルケニル基、または(f)約1〜約6の鎖長を有するヘテロアルキル基、であり、
は、CF、CH、CR、CHF、CF、CHR、CR、NH、O、Sまたは四級アンモニウムスピロ接合点である)
を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記アルキル化剤が以下の式:
【化2】

(式中、X’及びX’’は、独立に、ハロゲンまたは擬ハロゲンであり、
nは、独立に、約0〜約6の整数であり、
は、独立に、CH、CHF、CF、CH、CFであり、
は、独立に、(a)H、(b)C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、またはC〜Cアルケニル基、または(c)約1〜約6の鎖長を有するヘテロアルキル基、であり、
は、CF、CH、CR、CHF、CF、CHR、CR、NH、OまたはSである)
を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記環状アミンが、式:
【化3】

(式中、nは、独立に、約0〜約6の整数であり、
は、独立に、CH、CHF、CF、CH、CFであり、
は、CF、CH、CR、CHF、CF、CHR、CR、NH、O、S、3〜8員の環または3〜8員のヘテロ環、または各環が3〜8員である多環またはヘテロ多環であり、
は、独立に、(a)H、(b)C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、またはC〜Cアルケニル基、または(c)約1〜約6の鎖長を有するヘテロアルキル基、である)
を有する環状二級アミン部を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記有機溶媒が、ニトリル類、炭酸有機エステル類、ラクトン類、スルホラン類、ケトン類、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、及びこれらの混合物、からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記塩基が、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属水素化物及びアルカリ土類金属水素化物、アルカリ金属アミド、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、塩基性金属オキシドヒドロキシド、有機金属化合物、ハロゲン化アルキルマグネシウム、アルカリ金属アルコキシド及びアルカリ土類金属アルコキシド、並びに、M(CO、M(CO、M(PO、M(PO及びM(OH)(式中、Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、aは約1〜約2の整数であり、b及びcは、独立に、0〜約2の整数である)からなる群から選択される組成を有する塩基、からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記スピロ四級アンモニウム系が、以下の構造:
【化4】

(式中、X’及びX’’は、独立に、ハロゲンまたは擬ハロゲンであり、
nは、独立に、約0〜約6の整数であり、
は、独立に、CH、CHF、CF、CH、CFであり、
は、CF、CH、CR、CHF、CF、CHR、CR、NH、O、S、3〜8員の環または3〜8員のヘテロ環、または各環が3〜8員である多環またはヘテロ多環であり、
は、独立に、(g)H、(h)C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、またはC〜Cアルケニル基、または(i)約1〜約6の鎖長を有するヘテロアルキル基、であり、
は、CF、CH、CR、CHF、CF、CHR、CR、NH、OまたはSであり、
Yは、テトラフルオロボレート及びビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドからなる群から選択される陰イオンである)
を含む、請求項3に記載の方法。

【公表番号】特表2009−506121(P2009−506121A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529178(P2008−529178)
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/033618
【国際公開番号】WO2007/027649
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】